説明

塗装用レシプロケータ

【構成】 第1ガイドレール1には第1昇降体2が嵌装されて駆動チエーン5の循環走行により往復昇降される。第1ガイドレール1の側方には、第2昇降体10を嵌装した第2ガイドレール9が並設され、その間に配設された連結チエーン13の直線走行部の一方と他方に各昇降体2、10が夫々連結されている。第2昇降体10にスプレイガン19が取り付けられる。第1昇降体2がバランスウエイトとして機能する。
【効果】 第2昇降体10はスプレイガン19を支持するだけで軽量にでき、第1昇降体2もチエーン5との間の摺動連結機構を備えるだけで、第2昇降体10とバランスする程度の軽量にでき、それにより駆動の際の運動系の質量が軽減できて、必要動力を削減できる。昇降体2、10を夫々支持するガイドレール1、9やベアリングを、特に高強度を有しない簡易な構造にできる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特に重量の大きいスプレイガンを搭載して駆動するのに用いる縦型の塗装用レシプロケータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の塗装用レシプロケータの一例を図2R>2によつて説明する。互いに平行な一対の縦向きのガイドレールaに昇降体bが昇降自由に嵌装されて、その昇降体bにアームdを介してスプレイガンcが取り付けられており、そのガイドレールaの背面側に、一対の駆動スプロケツトeと従動スプロケツトfとの間に掛け回されて縦向きに循環走行する駆動チエーンgが配設されて、その駆動チエーンgに突設した連結子hが、駆動チエーンgの両直線走行部間を横切るように昇降体bに形成された摺動溝iに嵌合連結され、駆動チエーンgの循環走行により連結子hが摺動溝i内で移動しつつ昇降体bがガイドレールaに沿つて昇降して、スプレイガンcが一定のストロークで往復昇降されるようになつている。
【0003】このようなレシプロケータにおいて、スプレイガンcの重量やそれによるモーメントの負荷が大きい場合は、スプレイガンcを取り付ける昇降体bを相応の堅牢な構造にする必要があつて、必然的に昇降体bの重量化を招くこととなる。
【0004】そこで従来、昇降体bを上昇させる場合に必要な駆動部の動力削減を図るため、また、駆動部が故障したときに昇降体bが急激に落下してスプレイガンcが損傷するのを防ぐために、バランスウエイトwが使用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このようなバランスウエイトwを用いた構造では、ともに重量が大である昇降体bとウエイトwとを移動させる必要があり、すなわち、運動系の質量が大きいために、駆動部の動力削減には限界があり、また、昇降体b自身の重量が軽減されるわけではないから、それを支持するガイドレールaやベアリングを高強度に製造する必要がある等、未だ改良の余地が残されていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の塗装用レシプロケータは、叙上の点に鑑み完成されたものであつて、第1昇降体を昇降自由に嵌装した縦向きの第1ガイドレールの側方に、縦向きで循環走行される無端状の駆動チエーンを配設して、その駆動チエーンに突設した連結子を第1昇降体に対して駆動チエーンの両直線走行部間を横切る方向の移動自由に連結するとともに、第2昇降体を昇降自由に嵌装した縦向きの第2ガイドレールを第1ガイドレールに並設して、その両ガイドレールの間に縦向きの無端状の連結チエーンを配設し、その連結チエーンの直線走行部の一方と他方に第1昇降体と第2昇降体とを夫々連結し、その第2昇降体にスプレイガンを取り付けた構成とした。
【0007】
【作用】駆動チエーンを循環走行させると、連結子を介してそれと連結された第1昇降体が第1ガイドレールに沿つて一定のストロークで昇降し、それに伴い、その第1昇降体を連結した連結チエーンの一方の直線走行部が昇降駆動されて、他方の直線走行部に連結された第2昇降体並びにそれに取り付けられたスプレイガンが第2ガイドレールに沿つて一定のストロークで昇降される。
【0008】この間、第1昇降体は、スプレイガンを取り付けた第2昇降体に対するバランスウエイトとして併せて機能する。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、第1昇降体がバランスウエイトとして機能することによつて、第2昇降体を上昇させる際の必要動力が削減され、また、駆動部が故障したときに第2昇降体が急激に落下してスプレイガンが損傷するのを防ぐことができる。
