説明

塗膜防水シート

【課題】ポリウレタン系防水材を塗布して塗膜防水構造を施工するにあたり、防水材の塗工に伴う溶剤問題を回避しつつ、ポリウレタン系防水材層との接着強度が高く、地震等の応力によって内部が破断するおそれもなく、平滑で良好な外観が得られる塗膜防水シートを提供する。
【解決手段】塗膜防水シート10は、合成樹脂フィルム1が不織布層2、3に挟まれて一体となった塗膜防水シートであって、前記合成樹脂フィルム1の下層に設けられる不織布層2はニードルパンチまたは流体交絡により交絡された目付100〜500g/mの不織布で形成され、前記合成樹脂フィルム1の上層に設けられる不織布層3はケミカルボンド不織布で形成され、かつ前記上層の不織布層3の上には接着剤層4を介してポリウレタンフィルム5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜防水工事において用いる塗膜防水シートおよびこれを用いた塗膜防水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築防水工事におけるメンブレン防水工事として、塗膜防水工事、アスファルト防水工事、シート防水工事が現在広く実施されている。これらのうち塗膜防水工事は、コンクリート等の下地面に接着剤層を介して塗膜防水シートを貼り付け、その上からポリウレタン等の防水材を塗装することにより塗膜防水構造を形成するというものである。
【0003】
この塗膜防水工事に用いる塗膜防水シートとして、合成樹脂フィルム層B(中間層)が、熱圧着タイプ不織布層A(上層)と、ニードルパンチまたは流体交絡法により交絡された不織布の層C(下層)とに挟まれて一体となった三層構造積層体が提案されている(特許文献1)。この三層構造積層体においては、合成樹脂フィルム層Bは遮水層として機能し、不織布層Cは下地(例えばコンクリート)から発生する水蒸気等を水平方向に逃がして膨れを防止するための通気層として機能し、熱圧着タイプ不織布層Aはこの上に塗工される防水材(例えばポリウレタン系防水材)を一部浸透させることで防水材層との接着強度を高めるとともに、塗膜防水構造を補強する働きをなす。
【0004】
ところが、このような三層構造の塗膜防水シート上にポリウレタン系防水材を塗布して該防水材を熱圧着タイプ不織布層A内部に浸透させる際には、当然ながら、防水材中の溶剤も熱圧着タイプ不織布層Aの内部に浸透し、しかも溶剤の一部がポリウレタンから離れて一層深くまで浸透して、乾燥が不充分になりやすい。特に深部まで浸透した溶剤は、表在部のポリウレタン系防水材によって封鎖された状態となり、内部に残存したままとなる。そのため、残存溶剤の影響でシートに層間剥離が生じたり、塗膜が膨潤して塗膜防水構造の表面に膨れが生じたりする場合があった。また、上層の熱圧着タイプ不織布層が地震等によって応力を内包し、これによって層間剥離を招くという問題もあった。
【0005】
このようなポリウレタン系防水材を塗布した際に生じる溶剤の問題を回避しうる塗膜防水シートとして、熱エンボス加工された不織布の上にポリウレタンフィルムを積層したシートが報告されている(特許文献2)。この特許文献2に記載された塗膜防水シートによれば、上層のポリウレタンフィルムが溶剤を遮断するので上述した問題を回避することができる。しかも、この上層のポリウレタンフィルムはポリウレタン系防水材と親和性が良いので、施工後のポリウレタン系防水材層の接着強度が高まるという効果も得られる。他方、PETフィルムの片面にポリウレタン樹脂溶液をグラビアコートしてポリウレタン層を設けた塗膜防水シート(特許文献3)も知られており、この塗膜防水シートも同様にフィルムによって溶剤を遮断しかつ表面のポリウレタン樹脂がポリウレタン系防水材との親和性を発現するので、上述した溶剤の問題を解決するとともにポリウレタン系防水材層との接着強度を高める効果が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−303549号公報
【特許文献2】特開平7−144393号公報
【特許文献3】特開2008−133671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載された塗膜防水シートにおいても、特許文献1のシートと同様、地震等によって応力がかかると、エンボス加工された不織布層が内部で破断して層間剥離を招くという問題を生じることがあった。