説明

塩化銀の精製方法

【課題】不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、酸化剤添加量を最小に抑えながら、不純物元素を高度に、例えば1ppm以下にまで低減することができる効率的な塩化銀の精製方法を提供することにある。
【解決手段】不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、前記塩化銀を酸性水溶液中に懸濁した後、得られたスラリーに常温下に酸化剤を添加しながら酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を800〜1200mVに調整し酸化処理を行なうことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化銀の精製方法に関し、さらに詳しくは、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、酸化剤添加量を最小に抑えながら、不純物元素を高度に、例えば1ppm以下にまで低減することができる効率的な塩化銀の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、銀を含有する製錬中間物、スクラップ等の二次原料等から銀を回収する方法として、水溶液又は固体中の銀を、湿式法で分離回収する方法の一つとして、銀化合物をハロゲン化銀、硫化銀等の難溶性銀化合物に一旦変換し、粗分離する方法が広く用いられている。この方法は、金、白金族元素等の貴な金属を始め、共存する大部分の金属から銀を粗分離することができるという利点を有する。
【0003】
ところで、銀を含有する製錬中間物としては、銅電解精製及び鉛電解精製において生成される貴金属を含有する電解スライムが代表的なものである。銅製錬または鉛製錬の電解精製工程においては、陽極より剥離した異物が電解スライムとして電解槽中に滞積する。この電解スライム中には、銀を初め、各種の有用金属が含有されているため、電解スライムを回収し、あらためて、電解スライムより有用金属を分離抽出する作業が行われている。例えば、銅電解精製工程にて回収される銅電解スライムは、銅、セレン、鉛を主要成分とし、これ以外に、アンチモン、ビスマス、テルル、金、銀等を含んでいる。そこで、まず、銅電解スライムに硫酸浴による銅抽出処理を施し、銅電解スライムより銅の大部分を分離抽出して抽出残渣を分離する方法がとられる。この脱銅スライムから有用金属を分離抽出する方法としては、引き続き、脱銅スライムを塩素浸出し、アンチモン、ビスマス、テルル、セレン、鉛、金等の大部分を含有する浸出液と銅、セレン、テルル、及び金等の不純物元素を含んでいる塩化銀(以下、粗塩化銀と呼称する場合がある。)に分離し、これより還元銀を製造するする方法が行なわれる。
【0004】
これらの方法の代表例として、脱銅したアノードスライムに塩酸と過酸化水素とを添加して浸出する工程、得られた残渣に炭酸ナトリウムを添加して塩化鉛を炭酸塩に変換する工程、その後アンモニア浸出によって塩化銀を液中に抽出する工程、ついで硫酸で中和して塩化銀析出物を生成させる工程、析出物に塩酸と過酸化水素とを添加して塩化処理する工程、塩化処理残渣に水酸化ナトリウムを添加して塩化銀を酸化銀に変換する工程、及び還元性の糖類、ヒドラジン等の還元剤を添加して酸化銀を還元して高品位の還元銀を製造する方法(例えば、特許文献1参照。)が提案され、高純度の還元銀が得られるとしている。ここで、高純度化のための精製効果において、粗塩化銀に塩酸と過酸化水素とを添加して塩化処理し、塩化処理残渣と処理後液を分離する工程も、他の工程改善とともに有効に作用しているとしている。
【0005】
もし、この工程が十分に有効に作用すれば、1〜数百ppmの不純物元素を含有する粗塩化銀を原料として用いて精製し、高純度塩化銀を製造する方法として有力な手段となるものと思われる。しかしながら、従来の提案においては、この工程の方法を用いて安定的に十分な精製度合を得るための条件が開示されていない。そのため、これまで、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、カドミウム、スズ、セレン、テルル、鉛、ビスマス、金又は白金族等の塩化物として可溶性の元素を安定して1ppm以下にまで低減させることは難しく、より高純度の塩化銀を得るためには、再溶解し塩化銀を再生成する等の繰り返し精製する手段、又は還元銀の電解精製を行なう手段等の再処理または別処理が必要であった。
【0006】
以上のような状況から、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、再処理または別処理が不必要で不純物元素を安定的に、高度に、例えば1ppm以下にまで低減することができる効率的な塩化銀の精製方法が求められていた。
【0007】
