説明

基板処理装置、基板処理装置のアラーム管理方法および記憶媒体

【課題】複数のアラーム情報に対するリカバリ動作を効率的に実行することが可能な基板処理装置等を提供する。
【解決手段】複数のモジュール2を備えた基板処理装置1において、検出部41a〜41dは、モジュール2に対してインターロックをかける要因を検出して検出信号を出力し、インターロック管理部42は前記検出信号を受け取って、前記要因を検出したことの親アラーム情報を出力すると共に、受け持ち範囲のモジュール2に対してインターロック動作のための信号を出力する。モジュールコントローラ43a〜43cは前記検出信号に基づいてモジュール2に対してインターロック動作を行い、インターロックが作動したことを子アラーム情報として出力する。アラーム管理部40は、親アラーム情報及び子アラーム情報との親子関係を判断し、親子関係にあるアラーム情報同士についてはグループ化された表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対する処理を行う基板処理装置から発報されるアラームを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板である半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面に集積回路の積層構造を形成したり、FPD(Flat Panel Display)やPV(Photo Voltaic)パネルなどの各種基板を製造したりする工程においては、ウエハ等への成膜処理やエッチング処理、フォトリソグラフィ工程におけるレジスト膜の塗布、現像処理など、種々のプロセス処理を行う基板処理装置が利用されている。
【0003】
これらの基板処理装置には、装置内に設けられている各種のセンサから取得した情報やプロセスレシピの制御パラメータの設定値などを操作ディスプレイなどに表示して、その稼働状況を監視できるようになっているものがある。
【0004】
基板処理装置の稼働状況を監視する際に重要な情報の一つとして、プロセス変数が設定範囲を外れた場合や、センサが装置の異常を検出した場合などに発報するアラームがある。アラームには、発生箇所や不具合の内容などを示す情報が含まれており、その内容に応じた適切な処置を実行することにより基板処理装置の稼動状態を正常に維持し、また装置を損傷から保護することができる。
【0005】
一旦発報されたアラームは、予め設定されたリカバリ動作の実行を条件にその発報状態が解除されるようになっていることが多い。また、複数のアラームが発報した場合には、見落としやリカバリ動作の実行漏れを防ぐため、全てのアラームを例えば時系列順に表示し、各々について必要なリカバリ動作を実行しないと、全てのアラームの発報状態を解除できない場合がある。
【0006】
一方で基板処理装置は、例えばインターロックの発生要因が1つ発生すると、装置内の複数の機器にてインターロックが作動してこれらの機器が停止する設定となっていることにより、短時間に数十以上のアラームが発報することがある。このような場合であっても、実際の処置が必要なアラームは、前記インターロックの発生要因を報知する1つのアラームだけであり、この発生要因が解消されれば、他のアラームに必要なリカバリ動作は例えば「処理続行」の指示やアラームの「表示削除」指示など、簡単なものに過ぎないこともある。このような場合であっても、数十ものアラームの一つ一つのリカバリ動作を確認しながら実行することはオペレータにとって負担が大きい。
【0007】
特許文献1には、基板の処理中などに発生したトラブルの発生時間、発生箇所及びアラーム(警報)の名称を一覧形式で表示すると共に、アラームの種類に応じたリカバリ動作を実行する操作ボタン(アラームリスタートボタンやキャンセルリスタートボタン)を備えた操作ディスプレイ(警報画面)に表示する基板処理装置が記載されているが、複数のアラームを効率的に管理する技術は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−307612号公報:段落0054〜0055、図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、複数のアラーム情報に対するリカバリ動作を効率的に実行することが可能な基板処理装置、基板処理装置のアラーム管理方法及びこの方法を記憶した記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る基板処理装置は、複数のモジュールを備えた基板処理装置において、
前記モジュールに対してインターロックをかける要因を検出し、検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から前記検出信号を受け取って、前記要因を検出したことのアラーム情報を親アラーム情報として出力すると共に、当該要因が受け持ち範囲のモジュールに関連するときには、当該モジュールに対してインターロック動作のための信号を出力するインターロック管理部と、
前記モジュールごとに設けられ、モジュールをコントロールすると共に、前記検出部からの検出信号に基づいてモジュールに対してインターロック動作を行い、インターロックが作動したことのアラーム情報を子アラーム情報として出力する複数のモジュールコントローラと、
前記インターロック管理部から送られた親アラーム情報及び前記モジュールコントローラから送られた子アラーム情報との親子関係を判断し、親子関係にあるアラーム情報同士についてはグループ化された表示を行うアラーム管理部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
上述の基板処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記アラーム管理部は、前記グループ化された表示に対して、親アラーム情報についてリカバリ動作の指示を行うと子アラーム情報についても当該リカバリ動作を行う一括リカバリ機能を備えていること。
(b)子アラーム情報のリカバリ動作は、親アラーム情報のリカバリ動作とは関連せずに独自に行う個別リカバリを行うモードを更に備え、前記一括リカバリを行うモードと個別リカバリを行うモードとのいずれかを選択する選択部を備えていること。
(c)前記モジュールコントローラによりコントロールされるモジュールは、基板に対して処理を行うための処理モジュールであること。
(d)前記モジュールコントローラは、前記インターロック管理部を介して検出信号を受け取ること、または前記モジュールコントローラは、前記検出部から検出信号を受け取ること。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、複数のモジュールにインターロックをかける要因となる現象が起こったことのアラーム情報を親アラームとし、インターロックが動作したことのアラーム情報を子アラームとして、複数のアラーム情報をグループ化するので、これらグループ化されたアラーム情報に対して一括してリカバリ動作を行うことができ、複数のアラーム情報に対するリカバリ動作を効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液処理装置の横断平面図である。
