説明

基礎構造体

【課題】構築が容易であり、かつ汎用性に優れた基礎構造体を提供する。
【解決手段】設置物2を支持する支持部5を有する基礎本体6に重量材7が一体化されている。重量材7は、コンクリートから成り、硬化するときに基礎本体6に固着して一体化されており、ボルトなど、一体化の手段を別途に設ける必要がない。したがって基礎構造体1を容易に構築することができる。また重量材7は、基礎構造体1の構築時には、基礎本体6に倣って変形可能であり、重量材7は、設置物2の種類に関わらず、共通に用いることができ、汎用性に優れている。さらに基礎本体6は、重量材7の有無に関わらず設置物2を支持可能であり、重量材7の硬化を待たずに設置物2を設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置物を設置するための基礎構造体に関する。
本発明において、「一体化」は、互いに固着されて一体物を形成する真の一体化、および真の一体化ではないが、互いに協働して一体となって設置物を支持するような擬似的な一体化を含む。
【背景技術】
【0002】
ガス温水器や自動販売機などの設置物を、地表面部にそのまま設置すると、前記設置物に働く重力で、設置物が沈下する可能性がある。このような沈下を防ぎ、設置部を安定して設置することができるようにするために、設置物を設置するための基礎構造体が形成される。基礎構造体は、たとえば現場にコンクリートを打設することによって形成されている。
【0003】
また他の従来の基礎構造体は、基礎ブロックを用いて構成されている。基礎ブロックは、下層部と上層部とが積層されて構成され、下層部および上層部は、ともに複数のプレハブブロックを突合せて並べられている。このように基礎ブロックは、複数のプレハブブロックが並べられ、組立られて構成される2層構造の基台である(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第3079422号明細書(第1図、第2〜3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現場にコンクリートを打設する構成は、設置物の形状、寸法などに合わせて形成することができるが、打設したコンクリートが化学結合によって硬化するまで設置物を設置することができない。しかも硬化するまでに長時間を要する。設置物を設置できる程度に硬化するためには、たとえば常温において少なくとも5日程度以上を要する。このように施工に手間を要してしまう。
【0006】
基礎ブロックを用いる構成では、成形されたプレハブブロックを搬入して並べるので、現場でコンクリートを打設する構成のように硬化するのを待機する必要はないが、各プレハブブロックを単に並べて置いただけでは、一部のプレハブブロックだけが沈下する不等沈下を生じるおそれがあるので、各プレハブブロックをボルトなどで互いに締結し、固定しなければならない。したがって現場でコンクリートを打設する場合と原因は異なるが、施工に余計な手間を要する。また基礎ブロックは、形状、寸法などの異なる複数種の設置物に対して共通に用いることが難しく、汎用性が乏しいという欠点を有する。
【0007】
本発明の目的は、構築が容易であり、かつ汎用性に優れた基礎構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、設置物が設置される基礎構造体であって、
設置物の脚部を支持する支持部を有する基礎本体と、
少なくとも基礎構造体の構築時には、基礎本体に倣って変形する材料から成り、基礎本体に対して、性状を利用して一体化される重量材とを含むことを特徴とする基礎構造物である。
【0009】
本発明に従えば、基礎本体の支持部によって設置物の脚部を支持することができる。この基礎本体には、重量材が一体化されている。このように基礎本体に重量材が一体化されているので、設置物から基礎構造体に働く力を、基礎本体だけでなく、重量材を合わせた全体で、効率良く分担し、支持することができる。基礎本体だけが不等に沈下するなどの不具合の発生がなく、設置物を転倒させようとするようなモーメントに対して好適に抗することができる。したがって設置物を安定して設置することができる。重量材は、その性状を利用して基礎本体に一体化されており、ボルトなど、一体化の手段を別途に設ける必要がない。したがって基礎構造体を容易に構築することができる。また重量材は、基礎構造体の構築時には、基礎本体に倣って変形可能な材料から成っている。したがって少なくとも重量材は、設置物の種類に関わらず、共通に用いることができ、汎用性に優れている。
【0010】
また本発明は、重量材は、現地盤に対して一体化されることを特徴とする基礎構造物である。
【0011】
本発明に従えば、重量材が現地盤に対して一体化されるので、基礎構造体を現地盤安定して構築することができる。したがって設置物の支持安定性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、重量材は、その性状を利用して基礎本体に一体化されており、ボルトなど、一体化の手段を別途に設ける必要がない。したがって基礎構造体を容易に施工、構築することができる。また重量材は、基礎構造体の構築時には、基礎本体に倣って変形可能な材料から成っている。したがって少なくとも重量材は、設置物の種類に関わらず、共通に用いることができ、汎用性に優れている。このように構築が容易であり、かつ汎用性に優れた基礎構造体を実現することができる。
【0013】
また本発明によれば、基礎構造体を現地盤安定して構築することができる。したがって設置物の支持安定性を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の一形態の基礎構造体1を示す断面図である。基礎構造体1は、たとえば、ガスなどを利用して温水を供給するための温水器および給湯器などの設置物2を、地表面部3に設置するときに、長期間にわたって設置物2を安定して設置するために、地表面部3に設けられる。基礎構造体1は、地表面部3に形成される設置凹所部3aに部分的に嵌まり込んだ状態で、かつ地表面部3から上方へ、予め定める規定量Hだけ、たとえば10cm程度突出するように設けられる。この基礎構造体1上に設置物2が設置される。基礎構造体1は、設置物2の脚部4を支持する支持部5を有する基礎本体6と、少なくとも基礎構造体1の構築時には、基礎本体6に倣って変形する材料から成り、基礎本体6に対して、性状を利用して一体化される重量材7とを含む。
【0015】
