説明

塩化ビニル繊維の製造方法

【課題】安定的に生産可能な塩化ビニル繊維の製造方法を提供する。
【解決手段】
塩化ビニル樹脂を、120孔以上1200孔以下のノズル孔を有するダイスを用いて繊度800デニール以上2000デニール以下のストランドとして溶融紡糸し、得られたストランドを冷却して張力1.2×10−3N/本以上12.5×10−3N/本以下、繊度300デニール以下の未延伸糸とし、得られた未延伸糸を延伸処理、熱処理して、繊度100デニール以下の繊維とする塩化ビニル繊維の製造方法である。溶融紡糸に用いるダイスは、2種類以上の形状のノズル孔を有するものであることが好ましく、溶融紡糸直後のストランドを200℃以上280℃以下で加熱する工程を有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル繊維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂を溶融紡糸して得られる塩化ビニル繊維は、その優れた強伸度、カール保持性、スタイル性などの特性を有するため、頭髪装飾用などの人工毛髪用繊維やドールヘアーなどの人形用頭髪繊維として使用されている。
【0003】
溶融紡糸法を大別すると、比較的大きな断面積のノズル孔からストランドを押出し、紡糸ドラフト比を大きくとって細繊度の未延伸糸とし、これに延伸・緩和処理を施して繊維とする方法(例えば、特許文献1参照。)や、比較的小さな断面積のノズル孔からストランドを押出し、紡糸ドラフト比をなるべく小さくして未延伸糸とし、これに延伸・緩和処理を施して繊維とする方法(例えば、特許文献2参照。)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−216635号公報
【特許文献2】特開2003−003319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安定的に生産可能な塩化ビニル繊維の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、塩化ビニル樹脂を、120孔以上1200孔以下のノズル孔を有するダイスを用いて繊度800デニール以上2000デニール以下のストランドとして溶融紡糸し、得られたストランドを冷却して張力1.2×10−3N/本以上12.5×10−3N/本以下、繊度300デニール以下の未延伸糸とし、得られた未延伸糸を延伸処理、熱処理して、繊度100デニール以下の繊維とする塩化ビニル繊維の製造方法である。
溶融紡糸に用いるダイスは、2種類以上の形状のノズル孔を有するものであることが好ましく、溶融紡糸直後のストランドを200℃以上280℃以下で加熱する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塩化ビニル繊維を安定的に生産可能になる
【発明を実施するための形態】
【0008】
塩化ビニル樹脂は、塩化ビニル単量体やこれと共重合可能な単量体を従来公知の塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等その重合方法により重合して得られるものである。このような塩化ビニル樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、及びそれらの相互のブレンド品、あるいはそれらの塩化ビニル系樹脂と他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン等とのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等がある。
【0009】
塩化ビニルの単独重合体の場合、特に粘度平均重合度は600〜2000の塩化ビニル単独重合体が、引張物性などの品質面で好ましい。また、重合度の異なる塩化ビニルの単独重合体を2種以上混合してなる混合物も使用できる。
【0010】
塩化ビニル樹脂には、得られる塩化ビニル繊維の特性を阻害しない範囲で、従来公知の添加剤を配合することもできる。添加剤としては熱安定剤、可塑剤、滑剤、相溶化剤、加工助剤、強化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、充填剤、難燃剤、顔料、初期着色改善剤、導電性付与剤、表面処理剤、光安定剤、香料、加工性改良剤などがある。
加工性改良剤としては、EVA系樹脂、ポリウレタン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、MBS系樹脂、ABS系樹脂などがある。これら加工性改良剤の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、0.5〜10重量部程度が好ましい。
【0011】