【図2】前記液処理装置の外観斜視図である。
【図3】前記液処理装置に設けられている液処理モジュールの縦断側面図である。
【図4】前記液処理モジュールの配置を示す模式図である。
【図5】前記液処理モジュールが共用している搬送、排気及び薬液系統の説明図である。
【図6】前記液処理装置内のアラーム発報システムの一部を示すブロック図である
【図7】前記アラーム発報システムの第1の作動例を示す説明図である。
【図8】前記アラーム発報システムの第2の作動例を示す説明図である。
【図9】前記アラーム発報システムにて出力されるアラーム情報の例を示す説明図である。
【図10】前記液処理装置のアラーム発報画面を示す第1の説明図である。
【図11】前記アラーム発報画面の第2の説明図である。
【図12】前記アラーム発報画面の第3の説明図である。
【図13】前記アラーム発報画面の第4の説明図である。
【図14】前記アラーム発報画面の第5の説明図である。
【図15】前記アラーム発報画面の第6の説明図である。
【図16】前記アラーム発報画面の第7の説明図である。
【図17】前記アラーム発報画面の第8の説明図である。
【図18】前記アラーム発報画面の第9の説明図である。
【図19】前記アラーム発報画面の第10の説明図である。
【図20】前記アラーム発報画面の第11の説明図である。
【図21】他のアラーム発報システムの第1の作動例を示す説明図である。
【図22】他のアラーム発報システムの第2の作動例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態に係わる基板処理装置の一例として、基板であるウエハWの表面の洗浄を行う液処理装置1に本発明を適用した例を説明する。図1の横断平面図、図2の外観斜視図に示すように、液処理装置1は、複数のウエハWを収容したキャリアであるFOUP100を載置する載置ブロック11と、載置ブロック11に載置されたFOUP100からのウエハWの搬入・搬出を行う搬入出ブロック12と、搬入出ブロック12と後段の液処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しブロック13と、ウエハWに液処理を施すための液処理ブロック14とを備えている。載置ブロック11を手前としたとき、載置ブロック11、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13、液処理ブロック14は、手前側からこの順に、隣接して設けられている。
【0015】
載置ブロック11は、複数のウエハWを水平状態で収容するFOUP100を載置台111上に載置する。搬入出ブロック12は、FOUP100から払い出されたウエハWの搬送を行う。受け渡しブロック13は、ウエハWの受け渡しを行う。搬入出ブロック12および受け渡しブロック13は、筐体内に収められている。
【0016】
搬入出ブロック12は、第1のウエハ搬送モジュール121を有している。第1のウエハ搬送モジュール121は、ウエハWを保持する搬送アーム122、および搬送アーム122を前後に移動させる機構を有している。また第1のウエハ搬送モジュール121は、FOUP100の配列方向に延びる水平ガイド123(図1参照)に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた不図示の垂直ガイドに沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム122を回転させる機構を有している。この第1のウエハ搬送モジュール121により、FOUP100と受け渡しブロック13との間でウエハWが搬送される。
【0017】
受け渡しブロック13は、ウエハWを載置可能な受け渡し棚131を有している。受け渡しブロック13では、この受け渡し棚131を介して搬入出ブロック12、液処理ブロック14との間でウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0018】
液処理ブロック14は、複数の液処理モジュール2が配置された液処理部141と、ウエハWの搬送が行われる搬送部142とを筐体内に収めた構成となっている。搬送部142は、受け渡しブロック13との接続部を基端として、前後方向に伸びる空間内に第2のウエハ搬送モジュール143を配置してなる。第2のウエハ搬送モジュール143は、ウエハWを保持する搬送アーム144、および搬送アーム144を前後に移動させる機構を有している。
【0019】
また、第2のウエハ搬送モジュール143は、前後方向に伸びる水平ガイド145(図1参照)に沿って移動する機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド146に沿って移動する機構、水平面内で搬送アーム144を回転させる機構を有している。この第2のウエハ搬送モジュール143により、既述の受け渡し棚131と各液処理モジュール2との間でウエハWの搬送が行われる。図2に示した147は、液処理ブロック14の空間内に清浄空気を供給するFFUである。
【0020】
図1に示すように液処理部141には、搬送部142を形成する空間が伸びる方向に沿って、複数台の液処理モジュール2が並べて配置されている。
各液処理モジュール2は、例えばスピン処理によりウエハWの液処理を1枚ずつ行うことができる。図3の縦断側面図に例示するように液処理モジュール2は、アウターチャンバー21内に配置されたウエハ保持部23にてウエハWをほぼ水平に保持し、このウエハ保持部23を鉛直軸周りに回転させることによりウエハWを回転させる。そして回転するウエハWの上方にノズルアーム24を進入させ、その先端部に設けられたノズル部241から処理液及びリンス液を予め定められた順に供給することによりウエハの上面側(表面を上面に向けて保持されている場合には表面、裏面を上面に向けている場合には裏面)の液処理が行われる。
【0021】
液処理は、例えばアルカリ性の処理液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:DIW)によるリンス洗浄→酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))による自然酸化膜の除去→DIWによるリンス洗浄が行われる。また、これらの処理に際し、ブラシや液体スプレーによる物理的洗浄を行ってもよい。これらの薬液はアウターチャンバー21やその内側に配置されたインナーカップ22に受け止められて排液口211、221より排出される。またアウターチャンバー21内の雰囲気は排気口212より排気されている。薬液による液処理を終えたら、ウエハWを回転させながらその上面にIPA(IsoPropyl Alcohol)を供給し、IPAを振り切るIPA乾燥を行う。