他方、特許文献3に記載された塗膜防水シートのようにポリウレタン樹脂層が表面に印刷されたシートであると、ポリウレタン系防水材に含まれる溶剤あるいは防水材塗装時に誤ってこぼれてしまった溶剤の影響で、印刷層(ポリウレタン樹脂層)の剥がれやPETフィルムと印刷層との界面剥離が生じ易くなり、施工後のポリウレタン系防水材層との接着強度が不充分になったり、塗膜が膨潤して塗膜防水構造の表面に膨れが生じたりすることがあった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、ポリウレタン系防水材を塗布して塗膜防水構造を施工するにあたり、防水材の塗工に伴う溶剤問題を回避しつつ、ポリウレタン系防水材層との接着強度が高く、地震等の応力によって内部が破断するおそれもなく、平滑で良好な外観が得られる塗膜防水シートおよびこれを用いた塗膜防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、まず、溶剤の影響を回避できポリウレタン系防水材との親和性も高い塗膜防水シートとするために、特許文献1に記載されたような三層構造積層体に対し、その最上層に接着剤を介してポリウレタンフィルムを積層することを試みた。しかし、このようにして得られた塗膜防水シートは、三層構造積層体における熱圧着タイプ不織布層Aの強度が弱いため、地震等の応力によって内部が破断しやすいという欠点が未解決として残された。そこで、本発明者らは、さらに検討を重ね、接着剤層の下に設ける該熱圧着タイプの不織布に代えて、これまで塗膜防水シート用途では用いられることはなかったが高い強度が要求される用途で汎用されていたケミカルボンド不織布を用いれば、地震等の応力によって内部が破断するおそれもなく、上述した課題を一挙に解決しうることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
なお、これまで三層構造積層体の上層としてケミカルボンド不織布が用いられなかった理由としては、一般にケミカルボンド不織布がコスト高であることに加え、以下の理由が挙げられる。すなわち、上述したように従来の三層構造積層体の上層に配する不織布層はその内部にポリウレタン系防水材の一部を浸透させることによってポリウレタン系防水材層に対する接着強度を高めることを目的に設けられているものであるから、その目的に鑑みると、繊維同士が樹脂で強固に固着されたケミカルボンド不織布はポリウレタン系防水材を浸透させにくく、上層に配する不織布層として適さないと判断されていたからと考えられる。しかしながら、本発明では独自の構成を採用することによってケミカルボンド不織布のメリットを最大限に享受しうることとなった。
【0011】
本発明に係る塗膜防水シートは、合成樹脂フィルムが不織布層に挟まれて一体となった塗膜防水シートであって、前記合成樹脂フィルムの下層に設けられる不織布層はニードルパンチまたは流体交絡により交絡された目付100〜500g/mの不織布で形成され、前記合成樹脂フィルムの上層に設けられる不織布層はケミカルボンド不織布で形成され、かつ前記上層の不織布層の上には接着剤層を介してポリウレタンフィルムが設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る塗膜防水シートにおいては、前記ケミカルボンド不織布の目付は50〜200g/mであることが好ましい。前記合成樹脂フィルムの厚みは10〜100μmであることが好ましい。前記ポリウレタンフィルムの厚みは10〜100μmであることが好ましい。前記接着剤層はポリウレタン系接着剤で形成されていることが好ましい。また、本発明に係る塗膜防水シートは、厚み方向に多数の孔が形成され、該多数の孔の総開口率が表面積に対して40%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る塗膜防水構造は、前記本発明の塗膜防水シートがポリウレタンフィルム側を上にして下地面に敷設されているとともに、該塗膜防水シートのポリウレタンフィルム上にポリウレタン系防水材層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポリウレタン系防水材を塗布して塗膜防水構造を施工するにあたり、防水材の塗工に伴う溶剤問題を回避しつつ、ポリウレタン系防水材層との接着強度が高く、地震等の応力によって内部が破断するおそれもなく、平滑で良好な外観を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の塗膜防水シートを用いた塗膜防水構造の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る塗膜防水シートおよび塗膜防水構造に関して、本発明の一実施形態を示す図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定される訳ではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0017】
図1は、下地11面に本発明の塗膜防水シート10を敷設し、さらにその上にポリウレタン系防水材層12を塗工してなる塗膜防水構造の一実施形態を示す。
【0018】
まず、本発明の塗膜防水シートについて説明する。
【0019】