【特許文献1】特開平9−316559号公報(第1頁、第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、酸化剤添加量を最小に抑えながら、不純物元素を高度に、例えば1ppm以下にまで低減することができる効率的な塩化銀の精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中において酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法について、鋭意研究を重ねた結果、粗塩化銀を酸性水溶液中に懸濁した後、特定の温度下で酸化剤を添加しながら特定の酸化還元電位に調整して酸化処理を行ったところ、酸化剤添加量を最小に抑えながら、不純物元素を高度に、例えば1ppm以下にまで低減することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、不純物元素を含有する塩化銀に酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、
前記塩化銀を酸性水溶液中に懸濁した後、得られたスラリーに常温下に酸化剤を添加しながら酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を800〜1200mVに調整し酸化処理を行なうことを特徴とする塩化銀の精製方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、さらに、引き続いて、スラリーを40〜100℃の温度に加温しながら酸化処理を行なうことを特徴とする塩化銀の精製方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記酸性水溶液は、塩酸であることを特徴とする塩化銀の精製方法が提供される。
【0013】
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明において、前記酸性水溶液の酸濃度を6〜12mol/Lに調整することを特徴とする塩化銀の精製方法が提供される。
【0014】
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明において、前記不純物元素は、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、カドミウム、スズ、セレン、テルル、鉛、ビスマス、金又は白金族から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする塩化銀の精製方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塩化銀の精製方法は、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、酸化剤添加量を最小に抑えながら、不純物元素を酸化し溶解して高度に低減することができるので、その工業的価値は極めて大きい。また、再処理や別処理を行なうことなく、不純物元素を例えば1ppm以下にまで低減することができるので、特に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の塩化銀の洗浄方法を詳細に説明する。
本発明の塩化銀の精製方法は、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、前記塩化銀を酸性水溶液中に懸濁した後、得られたスラリーに常温下に酸化剤を添加しながら酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を800〜1200mVに調整し酸化処理を行なうことを特徴とする。
【0017】
本発明の方法において、不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中に懸濁した後、酸化処理として、得られたスラリーに常温下に酸化剤を添加しながら酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を800〜1200mVに調整して不純物元素を酸化し溶解する条件を用いることに重要な意義を有する。これによって、不純物元素を高度に低減することができるとともに、酸化剤等の薬品添加量を最小に抑えることができる。
【0018】
すなわち、塩化銀は酸性水溶液に溶解度見合いで溶解し、その溶解度は高温ほど大きい。また、酸性水溶液中において、塩化銀粒子の表面近傍では塩化銀の溶解反応と再結晶反応が繰り返し発生しているので、昇温に伴ないこれらの反応が促進され、塩化銀粒子が粗大化してくる。したがって、昇温に伴なって再結晶した塩化銀によって包み込まれた未溶解の不純物元素については、洗浄性が悪化する。これに対して、常温下、好ましくは0〜40℃の温度で酸化剤を添加することにより、液中に高酸化雰囲気を形成して、反応の早期に不純物元素を酸化して溶解分離することが可能となり、塩化銀粒子から高度に低減することができる。
【0019】
また、常温下で高酸化雰囲気を形成することにより、酸化剤の過剰な添加を抑制することができる。すなわち、高温下に酸化剤を添加する場合、過酸化水素のように高温において自己分解しやすい酸化剤では所望の酸化雰囲気まで上昇させるために過剰の酸化剤の添加が必要となるからである。
【0020】
上記方法において、さらに、引き続いて、スラリーを40〜100℃、好ましくは60〜80℃の温度に加温しながら酸化処理を行なうことができる。これによって、不純物元素の溶解反応を一層促進することができる。すなわち、高温ほど反応速度を促進することができるが、40℃未満ではあまり効果が見られず、一方、100℃を超えると、過酸化水素水又は塩素酸塩を用いるときにはこれらの自己分解が促進され、薬品使用量が増加する。