【0022】
上述の構成を備えた液処理モジュール2は、既述のように搬送部142を形成する空間に沿って並べて配置されている。この配置状態について詳しく説明すると、液処理モジュール2は搬送部142に沿って例えば5台ずつ列を成しており、当該列は搬送部142を挟んで両側に設けられていると共に、上下2段に積層されている。従って、本例の液処理装置1は、合計20台の液処理モジュール2を備えていることになる。図1に示した符号141aは、下段側の液処理部を示し、符号141bは上段側の液処理部を示している。
【0023】
このように配置された20台の液処理モジュール2について、各液処理モジュール2を区別するための管理番号を付す。図4の模式図に示すように、下段側の液処理部141aにおいて、載置ブロック11側から見て搬送部142の左手の列の液処理モジュール2に対し、手前側から順に201〜205の管理番号を付し、搬送部142の右手の列の液処理モジュール2について206〜210の管理番号を付す。また、上段側の液処理部141bについては、搬送部142の左手の列の液処理モジュール2に対し301〜305、右手の列の液処理モジュール2について306〜310の管理番号を付す。
【0024】
また、これら20台の液処理モジュール2は、ウエハWの搬入出を行う第2のウエハ搬送モジュール143や、各液処理モジュール2の排気口212に接続されている排気管などの排気系統、ノズル部241へ薬液やリンス液の供給を行う薬液供給系統を、複数台の液処理モジュール2にて共用する構成となっている。図5のテーブルに示すように本例では、1つのウエハ搬送系統(第2のウエハ搬送モジュール143)を全液処理モジュール2にて共用している。
【0025】
一方、排気系統は、5台の液処理モジュール2毎に1つの排気系統を共用し、管理番号201〜205は第1系統、管理番号206〜210は第2系統、管理番号301〜305は第3系統、管理番号306〜310は第4系統の排気系統に各々接続されている。薬液系統についても、排気系統と同様にグループ化された液処理モジュール2が、各グループに対応する薬液系統に接続されて第1〜第4の薬液系統を形成している。
【0026】
また図2に示すように液処理部14を構成する筐体の側壁面には、各液処理モジュール2を収容する位置にモジュールサイドカバー151が設けられており、各モジュールサイドカバー151は液処理部14の筐体から着脱自在に構成されている。また、液処理モジュール2からの排気系統、薬液の供給系統が収容されている位置にも、図5に示したグループ毎に、着脱自在な排気・薬液系サイドカバー152が設けられている。さらに図2に示した153は、搬送部142内の第2のウエハ搬送モジュール143(以下、アラーム管理上はプロセス・アームと呼ぶ)にアクセスするために、液処理装置1の後端面に設けられたPA(プロセス・アーム)リアサイドカバーである。
【0027】
以上に説明した構成を備える液処理装置1は、図1に示すように主制御部4に接続されている。液処理装置1は図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には液処理装置1の作用、即ちFOUP100からウエハWを順次、払い出し、搬入出ブロック12、受け渡しブロック13を介して各液処理モジュール2に搬送し、ウエハWの液処理を行ってから、搬入時とは反対の経路でウエハWを搬送してFOUP100に収納するまでの動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0028】
また本例の液処理装置1は、背景技術にて説明した複数のアラーム発報時におけるオペレータへの負担を軽減するため、これらのアラームに対するリカバリ動作を一括して実行することができる。以下、当該機能を実現するために液処理装置1内に設けられているアラーム発報システムの構成及びその作用について図6〜図8を参照しながら説明する。
【0029】
本例の液処理装置1のように、半導体の製造プロセスにて使用される基板処理装置では、発生箇所や不具合の内容などに応じて数十〜数百種類ものアラームが設定される場合がある。例えば図6は、液処理モジュールに対して実行されるインターロックの作動システム及びこれに伴うアラーム発報システムの一部を示している。図6に示したシステム部分は、図2に示した各液処理モジュール2のモジュールサイドカバー151や搬送部142のPAリアサイドカバー153が開いたとき、開いたカバー151、153に応じて予め設定された位置の液処理モジュール2を停止するインターロックを作動させ、そのアラームを発報する機能を実行する部分に相当している。
【0030】
モジュールカバーセンサ41a〜41cは、各液処理モジュール2を収容する位置に設けられたモジュールサイドカバー151の開放を検出するセンサである。これらのセンサ41a〜41cは、モジュールサイドカバー151が閉じているときにはインターロック管理部42と電気的に導通状態となっており、この導通状態が断絶状態に切り替わったときモジュールサイドカバー151が開状態となったことが検出される。
【0031】
モジュールサイドカバー151が開いたことを検出すると、インターロック管理部42は、モジュールカバーセンサ41a〜41cが作動したモジュールサイドカバー151に対応する位置の液処理モジュール2を停止させる設定となっており、対応するモジュールコントローラ43a〜43cに向けてインターロックの作動命令を出力する。インターロック管理部42からインターロックの作動命令を受け取ったモジュールコントローラ43a〜43cは、対応する液処理モジュール2の停止動作を実行する。
【0032】
一方、PAリアカバーセンサ41dは、全ての液処理モジュール2に共通の搬送系に設けられたPAリアサイドカバー153の開放を検出するセンサである。PAリアカバーセンサ41dは、既述のモジュールカバーセンサ41a〜41cと同様に、PAリアサイドカバー153が閉じているときインターロック管理部42と電気的に導通状態であり、PAリアサイドカバー153が開くと断絶状態に切り替わる。
【0033】
そしてPAリアサイドカバー153が開いたことを検出すると、インターロック管理部42は、搬送系を共用する全ての液処理モジュール2(管理番号201〜210、301〜310)を停止させる設定となっており、全モジュールコントローラ43a〜43cに向けてインターロックの作動命令を出力する。
【0034】
これらのインターロックが作動したとき、モジュールコントローラ43a〜43cからはこのインターロックにより液処理モジュール2を停止させたことを示すアラーム情報がアラーム管理部40に向けて出力される。主制御部4は、タッチパネルディスプレイ5などのインターフェース部と接続されており、アラーム情報を受け取ったアラーム管理部40は、当該アラーム情報に基づくアラームをタッチパネルディスプレイ5に表示し、アラームの発報を行う。