本発明の塗膜防水シート10は、合成樹脂フィルム1が不織布層2、3に挟まれて一体となった塗膜防水シートであり、合成樹脂フィルム1の下層に設けられる不織布層(以下「下層不織布層」と称することもある)2はニードルパンチまたは流体交絡により交絡された不織布で形成され、合成樹脂フィルム1の上層に設けられる不織布層(以下「上層不織布層」と称することもある)3はケミカルボンド不織布で形成され、かつ前記上層の不織布層3の上には接着剤層4を介してポリウレタンフィルム5が設けられているものである。
【0020】
本発明において合成樹脂フィルム1は、遮水層として機能させるものである。
【0021】
合成樹脂フィルム1としては、特に制限はなく、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリプロピレン系フィルムやポリエチレン系フィルムなどのポリオレフィン系フィルム、これらの共重合体のフィルム等のほか、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(EVOH)フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)フィルムなどが挙げられる。これらの中でも、塗膜防水シート製造時の加工性やポリウレタン防水層施工時の取扱性を考慮すると、適度な剛性や強度を有するものが望ましく、具体的にはポリオレフィン系フィルムが好ましい。
【0022】
また、合成樹脂フィルム層1としては、アルミニウム等の導電性金属を蒸着したフィルム層や、アルミ箔を積層したフィルムなどを用いてもよい。これにより断熱性を向上させることができる。この場合、蒸着層やアルミ箔層の厚みとしては、50オングストローム以上が好ましく、より好ましくは100オングストローム以上である。このような合成樹脂フィルム層1では、静電容量などを測定することで、フィルムのピンホールの存在等を検知することも可能である。
【0023】
合成樹脂フィルム1の厚みは、10〜100μmであることが好ましく、より好ましくは15μm以上、50μm以下であるのがよく、さらに好ましくは20μm以上、30μm以下であるのがよい。合成樹脂フィルム1の厚みが前記範囲内であると、フィルムが薄すぎてピンホール等の発生により遮水層としての機能が損なわれることもなく、フィルムが厚すぎて塗膜防水シートが重くなり運搬時など取り扱いに支障をきたすおそれもない。
【0024】
なお、塗膜防水シートにおける合成樹脂フィルム1は、その製造過程において下層不織布層2や上層不織布層3にそれぞれ食い込み、合成樹脂フィルム層1の形状としては表裏両面に凹凸を有するものとなることがある。従って、塗膜防水シートにおける合成樹脂フィルム1の厚みは以下のように測定すればよい。すなわち、まず塗膜防水シートの任意部位20箇所から試験片をサンプリングする。次いでこの試験片を、切断面が垂直となるようにカットし、このカット面が観察できるように蒸着して、走査型電子顕微鏡により任意の倍率で撮影する。この撮影された画像において、上層不織布層3に入り込んでいるフィルム部分(合成樹脂フィルム層1)の端から下層不織布層2に入り込んでいるフィルム部分の端までの長さを測定し、これを試験片のフィルム厚みとする。そして、得られた20箇所の試験片における各フィルム厚みを平均し、合成樹脂フィルム層1の厚みとする。なお、上記カットする際に断面部の形状が変化する懸念がある場合には、この形状変化を抑止するため、急速冷凍装置を使用して塗膜防水シートを冷凍した後にカットすればよい。
【0025】
本発明において合成樹脂フィルム1の下層に設けられる下層不織布層2は、水平方向の通気性を確保し、下地から発生する水蒸気等を良好に逃がす機能を果たすものである。
【0026】
下層不織布層2は、ニードルパンチまたは流体交絡により交絡された不織布で形成されたものである。ここで、流体交絡としては、例えばウォーターパンチ加工が挙げられる。なお、下層不織布層2を形成する不織布を製造するにあたっては、紡糸直後に繊維がバラバラにならないようにするため、ニードルパンチや流体交絡の前に予め弱くエンボス加工(プレエンボス加工)を施すことができる。プレエンボス加工による熱接着点はその後のニードルパンチや流体交絡によって殆ど外れるので、これにより水平方向の通気性が阻害されることは殆どない。
【0027】
下層不織布層2を形成する不織布を構成する繊維は、長繊維、短繊維のいずれであってもよいが、強度の観点からは長繊維であることが好ましい。繊維の素材としては、特に制限はなく、ガラス系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール等のビニル系繊維等が好ましく挙げられる。
【0028】
下層不織布層2を形成する不織布の目付は100〜500g/mである。目付が100g/m未満であると、充分な通気性を確保できなくなるとともに、下層不織布層2の強度が不充分になり、ポリウレタン系防水材層を施工後に地震等の応力によって該不織布層が層間剥離してしまうことが懸念される。一方、目付が500g/mを超えると、塗膜防水シートが重くなってポリウレタン系防水材層施工時の作業性が低下することになる。下層不織布層2を形成する不織布の目付は、好ましくは150g/m以上、400g/m以下であるのがよく、より好ましくは200g/m以上、300g/m以下であるのがよい。
