説明

増強された物理的安定性を有する、有効成分、懸濁化媒質、密度改変性固体を含んでなる懸濁剤

密度のマッチングが使用されて、懸濁化媒質、製薬学的懸濁剤、投薬形態物およびキット、ならびに媒質、懸濁剤および投薬形態物を作成および使用する方法が提供される。活性作用剤密度ρを有する製薬学的活性作用剤および懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を含んでなる製薬学的懸濁剤であって、懸濁化媒質密度ρSVが活性作用剤密度ρに実質的に等しい懸濁剤が提供される。懸濁化媒質は少なくとも1種の懸濁化剤を含有する。懸濁化媒質は、所望の薬物粒子または薬物粒子の組み合わせ物の密度に実質的に一致する懸濁化媒質を生成するような懸濁化剤との組み合わせ物において、少なくとも1種の密度改変性固体をさらに含有してもよい。長期貯蔵の間均一のままである製薬学的懸濁剤を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2004年8月24日提出の暫定米国特許出願第60/604、307号、および2005年8月9日提出の米国特許出願第 号からの35U.S.C.§119(e)の下での優先権の利益を請求するものであり、これらは完全に引用によって本明細書に組み入れられている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、薬物送達システムおよびそれを利用する薬物投薬形態物における懸濁化媒質(vehicle)および製薬学的懸濁剤(suspensions)、より具体的には、長期貯蔵の間均一のままである製薬学的懸濁剤に関する。
【背景技術】
【0003】
懸濁剤を含有する投薬形態物中の製薬学的作用剤の安定性を確保することは、例えば、効果的な投薬および/または貯蔵安定性のために重要である。製薬学的懸濁剤は、例えば、浸透性の、またポンプ作動性とも呼ばれる、薬物送達(drug delivery)デバイスおよび注入デポ(depot)デバイスにおいて使用することができる。
【0004】
製薬学的作用剤の安定な懸濁剤を提供する1つのアプローチは、密度が懸濁化媒質の密度よりも典型的に高い製薬学的作用剤(pharmaceutical agent)の沈降速度を遅くするのに十分に高い粘度を有する懸濁化媒質を含有する投薬形態物を提供することが必要とされてきた。懸濁液における粒子の沈降は、Stokesの式:
【0005】
【数1】

【0006】
[式中、Vは沈降速度であり、μは担体の粘度であり、gは重力加速度であり、ρは粒子の密度であり、ρは担体の密度であり、そしてRは製薬学的活性作用剤の粒子半径である]
によって特性決定することができる。引用によって本明細書に組み入れられる特許文献1は、製薬学的懸濁剤の粘度が、糊料(thickening agents)の使用によって改変されて懸濁剤の粘度を所望のレベルまで上げることができることを議論している。特許文献2は、経口投与のための水性製薬学的懸濁剤における懸濁化ポリマーの使用を議論している。
【0007】
しかしながら、粘度において非常に高い懸濁剤(例えば、10,000〜20,000ポアズ)は、例えば、送達デバイスにそのような媒質を付加するために使用される加工装置に重い負担を負わせる。非水性の非経口的に許容できる懸濁調合物または媒質を利用する応用では、これは、典型的には、媒質の選択をポリマー溶液、例えば溶媒中ポリビニルピロリドン(PVP)に限定するが、これは相分離をもたらし、そして例えば、体液への曝露後に移植デバイス(implantable devices)の流出口を塞ぎがちである。
【0008】
懸濁投薬形態物の安定性を増進するその他のアプローチは、分散された相、例えば製薬
学的活性作用剤の平均粒径を最小化することである。非特許文献1によれば、「製薬学的懸濁剤の物理的安定性は、分散媒質における大きな変化によるよりも、むしろ分散された相における改変によって、もっとも適当に調節されると考えられる。」しかしながら、製造の観点からは、薬物粒子の所望のサイズが減少するにつれて、損失の増大および取り扱い上の困難が生じる。さらに、タンパク質およびペプチドのようなある種の薬物は、薬物の完全性を維持しながら、非常に小さい薬物粒径を作成できる方法の形式は限定される。
【0009】
薬物粒子のコロイド状懸濁液は懸濁投薬形態物において使用できるが、サブミクロンの薬物粒径の使用が求められ、前述の損失の製造上の発生と取り扱いの困難をもたらす。さらに、すべての類の薬物がサブミクロンレベルにおいて調製できるとは限らない。例えば、タンパク質およびペプチドは、必要とされる加工はそれらの物理的および治療学的完全性が保存されることを保証できないので、典型的にはサブミクロン粒子としては調製されない。
【0010】
したがって、長期間にわたって物理的安定性と効果的な投薬を維持しながら、長期放出(exended−release)懸濁調合物において広範な懸濁化剤を使用する方法へのニーズが存在する。また、懸濁投薬形態物中に懸濁されたままとどまる比較的大きい製薬学的作用剤の粒径を利用する方法へのニーズも存在する。さらに、相分離に耐性である懸濁化媒質、ならびに数カ月間、そして数年さえも続けて実質的に均一のままである投薬形態物へのニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許第5,972,370号
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0191192号
【非特許文献1】the Seventh Edition of “Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems”(Ansel et al.at 350)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
1つの態様では、本発明は、所望の活性作用剤の密度を懸濁化媒質の密度と実質的に一致させる(match)ことによって製薬学的懸濁剤を製造する方法を提供する。また本発明は、懸濁化媒質(vehicles)、投薬形態物、およびキット、ならびに媒質、懸濁剤および投薬形態物を作成および使用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による製薬学的懸濁剤は、一般に、活性作用剤密度、ρを有する少なくとも1種の製薬学的活性作用剤、および懸濁化媒質密度、ρSVを有する少なくとも1種の懸濁化媒質を含有する。好適な実施態様では、懸濁化媒質密度、ρSVは、活性作用剤密度、ρに実質的に等しい。
【0013】
本発明による懸濁化媒質は、一般に、少なくとも1種の懸濁化剤を含有する。懸濁化媒質は、所望の薬物粒子の密度に実質的に一致する嵩密度を有する懸濁化媒質を生成するような懸濁化剤との組み合わせ物において、少なくとも1種の密度改変性(density−modifying)固体をさらに含有してもよい。所望の薬物粒子は、懸濁される製薬学的に活性な薬物粒子が粒子から粒子まで実質的に均一な密度をもつことを理想として、単一の活性製薬物(pharmaceutical)か、または薬物および/または不活性成分の組み合わせ物を含んでもよい。懸濁化媒質と薬物粒子の間の密度における相違は、0.1g/cc以下、好ましくは0.05g/cc以下、より好ましくは0.01g/cc以下であってもよい。また、ある種の応用、例えばタンパク質および/またはペプチドを送達するための移植デバイスでは、懸濁化媒質または懸濁化剤は実質的に非水性であることが好ましい。