【0035】
そしてタッチパネルディスプレイ5に表示されたアラームを確認したオペレータが、アラームの対象となったカバー151、153を閉じると、カバーセンサ41a〜41dがこれらのカバー151、153の閉鎖を検出したことがインターロック管理部42に出力される(各カバーセンサ41a〜41dとインターロック管理部42とが導通状態となる)。さらに、オペレータがタッチパネルディスプレイ5を介して所定のリカバリ動作を実行すると、当リカバリ動作が行われたことを示す情報が主制御部4からインターロック管理部42に出力されて、インターロックの作動状態が解除される。
【0036】
これらの作用につき、上記カバーセンサ41a〜41dは、液処理装置1に対してインターロックをかける要因を検出する検出部に相当する。また、インターロック管理部42は受け持ち範囲(図6の例では、モジュールコントローラ43a〜43c)にインターロックの動作のための信号を出力する役割を果たしている。そしてモジュールコントローラ43a〜43cは液処理モジュール2をコントロールすると共にカバーセンサ41a〜41dからの検出信号に基づいてインターロック動作を実行する機能を備えているといえる。
【0037】
ここでPAリアカバーセンサ41dがPAリアサイドカバー153の開放を検出した場合には、図7に実線の矢印で示すように、インターロック管理部42から、管理番号201〜210、301〜310の液処理モジュール2に接続されたモジュールコントローラ43a〜43cにインターロックの作動命令が出力される。この結果、合計20台の液処理モジュール2が停止し、このインターロックの作動に対応するアラーム情報がアラーム管理部40に向けて出力される。
【0038】
こうしてアラーム管理部40が多数のアラーム情報を受け付け、それらの依頼に基づいて全てのアラームを整理せずに発報すると、背景技術にて説明したようにオペレータは個別のアラームに対するリカバリ動作を一つ一つ実行しなければならなくなり負担が大きい。
【0039】
そこで本例の液処理装置1は、モジュールコントローラ43a〜43cからのアラーム情報と並行して、インターロック管理部42からもアラーム情報を出力する。そして、インターロック管理部42からのアラーム情報に基づいて発報されるアラームを「親アラーム」、モジュールコントローラ43a〜43cのアラーム情報に基づいて発報されるアラームを「子アラーム」として互いに関連づけを行っている。この結果、インターロックをかける要因(PAリアサイドカバー153が開いたことの検出)と、この要因への対応(液処理モジュール2に対するインターロックの作動)により発報された複数のアラームが互いに関連付けてグループ化される。
【0040】
このようにインターロックの要因とその要因に対応して発報される複数のアラームを一つのグループにまとめることにより、複数のアラームに対して一括して必要な処置(PAリアサイドカバー153を閉じること及びタッチパネルディスプレイ5からのリカバリ動作)を講ずることが可能となる。
【0041】
「親アラーム、子アラーム」の関連付け方法としては、種々の手法が考えられる。本例では、図9の左から2列分のアラームテーブル421、431に示すように、インターロックの種類に応じて出力されるアラーム情報に含まれる名称情報をインターロック管理部42やモジュールコントローラ43a〜43cに予め記憶させておく。そして、インターロックの発生要因(PAリアサイドカバー153が開いたことの検出)に応じて出力するアラームを選択し(例えば図9の例では「PAリアサイドカバーエラー」)、インターロック管理部42はここに親アラームであることを示す情報(「***」)付加して、アラーム管理部40にアラーム情報を出力する(「***_PAリアサイドカバーエラー」)。
【0042】
一方、管理番号201の液処理モジュール2をコントロールするモジュールコントローラ43aは、インターロック管理部42と共通のアラーム名称情報(「PAリアサイドカバーエラー」)に、親アラームを示す情報(「***」)とは異なる情報を付加して(例えば自己の管理番号「201」)、アラーム管理部40に出力する(「201_PAリアサイドカバーエラー」)。この考え方と同様に、管理番号202の液処理モジュール2のモジュールコントローラ43bは、「202_PAリアサイドカバーエラー」をアラーム情報として出力する。
【0043】
インターロック管理部42やモジュールコントローラ43a〜43cよりアラームの情報を受け取ったアラーム管理部40は、共通のアラーム名称を持つ情報の内、「***」の文字列が付加された情報を親アラームとする。一方、他の文字列が付加された情報を子アラームとしてアラーム情報の親子関係を判断し、親子関係にあるアラームについてグループ化された表示をタッチパネルディスプレイ5に対して行う。
【0044】
このように、インターロック管理部42やモジュールコントローラ43a〜43cにてアラームの親子関係を示す情報を付加してアラーム管理部40へアラーム情報を出力することにより、アラーム管理部40は予め親子関係が定義されたアラームを発報することが可能となる。この結果、アラーム管理部40は共通の名称情報を有するアラームをまとめて、そのうち所定の付加情報(「***」)を有するアラームを親アラームとすればよいので、短時間で多数のアラームをグループ化して発報することができる。
【0045】
以上に説明したように、インターロック管理部42は、カバーセンサ41a〜41dからのインターロック要因の検出信号(モジュールサイドカバー151が開いたことの検出)を受け取って当該要因を検出したことのアラーム情報を親アラーム情報として出力する機能を備えていることになる。また、モジュールコントローラ43a〜43cについてもインターロックが作動したことのアラーム情報を子アラーム情報として出力する機能を有している。
【0046】
一方、図8に示す例のように、管理番号201の液処理モジュール2のモジュールサイドカバー151が開いたことを検出した場合には、インターロックが作動して停止する液処理モジュール2は1台だけであり、その結果として発生するアラームの数も少ない。そこで本例では、情報が1つしか出力されないアラームに対しては、インターロック管理部42からの親アラームの情報を出力せずにモジュールコントローラ43aから出力される情報に基づいて単独のアラームが発報されるようになっている。この場合は、各モジュールコントローラ43a〜43cより出力されるアラームの情報には子アラームであることを示す情報が付加されない。
但し、この際にモジュールコントローラ43a〜43cから出力されるアラームの情報に常に子アラームであることを示す情報を付加し、アラーム管理部40はインターロック管理部42から親アラームの情報を受け取ったか否かにより、子アラームのグループ化を行うか否かを判断してもよい。
