説明

増強された収穫高関連形質を有する植物およびその作製方法

本発明は、一般的には分子生物学の分野に関し、植物中の以下の核酸配列の発現を増加させることにより各種植物収穫高関連形質を増強する方法に関する:(i)成長調節因子(GRF)ポリペプチドをコードする核酸配列;および(ii)滑膜肉腫転座(SYT)ポリペプチドをコードする核酸配列、ここで、該収穫高関連形質は、以下の核酸配列のうちの1つの発現が増加した植物と比較して増強されている:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列。本発明はまた、以下の核酸配列の発現が増加した植物にも関する:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列;および(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列、ここで、該植物は、以下の核酸配列のうちの1つの発現が増加した植物と比較して増強された収穫高関連形質を有する:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列。本発明はまた、本発明の方法で有用な構築物も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物中の以下の核酸配列:(i)成長調節因子(GRF)ポリペプチドをコードする核酸配列;および(ii)滑膜肉腫転座(SYT)ポリペプチドをコードする核酸配列の発現を増加させるステップを含む、植物収穫高関連形質を増強する方法であって、該収穫高関連形質は、以下の核酸配列のうちの1つ:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列の発現が増加した植物と比較して増強されている、上記方法。
【請求項2】
前記GRFポリペプチドが、以下のドメイン:(i)配列番号115により示されるQLQドメインに対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有するドメイン;および(ii)配列番号116により示されるWRCドメインに対して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有するドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記GRFポリペプチドが、以下のドメイン:(i) InterPro登録番号IPR014978 (PFAM登録番号PF08880)を有するQLQドメイン;(ii) InterPro登録番号IPR014977 (PFAM登録番号PF08879)を有するWRCドメイン;および(iii) 3つのCys残基および1つのHis残基を保存された配置(CX9CX10CX2H)で含む転写エフェクター(ET)ドメインを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記GRFポリペプチドが、配列番号2により示されるGRFポリペプチドに対して、または本明細書中の表A.1に示されるポリペプチド配列のうちいずれかに対して、好ましくなっていく順に、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記GRFポリペプチドをコードする核酸配列が、表A.1に示される配列番号の核酸配列のうちいずれか1つもしくはその一部分により示されるか、または表A.1に示される配列番号の核酸配列のいずれか1つとハイブリダイズすることが可能な配列である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸配列が、表A.1に示される配列番号のGRFポリペプチド配列のうちいずれかのオルソログまたはパラログをコードする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記GRFポリペプチドをコードする核酸配列が、構成的プロモーター、より好ましくはGOS2プロモーター、最も好ましくは配列番号117により示されるイネ由来のGOS2プロモーターに機能的に連結されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記GRFポリペプチドをコードする核酸配列が、植物由来、好ましくは双子葉植物由来、さらに好ましくはアブラナ科由来、最も好ましくはシロイヌナズナ由来である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記SYTポリペプチドをコードする核酸配列のSYTポリペプチドが、N末端からC末端に向かって、以下のドメイン:(i)配列番号262のSNHドメインに対して、好ましくなっていく順に、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するSNHドメイン;および(ii) Metリッチドメイン;および(iii) QGリッチドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記SYTポリペプチドが、配列番号263により示され、図5に黒色で示されるSNHドメインの最も保存された残基をさらに含む、請求項1または9に記載の方法。
【請求項11】
前記SYTポリペプチドが、配列番号264のInterPro登録番号IPR007726を有するSSXTドメインに対して、好ましくなっていく順に、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するドメインを含む、請求項1、9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記SYTポリペプチドが、配列番号121により示されるSYTポリペプチドに対して、または本明細書中の表A.2に示される全長ポリペプチド配列のいずれかに対して、好ましくなっていく順に、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有する、請求項1、9または10に記載の方法。
【請求項13】
前記SYTポリペプチドをコードする核酸配列が、表A.2に示される配列番号の核酸配列のうちいずれか1つもしくはその一部分により示されるか、または表A.2に示される配列番号の核酸配列のいずれか1つとハイブリダイズすることが可能な配列である、請求項1、9、10、11または12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸配列が、表A.2に示される配列番号のSYTポリペプチド配列のいずれかのオルソログまたはパラログをコードする、請求項1、9、10、11、12または13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記SYTポリペプチドをコードする核酸配列が、構成的プロモーター、より好ましくはGOS2プロモーター、最も好ましくは配列番号117により示されるイネ由来のGOS2プロモーターに機能的に連結されている、請求項1、9、10、11、12、13または14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記SYTポリペプチドをコードする核酸配列が、植物由来、好ましくは双子葉植物由来、さらに好ましくはアブラナ科由来、最も好ましくはシロイヌナズナ由来である、請求項1、9、10、11、12、13、14または15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記増加した発現が、以下の核酸配列:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列;および(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列を植物に導入し、かつ発現させることにより生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記(i)および(ii)の核酸配列が、好ましくは交配により、より好ましくは再形質転換により、植物に逐次的に導入され、かつ発現される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記交配が、GRFポリペプチドをコードする導入され発現される単離核酸配列を含む雌性親植物と、SYTポリペプチドをコードする導入され発現される単離核酸配列を含む雄性親植物との間で行われるか、またはその逆で行なわれ、かつ両方の導入遺伝子の存在および発現について子孫を選別することにより行なわれ、該植物は各親植物と比較して増強された収穫高関連形質を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記再形質転換が、GRFポリペプチドをコードする核酸配列を、SYTポリペプチドをコードする導入され発現される核酸配列を含む植物、植物部分または植物細胞に導入しかつ発現させることにより、またはその逆により行なわれる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記(i)および(ii)の核酸配列が、植物に同時に導入され、かつ発現される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記(i)および(ii)の核酸配列が、1以上の核酸分子に含まれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記増強した収穫高関連形質が、以下の形質:(i)増大した初期活力(early