【0014】
密度のマッチング(density−matching)によって、長期貯蔵の間均一のままである製薬学的懸濁剤は得ることができる。本発明による好適な懸濁剤は、少なくとも1カ月、好ましくは6カ月まで、なおより好ましくは1年以上までも、振盪することなく室温において実質的に均一のままである。
【0015】
本発明の製薬学的懸濁剤は、懸濁液を含有する広い種類の製薬学的投薬形態物中に組み入れることができる。例えば、浸透性/ポンプ作動デバイスは、一般に、注入デポ形式のデバイスが受けるように、本発明の製薬学的懸濁剤から利益を受ける。
【0016】
本発明のある実施態様では、製薬学的活性作用剤を生物学的使用環境に送達するための投薬形態物は、投薬形態物の寿命中その物理的および化学的完全性を維持し、かつ製薬学的懸濁剤に対して実質的に不透過性である第1の壁;生物学的環境に存在する外部液体に対して部分的に透過性である第2の壁;第1の壁と第2の壁によって定められるコンパートメント(compartment);コンパートメント内に位置され、そして活性作用剤密度ρを有する製薬学的活性作用剤、および懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を含有する製薬学的懸濁剤;この場合、懸濁化媒質密度ρSVは、活性作用剤密度ρに実質的に等しい;第1の壁、第2の壁およびコンパートメントと連絡するポンプ;およびコンパートメントと連絡する壁における出口を含有する。好ましくは、投薬形態物は浸透性ポンプを含有する。
【0017】
本発明によるキットは、懸濁化媒質を保持する容器および懸濁化媒質と製薬学的活性作用剤とを混合するための指示書を含有する。さらに、他のキットは、懸濁化剤および密度改変性固体とともに、それらを混合して懸濁されるべき活性作用剤粒子の密度を一致させる方法に関する指示書を含有する。
【0018】
本発明によって提供される方法は、一般に、活性作用剤密度ρを有する少なくとも1種の製薬学的活性作用剤を同定し;懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を同定し;そして活性作用剤密度ρが懸濁化媒質密度ρSVと異なるか否かを決定することを含む。少なくとも1種の製薬学的活性作用剤は、懸濁化媒質と混合されて製薬学的懸濁剤を生成することができる。
【0019】
他の実施態様では、方法は、さらに、懸濁化剤密度ρSAを有する少なくとも1種の懸濁化剤を同定し;そして固体密度ρを有する少なくとも1種の密度改変性固体を同定し;そして少なくとも1種の懸濁化剤と少なくとも1種の密度改変性固体を混合して懸濁化媒質を生成することを含む。また方法は、活性作用剤密度ρと懸濁化媒質密度ρSVとの間の相違を計算することを含んでもよい。相違が実質的である場合には、懸濁化剤または密度改変性固体のさらなる量が懸濁化媒質に添加されてもよい。また調節は、懸濁化媒質または製薬学的懸濁剤の製造中に、最初に使用されたもの以外の懸濁化剤または密度改変性固体を添加することによって実施されてもよい。
【0020】
方法は、さらに、懸濁化媒質密度ρSVおよび活性作用剤密度ρが実質的に同じである場合の懸濁化媒質において、密度改変性固体の重量分率(fraction)Xを決定することを含んでもよい。
【0021】
懸濁化媒質の製造におけるさらなる任意の段階は、過度の沈降を受けやすい粒子を沈降除去(settle out)して、「安定化された」懸濁化媒質として上澄液を保持するための遠心を含んでもよい。またこの段階は、混合中に生成された捕捉気泡を除去することに役立つ。密度改変性固体のサブミクロン粒子の製造は、意図される懸濁化液体の存在下で、例えば撹拌媒質ミル中で粒子を粉砕することを伴ってもよい。この方法では、粒
子の生成および混合段階は組み合わせることができる。
【0022】
例えば、既知の密度の懸濁化媒質を使用して製薬学的懸濁剤を製造する他の方法は、既知の密度ρSVを有する懸濁化媒質を同定し;そして活性作用剤密度ρを有する少なくとも1種の製薬学的活性作用剤を懸濁化媒質と混合して製薬学的懸濁剤を生成することを含み;この場合、既知の密度ρSVは活性作用剤密度ρと実質的に同じである。
【0023】
例えば、密度のマッチングのために意図される懸濁化媒質を調製するさらなる方法は、懸濁化剤密度ρSAを有する少なくとも1種の懸濁化剤を同定し;固体密度ρを有する少なくとも1種の密度改変性固体を同定し;懸濁化剤を密度改変性固体と混合して、媒質密度、ρSVを有する懸濁化媒質を生成し;そして媒質密度、ρSVが約1.0g/cc〜約2.5g/ccであるように、懸濁化媒質において密度改変性固体の重量分率Xを確立することを含む。この方法は、懸濁化媒質密度ρSVが、製薬学的活性作用剤の活性作用剤密度ρと異なるか否かを決定し;そして製薬学的活性作用剤を懸濁化媒質と混合して製薬学的懸濁剤を生成することを含んでもよい。タンパク質およびペプチドと一緒に(in conjunction)使用するために、生物学的に適合しうる懸濁化剤を同定することが望ましいであろう。
【0024】
なおさらなる方法は、製薬学的懸濁剤および/または製薬学的懸濁剤を含有する投薬形態物を哺乳動物に投与することを含む。
【0025】
本発明の1つの態様によれば、懸濁化媒質の密度ρSVは、製薬学的活性作用剤の密度ρに実質的に一致される。懸濁化媒質の密度は、所望の活性作用剤の密度に合わせることができる。そのように、好適な製薬学的懸濁剤は、活性作用剤密度ρを有する製薬学的活性作用剤、および懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を含有し、この場合、懸濁化媒質密度ρSVは、活性作用剤密度ρに実質的に等しい。
【0026】
懸濁化媒質は少なくとも1種の懸濁化剤を含有する。懸濁化媒質は、好ましくは、所望の薬物粒子または薬物粒子の組み合わせ物の密度に実質的に一致する密度を有する懸濁化媒質を生成するような懸濁化剤との組み合わせ物において、少なくとも1種の密度改変性固体をさらに含有する。好適な実施態様では、懸濁化媒質は薬物粒子と組み合わされて非経口的に許容できる製薬学的懸濁剤を生成する。
【0027】
実質的に等しい、実質的に一致された、実質的に同じ、または非実質的に異なる密度に関しては、懸濁化媒質と薬物粒子の密度の間に若干の相違があるかもしれないが、その相違は、0.1g/cc以下、好ましくは0.05g/cc以下、なおより好ましくは0.01g/cc以下であってもよいことが理解される。密度における実質的相違は、ある時期間、例えば1カ月後の懸濁剤において非均一性をもたらすであろう。
【0028】
懸濁化剤および懸濁化媒質については、製薬学的活性作用剤および密度改変性固体が、それらには実質的に不溶性であることを意味する。実質的に不溶性である材料は、一般に、懸濁液を含有する投薬形態物の有効期間(lifespan)を通してそれらの元の物理的形態においてとどまる。例えば、固体微粒子は一般に粒子のままであろう。必要であれば、懸濁化剤または懸濁化媒質は、それらの中に溶解された他の材料を有してもよく、そしてそれらの各々の密度、ρSAおよびρSVは、いずれか添加材料を反映するであろう。
【0029】
「密度改変性(density−modifying)固体」については、懸濁化剤または懸濁化媒質中で実質的に不活性である固体を意味する。そのように、密度改変性固体は、所望の製薬学的活性作用剤の安定性または有効性に対しては最小の影響を有する。
