説明

塗装性に優れた樹脂組成物

【課題】 軽量かつ強度、剛性、耐熱性に優れ、更に塗料密着性向上を目的としたプライマー塗料の塗布を行なう事なく表面塗装が可能なとなるような樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂40〜80重量%、ゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂、相溶化剤および珪酸カルシウム系無機繊維または珪酸カルシウム系無機質繊維とガラス繊維からなるフィラー強化樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の外板やアウトサイドドアハンドル、ルーフレールレッグ、ドアミラー及びオートバイのカウル等の車両外装部品用を主とした、塗装が必要な樹脂部品向け樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の外板やアウトサイドドアハンドル、ルーフレールレッグ、ドアミラー及びオートバイのカウル等の車両用外装部品においては、高強度、軽量及び良好な塗装外観が必要とされ、使用する樹脂材料としては高剛性、耐衝撃性、低比重、良好な表面外観及び塗装性、また使用環境の温度に耐え、更に高温焼き付け塗装(塗料乾燥温度150℃程度)に耐え得る耐熱性を有している事が要求されている。
【0003】現在これらの部品には、ABS樹脂、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイ、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂/ポリエチレンテレフタレート樹脂アロイやこれらをガラス繊維等の無機フィラーによって強化した材料が主に使用されているが、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂/ABS樹脂アロイ及びポリカーボネート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂アロイは、耐熱性が低い為、車両用外装部品として適応する事の出来る部位が限られ、また高温での焼き付け塗装には耐えられないという問題がある。また、ポリアミド樹脂は、塗料密着性が充分ではなく、吸水による物性低下や寸法変化が大きいという問題点を有している。更にポリブチレンテレフタレート樹脂においては、塗料密着性や加水分解の問題が存在している。
【0004】前記車両外装部品用樹脂材料に要求される諸特性を満足する材料としてポリフェニレンエーテル樹脂/ポリアミド樹脂アロイをガラス繊維配合にて強化した材料を挙げる事が出来るが、塗装工程において特定の種類の塗料(ポリフェニレンエーテル樹脂/ポリアミド樹脂アロイ用塗料やポリアミド樹脂用塗料等)を使用しなければ塗料密着性に問題が生じる場合があり、一般的に車両外装向けとしてABS樹脂の塗装に用いられている汎用的なウレタン系塗料を塗装する際には、予め塗料密着性を満足させるようなプライマー塗料の塗布を行なう事が必要となっている為、車両用外装部品等の製造におけるコストアップに繋がってしまっているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽量かつ強度、剛性、耐熱性に優れており、更に一般的に車両外装向けとしてABS樹脂の塗装に用いられている汎用的なウレタン系塗料を塗料密着性向上を目的としたプライマー塗料の塗布を行なうことなく塗装を行なう事が可能な樹脂組成物及び該組成物を材料とした成形品に塗装を行なった車両用外装部品を主とする樹脂製品を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂及びゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂、相溶化剤および珪酸カルシウム系無機質繊維または珪酸カルシウム系無機質繊維とガラス繊維にて強化した組成物を材料として用いた場合に前記課題を解決出来る事を見出し本発明をなすに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明について、以下具体的に説明する。本発明におけるポリフェニレンエーテル樹脂とは、次に示す一般式(1)
【0008】
【化1】


