説明

塗布ガイド付き接着剤容器

【課題】容器に伸縮式に取り付けたガイド部材を塗布部の前方に位置させて被塗布シートを案内しながら接着剤を塗布できるようにした接着剤容器において、キャップをスライド部材及びガイド部材の外側に位置させて装着できるようにすること
【解決手段】容器の先端部の外側に長手方向での進退を可能にしてスライド部材を嵌合させ、その後方でキャップとの係合部を設け、後退時には塗布部の後方に位置するガイド部材をスライド部材の先端に片持式で突設させ、嵌合させたスライド部材と容器の対面部において一方に突部を他方にその突部を受け入れる案内路を形成し、ガイド部材の不使用時には周方向の案内路に使用時には長手方向の案内路に突起を臨ませられるようにした

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に伸縮式に取り付けたガイド部材を塗布部の前方に位置させて被塗布シートを案内しながら接着剤を塗布できるようにした接着剤容器に関するもので、先端部で直接塗布する棒状固形のりを収納した容器や先端部に塗布部を備えた液状ないしゼリー状の接着剤を収納した容器に利用される。
【背景技術】
【0002】
この種の接着剤容器としては、特許文献1に開示されたものが公知となっている。
ここに開示されている接着剤容器は、棒状の固形のりを収納した容器の外側にバネで伸長するのり付けガイドを収納し、ボタン操作によってガイドを長手方向に伸長させ、ガイドの案内ピンを紙の下に挿入させた状態で固形のりを押し付けながら紙面に沿って移動させることによって、紙面の端縁に沿ってのりを塗布できるようにしている。
【0003】
しかしながら、この容器では、ガイドを後退させた状態でバネの付勢力に抗してその前進を停止させる具体的な機構が不明であり、後退した状態におけるガイドの案内ピンの位置取りも不明瞭で、図示された状態においては容器にキャップを装着させることができない不都合がある。仮に装着できたとしても係合部が極めて短いため、横方向から外力が加わった場合やボタンの誤動作を生じさせた場合には、不用意にキャップが外れるおそれがある。
また、接着剤容器の外側にガイドの伸縮装置が付設されているから、容器が持ちにくくなり塗布作業に支障をきたす不都合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、容器に伸縮式に取り付けたガイド部材を塗布部の前方に位置させて被塗布シートを案内しながら接着剤を塗布できるようにした接着剤容器において、キャップをスライド部材及びガイド部材の外側に位置させて装着できるようにすることを課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する第一の技術的手段は、(イ)容器の先端部の外側に長手方向での進退を可能にしてスライド部材を嵌合させ、(ロ)その後方でキャップとの係合部を設け、(ハ)後退時には塗布部の後方に位置するガイド部材をスライド部材の先端に片持式で突設させ、(ニ)嵌合させたスライド部材と容器の対面部において一方に突部を他方にその突部を受け入れる案内路を形成し、(ホ)ガイド部材の不使用時には周方向の案内路に使用時には長手方向の案内路に突起を臨ませられるようにしたこと、である。
第二の技術的手段は、容器の先端部に形成した突部を受け入れるスライド部材の案内路をスリットで形成したことである。
【0006】
第一の技術的手段において、容器の先端部の外側に嵌合させられているスライド部材は、その先端にガイド部材を片持式に突設させているから、スライド部材を容器の先端部の周壁に沿って前進させると、ガイド部材は塗布部の前方に突出させられることになる。
なお、ガイド部材はその後退時には塗布部の後方に位置させられるから、ガイド部材は塗布部の外側で進退する位置関係となる。
【0007】
スライド部材と容器の先端部とが対面する位置において、一方に突部が他方にその突部を受け入れる案内路が形成されているから、突部が案内路に係合した状態から外れる位置にスライド部材が移動してしまうことはない。
ガイド部材の不使用時に突部を周方向の案内路に臨ませると、スライド部材は周壁の長手方向に移動することを規制されるから、ガイド部材は塗布部の後方に位置した状態でその位置を維持させることができる。
【0008】
ガイド部材を使用する際に、長手方向の案内路に突起を臨ませると、接着剤容器とスライド部材とを相対的に進退させられる関係となるから、ガイド部材を塗布部の前方に位置させて接着剤容器を下向きにし、紙などの被塗布シートをガイド部材と塗布との間に臨ませて接着剤容器を押し付けることができる。
接着剤の塗布面を被塗布シート上に位置させ、ガイド部材の片持部で被塗布シートの端縁をガイドさせながら接着剤容器を移動させると、被塗布シートの端縁に沿って接着剤が塗布されることになる。このとき、ガイド部材を被塗布シートの下に位置させたまま接着剤容器を持ち上げることによって塗布面を被塗布シートから離せるから、任意の箇所で接着剤の塗布を中断ないし停止することができる。
なお、接着剤容器の高さを調整することができるから、接着剤を塗布する対象となる被塗布シートの厚みに対応させて塗布作業を行うこともできる。
【0009】
嵌合させたスライド部材の後方で容器にキャップとの係合部が配置されているから、接着剤を使用しない場合には、スライド部材及びガイド部材を接着剤容器の先端部外側に位置させたままキャップを装着し固定させることができる。
【0010】
スライド部材、容器の先端部のいずれに突部と案内路を形成するかは、適宜選択すれば良い。
スライド部材は、筒状のものであってもよいし、横断面がC字形のものであってもよい。いずれも容器の先端側から嵌合させることができるが、後者のものでは横からの嵌合も可能である。
