説明

基板接続用コネクタ

【課題】組立作業性に優れ、両側の基板の片面に固定した被接続端子間の実装ズレや基板の間の取り付けズレを吸収するのに効果的なコネクタの提供を目的とする。
また、基板からケーブル線を引き出すのに組付け性に優れたコネクタの提供を目的とする。
【解決手段】基板に電気接続するコネクタであって、基板は片面に複数の固定した被接続端子を有し、コネクタは前記基板に有する複数の被接続端子にそれぞれ対応して電気接続する複数のコネクタ部を有し、前記複数のコネクタ部の間は弾性変形を許容するつなぎ部で連結し、当該つなぎ部はコネクタ部に一体又は別体として設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板の片面に複数固定した被接続端子に電気接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
基板の片面にLED等を実装したモジュール基板は所定長さのモジュール基板を複数枚水平方向に電気接続し、長尺のLEDランプ等として用いられている。
例えば図7に示すように基板40,40同士の端付近の片面にソケット140,140を固定し、このソケット同士140,140を板状の接続端子を有するコネクタ110を用いて接続していた。
しかし、近年LED同士の間隔を狭く配置した高密度LEDランプ等のニーズが高く、図7のような接続方法では接続する基板端部のLED間の間隔を狭くすることができないことから、図8に示すようにLED2を間に挟むようにして基板40の両側にそれぞれソケット140A,140Aを固定し、それらの対応するソケット同士を2つのプラグコネクタ110A,110Bを嵌着し、電気接続する方法が想定できる。
しかし、このように対応するソケット毎にプラグコネクタを設けると組立作業においてプラグコネクタを2回ハンドリングしなければならず、また3P接続の場合には3回ハンドリングしなければならず、組立工数がアップする。
また、プラグコネクタは小型になり、接続方向を確認するのも困難になりやすい。
さらには、基板同士の中心ズレや傾きを吸収できる許容範囲が狭いといった問題もあった。
【0003】
例えば特許文献1に基板同士を水平方向に接続するためのコネクタを開示するが、このコネクタも図7に示す構造に該当するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−100394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、組立作業性に優れ、両側の基板の片面に固定した被接続端子間の実装ズレや基板の間の取り付けズレを吸収するのに効果的なコネクタの提供を目的とする。
また、基板からケーブル線を引き出すのに組付け性に優れたコネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板接続用コネクタは、基板に電気接続するコネクタであって、基板は片面に複数の固定した被接続端子を有し、コネクタは前記基板に有する複数の被接続端子にそれぞれ対応して電気接続する複数のコネクタ部を有し、前記複数のコネクタ部の間は弾性変形を許容するつなぎ部で連結し、当該つなぎ部はコネクタ部に一体又は別体として設けたことを特徴とする。
【0007】
ここで基板に複数の被接続端子を有するとは、2極電気接続や3極電気接続において1極毎に被接続端子を基板の同一片面に固定してあることをいう。
従って、複数の被接続端子にそれぞれ電気接続するコネクタ部は、両側の基板間(被接続端子)にまたがる1つの接続端子を有することになる。
ここで、基板の片面に固定した被接続端子はソケット形状でもプラグ形状でもよく、基板側がソケット形状であればコネクタ部がプラグ形状になり、逆に基板側がプラグ形状であれば、コネクタ部がソケット形状になる。
【0008】
本発明は基板同士を水平方向に接続する場合に、複数の基板を略水平方向に配置し、電気接続する両側の基板の同一片面に被接続端子をそれぞれ固定してあり、前記複数のコネクタ部にそれぞれ設けた1つの接続端子の両側の端子部を前記両側の基板の被接続端子に弾性接続することになり、
基板からケーブル線を引き出すには、
基板の片面に複数の被接続端子を固定してあり、前記複数のコネクタ部にそれぞれ設けた1つの接続端子は一端部をケーブル線に接続してあり、他端部を前記基板に固定した被接続端子に弾性接続することになる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は複数の基板同士を水平方向に接続したり、基板の片面から複数本のケーブル線を引き出す際に基板に固定した複数の被接続端子毎に電気接続するプラグ部を形成し、この複数のプラグ部の間を弾性変形を許容したつなぎ部で連結したことにより、基板の片面に取り付けた被接続端子の実装ズレや基板の取り付けズレを吸収することができる。
また、複数のコネクタ部をつなぎ部で連続したので組立部品点数が少なくなり、組付工数が低減される。
コネクタ部のつなぎ部をコネクタ部とは別体に成形し、コネクタ部に取り付け可能にすると、つなぎ部のつなぎ間隔を対となる被接続端子の間隔が異なる基板の仕様に応じてシリーズ化することができ、プラグ部を異なる被接続端子間の基板仕様に共通して使用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るコネクタの例を示す。
【図2】コネクタを構成する部品例を示す。
【図3】コネクタのH1−H1断面図(a)及びH2−H2の断面図(b)を示す。
【図4】コネクタが基板の取り付けズレを吸収する説明図を示す。