【0029】
下層不織布層2は、JASS8での評価法〔JASS(1986)参考試験1.メンブレン防水層の性能評価試験方法「8.下地との間の通気抵抗試験」(第340〜342頁)〕により求められる下地面との間の通気量が、10mmAq.圧力空気時に170cc以上の流出量であることが好ましい。この程度の通気性を有していると、施工後の塗膜防水構造の表面の膨れや浮き上がりを生じる懸念がない。
【0030】
本発明において合成樹脂フィルム1の上層に設けられる上層不織布層3は、ポリウレタンフィルム5を接着したときに表面の平滑性を保持させるための基材となるものである。
【0031】
上層不織布層3は、ケミカルボンド不織布で形成されたものであり、これにより地震等の応力によっても内部が破断することもない。ここで、ケミカルボンド不織布とは、繊維間をバインダー樹脂で部分的に固着したものであり、例えばシート状の繊維塊(ウェッブ)にバインダー樹脂を含浸させるなど公知の方法で製造されるものである。
【0032】
上層不織布層3を形成するケミカルボンド不織布は、長繊維、短繊維のいずれで構成されていてもよいが、強度の観点からは長繊維で構成されていることが好ましい。繊維の素材としては、特に制限はなく、ガラス系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール等のビニル系繊維等が好ましく挙げられる。
【0033】
ケミカルボンド不織布の製造に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が、繊維間を高い接着強力で固着できる点で好ましい。
【0034】
ケミカルボンド不織布におけるバインダー樹脂の含浸比率は、特に制限されないが、ケミカルボンド不織布の全質量に対してバインダー樹脂は、5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量%、さらに好ましくは15〜25質量%であるのがよい。
【0035】
ケミカルボンド不織布の目付は、50〜200g/mであることが好ましく、より好ましくは70g/m以上、150g/m以下であるのがよく、さらに好ましくは90g/m以上、120g/m以下であるのがよい。ケミカルボンド不織布の目付が前記範囲内であると、上層不織布層(ケミカルボンド不織布層)の厚みが薄すぎて、ポリウレタン系防水材層を施工した際に得られる塗膜防水構造表面の平滑性を損なったり地震等の応力によってケミカルボンド不織布層が破断したりすることがない。また、ケミカルボンド不織布の目付が前記範囲内であると、上層不織布層(ケミカルボンド不織布層)が厚すぎることによって塗膜防水シートが重く可撓性に欠けるものとなりポリウレタン系防水材層施工時の作業性に支障をきたすおそれもない。
【0036】
ケミカルボンド不織布の厚みは、0.5〜1.5mmであることが好ましく、より好ましくは0.6mm以上、1.2mm以下であるのがよく、さらに好ましくは0.7mm以上、0.9mm以下であるのがよい。ケミカルボンド不織布の厚みが前記範囲内であると、ポリウレタン系防水材層を施工した際に得られる塗膜防水構造表面の平滑性を損なったり地震等の応力によってケミカルボンド不織布層が破断したりすることがない。なお、ケミカルボンド不織布の厚みが厚すぎると、塗膜防水シートが重く可撓性に欠けるものとなりポリウレタン系防水材層施工時の作業性が低下する傾向もある。
【0037】
ケミカルボンド不織布は、例えば引張強度は100〜500N/5cmであることが好ましく、引裂強度は5〜70N/5cmであることが好ましい。より好ましくは、引張強度は150〜400N/5cm、引裂強度は20〜50N/5cmであり、さらに好ましくは、引張強度は200〜300N/5cm、引裂強度は30〜40N/5cmであるのがよい。
【0038】
本発明において上層不織布層3の上に接着剤層4を介して設けられるポリウレタンフィルム5は、ポリウレタン系防水材を塗布して塗膜防水構造を施工する際に、溶剤の浸透を防止してその影響を回避するとともに、ポリウレタン系防水材層の接着強度を向上させる役割をなすものである。ちなみに、不織布層とポリウレタンフィルムとの積層方法としては、フィルムを融着、圧着させる熱圧着法や、フィルム材料をラミネートする熱溶融法(ラミネート法)もあるが、本発明においては、膜厚の設定が容易であり、しかも柔軟性を保持させやすいという観点から、接着剤を用いた積層方法が採用される。
【0039】
ポリウレタンフィルム5としては、例えばジイソシアネートとジオールとの重付加反応で得られる公知のポリウレタン樹脂を公知の方法で乾式製膜してなるフィルムを好ましく用いることができる。また、ポリウレタンフィルム5には、本発明の効果を損なわない範囲で顔料等を含有させておいてもよく、これにより塗膜防水シートを所望の色に着色することができる。
