説明

塗膜除去装置及びそれを使用した塗膜除去方法

【課題】既設の建物外壁について、外壁面材の端面から塗膜を好適に除去し、ひいては目地部分を新規のシーリング材の充填に適した状態とする。
【解決手段】外壁12の目地部分25において目地側面から下地塗膜を除去する場合に使用される塗膜除去装置31は、回転軸33に取り付けられ回転することで下地塗膜を削り取る削取板34,35と、回転軸33を駆動回転させる駆動部とを有している。削取板34,35のうち第1削取板34は回転軸33に対して軸線方向に移動しないように固定され、第2削取板35は回転軸33に対して軸線方向に移動可能な状態で固定されている。第1削取板34と第2削取板35との間には、第2削取板35を第1削取板34から遠ざかる方向に付勢する付勢部材47が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁の目地部分において外壁面材の端面から塗膜を除去するための塗膜除去装置及びそれを使用した塗膜除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物においては、複数の外壁面材が並べて配置されることで外壁面が形成されている。隣り合う外壁面材の間に形成された目地部分にはシーリング材が充填されており、それによって目地部分における防水性が確保されている。ここで、外壁面材の表面には塗料などにより塗膜が形成されており、その塗膜が外壁面材の端面にも形成されていることが想定される。ところが、塗膜に対してはシーリング材の接着力が低下しやすいため、目地部分において外壁面材の端面に塗膜が形成されたままではシーリング材を充填してもそのシーリング材が剥がれ落ちることが懸念される。
【0003】
そこで、外壁面材の端面から塗膜を除去し、外壁面材の端面に対するシーリング材の密着性を高める技術が提案されている。例えば特許文献1には、塗膜に対してレーザを照射することにより外壁面材の端面から塗膜を除去する構成が開示されている。この構成では、外壁面材を搬送する生産ラインが設けられた建材等の製造工場において、外壁面材の端面から塗膜を除去するレーザ光源が生産ラインに設けられている。この場合、端面から塗膜が除去された状態の外壁面材を用いて建物の外壁を構築できるため、外壁面材の目地部分においてシーリング材が剥がれ落ちることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−287299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、建築現場等において既に構築された状態の外壁を作業対象として塗膜の除去作業を行う状況が想定される。例えば、既設の建物において経年劣化等によりシーリング材の取り換えが必要となった場合、外壁の目地部分において外壁面材の端面に塗膜が形成されていればその塗膜を除去する必要がある。また、ユニット式建物等においては、複数の建物ユニットが並べられることで隣り合う建物ユニットの間に目地部分が形成された後に、その目地部分において外壁面材の端面から塗膜を除去することも考えらえる。
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載された構成では、塗膜の除去作業を建材等の製造工場において行うことを想定しており、既に構築された状態の外壁を作業対象として塗膜の除去作業を行うことは想定していない。このため、外壁面材の目地部分においてシーリング材を適正に充填することが困難になってしまう。
【0007】
本発明は、既設の建物外壁について、外壁面材の端面から塗膜を好適に除去し、ひいては目地部分を新規のシーリング材の充填に適した状態とすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明の塗膜除去装置は、建物外壁の目地部分に対して使用され、前記目地部分において対向する第1目地側面及び第2目地側面のうち少なくとも第1目地側面が、外壁面材の端面により形成された目地側面であり、該第1目地側面から塗膜を除去する塗膜除去装置であって、装置本体の回転軸に取り付けられるとともに前記第1目地側面に前記回転軸が交差した状態で前記目地部分に挿し入れられ、前記第1目地側面に接触した状態で回転することにより該第1目地側面から前記塗膜を削り取る削取部材と、前記回転軸を回転させる駆動手段と、前記削取部材が前記目地部分にて前記第1目地側面と接触している状態で前記装置本体が前記目地部分に沿って移動する場合に、その接触状態を保ったまま前記回転軸の軸線方向において前記装置本体に対する前記削取部材の相対移動を許容する位置調整手段と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、回転した状態の削取部材を、建物外壁の目地部分において第1目地側面に接触させながら目地部分に沿って移動させることにより、目地部分の広範囲において第1目地側面から塗膜を除去することができる。さらに、削取部材は、第1目地側面に接触したまま第1目地側面とは反対側への移動が可能とされているため、作業者が装置本体を目地部分に沿って移動させる際に装置本体の位置が目地部分の幅方向(回転軸の軸線方向)にずれたり第1目地側面に凹凸があったりしても、削取部材が第1目地側面に接触した状態が保持される。したがって、削取部材が第1目地側面から離間して第1目地側面に塗膜の削り残しが生じるということを抑制できる。以上の結果、既設の建物外壁について、外壁面材の端面から塗膜を好適に除去し、ひいては目地部分を新規のシーリング材の充填に適した状態とすることができる。