vigour);(ii)増加した地上バイオマス;(iii)増加した植物当たり総種子収穫高;(iv)増加した種子充填率;(v)増加した(充填)種子数;(vi)増加した収穫指数;または(vii)増加した千粒重(TKW)のうち1以上である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記GRFポリペプチドをコードする核酸配列および前記SYTポリペプチドをコードする核酸配列が、構成的プロモーター、好ましくは植物構成的プロモーター、より好ましくはGOS2プロモーター、最も好ましくは配列番号117により示されるイネ由来のGOS2プロモーターに機能的かつ連続的に連結されている、請求項1〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法により取得可能な植物、植物部分(種子を含む)または植物細胞であって、(i) GRFポリペプチドをコードする単離された核酸導入遺伝子、および(ii) SYTポリペプチドをコードする単離された核酸導入遺伝子を含む、上記植物、植物部分または植物細胞。
【請求項26】
以下の配列:
(a)請求項2〜6のいずれか1項に規定されるGRFポリペプチドをコードする核酸配列;
(b)請求項9〜13のいずれか1項に規定されるSYTポリペプチドをコードする核酸配列;
(c) (a)および(b)の核酸配列の発現を駆動することが可能な1以上の制御配列;および任意により
(d)転写終結配列
を含む、構築物。
【請求項27】
前記制御配列が、少なくとも1つの構成的プロモーター、好ましくはGOS2プロモーター、より好ましくは配列番号117により示されるGOS2プロモーターである、請求項26に記載の構築物。
【請求項28】
構築物の混合物であって、少なくとも1つの構築物が以下の配列:
(a)請求項2〜6のいずれか1項に規定されるGRFポリペプチドをコードする核酸配列;
(b) (a)の核酸配列の発現を駆動することが可能な1以上の制御配列;および任意により
(c) 転写終結配列
を含み、少なくとも1つの他の構築物が、以下の配列:
(d)請求項9〜13のいずれか1項に規定されるSYTポリペプチドをコードする核酸配列;
(e) (d)の核酸配列の発現を駆動することが可能な1以上の制御配列;および任意により
(f)転写終結配列
を含む、上記構築物の混合物。
【請求項29】
前記(b)および/または(e)の制御配列が、少なくとも1つの構成的プロモーター、好ましくはGOS2プロモーター、より好ましくは配列番号117により示されるGOS2プロモーターである、請求項28に記載の構築物。
【請求項30】
以下の核酸配列:(a) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(b) SYTポリペプチドをコードする核酸配列のうち1つの発現が増加している植物と比較して増強された収穫高関連形質を有する植物を作製する方法での、請求項26もしくは27に記載の構築物または請求項28に記載の構築物の混合物の使用であって、増強した収穫高関連形質とは、以下の形質:(i)増大した初期活力(early vigour);(ii)増加した地上バイオマス;(iii)増加した植物当たり総種子収穫高;(iv)増加した種子充填率;(v)増加した(充填)種子数;(vi)増加した収穫指数;または(vii)増加した千粒重(TKW)のうち1以上である、上記使用。
【請求項31】
請求項26もしくは27に記載の構築物または請求項28に記載の構築物の混合物で形質転換された、植物、植物部分または植物細胞。
【請求項32】
以下の核酸配列:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列のうち1つの発現が増加している植物と比較して増強された収穫高関連形質を有するトランスジェニック植物を作製する方法であって、以下のステップ:
a.構成的プロモーターの制御下に、請求項2〜6のいずれか1項に規定されるGRFポリペプチドをコードする核酸配列を、植物、植物部分または植物細胞に導入し、かつ発現させるステップ;および
b.構成的プロモーターの制御下に、請求項9〜13のいずれか1項に規定されるSYTポリペプチドをコードする核酸配列を、植物、植物部分または植物細胞に導入し、かつ発現させるステップ;および
c.植物の成長および発達を促進する条件下で該植物細胞、植物部分または植物を栽培するステップ
を含む、上記方法。
【請求項33】
以下の核酸配列:(i)請求項2〜6のいずれか1項に規定されるGRFポリペプチドをコードする核酸配列、および(ii)請求項9〜13のいずれか1項に規定されるSYTポリペプチドをコードする核酸配列の発現の増加により生じる、以下の核酸配列:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列のうちの1つの発現が増加している植物と比較して増強された収穫高関連形質を有するトランスジェニック植物、または該トランスジェニック植物に由来するトランスジェニック植物細胞もしくはトランスジェニック植物部分。
【請求項34】
前記植物が、作物植物または単子葉類または穀類、例えばイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、アワ、ライムギ、ライコムギ、モロコシおよびオートムギである、請求項25、31または33に記載のトランスジェニック植物、または該トランスジェニック植物に由来するトランスジェニック植物細胞。
【請求項35】
以下の核酸配列:(i) GRFポリペプチドをコードする単離された核酸配列;および(ii) SYTポリペプチドをコードする単離された核酸配列を含む、請求項34に記載の植物の収穫可能部分であって、好ましくは種子である、上記収穫可能部分。
【請求項36】
請求項34に記載の植物および/または請求項35に記載の植物の収穫可能部分に由来する製品。
【請求項37】
以下の核酸配列:(i) GRFポリペプチドをコードする核酸配列、または(ii) SYTポリペプチドをコードする核酸配列のうちの1つの発現が増加している植物と比較して植物で収穫高関連形質を増強させるステップにおける、以下の核酸配列:(i)請求項2〜6のいずれか1項に規定されるGRFポリペプチドをコードする核酸配列、および(ii)請求項9〜13のいずれか1項に規定されるSYTポリペプチドをコードする核酸配列の使用であって、増強した収穫高関連形質とは、以下の形質:(i)増大した初期活力(early vigour);(ii)増加した地上バイオマス;(iii)増加した植物当たり総種子収穫高;(iv)増加した種子充填率;(v)増加した(充填)種子数;(vi)増加した収穫指数;または(vii)増加した千粒重(TKW)のうち1以上である、上記使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図6−5】
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【図6−6】
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【図6−7】
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【図6−8】
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【図6−9】
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【図6−10】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図10−4】
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【図10−5】
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【図10−6】
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【図10−7】
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【図10−8】
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【図10−9】
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【図10−10】
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【図10−11】
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【図10−12】