【0040】
ポリウレタンフィルム5の厚みは、10〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10μm以上、80μm以下であるのがよく、さらに好ましくは15μm以上、30μm以下であるのがよい。ポリウレタンフィルム5の厚みが前記範囲内であると、ポリウレタン系防水材を塗布した際に充分な溶剤浸透能と接着強度を発現させることができ、しかもフィルムが厚すぎて塗膜防水シートが重くなり運搬時など取り扱いに支障をきたすおそれもない。
【0041】
接着剤層4としては、特に制限はなく、ポリウレタン系接着剤やアクリル系接着剤など公知の樹脂系接着剤を塗布することにより形成することができる。好ましくは、ポリウレタンフィルム5との接着性の観点から、接着剤層4はポリウレタン系接着剤で形成されているのがよい。
【0042】
接着剤層4を形成する際の接着剤の塗布量は、特に制限されるものではないが、例えば、該接着剤層4で接合されるポリウレタンフィルム5と上層不織布層3との間の接着力が9.8N/cm以上となるように、上層不織布層3の表面の凹凸等に応じて接着剤の塗布量を設定すればよい。
【0043】
さらに、図1に示す実施形態の塗膜防水シート10には、厚み方向に多数の孔(以下「貫通孔」と称することもある)6が形成されている。このように塗膜防水シートに貫通孔を設けることにより、ポリウレタン系防水材を下地11(あるいは下地11と塗膜防水シート10とを接着するための接着剤層14)に直接接合させることができ、接合強度を向上させることができる。勿論、本発明にかかる塗膜防水シートは貫通孔を有さないものであってもよい。
【0044】
本発明にかかる塗膜防水シートが貫通孔を有するものである場合、貫通孔の総開口率はシートの表面積に対して40%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下であるのがよい。総開口率が高すぎると、各層や各フィルムの占める面積率が低くなるため、例えば下層不織布層2においては通気性が低下するなど、各層や各フィルムが担う機能が充分に発揮されないことになる。なお、総開口率が前記範囲であれば、一つの貫通孔の形状や大きさは、特に制限されないが、通常、直径が6〜10mm程度の丸形が採用される。また、貫通孔は、シート面に分散して形成されていることが望ましい。
【0045】
本発明の塗膜防水シート10は、上述した各層や各フィルムを公知の方法で適宜積層することにより製造することができる。例えば、塗膜防水シート10は、1)上層不織布層3の片面に接着剤を塗布して接着剤層4を形成し、該接着剤層4を介して上層不織布層3の上にポリウレタンフィルム5を接着させて上層積層体を作製し、次いでこの上層積層体の上層不織布層3側と下層不織布層2とが対向するように、上層積層体と下層不織布層2とを配置し、合成樹脂フィルム1を挟んで一体する方法や、2)下層不織布層2と上層不織布層3とにより合成樹脂フィルム1を挟んで一体とした下層積層体を作製し、他方、ポリウレタンフィルム5の片面に接着剤を塗布して接着剤層4を形成し、該接着剤層4の上に上記下層積層体を上層不織布層3が対向するように載置し接着させる方法などによって得ることができる。以下、これらの方法について説明するが、本発明の塗膜防水シートは当該方法で得られたものに限定される訳ではない。なお、貫通孔6は、各層や各フィルムを積層してシートを得た後、公知の有孔加工機等を用いて孔開け加工を施すことにより形成すればよい。
【0046】
上記1)の方法では、まず、上層不織布層3とポリウレタンフィルム5とを接合した上層積層体は、例えば、上層不織布層3に二液型反応性ポリウレタン接着剤溶液を塗布し、その上にポリウレタンフィルム5を載置して圧着する乾式転写法や、上層不織布層3に湿気硬化型ホットメルトポリウレタン接着剤を塗布し、その上にポリウレタンフィルム5を載置して圧着するボンディング法等によって作製することができる。
【0047】
上記1)の方法において、上記上層積層体と下層不織布層2とにより合成樹脂フィルム1を挟んで一体する際には、例えば、押し出しラミ法(エクストルージョンラミネーション法)やドライラミネーション法等のラミネート法、あるいはコーティング法により積層一体化する方法を採用することができる。特に、下層不織布層2と上層積層体の上層不織布層3との間に、溶融状態ないし半溶融状態の合成樹脂フィルム1の原料を押出ながらラミネートする方法(押し出しラミ法の一つであるサンドラミ法)が好ましく用いられる。このサンドラミ法によれば、生産性に優れるうえ、合成樹脂フィルム1の一部が下層不織布層2と上層不織布層3のそれぞれ一部分に侵入するようにして固化するので、合成樹脂フィルム1と各不織布層2、3との間を強固に固定することができる。
【0048】