【0010】
第2の発明では、前記位置調整手段は、前記削取部材を前記軸線方向において前記第1目地側面に向けて付勢する付勢手段を有しており、前記削取部材は、前記付勢手段により付勢されることにより、前記第1目地側面に対する接触状態を保ったまま前記軸線方向に沿う方向の移動が可能となるものである。
【0011】
第2の発明によれば、削取部材が第1目地側面に接触したまま第1目地側面とは反対側に移動可能な構成を実現できる。しかも、削取部材が第1目地側面に押し付けられた際の押圧力が付勢手段の付勢力となるため、作業者が装置本体を目地部分に沿って移動させる際に装置本体の位置が目地部分の幅方向にずれたり第1目地側面に凹凸があったりしても、第1目地側面に対する削取部材の押圧力を略一定とすることができる。これにより、目地部分において外壁面材の端面から塗膜を好適に除去することができる。
【0012】
第3の発明では、前記削取部材を前記第1目地側面に当接させた状態で前記第2目地側面に当接する当接部材を備え、前記当接部材は、前記装置本体を前記目地部分に沿って移動させる際に前記目地部分の幅方向における前記装置本体の位置を保持する位置決め部となるものであり、前記削取部材は、前記軸線方向において前記当接部材に対して相対移動するように前記付勢手段により付勢されているものである。
【0013】
第3の発明によれば、作業者は当接部材を第2目地側面に当接させながら装置本体を目地部分に沿って移動させることにより、第2目地側面に沿って動かすだけで簡易に作業できる。しかも、削取部材は当接部材を基準として移動可能に付勢されているため、削取部材を目地部分の幅方向に位置ずれしないように第1目地側面に沿って移動させることが容易となる。したがって、第1目地側面において塗膜を好適に除去することができる。
【0014】
第4の発明では、前記当接部材は、前記削取部材に対向した状態で且つ前記軸線方向に移動しないように前記回転軸に固定された回転体である。
【0015】
第4の発明によれば、作業者が装置本体を目地部分に沿って移動させる際に、その作業開始よりも前に当接部材を回転させておくことにより、当接部材と第2目地側面との間に生じる摩擦力を低減することができる。したがって、第1目地側面において塗膜を好適に除去できる構成において、装置本体の移動開始に必要な力を低減できる。つまり、装置本体を移動させる作業を容易化できる。
【0016】
第5の発明では、前記当接部材は、前記第2目地側面に当接した状態で前記回転軸の回転により回転し、該第2目地側面から前記塗膜を削り取るものである。
【0017】
第5の発明によれば、目地部分において第1目地側面に削取部材を接触させるとともに第2目地側面に当接部材を接触させることにより、第1目地側面及び第2目地側面の両方から塗膜を削り取る作業を同時に行うことができる。これにより、目地部分を対象とした塗膜除去作業の作業効率を高めることができる。
【0018】
第6の発明では、前記当接部材は、前記第2目地側面に当接した状態で前記回転軸の回転により回転し、該第2目地側面に当接する当接面が低摩擦面となっているものである。
【0019】
建物外壁において、外壁面材とサッシ枠との間に形成された目地部分を対象として、サッシ枠に対向する外壁面材の端面から塗膜を除去することがある。この場合に、第6の発明によれば、当接部材は低摩擦面により第2目地側面に当接するため、当接部材が回転していても、サッシ枠の外周面からなる第2目地側面を傷つけることを抑制できる。
【0020】
第7の発明では、前記当接部材を前記軸線方向に移動しないように前記回転軸に対して固定する固定状態と、該固定状態を解除する解除状態とに移行可能な状態移行手段を備え、前記当接部材は、前記状態移行手段が前記解除状態にある場合に、前記軸線方向において前記削取部材に対して相対移動するように前記付勢手段により付勢されているものである。
【0021】
第7の発明によれば、状態移行手段が固定状態にある場合には当接部材により装置本体の位置決めを行うことができ、状態移行手段が解除状態にある場合には当接部材を第2目地側面に対する接触状態を保ったまま軸線方向において移動可能とすることができる。したがって、第6の発明のように当接部材の当接面が低摩擦面とされていれば、当接部材により第1目地側面の塗膜除去を補助することができ、第5の発明のように当接部材が第2目地側面から塗膜を削り取るものであれば、当接部材により第2目地側面から塗膜を好適に削り取ることができる。以上の結果、当接部材の固定状態を切り替えることにより、塗膜除去装置の使い勝手を良くすることができる。
【0022】
第8の発明では、前記第1目地側面及び前記第2目地側面はいずれも外壁面材の端面により形成された目地側面であり、それら目地側面から前記塗膜を除去する塗膜除去装置であって、前記削取部材を前記第1目地側面に当接させた状態で前記第2目地側面に当接する当接部材を備え、前記当接部材は、前記削取部材に対向し且つ前記軸線方向に移動可能な状態で前記回転軸に取り付けられた回転体であり、前記回転軸の回転により前記削取部材と共に回転し、前記第2目地側面から前記塗膜を削り取るものである。
【0023】
第8の発明によれば、当接部材により第2目地側面から塗膜を削り取ることができるため、目地部分において第1目地側面及び第2目地側面の両方から塗膜を除去する際にその作業効率を高めることができる。しかも、当接部材が第2目地側面に押し付けられた際の押圧力を付勢手段の付勢力とすることができるため、第1目地側面に対する削取部材の押圧力と同様に、第2目地側面について塗膜の削り過ぎや削り残しが生じることを抑制できる。