【0021】
上記方法に用いる不純物元素を含有する塩化銀としては、特に限定されるものではなく、1〜数百ppmの品位で不純物元素を含有し、塩化銀を主成分とする銀回収工程の製錬中間物が用いられるが、例えば、銅、ニッケル、鉛等の製錬プロセスの電解精製工程で生成されるアノードスライムの塩素浸出工程、めっき液及び写真現像液等の銀含有液の処理工程、スクラップ等の二次原料からの貴金属の製錬工程等で発生する粗塩化銀が挙げられる。
【0022】
上記不純物元素としては、特に限定されるものではなく、酸性水溶液、特に汎用される塩酸に可溶な元素が挙げられ、粗塩化銀の履歴等により異なるが、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、カドミウム、スズ、セレン、テルル、鉛、ビスマス、金又は白金族から選ばれる少なくとも1種の元素が挙げられる。この中で、特に、金、セレン、テルル、鉛、ビスマス及び鉄は塩化銀回収の際に塩化銀と同時に析出しやすい元素であるので、より効果的である。
【0023】
上記方法の具体的方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、まず、上記不純物元素を含有する塩化銀を原料として、所望のスラリー濃度になるように常温下に酸性水溶液中に投入し、撹拌して懸濁状態とする。次いで、スラリーに常温下に酸化剤を添加し所定の酸化還元電位に調整しながら酸化処理して不純物元素の溶出分離を行なう。
さらに、必要に応じて、引き続いて、スラリーを40〜100℃の温度に加温しながら酸化剤を添加し所定の酸化還元電位に調整しながら酸化処理を行なう。その後、精製された塩化銀と不純物元素を含む溶液とをろ過等により分離回収する。
【0024】
上記方法に用いるスラリー濃度としては、特に限定されるものではないが、100〜500g/Lが好ましい。すなわち、この範囲のスラリー濃度において、スラリー中での塩化銀粒子の分散性を向上させることと、溶出された不純物元素が塩化銀粒子に再吸着することを防止することの両面が実現される。
【0025】
上記方法で用いる酸性水溶液としては、特に限定されるものではないが、各種の鉱酸が用いられるが、この中で、特に、酸化剤により金属形態で存在する不純物元素を溶解しやすい塩素を生成し、また想定される不純物元素の塩化物の水に対する溶解度が大きいので、塩酸が好ましい。
【0026】
上記酸性水溶液の酸濃度としては、特に限定されるものではないが、6〜12mol/Lが好ましく、6〜9mol/Lがより好ましい。すなわち、酸性水溶液の酸濃度が6mol/L未満では、不純物元素の溶解度が低下する。一方、酸性水溶液の酸濃度が12mol/Lを超えると、その後スラリーの温度を昇温する場合には、塩化水素の発生により突沸する危険性がある。
【0027】
上記方法で用いる酸化剤としては、特に限定されるものではなく、塩化銀への汚染が少ない塩素ガス、過酸化水素水、塩素酸塩等が用いられる。
【0028】
上記方法で用いる酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)としては、800〜1200mVに調整されるが、900〜1000mVが好ましい。すなわち、酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が800mV未満では、上記塩化銀原料中に金属又は金属間化合物として存在し酸化により酸性水溶液に可溶となる元素、例えばセレン、テルル等の溶解が不十分である。一方、酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が1200mVを超えると、これ以上の不純物元素の溶解が得られず、酸化剤の使用量が増加し経済的でない。
【0029】
以上の塩化銀の精製方法によって、粗塩化銀中に金属又は金属間化合物として含まれる不純物元素を酸化し溶解して、粗塩化銀中の不純物元素を、例えば1ppm以下にまで高度に安定して除去することができる。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた金属の分析方法はICP発光分析法又は発光分光分析法で行なった。
【0031】
また、実施例及び比較例で用いた粗塩化銀の原料としては、図1の工程図にしたがって製造された粗塩化銀を用いた。図1は、銅電解工程から産出されたアノードスライムを原料として、粗塩化銀を製造する方法の工程図の一例を表す。
図1において、銅電解工程から産出されたアノードスライム1を塩化浸出2に付し、塩化浸出残渣3と塩化浸出液4を形成する。次に得られた塩化浸出残渣3中の塩化銀を選択的に亜硫酸塩水溶液による浸出5に付し、銀を含む浸出液6と不溶解残渣7を形成する。次いで、得られた銀を含む浸出液6を中和8して酸性にし塩化銀を析出して、粗塩化銀9と母液10を形成する。得られた粗塩化銀の組成を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
(実施例1)
まず、上記粗塩化銀350kg(湿潤重量)を、25℃の温度に調整した塩酸溶液(濃度:9mol/L)2000L中に投入し、懸濁した。次に、このスラリーに過酸化水素水(濃度35重量%)を添加し、酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を900〜1000mVに調整し、10時間保持した。なお、このときの過酸化水素水の使用量は100Lであった。
