説明

塩害のない凍結防止剤とその製造方法

【課題】 従来は、空港の滑走路周辺又は軌道敷及び道路、農耕地融雪、融氷
及び凍結防止において、凍結防止剤が及ぼす土壌の酸性化及び鋼製品の錆発生
等、塩害による自然環境への影響を無くし、融雪、融氷及び凍結防止効果及び
土壌に効果が持続する凍結防止財を提供する。
【解決手段】魚油、尿素、PH8.5以上の強アルカリ天然温泉水及び炭酸カルシウムを含有する顆粒物であって、前記の素材の顆粒物は無塩基質であることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雪地や寒冷地で広範囲に積もった雪や氷を融解して流し去らせ、
凍結を防止するために散布する塩害のない凍結防止剤とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、空港滑の走路周辺や軌道敷の凍結防止剤としては塩化物系の塩化カ
ルシウムや岩塩は、塩基を含有する凍結防止剤で塩害問題が伴うため使用出来
なかった。
【0003】
これに代わって酢酸塩系の酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム
のほか、酢酸カルシウム・炭酸(酢酸)マグネシウム・カリウム等があり、比
較的安価で道路等の凍結防止効果はあるが、それぞれの凍結防止剤は塩害等の
害を引き起こす。
【0004】
塩化物による塩害は著しいものがあり、特に自然環境に及ぼす影響は多大な
ものがあり見直しを迫られているため、塩害の少ない凍結防止剤の開発も行な
われている。
【0005】
その文献を下記に示す。例えば、下記特許文献1にはアルカリ性カンラン玄
武岩を用い、特許文献2には、水酸マグネシウムを用い、特許文献3には、フ
ェノ−ル類を用い、また、特許文献4には、酢酸ナトリウムと尿素が用いられ
ている。特許文献5には酢酸ナトリウムと尿素を用いている凍結防止剤が記載
されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−344056号公報
【特許文献2】特開2005−290252号公報
【特許文献3】特開2004−352854号公報
【特許文献4】特開2004−067824号公報
【特許文献5】特開2002−020734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1〜5に記載された凍結防止剤によれば、従来の塩基性質の
凍結防止剤に比してその塩害は低減されている。しかし、依然として塩害が認
められ、塩害が低減された凍結防止剤は、そのコストも高いものとなっている。
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決するため塩害がなく、且つ、材料費が低
減できる凍結防止剤を提供することにある。
【0009】
前記目的を達成すべく発明者が研究を重ねたところ、魚油、尿素、PH8.5
以上の強アルカリ天然温泉水及び炭酸カルシウムを用いた凍結防止剤は、融解
して流れ去る水となり、酸性土壌の改良や肥料となる。凍結防止を果たしつつ、
塩害をなくすことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、請求項1に記載した凍結防止剤は、魚油、尿素、P
H8.5以上の強アルカリ天然温泉水及び炭酸カルシウムを含有する顆粒物であ
って、前記の素材の顆粒物は無塩基質であることを特徴とする凍結防止剤。
【0011】
請求項2に記載した凍結防止剤は、請求項1に記載したものであって、魚油、
PH8.5の強アルカリ天然温泉水及び尿素が、下記(A)、(B)、(C)、に示す
合で配合されていることを特徴とする凍結防止剤。
(A)魚油:炭酸カルシウムの配合料に対して、1.0〜5.0重量%。
(B)PH8.5強アルカリ天然温泉水:
炭酸カルシウムの配合料に対して1.0〜2.0重量%。
(C) 尿素:PH8.5以上の強アルカリ天然温泉水の割合が30〜40重量%。
(D)炭酸カルシウム:1.0Kg
【0012】
請求項3に記載した凍結防止剤は、請求項1に記載されたものであって、
融雪、融氷、凍結防止用として、耕作地に散布できることを特徴とする凍結防止剤。
【0013】
請求項4の凍結防止剤製造方法は、魚油及び尿素にPH8.5以上の強アルカ
リ天然温泉水を添加し、乳化剤を使わずにエマルション化(乳化)したバイン
ダ−液により、炭酸カルシウムと混合した顆粒状の凍結防止剤の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載する凍結防止剤によれば、魚油及びPH8.5以上の
強アルカリ天然温泉水と炭酸カルシウムは天然素材からなり、尿素は極めて水
に溶けに溶け易く、それぞれの素材は凍結防止効果が得られる。また、融雪時
に発生した水はアルカリ性で、無塩基であるため全く塩害がなく、土壌改良、
植栽及び自然環境に適した効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る製造方法を説明するチャ−トである。
【図2】本発明に係る製造方法に用いる製造装置の一例を示す概 略図である。
【図3】本発明に係る凍結防止剤の散布条件を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の凍結防止剤に混入する魚油またはEPA(エイコサペンタエン酸で
