説明

塗料組成物

【課題】常温硬化や短時間硬化が可能で、耐汚染性、撥水性、洗浄回復性、耐熱性、耐傷つき性、加工性、耐クラック性の優れる塗料を提供する。
【解決手段】(A1)ジメチルジアルコキシシランを主体とする縮合物であって、ジメチルシロキサン単位が5〜100連続する構造を有するポリオルガノシロキサンと、(A2)トリアルコキシシランを主体とするシラン化合物又はその加水分解物とを、(A1)/(A2)=1/1〜1/19の重量比で加水分解させて得られるブロックポリオルガノシロキサン(A)1〜30w%と、トリアルコキシシラン化合物又はその加水分解物とジアルコキシシラン化合物又はその加水分解物を主体とするポリオルガノシロキサンの混合物(B)50〜99w%と、硬化促進剤を含む塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオルガノシロキサンを主成分とする塗料組成物に関し、詳しくは厨房機器や屋外家電のトップコート、屋外構造物のトップコートや落書き防止用塗料に適した塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルコキシシロキサンは一般にシリコーンレジンと呼ばれ、硬化して耐候性、耐熱性、表面硬度が高く、素地との密着性に優れた塗膜が得られることから、耐熱塗料や防食プライマーのバインダー、プラスチック類の表面硬度を高めるハードコート剤等として広く用いられている。しかし、ポリアルコキシシロキサンを硬化して得られる塗膜は、一般に親水性があり雨だれなどに対しては良好な耐汚染性を示すが、食品による汚染や油脂類による耐汚染性が十分でない傾向にある。また、ポリアルコキシシロキサンは、高温長時間の硬化条件で得られる塗膜は硬度が高く、優れた耐久性を有するが、常温硬化や短時間硬化という条件では、硬化が完了せずに硬化工程後にも徐々に硬化が進行しやすく、経時でクラックが生じやすく、特に厚膜に塗布した場合に塗膜表面にクラックを生じやすいといった課題を有していた。
【0003】
一方、加水分解性を示さない有機基を2以上含むポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンオイルは、柔軟性のある直鎖状の構造を多く有し、表面張力が小さく撥水性を有することから、他の樹脂に添加する方法や他樹脂にグラフト化して、可撓性付与や耐汚染性の改善が試みられている。しかし、シリコーンオイルを用いた塗膜は一般に塗膜硬度が低い傾向にあり、塗装後しばらくは撥水性や耐汚染性について一定の効果があるものの時間が経つにつれて撥水効果は低下しやすく、汚れを繰り返し洗浄すると塗膜表面に傷が生じやすく、汚れが除去しにくくなる傾向があり、十分に満足を得られるものは得られていなかった。
【0004】
そこで、ポリアルコキシシロキサンとポリオルガノシロキサンを組み合わせることが考えられるが、ポリアルコキシシロキサンとポリオルガノシロキサンは、通常相溶性が悪く単に混合した場合は相分離しやすく、本来の性能が得られにくい。そこで、分子構造などを工夫することで、ポリアルコキシシロキサンとポリオルガノシロキサンを併用して、撥水性、耐汚染性、耐熱性や表面硬度を併せ持ち、洗浄回復性に優れた樹脂を得る検討が行われている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−119386号公報
【特許文献2】特開2000−345043号公報
【特許文献3】特公平6−99561号公報
【0006】
特許文献1には、特定構造を有するオルガノシラン、その加水分解物又は縮合物とリニアポリシロキサンを反応して得られる無機ポリマー組成物が提案されている。特許文献2には特定のメチルポリシロキサンレジンとジメチルポリシロキサンを含む硬化性メチルポリシロキサンレジン組成物が提案されている。特許文献3にはシリコーン系ブロックポリマーの製造方法が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、耐候性や耐クラック性を付与する組成物が提案されているが耐汚染性を付与することを目的とするものではない。特許文献2は200℃、30分といった硬化条件において撥水性や耐熱性、離型性の優れた組成物を提案しているが、硬化性が乏しく常温硬化型の塗料あるいは短時間硬化が求められるプレコート鋼板用塗料として用いた場合には、性能の発現が困難である。