また、塩化ビニル樹脂には、有機酸亜鉛塩やβ−ジケトン化合物を含有することで初期の着色を抑制し得ることができる。
【0012】
ここで有機酸としては、カルボン酸、フェノール類又は有機リン酸等が挙げられ、有機酸亜鉛塩は、正塩、酸性塩、塩基性塩あるいは過塩基性塩であってもよい。
【0013】
カルボン酸としては、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルへキシル酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、クロロステアリン酸、12−ケトステアリン酸、フェニルステアリン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレイン酸、オレイン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及び類似酸ならびに獣脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、桐油脂肪酸、大豆油脂肪酸及び綿実油脂肪酸等の天然に産出する上記酸の混合物、安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、エチル安息香酸、イソプロピル安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、サリチル酸、5−第三オクチルサリチル酸、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸、アジピン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられ、また、上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等が挙げられ、上記有機リン酸としては、例えば、モノ又はジオクチルリン酸、モノ又はジドデシルリン酸、モノ又はジオクタデシル燐酸、モノ又はジ(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
【0014】
これら有機酸亜鉛塩の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部がよい。
【0015】
β−ジケトン化合物としては、例えば、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトン、ステアロイルベンゾイルメタン、カプロイルベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸、トリベンゾイルメタン、1,3−ビス(ベンゾイルアセチル)ベンゼン等あるいはこれらの金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛等)等が挙げられる。
【0016】
これらβ−ジケトン化合物の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量部がよい。
【0017】
塩化ビニル樹脂には、さらに通常の塩化ビニル樹脂用添加剤として用いられている各種の添加剤、例えば、有機酸アルカリ土類金属塩、有機錫化合物、可塑剤、滑剤、防曇剤、防霧剤、液状ポリブタジエン、過塩素酸塩類、ゼオライト化合物、有機ホスファイト化合物、フェノール系又は硫黄系抗酸化剤、エポキシ化合物、ポリオール類、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、その他の無機金属化合物等を配合してもよい。
【0018】
塩化ビニル繊維は、塩化ビニル樹脂とこれらの添加剤を、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合設備を用いて混合し、得られた混合物を粉末状のまま直接押出機へ投入して溶融紡糸する。また、押出機、ニーダー、混連ロール等で造粒化して紡糸原料とした後、紡糸してもよい。溶融紡糸する押出機および造粒するために用いられる押出機としては、例えば、単軸押出機、異方向2軸押出機、コニカル2軸押出機などを使用でき、これらの中でも、口径が20〜90mmφ程度の単軸押出機を用いることが好ましい。
【0019】
溶融紡糸に用いられるダイスは、120孔以上1200孔以下のノズル孔を有するものがよい。ダイスのノズル孔数が120孔未満の場合は、樹脂圧力が高くなってダイスと押出機との間から樹脂漏れが発生しやすくなり、またノズル磨耗度が増加する場合がある。ノズル孔数が1200孔を超える場合は、紡糸直後の加熱装置でストランドを均一に加熱できなくなり、糸切れが発生しやすくなる場合がある。
【0020】
ダイスのノズル孔の形は、特に限定するものではないが、円状や楕円状、繭状、Y状、X状など、得られる塩化ビニル繊維の特性に合わせて適宜選択すればよい。これらのなかでも、楕円状のノズル孔と繭状のノズル孔を混在させた、いわゆるマルチタイプのダイスを用いることが好ましい。