【0010】その上、第2昇降体は、スプレイガンを支持するだけでチエーンとの間の移動連結機構は必要としないから、従来のスプレイガンを支持するための堅牢な構造とチエーンとの間の移動連結機構の両方が必要であつた昇降体と比べて、その構造を簡単にして軽量にでき、一方の第1昇降体も、チエーンとの間の移動連結機構を必要とするだけでスプレイガンを支持する堅牢な構造は必要としないから、第2昇降体とバランスする程度の相応の軽量にすることができ、これにより駆動の際の運動系の質量の軽減化ができて、駆動部の必要動力を大幅に削減することができる。
【0011】また、上記したように、第2昇降体はスプレイガンの支持機能が、第1昇降体はチエーンとの移動連結機構が夫々必要なだけで軽量にできるから、それらを支持する第1ガイドレールや第2ガイドレールあるいはベアリングを、特に高強度を有しない簡易なものとすることができる効果がある。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1に基づいて説明する。符号1は、互いに平行を成す一対の縦向きの第1ガイドレールであつて、この第1ガイドレール1に第1昇降体2が昇降自由に嵌装されている。
【0013】その第1ガイドレール1の背面側には、一対の駆動スプロケツト3と従動スプロケツト4との間に掛け回されて縦向きに循環走行する駆動チエーン5が配設されており、その駆動チエーン5に突設した連結子6が、駆動チエーン5の両直線走行部間を横切るように昇降体2に形成された摺動溝7に嵌合されて連結されている。
【0014】第1ガイドレール1の側方には、縦向きの第2ガイドレール9が並設され、その第2ガイドレール9に第2昇降体10が昇降自由に嵌装されている。
【0015】第1ガイドレール1と第2ガイドレール9の間には、一対の遊動スプロケツト12の間に縦向きに掛け回された無端状の連結チエーン13が配設されており、その連結チエーン13の一方の直線走行部に、上記の第1昇降体2が連結具15により連結され、他方の直線走行部に、第2昇降体10が連結具16により連結されている。
【0016】その第2昇降体10に、アーム18を介してスプレイガン19が取り付けられている。
【0017】本実施例はこのような構造になり、駆動スプロケツト3を矢線方向に回転駆動して駆動チエーン5を循環走行させると、連結子6が摺動溝7内を摺動しつつ第1昇降体2が第1ガイドレール1に沿つて一定のストロークで昇降し、それに伴い、その第1昇降体2を連結した連結チエーン13の一方の直線走行部が昇降駆動されて、他方の直線走行部に連結された第2昇降体10並びにそれに取り付けられたスプレイガン19が第2ガイドレール9に沿つて一定のストロークで昇降される。
【0018】この間、第1昇降体2は、スプレイガン19を取り付けた第2昇降体10に対するバランスウエイトとして併せて機能する。
【0019】このように本実施例によれば、第1昇降体2がバランスウエイトとして機能することによつて、第2昇降体10を上昇させる際の必要動力が削減され、また、駆動部が故障したときに第2昇降体10が急激に落下してスプレイガン19が損傷するのが防止される。
【0020】それに加え、第2昇降体10は、スプレイガン19を支持するだけで連結チエーン13との間の摺動連結機構は必要としないから、その構造を簡単として軽量にでき、一方の第1昇降体2も、駆動チエーン5との間の摺動連結機構を必要とするだけでスプレイガン19を支持する堅牢な構造は必要としないから、第2昇降体10とバランスする程度の相応の軽量にでき、これにより駆動の際の運動系の質量の軽減化ができて、駆動部の必要動力が大幅に削減できる。
【0021】また、上記したように、第1昇降体2及び第2昇降体10は夫々軽量化されるから、それらを支持する第1ガイドレール1や第2ガイドレール9あるいはベアリングを、特に高強度を有しない簡易な構造にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成図である。
【図2】従来例の構成図である。
【符号の説明】
1:第1ガイドレール 2:第1昇降体 3:駆動スプロケツト 4:従動スプロケツト 5:駆動チエーン 6:連結子 7:摺動溝 9:第2ガイドレール 10:第2昇降体 12:遊動スプロケツト 13:連結チエーン 18:アーム 19:スプレイガン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1昇降体を昇降自由に嵌装した縦向きの第1ガイドレールの側方に、縦向きで循環走行される無端状の駆動チエーンを配設して、該駆動チエーンに突設した連結子を前記第1昇降体に対して前記駆動チエーンの両直線走行部間を横切る方向の移動自由に連結するとともに、第2昇降体を昇降自由に嵌装した縦向きの第2ガイドレールを前記第1ガイドレールに並設して、該両ガイドレールの間に縦向きの無端状の連結チエーンを配設し、該連結チエーンの直線走行部の一方と他方に前記第1昇降体と前記第2昇降体とを夫々連結し、該第2昇降体にスプレイガンを取り付けたことを特徴とする塗装用レシプロケータ。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate