説明

塩素含有ケイ素

本発明は、化学式がSiClx、ここでx=0,01〜0,8であって、特にはクロロポリシランを600℃未満の温度で熱分解して生成することのできる塩素化ポリシランに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素含有ケイ素に関する。
【背景技術】
【0002】
塩化物含有ケイ素は種々の形のものが知られている。例えば、特許文献1では、ハロシランからケイ素を生成する方法が記載されており、第1ステップでハロシランはプラズマ放電のもとでハロゲン化ポリシランに変換され、次の第2ステップで加熱によりケイ素に分解される。ハロゲン化ポリシランを分解するためには、好ましくは400℃〜1500℃の温度に加熱する。実施例では800℃、700℃、900℃、そして再び 800℃の温度を採用している。実施例が真空中で成されているので、採用される圧力に関していえば、減圧を採用することが好ましい。この方法はできるだけ純粋なケイ素を生成することを目的としている。特に、得られるケイ素はハロゲン化物の含有量が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/125425号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塩化物含有ケイ素の特別の変異体は塩素化ポリシラン(PCS)である。本発明の目的はそのような塩素化ポリシランの更なる変異体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記目的は、xが0.01〜0.8である実験式SiClxを有し、塩素化ポリシラン、特に非晶質のものによって達成される。
【0006】
(実験)式SiClx、ここでxは 0.01〜0.8(分析値)の塩素化ポリシランは、xが1未満であるので、高度に架橋した塩素化ポリシランである。したがって、この化合物は立体的ケイ素骨格を有しており、1又はより多くの塩素置換基を有したケイ素原子に加えて、塩素置換基を持たず他のケイ素原子にのみ結合しているケイ素原子を有している。これとは異なり、実験式SiClx、ここで1<x<2の塩素化ポリシランは、平均的に、各ケイ素原子が少なくとも1つの塩素置換基を有しているので、架橋度が比較的低い化合物である。このようなポリシランは、直鎖構造及び/又は環構造を有し、x≧2であり、さらに架橋結合を有している化合物と比べて、例えば多環構造あるいはシート状構造、2次元的構造という呼び方で特徴付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】組成物SiCl0.05〜SiCl0.07の塩素含有ケイ素のIRスペクトルである。
【図2】組成物SiCl0.7の塩素含有ケイ素のIRスペクトルである。
【図3】組成物SiCl0.7の塩素含有ケイ素の固体29Si NMRスペクトルである。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】組成物SiCl0.7の塩素含有ケイ素の固体1H NMRスペクトルである。
【図6】実験式SiCl0.05の塩素含有ケイ素のラマンスペクトルである。
【図7】高温で得られた塩素化ポリシランの粉末X線回折図(Cu−Kα)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実験)式SiClx、ここでxは 0.01〜0.8(分析値)の塩素化ポリシランは、xが1未満であるので、高度に架橋した塩素化ポリシランである。したがって、この化合物は立体的ケイ素骨格を有しており、1又はより多くの塩素置換基を有したケイ素原子に加えて、塩素置換基を持たず他のケイ素原子にのみ結合しているケイ素原子を有している。これとは異なり、実験式SiClx、ここで1<x<2の塩素化ポリシランは、平均的に、各ケイ素原子が少なくとも1つの塩素置換基を有しているので、架橋度が比較的低い化合物である。このようなポリシランは、直鎖構造及び/又は環構造を有し、x≧2であり、さらに架橋結合を有している化合物と比べて、例えば多環構造あるいはシート状構造、2次元的構造という呼び方で特徴付けることができる。
【0009】
結晶質の塩素化ポリシランに比べると、本発明の非晶質塩素化ポリシランは典型的に反応性が高く、その理由は、特には、より高いエネルギー状態とよりコンパクトな構造にあると信じられる。この強化された反応性により、当該非晶質塩素化ポリシランは、例えば、金属ケイ素から不純物を取り除くために用いることが可能である。
【0010】
xは0.5〜0.7であることが好ましい。この種の塩素化ポリシランはその反応性のゆえに、更なる用途に適する。本書において塩素含有量とは、サンプルを完全に消化したのち、モール法により塩化物を滴定することにより測定されるものである。
【0011】
