説明

墓地カロート用土壌改良材

【課題】 自然に存在する天然物を利用して土壌のアルカリ化を可能にし、これを墓地におけるカロート内及びその周辺土壌で使用することで、骨を自然に還すことが可能な墓地カロート用土壌改良材の提供を図る。
【解決手段】 墓地におけるカロート11内及びその周辺の土壌pHを改良するための墓地カロート用土壌改良材1であって、赤玉土2と、スコリア3と、麦飯石4と、を適宜混合して構成されている。このとき、前記麦飯石4が細粒化されている構成を採ることが考え得る。また、スコリア3と麦飯石4との混合割合が、容積比20対1〜20対3の範囲内であり、さらに、赤玉土2とスコリア3及び麦飯石4の混合物との混合割合が、容積比6対1〜6対3の範囲内である構成を採用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌改良材に関し、詳しくは、墓地におけるカロート内及びその周囲の土壌pHを改良するための土壌改良材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アルカリ質の資材使用等による土壌のアルカリ化が問題視されており、かかるアルカリ化土壌の性質を改良すべく、多くの土壌改良材が存在している。これら土壌改良材は、土壌のアルカリpH調整を行うべく、硫酸塩資材(硫酸鉄、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等)等の化学薬品が使用されているが、効果は一過性に過ぎないという欠点を有している。また、かかる化学薬品は自然に存在する天然物ではないため、使用による土壌その他人体への影響も懸念されるところである。
【0003】
上記問題は、墓地においても同様である。すなわち、墓地のカロート(納骨堂)には、亡くなった人の骨が埋葬されることとなるが、かかる骨を自然に還すことが望まれている。その際に障害となるのが、カロート内及びその周囲の土壌のアルカリ化である。かかるカロートは、いわゆるベタ基礎に強アルカリのコンクリートによって囲まれてできていたり、あるいは、基礎部分が強アルカリのコンクリートであってカロート自体は大谷石や御影石等の石材が使用されてできているため、カロート内及びその周囲の土壌は完全にアルカリ化の状態となってしまう。
【0004】
【特許文献1】特開2006―116422号公報
【特許文献2】特開平7―233370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、自然に存在する天然物を利用してアルカリ化された土壌を中和することが可能であって、これを墓地におけるカロート内及びその周囲土壌に使用することで、骨を自然に還すことが可能な墓地カロート用土壌改良材を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、墓地における納骨室内のpHを改良するための土壌改良材であって、赤玉土と、スコリアと、麦飯石と、を適宜混合して構成されている。
【0007】
また、本発明は、前記麦飯石が、細粒化されている構成を採用することが可能である。
【0008】
さらに、本発明は、前記土壌改良材において、スコリアと麦飯石との混合割合が、容積比20対1〜20対3の範囲内である構成とすることができる。
【0009】
そしてまた、本発明は、前記土壌改良材において、赤玉土とスコリア及び麦飯石の混合物との混合割合が、容積比6対1〜6対3の範囲内である構成とすることも考え得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材によれば、墓地におけるカロート内及びその周囲に敷設することで、カロート内及びその周囲土壌のアルカリ化を抑制しつつ中和するように作用し、カロート周辺全体を中性に近い状態へと改良することができる。これにより、カロートへ埋葬された骨が、自然環境に近い状態の中で自然へと還ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材の構成を示す説明図である。
【図2】本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材の使用例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、墓地におけるカロート11内及びその周囲のアルカリ化に対し、自然に存在する天然物を利用して中和させることにより、該カロート11内へ埋葬した骨12が自然に還ることを可能ならしめたことを最大の特徴とする。以下、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1の実施形態を、図面に基き説明する。
【0013】
図1は、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1の構成を示す説明図である。
すなわち、該墓地カロート用土壌改良材1は、赤玉土2と、スコリア3と、麦飯石4と、から構成されている。
【0014】
