増毛用部材、その作製方法及びその装着方法
【課題】 頭部の髪が薄くなった際に、自然に毛髪が増えたように見せることができる増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法を提供する。
【解決手段】 一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材2の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪3を植設して増毛用部材1を作製する。頭部Tの所定位置に所定の大きさの両面接着テープ21を接着し、この両面接着テープ21の上面側粘着層23aに自毛Hのうちの選択した固着用自毛Haを所定量接着して作製した土台25に接着剤を塗布した後、増毛用部材1の基材2を重ね合わせて固着させる。
【解決手段】 一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材2の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪3を植設して増毛用部材1を作製する。頭部Tの所定位置に所定の大きさの両面接着テープ21を接着し、この両面接着テープ21の上面側粘着層23aに自毛Hのうちの選択した固着用自毛Haを所定量接着して作製した土台25に接着剤を塗布した後、増毛用部材1の基材2を重ね合わせて固着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪が薄くなった部分等に毛髪を補うために装着される増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛等により頭髪が薄くなった場合には、かつら等を着用して頭髪の薄くなった部分を隠蔽する方法があるが、かつらを装着すると一気に頭部の毛髪が増えて外観が一変し、かつらの装着が視認され易く、このため、かつらは敬遠される傾向にある。
近年では、かつらを装着するほどではないが、頭皮が透けて見える人向けとして、増毛用部材を装着することによる部分的な増毛法が、かつらに代わる増毛技術として行われている。
【0003】
この種の増毛技術としては、下面が粘着性を有する粘着層とされた層状部材に毛髪を植設した増毛用部材を、その層状部材の縁部に装着者の頭髪を編み込むとともに粘着層を頭髪に貼り付けて装着し、この増毛用部材を固定した部分を装着者の毛髪で隠して増毛用部材が視認されないようにするものがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、増毛用毛髪の端部に繊維を編み込んで作製した増毛用部材の端部に両面接着テープの一方側の面を貼り付け、この両面接着テープの他方側の面を自毛に接着して増毛用毛髪を折り返し、増毛用毛髪によって装着部が隠れるように装着する技術もある(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、長方形の基板支持体に増毛用毛髪を植えた増毛用部材を2枚作製し、これら増毛用部材のうち一枚を装着者の頭皮に粘着テープ及び編み込みによって固定し、もう一枚を、既に固定した増毛用部材の固定部分を隠すために固定部分に粘着テープ及び縫い付けによって固定し、次に、装着者の自毛によって縫い付け部分を隠す技術も知られている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】米国特許5,575,298号公報
【特許文献2】米国特許6,135,122号公報
【特許文献3】米国特許6,405,736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の技術は、取り付けに際しては自毛を増毛用部材の層状部材に編み込むための熟練した技術が必要である。また、編み込みを行うことができ、しかも、増毛用部材装着後に増毛用部材を覆って視認されないように隠すことができる十分な量の自毛が必要であるため、薄毛の進行度合いによっては装着することができないという欠点がある。
また、特許文献2に記載の技術は、自毛に取り付けるための繊維を増毛用毛髪の端部に編み込まなければならず、その作業に熟練が必要であった。また、この増毛用毛髪は、両面接着テープのみを使用して頭髪に貼り付ける形態であるため、残っている自毛の量や状態によっては十分な接着力が得られない可能性がある。
さらに、特許文献3に記載の技術は、装着者の頭部に固定した増毛用部材の基板支持体が目立つため、その固定部分を装着者の頭部に残っている毛髪によって隠すことが必須となり、十分な量の自毛が頭部に無ければ取り付けることが出来ない。
【0008】