純度18%以上)、鮫肝油の多くが医薬品や健康補助食品に用いられ効果を得てい
る。本凍結防止剤は、EPAの使用が特に好ましく、前記同様の鮫肝油も使う
ことができ、分量は、炭酸カルシウム1Kgに対し、魚油1.0〜5.0%(重量%)
使用が好ましい。魚油関連は、一般販売はないが専門分野で比較的簡単に入手
できる。
【0017】
本発明の凍結防止剤に伴う混合材の尿素は、医薬品、試薬、工業用、肥料の
用途があり様々な用途に効果的に使っている。 本凍結防止材の尿素は、工業
用(純度99%)又は肥料用を用いる。融雪、融氷、凍結防止は、極めて水に
溶け易いアルカリ成分も高い尿素を用いて溶解を早め持続性を伴う。
【0018】
本発明の乳化するための手段は、高速攪拌を行なう、上記の材料及びPH8
.5〜11.0の強アルカリ天然温泉水によりエマルション化し、テ−リング剤
とする。PH8.5〜11.0の強アルカリ天然天然温泉水は、油成分の溶解を早
め、油成分の酸化防止を図るが人体等に対する悪影響は全くない。
【0019】
PH8.5〜11.0の強アルカリ天然温泉水温泉水の多くは、浴用及び化粧品
として用いられ、これらの移動は、パイプ配管及びタンクロ−リによる。
上記の素材の強アルカリ成分により、魚油のやや酸性成分による劣化を防ぐ。
強アルカリ天然温泉水の入手方法は、全国の温泉分布により把握できる。
【0020】
本発明の凍結防止剤のボリウムを附け、造粒を容易にするため、炭酸カルシ
ウム1Kgを基準に用いる。炭酸カルシウムは、医薬品、試薬、消毒薬、土壌改
良、グランドの白線用、漂白剤等々に使われていて、生石灰及び消石灰等の呼
び名もある。本凍結防止の材料は、やや白色粉末のパウダ−状であり、飽和水
溶液のPHは、12.4であるが使用上の危険性はない。
【0021】
本発明の凍結防止剤は、魚油と尿素にPH8.5以上の強アルカリ天然温泉水
を加え、乳化剤を用いず高速攪拌し、エマルション化させ、炭酸カルシウムと
混合し、造粒して乾燥させることにより製品化する。
【0022】
本凍結防止剤は、炭酸カルシウム1Kgを基準とした割合で、魚油、尿素、P
H8.5以上の強アルカリ天然温泉水をそれぞれの対比(重量%)で混入し乳化
(バインダ−液)させ、2.0〜3.0mm程度の顆粒状に仕上げ、乾燥させた凍結
防止剤である。
【実施例】
【0023】
本発明の1例を図1及び図2を用いて製造した。素材保存サイロ及び保存庫、
からそれぞれのホッパ−に、初期入力のとおり自動制御により移動し、魚油、
尿素とPH8.5以上の強アルカリ天然温泉水は、ミキシングタンク内で、市販
の高速攪拌機により高速攪拌しつつ乳化したものを造粒機へ自動制御により送
り込む。
【0024】
上記記載の乳化したものをバインダ−液とし、造粒機内で炭酸カルシウムを
混入することにより混和させ造粒する。
造粒は、市販のバッチ方式又は連続方式の造粒機により、材料供給から排出
を全自動制御による造粒製造方法とする。
【0025】
造粒された製品は、市販の乾燥機で含水率5%まで乾燥し、ふるいに掛けて
完成品となる。造粒機内又はふるい下の完成品以外の材料は、再び造粒機に戻
し、新しい素材と混入し再造粒できる。
【0026】
完成した凍結防止剤は、防水を施した20Kg袋詰め又はフレコンバック詰め
にして輸送し、バラ状態の製品はタンクロ−リ−により輸送する。
【0027】
本発明の融雪、融氷、凍結防止剤の試験方法について、図3の(表)に基づいて説明する。例えば、外気温度が0℃〜―5℃のとき又は、−10℃〜−20℃のときに分け、使
用方法・散布量の目安は散布面積1平米当りに対し、下記のとおりとする。
i) 散布する場所が乾燥状態で事前散布の場合、100gを均等に散布。
ii) 積雪1cm〜2cmで路面凍結ない場合、80g〜100gを散布。
iii) 積雪2cm〜5cmで路面に凍結ある場合、100g〜120g散布。
iv) 積雪5cm〜10cmで路面凍結ある場合、150g〜180g散布。
v)積雪10cm以上で路面凍結ある場合、除雪して積雪2〜3cm程度にした
上、120g散布する。
vi) アイスバ−ンで連続凍結の場合、短時間に融氷効果を上げるため180
gの分量を均等になるように散布し載せる。
vii) 農業耕作地における融雪においては、面積1平米当り、本凍結剤180g程度以上を雪の上に均等に載せておく。
viii)散布方法は、人力による手散布又は散布車による散布方法。
【0028】
路面等が事前に濡れた状態で、凍結の心配があるような場合は、1平米当りの
散布量は、150g程度とする。
【0029】
田、畑等の農耕地における早期消雪目的使用の場合、1平米当りの散布量は、
180g程度以上散布する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の融雪剤又は融氷剤及び凍結防止剤は、従来の融雪又は融氷及び凍結
防止剤と異なり、塩害の恐れは全く無く、人体及び自然環境に適応できる成分
を主体として構築されたものであり、融雪又は融氷及び凍結防止のために散布
使用量を誤って多量に散布した場合であっても周囲に対する塩害等の悪影響は
全くなく、従来の凍結防止剤と比較した場合も低コストのため、今後は、空港
や精密機器取り扱い場所は勿論、軌道敷並びに道路及び農耕地においても広く
用いることが可能となり、従来からの課題の解決を図ることができ、社会に大
きく貢献することができる。











