【0030】
用語「製薬学的活性作用剤」は、限定されるものではないが、治療学的応答を達成するために、哺乳動物への送達を必要とする製薬物および薬物粒子を含む。またこの用語は、それらの固形微粒子形態中に賦形剤または加工助剤(processing aids)を伴う薬物を含む。
【0031】
非経口的に許容できる懸濁剤に関しては、非経口的投与に際して懸濁剤の受容者による好ましくない生物学的応答が存在しないことが理解される。
【0032】
所望の活性作用剤が同定されている場合は、懸濁化媒質は、一般に、その密度ρSVが活性作用剤密度ρに実質的に一致するように作成することができる。少なくとも1種の密度改変性固体粒子が懸濁化剤と一緒に使用される場合は、懸濁化媒質の嵩密度ρSVは、式(1):
【0033】
【数2】

【0034】
[式中、ρは固体粒子の密度であり;ρSAは懸濁化剤の密度であり;そしてXは懸濁化媒質中の密度改変性固体粒子の重量分率である]
にしたがって計算することができる。そのように、固体粒子および懸濁化剤の密度並びにそれら各々の量に基づき、得られる懸濁化媒質密度の嵩密度は予測することができる。
【0035】
1種より多くの懸濁化剤が利用される場合は、ρSAは懸濁化剤の混合物の密度であろう。必要であれば、懸濁化剤または懸濁化媒質は、それらの中に溶解された他の材料を有してもよく、そしてそれら各々の密度、ρSAおよびρSVは、いずれか添加材料を反映するであろう。
【0036】
1種より多くの密度改変性固体が利用される場合、ρは固体の混合物の容量平均密度であろう。式(1)を再配列すれば、懸濁化媒質中の密度改変性固体の重量分率、Xは、式(2):
【0037】
【数3】

【0038】
にしたがって決定することができる。
【0039】
懸濁化媒質密度ρSVを製薬学的活性作用剤の密度ρに実質的に一致させ、そして固体の密度ρおよび懸濁化剤ρSAを知ることに基づいて、懸濁剤中の固体の重量分率が予測できる。1種より多くの製薬学的活性作用剤が使用されるか、あるいは製薬学的活性作用剤と組み合わされる他の所望の賦形剤または不活性作用剤が存在する場合は、製薬学的活性作用剤の密度ρは、所望の成分のすべての組み合わせ物である粒子の密度である。
【0040】
また、製薬学的懸濁剤の製造における最終的使用のために、既知の密度の範囲、例えば、約1.0g/cc〜2.5g/ccにわたって懸濁化剤および密度改変性固体を含んでなる種々の懸濁化媒質を製造することが可能である。この種の場合には、懸濁化媒質はその既知の密度について、そしてまた多分、特定の種類の活性作用剤、例えば、低分子薬物、タンパク質またはペプチドに対する適合性について選択することができる。
【0041】
懸濁化媒質
本発明の媒質調合戦略は、活性作用剤、例えば薬物粒子の密度と実質的に一致するように適合できる懸濁剤密度を提供する。そのためには、物理的に安定な懸濁薬物調合物(数カ月から1年以上安定)は、他のアプローチを伴う媒質粘度および薬物粒子の分粒に関する拘束を解除することによって製造することができる。典型的には、懸濁化媒質は、活性作用剤の長期貯蔵および投薬に適合する成分を含有する。
【0042】
ここで図1について言えば、本発明による懸濁化媒質1は、容器3中に懸濁化剤7および密度改変性固体5の多数のナノ粒子を含有する。懸濁化媒質の利用を望む薬物製造者は、図1に示されるものが製造者による使用のために本発明にしたがって調製できるように、例えば、それが送達を所望する薬物の密度と場合によっては粒径および懸濁化媒質を提供することができる。本発明によるキットは、所望の製薬学的活性作用剤の密度に実質的に一致する密度を有する懸濁化媒質を含有する。場合によっては、製薬学的活性作用剤と懸濁化媒質を混合するための指示書が提供される。本発明によるその他のキットは、懸濁化剤と密度改変剤を含有する。好適な実施態様では、キットは、懸濁化剤と密度改変性固体の混合液を調製して、活性作用剤密度に実質的に等しい密度を有する懸濁化媒質を形成するための指示書を含む。
【0043】
製薬学的懸濁剤
製薬学的懸濁剤は、製薬学的活性作用剤を懸濁化媒質と混合することによって生成することができる。本発明の製薬学的懸濁剤は、製薬学的活性作用剤の重量で約5〜約25%を含有してもよい。特に限定することを意図しないが、密度のマッチングにしたがって製造される製薬学的懸濁剤は、他の方法で作成される懸濁剤よりも低い粘性である。より低い粘性の製薬学的懸濁剤は、一般に、加工装置にとって、例えば、脱気目的または投薬形態物の付加のために取り扱うのがより容易である。
【0044】
図2に関しては、製薬学的懸濁剤10は、容器30中に懸濁化剤70、密度改変性固体50の多数の粒子および製薬学的活性作用剤90の粒子を含有する。本発明のある実施態様では、製薬学的懸濁剤は、40〜99.5wt%の懸濁化媒質、0.5〜50wt%の活性作用剤、および0〜10wt%の界面活性剤を含有してもよい。懸濁化媒質は0.75wt%の密度改変性固体および25〜100wt%の懸濁化剤を含有してもよい。
【0045】
高密度粒子
製薬学的懸濁剤の密度を改変するために高密度の実質的に不活性な粒子を使用する一般的利益は、小さいことと沈降速度という重荷が、製薬学的活性作用剤粒子(小さいことに制約を有することがある)から高密度の実質的に不活性な粒子へ移行できることである。典型的には、密度改変性粒子とも呼ばれる高密度粒子は、製薬学的活性作用剤よりも高密度である。高密度粒子は、活性薬物の化学的および/または物理的安定性という制約のために製薬学的活性作用剤粒子には利用できない種々の製造工程(例えば凍結またはミル粉砕または沈殿処理)の可能性を受け入れることができる。
【0046】
懸濁化液中に小さい高密度粒子を混合することによって、純粋な液体の密度(低い限界)と最大に詰め込まれた懸濁剤の密度(高い限界)との間にある嵩密度が形成できる。この混合液の嵩密度は、混合液中の高密度粒子の量を変化させることによって薬物粒子の密度に一致させることができる。混合液それ自体が安定な懸濁薬物調合物の製造のための媒質として使用できる。
【0047】
懸濁調合物または媒質を生成する液体と組み合わせて高密度の実質的に不活性な粒子の使用は、ある場合には、粒子の重量分率における最大の詰め込み限界によって制約されることがある。そのように、懸濁化液は、懸濁化媒質と薬物粒子の間の小さいミスマッチを補償することができる粘度により選択されてもよく、それによって、安定な懸濁薬物調合物を製造し、そして高密度粒子を使用しなかった場合に較べて、適当な懸濁化液の広範な選択肢を提供できる。
【0048】
密度改変性固体が所望の製薬学的活性作用剤の安定性または有効性について最小の影響を有することが好ましい。そのように、若干の固体はある種の活性作用剤には適当であるが、他のものには不適当であるかもしれない。例えば、酸性環境においてpH感受性であり、多分変性するタンパク質またはペプチドは、酸性の密度改変剤を用いる調製には受け入れられないであろう。
【0049】
1種より多くの密度改変性固体が利用される場合、式(1)および(2)のρは、混合液中の固体の容積平均密度を表すであろう。
【0050】