(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5,R6は同時に水素ではない)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(1)の[a]及び[b]からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
【0009】ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0010】ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。
【0011】本発明におけるポリアミド樹脂としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン636、ナイロン1212などの脂肪族ポリアミド樹脂、ナイロン4T(T:テレフタル酸を示す。以下同じ)、ナイロン4I(I:イソフタル酸を示す。以下同じ)、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン12T、ナイロン12Iなどの芳香族ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体、ブレンドなどを例示する事が出来る。これらの中でナイロン6、ナイロン66及びナイロン6−66共重合体の単独使用または併用が好ましい。
【0012】本発明におけるモノビニル芳香族単量体とは、スチレン、α−メチルスチレンのようなα−置換スチレン、ビニルトルエン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−メチルスチレンのような核置換スチレンなどを云い、これらの1種又は2種以上が用いられる。中でもスチレンが最も好ましい。本発明における不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好適に用いられる。
【0013】本発明のゴム状物質としては、天然ゴム、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が含まれる。本発明の樹脂組成物における各成分は任意の割合で配合が可能であるが、ポリフェニレンエーテル樹脂10〜50重量%、ポリアミド樹脂40〜80重量%、ゴム状物質の存在下、モノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂2〜20重量%が好ましい。更にポリフェニレンエーテル20〜30重量%、ポリアミド樹脂50〜60重量%、ゴム状物質の存在下に、モノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂4〜10重量%である事が特に好ましい。
【0014】本発明において用いられる相溶化剤は、分子内にカルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基または水酸基を有する化合物である事が好ましく、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物、エステル、半アルキルエステル、アミド、イミドなどが挙げられるが、特にα,β−不飽和ジカルボン酸及びその誘導体、具体的には、フマル酸、マレイン酸及無水マレイン酸が好適で、無水マレイン酸が最も好ましい。不飽和ジカルボン酸及びその誘導体は、それぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0015】この相溶化剤の配合量は、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、及びゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂の3成分合計量100重量部に対して0.05〜3重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜1重量部である。また、本発明の樹脂組成物には、前記成分の他にポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)等のポリスチレン系樹脂やポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の熱可塑性エラストマーを配合させる事も可能であり、更に必要に応じて通常の熱可塑性樹脂に添加される添加剤、例えば安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、染料、顔料などを配合する事も特に制限されるものではない。
【0016】本発明のフィラー強化樹脂組成物は、上記成分の樹脂組成物に珪酸カルシウム系無機質繊維または、珪酸カルシウム系無機質繊維とガラス繊維を配合する事によって成立する。珪酸カルシウム系無機質繊維としては、ゾノライト(理想式6CaO・6SiO2・H2O)を挙げる事ができ、繊維長1〜10μm、繊維径0.1〜1μmであることが好ましく、界面活性剤やアミノシラン等のカップリング剤にて処理されている事が特に好ましい。また、ガラス繊維としては、通常の熱可塑性樹脂に配合されるガラス繊維で、Eガラス繊維であり、繊維径が9〜25μm、長さが1.5〜5mmである事が好ましく、従来公知のカップリング剤、収束剤で処理されている事が特に好ましい。
【0017】珪酸カルシウム系無機質繊維または、珪酸カルシウム系無機質繊維とガラス繊維の配合量は、上記樹脂組成物100重量部に対して、珪酸カルシウム系無機質繊維のみ配合の場合には3〜30重量部が好ましく、特に好ましくは5〜20重量部である。また、珪酸カルシウム系無機質繊維とガラス繊維の併用の場合には、合計量として5〜30重量部が好ましく少なくとも珪酸カルシウム系無機質繊維が3重量部、かつ珪酸カルシウム系無機質繊維含有量/ガラス繊維含有量が重量比で90/10〜20/80の割合になるよう配合する事が好ましい。
【0018】なお、珪酸カルシウム系無機質繊維の配合方法は、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂の少なくとも1種類の樹脂成分に予め押出機等により練り込んだマスターバッチとして配合する事も特に制限されるものではない。更に上記珪酸カルシウム系無機質繊維及びガラス繊維の他に一般的に熱可塑性樹脂に用いられているタルク、マイカ、カオリン、カーボン繊維等の強化剤を配合する事も特に制限されるものではない。
【0019】これらの組成物の調整は、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などの従来公知の技術によって達成されるが、特に好適なのは押出機である。本発明のフィラー強化樹脂組成物を用い、一般的な射出成形、インジェクションプレス成形、またはガスインジェクション成形等公知の成形方法にて成形を行なった成形品においては、塗料密着性向上を目的としたプライマー塗料の塗布を行なうことなく、ポリアミド樹脂用塗料またはポリアミド樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂アロイ樹脂用塗料だけでなく、一般的に車両外装向けとしてABS樹脂の塗装に用いられている様な汎用的なウレタン系塗料においての表面塗装を行なう事が可能である。
【0020】成形品の塗装方法については、特に制限はなく、スプレー塗装法、静電塗装法、金型内塗装法など公知のあらゆる塗装方法を採用する事が出来る。使用する塗料については、一般的に車両外装向けに使用されているウレタン系の塗料が好ましく、塗料膜厚については、特に限定するものではないが、一般的には塗料膜厚の合計量として5〜150μmであり、10〜100μmである事が好ましい。本発明を実施例に基づいて説明する。実施例及び比較例において使用した成分は以下のものである。
【0021】1)ポリフェニレンエーテル樹脂固有粘度が0.50(30℃、クロロホルム中)であるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(密度1.06g/cm3
2)ポリアミド6樹脂ηr=2.45(25℃、95.5%硫酸)、(密度1.14g/cm3
3)ゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体 旭化成(株)製、スタイラック(商標)A64904)ポリスチレン樹脂還元粘度ηsp/cが0.92dl/g(30℃、トルエン中)、(密度0.5g/cm3
【0022】5)水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体結合スチレン30%(密度0.91g/cm3
6)相溶化剤無水マレイン酸7)珪酸カルシウム系無機質繊維宇部マテリアルズ(株)製、ゾノハイジ(商標)
8)ガラス繊維繊維径13μm、長さ3mmのアミノシランで表面処理されたEガラス繊維
【0023】なお、物性、塗装性評価方法及び評価基準は下記の通りである。
(1)材料物性1)比重(ASTM D−792に準じて測定)
2)曲げ弾性率(ASTM D−790に準じて測定)
3)熱変形温度(ASTM D−648に準じて測定、荷重0.45MPa)
(2)塗装性塗装方法 テストピース:75×75×3mm平板使用塗料:一般的に車両外装向けとしてABS樹脂の塗装に用いられている汎用的なウレタン系塗料において表面塗装を実施した。
【0024】下塗り=ハイウレタンNo.5000(黒メタリック)(日本油脂(株)製)
上塗り=ハイウレタンNo.5300(クリアー)(日本油脂(株)製)