赤玉土2は、別名、関東ローム層赤土ともいわれ、名前の通り、玉状の土壌である。土の色は黄褐色または赤褐色であって、その保水性及び排水性の特性から、一般に園芸用土としてよく用いられている。かかる赤玉土2の酸度は、pH6.5前後の弱酸性となっている。この赤玉土2の作用により、アルカリ土壌を中和させ、かつ、土壌中へ適度な保水を行うための保水・排水性能を備えさせることができる。
【0015】
スコリア3は、火山噴出物の一種で、塊状で多孔質のもののうち暗色のものである。主に玄武岩質のマグマが噴火の際に地下深部から上昇し、減圧することによってマグマに溶解していた水などの揮発成分が発泡したため多孔質となったものであって、一般に黒色〜暗灰色であるが、噴出した時の条件によってはマグマに含まれる鉄分が酸化して酸化鉄となり、紫〜赤色となる場合がある。かかるスコリア3の酸度は、pH7.5前後の中性となっている。このスコリア3は、多孔質であるため、適度の保水性を有するとともに、土壌浄化の作用を備えるものである。
【0016】
麦飯石4は、無数の微細な孔がある岩石で、通常、豆粒あるいは米粒大の粒状で、黄白色となっている。かかる麦飯石4は、その多孔質の特性を利用して、一般に粒状のものは濾過材や水のpH調整剤として使用され、また、粉末状のものは入浴剤等に使用されている。かかる麦飯石4の酸度は、pH8前後の弱アルカリ性となっている。この麦飯石4により、土壌の浄化作用が発揮され、特に雨水や湿気等の凝水を浄化して土壌中に浸透させることができる。
【0017】
上記赤玉土2、スコリア3及び麦飯石4を適宜混合することで、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1が完成する。
このとき、麦飯石4について、細粒化されている構成が考え得る。すなわち、該麦飯石4は、一般的に豆粒あるいは米粒大の粒状で使用する場合が多いが、細粒化した粉末状であっても、その性質等に特段の差はなく、本発明の墓地カロート用土壌改良材1全体に麦飯石4を満遍なく行き渡らせるべく、該麦飯石4を細粒化して混合する態様が考えられる。
【0018】
本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1として、赤玉土2、スコリア3及び麦飯石4を混合するに際し、スコリア3と麦飯石4との混合割合を、容積比20対1〜20対3の範囲内とすることが望ましい。例えば、スコリア3が4リットルに対し、麦飯石4は0.2〜0.6リットル程度混合することとなる。麦飯石4は弱アルカリ性であるため、多く配合すると墓地カロート用土壌改良材1自体がアルカリ質になってしまい、その場合にアルカリ土壌の中和という本発明の目的に反することとなる。また、墓地におけるカロート11内及びその周囲の土壌改良として、本墓地カロート用土壌改良材1に混合する麦飯石4の量としては、上記のように若干量で充分に機能を発揮し得るものである。
【0019】
また、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1として、赤玉土2、スコリア3及び麦飯石4を混合するに際し、赤玉土2とスコリア3及び麦飯石4の混合物との混合割合を、容積比6対1〜6対3の範囲内とすることが望ましい。例えば、赤玉土2が12リットルに対し、スコリア3及び麦飯石4の混合物は2〜6リットル程度混合することとなる。赤玉土2は弱酸性であるため、多く配合することで墓地カロート用土壌改良材1自体を酸性質に保ち、アルカリ土壌の中和という本発明の目的に資することとなる。
【0020】
次に、以上の通り構成される本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1の使用例について、以下、図面に基づき説明する。
図2は、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1の使用例を示す説明図である。
【0021】
図面に示すように、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1は、墓地におけるカロート(納骨堂)11において使用されるものである。すなわち、カロート11は、底面を強アルカリのコンクリートによるベタ基礎として、側面を強アルカリのコンクリート壁あるいは大谷石や御影石等の石材によって囲むことで、略密閉の箱型構造となっている。かかるカロート11について、上部の重い墓石10本体を支えることとなるため、現状として少なくとも基礎部分についてコンクリート以外のものを使ってカロート11を作ることは考えられない。
【0022】
かかるカロート11内に骨12を埋葬するに際し、該骨12を土壌として自然に還すべく、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1をカロート11内に程よく敷き詰める。このとき、例えば本発明以外の一般的な土壌を敷き詰めた場合、強アルカリのコンクリートの影響で、敷き詰めた土壌もアルカリ化されてしまう。したがって、アルカリ土壌の中和作用を備える土壌、すなわち本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1を敷き詰めることを要する。
【0023】