【0024】
第9の発明の塗膜除去方法では、第1乃至7のいずれかの発明に記載の塗膜除去装置を使用した塗膜除去方法であって、前記回転軸が前記第1目地側面と交差するように前記削取部材を前記目地部分に挿し入れ、前記削取部材が前記目地部分にて前記第1目地側面と接触し且つ回転している状態で前記装置本体を前記目地部分に沿って移動させることを特徴とする。
【0025】
第9の発明によれば、回転した状態の削取部材を、建物外壁の目地部分において第1目地側面に接触させながら目地部分に沿って移動させることにより、目地部分の広範囲において第1目地側面から塗膜を除去することができる。さらに、削取部材は、第1目地側面に接触したまま第1目地側面とは反対側への移動が可能とされているため、作業者が装置本体を目地部分に沿って移動させる際に装置本体の位置が目地部分の幅方向(回転軸の軸線方向)にずれてしまっても、削取部材が第1目地側面に接触した状態が保持される。したがって、削取部材が第1目地側面から離間して第1目地側面に塗膜の削り残しが生じるということを抑制できる。以上の結果、既設の建物外壁について、外壁面材の塗膜を好適に除去し、ひいては目地部分を新規のシーリング材の充填に適した状態とすることができる。
【0026】
さらに、第1及び8の発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】塗膜除去装置の使用例を示す図。
【図2】塗膜除去装置の構成を示す図。
【図3】外壁の構成を示す横断面図。
【図4】シーリング材の取り換えの作業手順を説明するための説明図。
【図5】塗膜除去装置の使用例を示す図。
【図6】別の塗膜除去装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、住宅等の建物として、柱及び大梁からなる建物ユニットが複数組み合わされることでユニット式建物が構築されており、そのユニット式建物において外壁の目地部分にシーリング材が充填されている。まず、建物の外壁について図3を参照しつつ説明する。図3は外壁の構成を示す横断面図である。
【0029】
図3に示すように、建物において外壁12は、複数の外壁パネル15が並べて配置されることで形成されている。外壁パネル15は、外壁面を形成する外壁面材16と、外壁面材16を支持する下地フレーム17とを有しており、それら外壁面材16と下地フレーム17とはネジ等により固定されている。外壁面材16は、窯業系サイディング材等により矩形板状に形成されている。
【0030】
外壁面材16においては基材の表面に下地塗膜18が設けられており、さらに、下地塗膜18の表面には仕上塗膜19が設けられている。下地塗膜18は、外壁面材16の基材の表面にシーラ等の下地塗料が塗布されることにより形成されており、仕上塗膜19は、下地塗膜18の表面にアクリルシリコン系等の仕上塗料が塗布されることにより形成されている。ここで、外壁面材16の基材表面には微細な凹凸が多数存在しているが、外壁面材16の基材表面に下地塗膜18が形成されることにより仕上塗料が塗布される塗布面が平坦化され、仕上塗膜19の表面に素地表面の凹凸が現れにくくなっている。また、下地塗膜18は防水性を有しており、外壁面材16に水が染み込みにくくなっている。
【0031】
下地フレーム17は、外壁面材16の周縁部に沿って上下方向に延びる縦フレーム材22を含んで構成されており、縦フレーム材22は断面コ字状の軽量鉄骨材により形成されている。縦フレーム材22においては、ウェブ22aを挟んで向かい合う一対のフランジ22bのうち一方が外壁面材16の屋内側面に重なった状態で当接している。
【0032】
ここで、隣り合う外壁パネル15の境界部の構成について説明する。ここでは、上下方向に延びる境界部の構成について説明する。なお、左右方向に延びる境界部については、上下方向に延びる境界部と同様の構成を有しているため、説明を省略する。
【0033】
横並びに隣り合う外壁パネル15の境界部において、それぞれの縦フレーム材22は、互いのウェブ22aを向い合せた状態で離間して配置されており、その離間部分には、ウレタンゴム等により形成されたバックアップ材27が設けられている。バックアップ材27は、屋外側から縦フレーム材22同士の間の隙間を埋めた状態となっている。それぞれの外壁面材16も離間して配置されており、その離間部分が目地部分25とされている。
【0034】
目地部分25においては、隣り合う外壁面材16の各端面が離間して対向しており、それら端面により一対の目地側面26が形成されている。目地側面26においては、外壁面材16の端面に下地塗膜18及び仕上塗膜19のうち下地塗膜18が形成されている。この場合、下地塗膜18が除去対象としての塗膜に相当する。
【0035】
なお、目地側面26においては、外壁面材16の端面に下地塗膜18及び仕上塗膜19の両方が形成されていてもよい。この場合、下地塗膜18及び仕上塗膜19の両方が除去対象としての塗膜に相当する。
【0036】
目地部分25には、その目地部分25に沿って延びるようにシーリング材28が設けられている。シーリング材28は、シリコン系材料等により形成されており、流動性を有する不定形の状態で目地部分25に充填され、その状態で硬化したゴム状弾性体となっている。目地部分25においてシーリング材28は、各目地側面26及びバックアップ材27にそれぞれ密着しており、それによって目地部分25の気密性及び水密性が確保されている。
【0037】