ここで図6〜図8に一点鎖線で囲んで示すように、インターロック管理部42、モジュールコントローラ43a〜43c、主制御部4(アラーム管理部40)は、全体として液処理装置1の制御部400を構成している。
【0047】
このように親子関係が定義されグループ化して表示されたアラーム情報に対し、アラーム管理部40は、親アラーム情報についてリカバリ動作の指示を行うと、子アラーム情報についても当該リカバリ動作を一括して行う一括リカバリ機能を備えている。この一括リカバリ機能を含むアラームの発報及びそのリカバリ動作等の具体例について図10〜図20を参照しながら説明する。
【0048】
図10は、PAリアサイドカバー153が開いたことの検出に伴ってタッチパネルディスプレイ5に表示されるアラーム発報画面の一例を示している。図中、51は発報したアラームの名称及びその発報時刻が並べて表示されるアラーム表示部である。アラーム表示部51は、該当するアラーム名称の表示部分にタッチすることにより、当該アラームを選択することができる。また、511はアラーム表示部51に表示可能な数よりも多いアラームが発報した場合にアラームの表示範囲を移動させるスクロールバーである。
【0049】
図10のアラーム発報画面には、各種操作ボタンが表示されている。展開ボタン521は、アラーム表示部51で選択された親アラームとグループになっている表示可能な子アラームの表示指示を出すときに使用する。一方、折りたたみボタン522は子アラームの表示を消して親アラームのみを表示する指示を出すときに使用する。
【0050】
ソートボタン523は、予め設定されたソート項目に基づいてアラームを並べ替える指示を出すときに使用し、絞り込みボタン524は所定の絞り込み項目に適合するアラームのみをアラーム表示部51に表示する指示を出すときに使用する。リカバリボタン525はアラーム表示部51で選択されたアラームに対するリカバリ動作に関連する操作領域を表示するためのボタンであり、画面切替ボタン56は当該アラーム発報画面を閉じて、タッチパネルディスプレイ5の表示を例えば液処理装置1の運転画面に切り替えるためのボタンである。
以下、タッチパネルディスプレイ5上で枠線や名称がグレーで表示されているボタンは、操作の実行指示を出すことができないことを示している。また、黒の枠内がグレーで塗りつぶされているボタンは、当該画面でそのボタンが操作されたこと(若しくはこれから操作すること)を示している。
【0051】
図10にて「PAリアサイドカバーエラー」の親アラームが表示されたアラーム表示部51内の当該アラームを選択し、展開ボタン521を押すと、このアラームと親子関係にある子アラームがグループ化して表示される(図11)。本例のアラーム表示部51では、親アラームの下方側に、アラーム名称の記載開始位置を親アラームよりも右側にずらして表示することにより、子アラームであることを示している。
【0052】
図11に示すように、リカバリボタン525を押すと、アラーム表示部51の右側の領域にリカバリ操作表示部53が表示される。このリカバリ操作表示部53内には、アラーム表示部51内で選択されている親アラームについての全ての子アラームを選択する指示を出力する一括選択ボタン531、アラーム表示部51内アラーム名称を個別にタッチして、アラームの選択指示を出力する個別選択ボタン532が表示されている。
【0053】
本例のリカバリ操作表示部53では3種類のリカバリ動作を実行することが可能となっている。再試行ボタン533は、アラームの発報要因を解消した(例えばPAリアサイドカバー153を閉じた)後にアラームの発報要因が検出されないかどうか(PAリアサイドカバー153の検出確認)の再試行を指示する。処理続行ボタン534は予め設定された処理の続行を指示する。表示削除ボタン535は、当該アラームの削除のみを指示する。但し、各アラームに対するリカバリ動作の種類はこれに限られるものではなく、アラーム発報システムの設計に基づき、他のリカバリ動作を設定してもよい。
【0054】
また実行ボタン536は、選択されたボタン533〜535に対応するリカバリ動作の実行を指示し、削除ボタン537はアラーム表示部51にて選択されたアラームをリカバリ動作の実行対象から削除する操作を指示する。
【0055】
図11のリカバリ操作表示部53にて、例えば一括選択ボタン531を選択すると、図12に示すようにアラーム表示部51に表示されている全ての親アラーム、子アラームが選択され、これらのアラームに対して実行可能なリカバリ動作のボタン533〜535が指定可能となる。「PAリアサイドカバーエラー」のアラームにおいては、PAリアサイドカバー153を閉じる処置が必要である一方、当該アラーム発報画面ではPAリアサイドカバー153の検出確認を再試行する再試行ボタン533の指定が可能となる。
【0056】
そこで再試行ボタン533を指定し、実行ボタン536にタッチすると、図6に示したインターロック管理部42にてPAリアカバーセンサ41dの導通確認を行い、導通状態が確認されれば、インターロックが解除されてアラームの発報状態が解消する(図13)。
【0057】
また図11の状態で一括選択ボタン531を押す代わりに個別選択ボタン532を押すと、アラーム表示部51内のアラーム名称をタッチして当該アラームを個別に選択することが可能となる。このとき親アラームを選択すると、付随する子アラームも全選択され図12と同様の状態となる。一方、子アラームの名称にタッチすると、当該子アラームのみが選択され(当該子アラームを表示するアラーム表示部51内のカラムがグレーで塗りつぶされ)、その後再試行ボタン533を選択し、実行ボタン536を押すと当該子アラームについてのリカバリ動作が実行される。
【0058】
このように個別選択ボタン532は、図11に示すように未選択の親アラーム、子アラームが列挙されたアラーム表示部51から、親アラームのリカバリ動作とは関連せずに独自にリカバリ動作を行う子アラームを選択する際に用いられる。これらの観点から、一括選択ボタン531及び個別選択ボタン532は、親子アラームのリカバリ動作を一括して行うか、個別に行うかを選択する選択部としての役割を果たしているといえる。
【0059】
このように、複数のアラームに対するリカバリ動作を同時に実行すると、一つ一つのアラームを選択してリカバリ動作を実行する場合に比べて効率的にリカバリ動作を実行できる。一方で例えば機器の補修などの理由で特定の液処理モジュール2のアラームを発報した状態で維持し、液処理モジュール2が動作しないようにしたい場合がある。そのため、本例のアラーム発報画面では、特定のアラームをリカバリ動作の対象から削除することも可能になっている。
【0060】