図2は、外枠部10を示す斜視図である。図3は、底部11を示す斜視図である。図4は、支持部5を示す斜視図である。基礎本体6は、外枠部10と、底部11と、支持部5とを有する。外枠部10は、長方形状に全周にわたって連なる壁状に形成される。この外枠部10は、長方形枠状に一体成形されている。底部11は、長方形状の格子状であり、厚み方向に挿通する複数の透孔30が形成されている。底部11は、格子状に一体成形される構成であってもよいし、複数の構造部材を現場で連結して格子状に組み立てられる構成であってもよい。外枠部10は、軸線が鉛直になるように設けられ、底部11は、外枠部10を下方から塞ぐように設けられる。支持部5は、設置物2の脚部4にそれぞれ個別に対応する4つの支持部分12を有する。各支持部分12は、直方体形状に形成され、設置物2が連結されるねじ部材などを設けるための孔部31が形成されている。各支持部分12は、外枠部10の内方側に設けられる。このように外枠部10、底部11および支持部5が組み立てられて基礎本体6が構成される。外枠部10、底部11および各支持部分12は、たとえば、コンクリート、レジンコンクリート、金属材料、合成樹脂材料、木材、およびこれらを複合した材料などから成る成形品である。本実施の形態では、外枠部10および底部11は、合成樹脂材料から成り、各支持部分12は、工場で成形されて現場に搬入されるコンクリートブロックから成る。
【0016】
重量材7は、現場打ちされるコンクリートから成る。この重量材7は、硬化前の流動性を有する状態で、前述のように組立てられた基礎本体6の外枠部10の内方側に、その内方側の空間に充填するように設けられる。この重量材7は、硬化することによって、基礎本体6の外枠部10、底部11および支持部5に固着する。このようにして重量材7は、基礎本体6と一体化している。また重量材7は、底部11の格子間を介して現地盤、つまり地表面部3とも一体化している。このようにして重量材7によって全体が一体であり、地表面部3と一体化される基礎構造体1が実現される。
【0017】
このような基礎構造体1は、基礎本体6の支持部5によって設置物2の脚部4を支持することができる。この基礎本体6には、重量材7が一体化されている。このように基礎本体6に重量材7が一体化されているので、設置物2から基礎構造体1に働く力を、基礎本体6だけでなく、重量材7を合わせた全体で、効率良く分担し、支持することができる。基礎本体6だけが不等に沈下するなどの不具合の発生がなく、設置物2を転倒させようとするようなモーメントに対して好適に抗することができる。したがって設置物2を安定して設置することができる。重量材7は、その性状を利用して、具体的には硬化するときに基礎本体6に固着する性質を利用して、基礎本体6に一体化されており、ボルトなど、一体化の手段を別途に設ける必要がない。したがって基礎構造体1を容易に構築することができる。また重量材7は、基礎構造体1の構築時には、基礎本体6に倣って変形可能な材料から成っている。したがって少なくとも重量材7は、設置物の種類に関わらず、共通に用いることができ、汎用性に優れている。たとえば外枠部10および底部11を交換するだけで、他の種類の設置物2を設置可能な基礎構造体1を実現することが可能である。
【0018】
また基礎構造体1では、底部11が格子状に形成されており、透孔30にはまり込んで硬化した重量材7と底部11とを互いに係合させて、互いに強固に一体化することができる。外枠部10の内方側に設けた重量材7は、底部11の各透孔30を透過し、地表面部3に固着されている。これによって基礎構造体1は、地表面部3に固定されることになり、基礎構造体1の安定性を高くすることができる。これによって設置物2の支持安定性を高くすることができる。
【0019】
図5は、基礎構造体1を構築する施工方法を示すフローチャートである。図6は、基礎構造体1を構築する過程を示す断面図である。基礎構造体1の施工は、設置物2の設置要求が発生した時点で開始される。まずステップs1の本体敷設工程で、設置物2を設置すべき場所に、設置物2の脚部4を支持する支持部5を有する基礎本体6を、この基礎本体6だけで設置物2を支持可能な状態で敷設する。具体的には、まず図6(1)に示すように、設置物2を設置すべき場所の地表面部3に、設置凹所部3aを形成する。この設置凹所部3aは、単に掘削しただけの構成であってもよいし、栗石などを敷き詰めた構成あってもよい。
【0020】
次に図6(2)に示すように、設置凹所部3aの底面部に、底部11を敷き、設置凹所部3aの内壁部に沿って外枠部10を設けられる。底部11は、水平になるように設けられ、外枠部10は、軸線が鉛直となり、周囲の壁が鉛直に配置されるように設けられる。そして図6(3)に示すように、支持部5を構成する各支持部分12が、外枠部10の内方側に設けられ、底部11上に載置される。各支持部分12は、たとえば外枠部10の各隅部に設けられる。各支持部分12は、外枠部10と同程度以上の高さを有している。このようにして基礎本体6が設けられ、この状態で基礎本体6は、設置物2を設置して支持することが可能な状態である。つまり基礎本体6は、強度的には、重量材7が無くても、設置物2を支持することができる。
【0021】
このように基礎本体6を敷設した後、ステップs2の重量材敷設工程で、少なくとも基礎構造体1の構築時には、基礎本体6に倣って変形する材料から成り、基礎本体6に対して、性状を利用して一体化する重量材7を敷設する。重量材7は、コンクリートから成り、
基礎構造体1の構築時である重量材敷設工程の実行時には、硬化前の流動性を有する状態にあり、敷設後に、セメントと水との化学結合、つまりセメントの水和によって硬化する。このように流動性を有している状態で、図6(4)に示すように、重量材7は、基礎本体6の外枠部10の内方側の空間に充填するように設けられる。重量材7は流動性を有しており、基礎本体6の形状に倣うように変形して、外枠部10の内方側の空間全体に隙間なく行き渡る状態で、その空間を完全に満たすように設けられる。このようにして重量材7を敷設して、ステップs3で基礎構造体1の施工を終了する。
【0022】
重量材7は、基礎構造体1の施工終了直後は、未だ硬化する前の状態ではあるが、たとえば5〜7日程度で硬化する。重量材7の硬化に要する期間は、温度などの条件によって変化し、前記日数は、本発明の理解を容易にするための一例である。このとき重量材7は、硬化に伴って、基礎本体6に固着する。このように重量材7は、基礎本体6に固着し、基礎本体6と一体化する。
【0023】
このような施工方法によれば、設置物2を設置する基礎構造体1を構築するにあたって、基礎本体6を敷設し、その基礎本体6に一体化するように重量材7を敷設する。基礎本体6は、この基礎本体6だけで、短期間であれば設置物2を支持可能な状態に敷設するので、重量材7の基礎本体6に対する一体化に関わらず、設置物2を設置することが可能であり、仮に一体化に時間を要する場合、つまり重量材7の硬化に5〜7日程度必要であっても、その一体化を待機することなく設置物2を設置することができ、手間を少なくすることができる。つまり重量材7の化学結合による硬化を待たなくても、設置物2を設置することができる。また重量材7は、その性状を利用して基礎本体6に一体化されており、ボルトで締結するなど、作業者による現場での一体化のための作業が不要であり、余計な手間が不要である。このように基礎構造体1を容易に施工、構築することができる。また重量材7は、基礎構造体1の構築時には、基礎本体に倣って変形可能な材料から成っている。このように手間を要することなく、容易に、設置物を安定して設置することができる基礎構造体1を構築することができる。また少なくとも重量材7は、設置物2の種類に関わらず、共通に用いることができ、汎用性に優れた基礎構造体1を構築することができる。
