説明

基板識別コード発行処理方法および基板識別コード発行処理システム

【課題】基板識別コードを発行する際に、以前に発行した基板識別コードとの重複を防止する基板識別コードの発行処理方法およびシステムを提案すること。
【解決手段】ガラス基板1へ固有の基板識別コードを印字装置2で印字するにあたり、基板識別コード発行装置4により作成された発行予定の基板識別コードと、情報記憶媒体3に登録されている発行済みの基板識別コードが重複していないか判別することで、前記発行済みの基板識別コードと前期発行予定の基板識別コードの重複を確実に防止する。重複していないと判断された場合に、前記発行予定の基板識別コードが印字装置2によりガラス基板1に印字され、印字された基板識別コード6は前記の情報記憶媒体3に登録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ製造においてガラス基板ごとに発行される基板識別コードを、重複することなく正確に発行するための、基板識別コード発行処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタ製造工程では品質管理を行うため、製造履歴の追跡を行うことが必要であり、ガラス基板一枚ごとの管理が必須となっている。そのため、ガラス基板一枚ごとに製造履歴を管理するために、ガラス基板ごとにユニークな基板識別コードを発行する必要がある。
【0003】
従来、ガラス基板一枚ごとにユニークな基板識別コードを発行するにあたり、基板識別コード発行装置により発行対象の基板識別コードが登録されたマスター情報から、発行する基板識別コードを選択し印字装置によってガラス基板に印字することが行われている。
【0004】
しかしながら前記発行方法では、装置トラブルの発生などのために作業者が手動で基板識別コードを入力しなければならない場合、重複した基板識別コードが発行されてしまう可能性があるという問題点があった。
【0005】
基板識別コードはそのカラーフィルタの製造履歴を追跡するための識別コードとして利用されている。そのため基板識別コードの重複が発生するとそれ以降の製造工程では、正常な製造履歴の追跡が不可となり、不良品となってしまう事で損害が生じてしまう。そのため基板識別コードを発行する際に、重複を確実に防止する発行処理方法が必要とされる。
【0006】
識別番号の重複発行を防止するための従来技術としては、特許文献1に公開されているような方法がある。この重複防止処理方法は、決められた範囲内の番号から重複しないものを発行するという方法であり、作業者が手動操作で番号を発行した場合などに発行した番号が重複していないか判断する処理については示されていない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−24745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、基板識別コードを発行する際に、重複を確実に防止できる発行処理方法およびシステムを提供することを目的とする。
【0009】
また、作業者が手動で基板識別コードを入力する場合にも、重複を確実に防止できる発行処理方法およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、カラーフィルタ製造工程で、各ガラス基板へ固有の基板識別コードを印字する印字工程において、印字予定の基板識別コードを発行する基板識別コード発行段階と、前記基板識別コード発行段階で発行された基板識別コードと、発行済みの基板識別コードを記憶している情報記憶手段に登録されている基板識別コードが、重複していないかを判別する基板識別コード判別段階と、前記基板識別コード判別段階にて重複なしと判断された基板識別コードを、前記印字装置に送信する基板識別コード送信段階と、前記基板識別コード判別段階にて重複なしと判断された基板識別コードを、発行済みの基板識別コードとして前記情報記憶手段に登録する、基板識別コード登録段階とを備えることを特徴とする基板識別コード発行処理方法としたものである。
【0011】
請求項2の発明では、前記基板識別コード判別段階にて重複ありと判断された場合には、発行異常を通知する異常通知段階を備えることを特徴とする、請求項1に記載の基板識別コード発行処理方法としたものである。
【0012】
請求項3の発明では、カラーフィルタ製造工程で、各ガラス基板へ固有の基板識別コードを印字する印字装置において、印字予定の基板識別コードを発行する基板識別コード発行手段と、発行済みの基板識別コードが登録されている情報記憶手段と、前記基板識別コード発行手段により発行された基板識別コードと、前記情報記憶手段に登録されている発行済みの基板識別コードが、重複していないかを判別する基板識別コード判別手段と、前記基板識別コード判別手段にて重複なしと判断された基板識別コードを、前記印字装置に送信する基板識別コード送信手段と、前記基板識別コード判別手段にて重複なしと判断された基板識別コードを、発行済みの基板識別コードとして前記情報記憶手段に登録する、基板識別コード登録手段とを備えることを特徴とする基板識別コード発行処理システムとしたものである。
【0013】
請求項4の発明では、前記基板識別コード判別手段にて重複ありと判断された場合には、発行異常を通知する異常通知手段を備えることを特徴とする、請求項3に記載の基板識別コード発行処理システムとしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の基板識別コード発行処理方法およびシステムによれば、発行予定の基板識別コードの情報と発行済みの基板識別コード情報とを比較することにより、重複がおきているかいないかを簡単に確認できる。
【0015】
一方、発行予定の基板識別コードで重複が発生している場合、作業者は異常の通知を受け取ることができる。これによって、重複した基板識別コードが発行されるのを未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に、本発明の実施形態である、カラーフィルタ製造工程で用いられる基板識別コードの発行処理システムの概略を示す。
【0017】
本実施形態の基板識別コード発行処理システムでは、ガラス基板1は図示せぬ搬送手段によって印字装置2内に搬送され、所定の基板識別コードを表す識別パターンが印字された後、印字装置2から搬出される。
【0018】
なお、前記の識別パターンとしては、英数字、一次元のバーコード、二次元コードといった多くの方式が公知であるが、製造者により適宜選択できるものとし、本発明では特にそれを限定しない。
【0019】
印字装置2には基板識別コード発行装置4が備えられている。基板識別コード発行装置4は、発行対象の複数の基板識別コードが登録されたマスター情報を備えており、前記マスター情報のなかの基板識別コードを1つ選択する。
【0020】
本実施形態では上記のように、発行対象の複数の基板識別コードが登録されたマスター情報から、基板識別コードを1つ選択するものとしている。しかし基板識別コードの形式がごく簡単なものである場合(例えば文字数固定の文字列のあとに桁数固定の連続番号が付いているだけのようなもの)には、基板識別コード発行装置4が基板識別コードを自動生成するようにしておいてもよい。
【0021】
基板識別コード発行装置4は、選択した基板識別コードが、通信ネットワーク5を介して接続している記憶媒体3に既に登録されているかどうかを問い合わせる。
【0022】
登録されていなかった場合、基板識別コード発行装置4はその基板識別コード6の発行処理を行い、印字装置2に送信する。印字装置2はその基板識別コード6を受け取り、それを所定の識別パターンに変換して、印字ヘッド7によりガラス基板1に印字する。
【0023】
更に基板識別コード発行装置4は、発行処理を行った基板識別コードを、通信ネットワーク5を介して情報記憶媒体3へと出力する。情報記憶媒体3は、その基板識別コードを発行済みの基板識別コードとして登録する。
【0024】
次に、図2のフローチャートを使って基板識別コードの重複照合方法の動作を説明する。
【0025】
ガラス基板1が搬送されてきて印字装置2にセットされた際に、基板識別コード発行装置4は、発行対象の複数の基板識別コードが登録されたマスター情報から、基板識別コードを1つ選択し、発行予定の基板識別コードとする(S1)。
【0026】
基板識別コード発行装置4は、発行予定の基板識別コードの情報を、情報記憶媒体3に通信ネットワーク5を介して通信する(S2)。
【0027】
情報記憶媒体3に登録されている発行済みの基板識別コードと、発行予定の基板識別コードが、重複しないか判別を行う(S3)。
【0028】
情報記憶媒体3に登録されている発行済みの基板識別コードと、発行予定の基板識別コードが重複してないか判別して、重複していなければ(S3:YES)、その基板識別コードの情報を通信ネットワーク5および基板識別コード発行装置4を介して印字装置2に送信し、印字装置2はガラス基板1に基板識別コードを印字する(S4)。
【0029】
印字装置2によって印字された基板識別コード6は、情報記憶媒体3に発行済みの基板識別コードとして登録される(S5)。
【0030】
もし発行予定の基板識別コードが、発行済みの基板識別コードと重複していた場合は(S3:NO)、発行予定の基板識別コードの発行を中止し、作業者に対して異常報告がなされる(S6)。
【0031】
印字装置2による基板識別コードの印字が、自動モードで行われていた場合は、基板識別コード発行装置4が、発行予定の基板識別コードとして別の基板識別コードを選択し、ステップS1に戻る。
【0032】
作業者が手動で、ステップS1の発行予定の基板識別コードの作成を行っていた場合には、基板識別コードを変更することを促す。
【0033】
以上では、1組の印字装置2と基板識別コード発行装置4の場合について説明した。更に、複数組の印字装置2と基板識別コード発行装置4がある場合にも、各基板識別コード発行装置4が、1台の情報記憶媒体3に対して発行予定の基板識別コードの重複チェックと、発行済み基板識別コードの登録を行うことにより、重複を確実に防止しつつ基板識別コードの発行処理を行うことができる。