例えば削除するアラームについては、図12のアラーム表示部51上で削除したいアラーム名称の表示部分をタッチして、削除対象を特定する。削除対象のアラームを選択して削除ボタン537を押すと、図14に示すように当該アラームの選択状態が解除される(図14では、アラーム名称を表示するカラムが白色になっている)。しかる後、再試行ボタン533を押すと、現在、選択されている親アラーム、子アラームに対して再試行のリカバリ動作が実行され、図15に示すように先に選択が除外された子アラームのみが単独で発報している状態となる。
【0061】
残っている子アラームの発報状態を解消する場合には、リカバリボタン525を押してリカバリ操作表示部53を表示し、個別選択ボタン532を押してアラーム表示部51に表示されている対象のアラームを選択する。しかる後、当該選択されたアラームへの再試行を実行して(再試行ボタン533及び実行ボタン536を押して)全てのアラームに対するリカバリ動作を実行すると、全てのアラームの発報状態が解消する(図13)。
【0062】
図16〜図17は、複数の親子アラームが発報した場合のアラーム発報画面の例である。図16に示すように、複数種類の親アラームが発報した場合に、双方の親アラームを指定して展開ボタン521を押すと、図17のアラーム表示部51に示すように各アラームに対応する子アラームが親アラーム毎にグループ化して表示される。
【0063】
この状態でリカバリボタン525を押してリカバリ操作表示部53を表示させ、一括選択ボタン531を押してから一括して処理したい親アラームを押すとその親アラームと同じグループの子アラームが全て選択され、これらのアラームに対して実行可能なリカバリ動作のボタンが指定可能となる。例えば「排気モーター原点確認エラー」においては、排気系統のモーターの原点調整が必要である一方、当該アラーム発報画面では原点確認を再試行する再試行ボタン533の指定が可能となる。
【0064】
そして再試行ボタン533を指定し、実行ボタン536をタッチすると、排気モーターの原点確認が行われ、原点が確認されれば、インターロックが解除されて指定されたアラームに関する発報状態が解消する。しかしながら複数の親アラームが発報している場合には、先のリカバリ動作で選択、実行されなかったアラームが残っている。これらのアラームに対してもアラームの一括選択、実行可能なリカバリ動作の実行(例えば「モニタリングシステムエラー」の例では「処理続行」)をすることにより、全てのアラームの発報状態が解消されることになる(図13)。
【0065】
またアラームの一括選択に際して複数の親アラームを選択し、リカバリ動作を実行する場合には、発報状態を解消するためのリカバリ動作が異なる複数種類のアラームが選択されているので、リカバリ操作表示部53においても複数種類のリカバリを選択することが可能となる。
【0066】
そして例えば再試行ボタン533を指定して実行ボタン536を押すと、当該リカバリ動作により発報状態を解消可能なアラームが消える。このときアラームは、既に一括選択がされているので処理続行ボタン534を指定して実行ボタン536を押せば「モニタリングシステムエラー」の発報状態が解消される。
また上述の例とは反対に、処理続行のリカバリ動作を実行すると、「モニタリングシステムエラー」の発報状態が解消され、「排気モーター原点確認エラー」のアラームが残ることになる。
【0067】
以上に説明した例では1種類の親子アラームに対して実行可能なリカバリ動作は1種類としたが、アラームを解消可能なリカバリ動作が複数種類設定されていてもよい。この場合には、選択可能な複数のリカバリ動作のうち、何れかを実行することにより、当該リカバリ動作により発報状態を解消可能なアラームが消えることになる。
【0068】
またさらに、共通の親アラームでグループ化される複数の子アラームに対して、種類の異なるリカバリ動作の実行を必要とする設定としてもよい。例えば、共通のアラーム発報要因(例えばPAリアサイドカバー153が開いたことの検出)に対し、液処理モジュール2の停止と、PA(第2の搬送モジュール143)の停止といった複数種類のインターロックを作動させる場合に、このような設定がされる場合がある。この場合に、親アラームの発報を解消するリカバリ動作が実行された後でも、先に一括選択がされていれば、残っている子アラームについて再度選択することなくリカバリ動作の実行を受け付けることができる。
【0069】
次に図18、図19を参照しながら、ソートボタン523の機能について説明する。例えば図16に示した複数種類の親アラームが発報している場合に、これらの親アラームを指定して展開ボタン521を押した後、ソートボタン523を押すと、アラーム表示部51の右側の領域にソート操作表示部54が表示される(図18)。本例では、アラームを液処理モジュール2単位でソートする(並べ替える)モジュールソートボタン541、排気系統単位でソートする排気系統ソートボタン542、薬液供給系統単位でソートする薬液系統ソートボタン543、PAの搬送系統単位でソートする搬送系統ソートボタン544が表示されている。
【0070】
ここで例えばモジュールソートボタン541を押すと、図18に示すように各アラームが液処理モジュール2の管理番号毎に並べ替えられる。ソートを実行した後のアラーム表示部51では、「201モジュール、202モジュール」などのソート項目の情報が表示される。そして各ソート項目の下に、アラーム名称の記載開始位置を右側にずらして表示することにより、当該アラームが各ソート項目に含まれることを示している。また、本例ではいずれの液処理モジュール2にも含まれない親アラームについて、ソート項目ごとにソートされた子アラームとは別に、アラーム表示部51の最上段側にまとめて表示してある。なお、例えばソートボタン523を再度押して、当該ソートボタン523の選択状態を解除すればアラーム表示部51の表示はもとの状態に戻る(この場合、ソート操作表示部54は表示されない)。
【0071】
この状態でリカバリボタン525を押し、リカバリ操作表示部53を表示して親子アラームの一括選択を行うと、アラーム表示部51に表示されているアラームがソートされた状態のまま、親子アラームが一括選択される。そして、当該一括選択されたアラームに対応するリカバリ動作を実行すると、一括選択されたアラームの発報状態が解消される。
【0072】
図19は、図5にグループ分けを示した排気系統単位でアラームをソートした場合の表示例を示している。アラーム表示部51には、液処理モジュール2の管理番号にてグループ分けされていることを示すソート項目情報が表示されている(「201−205排気系統」)。この状態で、リカバリボタン525を押し、リカバリ操作表示部53を表示すると親子アラームの一括選択、リカバリ動作の実行が可能となる。さらに残ったアラームについても親子アラームの一括選択とリカバリ動作を続けて実行することが可能であるが、重複説明となるので図示は省略する。
【0073】