シーリング材28は、一対の目地側面26に接着している一方で、バックアップ材27に接着しておらず、二面接着の状態となっている。この場合、一対の目地側面26に加えてバックアップ材27に接着している三面接着の状態に比べて、シーリング材28が裂けにくくなっている。なお、バックアップ材27は、シーリング材28に接着しにくい材料により形成されている。
【0038】
シーリング材28は経年劣化等により気密性や水密性が低下するため、定期的(例えば10年後)に取り替える必要がある。シーリング材28の取り換え作業に際しては、まず既設のシーリング材28を目地部分25から除去し、その代わりに新規のシーリング材28を目地部分25に充填する。ここで、目地側面26においてシーリング材28の接着面が下地塗膜18とされた場合は、下地塗膜18が平坦面となっているためシーリング材28と目地側面26との接着力が低下しやすい。そこで、目地側面26から下地塗膜18を除去して外壁面材16の基材表面を露出させ、その素地にシーリング材28を接着させることで、シーリング材28と目地側面26との接着力が低下することを抑制する。この場合、下地塗膜18の除去作業には塗膜除去装置31が使用され、その塗膜除去装置31により下地塗膜18を削り取ることで除去する。
【0039】
なお、建物においては、新築時で目地部分25の目地側面26から下地塗膜18が除去されていることが望ましいが、ユニット式建物では建物構築時において建物ユニットが建築現場等にて放置されることがあるため、その際の外壁面材16の保護の観点から外壁面材16の端面に下地塗膜18が残されていることがある。この場合、建物構築後に目地部分25において目地側面26に下地塗膜18が存在していることになる。
【0040】
ここでは、塗膜除去装置31について図1、図2を参照しつつ説明する。図1は塗膜除去装置31の使用例を示す図、図2は塗膜除去装置31の構成を示す図である。なお、図1においては、(a)に塗膜除去装置31の側面図を示し、(b)に塗膜除去装置31の平面図を示す。図2においては、(a)に塗膜除去装置31の分解図を示し、(b)に第2削取板35の正面図を示す。
【0041】
図1、図2に示すように、塗膜除去装置31は、装置本体32と、その装置本体32を支持する台座部51とを有している。装置本体32は、人が持つための把持部39と、把持部39の先端部に回転可能に設けられた回転軸33と、回転軸33に取り付けられ回転することで下地塗膜18を削り取る削取板34,35と、回転軸33を駆動回転させる駆動部36とを有している。把持部39は、その外郭がアルミ等の金属材料により形成されている。
【0042】
回転軸33は、金属材料により棒状に形成されており、把持部39から突出した状態で配置されている。駆動手段としての駆動部36は把持部39内に設けられており、回転軸33に接続されている。なお、把持部39には操作スイッチが設けられており、操作スイッチがON操作されることで駆動部36が駆動して回転軸33が回転し、OFF操作されることで回転軸33の回転が停止する。
【0043】
削取板34,35は、シリコンカーバイト等の材料により円板状に形成されており、それぞれ両板面のうち一方が下地塗膜18を削り取る削取面34a,35aとされている。削取面34a,35aには多数の凸部が形成されており、その凸部は下地塗膜18を削り取る削取部に相当する。なお、削取板34,35においては両板面がそれぞれ削取面とされていてもよい。また、削取板34,35は、砥石や研削材、切削材等により形成されていてもよい。要は、両板面の少なくとも一方を削取面とすることが可能な材料により形成されていればよい。
【0044】
削取板34,35には、その中央部分に挿通孔34b,35bがそれぞれ設けられており、挿通孔34b,35bに回転軸33が挿通された状態でその回転軸33に対して固定されている。その状態では、削取板34,35は離間しつつ対向しており、それぞれの削取面34a,35aは対向面とは反対側に配置されている。以下、削取板34,35のうち回転軸33の基端側に配置された方を第1削取板34と称し、先端側に配置された方を第2削取板35と称する。
【0045】
第1削取板34は軸線方向において移動しないように固定されており、第2削取板35は回転軸33の軸線方向において移動可能とされている。回転軸33の中間位置において基端寄りには、回転軸33から外径方向に突出した軸フランジ部38が設けられており、第1削取板34は軸フランジ部38よりも軸先端側に配置されている。そして、軸先端側から回転軸33の雄ネジ33aに対して第1ナット41が螺着されることにより、第1削取板34は第1ナット41と軸フランジ部38とで挟持された状態で固定されている。なお、軸フランジ部38及び第1ナット41が状態移行手段を構成している。
【0046】
第2削取板35は、第1ナット41よりも軸先端側に配置されており、回転軸33の先端部において雄ネジ33aに螺着された第2ナット42により軸先端側への移動が規制されている。この場合、第2削取板35の移動可能な範囲は第1ナット41と第2ナット42との間に制限されている。なお、第2ナット42は袋ナットとされている。
【0047】
第2削取板35は回転軸33に係止された状態となっており、軸線方向に移動可能な状態であっても回転軸33とともに回転する回転体とされている。回転軸33の周面には係止部44が設けられており、第2削取板35の挿通孔34bの内周面には、係止部44に係止する被係止部45が設けられている。係止部44は回転軸33周面から外径方向に凹んだ凹部とされており、被係止部45は挿通孔34bの内周面から内側に突出した凸部とされている。係止部44は軸線方向に沿って延びており、第2削取板35が軸線方向に移動しても被係止部45との係止状態が保持される。