【0024】
また重量材敷設工程では、敷設後に化学結合によって硬化する流動性を有する重量材7を、基礎本体6に接触させて敷設する。これによって基礎本体6に倣う形状に変化させて重量材7を敷設し、敷設後に硬化することによって基礎本体6に一体化する。このようにして汎用性に優れた基礎構造体を容易に構築することができる。
【0025】
図7は、本発明の実施の他の形態の基礎構造体1に用いられる外枠部10Aを示す斜視図である。図1〜6の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。図1〜図6の実施の形態では、外枠部10として、長方形枠状に一体成形されたけれども、図7の外枠部10Aは、4枚の板状枠片13を、長方形枠状に並べて構成される。また施工方法では、一体の外枠部10を設ける作業に代えて、各板状枠片13を枠状に並べて設ける作業を実行するだけである。このような構成および施工方法であっても、前述と同様の効果を達成する基礎構造体1を実現することができる。
【0026】
またこのよな外枠部10Aは、重量材7の硬化後、除去することも可能である。この場合、基礎構造体1は、完成状態では、外枠部を有していない構成である。このような構成としてもよい。
【0027】
図8は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Bを示す斜視図である。図1〜6の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。図1〜図6の実施の形態では、格子状の底部11が用いられたけれども、図8に示すような平板状の底部11Bを用いていもよい。施工方法では、格子状の底部11を設ける作業に代えて、平板状の底部11Bを設ける作業を実行するだけである。このような平板状の底部11Bを用いる場合、格子状の底部11のように重量材7の現地盤に対する一体化は望めないが、その他の効果は同様に達成することができる。
【0028】
図9は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Cを示す斜視図である。図1〜6の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。図1〜図6の実施の形態では、格子状の底部11が用いられたけれども、図9に示すような網材を用いて構成される底部11Cを用いてもよい。この底部11Cは、周縁部に枠を有する構造であってもよい。施工方法では、格子状の底部11を設ける作業に代えて、図9に示す底部11Cを設ける作業を実行するだけである。このような網目状の底部11Cを用いる構成であっても、格子状の底部11を用いる構成と同様の効果を達成することができる。
【0029】
図10は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Caを示す斜視図である。図1〜6の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。図1〜図6の実施の形態では、格子状の底部11が用いられたけれども、図10に示すような中央部に1つだけ透孔30が形成される板状の底部11Caを用いてもよい。施工方法では、格子状の底部11を設ける作業に代えて、図10に示す底部11Caを設ける作業を実行するだけである。このような中央部に1つだけ透孔30を有する底部11Caを用いる構成であっても、格子状の底部11を用いる構成と同様の効果を達成することができる。
【0030】
図11は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる支持部5Dを示す斜視図である。図1〜6の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。図1〜図6の実施の形態では、設置物2の各脚部4毎に対応して独立した支持部分12を有する支持部5が用いられたけれども、図10に示すような2つの脚部4を支持する部分が一体に形成される複合型の支持部分12Dを用いてもよい。この底部11Cは、周縁部に枠を有する構造であってもよい。施工方法では、各脚部4毎に独立した支持部分12を設ける作業に代えて、複合型の支持部分12Dを設ける作業を実行するだけである。このような複合型の構成であっても、独立した構成と同様の効果を達成することができる。
【0031】
図12は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6Eを示す斜視図である。図1〜10の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。図11に示す基礎本体6Eは、直方体形状の筐体状の本体である。具体的には、図1〜図6に示すものと同様の外枠部10の下端部が、図8に示すものと同様の底部11Bで塞がれ、外枠部10の上端部が長方形板状の天板となる支持部5Eによって塞がれて、中空筐体が形成されている。この基礎本体6Eでは、外枠部10と底部11Bと支持部5Eとは、一体に形成されている。支持部5Eには孔部20が形成されており、この孔部20を介して重量材7を注入することができる。
【0032】
この基礎本体6Eは、孔部20から重量材7が注入されることによって重量材7を収容する状態で、その重量材7が基礎本体6Eに一体化される。このような基礎本体6Eを用いて構成される基礎構造体1は、地表面部3に対する一体化の効果を除いて同様の効果を達成することができる。
【0033】
また基礎本体6Eを用いる基礎構造体1の構築にあたっては、前述のような基礎本体6の敷設作業に代えて、基礎本体6Eを敷設する敷設作業を実行する。これによって同様に好適な基礎構造体1を構築することができる。
図13は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Fを簡略化して示す斜視図である。図14は、図13に示す底部11Fと組合わせて用いられる支持部5Fを構成する支持部分12Fを示す正面図である。図1〜12の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は、説明を省略する。
【0034】
図13に示す底部11Fは、図3に示す底部11と類似しており、四隅部を除く残余の部分が格子状に形成されて、複数の透孔30を有する構成である。底部11Fの四隅部には、設置状態で上方となる厚み方向一方側に突出する多面体形状の突起片35が形成されている。各突起片35は、支持部分12Fを位置決めするための位置決め手段39を構成する突起片35であり、少なくとも先端側の部分が先細状に形成されている。本実施の形態では、軸直角断面の形状が2つの平行な辺を有する台形状の角柱状であり、前記台形の平行な2つの辺のうち、長い方の辺に相当する部分で底部11Fの本体に連なるように設けられている。図13には、一隅部の突起片35およびその付近の透孔30だけを示し、残余の隅部の突起片35およびその付近の透孔30は省略して示す。
【0035】