そのように限定されるものではないが、固体がサブミクロン粒子を含有することが好ましい。固体の平均粒径は、約100nm〜約700nmである。固体の密度、ρは、好ましくは2.0g/cc超、より好ましくは2.5g/cc超である。代表的な密度改変性固体は、限定されるものではないが、タルク、金属酢酸塩、金属アスコルビン酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物、金属酸化物、金属リン酸塩、金属珪酸塩、金属ステアリン酸塩、金属硫酸塩、またはそれらの組み合わせ物を含む。好ましくは、金属は、限定されるものではないが、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムまたは亜鉛を含む。好適な実施態様では、密度改変性固体は、リン酸亜鉛、珪酸亜鉛、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化亜鉛、珪酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせ物を含む。他の実施態様では、密度改変性固体は、酢酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、硫酸亜鉛、またはそれらの組み合わせ物を含む。
【0051】
密度改変性粒子の平均粒径は、好ましくは約700nm未満、より好ましくは約100nm〜500nm,なおより好ましくは約200nm〜約400nmである。
【0052】
密度改変性固体は、投薬形態物内で過度の容積をとることなく懸濁化媒質の密度を上げるために、所望の薬物粒子を超える十分な密度をもつ必要がある。小さい高密度粒子が薬物粒子に対して実質的に不活性であり、そして懸濁化媒質が広範な薬物粒子との適合性および長期の化学的安定性を確保することが好ましい。それらは非経口的に許容できねばならず、究極的には、非経口投与のためのFDAの承認を必要とするであろう。さらに、水中で実質的に不溶性である高密度粒子は、懸濁投薬形態物への水進入を制限することに役立つよう望まれ、このことは、結果的に薬物粒子の分解を低下させることによって化学的安定性と所望の投薬を増進する。また、小さい高密度粒子がサブミクロンレベルにおいて製造できることが好ましい。
【0053】
リン酸亜鉛および珪酸亜鉛は、非常に低い水溶解度と約3.0〜約4.0g/ccの範囲の密度を有する。そのように、これらの高密度粒子類は、比較的低い密度の他の粒子よりも懸濁投薬形態物において小さい容積を要して、懸濁化媒質に密度の急上昇を与えることができる。粒径に関しては、リン酸亜鉛および珪酸亜鉛のナノ粒子は、水性媒質からの
塩の沈殿によって潜在的に製造することができる。亜鉛−タンパク質キレートが既に非経口的に承認されているので、そのような亜鉛塩は非経口的に許容できる可能性がある。
【0054】
リン酸カルシウムおよび珪酸カルシウムは、非常に低い水溶解度と約2.4〜約3.3g/ccの範囲の密度を有する。したがって、そのような高密度粒子は、比較的低い密度の他の粒子よりも懸濁投薬形態物において小さい容積を要して、懸濁化媒質に密度の急上昇を与えることができる。粒径に関して、リン酸カルシウムおよび珪酸カルシウムのナノ粒子は、水性媒質からの塩の沈殿によって潜在的に製造することができる。それらの測定可能な水溶解度と溶解によって除去できる能力により、そのようなカルシウム塩は非経口的に許容できる可能性がある。
【0055】
約2.9g/ccの密度をもつ塩化亜鉛は、非経口的に承認された材料である。塩化亜鉛のナノ粒子は、その水溶解度のために水性媒質からの塩の沈殿によってそれらは製造されにくいようであるが、ミル粉砕または凍結粉砕をとおして製造できるであろう。塩化亜鉛は水溶性であり、結果的に、浸透性デバイスのような投薬形態物中への水の進入を低下させるのに役立たないであろうが、ある種の応用のために、それが密度を一致させる材料として望ましい可能性がある。
【0056】
高密度材料のナノ粒子は、当該技術分野で理解されているように製造することができる、例えば、共に引用によって本明細書に組み入れられている米国特許第6,623,761号および米国特許出願公開第2003/0003155号、参照。
【0057】
懸濁化剤
懸濁化剤は、所望の製薬学的活性作用剤および密度改変性固体を懸濁することが可能である。そのように、活性作用剤および固体は、ここでは実質的に不溶性である。懸濁化剤は所望の製薬学的活性作用剤の安定性または有効性には最小の影響をもつべきである。懸濁化剤は、所望の投与経路のために許容できねばならない、例えば、非経口的に許容でき、かつ好ましくは、FDAに承認されている。
【0058】
1種より多くの懸濁化剤が利用される場合、ρSAは懸濁化剤の混合液の密度を表す。必要であれば、懸濁化剤または懸濁化媒質は、それらの中に溶解された他の材料を有してもよく、そしてそれらの各々の密度、ρSAおよびρSVは、いずれかさらなる材料を反映するであろう。
【0059】
代表的な懸濁化剤は、限定されるものではないが、ビタミンE/αトコフェロール、植物油、脂質、またはそれらの組み合わせ物を含む。植物油の例は、限定されるものではないが、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油および大豆油を含む。望ましい脂質は、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、スフィンゴミエリン(SM)を含む。個々の脂質の若干の例は、中性脂質−ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジミリトイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、卵ホスファチジルコリン(卵PC)、大豆ホスファチジルコリン(大豆PC)、部分または完全水素化ホスファチジルコリン(PHSPCまたはHSPC)、パルミトイル−オレイルホスファチジルコリン(POPC)、ステアロイル−オレイルホスファチジルコリン(SOPC);およびアニオン脂質ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジミリトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)を含む。また、種々のPEG(ポリエチレングリコール)−脂質も付加される利益のために含まれてもよい。PEG−脂質の例は、mPEG−DPPE、mPEG−DMPE、mPEG−DSPE、mPEG−セラミド−DSPEである。またF−127のような数種のPluronic類、Span類なども使用できる。抗酸化脂質剤、例えばビタミンE/αトコフェロールの増加量が、酸化または過酸化物の生成を防ぐために脂質とともに添加されてもよい。
【0060】
懸濁化剤が、浸透性デバイスのような投薬形態物中への水の進入を低下できる低い水溶解度を有することは望ましいことである。ビタミンEは室温で約2,000センチポアズ(体温で約700センチポアズおよび4℃で約10,000センチポアズ)の粘度と約0.95g/ccの密度を有する。植物油は、典型的には室温で100センチポアズ未満の粘度と約0.92g/ccの密度を有する。懸濁化剤の密度ρSAは、好ましくは0.9g/cc超かまたはそれに等しい。懸濁化剤が、ρに実質的に等しいρSAを有する場合には、密度改変性固体の量はゼロに近づけることができる。
【0061】
本発明の好適な形態物では、高密度(約2.0〜4.0g/cc)でサブミクロン(約0.1〜0.7ミクロン)の実質的に水不溶性で実質的に不活性の粒子が、約0.9〜1.2g/ccの密度と約100〜10,000センチポアズの粘度を有する実質的に水不溶性懸濁化液体(例えば油)と組み合わされてもよい。サブミクロン粒子の凝集を妨げるために、SPAN−40のような界面活性剤が、場合によっては調合物中に含まれてもよい。高密度粒子、実質的に水不溶性液体および場合によっては界面活性成分は、非経口的に許容でき、かつ最終的にFDAに承認されることが必要であろう。