上記2)の方法においては、下層不織布層2と上層不織布層3とにより合成樹脂フィルム1を挟んで一体とした下層積層体を作製するに際し、例えば、押し出しラミ法(エクストルージョンラミネーション法)やドライラミネーション法等のラミネート法、あるいはコーティング法により積層一体化する方法を採用することができる。特に、下層不織布層2と上層不織布層3との間に、溶融状態ないし半溶融状態の合成樹脂フィルム1の原料を押出ながらラミネートする方法(押し出しラミ法の一つであるサンドラミ法)が好ましく用いられる。このサンドラミ法によれば、生産性に優れるうえ、合成樹脂フィルム1の一部が下層不織布層2と上層不織布層3のそれぞれ一部分に侵入するようにして固化するので、合成樹脂フィルム1と各不織布層2、3との間を強固に固定することができる。
【0049】
上記2)の方法では、次いでポリウレタンフィルム5に二液型反応性ポリウレタン接着剤溶液を塗布し、その上に上記下層積層体を載置して圧着する乾式転写法や、ポリウレタンフィルム5に湿式硬化型ホットメルトポリウレタン接着剤を塗布し、その上に上記下層積層体を載置して圧着するボンディング法等によって、上記下層積層体とポリウレタンフィルム5とを接合すればよい。
【0050】
ポリウレタンフィルム5は、例えば、離型性の工程紙上にポリウレタン樹脂を、クリアランス、ナイフ、ロータリースクリーン等により塗布することにより作製することができる。勿論、市販のポリウレタンフィルム5を用いてもよい。上層不織布層3および下層不織布層2は、各々予め作製しておいてもよいし市販のものを使用してもよい。
【0051】
なお、上記実施形態においては、下層不織布層2、合成樹脂フィルム1、上層不織布層3、接着剤層4およびポリウレタンフィルム5からなる五層構造積層体からなる塗膜防水シート10を示したが、この五層構造積層体に任意の層(フィルムを含む)を加えた六層以上の塗膜防水シートも本発明の範囲に包含されることは言うまでもない。
【0052】
次に、本発明の塗膜防水構造について説明する。
【0053】
本発明の塗膜防水構造は、上述した本発明の塗膜防水シート10がポリウレタンフィルム5側を上にして下地11面に敷設されているとともに、該塗膜防水シート10のポリウレタンフィルム5上にポリウレタン系防水材層12が形成されているものである。
【0054】
さらに、図1に示す実施形態の塗膜防水構造には、塗膜防水シート10が敷設される下地11の上面にプライマー層13が設けられ、該プライマー層13の上に接着剤層14が設けられている。
【0055】
下地11とする素材は、通常、コンクリート、アスファルト、塩化ビニルシート等である。ポリウレタン系防水材層12としては、特に制限はなく、塗膜防水工事において汎用されている公知のポリウレタン系防水材により形成することができる。プライマー層13および接着剤層14についても、特に制限はなく、塗膜防水工事において汎用されている公知のプライマー塗料や接着剤で形成すればよい。
【0056】
本発明の塗膜防水構造の施工方法としては、塗膜防水工事において汎用されている公知の方法を採用すればよく、特に制限されない。例えば、まず、コンクリート等の下地11の上面にプライマー塗料を塗布してプライマー層13を形成し、続いて接着剤を塗布して接着剤層14を形成し、次いで、塗膜防水シート10をそのポリウレタンフィルム5側を上にして(換言すれば、下層不織布層2側を接着剤層14に接着させるようにして)接着剤層14の上に配置した後、塗膜防水シート10のポリウレタンフィルム5の上からポリウレタン系防水材を塗布してポリウレタン系防水材層12を形成すればよく、防水材が硬化すれば施工が完了する。
【0057】
本発明の塗膜防水シートおよび塗膜防水構造は、例えば、建築物の屋上や屋根などの防水施工工事に好適に利用されるものである。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0059】
なお、以下の実施例中、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものとする。
【0060】
以下の実施例、比較例における不織布または塗膜防水シートの各種物性は、下記のようにして測定した。なお、以下、サンプル方向に関して機械方向(不織布製造時の製造流れ方向)をMD方向、機械方向と直交する方向をCD方向と称する。
【0061】
<目付(トータル目付)>
JIS−L1906に従って求めた。具体的には、MD方向に20cm、CD方向に25cm角の試験片を、CD方向に5箇所採取して、それぞれの質量を測定する。これらの平均値を算出した後、1m当たりの質量に換算して目付(g/m)とした。
【0062】
<厚み>
JIS−L1906に従って求めた。具体的には、CD方向の試験片全幅1m当たり10箇所において、加圧条件を1.96kPa(20gf/cm)として測定し、それらの平均値を算出して厚み(mm)とした。
【0063】
<引張強度・引裂強度>