ここでソート操作表示部54に表示するソート項目は、図18、図19に示したものに限定されるものではなく、例えば発報したアラームの種類などに応じて適宜変更してよい。これらの例ではアラーム表示部51に液処理モジュール2のアラームが例示されているので、ソート操作表示部54には液処理モジュール2に関するソート項目が列挙されている。この例とは別に第1のウエハ搬送モジュール121や第2のウエハ搬送モジュール143に関するアラームが複数発報している場合には、例えば「電源系統」などのソート項目を設けてもよい。
【0074】
さらにソート項目は、図18、図19に列挙した「モジュール、排気系統」などの機器別の概念で設定する場合に限らず、例えば日付別、アラームの重要度別などの概念でソート項目を設定してもよい。これらの場合には、ソート項目を概念別に切り替えられるようにしてもよい。
またリカバリ動作を実行するにあたって、複数のアラームを選択する際に、アラーム表示部51に表示されているソート項目情報にタッチすることにより、当該ソート項目に含まれるアラームを一括選択してもよい。
【0075】
次いで図20を参照して絞り込みボタン524の機能についての説明を行う。例えば図16に示した複数種類の親アラームが発報している場合に、これらの親アラームを指定して展開ボタン521を押した後、絞り込みボタン524を押すとアラーム表示部51の右側の領域に絞り込み操作表示部55が表示される(図20参照)。本例では、アラームをリカバリ動作の種類に応じて絞り込みを行う、再試行絞り込みボタン551、処理続行絞り込みボタン552、表示削除絞り込みボタン553の3種類の項目が表示されている。そしてアラーム表示部51に表示されているアラームの種類に応じて、これら3種類の絞り込みボタン551〜553の選択可否が切り替えられる。
【0076】
例えば再試行絞り込みボタン551を選択すると、図20に示すようにアラーム表示部51に表示されるアラームが「再試行」のリカバリ動作により発報状態を解消可能なアラームのみが表示される。その後、リカバリボタン525を押し、リカバリ操作表示部53を表示すると絞り込み表示された親子アラームについて一括選択、リカバリ動作の実行が可能である点はソート操作をした後に一括選択を行う既述の例と同様である。
【0077】
そして絞り込み表示された全てのアラームに対してリカバリ動作が実行されると、アラーム表示部51に表示されるアラームはなくなるが、絞り込みボタン524を再度押して、当該絞り込みボタン524の選択状態を解除すれば、リカバリ動作が実行されていない発報中のアラームが表示される。
【0078】
ここで絞り込み操作表示部55に表示される絞り込み項目は、図20に列挙したリカバリ動作の内容で設定する場合に限らず、例えばアラームの重要度などの概念で絞り込み項目を設定してもよい。これらの場合には、絞り込み項目を概念別に切り替えられるようにしてもよい。
またソートボタン523と絞り込みボタン524は重複選択が可能であり、例えば図18や図19に示すように発報中のアラームをソート表示した後、リカバリ動作別の絞り込みをしてもよいし、反対に絞り込み表示の後にソート表示を行ってもよい。
【0079】
本実施の形態に係わる液処理装置1によれば以下の効果がある。複数の液モジュール2にインターロックをかける要因が起こったことのアラーム情報を親アラームとし、インターロックが作動したことのアラーム情報を子アラームとして、複数のアラーム情報をグループ化するので、これらグループ化されたアラーム情報に対して一括してリカバリ動作を行うことができる。
【0080】
ここでアラームの発報システムについて、図6に示したように各モジュールコントローラ43a〜43cはインターロック管理部42の作動命令に基づいてインターロックを作動させる場合に限定されない。例えば図21、図22に示すように各モジュールコントローラ43a〜43cが直接PAリアカバーセンサ41dやモジュールカバーセンサ41a〜41cの導通状態を確認し、PAリアサイドカバー153やモジュールサイドカバー151が開いたことを検出した場合には自らインターロックを作動させてもよい。
【0081】
この場合に図21に示したインターロック管理部42は、PAリアサイドカバー153が開いたことを検出した状態となったとき親アラームの情報をアラーム管理部40に出力する動作のみを実行し、インターロックの作動には関与していないようにも見える。しかしながら図6にて説明したように当該図は液処理装置1のインターロック作動システムの一部を抜き出して示したものであり、インターロック管理部42は図21に示していない他のモジュール(例えば第1のウエハ搬送モジュール121や第2のウエハ搬送モジュール143など)を受け持ち範囲として、これらのモジュールに対してインターロックの作動命令を出力する機能を備えている。
これら図21、図22に示したブロック図においても、インターロック管理部42、モジュールコントローラ43a〜43c、主制御部4(アラーム管理部40)は、全体として液処理装置1の制御部400を構成している。
【0082】
ここで、制御部400内におけるインターロック管理部42、モジュールコントローラ43a〜43c、アラーム管理部40の構成の仕方は、図6〜8、図21〜22に示した例に限られるものではない。例えば主制御部40内にアラーム管理部40とインターロック管理部42との双方の機能を持たせてもよいし、各図中のインターロック管理部42と同様に、現場型のマイクロコンピュータ内にアラーム管理部40の機能を持たせてもよい。またインターロック管理部42、モジュールコントローラ43a〜43c、アラーム管理部40の各機能は、複数のマイクロコンピュータやコントローラ等に分けて設けられていてもよい。このように液処理装置1の制御部400を構成するマイクロコンピュータやコントローラ等の制御装置群中にこれらインターロック管理部42、モジュールコントローラ43a〜43c、アラーム管理部40の機能が含まれていれば、当該制御部400を備える液処理装置1は、本発明の技術的範囲に含まれている。
【0083】
以上に説明した各実施の形態では、共通のアラーム情報に予め設定した情報(親アラームの場合は「***」、子アラームの場合は液処理モジュール2の管理番号「201、202」など)を付加して親アラームと子アラームとの識別を行っているが、アラームの親子を識別する手法はこれに限られない。例えばインターロック管理部42やモジュールコントローラ43a〜43cは新たな情報の付加を行わずにアラーム管理部40に対してアラームの情報を行いってもよい。例えばアラーム管理部40は当該アラーム情報を出力したモジュールを識別して、インターロック管理部42から出力されたアラーム情報を親アラーム、モジュールコントローラ43a〜43cから出力されたアラーム情報を子アラームと識別する場合などが考えられる。この場合、情報を出力したモジュールを識別する情報としてはMAC(Media Access Control)アドレスなどが挙げられる。
【0084】
また親アラーム、子アラームによりグループ化されるアラームの対象は、図7、図21等に示した液処理モジュール2をインターロックで停止する場合に限られるものではない。例えば複数台のPA(第2のウエハ搬送モジュール143)を備える液処理装置1にてこれらのPAをインターロックで停止する場合のアラーム発報などにおいても本発明は適用することができる。