【0062】
薬物懸濁剤を安定化する方法として、粘度を増加させることに対して(in contrast to)密度のマッチングを利用することは、懸濁調合物を生成するための懸濁化剤のより広い選択を可能にする、例えば、比較的低粘度の懸濁化剤が使用できる。粘度要件は、粒子が懸濁されるのに要する時間の長さに応じる大きさの要請(orders)によって異なっていてもよい。同様に、粘度は、薬物粒子の粒径または薬物粒子と懸濁化媒質との間の密度の相違に応じる大きさの要請によって異なっていてもよい。密度のマッチング、そして結果的に比較的低い粘度の懸濁化剤を利用する利益は、懸濁投薬形態物の製造を容易にすることである。例えば、懸濁化媒質を含有する投薬形態物における脱気操作は低い粘度によって容易にされる。
【0063】
製薬学的活性作用剤
本発明によれば、いかなる種類の製薬学的活性作用剤も利用することができる。製薬学的活性作用剤はいかなる実際的形態物においても懸濁することができる;例えば、懸濁剤のために活性作用剤のミクロンサイズの微粒子を作成することが好ましい。また、微小球(microsphere)が、例えば、投薬形態物からの活性薬物の放出に役立ち得る他の製薬学的に所望される賦形剤または不活性材料を含有することができる、特定の薬物の微小球投薬形態物を利用することが望ましいこともある。
【0064】
密度に関しては、ρは少なくともρSAの密度であってもよく、好ましくはρは約1.0〜2.5g/cc、より好ましくは1.0〜1.7g/ccである。他の実施態様では、ρが約1.7〜約2.5g/ccであることが好ましい。製薬学的活性作用剤の平均粒径は好ましくは約10ミクロン以下であるが、粒径はρとρSVの間の相違が最小化されるように増加できると理解される。製薬学的活性作用剤の比較的大きい粒子は、典型的には小サイズ方式で操作することに伴う高い損失と取り扱いの困難という製造問題を低下させる利点により、本発明のある実施態様と結び付けて使用することができる。
【0065】
若干の実施態様では、製薬学的活性作用剤は低分子薬物を含むが、他に、活性作用剤がタンパク質および/またはペプチドであることが好ましいことがある。また、製薬学的活
性作用剤は適用のために適当な活性材料のいずれかの組み合わせ物であってもよい。
【0066】
製薬学的活性作用剤に関して、液状組成物は、好ましくは、重量で約0.5%〜約50%の製薬学的活性作用剤、より好ましくは約1%〜約40%、なおより好ましくは約5%〜約25%を含有する。
【0067】
若干の実施態様では、本発明による懸濁剤に含まれる製薬学的活性作用剤は、周囲および生理学的温度において、水中では一般に分解されるが乾燥粉末としては一般に安定である。本発明による懸濁剤中に組み入れられてもよい活性作用剤は、限定されるものではないが、天然に由来するか、合成的に生成されるか、または組み換え技術により生成されるペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、アミノ酸または核酸残基の重合物、ホルモン、ウイルス、抗生物質などを含む。
【0068】
また、本発明による懸濁剤に含まれる活性作用剤は、リポタンパク質および翻訳後修飾された形態物、例えば、グリコシル化タンパク質、ならびにD−アミノ酸、D−またはL−立体配置および/またはそれらの構造の一部としてペプトミメティック(peptomimetic)単位において改変され、誘導されたか、または天然に存在しないアミノ酸を有するタンパク質またはタンパク質物質を含んでもよい。本発明の懸濁剤中に製薬学的活性作用剤として包含されてもよい材料の特定の例は、限定されるものではないが、バクロフェン、GDNF、神経栄養因子、コナトンキンG、Ziconotide、クロニジン、アクソキン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、副腎皮質刺激ホルモン、アンジオテンシンIおよびII、心房性ナトリウム利尿ペプチド、ボムベシン、ブラジキニン、カルシトニン、セレベリン、ダイノルフィンN、αおよびβエンドルフィン、エンドテリン、エンケファリン、表皮増殖因子、フェルチレリン、胞状ゴナドトロピン放出ペプチド、ガラニン、グルカゴン、ゴナドレリン、ゴナドトロピン、ゴセレリン、成長ホルモン放出ペプチド、ヒストレリン、インスリン、インターフェロン、ロイプロリド、LHRH、モチリン、ナファレルリン、ニューロテンシン、オキシトシン、レラキシン、ソマトスタチン、サブスタンスP、腫瘍壊死因子、トリプトレリン、バソプレッシン、成長ホルモン、神経成長因子、血液凝固因子、リボザイム、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。類似体、誘導体、アンタゴニスト、アゴニストおよび各々前記活性作用剤の製薬学的に許容できる塩もまた、本発明の活性作用剤懸濁剤の製剤化において使用されてもよい。好ましくは、本発明の懸濁剤において提供される活性作用剤は、選ばれた懸濁媒質においてほとんど、または全く溶解性を示さない。
【0069】
活性作用剤は種々の形態物、例えば無電荷分子、分子複合体、製薬学的に許容できる酸または塩基付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素塩、硫酸塩、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、硼酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩およびサリチル酸塩などにおいて存在してもよい。酸性薬物では、金属、アミンまたは有機カチオン、例えば第4級アンモニウムの塩が使用されてもよい。薬物の誘導体、例えばエステル、エーテルおよびアミドは単独で使用されても、また他の薬物と混合されてもよい。また、水不溶性である薬物は、デバイスからのその放出の際に、酵素によって変換されるか、体内pHまたは他の代謝過程によって元来の形態または生物学的に活性のある形態に加水分解される形態において使用されてもよい。
【0070】
製薬学的に許容できる賦形剤および他の加工助剤に関しては、薬物粒子は、いずれかそのような賦形剤および/または助剤を懸濁投薬形態物から送達される固体薬物粒子中に組み入れることが好ましい。そのように、薬物粒子または製薬学的活性作用剤に関しては、そこに組み入れられるいずれかそのような賦形剤または助剤を含む。そのように、薬物粒子または製薬学的活性作用剤の密度に関しては、懸濁投薬形態物から送達される微粒子材料の密度を反映し、固体粒子は、粒子が粒子から粒子まで実質的に均一な密度をもつ限り
、治療学的薬物に添加される成分を反映してもよい。
【0071】
投薬形態物
懸濁化媒質および製薬学的懸濁剤は、あらゆる種類の投薬形態物、例えば経口懸濁剤、眼科用懸濁剤、移植懸濁剤、注射懸濁剤、および注入(infusion)懸濁剤のために密度のマッチングを使用して製造することができる。好適な投薬形態物は、移植可能な浸透性投薬形態物、例えば米国特許第5,985,305号;同第6,113,938号;同第6,132,420号;同第6,156,331号;同第6,395,292号に記述されている投薬形態物であり、これらの各々は引用によって本明細書に組み入れられている。