図14に示す支持部分12Fは、図4に示す支持部分12と類似しており、設置物2の各脚部4を1つずつそれぞれ支持する構成である。図14に示す支持部分12Fは、設置状態で、基礎本体6の内方側に配置される側部が、上部より下部を内方に突出させるように、テーパ状に形成される。具体的には、たとえば四角錐台状に形成され、大きい底面が下方側に配置され、小さい底面が上方側に配置されるように設けられる。大きい底面に相当する部分(設置状態で下側の部分)には、底部12Fの突起片35と協働して支持部分12Fを位置決めするための位置決め手段39を構成する位置決め凹所40が形成されている。
【0036】
この位置決め凹所40は、突起片35に対応する形状であって、突起片35よりわずかに大きい寸法の略相似形に形成されており、位置決め凹所40に突起片35が嵌合するように、支持部分12Fを底部11F上に設けることによって、底部11F対する底部11Fに沿う方向、したがって設置状態で水平方向の変位を阻止して支持部分12Fを設けることができる。このように位置決め手段39を設けることによって支持部分12Fを底部11Fに対して、容易にかつ正確な位置に配置することができ、作業性を高くすることができる。また突起片35が先細状に形成されており、突起片35が位置決め凹所40に嵌まり込むように支持部分12Fを設ける作業が容易である。また突起片35および位置決め凹所40を角柱状とし、設置状態において水平な平面で切断した断面の形状が非円形となる形状に形成されるので、支持部分12Fの底部12Fに対する底部12Fに垂直な軸線、したがって設置状態での鉛直軸線まわりの角変位を防ぐことができる。このように位置決めされた状態で、4つの支持部分12Fが底部11Fの四隅部に1つずつそれぞれ設けられる。
【0037】
また支持部分12Fの小さい底面に相当する部分(設置状態で上側の部分)には、設置物2の脚部4を締結し、固定するための部材、たとえばアンカーボルトのボルトなどのねじ部材41を部分的に突出させる状態で埋め込み固定するための孔部31が形成されている。この孔部31に設けられるねじ部材41を用いて、支持部分12Fに、設置物2の脚部4が締結され、固定される。
【0038】
さらに支持部分12Fの側部(2つの底面を除く部分)には、凹凸状の係止部が形成される。この係止部は、突条または凹溝を形成することによって実現されてもよく、本実施の形態では、周方向(設置状態で鉛直軸線まわりとなる水平な方向)に延びる係止凹溝44を形成することによって実現され、この係止凹溝44は、周方向全周にわたって形成されている。また支持部分12Fの側部には、設置状態で略水平となる方向に延びる連結孔45が形成されている。この連結孔45に、たとえば金属製棒状の係止部材46を部分的に挿入して連結することができる。
【0039】
このように支持部分12Fは、側部に係止部、具体的に係止凹溝44を形成され、係止部材46を設けられるので、支持部分12Fが充填材7に係止され、支持部分12Fと充填材7とをより強固に一体化することができる。したがってたとえば支持部分12Fに設置物2の脚部4が締結され、固定される場合に、設置物2に転倒させるような外力が働いて、支持部分12Fを上方へ引抜こうとしても、充填材7によって係止され、支持部分12Fが引抜かれてしまうことを防ぐことができる。また支持部分12Fが角錐台形状に形成されており、これによっても、前述のような引抜き抜こうとする外力に効して、引抜かれてしまうことを防止することができる。したがって重量材7を含めた起訴構造体1全体の重量を利用して、設置物2の転倒を防止することが可能であり、設置物2を安定して設けることができる。
【0040】
このように、図13および図14に示す実施の形態の基礎構造体1は、図1〜図12に示す実施の形態と同様の構成によって同様の効果を達成したうえで、さらなる特有の優れた効果を達成することができる。また支持台12Fの引抜き防止のための構成、したがって係止部を形成する構成、係止部材46を設ける構成および錐台状に形成する構成は、このうち少なくともいずれか1つを設ける構成であれば、引抜き防止効果を達成することができる。また引抜き防止のための構成と位置決め手段とのうち、いずれか一方だけを設ける構成であってもよい。
【0041】
図15は、図13に示す突起片35に代えて突起片35aが形成される底部11Fを示す断面図である。この突起片35aは、図13の突起片35に代えて用いることができる突起片であり、略直方体状であり、先端部が先細の錐台状に形成されている。この突起片35aを用いる場合には、図14に示す位置決め凹所40は、図15に示す突起片35aよりもわずかに大きい寸法の略相似形に形成される。このような構成であっても、図13および図14に示す突起片35および位置決め凹所40を用いる場合と同様の効果を達成することができる。
【0042】
図16は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Gを簡略化して示す斜視図である。図16に示す底部11Gは、図13に示す底部11Fと類似しており、対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は説明を省略する。図13に示す底部11Fでは、四隅部に突起片35が形成されたけれども、図16に示す底部12Gは、四隅部に突起片35に代えて位置決め凹所44が形成される。図16には、一隅部の位置決め凹所44およびその付近の透孔30だけを示し、残余の隅部の位置決め凹所44およびその付近の透孔30は省略して示す。
【0043】
このように位置決め凹所44が形成される底部11Gを用いる場合には、組合わせて用いられる支持部分12Fには、位置決め凹所40に代えて、突起片形成される。支持部分12に形成される突起片の形状は、図13に示す突起片35と同様の形状であってもよいし、図15に示す突起片35aと同様の形状であってもよい。底部11Gの位置決め凹所44は、この支持部分12Fに形成される突起片45よりもわずかに大きい寸法の相似形状に形成される。このように支持部分12Fに突起片が形成され、底部11Gに位置決め凹所44が形成される構成の位置決め手段39であっても、底部11Fに突起片35,35aが形成され、支持部分12Fに位置決め凹所40が形成される構成の位置決め手段39と同様の効果を達成することができる。
【0044】
また位置決め手段39は、図13〜図16に示す構成に限定されるものではなく、円柱状の突起片および位置決め凹所を用いる構成であってもよい。また1つの支持部分に関して複数の突起片および位置決め凹所を設ける構成であってもよく、この構成では、突起片および位置決め凹所の形状に関わらず、鉛直軸線まわりの位置決めも可能である。図13〜図16に示す実施の形態の底部11F〜11Hおよび支持部分12Fを用いる場合、これに組合わせて用いられる外枠部は、図2に示す外枠部10および図7に示す外枠部10Aのいずれであってもよい。
【0045】