【0048】
なお、図示は省略するが被係止部45は第1削取板34にも設けられており、第1削取板34も第2削取板35と同様に回転軸33に係止された状態で回転軸33とともに回転する回転体とされている。
【0049】
第1削取板34と第2削取板35との間には、第2削取板35を軸先端側に向けて付勢する付勢手段として付勢部材47が設けられている。付勢部材47は、コイル状のバネにより形成されており、伸縮方向に収縮された状態で伸長方向に付勢力を発揮するものとなっている。付勢部材47は、伸縮方向に開放された中空部48を有しており、中空部48に回転軸33が挿通された状態で回転軸33に対して取り付けられている。この場合、付勢部材47は、その伸縮方向における一端が第1削取板34に当接し且つ他端が第2削取板35に当接した状態で付勢力を発揮する。
【0050】
第2削取板35は、回転軸33の先端側において第2ナット42に当接した位置が通常位置とされており、この位置よりも軸基端側に移動すると付勢部材47による付勢力を受けることになる。第2削取板35が通常位置にある場合の第1削取板34と第2削取板35との離間距離はL1となっている(図4(b)参照)。
【0051】
なお、付勢部材47は、ゴム材料や合成樹脂材料により管状や筒状に形成された部材でもよい。要は、第1削取板34と第2削取板35とを互いに遠ざかる方向に付勢する付勢力を有していればよい。
【0052】
ちなみに、第1削取板34及び第2削取板35のうち第2削取板35が削取部材に相当し、第1削取板34が当接部材に相当する。また、係止部44、被係止部45及び付勢部材47が位置調整手段を構成している。
【0053】
台座部51は、略矩形状の台座板52と、台座板52の一側面側にて把持部39を回動可能に軸支する台座アーム53とを有している。把持部39が台座アーム53の回動軸を中心に回動することにより、削取板34,35は台座板52に対して近づく方向及び遠ざかる方向に移動する。また、台座板52には削取板34,35の出入り可能な台座開口部54が形成されており、削取板34,35は台座開口部54を通じて台座板52における台座アーム53とは反対側に露出可能となっている。したがって、台座板52における台座アーム53とは反対側の面が、削取板34,35による下地塗膜18の削り取りに際して外壁12に当接する面となる。
【0054】
次に、外壁12においてシーリング材28の取り換え作業の作業手順について図1、図4を参照しつつ説明する。図4はシーリング材28の取り換えの作業手順を説明するための説明図である。なお、図4においては、削取板34,35の位置を明確に示すために台座部51の図示を省略している。
【0055】
まず、図4(a)に示すように、既設のシーリング材28を各目地側面26から切り離すための切り込みKを、目地部分25に沿って延びるようにカッターナイフ等の工具Cにより入れる。そして、切り込みKに沿ってシーリング材28を目地部分25から剥がし取る。この場合、バックアップ材27に対するシーリング材28の接着力が低いため、シーリング材28を屋外側に引っ張ることにより目地部分25から取り除くことができる。以上の作業によりシーリング材28の大部分を取り除くことができるが、図4(b)に示すように、目地側面26にはシーリング材28の取り残しが存在する。
【0056】
そこで、塗膜除去装置31を使用して下地塗膜18とともにシーリング材28の取り残しを目地部分25から除去する。まず、塗膜除去装置31を台座板52が外壁面材16の屋外面に当接するように外壁12に対して配置する。そして、削取板34,35が台座板52の台座開口部54を通じて外壁面材16側に露出するように装置本体32を台座アーム53に対して回動させつつ、図4(c)に示すように、第2削取板35を第1削取板34側に移動させてそれら削取板34,35の離間距離を目地部分25の幅寸法に合わせて小さく(例えば離間距離L2)しながら削取板34,35の両方を目地部分25内にまとめて挿し入れる。この場合、削取板34,35の挿し入れ量が、それら削取板34,35がバックアップ材27や縦フレーム材22に接触しない程度となるように台座アーム53に対する装置本体32の傾斜角度を調整する。
【0057】
その後、駆動部36により削取板34,35を回転させつつ、図1に示すように塗膜除去装置31を目地部分25に沿って移動させる。塗膜除去装置31の移動に際しては、第1削取板34(回転軸33)の軸線方向の位置を、その削取面34aが目地部分25において一方の目地側面26から下地塗膜18を削り取ることができる位置にて保持する。これにより、第1削取板34により下地塗膜18とともに外壁面材16を削ってしまうことや、下地塗膜18を削り残すことを抑制できる。なお、一対の目地側面26のうち第1削取板34が接触している方の目地側面26が第2目地側面に相当する。
【0058】
一方、第2削取板35は、第1削取板34とは反対側の目地側面26の下地塗膜18に接触している。この場合、第2削取板35が下地塗膜18に押し付けられる押圧力は付勢部材47の付勢力となっており、目地部分25の幅寸法が一定でない場合や下地塗膜18の表面に凹凸がある場合に第2削取板35の位置が目地部分25の幅方向(回転軸33の軸線方向)に変動しても、第2削取板35の押圧力を略一定にすることができる。このため、押圧力が大きくなって下地塗膜18に加えて外壁面材16を削ってしまうことや、押圧力が小さくなって下地塗膜18を削り残すことを抑制できる。なお、一対の目地側面26のうち第2削取板35が接触している方の目地側面26が第1目地側面に相当する。