本発明によるところの塩素化ポリシランは高い架橋度を有している。そのため、特に生成が600℃より低い温度で数時間以内に行われる場合に、非晶質物質であることがより一般的である。物性が非晶質であることは粉末X線回折法によって測定された。回折図にシグナル(あるいは回折強度)がなければ非晶質状態である。生成がより高い温度、例えば900℃で起こると、生成物はより結晶質となり、粉末X線回折図においてケイ素の強度を示す(図7参照)。一般的に、本発明の塩素化ポリシランは、通例、結晶質ケイ素に起因するいかなるシグナルを示さず、より具体的には、7.84、8.55、10.03、10.76、28.6、47.5、56.3、69.4、76.6及び88.2 (±0.2)の2θ値においてシグナルを示さない。これらの値はCu−Kα照射を用いて記録される粉末回折図に基づいている。
【0012】
本発明に関わる塩素化ポリシランは塩素含有ケイ素と呼ぶこともできる。
【0013】
本発明の塩素化ポリシランはまた水素を含有していることもある。水素はその中では特にケイ素に結合して存在している。通常、当該ポリシランの水素含有量は5atom%未満、特には2atom%未満、例えば1atom%未満である。
【0014】
このような量の水素があることは本発明の塩素化ポリシランの更なる用途、例えば塩素化によるペルクロロジシランの合成において反応収率の点で有利である。
【0015】
一実施形態によると、本発明の塩素化ポリシランは橙赤色、暗赤色、茶色、又は灰色である。橙赤色から茶色のものは塩素が高いレベルにあることを示しており、従って、概して好ましい。
【0016】
更に別の実施形態によると、本発明の塩素化ポリシランは、溶解に際して、次のような挙動をする。すなわち、当該ポリシランを、ある不活性溶液にその不活性溶液の10倍の重量だけ懸濁させたとき、用いられた質量の20%未満が溶解可能である。(いかなる)不活性溶媒においても、その不活性溶媒の100倍の重量の当該ポリシランを懸濁させたとき、その質量の20%未満が溶解可能である。ここで不活性溶媒は、塩素化シランと反応しない溶媒であり、より具体的には非求核非プロトン性溶媒である。上記した挙動は、好ましくはベンゼン、トルエン、シクロヘキサンの少なくとも1つ、より好ましくはこれら全ての溶媒においても起こる溶解挙動である。
【0017】
本発明に関わる高度に架橋した塩素化ポリシランは、化合物SiCl0.05乃至SiCl0.07及び SiCl0.7を参照して以下により詳しく説明する。そのような塩素含有ケイ素へのIR分光計測(ATRテクニック、ダイヤモンド・シングル反射)は、特に波数1019〜1039の範囲で、より好ましくは波数1029cm-1において有意な帯域を有する。その強度は塩化物含有量に依存し、図1と図2とを比較すると明白であるように、塩化物含有量の増加とともに増加する。更なる有意な帯域が、波数840〜860の範囲、及び/又は2300〜2000の範囲に生じる。当該塩素化ポリシランが水素を含んでいる場合には、より堅調に帯域が波数2300〜2000の範囲に生じ、これは特にSi−H振動に起因するといえる。本出願において、有意な帯域とは、その帯域の強度が最高強度を有した帯域の10%より大きいことを意味する。
【0018】
NMRスペクトル分析によると、プラズマ化学的に生成した塩素化ポリシランから得られる生成物について以下のようなことがわかる。
(i)29Si NMR (固体状態):δppm;3.53;−0.37、−4.08、−6.47、−7.82、−18.67、 −45.81、−79.91 (シャープ)、40〜−21及び−60〜−118 (ブロード)。本出願において、シャープとは、概して問題にしているシグナルの半値幅が100ヘルツを越えないことを意味すると理解されたい。本出願において、ブロードシグナルとは、概して固体NMRにおいて、100ヘルツを越える半値幅がある場合を意味すると理解されたい。
【0019】
(ii)1H NMR (固体状態):当該生成物は、1H NMRスペクトルにおいて、3〜10ppmで、好ましくは5〜10ppmで、ブロードで弱いシグナルを示すが、より好ましくは、8〜6ppmの化学シフト範囲で最大となるシグナルを示す。これは、このシグナルの形状が当該生成物に典型的なものであるから、当該生成物に含有される残留水素に起因する。さらに、予測によれば、水素レベルが出発物質においても低いので、信号強度が低い。3〜10ppmの範囲における化学シフトは、本発明の生成物に関し予測されるシフト範囲を含む。従って、観察された1H NMRスペクトルは、プラズマ化学的に生成された塩素化ポリシランから本発明の方法によって得られる生成物に特徴的なものである。水素含有量は、内部標準を用い1H NMRスペクトルを積分し、積分結果を既知の混合比について比較することにより定量できる。
【0020】