【図5】つなぎ部の変形例を示し、(a)はつなぎ部をコネクタ部に一体的に成形した例、(b)はつなぎ部の長さを短くした例、(c)はつなぎ部の形状を交互に折り返し片状にした例を示す。
【図6】本発明に係るコネクタをケーブル線の引き出しコネクタに適用した例を示す。(a)はコネクタの接続前、(b)は接続後、(c)はケーブル線を組み付ける前の状態を示す。
【図7】従来のコネクタ例を示す。
【図8】従来のコネクタ例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係るコネクタの構造例を図1〜3にて説明する。
本実施例は基板側にソケットを固定し、コネクタ部をプラグコネクタにした例であるが、プラグ・ソケットの接続構造はこの逆でもよい。
【0012】
基板40は等間隔に複数のLED2を長手方向に実装してあり、基板の片面の端部付近に第一被接続端子41及び第二被接続端子42として2つのソケット端子をハンダ等により固定(実装)してある。
2つの基板の同一片面に固定したソケット端子(41,42)を対向するように水平方向に配置し、上部からコネクタ1を嵌着し、電気接続する。
コネクタ1は図2に示すように細い丸棒のシャフトである第一接続端子12を水平方向に固定した第一ハウジング11からなる第一コネクタ部10と、同様にシャフト状の第二接続端子を水平方向に固定した第二ハウジング22からなる第二コネクタ部20とをつなぎ部30にて接続端子と直交する方向に連結した。
本実施例では第一コネクタ部10と第二コネクタ部20は同じ構造を有し、第一、第二ハウジングに水平方向に設けたプラグ収納部11b,21bにシャフト(12,22)を固定した例になっている。
つなぎ部30は第一連結部31と第二連結部32とを弾性変形する弾性部33にてつないである。
弾性部33の形状は左右、上下に弾性変形すれば特に制限がなく、本実施例は弓形状のつなぎ片33a,33bを対向して形成した例である。
本実施例はつなぎ部30を第一及び第二コネクタ部10,20とは別体で成形し、第二ハウジング21を代表して説明するとハウジング側に設けた係止部21cと連結部の内側に設けた被係止部32aとが係止するように組み付ける例となっている。
なお、このつなぎ部30は図5(a)に示すようにハウジングに一体的に形成したつなぎ部30aにしてもよく、また、つなぎ部を別体に成形すると図5(b)に示すようにつなぎ部30bの長さをシリーズ化することでソケット端子間隔の相違する基板に対してコネクタ部を共通化できる。
また、図5(c)に左右交互に折り返したつなぎ形状を示すようにつなぎ部30cの形状は弾性変形を許容できるものであれば、その形状に制限はない。
【0013】
第一及び第二ソケット端子(41,42)は同じ形状であり、図3に示すように基板側のソケット端子は第二接続端子42を例に説明すると、プラグピン22(第二接続端子)を弾性挟持するための対向配置した一対の接触端子41a,41aと接触端子41b,41bの2組とハウジングの内側に設けた係止爪21aに係止する一対の係止片41c,41cを有する。
【0014】
本発明に係るコネクタ1を用いると図4に示すように基板40,40同士の取り付け位置のズレ(d)やソケット端子の実装位置ズレをつなぎ部30のつなぎ片33a,33bが弾性変形することで吸収する。
【0015】
図6は本発明に係るコネクタ1を基板40からケーブル線3,3を引き出すのに用いた例を示す。
ピン12a,22aの一端にケーブル線3の芯線を圧着部12b,22bで圧着接続し、ハウジング11A,21Aにピン12a,22aに設けたランス部12c,22cでランス係止した例になっている。
このようにすると、コネクタに予めケーブル線3,3を接続した状態で1回のハンドリングにて基板40に複数のケーブル線を組み付けることができる。
【符号の説明】
【0016】
1 コネクタ
2 LED
10 第一コネクタ部
11 第一ハウジング
12 第一接続端子
20 第二コネクタ部
21 第二ハウジング
22 第二接続端子
30 つなぎ部
31 第一連結部
32 第二連結部
33 弾性部
40 基板
41 第一被接続端子
42 第二被接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電気接続するコネクタであって、
基板は片面に複数の固定した被接続端子を有し、
コネクタは前記基板に有する複数の被接続端子にそれぞれ対応して電気接続する複数のコネクタ部を有し、
前記複数のコネクタ部の間は弾性変形を許容するつなぎ部で連結し、当該つなぎ部はコネクタ部に一体又は別体として設けたことを特徴とする基板接続用コネクタ。
【請求項2】
複数の基板を略水平方向に配置し、
電気接続する両側の基板の同一片面に被接続端子をそれぞれ固定してあり、前記複数のコネクタ部にそれぞれ設けた1つの接続端子の両側の端子部を前記両側の基板の被接続端子に弾性接続することを特徴とする請求項1記載の基板接続用コネクタ。
【請求項3】
基板の片面に複数の被接続端子を固定してあり、
前記複数のコネクタ部にそれぞれ設けた1つの接続端子は一端部をケーブル線に接続してあり、他端部を前記基板に固定した被接続端子に弾性接続することを特徴とする請求項1記載の基板接続用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−221725(P2012−221725A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86081(P2011−86081)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】