図17は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる外枠部10Hおよび底部11Hを簡略化して示す斜視図である。図17に示す実施の形態では、外枠部10Hと底部11Hとが一体に成形され、箱状に形成されている。外枠部10Hは、図2に示す外枠部10と同様の構成であり、底部11Hは、図13に示す底部11Fと同様の構成である。したがって本実施の形態では、図14に示す支持部分12Fが組合わせて用いられる。このように外枠部11Hが底部11Hと一体の構成であっても、図13および図14を参照して説明した効果を同様に達成することができる。またこのような箱状とすることによって、重量材7が外枠部11Hの外方へ漏出ることがなく、美観の優れた仕上がりを実現することができる。図17には、一隅部の突起片35およびその付近の透孔30だけを示し、残余の隅部の突起片35およびその付近の透孔30は省略して示す。
【0046】
図18は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6の一部を示す斜視図である。図19は、図18に示す基礎本体6の一部を示す断面図である。図1〜図17の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は説明を省略する。図18および図19に示す基礎本体6は、周縁部に全周にわたって延びる支持溝部50が形成される底部11Jが用いられ、図7に示す外枠部10Aの各板状枠片13を支持溝部50に嵌合させて、底部11Jによって支持するように構成されている。支持溝部50は、底部11Jの本体55から設置状態で上方となる厚み方向一方側へ突出し、周方向全周に延びる2つの突条51,52を、内外方向に各板状枠片13の厚みよりもわずかに大きい間隔をあけて設けることによって形成される。これによって外枠部10Aと底部11Jとを容易に位置決めして、組立てることができ、現場での作業を容易にすることができる。また外枠部10Aを支持溝部50に嵌合させる構成によって、外枠部10Aと底部11Jとを別体とする構成であっても、重量材7が、外枠部10Aと底部11Jとの間から外方へ漏出ることが防がれ、美観の優れた仕上がりを実現することができる。
【0047】
このような図18および図19に示す底部11Jの本体55は、図3、図8〜図10、図13、図15および図16に示す底部11,11B,11C,11Ca,11F,11Gのいずれかと同様の構成である。図13,図15および図16に示す底部11F,11Gと同様の構成とする場合には、その底部11F,11Gに合わせた支持部分12Fが組合わせて用いられる。
【0048】
図20は、図18および図19に示す底部11Jを用いる場合に板状枠片13に代えて用いることができる板状枠片13Kの一部を示す平面図である。図20に示す板状枠片13Kは、複数の板状部材60を長手方向に突合せて並べて図7に示す板状枠片13と同様の形状にする構成である。1つの板状枠片13Kを構成する板状部材60の枚数は、2枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。各板状部材60の互いに突きあわされる端部61は、互いに嵌合し合うように形成されている。具体的には、一方の板状部材60には、厚み方向一方側の部分が切欠かれて厚み方向他方側に凸部62が形成され、他方の板状部材60には、厚み方向他方側の部分が切欠かれて厚み方向一方側に凸部62が形成されている。これによって各凸部62が相手方の切欠きに嵌まり込むようにして突合わされる。このようなに板状枠片13Kを分割構造とすることによって、外枠部を構成する部材を小さくし、取扱を容易にして作業を容易にすることができる。しかも突合せる端部61を互いに嵌合し合う構成とすることによって、分割構造としても、その突合せ部から重量材7が、外枠部10Aの外方へ漏出ることが防がれ、美観の優れた仕上がりを実現することができる。
【0049】
図21は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6の一部を示す斜視図である。図1〜図20の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は説明を省略する。図21に示す基礎本体6は、係合溝部65が形成される支持部分12Lが設けられる。各支持部分12Lは、設置物2の脚部4を1つずつ個別に支持する構成であり、底部11Lの四隅部に設けられる。底部11Lは、図3に示すような格子状の構成であってもよいし、図8に示す板状の構成であってもよいし、図9に示す網状の構成であってもよいし、図10に示す1つだけ透孔が形成される構成あってもよい。底部11Lと支持部分12Lとは、図13〜図16を参照して説明したような位置決め手段が設けられ、支持部分12Lは、底部11Lに位置決めされた状態で設けられる。
【0050】
各支持部分12Lには、隣り合う2つの側部に、係合溝部65がそれぞれ形成される。各係合溝部65は、各支持部分12Lの設置状態で、周方向に隣接する他の支持部分12Lに臨む側部に、略鉛直方向に延びて形成されている。このような各支持部分12Lは、周方向に隣接する2つの支持部分12L間にわたって図7に示す外枠部10Aの板状枠片13が設けられ、両端部が各係合溝部65に嵌まり込んで、各支持部分12Lに支持される。各係合溝部65は、各板状枠片13の厚みよりもわずかに大きい幅寸法を有する。これによって外枠部10Aと底部11Lと支持部分12Lを容易に位置決めして、組立てることができ、現場での作業を容易にすることができる。また外枠部10Aを係合溝部65に嵌合させて係合する構成によって、外枠部10Aを別体の支持部分12Lによって支持する構成としても、重量材7が、外枠部10Aと支持部分12Lとの間から外方へ漏出ることが防がれ、美観の優れた仕上がりを実現することができる。
【0051】
このように外枠部10Aを支持部分12Lによって支持する構成とする場合にも、支持部分12Lに、図14に示すような引抜き防止のための構成を設けるようにしてもよい。
【0052】
図22は、図21に示す基礎本体6を用いる場合に、追加的に設けることができる底部11Lの構成を示す断面である。図22に示すように、底部11Lの周縁部に、周方向に隣接する支持部分12L間にわたって、係合溝部65を接続するように延びる嵌合溝部66を形成し、各板状枠片13の下端部を嵌合溝部66に嵌まり込ませるようにしてもよい。嵌合溝部66は、各板状枠片13の厚みよりもわずかに大きい幅寸法に形成される。このような構成にすれば、外枠部10Aと底部11Lとの位置決めが可能であるとともに、外枠部10Aと底部11Lとの間から重量材7漏出ることを防ぎ、美観の優れた仕上がりを実現することができる。またこのような嵌合溝部66を設ける構成とする場合には、図20に示すような板状枠片13Kを用いるようにしてもよい。
【0053】