また、特許文献3では、シリコーン系ブロックポリマーの製造方法が提案されているが、提案されるシリコーン系ポリマーをそのまま用いた場合、常温あるいは250℃1分間といった短時間の条件で硬化した場合には、耐汚染性と耐クラック性及びプレコート鋼板等に求められる加工性を同時に満足することができずに、常温硬化型塗料やプレコート鋼板用塗料に用いることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、これら課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、特定の構造を有するブロックポリオルガノシロキサンと、モノオルガノトリアルコキシシラン及びジオルガノジアルコキシシラン又はそれらの加水分解物であるポリオルガノシロキサンと、硬化触媒を含む塗料組成物が、常温硬化や短時間硬化においても、耐汚染性、撥水性、洗浄回復性、耐熱性、耐傷つき性、加工性、耐クラック性を両立することを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は、(A1)ジメチルジアルコキシシランを主体とする縮合物であって、ジメチルシロキサン単位が5〜100連続する構造を有するポリオルガノシロキサンと、
(A2)一般式(1)
(R1O)a2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、0.8≦b≦1.2、0<a≦3、0<a+b≦4であり、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す)で表されるトリアルコキシシランを主体とするシラン化合物又はその加水分解物とを、(A1)/(A2)=1/1〜1/19の重量比で加水分解させて得られるブロックポリオルガノシロキサン(A)1〜30w%と、
トリアルコキシシラン化合物又はその加水分解物とジアルコキシシラン化合物又はその加水分解物を主体とするポリオルガノシロキサンの混合物であって、その組成が上記一般式(1)において、0.9≦b≦1.6、0<a≦3、0<a+b<4であるポリオルガノシロキサン(B)50〜99w%と、
硬化促進剤を含むことを特徴する塗料組成物である。
【0010】
また、本発明は、ブロックポリオルガノシロキサン(A)を1〜20w%、ポリオルガノシロキサン(B)を50〜90w%、エポキシ樹脂を1〜40w%及び硬化促進剤を含む上記の塗料組成物である。更に、本発明は、ポリオルガノシロキサン(B)が、一般式(1)において、1.2≦b≦1.6、0<a≦3、0<a+b<4であり、R2中のフェニル基の割合が20〜60モル%である上記の塗料組成物である。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
本発明は、撥水性を有するポリジメチルオルガノシロキサン部分と高い反応性を有するモノオルガノトリアルコキシシランを主体とするシリコーンレジンがブロック状に反応したブロックポリオルガノシロキサン(A)と、モノオルガノトリアルコキシシランあるいはその加水分解物と、ジオルガノジアルコキシシランあるいはその加水分解物を主体とする反応性に優れ耐クラック性の良好なポリオルガノシロキサンの加水分解により得られるポリオルガノシロキサン(B)、及び硬化触媒を必須成分とする塗料組成物である。なお、本明細書中で、シラン化合物又はシロキサン化合物を表示する際、オルガノという用語は炭化水素基を意味し、アルコキシ基のような加水分解性の基を含まない意味と理解される。そして、モノオルガノトリアルコキシシランをトリアルコキシシランと、ジオルガノジアルコキシシランをジアルコキシシランともいう。
【0013】
ブロックポリオルガノシロキサン(A)は、上記(A1)と(A2)を混合し、これを加水分解して得られる。このブロックポリオルガノシロキサン(A)は、(A1)の末端に(A2)から生じる加水分解生成物が結合した構造のポリオルガノシロキサンを主成分とすることが望ましい。
【0014】
ジメチルシロキサン単位が5〜100連続する構造を有するポリオルガノシロキサン(A1)は、ジメチルジアルコキシシランを縮合させることにより得られる。この縮合方法は特に限定するものではないが、ポリオルガノシロキサンを製造する一般的な条件を用いて、ポリオルガノシロキサン(A1)とする。なお、原料としてはジメチルジアルコキシシランを使用するが、上記のジメチルシロキサン単位の連鎖が得られる限り、少量の他のシラン化合物が含まれてもよい。
【0015】
モノオルガノトリアルコキシシランを主体とするシランあるいはその加水分解物(A2)は、上記一般式(1)で表される組成式を有する。ここで、0.8≦b≦1.2、0<a≦3、0<a+b≦4という条件を満足する。また、一般式(1)中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。好ましいR2は炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルケニル基又はフェニル基である。なお、原料としてはモノオルガノトリアルコキシシランを使用するが、モノオルガノトリアルコキシシランが50モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものであれば、他のシラン化合物が含まれてもよい。
【0016】