【0072】
懸濁化媒質、懸濁化剤および/または密度改変性固体は、所望の投与経路のために生理学的に許容できること、例えば、投与の際に懸濁剤の受容者によって好ましくない生物学的応答がないことが好ましい。また、懸濁化媒質、懸濁化剤および/または密度改変性固体がFDAにより承認されねばならないことが理解される。本発明の若干の実施態様では、成分が、限定されるものではないが、注射、注入または移植を含む、非経口投与経路のために適当であることが好ましい。
【0073】
図3に関しては、ある種の投薬形態物、例えば移植可能な浸透性投薬形態物100では、懸濁化剤、密度改変性固体および製薬学的活性作用剤を含んでなる本発明による製薬学的懸濁剤を薬物レザーバー(reservoir)110中に予め装填することが望ましい。浸透性投薬形態物の他の特徴は、半透膜130、浸透性ポンプ150、ピストン170および出口190を含む。本発明の詳細な実施態様では、投薬形態物は、投薬形態物の寿命中その物理的および化学的完全性を維持し、そして製薬学的懸濁剤に対して実質的に不透過性である第1の壁;外部の液体に対して部分的に透過性である第2の壁;第1の壁と第2の壁によって定められるコンパートメント;コンパートメント内に位置され、そして製薬学的活性作用剤および密度が活性作用剤密度に実質的に等しい懸濁化媒質を含有する製薬学的懸濁剤;第1の壁、第2の壁およびコンパートメントと連絡するポンプ;およびコンパートメントと連絡する出口を含む。好ましくは、投薬形態物は浸透性ポンプを含有する。
【0074】
試験方法
USPは、長時間にわたって懸濁剤の均一性を評価する試験法を備えていない。次に示す実施例に記述される懸濁剤の長時間にわたる均一性は、ここでは「遠心試験」として言及される遠心装置を用いて試験された。懸濁剤(約0.2mL)が数個の小プラスチックチューブ(長さ3〜4cm、内径3mm)中に装填される。チューブは遠心機に置かれ、そして垂直の重力での約60日ないし数年の沈降をシミュレートすることを意図して、沈降を加速するために30分間〜数時間、4〜40℃の温度で軸方向に3000倍の重力までにさらされる。遠心された懸濁剤のチューブは2〜3mmのセクションに区切られる。各セクションの内容物が薬物濃度(または薬物粒子の相当成分含量)について定量される。結果として、チューブの長さ方向に沿った薬物濃度のプロフィルが確立される。最初の薬物粒子濃度からの偏差が薬物粒子の沈降度合を表す。必要とされたシミュレートされた沈降時間のサンプル懸濁剤の遠心後の最初の薬物濃度から10%未満の偏差は、懸濁剤が所望の適用について必要とされる時間の間実質的に均一のままであることを指示する。
【実施例】
【0075】
以下は、本発明を実施するための特定の実施態様の数例である。実施例は具体的に示す目的のためにのみ提供され、いかなる点でも本発明の範囲を限定するよう意図されない。
【0076】
例1:球体(sphere)の懸濁剤
沈降炭酸カルシウム粒子(密度2.71g/ccおよび平均粒径0.7ミクロン)を、粒子重量分率0.333(高密度粒子の容積で15%)においてビタミンE(密度0.95g/cc)と混合して懸濁化媒質を生成する。式(1)によれば、懸濁化媒質の密度は1.21g/ccである。
【0077】
小Delrin球体(密度1.35g/cc、3/32”径)を、懸濁化媒質を保持する第1の容器に容れた。1000rpmで2分間遠心後、Delrin球体は容器の底に沈んだ。
【0078】
小Lucite球体(密度1.20g/cc、3/32”径)を、懸濁化媒質を保持する第2の容器に容れ、そして2000rpmで2分間遠心した。Lucite球体は表面の直ぐ下の懸濁化媒質中に懸濁されたままであった。結果として、Lucite球体を浮かせる炭酸カルシウム添加の能力が例証された。
【0079】
これに対して、Lucite球体を純粋なビタミンEのみの第3の容器に容れ、1000rpmで2分間遠心した。炭酸カルシウム粒子の不在下ではLucite球体は1分未満に容器の底に沈んだ。
【0080】
例2:対照の製薬学的懸濁剤の調製
密度約1.0g/ccの懸濁化剤を密度約1.5g/ccを含む製薬学的活性作用剤と混合して、例えば懸濁された密度改変性固体粒子を有しない対照製薬学的懸濁剤を生成した。製薬学的活性作用剤の粒子は総製薬学的懸濁剤重量の約5〜25%であり、これを15分間懸濁化剤と混合する。得られる懸濁剤を、真空オーブン中に懸濁剤を置き、そして1時間回転するスプリングミキサーにより弱く混合することによって脱気する。
【0081】
例3
例2の手順は、一般に、ビタミンE(約0.95g/ccの密度)を含有する懸濁化剤、および約5ミクロンの平均粒径をもつ約1.4g/ccの密度を含有する製薬学的活性作用剤の粒子を使用して実施される。
【0082】
次いで、製薬学的懸濁剤を遠心試験にしたがって試験する。
【0083】
例4:製薬学的懸濁剤の調製および試験
へらを使用して、ガラスビーカー中で、100〜700nmの平均粒径範囲および約2.0〜約4.0g/ccの範囲の密度を有する固体のサブミクロン粒子を、約15分間懸濁化剤と混合して懸濁化媒質を生成する。密度改変性固体対懸濁化剤の重量比は約2:1〜1:2の範囲であるので、式(2)によって、混合液の全体懸濁剤密度は、懸濁される製薬学的活性作用剤の密度に実質的に一致する。オイルの粘度を上げ、剪断力を増大し、そしてサブミクロン粒子の分散を増進するために、混合中温度を低下させてもよい。
【0084】
有機界面活性剤、例えばSPAN−40を、場合によっては、総懸濁化媒質重量の0.5〜10%の濃度範囲で添加して、分散をさらに増進し、かつサブミクロン粒子の凝集を防いでもよい。
【0085】
製薬学的活性作用剤の噴霧乾燥粒子の所望量を懸濁化媒質(有機界面活性剤を含有する)に添加して製薬学的懸濁剤を生成する。得られる混合液をさらに15分間撹拌する。好適な実施態様では、製薬学的活性作用剤の粒子は、総懸濁剤重量の約5〜25%の付加によって約1.0〜1.6g/ccの範囲の密度と約3〜7ミクロンの範囲の粒径を有する。
【0086】
得られる製薬学的懸濁剤を、真空オーブン中に懸濁剤を置き、そして1時間回転するスプリングミキサーにより弱く混合することによって脱気する。
【0087】
例5
例4の手順が、一般に、リン酸亜鉛を含有する固体、ビタミンEを含有する懸濁化剤、および約1.4g/ccの密度を含有する製薬学的活性作用剤の粒子を使用して実施される。
【0088】
例6
例4の手順が、一般に、珪酸亜鉛を含有する固体、ビタミンEを含有する懸濁化剤、および約1.4g/ccの密度を含有する製薬学的活性作用剤の粒子を使用して実施される。
【0089】
例7
例4の手順が、一般に、塩化亜鉛を含有する固体、ビタミンEを含有する懸濁化剤、および約1.4g/ccの密度を含有する製薬学的活性作用剤の粒子を使用して実施される。
【0090】
例8
例4の手順が、一般に、リン酸カルシウムを含有する固体、ビタミンEを含有する懸濁化剤、および約1.4g/ccの密度を含有する製薬学的活性作用剤の粒子を使用して実施される。
【0091】
例9
例4の手順が、一般に、珪酸カルシウムを含有する固体、ビタミンEを含有する懸濁化剤、および約1.4g/ccの密度を含有する製薬学的活性作用剤の粒子を使用して実施される。
【0092】
例10:製薬学的懸濁剤の試験
例5〜9の製薬学的懸濁剤を遠心試験にしたがって試験し、そして分析する。
【0093】
例11:製薬学的懸濁剤における固体の効果