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態における基板識別コード発行処理方法の説明図。
【図2】基板識別コードの発行から情報記憶媒体への登録までの一連の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0035】
1…ガラス基板
2…印字装置
3…情報記憶媒体
4…基板識別コード発行装置
5…通信ネットワーク
6…印字された基板識別コード
7…印字ヘッド(基板識別コードをガラス基板に印字するための装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ製造工程で、各ガラス基板へ固有の基板識別コードを印字する印字工程において、
印字予定の基板識別コードを発行する基板識別コード発行段階と、
前記基板識別コード発行段階で発行された基板識別コードと、発行済みの基板識別コードを記憶している情報記憶手段に登録されている基板識別コードが、重複していないかを判別する基板識別コード判別段階と、
前記基板識別コード判別段階にて重複なしと判断された基板識別コードを、前記印字装置に送信する基板識別コード送信段階と、
前記基板識別コード判別段階にて重複なしと判断された基板識別コードを、発行済みの基板識別コードとして前記情報記憶手段に登録する、基板識別コード登録段階と、
を備えることを特徴とする基板識別コード発行処理方法。
【請求項2】
前記基板識別コード判別段階にて重複ありと判断された場合には、発行異常を通知する異常通知段階を備えることを特徴とする、請求項1に記載の基板識別コード発行処理方法。
【請求項3】
カラーフィルタ製造工程で、各ガラス基板へ固有の基板識別コードを印字する印字装置において、
印字予定の基板識別コードを発行する基板識別コード発行手段と、
発行済みの基板識別コードが登録されている情報記憶手段と、
前記基板識別コード発行手段により発行された基板識別コードと、前記情報記憶手段に登録されている発行済みの基板識別コードが、重複していないかを判別する基板識別コード判別手段と、
前記基板識別コード判別手段にて重複なしと判断された基板識別コードを、前記印字装置に送信する基板識別コード送信手段と、
前記基板識別コード判別手段にて重複なしと判断された基板識別コードを、発行済みの基板識別コードとして前記情報記憶手段に登録する、基板識別コード登録手段と、
を備えることを特徴とする基板識別コード発行処理システム。
【請求項4】
前記基板識別コード判別手段にて重複ありと判断された場合には、発行異常を通知する異常通知手段を備えることを特徴とする、請求項3に記載の基板識別コード発行処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−197970(P2008−197970A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33374(P2007−33374)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】