用いられる出発物質は特には、実験式SiClx、ここでxは0.2〜0.8の塩素化ポリシランであり、これはプラズマ化学処理あるいは熱的に生成されるクロロポリシラン、例えば(SiCl2)xを熱分解することにより得られる。
【0021】
例えば(SiCl2)xのように、プラズマ化学的に生成されたクロロポリシランは、特に純粋化合物としての、あるいは化合物の混合物としてのハロゲン化ポリシランであることができ、各々の化合物が少なくとも1つのSi−Si直接結合を有しており、これの置換基はハロゲン、またはハロゲンと水素とであって、当該組成物において置換基対ケイ素の原子比は少なくとも1:1であり、
a.当該ポリシランの水素含有量は2atom%未満であり、
b.当該ポリシランはほとんど分岐鎖と環鎖とを持たず、短鎖部分の分岐点のレベル、特にネオヘキサシラン、ネオペンタシラン、イソテトラシラン、イソペンタシラン及びイソヘキサシランの過ハロゲン化誘導体の合計部分のレベルは、生成混合物の総量の1%未満であり、
c.当該ポリシランはラマン分子振動スペクトルのI100/I132比が1を越え、ここでI100は100cm-1におけるラマン強度、I132 は132cm-1におけるラマン強度であり、
d.29Si NMRスペクトルにおける、その有意な生成物のシグナルは、置換基が塩素である場合、+15ppm〜−7ppmの化学シフト範囲に生じる。
【0022】
ここで、分岐点のレベルは第3級及び第4級ケイ素原子についての29Si NMRシグナルを積分することにより定量できる。ハロゲン化ポリシランの短鎖部分とは、6個以下のケイ素原子を有したシランであると理解されたい。別の実施形態によると、塩素化された短鎖シランの部分は、次のような方法を用いるなら特に迅速に定量できる。すなわち、まず29Si−NMRにおける+23ppm〜−13ppmの範囲分を積分し(29Si−NMRにおいて第1級及び第2級ケイ素原子からのシグナルは、この範囲に特に現れる)、次に第3級及び第4級ケイ素原子の信号を、ネオヘキサシラン、ネオペンタシラン、イソテトラシラン、イソペンタシラン及びイソヘキサシランの各々の過ハロゲン化誘導体に毎に、−18ppm〜−33ppm及び−73ppm〜−93ppmの範囲で積分する。その後、各々の積分値の比Ishort-chain:Iprimary/secondary(ここで、短鎖シランの部分をshort−chain、第1級ケイ素原子をprimary、第2級ケイ素原子をsecondaryとする)を求める。この値は、ネオヘキサシラン、ネオペンタシラン、イソテトラシラン、イソペンタシラン及びイソヘキサシランの各々の過ハロゲン化誘導体の積分値の合計に対して1:100より小さくなる。
【0023】
更に、これらの長鎖ハロゲン化ポリシランの合成法及び特性については、国際公開第2009/143823号の特許出願に記載されており、ここに当該公報の特性と合成に関しての記載を一切本書に編入されたものとする。
【0024】
更にまた、国際公開第2006/125425号に記載された過ハロゲン化ポリシランを用いることも可能であり、ここに当該公報の特性と合成の記載について同様にその一切を本書に編入されたものとする、但し当該公報において用いられているプラズマは比較的高い出力密度を有しているので生成物のスペクトルが変化することを注記しておく。
【0025】
熱的に生成されたクロロポリシラン、例えば(SiCl2)xは特に純粋化合物としての、あるいは化合物の混合物としての塩素化ポリシランであることができ、当該混合物の各々の化合物は少なくとも1つのSi−Si直接結合を有しており、これの置換基は塩素、または塩素と水素であって、この組成物にあって置換基対ケイ素の原子比は少なくとも1:1であり、
a.当該ポリシランは、生成混合物全体の1%を越える高い分岐点の割合を有した環状及び鎖状より成るポリシランであり、
b.当該ポリシランは1より低いラマン分子振動スペクトルI100/I132を有しており、I100 は100cm-1におけるラマン強度であり、I132は132cm-1におけるラマン強度であり、
c.29Si NMRスペクトルにおけるその有意な生成物のシグナルは、+23ppm〜−13ppmの化学シフト範囲、−18ppm〜−33ppmの化学シフト範囲、及び/又は−73ppm〜−93ppmの化学シフト範囲に生じる。
【0026】
これらの分岐したハロゲン化ポリシランの合成及び特性は国際公開第2009/143824号の特許出願に記載されており、その特性及び合成に関する記載を一切本書に編入する。
【0027】
本発明の塩素化ポリシランは塩素化ポリシランの熱分解、特には温度範囲350℃〜1200℃における熱分解によって得ることが可能である。非晶質の塩素化ポリシランを得るためには、当該温度は一般に600℃より低くし、例えば400〜500℃の間であってもよい。しかしながら、非晶質塩素化ポリシランは反応時間を十分短くすることにより高温でも得ることができる。
【0028】