マルチタイプのダイスを用いる場合には、楕円状のノズル孔と繭状のノズル孔の比率が1:1であって、かつこれらの孔が均一に分散して配置されているものが好ましい。
【0021】
ダイスのノズル孔の配置は、特に限定するものではないが、同心円状に配置することが好ましい。特に、マルチタイプのノズルを用いる場合には、隣接するノズル孔同士の間隔を2〜5mmとし、それぞれ異なる形状のノズル孔を配置するとよい。
【0022】
ストランドを溶融紡糸する際のノズル孔出口における樹脂温度は、190℃以下に調整することが好ましい。樹脂温度が190℃を超えると、ダイスのノズル孔出口に樹脂溜まり(いわゆる目脂)が発生し、ストランドの単糸切れの原因となる場合がある。ノズル孔出口における樹脂温度の好ましい範囲は、165℃〜190℃、さらに好ましくは、170℃〜185℃の範囲に調整するとよい。ノズル孔出口における樹脂温度を190℃以下にするためには、押出機のシリンダー温度を140〜165℃程度とし、ダイスおよびノズルの温度を160〜170℃程度に調整すればよい。
【0023】
ストランドは、繊度800デニール以上2000デニール以下の範囲で溶融紡糸される。繊度が800デニール未満の場合は、糸が伸びきらず、糸切れが発生しやすくなる場合がある。また、繊度が2000デニールを超える場合は、糸温度が上がりきらず、糸切れが発生する場合がある。繊度は、好ましくは800〜2000デニール、さらに好ましくは1000〜1800デニールの範囲に設定するとよい。
【0024】
ダイスから溶融紡糸されたストランドは、溶融紡糸直後に加熱装置によって、200℃以上280℃以下で加熱することが好ましい。この温度範囲で加熱することにより、ストランドの延伸が安定的に行とともに、隣接するストランド同士が融着して単糸切れが発生することを防止できる。
【0025】
ストランドを加熱するための加熱装置としては、赤外線ヒーター、加熱円筒、レーザー加熱などがある。これらの中でも、加熱円筒を用いると、ストランドの加熱を効率よく行えるため好ましい。
【0026】
ストランドは、冷却装置により冷却され、冷風筒出口での張力を1.2×10−3N/本以上12.5×10−3N/本以下に調整される。張力が1.2×10−3N/本未満であると、糸の長さが不均一になり、単糸切れしやすくなる。また、張力が12.5×10−3N/本を超えるとストランドの延性がなくなり、ストランドがドラフトされず単糸切れが発生する。
【0027】
ストランドを冷却するための冷却装置としては、水冷バス、空冷装置、ミスト装置などがある。これらの中でも、空冷装置を用いると、ストランドの冷却を効率よく行えるため好ましい。
【0028】
冷却後のストランド(未延伸糸)の繊度は、300デニール以下に調整する。好ましくは、100デニール以上280デニール以下、さらに好ましくは130デニール以上、250デニール以下の範囲とするとよい。
未延伸糸の繊度が300デニールを越えると、得られるポリ塩化ビニル繊維のカール保持性などが劣る傾向が観られる。
【0029】
未延伸糸は、従来公知の方法にて延伸処理、熱処理を施して、繊度100デニール以下の塩化ビニル繊維となる。塩化ビニル繊維の繊度が100デニールを越える場合は、人工毛髪あるいは人形用頭髪繊維としては剛毛過ぎるため好ましくない。
【0030】
延伸処理条件としては、延伸処理温度70〜130℃の雰囲気下で、延伸倍率は、トータルで2倍〜4倍程度延伸することが特に好ましい。ニップロールを用いて、多段延伸することも有効である。
延伸処理温度が70℃以下であると繊維の強度が低くなると共に、単糸切れ・白髪(糸にボイドが発生し、白くなる現象)を発生し易く、130℃以上であると、糸の融着が発生し好ましくない。また、延伸倍率が2倍以下であると繊維の強度発現が不十分となり、4倍以上であると延伸処理時に、単糸切れを発生し易く、好ましくない。
【0031】
延伸処理を施した繊維は、熱処理を施して、1〜30%程度繊維を熱緩和処理するのが人工毛髪用の品質を確保する上で好ましい。
熱処理の温度条件としては、雰囲気温度100〜130℃の雰囲気下で実施することが特に好ましい。また、従来公知の溶融紡糸に関わる技術、例えば、各種ノズル断面形状に関わる技術、加熱筒に関わる技術、延伸処理に関わる技術、熱処理に関わる技術などは、自在に組み合わせて使用することが可能である。
【実施例】
【0032】
実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
塩化ビニル樹脂組成物の調整
塩化ビニル樹脂組成物は、次のようにして調整した。