【0011】
スライド部材の案内路をスリットで形成するようにすると、スライド部材の成形が容易となる。横断面がC字形のスライド部材にスリットからなる案内路を形成する場合には、スライド部材の両端でスリットを形成することができる。
なお、スライド部材を容器の先端部に対して着脱容易に構成しておくと、接着剤の塗布においてガイド部材を全く利用する可能性がない場合に、これを外して接着剤容器を使用することができることになる。
【発明の効果】
【0012】
キャップをスライド部材及びガイド部材の外側に位置させて装着できる結果、ガイド部材をキャップの内側に位置させてキャップの確実な装着ができる利点がある。また、従来の接着剤容器と同じ外観を保つことができるし、ガイド部材を失う可能性がなくなる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、接着剤容器1の先端部2に筒状のスライド部材5を嵌合させる状態を示したもので、(a)は嵌合開始、(b)は嵌合完了の状態を示している。
この接着剤容器1は、液状の接着剤を充填していてその先端部2の先に塗布マット10を取り付けた構成となっている。
【0014】
接着剤容器の先端部2には円柱状の小突起3が突出してあり、先端部2に嵌合させたスライド部材5には、この突起3を受け入れる案内路としてのスリット6を設けている。スリット6の基端側7は外側に開放させてあって、スライド部材5を先端部2に嵌合させる際に、ここから突起3をスリット6内に臨ませることになる(a参照)。
スリット6は、長手方向に形成したスリット8と周方向に形成したスリット9とが連続する形態となって、これらのスリット8、9を通過させて先端側のスリット9に突起3を位置させると、スライド部材5は先端部2の一番奥の位置に嵌合させられる。
【0015】
スライド部材5の先端部には、片持式の支持部11によって支持されたリング状のガイド部材12が突出させられている。
突起3を長手方向のスリット7に位置させてスライド部材5を前進させるとガイド部材12は塗布マット10の前方に位置させられる。ガイド部材12と塗布マット10との間に被塗布シートとしての紙15を臨ませ、ガイド部材12と支持部11とでこれをガイドさせながら接着剤容器1を紙15に押し付けて移動(図2では左右方向へ移動)させると紙15の端縁に沿って接着剤が塗布されていく(図2、3参照)。
【0016】
この実施形態では、ガイド部材12はリング状となっているが、必ずしもリング状にしておく必要はなく、角枠状、コ字状、C字状であってもよい。支持部11と協力して被塗布シート15への接着剤の塗布をガイドできるものであればその形状は問わない。
【0017】
図4は、キャップ16を接着剤容器1に装着した状態を断面で示している。
接着剤容器の先端部2の後方で外側に係合突起4をリング状に突設し、これに係合する凹溝17をキャップ16の開口部内側に周方向に刻設し、両者を凹凸嵌合させることによってキャップ16を係合させられる例を示している。なお、突起4と凹溝17は、いずれか一方を不連続に形成するようにしても良い。
【0018】
スライド部材を使用しない塗布方法を採用する場合には、図1bの状態で接着剤容器1を使用する。勿論スライド部材5を外して使用するようにしてもよい。
なお、図5は、スライド部材5に形成するスリット6の他の実施パターンを示したものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)はスライド部材の嵌合開始時、(b)は嵌合完了時の接着剤容器の正面図
【図2】ガイド部材上に紙を臨ませた接着剤容器の正面図
【図3】ガイド部材上に紙を臨ませた接着剤容器の左側面図
【図4】キャップを装着した接着剤容器の縦断面概略図
【図5】他の実施形態におけるスライド部材を嵌合させた接着剤容器の正面図
【符号の説明】
【0020】
1接着剤容器、 2接着剤容器の先端部、 3突起、 4キャップ係合用突起、 5スライド部材、 6スリット、 7スリットの開放部、 8長手方向のスリット、 9周方向のスリット、 10塗布部、 11支持部、 12ガイド部材、 15被塗布シートとしての紙、 16キャップ、 17キャップ装着用凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に伸縮式に取り付けたガイド部材を塗布部の前方に位置させて被塗布シートを案内しながら接着剤を塗布できるようにした接着剤容器において、容器の先端部の外側に長手方向での進退を可能にしてスライド部材を嵌合させ、その後方でキャップとの係合部を設け、後退時には塗布部の後方に位置するガイド部材をスライド部材の先端に片持式で突設させ、嵌合させたスライド部材と容器の対面部において一方に突部を他方にその突部を受け入れる案内路を形成し、ガイド部材の不使用時には周方向の案内路に使用時には長手方向の案内路に突起を臨ませられるようにした接着剤容器。
【請求項2】
容器の先端部に形成した突部を受け入れるスライド部材の案内路をスリットで形成した請求項1に記載の接着剤容器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−91037(P2009−91037A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266229(P2007−266229)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(595124158)原化成株式会社 (4)
【Fターム(参考)】