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【図10−13】
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【図10−14】
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【図10−15】
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【図10−16】
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【図10−17】
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【図10−18】
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【図10−19】
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【図10−20】
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【図10−21】
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【図10−22】
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【図10−23】
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【図10−24】
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【図10−25】
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【図10−26】
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【図10−27】
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【図10−28】
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【図10−29】
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【図10−30】
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【図10−31】
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【図10−32】
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【図10−33】
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【図10−34】
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【図10−35】
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【図10−36】
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【図10−37】
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【図10−38】
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【図10−39】
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【図10−40】
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【図10−41】
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【図10−42】
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【図10−43】
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【図10−44】
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【図10−45】
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【図10−46】
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【図10−47】
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【図10−48】
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【図10−49】
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【図10−50】
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【図10−51】
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【図10−52】
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【図10−53】
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【図10−54】
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【図10−55】
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【図10−56】
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【図10−57】
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【図10−58】
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【図10−59】
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【図10−60】
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【図10−61】
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【図10−62】
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【図10−63】
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【図10−64】
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【図10−65】
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【図10−66】
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【図10−67】
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【図10−68】
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【図10−69】
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【図10−70】
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【図10−71】
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【図10−72】
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【公表番号】特表2010−538670(P2010−538670A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525361(P2010−525361)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062540
【国際公開番号】WO2009/037338
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(501383750)ビーエーエスエフ プラント サイエンス ゲーエムベーハー (17)
【Fターム(参考)】