【0085】
そして親アラーム、子アラームによってグループ化されるインターロックが作動するモジュールは、共通の液処理装置1内に複数設けられている液処理モジュール2などに限られるものではない。即ち、液処理モジュール2を1台だけ備える液処理装置1について、PAリアサイドカバー153が開いたことにより、液処理モジュール2とPA(第2のウエハ搬送モジュール143)とにインターロックが作動して複数のアラームが発報する場合にも本発明は適用することができる。
【0086】
さらにまた、本発明を適用可能な基板処理装置はウエハWの洗浄を行う液処理装置1に限定されるものではない。ウエハWやガラス基板等にレジスト液を塗布し、露光後の現像を行う塗布、現像装置に設けられているスピン塗布モジュールや加熱モジュール、CVD(Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)などによる成膜を行う成膜装置の成膜モジュール、プラズマを利用したエッチング装置やアッシング装置などの処理モジュールやこれらの装置の搬送モジュールなど、インターロックが作動するモジュールを備えた各種の基板処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
W ウエハ
1 液処理装置
2 液処理モジュール
4 主制御部
40 アラーム管理部
41a〜41c
モジュールカバーセンサ
41d PAリアカバーセンサ
42 インターロック管理部
43 モジュールコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールを備えた基板処理装置において、
前記モジュールに対してインターロックをかける要因を検出し、検出信号を出力する検出部と、
前記検出部から前記検出信号を受け取って、前記要因を検出したことのアラーム情報を親アラーム情報として出力すると共に、当該要因が受け持ち範囲のモジュールに関連するときには、当該モジュールに対してインターロック動作のための信号を出力するインターロック管理部と、
前記モジュールごとに設けられ、モジュールをコントロールすると共に、前記検出部からの検出信号に基づいてモジュールに対してインターロック動作を行い、インターロックが作動したことのアラーム情報を子アラーム情報として出力する複数のモジュールコントローラと、
前記インターロック管理部から送られた親アラーム情報及び前記モジュールコントローラから送られた子アラーム情報との親子関係を判断し、親子関係にあるアラーム情報同士についてはグループ化された表示を行うアラーム管理部と、を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記アラーム管理部は、前記グループ化された表示に対して、親アラーム情報についてリカバリ動作の指示を行うと子アラーム情報についても当該リカバリ動作を行う一括リカバリ機能を備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
子アラーム情報のリカバリ動作は、親アラーム情報のリカバリ動作とは関連せずに独自に行う個別リカバリを行うモードを更に備え、前記一括リカバリを行うモードと個別リカバリを行うモードとのいずれかを選択する選択部を備えていることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記モジュールコントローラによりコントロールされるモジュールは、基板に対して処理を行うための処理モジュールであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記モジュールコントローラは、前記インターロック管理部を介して検出信号を受け取ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記モジュールコントローラは、前記検出部から検出信号を受け取ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
複数のモジュールを備えた基板処理装置のアラーム管理方法において、
装置に対してインターロックをかける要因を検出し検出信号を出す工程と、
この検出信号を受け取ったインターロック管理部が、前記要因を検出したことのアラーム情報を親アラーム情報として出力すると共に、当該要因が受け持ち範囲のモジュールに関連するときには、当該モジュールに対してインターロック動作のための信号を出力する工程と、
前記モジュールごとに設けられ、モジュールをコントロールする複数のモジュールコントローラが、前記検出部からの検出信号に基づいてモジュールに対してインターロック動作を行い、インターロックが作動したことのアラーム情報を子アラーム情報として出力する工程と、
前記インターロック管理部及びモジュールコントローラの各々からアラーム情報が送られたときに、これらアラーム情報に基づいて親子関係を判断し、親子関係にあるアラーム情報同士についてはグループ化された表示を行う工程と、を含むことを特徴とする基板処理装置のアラーム管理方法。
【請求項8】
グループ化された表示に対して、親アラーム情報についてリカバリ動作の指示を行うと子アラーム情報についても当該リカバリ動作を行う一括リカバリを行う工程と、を含むことを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置のアラーム管理方法。
【請求項9】
子アラーム情報のリカバリを行う工程には、親アラーム情報のリカバリ動作とは関連せずに独自に行う個別リカバリを行うモードを更に備え、前記一括リカバリを行うモードと個別リカバリを行うモードとのいずれかを選択する工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の基板処理装置のアラーム管理方法。
【請求項10】
前記モジュールコントローラによりコントロールされるモジュールは、基板に対して処理を行うための処理モジュールであることを特徴とする7ないし9のいずれか一つに記載の基板処理装置のアラーム管理方法。
【請求項11】
複数のモジュールを備えた基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項7ないし10のいずれか一つに記載された基板処理装置のアラーム管理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2013−77053(P2013−77053A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215099(P2011−215099)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】