塩化ビニル樹脂(大洋塩ビ社製、TH−1000)100質量部、ハイドロタルサイト複合安定剤(日産化学工業社製、CP−410A)3質量部(熱安定剤成分は1.5質量部)、エポキシ化大豆油(旭電化工業社製、O−130P)0.5質量部、エステル滑剤(理研ビタミン社製、EW−100)0.8質量部を配合した塩化ビニル樹脂組成物をヘンシェルミキサーで混合し、塩化ビニル樹脂組成物を得た。
【0036】
溶融紡糸試験
押出機として、東芝機械社製のφ40mm短軸押出機に、フルフライトスクリュー(圧縮比2.3)を組み合わせて使用した。
成形条件としては、シリンダー温度を160℃、ノズル温度170℃に調整し、定常状態になってから、吐出量12kg/hになる様にスクリュー回転数を決定してストランドを成形した。
ストランドは、表に記載のノズル孔を有するダイスを用いて、鉛直方向に、ダイスから溶融・流出させ、加熱円筒に導入して瞬間的に加熱溶融し、ノズル直下約3mの位置に設置した引取機にて、未延伸糸を一定速度で巻き取った。
この際、該未延伸糸の繊度が約145デニール程度になる様に加熱装置・冷却装置および引取速度を調節した。
表1に示す条件にて、48時間のロングラン紡糸実験を行い、その間に発生する「単糸切れ」の発生状況を目視観察し、次の様に評価した。
【0037】
[紡糸時の単糸切れ評価基準]
◎:単糸切れ=0〜1本/48時間
○:単糸切れ=2〜4本/48時間
△:単糸切れ=5〜15本/48時間
次に前記未延伸糸を延伸・熱処理機に導入して、延伸処理温度100℃、延伸倍率3.5倍で延伸処理し、さらに110℃で弛緩倍率0.7倍となるように熱処理をして塩化ビニル繊維とした。この際、熱処理は、30%緩和に固定し、延伸処理は、最終のアニール糸の繊度が、約60デニール程度になる様に延伸倍率を若干調整した。上記条件にて、延伸・アニール処理実験を8時間実施し、この間に発生する「単糸切れ」の発生状況を目視観察し、次の様に評価した。
【0038】
[延伸・アニール処理時の単糸切れ評価基準]
◎:単糸切れ=0〜1本/8時間
○:単糸切れ=2〜4本/8時間
△:単糸切れ=5〜15本/8時間
次に前記アニール糸を引張試験、熱収縮試験、カール試験に供し、強度、熱収縮率およびカール保持性を求めた。尚、アニール糸の引張試験は、常法に基づいて実施し、熱収縮試験およびカール試験は、以下の様な手順で実施した。
【0039】
[引張試験]
JIS−L1069に準拠し、繊維(アニール糸)束から10本の単繊維をランダムに選択して、これら各単繊維の引張試験を行い、平均値を求めた。尚、試験温度は、23℃、相対湿度は、50%、引張速度は、200mm/min、空間距離(チャック間距離)は、200mmで行なった。
【0040】
[熱収縮試験]
120本の単繊維からなる繊維(アニール糸)束を一定の長さに切断し、100℃の雰囲気温度の空気循環式オーブンに投入して、15分熱収縮させ、該熱処理後の長さを測定して、以下の様な計算にて、熱収縮率を求めた。
熱収縮率(%)=(熱処理前のアニール糸長−熱処理後のアニール糸長)/熱処理前のアニール糸の長さ×100
[カール保持性試験]
繊維(アニール糸)束を1000mmの長さに切断し、30mmφのアルミ製筒に巻き付け、両端を固定し、85℃の空気循環式オーブンに投入して30分間加熱した。
次いで、該アルミ筒(繊維を巻き付けたままで)を放熱し、糸温度が下がったところで、一方の端を固定して吊り下げた。
その際、該繊維束の初期吊り下げ長(L0)を測定し、そのまま、1日間放置し、放置後の吊り下げ長(L)を測定し、次の様な基準でカール保持性の評価を行った。
【0041】
[カール保持性評価基準]
◎:(L−L0)/L0が、0%以上15%未満
○:(L−L0)/L0が、15%以上25%未満
△:(L−L0)/L0が、25%以上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂を、120孔以上1200孔以下のノズル孔を有するダイスを用いて繊度800デニール以上2000デニール以下のストランドとして溶融紡糸し、得られたストランドを冷却して張力1.2×10−3N/本以上12.5×10−3N/本以下、繊度300デニール以下の未延伸糸とし、得られた未延伸糸を延伸処理、熱処理して、繊度100デニール以下の繊維とする塩化ビニル繊維の製造方法。
【請求項2】
ダイスが、2種類以上の形状のノズル孔を有するものであることを特徴とする請求項1記載の塩化ビニル繊維の製造方法。
【請求項3】
溶融紡糸直後のストランドを200℃以上280℃以下で加熱する工程を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の塩化ビニル繊維の製造方法。

【公開番号】特開2011−226014(P2011−226014A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95726(P2010−95726)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】