【0059】
目地部分25にてシーリング材28及び下地塗膜18の除去作業が終了した後、新規のシーリング材28を流動性がある不定形の状態で目地部分25に充填し、その状態でシーリング材28を硬化させる。この場合、新規のシーリング材28は目地側面26において外壁面材16の素地表面の微細な凹凸に接着した状態となり、下地塗膜18に接着した状態に比べて、新規のシーリング材28が目地部分25から剥がれ落ちることを抑制できる。
【0060】
ここで、建物において外壁12には窓部61が設けられており、窓部61にはサッシ枠62が設けられている。この場合、外壁面材16同士の間だけでなく、サッシ枠62と外壁面材16との間にも目地部分25が形成されており、この目地部分25においては、一対の目地側面26のうち片方がサッシ枠62の外周面により形成されている。したがって、この目地部分25に対して削取板34,35により下地塗膜18の削り取り作業が行われると、サッシ枠62を削ってしまう。そこで、塗膜除去装置31において第1削取板34に柔軟性を有する非削取部材65を取り付けることにより、目地部分25においてサッシ枠62を削らずに外壁面材16から下地塗膜18を削り取ることができるようにする。
【0061】
ここでは、第1削取板34に非削取部材65が取り付けられた状態の塗膜除去装置31について、図5を参照しつつ説明する。図5は、塗膜除去装置31の使用例を示す図である。
【0062】
非削取部材65は、ゴムや布などの柔軟性を有する材料により形成されており、図5に示すように、少なくとも削取面34aを覆うように第1削取板34に被せた状態で第1削取板34に取り付けられている。この場合、非削取部材65において目地側面26に当接する面は、第1削取板34の削取面34aよりも摩擦の低い低摩擦面となっている。このため、非削取部材65が目地部分25においてサッシ枠62の外周面に当接した状態で回転してもサッシ枠62を削らないようになっている。
【0063】
下地塗膜18の除去作業に際しては、目地部分25において非削取部材65をサッシ枠62の外周面に当接させた状態で塗膜除去装置31を目地部分25に沿って移動させる。この場合、非削取部材65をサッシ枠62の外周面に押し付ける力が多少変化しても、回転軸33の軸線方向においてサッシ枠62に対する非削取部材65(回転軸33や第1削取板34)の相対位置は変化しないため、回転軸33を、その軸線方向において第2削取板35の移動可能な許容範囲を超えないように位置保持できる。しかも、第1削取板34をサッシ枠62の外周面に押し当てる力加減が多少変化しても下地塗膜18の削り過ぎや削り残しに影響しないため、削り取り作業を容易化できる。
【0064】
なお、一対の目地側面26のうちサッシ枠62の外周面により形成された方の目地側面26が第2目地側面に相当する。
【0065】
また、非削取部材65は第1削取板34における削取面34aとは反対側の板面に取り付けられていてもよい。この場合、第1削取板34を、非削取部材65の取り付けられた方の板面が第2削取板35とは反対側を向くように回転軸33に固定し、目地部分25において非削取部材65をサッシ枠62の外周面に当接させつつ、外壁面材16の端面から下地塗膜18を削り取る作業を行えばよい。
【0066】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0067】
既設の建物の目地部分25を対象として、塗膜除去装置31を用いて目地側面26から下地塗膜18を削り取る場合、回転軸33の軸線方向において第2削取板35の位置が回転軸33と下地塗膜18との相対位置に合わせて調整される。このため、装置本体32を目地部分25に沿って移動させる際に装置本体32の位置が目地部分25の幅方向にずれてしまっても、第2削取板35が目地側面26に接触した状態が保持される。したがって、第2削取板35が目地側面26から離間してその目地側面26に下地塗膜18の削り残しが生じるということを抑制できる。以上の結果、既設の外壁12について、外壁面材16の端面から下地塗膜18を好適に除去し、目地部分25を新規のシーリンの充填に適した状態とすることができる。
【0068】
目地部分25において第2削取板35が下地塗膜18に押し付けられる押圧力を付勢部材47の付勢力とすることができるため、塗膜除去装置31を目地部分25に沿って移動させる際に塗膜除去装置31(回転軸33)が軸線方向に多少ずれたとしても、下地塗膜18に対する第2削取板35の押圧力を略一定にすることができる。このため、第2削取板35の押圧力が大き過ぎて下地塗膜18に加えて外壁面材16の基材を削ってしまうことや、押圧力が小さ過ぎて下地塗膜18の削り残しが生じてしまうことを抑制できる。つまり、目地部分25において外壁面材16の端面から下地塗膜18を好適に除去できる。
【0069】
第1削取板34が回転軸33に固定されているため、目地部分25において第1削取板34を一方の目地側面26に当接させることにより、塗膜除去装置31を目地部分25に沿って移動させる際に回転軸33がその軸線方向にずれることを抑制できる。このため、回転軸33がその軸線方向に位置変化しないように第2削取板35を目地部分25に沿って移動させるという作業を容易化できる。
【0070】
第2削取板35が通常位置よりも第1削取板34に近づいた状態でそれら削取板34,35が目地部分25に挿し入れられているため、一対の目地側面26のうち一方に第1削取板34を接触させることができるとともに他方に第2削取板35を接触させることができる。つまり、目地部分25において一対の目地側面26から下地塗膜18を削り取る作業を同時に行うことができる。これにより、下地塗膜18の削り取り作業に際して作業効率を高めることができる。