上記(A1)と(A2)の反応は、重量比(A1)/(A2)=1/1〜1/19の割合で混合し、これを加水分解することによりなされる。反応方法は特に限定するものではないが、(A1)と(A2)を共加水分解する方法等がある。また、特許文献3で開示される製造方法を用いても良い。
【0017】
このようにして得られるブロックポリオルガノシロキサン(A)は、ジメチルシロキサンの連鎖部分とモノオルガノトリアルコキシシランが縮合して生ずるモノオルガノシロキサン部分を主とするブロックからなることがよいと考えられる。ここで、(A)における(A1)に由来するジメチルシロキサンの連鎖部分は、耐汚染性や撥水性を得る上で必要であり、連続する構造が短いと耐汚染性や撥水性が低下する。これは塗装、硬化後の塗膜が均一化して、塗膜表面にジメチルシロキサン単位に現れにくくなることによると考えられる。
【0018】
ポリオルガノシロキサン(B)は、モノオルガノトリアルコキシシランあるいはその加水分解物と、ジオルガノジアルコキシシランあるいはその加水分解物を主体とするシラン化合物の加水分解物の混合物であって、上記一般式(1)で組成を表すと、0.9≦b≦1.6、0<a≦3、0<a+b<4という条件を満足する。bは0.9から1.6の範囲にある必要があり、0.9を下回る場合、硬化が過度となって耐クラック性が低下する傾向にあり、1.6を上回ると耐薬品性が低下する傾向にあり、特に1.2以上1.6以下であることが好ましい。
【0019】
ポリオルガノシロキサン(B)は、上記組成式を満足するが、この場合の一般式(1)中のR1及びR2は、上記と同じ意味を有する。R2は、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を表すが、メチル基あるいはフェニル基であることが一般的であり、経済性にも優れる。R2中のアルキル基、アルケニル基、アリール基の比率は特に制限されないが、アリール基、例えばフェニル基の割合が20%以下になると撥水性が低下する傾向にあり、60%以上になると硬化性が低下する傾向にあるので、アリール基、特にフェニル基の割合が20〜60%であることが好ましい。
【0020】
ここで用いることができるモノオルガノトリアルコキシシラン及びジオルガノジアルコキシシランは特に限定されものではないが、典型的なモノオルガノトリアルコキシシランとしてはフェニルトリアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシランが挙げられ、典型的なジオルガノジアルコキシシランとしてはジメチルジアルコキシシランが挙げられる。
【0021】
市販のモノオルガノトリアルコキシシランあるいはその加水分解物と、ジオルガノジアルコキシシランあるいはその加水分解物を主体とするシランの加水分解物(B)としては、X40−9247、KR510(信越化学製)、DC3074(東レ・ダウコーニング製)等が挙げられる。
【0022】
本発明の塗料組成物に用いられる硬化促進剤としては、一般にシリコ−ンレジンの硬化に使用される硬化触媒を用いることができるができ、チタン、アルミニウム、ジルコニウムのアルコキシド及びキレート類、有機スズ、アミン類、酸類などを上げることができ、1つあるいは2つ以上を組み合わせて使用することができる。特に好適な硬化促進剤としては硬化性と貯蔵安定性の観点からアルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などのアルミキレート、テトラブチルチタネート及びその縮合物などのチタンアルコキシド、リン酸又は縮合リン酸などである。好ましい使用量は、0.1〜5wt%である。
【0023】
本発明の塗料組成物は、上記(A)を1〜30wt%、(B)を50〜99wt%及び硬化促進剤(C)を必須成分として含む。好ましくは、(A)と(B)の合計に対し、(A)を3〜30wt%、(B)を70〜97wt%含む。
【0024】
本発明の塗料組成物には有機樹脂などを併用することができ、最も適した有機樹脂(E)は、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂である。エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を1つ以上有するものが好ましく、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより得られるエポキシ樹脂、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより得られるエポキシ樹脂を核水素化して得られるエポキシ樹脂、水素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより得られるエポキシ樹脂、環状オレフィンをエポキシ化して得られる脂環式エポキシ樹脂等が好ましい。またアクリル樹脂としては、OH基やアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを共重合して得られる樹脂が好ましい。それらを1〜40wt%含有すると、基材等への密着性及び耐クラック性が改善される。エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を配合した場合の塗料組成物の好ましい組成は、(A)〜(C)と(E)の合計100%に対し、(A)を1〜30wt%、(B)を50〜97wt%、(E)を1〜40wt%及び(C)を0.1〜5wt%である。