当該熱分解反応はいかなる所望の圧力でも起こすことが可能である。しかしながら、当該熱分解により生成される短鎖クロロシランは自動的に蒸留分別されるので、大気圧で行うより、例えば300hPa未満の減圧で行うことが有利である。しかし、典型的には圧力は100hPaより高めにし、以って蒸留による除去を過度に促さないようにする。また低めの圧力でも定温においては反応に効果があり、高めの塩素含有量が達成できるようになる。大気圧を採用する場合においても、短鎖クロロシランは反応後に蒸留分別あるいはSiCl4による抽出により除去可能である。
【実施例】
【0029】
<実験実施例1>
連続熱分解において、適切な反応容器内で温度が450℃に調節され、当該反応容器は250hPaに減圧された。局所温度120℃である熱分解ゾーンの上流域において、平均実験式SinCl2n(Φn=18)を有するポリクロロシラン混合物を滴下により、低分子量の希釈液としてのSiCl4の80%溶液に加えた。当該ポリクロロシラン混合物は推進手段により本装置のホットゾーン(450℃)を通過した。当該ホットゾーンにおける滞留時間は好ましくは30分〜1時間である。本処理において、当該ポリクロロシラン混合物は、実験式がSiCl0.7であって、固体で高度に架橋され、橙色〜赤色の塩素化ポリシラン(塩素含有ケイ素)と短鎖クロロシランとに転化された。当該SiCl0.7は、収集容器に集められた。希釈剤SiCl4と、当該熱分解によって生成された短鎖クロロシラン(SiCl4、Si2Cl6、Si3Cl8)とは蒸気として排出されて凝縮された。
【0030】
出発物質に基づいた収率:SiCl0.7の20質量%及び短鎖クロロシランの80質量%(希釈剤の量を含まず)。
【0031】
<実験実施例2>
平均実験式SinCl2n(Φn=18)を有するポリクロロシラン混合物を含んだSiCl4の50〜60%溶液を石英ガラス容器に投入し、圧力300〜500mbarのもと300℃で2〜3時間加熱した。その後、圧力は最終的に10-1〜10-2mbarになるまで段階的に下げられ、3時間かけて900℃にまで加熱された。最後に、温度は900℃で1時間維持された。当該ポリクロロシラン混合物の熱分解に際して生じた蒸気は、液体窒素により冷やされた冷却トラップにおいて凝縮された。当該ポリクロロシラン混合物は、実験式がSiCl0.05〜SiCl0.07であって、固体で高度に架橋され、灰色の塩素化ポリシラン(塩素含有ケイ素)と短鎖クロロシランとに転化された。反応終了後、当該容器は冷却され、不活性ガスのもと当該固体生成物は除去された。
【0032】
出発物質に基づいた収率:SiCl0.05〜SiCl0.07の10〜15質量%、及び短鎖クロロシランの85〜90質量%(希釈剤の量を含まず)。
【0033】
図1及び2は、組成物SiCl0.05〜SiCl0.07(図1)及び組成物SiCl0.7(図2)の塩素含有ケイ素のIRスペクトルを示す。当該IRスペクトルは、当該固形物質について、ATR測定ユニット (”Golden Gate”, ダイヤモンドウィンドウ、単一反射)を備えたBruker Optics IFS48分光計により記録された。図3及び4は、実験式SiCl0.7を有した塩素含有ケイ素の固体29Si NMRスペクトルを示しており、図4は図3の部分拡大図である。
【0034】
図5は実験式SiCl0.7を有した塩素含有ケイ素の固体1H NMRスペクトルを示す。当該固体NMRスペクトルは、Bruker DSX-400 NMR分光計により記録されたが、その測定条件は、一方で、29Si HPDec, 79.5MHz、回転周波数7000Hz、外観表記TMS=0ppmであり、及び他方で、1Hについてパルスプログラムは400MHzでzg4pm.98であり、回転周波数は2.5mm MAS ヘッドを伴って31115Hz、表記TMS=0ppmであり、その測定は、内部基準が積分の目的で加算されていなければ希釈されていないサンプルを用いて室温で行われる。図6は、実験式SiCl0.05を有した塩素含有ケイ素のラマンスペクトルを示す。図7は高温で得られた塩素化ポリシランの粉末X線回折図(Cu−Kα)を示し、その中で結晶質部分のシグナルはケイ素に帰属するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式がSiClx(但しx=0.01〜0.8)であることを特徴とする非晶質塩素化ポリシラン。
【請求項2】
前記xが0.5〜0.7の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のポリシラン。
【請求項3】
29Si NMR スペクトルが、0〜10ppmの化学シフト範囲に、100Hzより高い半値幅を有したブロードシグナル(breites Signal)を有し、且つ−60〜−100ppmの化学シフト範囲に、100Hzより高い半値幅を有した更なるブロードシグナルを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリシラン。