例10にしたがって決定されるような薬物粒子の分離度合を例3にしたがって決定された分離度合と比較する。懸濁化媒質が良好に働いている場合は、活性作用剤濃度プロフィルは、対照媒質における薬物粒子のそれよりも密接に密度改変性固体の濃度プロフィルに一致しなければならない。
【0094】
例12:代表的な液状組成物
式(1)にしたがえば、ビタミンE(約0.95g/ccの密度;室温で約20ポアズの粘度)中塩化亜鉛(約2.9g/ccの密度)ナノ粒子の重量で50/50混合液は、1.43g/ccの懸濁化媒質密度を提供し、したがって同じ密度の薬物粒子のための懸濁化能力を備える。懸濁化媒質中のナノ粒子の容積%は25%であろう。全体の懸濁調合物における薬物粒子の10重量%の付加により、固体の総容積は32%であり、そして重量で総固体は55%である。塩化亜鉛粒子が400nmである場合、それらは、沈降速度を遅くするだけであるブラウン運動を無視して、0.7mm/yrの速度で沈降する。この評価は、Richardson−Zaki相関によるヒンダード・スチーリング(hindered steeling)についてのモディフィケーション(modification)をもつStokesの式(A)に基づく。薬物粒子および0.05g/ccの懸濁化媒質および5μmの薬物粒径の間の密度における不一致により、薬物粒子は〜2m
m/yrの速度で沈降するであろう。懸濁化媒質粘度は約70ポアズであり、そして最終懸濁投薬形態物粘度は下記式(3)に基づいて約110ポアズであり、これは、
【0095】
【数4】

【0096】
[式中、φは懸濁剤中の固体粒子の容積部分であり、そしてηvehは懸濁化媒質の粘度である]
によって与えられる固体付加の関数として懸濁剤粘度ηsuspに関する補正である。反対に、塩化亜鉛粒子の不在下では、薬物粒子は約80mm/yrの速度で沈降するであろう。
【0097】
例13:比較的低い温度における対照の液状組成物の試験
例3の製薬学的懸濁剤を改変遠心試験において試験する。遠心を4℃位の室温より低い温度で行う。例3による対照懸濁化剤の粘度が室温において例5〜9の懸濁媒質の粘度に実質的に一致するようにより低い温度を選ぶ。遠心試験の分析の部を実施する。
【0098】
本明細書に引用されるすべての公表物、特許および特許出願は、完全に引用によって本明細書に組み入れられている。この明細書および付随する請求範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかに別に記されない限り、複数の引用を含む。
【0099】
本発明の他の態様は、本明細書および請求範囲の総括から明白にすることができ、そしてそれらの全てが本発明の範囲内に入ることがそれによって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1は、本発明による懸濁化媒質を保持する容器を描いている。
【図2】図2は、本発明による製薬学的懸濁剤を保持する容器を描いている。
【図3】図3は、本発明による製薬学的懸濁剤を保持する浸透性ポンプ作動の投薬形態物を図示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性作用剤密度ρを有する製薬学的活性作用剤、および懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を含んでなる製薬学的懸濁剤であって、この場合、懸濁化媒質密度ρSVは活性作用剤密度ρに実質的に等しく、そして懸濁化媒質は、密度ρSAを有する懸濁化剤、および固体密度ρを有する密度改変性固体を含有する、懸濁剤。
【請求項2】
非経口的に許容できる請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項3】
懸濁化媒質が実質的に非水性である、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項4】
懸濁化媒質中の密度改変性固体の重量分率Xが、式(2):
【数1】

にしたがって決定される、請求項3の製薬学的懸濁剤。
【請求項5】
活性作用剤密度ρが約1.0g/cc〜約2.5g/ccである、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項6】
活性作用剤密度ρが約1.7g/cc〜約2.5g/ccである、請求項5の製薬学的懸濁剤。
【請求項7】
活性作用剤密度ρおよび懸濁化媒質密度ρSVが、約0.1g/cc以下で異なる、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項8】
活性作用剤密度ρおよび懸濁化媒質密度ρSVが、約0.05g/cc以下で異なる、請求項7の製薬学的懸濁剤。
【請求項9】
活性作用剤密度ρおよび懸濁化媒質密度ρSVが、約0.01g/cc以下で異なる、請求項8の製薬学的懸濁剤。
【請求項10】
少なくとも1カ月間、振盪することなく室温において実質的に均一のままである、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項11】
少なくとも6カ月間、振盪することなく室温において実質的に均一のままである、請求項10の製薬学的懸濁剤。
【請求項12】
少なくとも1年間、振盪することなく室温において実質的に均一のままである、請求項11の製薬学的懸濁剤。
【請求項13】
固体密度ρが少なくとも約2.0である、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項14】
固体密度ρが少なくとも約2.5である、請求項13の製薬学的懸濁剤。
【請求項15】
懸濁化剤密度ρSAが0.9g/cc超であるかまたはそれに等しい、請求項4の製薬学的懸濁剤。
【請求項16】
活性作用剤密度ρが約1.0g/cc〜約2.5g/ccである、請求項15の製薬
学的懸濁剤。
【請求項17】
密度改変性固体がサブミクロン粒子を含む、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項18】
密度改変性固体の平均粒径が約700nm未満である、請求項17の製薬学的懸濁剤。
【請求項19】
懸濁化剤がビタミンE、植物油、脂質またはそれらの組み合わせ物である、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項20】
密度改変性固体が、タルク、金属酢酸塩、金属アスコルビン酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物、金属酸化物、金属リン酸塩、金属珪酸塩、金属ステアリン酸塩、金属硫酸塩、またはそれらの組み合わせ物を含む、請求項1の製薬学的懸濁剤。
【請求項21】
金属が、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムまたは亜鉛である、請求項20の製薬学的懸濁剤。
【請求項22】
密度改変性固体が、リン酸亜鉛、珪酸亜鉛、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化亜鉛、珪酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせ物を含む、請求項21の製薬学的懸濁剤。
【請求項23】
投薬形態物の寿命中その物理的および化学的完全性を維持し、かつ製薬学的懸濁剤に対して実質的に不透過性である第1の壁;
外部液体に対して部分的に透過性である第2の壁;