【0025】
本発明の塗料組成物の塗装膜厚は、特に限定されるものではないが、膜厚を増しても耐汚染性には変化が無く、100μm以上になるとクラックを生じやすくなるので、塗膜性能及び経済性の観点から乾燥膜厚が0.1〜100μmに塗装して用いることが好ましい。
【0026】
本発明の塗料組成物には、着色顔料を添加して任意の色相に着色して使用することができる。着色顔料としては、通常塗料に用いられる無機顔料、有機顔料等を用いることができる。着色顔料に無色透明な顔料を併用しても良い。併用する無色の顔料としては、コロイダルシリカ、硫酸バリウム等の他マイカ等の鱗片状物を上げることができ、これらは塗膜物性を改善する上でも有用である。
【0027】
また、本発明の塗料組成物は、着色顔料を併用せずに、無色透明なクリア塗料として、基材表面やすでに塗装された塗膜の上に塗装することができる。この場合は、塗装する膜厚は、0.1〜20μm程度が経済性にも優れ、塗装作業性も良好で、耐汚染性等の塗膜性能も満足するので好ましい。着色顔料を併用しない場合でも、硫酸バリウム等の他マイカ等の鱗片状で透明な顔料を添加して、塗膜物性を改善することができる。
【0028】
顔料を併用する場合、樹脂の一部又は全部と溶剤等と顔料を十分に混合攪拌する必要がある。この場合、単に高速攪拌して塗料を作成してもよいが、着色顔料を用いる場合は、通常サンドグラインドミルなどを用いて顔料を分散し製造することが好ましい。
【0029】
本発明の塗料組成物を塗装する方法は、特に限定されないが、刷毛、ローラー刷毛等による手工具を用いる方法やエアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター等の塗装機器を用いる方法がある。コンクリート構造物などの既設構造物に塗装する場合では、刷毛、ローラー刷毛等を用いる方法が有用であり、プレコート鋼板や家庭電気製品やその部品などの工場塗装では、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター等が有効である。
【0030】
本発明の塗料組成物には、塗料の取り扱い性を改善する、塗装方法に適した粘性に調整する、膜厚調整を容易にするなどの目的で、溶剤を用いることができる。また、閉所や換気が行いにくい場合等では溶剤を用いることなく塗装することができる。溶剤を用いる場合、溶剤にはシリコーン樹脂を溶解するものを任意に用いることができる。代表的な溶剤としては、溶解性や揮発性等の観点からイソプロピルアルコール、ブチルアルコール、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。ここで、水分があると貯蔵安定性が低下するので、水や水分を多量に含む溶剤は好ましくない。
【0031】
塗装後の硬化条件は、常温での硬化の他に、加熱して硬化を促進しても良い。常温での硬化では、通常7日間程度の養生が好ましい。加熱硬化の場合は、60〜70℃で数時間保持すると良好な塗膜が得られる。また、250℃で1〜2分程度の短時間で硬化させることもできる。加熱方法は、赤外線加熱、電気オーブンやガスオーブンによる加熱など通常硬化に用いられる方法を用いることができるが、本発明の硬化メカニズムには水分が関与するので、特に水分を供給する必要はないが、水分が全くない雰囲気での加熱は適さない。
【発明の効果】
【0032】
本発明の塗料組成物は、耐汚染性、洗浄回復性に優れ、また加工性、耐クラック性、密着性に優れる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
実施例、比較例に用いたポリオルガノシロキサン(POS)、エポキシ樹脂(E)並びに触媒等(C)は下記の通りである。なお、φはフェニル基を示す。
【0035】
POS1:(CH3)1.2(CH3O)0.6SiO1.1で表せ、ジメチルシロキサンの連鎖が10、粘度が160mm/s(25℃)のPOS
POS2:(CH3)1.2(CH3O)0.8SiO1.0で表せ、ランダムに縮合した粘度が100mm/s(25℃)のPOS
POS3:ジメチルシロキサンの連鎖が約100であり両端が-Si(CH3)2(CH3O)であるPOS
POS4:(CH3)0.7φ0.7(CH3O)0.6SiO1.0で表せ、ランダムに縮合した粘度が110mm/s(25℃)のPOS