【請求項4】
29Si NMRスペクトルが、10ppm〜−20ppmの化学シフト範囲に鋭いシグナルを有し、
前記シグナルは特に、少なくとも1つの信号が−18〜−20ppmの化学シフト範囲にあり、且つ/又は少なくとも4つの信号が8〜−10ppmの化学シフト範囲にあり、且つ/又は少なくとも1つの信号が−75〜−85ppmの化学シフト範囲にあり、好ましくは−78〜−81ppmの化学シフト範囲にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項5】
前記29Si NMRスペクトルは、7〜2ppm、1〜−1ppm、−3〜−5ppm、−5.5〜−7.5ppm、−7.5〜−9ppm、及び−18〜−20ppmの化学シフト範囲のいずれにおいても少なくとも1つの鋭いシグナルを有していることを特徴とする請求項4に記載のポリシラン。
【請求項6】
さらに水素を含み、前記水素が特にケイ素に結合していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項7】
前記水素の含有量が5atom%より小さく、好ましくは2atom%より小さく、例えば1atom%よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載のポリシラン。
【請求項8】
1H NMRスペクトルは、100Hzより高い半値幅を有したブロードシグナルを10〜5ppmの化学シフト範囲に有し、特に8〜6ppmの化学シフト範囲に最大値のシグナルを有することを特徴とする請求項6または7に記載のポリシラン。
【請求項9】
IRスペクトルが、波数840〜860の範囲、且つ/又は波数1019〜1039の範囲、且つ/又は波数2300〜2000の範囲において少なくとも1つの帯域を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項10】
前記IRスペクトルは、波数840〜860の範囲に1つの帯域、波数1019〜1039の範囲に1つの帯域、且つ波数2300〜2000の範囲に1つの帯域を有することを特徴とする請求項9に記載のポリシラン。
【請求項11】
ラマンスペクトルが、波数280〜330の範囲、且つ/又は波数510〜530の範囲且つ/又は波数910〜1000の範囲、且つ/又は波数2300〜2000の範囲において少なくとも1つの帯域を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項12】
橙赤色、暗赤色、茶色、又は灰色であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項13】
不活性溶液に前記不活性溶液の10倍の重量を懸濁させた場合、用いられた質量の20%未満が溶解可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項14】
塩素化ポリシランを熱分解して得られることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項15】
熱的に生成された塩素化ポリシランから得られることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項16】
プラズマ化学的に生成された塩素化ポリシランから得られることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載のポリシラン。
【請求項17】
A)特に熱的に、またはプラズマ化学的に生成されたクロロポリシランを用意する工程と、
B)用意された前記クロロポリシランを600℃未満の温度で熱分解する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載されたポリシランを製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−512839(P2013−512839A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541507(P2012−541507)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068730
【国際公開番号】WO2011/067332
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(510313360)シュパウント プライベート ソシエテ ア レスポンサビリテ リミテ (14)
【氏名又は名称原語表記】Spawnt Private S.a.r.l
【住所又は居所原語表記】16, Rue Jean l’Aveugle, 1148 Luxembourg, Luxembourg
【Fターム(参考)】