5cm×20cmの短冊状にタテ方向及びヨコ方向別に試験片を打ち抜き、この試験片の引張強度および引裂強度を、JIS−L1906 5.3.1に従ってそれぞれ測定した。なお、該測定においては、テンシロン引張試験機を用い、タテ方向、ヨコ方向ともにN=5とした。
【0064】
<テープ剥離強力>
メルコテープ(サン化成(株)製「BWII」、2.5cm幅×15cm)を塗膜防水シートのポリウレタンフィルム側の表面に貼り、コンパクトプレス機((株)ハシマ製)でエアーが入らないように120℃で20秒間熱融着させ、JIS−K−6854−2(1999)に準じた180°剥離試験を引剥がし速度100mm/分で行った。得られた値が9.8N/cm以上であれば、合格とした。
【0065】
<脱気通気性>
JASS8(1986)参考試験1.メンブレン防水層の性能評価試験方法「8.下地との間の通気抵抗試験」(第340〜342頁)に従って測定した。
【0066】
(実施例1〜3)
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融紡糸し、スパンボンド法によってウェッブを得た。次いで、このウェッブにニードルパンチ機を用いてニードリングを施して、表1に示す目付の下層用不織布(ニードルパンチにより交絡させた不織布)を作製した。他方、上記ウェッブに対して、アクリル系樹脂をバインダー樹脂として用いてディッピング法にてケミカルボンド加工を施し、表1に示す目付および厚みの上層用不織布(ケミカルボンド不織布)を作製した。なお、上層用不織布(ケミカルボンド不織布)の強度(引張強度、引裂強度)は表1に示す通りである。
【0067】
次いで、Tダイフィルム押出し機を用い、上層用不織布と下層用不織布との間に半溶融状態であるメルトインデックス7(g/10min)のポリエチレン(PE)を挟むようにしてラミネート加工し、表1に示す厚みの合成樹脂フィルム(PE)が上層不織布層と下層不織布層とに挟まれ一体化された積層体を得た。
【0068】
他方、離型紙上に一液型ポリウレタン溶液を塗布、乾燥して20μmのポリウレタンフィルムを作製し、このポリウレタンフィルムに二液型ポリウレタン接着剤を塗布し、その上に上記積層体の上層不織布層側の面を重ね、圧着、熟成させた後、離型紙を取り除き、塗膜防水シートを得た。さらに、この塗膜防水シートに対して、有孔加工機を用いて孔開け加工を施すことにより、丸形の孔(直径6mm)を6cm間隔の千鳥配列で総開口率が26%となるように開け、有孔タイプの塗膜防水シートを得た。得られた塗膜防水シートの物性は表1に示す通りである。
【0069】
次に、コンクリート(下地)面に接着剤(クロロプレン系接着剤:ノガワケミカル(株)製、商品名DC644G)を0.4kg/mとなるように塗布した後、上記で得られた塗膜防水シートを、ポリウレタンフィルムが表側、下層不織布層が接着剤塗布面側になるように複数枚貼り付けた。このとき、複数枚の塗膜防水シートは互いの端面を隙間なくつき合わせて敷き詰めた。次いで、この上から汎用の平場用ポリウレタン系防水材を1kg/mとなるように塗布し、硬化後、さらに同じく平場用ポリウレタン系防水材を1kg/mで重ね塗りした(合計2kg/mとなる)。次いで、重ね塗りした防水材が硬化した後、紫外線吸収剤などを配合したトップコート用ポリウレタン防水材を0.3kg/mとなるように塗布することによりポリウレタン防水材層を形成し、塗膜防水構造を施工した。このようにして形成した塗膜防水構造について、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0070】
<仕上がり>
施工後の塗膜防水構造の表面(上面)を目視にて観察し、表面が平滑である場合を「○」、毛羽立ちが目立つ場合を「×」と評価した。
【0071】
(比較例1、2)
上層用不織布として実施例1におけるケミカルボンド不織布に代えて下記のようにして得た熱圧着タイプ不織布を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塗膜防水シートを得、さらに実施例1と同様にして該塗膜防水シートを用いた塗膜防水構造を施工した。得られた塗膜防水シートの物性および塗膜防水構造の評価結果を表1に示す。
【0072】
熱圧着タイプ不織布は、以下のようにして作製した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)を溶融紡糸し、スパンボンド法によってウェッブを得、このウェッブに対して、エンボス面積率が比較例1では22%、比較例2では11%となるようにエンボス加工を施し、表1に示す目付および厚みの熱圧着タイプ不織布を得た。なお、この熱圧着タイプ不織布の強度(引張強度、引裂強度)は表1に示す通りである。
【0073】
(比較例3)
下層用不織布を作製するにあたり目付が90g/mになるようにニードリングを施したこと以外は、実施例1と同様にして塗膜防水シートを得、さらに実施例1と同様にして該塗膜防水シートを用いた塗膜防水構造を施工した。得られた塗膜防水シートの物性および塗膜防水構造の評価結果を表1に示す。