図23は、本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6の一部を分解して示す斜視図である。図24は、図23に示す基礎本体6の一部を示す平面図である。図1〜図22の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付し、異なる構成についてだけ説明し、同様の構成は説明を省略する。図23および図24に示す基礎本体6は、図21に示す支持部分12Lと類似する構成の支持部分12Laを有する。図23および図24の支持部分12Laには、設置状態で下部となる部分に、底部11Lの隅部が嵌まり込む略直方体形状の底部嵌凹所80が形成されている。嵌合凹所80は、各係合溝部65が形成される部分から、係合溝部65が形成される各側部が連なる縁辺部にわたる範囲に形成される。
【0054】
このような各支持部分12Laは、底部嵌凹所80に底部11Lの隅部が嵌まり込む状態で、底部11Lに対して位置決めされて設けられる。この状態で、図24に示すように、各係合溝部65は、底部11Lの周縁部に配置される。したがって係合溝部65に嵌まり込ませるようにして板状枠片13を設けると、板状枠片13は、底部11Lの周縁部に配置され、底部11Lが板状枠片13よりも外方へ突出しない状態となる。このような構成とすることによって、図21に示す支持部分12Lを用いる構成と同様の効果を達成したうえで、さらに底部11Lの寸法をできるだけ小さくすることができる。これによって、たとえばレジンコンクリートなど、高価な材料および貴重な材料によって底部を形成する場合に、このような構成を好適に採用することができる。
【0055】
図23および図24に示す構成において、各支持部分12Laと底部11Lとは、底部嵌凹所80による位置決めに加えて、図13〜図16を参照して説明したような位置決め手段設けて位置決めされる構成であってもよい。また図14に示すような引抜き防止のための構成を設けるようにしてもよい。また底部11Lの周縁部に図22に示すような嵌合溝部66を設けるようにしてもよい。
【0056】
図25は、本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部用位置決め片70を示す断面図である。図1〜図22の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付す。底部用位置決め片70は、透孔30が形成される底部11,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lが用いられる場合に、基礎構造体1の構成として追加して用いることができる。図25には、底部として図3に示す底部11が設けられる場合を想定して示し、以下の説明においても底部11を用いている場合の説明をするが、他の底部11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lを用いても、同様の効果を達成できる。
【0057】
底部用位置決め片70は、一端部側の部分が現地盤3中に埋設され、他端部側の部分を現地盤3から上方へ突出させた状態で設けられ、現地盤3から突出した部分を透孔30に挿通させ、底部11に水平方向から当接させて、水平方向の変位を規制するように用いられる。本実施の形態では、底部用位置決め片70は、金属製の棒状の部材である。このような底部用位置決め片70を設けることによって、底部11の現地盤3に対する位置決めを可能とし、基礎構造体1の設置位置の位置決めが可能である。
【0058】
図26は、本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部用位置決め片71を示す断面図である。図1〜図22の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付す。底部用位置決め片71は、格子状または網状に形成される底部11,11C,11F,11G,11H,11J,11Lが用いられる場合に、基礎構造体1の構成として追加して用いることができる。図26には、底部として図3に示す底部11が設けられる場合を想定して示し、以下の説明においても底部11を用いている場合の説明をするが、他の底部11C,11F,11G,11H,11J,11Lを用いても、同様の効果を達成できる。
【0059】
底部用位置決め片71は、一端部側の部分が現地盤3中に埋設され、他端部側の部分を現地盤3から上方へ突出させた状態で設けられ、現地盤3から突出した部分には、端部にU字状に折返される鉤状部72を有しており、この鉤状部72を底部11に係合して、水平方向の変位を規制するように用いられる。本実施の形態では、底部用位置決め片71は、金属製の棒状の部材である。このような底部用位置決め片71を設けることによって、底部11の現地盤3に対する位置決めを可能とし、基礎構造体1の設置位置の位置決めが可能である。
【0060】
図27は、本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部係合手段85を示す断面部である。図1〜図26の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付す。底部係合手段85は、重量材7を、底部に係合しやすくする手段であり、前述の各底部11,11B,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lに、採用することができるが、透孔30が形成されていない底部11Bおよび透孔30の数が少ない底部11Caなどに好適に採用することができる。図27には、底部として図8に示す透孔30のない底部11Bが設けられる場合を想定して示し、以下の説明においても底部11Bを用いている場合の説明をするが、他の底部11,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lを用いても、同様の効果を達成できる。
【0061】
底部係合手段85は、底部11Bに埋込み成形されるインサートナットなどの内ねじ部材によって実現される。この底部係合手段85には、図27に仮想線で示すような外ねじ部材などからなる係合片86を螺着して設けることができる。この係合片86は、直線状の棒状であってもよいが、端部が鉤状の屈曲する形状など、非直線形状に形成されるものが好適に用いられる。このような係合片86を設けることによって、硬化した重量材7と係合片86と係合させ、これによって重量材7と底部11Bとを互いに強固に一体化することができる。
【0062】
図28は、本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部係合手段90を示す断面部である。図1〜図27の実施の形態と対応する構成部分には同一の符号を付す。底部係合手段85は、重量材7を、底部に係合しやすくする手段であり、前述の各底部11,11B,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lに、採用することができるが、透孔30が形成されていない底部11Bおよび透孔30の数が少ない底部11Caなどに好適に採用することができる。図28には、底部として図8に示す透孔30のない底部11Bが設けられる場合を想定して示し、以下の説明においても底部11Bを用いている場合の説明をするが、他の底部11,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lを用いても、同様の効果を達成できる。