【0071】
第2削取板35が回転軸33とともに回転するため、第2削取板35を目地側面26に当接させた状態で装置本体32を目地部分25に沿って移動させることが容易となる。これは、装置本体32の移動を開始する場合にあらかじめ第2削取板35が回転していた場合の摩擦力(動摩擦力)が回転していない場合の摩擦力(静止摩擦力)に比べて小さくなるためである。これにより、第2削取板35が装置本体32の位置決め部として使用される構成において、作業者は小さい力で装置本体32を目地部分25に沿って移動させることができる。
【0072】
第1削取板34に非削取部材65が取り付けられることにより、第1削取板34が目地側面26に当接してもその目地側面26が削られることを抑制できる。したがって、第1削取板34が当接する目地側面26がサッシ枠62により形成されていても、第2削取板35による下地塗膜18の削り取りに際して、サッシ枠62を傷つけることなく第1削取板34により装置本体32の位置決めを行うことができる。また、第1削取板34が当接する方の目地側面26が外壁面材16の端面により形成されている場合でも、第1削取板34によりその外壁面材16の端面を削らないように装置本体32の位置決めを行うことができる。
【0073】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0074】
(1)塗膜除去装置31において、第2削取板35に加えて第1削取板34が回転軸33の軸線方向に移動可能な構成としてもよい。例えば、第1削取板34を固定する固定手段としての第1ナット41が設けられておらず、第1削取板34及び第2削取板35の両方が軸フランジ部38と第2ナット42との間で移動可能な構成とする。この構成によれば、第2削取板35と同様に、第1削取板34による塗膜除去に際して下地塗膜18の削り過ぎや削り残しを抑制できる。したがって、一対の目地側面26の両方について同時に塗膜除去作業を行うことで作業効率を高めつつ、それぞれの目地側面26から下地塗膜18を好適に除去できる。
【0075】
また、固定手段としての第1ナット41が着脱可能とされているため、つまり状態移行手段が固定状態及び解除状態に移行可能なため、第1ナット41は、回転軸33に取り付けられて第1削取板34を固定する固定状態にある場合に装置本体32を目地部分25の幅方向において位置合わせする位置合わせ部としての機能を発揮でき、回転軸33から取り外されて第1削取板34の固定を解除した解除状態にある場合に、当接する目地側面26から下地塗膜18を好適に削り取る機能を発揮できる。したがって、第1ナット41により第1削取板34の固定状態を切り替えることにより、塗膜除去装置31の使い勝手を良くすることができる。
【0076】
(2)回転軸33において削取部材としての第2削取板35が、当接部材としての第1削取板34よりも軸基端側に配置されていてもよい。この場合、第1削取板34は第1ナット41と第2ナット42とにより挟持されていることが好ましい。
【0077】
(3)塗膜除去装置31において回転軸33は、各軸線が交差する複数の回転軸部により形成されていてもよい。例えば図6に示すように、回転軸33が2つの回転軸部71,72を有している構成とする。この構成では、回転軸部71,72は互いの軸線が直交する状態で端部同士が連結されており、一方の回転軸部71が装置本体32の駆動部36に連結され、他方の回転軸部72に削取板34,35が取り付けられている。この場合、駆動部36の駆動に伴って一方の回転軸部71が回転することで他方の回転軸部72も回転する。
【0078】
また、駆動部36に連結された方の回転軸部71は柔軟性を有しており、湾曲するように撓むことで削取板34,35(回転軸部72)をその軸線方向と交差する方向に移動させることができる。この場合、仮に第2削取板35が回転軸部72に対して軸線方向に移動しないように固定されていても、第2削取板35をその軸線方向において位置調整することができる。したがって、第2削取板35が目地部分25にて一方の目地側面26の下地塗膜18と接触している場合に、その接触状態を保ちつつ前記下地塗膜とは反対側への第2削取板35の移動を許容する構成を実現できる。
【0079】
(4)第2削取板35において両板面に削取面34aが形成されていてもよい。また、第2削取板35等の削取部材は、略矩形板状や楕円板状とされていてもよい。また、削取面34aを有していれば板状ではなく球体や半球状とされていてもよい。この場合、回転軸33の軸線方向と削取部材の削取面34aとは直交していなくてもよい。
【0080】
(5)付勢部材47は、回転軸33ではなく第2削取板35に対して取り付けられていてもよい。例えば、付勢部材47が削取板34,35の間において回転軸33と横並びに配置され、削取板34,35の各対向面が付勢部材47により連結された構成とする。この場合でも、付勢部材47は、第2削取板35を第1削取板34から遠ざかる方向に付勢することができる。
【0081】
(6)第1削取板34においては、両板面がいずれも削取面34aとされていなくてもよい。この構成によれば、第1削取板34の削取面34aに非削取部材65が取り付けられた場合と同様に、目地部分25において一方の目地側面26を第1削取板34により傷つけることなく、第2削取板35により他方の目地側面26から下地塗膜18を削り取ることができる。
【0082】