塗料乾燥条件:75℃×25分
【0025】1)塗装表面外観評価方法塗装後の平板表面状態について、目視評価を実施。
○:塗装表面状態良好△:塗装表面に若干凹凸が確認出来る×:塗装表面に凹凸が確認出来る2)塗料密着性評価方法1mm角碁盤目セロテープ剥離試験(100マス)にて、初期密着性(塗装後23℃×50%RH中24時間放置後)及び2次密着性(塗装後40℃温水中×240時間放置後)の評価を実施。
【0026】
【実施例1】ポリフェニレンエーテル樹脂34.8重量%、ポリアミド6樹脂60.0重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体5.0重量%、相溶化剤0.2重量%からなる樹脂組成物及び樹脂組成物100重量部に対して珪酸カルシウム系無機質繊維20重量部の各成分を320℃、300rpmで押出機にて溶融混練りし、組成物ペレットを得た。次いで、射出成形により材料物性及び塗装性評価用のテストピースを作成し、前記した方法により各種試験を行なった。評価結果を表1に示す。
【0027】
【実施例2】ポリフェニレンエーテル樹脂24.0重量%、ポリアミド6樹脂52.8重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体5.0重量%、ポリスチレン樹脂10.0重量%、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体8.0重量%、相溶化剤0.2重量%からなる樹脂組成物及び樹脂組成物100重量部に対して珪酸カルシウム系無機質繊維10重量部の各成分を320℃、300rpmで押出機にて溶融混練りし、組成物ペレットを得た。次いで、射出成形により材料物性及び塗装性評価用のテストピースを作成し、前記した方法により各種試験を行なった。評価結果を表1に示す。
【0028】
【実施例3】ポリフェニレンエーテル樹脂24.0重量%、ポリアミド6樹脂52.8重量%、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体3.0重量%、ポリスチレン樹脂12.0重量%、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体8.0重量%、相溶化剤0.2重量%からなる樹脂組成物及び樹脂組成物100重量部に対して珪酸カルシウム系無機質繊維5重量部、ガラス繊維5重量部の各成分を320℃、300rpmで押出機にて溶融混練りし、組成物ペレットを得た。次いで、射出成形により材料物性及び塗装性評価用のテストピースを作成し、前記した方法により各種試験を行なった。評価結果を表1に示す。
【0029】
【実施例4】実施例3のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体成分量を5.0重量%に変更した表1に示す樹脂組成にて、実施例3と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0030】
【実施例5、6】各配合成分の割合を表1に示すように変えて、実施例1と同様に実施した。評価結果を表1に示す。
【0031】
【比較例1】実施例2のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体成分を使用せず、また、珪酸カルシウム系無機質繊維をガラス繊維に変えた表2に示す樹脂組成にて実施例2と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
【0032】
【比較例2】実施例2の珪酸カルシウム系無機質繊維をガラス繊維に変えた表2に示す樹脂組成にて実施例2と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
【0033】
【比較例3】実施例2のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体成分を使用しない表2に示す樹脂組成にて実施例2と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
【0034】
【比較例4】実施例3のアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体成分量を表2に示す量に変更し、表2に示す樹脂組成にて実施例3と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
【0035】
【表1】