【0074】
(比較例4)
実施例2と同様にして得た積層体(合成樹脂フィルム、上層不織布層および下層不織布層)をそのまま塗膜防水シートとした(すなわち、ポリウレタンフィルムおよび接着剤層を設けなかった)。そして、さらに実施例1と同様にして該塗膜防水シートを用いた塗膜防水構造を施工した。得られた塗膜防水シートの物性および塗膜防水構造の評価結果を表1に示す。
【0075】
(比較例5)
厚み12μmのPETフィルムに、ベタ印刷用のグラビアロールを用いて濃度15%のポリウレタン樹脂溶液を厚み(乾燥膜厚)が20μmとなるように塗布し、表面がポリウレタンでグラビアコートされたPETフィルムを作製した。次いで、このPETフィルムのグラビアコート面と反対の面を、実施例1と同様にして作製した下層用不織布に対向させて配し、Tダイフィルム押出し機を用いて両者の間に半溶融状態であるメルトインデックス7(g/10min)のポリエチレン(PE)を挟むようにしてラミネート加工し、厚み30μmのPE層がグラビアコートPETフィルムと下層不織布層とに挟まれた積層体を得た。得られた積層体に孔開け加工を施すことなく、そのまま塗膜防水シートとした。そして、さらに実施例1と同様にして該塗膜防水シートを用いた塗膜防水構造を施工した。得られた塗膜防水シートの物性および塗膜防水構造の評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1から明らかなように、比較例1、2の塗膜防水シートは、上層不織布として熱圧着タイプの不織布を用いているので、テープ剥離強力が低く、地震等の応力による内部の破断が懸念されるものである。また、比較例3の塗膜防水シートは、下層不織布の目付が小さすぎるので、脱気通気性が悪く、防水構造内部の通気性が不充分になることが懸念されるものである。また、比較例4の塗膜防水シートは、ポリウレタンフィルムを設けていないものなので、塗膜防水構造としたときの仕上がり(外観)が悪くなる。比較例5の塗膜防水シートは、ポリウレタンフィルム及び上層不織布という構成に代えて、ポリウレタンをグラビアコートしたPETフィルムを採用したものであるので、表面の印刷が剥がれやすく、テープ剥離強力が低い。これらに対して、実施例1〜3の本発明の塗膜防水シートは、上述した懸念や問題を一挙に回避し得たものである。
【符号の説明】
【0078】
1 :合成樹脂フィルム
2 :下層不織布層
3 :上層不織布層(ケミカルボンド不織布層)
4 :接着剤層
5 :ポリウレタンフィルム
6 :貫通孔
10:塗膜防水シート
11:下地(コンクリート)
12:ポリウレタン系防水材層
13:プライマー層
14:接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂フィルムが不織布層に挟まれて一体となった塗膜防水シートであって、前記合成樹脂フィルムの下層に設けられる不織布層はニードルパンチまたは流体交絡により交絡された目付100〜500g/mの不織布で形成され、前記合成樹脂フィルムの上層に設けられる不織布層はケミカルボンド不織布で形成され、かつ前記上層の不織布層の上には接着剤層を介してポリウレタンフィルムが設けられていることを特徴とする塗膜防水シート。
【請求項2】
前記ケミカルボンド不織布の目付が50〜200g/mである請求項1に記載の塗膜防水シート。
【請求項3】
前記合成樹脂フィルムの厚みが10〜100μmである請求項1または2に記載の塗膜防水シート。
【請求項4】
前記ポリウレタンフィルムの厚みが10〜100μmである請求項1〜3のいずれかに記載の塗膜防水シート。
【請求項5】
前記接着剤層はポリウレタン系接着剤で形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の塗膜防水シート。
【請求項6】
厚み方向に多数の孔が形成され、該多数の孔の総開口率が表面積に対して40%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の塗膜防水シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の塗膜防水シートがポリウレタンフィルム側を上にして下地面に敷設されているとともに、該塗膜防水シートのポリウレタンフィルム上にポリウレタン系防水材層が形成されていることを特徴とする塗膜防水構造。

【図1】
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【公開番号】特開2012−26150(P2012−26150A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165232(P2010−165232)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(000222255)東洋クロス株式会社 (24)