POS5:(CH3)1.0(CH3O)0.8SiO1.1で表せ、ランダムに縮合した粘度が80mm/s(25℃)のPOS
POS6:(CH3)1.2φ0.2(CH3O)0.8SiO0.9で表せ、ランダムに縮合した粘度が15mm/s(25℃)のPOS
【0036】
E1:東都化成社製脂環式エポキシ樹脂(ST−3000、エポキシ当量220g/eq)
E2:ダイセル化学工業社製脂環式エポキシ樹脂(セロキサイド2021P)
C1:川研ファインケミカル社製アルミキレート(ALCH)
C2:信越化学工業社製3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM−903)
【0037】
実施例1
POS1を5重量部、POS4を93重量部、C1を2重量部、混合し塗料組成物を得た。
【0038】
実施例2〜5、比較例1〜6
配合組成を表1のとおりとして、塗料組成物を得た。配合量は重量部である。
【0039】
【表1】

【0040】
各塗料組成物を、予め脱脂した0.2mm厚のSUS304にアプリケーターを用いて膜厚が3μmになるように塗布し、表2に示す条件で硬化乾燥して、11種類の塗装板を得た。各塗装板について、付着性、鉛筆硬度、耐汚染性、洗浄回復性、繰り返し洗浄回復性、耐クラック性の評価を行った結果を表2に示す。評価条件を次に示す。
【0041】
T曲げ試験:5T曲げを行い、クラックのないものを○、クラックを生じたものを×とした。
【0042】
付着性:付着性(クロスカット法)JISK 5600-5-6により評価を行った結果を評点で表した。
【0043】
鉛筆硬度:JIS K 5600-5-4により凝集破壊のない引っかき硬度を調べた。
【0044】
耐汚染性:マジックインキ大型(寺西化学工業社製)赤、黒で線を引き、著しいハジキを生じる場合を○、ハジキが認められるものを△、ハジキがないものを×とした。
【0045】
洗浄回復性:耐汚染性の試験体を23℃で24時間乾燥した後、乾いたウェス拭きでマジックインキが概ね消える場合を○、エタノールを含ませたガーゼで拭いて消える場合を△、消えない場合を×とした。
【0046】
繰り返し洗浄回復性:マジックインキによる線引きとエタノールを含ませたガーゼによるふき取りを20回繰り返した後にマジックインキの線が消える場合を○、残る場合を×とした。
【0047】
耐クラック性:200℃と0℃の繰り返しを20回行った後に外観観察を行い、異常がないものを○、クラックが生じたものを×とした。
【0048】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)ジメチルジアルコキシシランを主体とする縮合物であって、ジメチルシロキサン単位が5〜100連続する構造を有するポリオルガノシロキサンと、
(A2)一般式(1)
(R1O)a2bSiO(4-a-b)/2 (1)
(但し、0.8≦b≦1.2、0<a≦3、0<a+b≦4であり、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、R2はアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す)で表されるトリアルコキシシランを主体とするシラン化合物又はその加水分解物とを、(A1)/(A2)=1/1〜1/19の重量比で加水分解させて得られるブロックポリオルガノシロキサン(A)1〜30w%と、
トリアルコキシシラン化合物又はその加水分解物とジアルコキシシラン化合物又はその加水分解物を主体とするポリオルガノシロキサンの混合物であって、その組成を上記一般式(1)で表したとき、0.9≦b≦1.6、0<a≦3、0<a+b<4であるポリオルガノシロキサン(B)50〜99w%と、
硬化促進剤を含むことを特徴する塗料組成物。
【請求項2】
ブロックポリオルガノシロキサン(A)を1〜20w%、ポリオルガノシロキサン(B)を50〜90w%、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂を1〜40w%及び硬化促進剤を含むことを特徴する請求項1記載の塗料組成物。
【請求項3】
ポリオルガノシロキサン(B)が、一般式(1)において、1.2≦b≦1.6、0<a≦3、0<a+b<4であり、R2中のフェニル基の割合が20〜60モル%である請求項1又は2記載の塗料組成物。

【公開番号】特開2007−246863(P2007−246863A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76146(P2006−76146)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【出願人】(000221557)東都化成株式会社 (53)
【Fターム(参考)】