なお、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1について、カロート11内にのみ敷き詰めるのではなく、図面に示すように、その周囲の土壌として使用する態様が可能である。すなわち、カロート11に使われるコンクリートのアルカリ化作用は、カロート11内だけでなくその周辺土壌Gにも影響を及ぼすため、その周辺土壌Gに代わって墓地カロート用土壌改良材1をカロート11周囲に用いることで、より中和作用効果を奏することが可能となる。
このとき、墓石10の新規建立の時点で、カロート11の周囲に該当する部分の周辺土壌Gを墓地カロート用土壌改良材1で敷設すればよく、あるいは、既存の墓石10に対しては、周辺土壌Gを掘り起こして除去した後に、墓地カロート用土壌改良材1で埋め戻すようにすればよい。
【0024】
本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1を敷き詰めたカロート11内には、埋葬すべき骨12が、骨壷や骨袋に入れられた状態、あるいは、骨壷や骨袋から出した状態で載置され、また、必要に応じて敷き詰められた墓地カロート用土壌改良材1中に埋葬されることとなる。
骨12を骨壷や骨袋から出した状態で載置あるいは墓地カロート用土壌改良材1中に埋葬した場合には、年月の経過とともにその骨12は風化し、自然へと還ることとなる。これに対し、骨12が骨壷や骨袋に入れられた状態でカロート11内に載置されている場合には、そのままでは風化することがない。したがって、カロート11内が骨壷や骨袋で一杯になった段階で、骨12を骨壷や骨袋から出して墓地カロート用土壌改良材1へ撒いたり埋めたりすることが必要となる。なお、骨壷や骨袋自体が生分解質材料により製造されていれば、該骨壷や骨袋に入れられた状態のままカロート11内に載置しても構わない。
【0025】
以上、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1について説明したが、上記実施形態はあくまで例示であって、本発明が上記実施形態や図示した構造に限定されるものではない。
例えば、本発明にかかる墓地カロート用土壌改良材1は、あらゆる構造の墓地におけるカロート11及びその周辺に使用することが可能であって、コンクリートにより略密閉されていないカロート11に使用することも充分に考え得る。
【0026】
また、本発明における赤玉土2とスコリア3と麦飯石4の混合割合については、既存土壌の性質や、今後改良される可能性のある墓石10やカロート11の材質等に鑑みて、適宜最良の混合割合が決定されればよく、上記実施形態の混合割合に限定されるものではない。
【0027】
さらには、上記実施形態において、麦飯石4の使用態様として、該麦飯石4の形状が粒状あるいは粉末状のものを、夫々単独で使用する態様について説明したが、これら粒状と粉末状とを混合たものを使用する態様も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、墓地におけるカロート11内及びその周辺土壌に使用するための墓地カロート用土壌改良材1としての発明であるが、アルカリ化環境において非化学薬品による中和を欲する場面において、天然に存在する自然物を利用して構成されている本発明は、その欲求を充足するものであり、その中和作用の効果も充分に発揮することが可能である。したがって、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0029】
1 墓地カロート用土壌改良材
2 赤玉土
3 スコリア
4 麦飯石
10 墓石
11 カロート(納骨堂)
12 骨
G 周辺土壌

【特許請求の範囲】
【請求項1】
墓地におけるカロート内及びその周辺の土壌pHを改良するための土壌改良材であって、
赤玉土と、スコリアと、麦飯石と、を適宜混合して構成されていることを特徴とする墓地カロート用土壌改良材。
【請求項2】
前記墓地カロート用土壌改良材において、麦飯石が、細粒化されていることを特徴とする請求項1に記載の墓地カロート用土壌改良材。
【請求項3】
前記墓地カロート用土壌改良材において、スコリアと麦飯石との混合割合が、容積比20対1〜20対3の範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の墓地カロート用土壌改良材。
【請求項4】
前記墓地カロート用土壌改良材において、赤玉土とスコリア及び麦飯石の混合物との混合割合が、容積比6対1〜6対3の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の墓地カロート用土壌改良材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−116826(P2011−116826A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273688(P2009−273688)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(505258852)有限会社酒井石材 (2)
【Fターム(参考)】