第1の壁と第2の壁によって定められるコンパートメント;
コンパートメント内に位置され、そして活性作用剤密度ρを有する製薬学的活性作用剤、および懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を含有する製薬学的懸濁剤であって、この場合、懸濁化媒質密度ρSVは活性作用剤密度ρに実質的に等しく、そして懸濁化媒質は、懸濁化剤密度ρSAを有する懸濁化剤、および固体密度ρを有する密度改変性固体を含有する、懸濁剤;
第1の壁、第2の壁およびコンパートメントと連絡するポンプ;および
コンパートメントと連絡する壁における出口
を含んでなる、投薬形態物。
【請求項24】
懸濁化媒質が実質的に非水性の懸濁化剤を含有する、請求項23の投薬形態物。
【請求項25】
懸濁化媒質中の密度改変性固体の重量分率Xが、式(2):
【数2】

にしたがって決定される、請求項23の製薬学的懸濁剤。
【請求項26】
活性作用剤密度ρを有する少なくとも1種の製薬学的活性作用剤を同定し;
懸濁化媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を同定し;そして
活性作用剤密度ρが懸濁化媒質密度ρSVと異なるか否かを決定する
ことを含んでなる、方法。
【請求項27】
少なくとも1種の製薬学的活性作用剤を懸濁化媒質と混合して製薬学的懸濁剤を生成することをさらに含んでなる、請求項26の方法。
【請求項28】
懸濁化剤密度ρSAを有する少なくとも1種の懸濁化剤を同定し;
固体密度ρを有する少なくとも1種の密度改変性固体を同定し;そして
少なくとも1種の懸濁化剤と少なくとも1種の密度改変性固体を混合して懸濁化媒質を生成することをさらに含む、請求項26の方法。
【請求項29】
少なくとも1種の製薬学的活性作用剤を懸濁化媒質と混合して製薬学的懸濁剤を生成することをさらに含んでなる、請求項28の方法。
【請求項30】
活性作用剤密度ρと懸濁化媒質密度ρSVとの間の相違を計算することをさらに含んでなる、請求項26の方法。
【請求項31】
少なくとも1種の懸濁化剤または密度改変性固体のさらなる量を懸濁化媒質に混合することをさらに含んでなる、請求項30の方法。
【請求項32】
少なくとも1種の密度改変性固体のサブミクロン粒子が少なくとも1種の懸濁化剤と混合される、請求項28の方法。
【請求項33】
少なくとも1種の懸濁化剤および少なくとも1種の密度改変性固体の両方が非経口的に許容できる、請求項28の方法。
【請求項34】
懸濁化媒質密度ρSVおよび活性作用剤密度ρが実質的に同じである場合の懸濁化媒質において、密度改変性固体の重量分率Xを、式(2):
【数3】

にしたがって決定することをさらに含んでなる、請求項28の方法。
【請求項35】
請求項27の方法によって製造される製薬学的懸濁剤。
【請求項36】
請求項35の製薬学的懸濁剤を哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項37】
活性作用剤密度ρが約1.0〜約2.5g/ccである、請求項35の製薬学的懸濁剤。
【請求項38】
少なくとも1種の製薬学的活性作用剤の平均粒径が約10ミクロン以下である、請求項35の製薬学的懸濁剤。
【請求項39】
製薬学的活性作用剤の重量で約5〜25%を含んでなる、請求項35の製薬学的懸濁剤。
【請求項40】
懸濁化剤が実質的に非水性である、請求項35の製薬学的懸濁剤。
【請求項41】
請求項29の方法によって製造される製薬学的懸濁剤。
【請求項42】
請求項41の製薬学的懸濁剤を哺乳動物に投与することを含んでなる方法。
【請求項43】
固体密度ρが少なくとも約2.0g/ccである、請求項41の製薬学的懸濁剤。
【請求項44】
懸濁化剤密度ρSAが0.9g/cc超であるかまたはそれに等しい、請求項41の製
薬学的懸濁剤。
【請求項45】
少なくとも1種の密度改変性固体の平均粒径が約700nm未満である、請求項41の製薬学的懸濁剤。
【請求項46】
既知の密度ρSVを有する懸濁化媒質を同定し;そして
既知の密度ρSVと実質的に同じである、活性作用剤密度ρを有する少なくとも1種の製薬学的活性作用剤を混合して製薬学的懸濁剤を生成する
ことを含んでなる、方法。
【請求項47】
懸濁化媒質が少なくとも1種の懸濁化剤と少なくとも1種の密度改変性固体を含有する、請求項46の方法。
【請求項48】
少なくとも1種の懸濁化剤および少なくとも1種の密度改変性固体の両方が非経口的に許容できる、請求項47の方法。
【請求項49】
少なくとも1種の密度改変性固体のサブミクロン粒子が少なくとも1種の懸濁化剤と混合される、請求項47の方法。
【請求項50】
請求項46の方法によって製造される製薬学的懸濁剤。
【請求項51】
製薬学的活性作用剤がタンパク質を含む、請求項50の製薬学的懸濁剤。
【請求項52】
製薬学的活性作用剤がペプチドを含む、請求項50の製薬学的懸濁剤。
【請求項53】
懸濁化剤密度ρSAを有する少なくとも1種の懸濁化剤を同定し;
固体密度ρを有する少なくとも1種の密度改変性固体を同定し;
懸濁化剤を密度改変性固体と混合して、媒質密度ρSVを有する懸濁化媒質を生成し;そして
媒質密度ρSVが約1.0g/cc〜約2.5g/ccであるように、懸濁化媒質において密度改変性固体の重量分率Xを確立する
ことを含んでなる、方法。
【請求項54】
重量分率が、式(2):
【数4】

にしたがって計算される、請求項53の方法。
【請求項55】
媒質密度が約1.7〜約2.5g/ccである、請求項53の方法。
【請求項56】
懸濁化媒質密度ρSVが、製薬学的活性作用剤の活性作用剤密度ρと異なるか否かを決定し;そして製薬学的活性作用剤を懸濁化媒質と混合して製薬学的懸濁剤を生成することをさらに含んでなる、請求項53の方法。
【請求項57】
生物学的に適合しうる懸濁化剤を同定することをさらに含んでなる、請求項53の方法。
【請求項58】
請求項56の方法によって製造される製薬学的懸濁剤。
【請求項59】
少なくとも1種の懸濁化剤および少なくとも1種の密度改変性固体の両方が非経口的に許容できる、請求項56の方法。
【請求項60】
少なくとも1種の密度改変性固体のサブミクロン粒子が少なくとも1種の懸濁化剤と混合される、請求項56の方法。
【請求項61】
請求項56の方法によって製造される懸濁化媒質を含有するキット。
【請求項62】
懸濁化媒質を製薬学的活性作用剤と混合するための指示書をさらに含有する、請求項61のキット。
【請求項63】
懸濁化剤および密度改変性固体を含有するキット。
【請求項64】
活性作用剤密度に実質的に等しい密度を有する懸濁化媒質を生成するために、懸濁化剤と密度改変性固体の混合物を製造するための指示書をさらに含有する、請求項63のキット。
【請求項65】
請求項61、62、63または64のキットを作成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−510807(P2008−510807A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529911(P2007−529911)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/028517
【国際公開番号】WO2006/098754
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】