【0036】
【表2】


【0037】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物を用いた成形品は、軽量かつ強度、剛性、耐熱性に優れており、車両用外装部品を主とした樹脂製部品の軽量化及びデザインの自由度を広げる事が可能となる。更に高温での焼付け塗装に耐える耐熱性に加え、一般的に車両外装向けとしてABS樹脂の塗装に用いられている汎用的なウレタン系塗料を用いた場合においても、密着性向上を目的としたプライマー塗料の塗布を行なうことなく塗装が可能となる為、塗装工程の低減、コストダウン等に大きく寄与するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)ゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂、(d)相溶化剤および(e)珪酸カルシウム系無機質繊維からなる塗装部品用フィラー強化樹脂組成物。
【請求項2】 前記(a)(b)(c)(d)の合計100重量部に対して(e)珪酸カルシウム系無機質繊維が3〜30重量部であることを特徴とする請求項1記載の塗装部品用フィラー強化樹脂組成物。
【請求項3】 (a)ポリフェニレンエーテル樹脂、(b)ポリアミド樹脂、(c)ゴム状物質の存在下にモノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂組成物、(d)相溶化剤、(e)珪酸カルシウム系無機質繊維および(f)ガラス繊維からなる塗装部品用フィラー強化樹脂組成物。
【請求項4】 前記(a)(b)(c)(d)の合計100重量部に対して(e)珪酸カルシウム系無機質繊維が少なくとも3重量部であり、かつ(e)珪酸カルシウム系無機質繊維と(f)ガラス繊維の合計が5〜30重量部であり、更に(e)珪酸カルシウム系無機質繊維/(f)ガラス繊維の重量比が90/10〜20/80であることを特徴とする請求項3記載の塗装部品用フィラー強化樹脂組成物。
【請求項5】 上記請求項1〜4に示されるフィラー強化樹脂組成物を材料とする成形品であって、該成形品が塗料密着性向上を目的としたプライマー塗料の塗装を行なうことなく表面塗装をされている事を特徴とする車両用外装部品。

【公開番号】特開2001−234055(P2001−234055A)
【公開日】平成13年8月28日(2001.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−47092(P2000−47092)
【出願日】平成12年2月24日(2000.2.24)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】