【0063】
底部係合手段90は、底部11Bに形成される有底孔部によって実現される。有底孔部は、入口部91よりも奥部92が拡がる孔を有している。このような底部係合手段90では、流動性を有する硬化前の重量材7が流入して硬化すると、重量材7と底部係合手段90とが係合し、これによって重量材7と底部11Bとを互いに強固に一体化することができる。
【0064】
また本発明の実施の他の形態として、重量材7は、コンクリート以外の樹脂、金属、水、土砂、およびこれらを複合した材料からなってもよい。たとえば図1〜図10に示す構成において、重量材7として砂、土および石を含んだ土砂を用いるようにしてもよい。この場合、重量材7の硬化による固着ではなく、重量材7と基礎本体6との間の機械的係止力を利用して、重量材7を基礎本体6に擬似的に一体化する構成である。このような構成であっても同様の効果を達成することができる。また図11に示す構成においては、重量材7として水などの液体を用いることが可能である。この構成では水が容器内に溜まる性質を利用して基礎本体6Eに対して擬似的に一体化している。このような構成であっても同様の効果を達成することができる。
【0065】
また基礎本体は、図1〜図10、図12〜図26に示すように、別体の部材を複数組立てて構成されてもよいし、図12に示すように、一体に成形される構成であってもよい。さらに外枠部は必須要件ではなく、重量材としてブロック材と硬化前のコンクリートとを用いる場合、外枠部を設けずにブロック材を枠状に並べ、その内方側にコンクリートを設ける構成であってもよい。この場合、現場でのコンクリート練作業を軽減することができる。またこの場合ブロック材として煉瓦などを用いて美観を向上するようにしてもよい。また重量材7としてコンクリートを用いる場合、基礎本体6,6Eの表面を粗面状に形成することによって、重量材7と基礎本体6との固着力を大きくすることができる。基礎本体6を、コンクリートまたはレジンコンリートによって形成することによって、表面を粗面化するための加工をしなくても、表面を粗面状に形成することができる。
【0066】
また本発明の実施の他の形態として、基礎構造体1は、設置凹所3aが形成されていない場所に設けるようにしてもよい。たとえばコンクリート打ちされて固められた現地盤3上構築するように設けられてもよい。
【0067】
図29は、基礎構造体1を勾配を有する現地盤3上に設ける場合の高さ調整手段75を示す断面図である。図30は、高さ調整手段75によって高さ調整可能な構成の底部11Mの一部を示す斜視図である。基礎構造体1は、図29に示すような犬走りと呼ばれる勾配を有する現地盤3上にも設けることが可能である。底部11Mには、一側部に高さ調整用孔77が形成されている。現地盤3には、たとえばアンカー78を用いて略鉛直に設けられるボルトなどの棒状の外ねじ部材79が設けられ、ナットなどの内ねじ部材200が螺着されている。底部11Mを、位置決め用孔77が形成される側の側部が前記勾配の下方となる側に配置されるようにして、外ねじ部材79の先端部が位置決め用孔内に挿入されるように設ける。この状態で、底部11Mは、内ねじ部材200によって支持される。内ねじ部材200を螺進または螺退させて位置を調整することによって、底部11Mの一側部の高さを調整することができ、これによって底部11Mを略水平に設けることができる。このようにして、勾配を有する現地盤3上に基礎構造体1を設けることができる。
【0068】
底部11Mは、前述の各実施の形態の底部11,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11Lのいずれかに、高さ調整用孔77を形成した構成である。このような基礎構造体1では、さらに底部11Mと現地盤3との間の空間を外方から覆うカバーを設けるようにして、この空間にも重量材7設けるようにしてもよい。これによってより安定した基礎構造体1を実現することができる。
【0069】
また本発明の実施のさらに他の形態として、図1〜図30の構成を適宜組合せるようにしてもよい。たとえば図7の外枠部10Aと、図11の支持部5Dと、図9の底部11Cとを組合わせて基礎本体6を構成するようにしてもよい。もちろんこれ以外の組合わせであってもよい。またたとえば底部は、図1〜図6の底部11、図8の底部11Bおよび図9の底部11C、図10の底部11Caを、2つ以上を重ね合わせた構成であってもよい。具体的には、たとえば図8の底部11B上に図1〜図6の底部11を積層する構成であってもよい。このように適宜組合わせて構成することができる。
【0070】
さらに組合わせの例として、図11に示す支持部分12Dに、図14に示す引抜き防止のための構成のいずれか1つを設けるようにしてもよい。たとえば図11に仮想線100で示すように、設置状態で、基礎本体6の内方側に配置される側部が、上部より下部を内方に突出させるように、テーパ状に形成し、またその側部に、設置状態で水平となる方向に延びる係止凹溝44が形成するようにしてもよい。これによって引抜き防止効果が得られる。
【0071】
さらに組合わせの例として、図23に示す支持部分12Laに、図14に示す引抜き防止のための構成のいずれか1つを設けるようにしてもよい。たとえば図11に仮想線101で示すように、設置状態で、基礎本体6の内方側に配置される側部が、上部より下部を内方に突出させるように、テーパ状に形成し、またその側部に、設置状態で水平となる方向に延びる係止凹溝44が形成するようにしてもよい。これによって引抜き防止効果が得られる。
【0072】
前述のような実施の形態で具体的に示される本発明では、フラットな1枚または複数枚積層される構成の底部を有している。基礎本体の一部を成す底部は、コンクリート、レジンコンクリート、金属材料、樹脂材料、木材およびこれらを複合した材料から成る。また底部は、網状、格子状、桟構造など、厚み方向に挿通する複数の孔を有する形状にすることで、地表面部になじみ易くすることができるうえ、重量材の地表面部3への一体化を補助することができる。また底部は、支持部分の位置決め用の手段を有する構成とすることによって、支持部分の位置決め作業を容易にし、作業性を向上することができる。また底部は、地表面部に固定するための孔部などの手段を有する構成であってもよく、この場合、この手段を利用し治具などを用いて地表面部に固定することが可能である。
【0073】
また本発明は、設置物を支持可能な強度を有する支持部を有している。基礎本体の一部を成す支持部は、コンクリート、レジンコンクリート、金属材料、樹脂材料、木材およびこれらを複合した材料から成る。支持部は、重量材が固着しやすい、または重量材が機械的係止力で係止しやすい形状とすることによって、重量材を一体化させやすくすることができる。このような一体化によって耐震性などの安定性を高くすることができる。また支持部は、設置物を固定するためのアンカー手段を有していてもよい。これによって現場での設置作業を容易にし、ミスを少なくして好適な作業を実現することができる。
【0074】