その後、スラリーを冷却した後、固液分離を行ない、回収した塩化銀を充分に水洗浄した後、分析し、得られた塩化銀の品位と洗浄率を求めた。結果を表2に示す。
【0034】
(実施例2)
まず、上記粗塩化銀350kg(湿潤重量)を、25℃の温度に調整した塩酸溶液(濃度:9mol/L)2000L中に投入し、懸濁した。次に、このスラリーに過酸化水素水(濃度35重量%)を添加し、酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を900〜1000mVに調整した。次いで、スラリー温度を80℃に昇温し1時間保持した。なお、昇温中及び保持中は、酸化還元電位が1000〜1200mVになるよう過酸化水素を滴下し、酸化処理を行なった。なお、このときの過酸化水素水の使用量は80Lであった。
その後、スラリーを冷却した後、固液分離を行ない、回収した塩化銀を充分に水洗浄した後、分析し、得られた塩化銀の品位と洗浄率を求めた。結果を表2に示す。
【0035】
(比較例1)
まず、上記粗塩化銀350kg(湿潤重量)を、塩酸溶液(濃度9mol/L)2000L中にに投入し、懸濁した。次に、このスラリーを80℃に昇温後、過酸化水素水(濃度35重量%)を添加しながら1時間保持した。なお、保持中は酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が1000〜1200mVになるよう調整した。なお、このときの過酸化水素水の使用量は160Lであった。
その後、スラリーを冷却した後、固液分離を行ない、回収した塩化銀を充分に水洗浄した後、分析し、得られた塩化銀の品位と洗浄率を求めた。結果を表3に示す。
【0036】
【表2】

【0037】
表2より、実施例1又は2では、常温下に酸化剤が添加され所定の条件で酸化処理され、本発明の方法に従って行われたので、不純物元素を酸化し溶解して高度に低減することができること及び酸化剤の使用量が低減されることが分かる。これに対して、比較例1では、酸化処理がこれらの条件に合わないので、不純物元素の品位と酸化剤の使用量において満足すべき結果が得られないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上より明らかなように、本発明の塩化銀の精製方法は、銅、ニッケル、鉛等の製錬工程の電解精製工程で発生するアノードスライムからの貴金属回収工程を始め、めっき液及び写真現像液等の銀含有液の処理工程、二次原料からの貴金属の精製工程等で発生する品位が1〜数百ppmの不純物元素を含有する塩化銀を原料として用いて、有用金属を分離するとともに、再処理又は別処理をしないで、高純度の塩化銀を得る方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】銅電解工程から産出されたアノードスライムを原料として、粗塩化銀を製造する方法の工程図の一例を表す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 アノードスライム
2 塩化浸出
3 塩化浸出残渣
4 塩化浸出液
5 亜硫酸塩水溶液による浸出
6 浸出液
7 不溶解残渣
8 中和
9 粗塩化銀
10 母液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物元素を含有する塩化銀を酸性水溶液中で酸化処理して、該不純物元素を溶解分離し精製する方法において、
前記塩化銀を酸性水溶液中に懸濁した後、得られたスラリーに常温下に酸化剤を添加しながら酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を800〜1200mVに調整し酸化処理を行なうことを特徴とする塩化銀の精製方法。
【請求項2】
さらに、引き続いて、スラリーを40〜100℃の温度に加温しながら酸化処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の塩化銀の精製方法。
【請求項3】
前記酸性水溶液は、塩酸であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化銀の精製方法。
【請求項4】
前記酸性水溶液の酸濃度を6〜12mol/Lに調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化銀の精製方法。
【請求項5】
前記不純物元素は、銅、ニッケル、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、カドミウム、スズ、セレン、テルル、鉛、ビスマス、金又は白金族から選ばれる少なくとも1種の元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塩化銀の精製方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−231397(P2007−231397A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57136(P2006−57136)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】