【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚油、尿素、PH8.5以上の強アルカリ天然温泉水及び炭酸カルシウムを含
有する顆粒物であって、前記の素材の顆粒物は無塩基質であることを特徴とす
る凍結防止剤。

【請求項2】
魚油、PH8.5の強アルカリ天然温泉水及び尿素が、下記(A)、(B)、(C)、
に示す割合で配合されていることを特徴とする請求項1に記載の凍結防止剤。
(A)魚油:炭酸カルシウムの配合料に対して、1.0〜5.0重量%。
(B)PH8.5強アルカリ天然温泉水:
炭酸カルシウムの配合料に対して1.0〜2.0重量%。
(C)尿素:PH8.5以上の強アルカリ天然温泉水の割合が30〜40重量%。
(D)炭酸カルシウム:1.0Kg。

【請求項3】
融雪、融氷、凍結防止用として、耕作地に散布できることを特徴とする請
求項1に記載する凍結防止剤。

【請求項4】
魚油及び尿素にPH8.5以上の強アルカリ天然温泉水を添加し、乳化剤を使
わずにエマルション化(乳化)したバインダ−液により、炭酸カルシウムと混
合した顆粒状の凍結防止剤の製造方法。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−202150(P2011−202150A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31526(P2011−31526)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(500044847)
【Fターム(参考)】