また1つの基礎本体を構成する各支持部分は、互いに同一の構成である。これによって1つの型で全ての支持部分を成形することができ、生産性が良好である。また現場における作業においても、複数の配置位置のいずれに、どの支持部分を配置しても問題がなく、各支持部分毎に配置すべき位置が特定される場合に比べて、作業を容易にすることができる。
【0075】
また本発明は、基礎構造体全体の外形を規定する外枠部を有している。基礎本体の一部を成す外枠部は、コンクリート、レジンコンクリート、金属材料、樹脂材料、木材およびこれらを複合した材料から成る。この外枠は、基礎構造体の一部として用いられてもよいが、施工後に取外されて再利用される構成であってもよい。つまり基礎構造体1は、外枠部を有する構成と、外枠部を有していない構成とが存在する。この外枠部は、たとえば煉瓦を用いるなどして美観を高くするようにしてもよい。
【0076】
また本発明は、基礎本体に一体化される重量材を有している。重量材は、コンクリート、樹脂材料、金属材料、水、土砂およびこれらを複合した材料から成る。これらはその性状を利用して基礎本体に一体化(固着などの真の一体化および機械的係止などの擬似一体化を含む)される。重量材として既成ブロックとコンクリートを混合して用いると、現場でのコンクリート練作業を軽減し、時間短縮化を図ることができる。ブロック材を枠状に並べて用いるようにすれば、外枠部は設けなくてもよい。またコンクリートなどの硬化する材料を用いる場合、基礎構造体全体を一体にして、安定性を高くすることができる。また支持部で設置物を支持し、重量材は安定性向上を目的とする構成とすれば、重量材の硬化を待たずに設置物の設置が可能であり、作業性を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の一形態の基礎構造体1を示す断面図である。
【図2】外枠部10を示す斜視図である。
【図3】底部11を示す斜視図である。
【図4】支持部5を示す斜視図である。
【図5】基礎構造体1を構築する施工方法を示すフローチャートである。
【図6】基礎構造体1を構築する過程を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の他の形態の基礎構造体1に用いられる外枠部10Aを示す斜視図である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Bを示す斜視図である。
【図9】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Cを示す斜視図である。
【図10】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Caを示す斜視図である。
【図11】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる支持部5Dを示す斜視図である。
【図12】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6Eを示す斜視図である。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Fを簡略化して示す斜視図である。
【図14】図13に示す底部11Fと組合わせて用いられる支持部5Fを構成する支持部分12Fを示す正面図である。
【図15】図13に示す突起片35に代えて突起片35aが形成される底部11Fを示す断面図である。
【図16】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる底部11Gを簡略化して示す斜視図である。
【図17】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる外枠部10Hおよび底部11Hを簡略化して示す斜視図である。
【図18】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6の一部を示す斜視図である。
【図19】図18に示す基礎本体6の一部を示す断面図である。
【図20】図18および図19に示す底部11Jを用いる場合に板状枠片13に代えて用いることができる板状枠片13Kの一部を示す平面図である。
【0078】
【図21】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6の一部を示す斜視図である。
【図22】図21に示す基礎本体6を用いる場合に、追加的に設けることができる底部11Lの構成を示す断面である。
【図23】本発明の実施のさらに他の形態の基礎構造体1に用いられる基礎本体6の一部を分解して示す斜視図である。
【図24】図23に示す基礎本体6の一部を示す平面図である。
【図25】本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部用位置決め片70を示す断面図である。
【図26】本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部用位置決め片71を示す断面図である。
【図27】本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部係合手段85を示す断面部である。
【図28】本発明の実施のさらに他の形態として、基礎構造体1に追加して用いられる底部係合手段90を示す断面部である。
【図29】基礎構造体1を勾配を有する現地盤3上に設ける場合の高さ調整手段75を示す断面図である。
【図30】高さ調整手段75によって高さ調整可能な構成の底部11Mの一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1 基礎構造体
2 設置物
3 地表面部
4 脚部
5,5D 支持部
6,6E 基礎本体
7 重量材
10,10A 外枠部
11,11B,11C,11Ca,11F,11G,11H,11J,11L,11M 底部
12,12D,12F,12L,12La 支持部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置物が設置される基礎構造体であって、
設置物の脚部を支持する支持部を有する基礎本体と、
少なくとも基礎構造体の構築時には、基礎本体に倣って変形する材料から成り、基礎本体に対して、性状を利用して一体化される重量材とを含むことを特徴とする基礎構造体。
【請求項2】
重量材は、現地盤に対して一体化されることを特徴とする基礎構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2006−283393(P2006−283393A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104888(P2005−104888)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000115382)ヨツギ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】