(7)第2削取板35は、削取面34aが回転軸33の基端側に配置されるように回転軸33に取り付けられていてもよい。例えば、回転軸33に第1削取板34が取り付けられていない構成とする。この構成では、付勢部材47の一端が第2削取板35に連結されており、付勢部材47が第2削取板35を回転軸33の基端側に向けて付勢する付勢力を有している。これにより、第2削取板35が目地部分25にて一方の目地側面26の下地塗膜18と接触している場合に、その接触状態を保ちつつ前記下地塗膜とは反対側への第2削取板35の移動を許容する構成を実現できる。
【符号の説明】
【0083】
12…建物外壁としての外壁、16…目地側面を構成する外壁面材、18…塗膜としての下地塗膜、25…目地部分、26…第1目地側面及び第2目地側面としての目地側面、31…塗膜除去装置、33…回転軸、34…当接部材としての第1削取板、35…削取部材としての第2削取板、36…駆動手段としての駆動部、38…状態移行手段を構成する軸フランジ部、41…状態移行手段を構成する第1ナット、44…位置調整手段を構成する係止部、45…位置調整手段を構成する被係止部、47…位置調整手段を構成する付勢手段としての付勢部材、48…中空部、65…非削取部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁の目地部分に対して使用され、前記目地部分において対向する第1目地側面及び第2目地側面のうち少なくとも第1目地側面が、外壁面材の端面により形成された目地側面であり、該第1目地側面から塗膜を除去する塗膜除去装置であって、
装置本体の回転軸に取り付けられるとともに前記第1目地側面に前記回転軸が交差した状態で前記目地部分に挿し入れられ、前記第1目地側面に接触した状態で回転することにより該第1目地側面から前記塗膜を削り取る削取部材と、
前記回転軸を回転させる駆動手段と、
前記削取部材が前記目地部分にて前記第1目地側面と接触している状態で前記装置本体が前記目地部分に沿って移動する場合に、その接触状態を保ったまま前記回転軸の軸線方向において前記装置本体に対する前記削取部材の相対移動を許容する位置調整手段と、
を備えていることを特徴とする塗膜除去装置。
【請求項2】
前記位置調整手段は、前記削取部材を前記軸線方向において前記第1目地側面に向けて付勢する付勢手段を有しており、
前記削取部材は、前記付勢手段により付勢されることにより、前記第1目地側面に対する接触状態を保ったまま前記軸線方向に沿う方向の移動が可能となるものであることを特徴とする請求項1に記載の塗膜除去装置。
【請求項3】
前記削取部材を前記第1目地側面に当接させた状態で前記第2目地側面に当接する当接部材を備え、
前記当接部材は、前記装置本体を前記目地部分に沿って移動させる際に前記目地部分の幅方向における前記装置本体の位置を保持する位置決め部となるものであり、
前記削取部材は、前記軸線方向において前記当接部材に対して相対移動するように前記付勢手段により付勢されているものであることを特徴とする請求項2に記載の塗膜除去装置。
【請求項4】
前記当接部材は、前記削取部材に対向した状態で且つ前記軸線方向に移動しないように前記回転軸に固定された回転体であることを特徴とする請求項3に記載の塗膜除去装置。
【請求項5】
前記当接部材は、前記第2目地側面に当接した状態で前記回転軸の回転により回転し、該第2目地側面から前記塗膜を削り取るものであることを特徴とする請求項4に記載の塗膜除去装置。
【請求項6】
前記当接部材は、前記第2目地側面に当接した状態で前記回転軸の回転により回転し、該第2目地側面に当接する当接面が低摩擦面となっているものであることを特徴とする請求項4又は5に記載の塗膜除去装置。
【請求項7】
前記当接部材を前記軸線方向に移動しないように前記回転軸に対して固定する固定状態と、該固定状態を解除する解除状態とに移行可能な状態移行手段を備え、
前記当接部材は、前記状態移行手段が前記解除状態にある場合に、前記軸線方向において前記削取部材に対して相対移動するように前記付勢手段により付勢されているものであることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の塗膜除去装置。
【請求項8】
前記第1目地側面及び前記第2目地側面はいずれも外壁面材の端面により形成された目地側面であり、それら目地側面から前記塗膜を除去する塗膜除去装置であって、
前記削取部材を前記第1目地側面に当接させた状態で前記第2目地側面に当接する当接部材を備え、
前記当接部材は、前記削取部材に対向し且つ前記軸線方向に移動可能な状態で前記回転軸に取り付けられた回転体であり、前記回転軸の回転により前記削取部材と共に回転し、前記第2目地側面から前記塗膜を削り取るものであることを特徴とする請求項2に記載の塗膜除去装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の塗膜除去装置を使用した塗膜除去方法であって、
前記回転軸が前記第1目地側面と交差するように前記削取部材を前記目地部分に挿し入れ、前記削取部材が前記目地部分にて前記第1目地側面と接触し且つ回転している状態で前記装置本体を前記目地部分に沿って移動させることを特徴とする塗膜除去方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−219528(P2012−219528A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87185(P2011−87185)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)