しかも、上記のいずれの技術も、ファッション的要素が強いエクステンション(つけ毛またはみの毛)に関するものであるため、頭部に十分な自毛があることを前提としており、さらに上記の増毛用部材は、頭部へ固定する部分と増毛用の毛髪を固着する部分とが共用されているため、頭部に固定する部分が分厚くなり不自然さが残ってしまう。このため、上記技術では、薄毛かくしを目的とした増毛には適しなかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、熟練を要せずに容易にかつ確実に装着することができ、また、自毛が少なくても自然な状態で増毛することが可能な増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の増毛用部材は、一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設され、この基材が固着部材を介して装着者の頭皮に固着されることを特徴とする。
これにより、基材の面積を小さくして容易に作製することが可能となり、また、増毛用毛髪が植設された基材の面積を小さくすることにより、第三者から視認されにくくすることができ、また、この基材を自毛への編み込みなど行うことなく装着することができるので、熟練を要せずに装着でき、しかも自毛が少ない装着者に対しても自然な状態で増毛することができる。
【0011】
また、前記増毛用毛髪は、前記基材の前記粘着剤が塗布されていない他方の面側に垂延して植設されていることが好ましい。
これにより、基材に植設された増毛用毛髪によって自然な状態でかつ確実に増毛することができる。
【0012】
さらに、装着者の頭部に接着した両面接着テープからなる前記固着部材の一面側へ前記基材を接着することにより、前記頭部に固着されることが望ましい。
これにより、従来行われていた自毛や増毛用毛髪の頭部への編み込みなどの熟練を要する作業を行うことなく、容易に且つ確実に装着者の頭部に装着することができる。
【0013】
また、前記両面接着テープは、芯材の厚さが30μm以下で、両面の粘着層の厚さが80〜150μmで且つこれら粘着層の接着力が300〜600N/mであることが好ましい。
つまり、両面接着テープの芯材の厚さを30μm以下、両面の粘着層の厚さを80〜150μmで且つ接着カを300〜600N/mとすることにより、外観を損ねることなく、十分な接着力を発揮させ、頭部への確実な固着状態を得ることができ、また、取り外し後における装着痕の付着を抑えることもできる。
【0014】
本発明の増毛用部材の製造方法は、一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪を植設することを特徴とする。
これにより、増毛用毛髪を編み込むような熟練を要する特殊な技術がなくても容易に作製することができる。
【0015】
本発明の増毛用部材の装着方法は、一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設された増毛用部材を装着者の頭部に装着する増毛用部材の装着方法であって、装着者の頭部に所定の大きさの両面接着テープを貼着する貼着工程と、貼着した前記両面接着テープ付近の自毛を前記両面接着テープの上面に密着させ、さらにその上から接着剤を塗布する接着工程と、自毛を密着させた前記両面接着テープに前記増毛用部材の前記基材の粘着剤が塗布された面側を接着する固着工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記方法によれば、増毛用毛髪を植設した基材と基材を頭皮に貼り付けるための両面接着テープとで自毛を挟んだ状態で頭皮に固着するので、増毛用部材の頭皮への固着力を大幅に向上させることができ、増毛用部材の頭部からの脱落を防ぎ、確実な固着状態を維持させることができる。
また、取り付け時に、自毛や増毛用毛髪を編み込むような熟練を要する特殊な技術が不要で、装着の容易化を図ることができる。
【0017】
また、前記固着工程において、前記両面接着テープの上面に密着させる自毛の本数を、長手方向の長さ1cmに対して10〜20本とすることが好ましい。
このように、両面接着テープの上面に密着させる自毛の本数を10〜20本とすることにより、土台となる両面接着テープ及び頭部に対する増毛用部材の固着力を確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、頭部に直接増毛用部材を固定しない構成とすることで増毛用部材の基材の面積を小さくすることができるため、増毛用部材が視認されにくくなり、装着した増毛用部材を隠すための自毛の量が僅かであっても装着が可能となる。
さらに、増毛用部材の基材の面積を小さくすることによって装着者の頭部への負担を最小限に抑えることができ、増毛用部材を頭部の所定位置に所定数装着することによって薄毛を隠蔽するための増毛を容易に行うことができる。
【0019】
また、増毛用部材の作製時や頭部への取り付け時に、自毛や増毛用毛髪を編み込むような熟練を要する特殊な技術を不要とすることができ、増毛用部材の作製及び装着の容易化を図ることができる。
また、増毛用部材の大きさに合わせた両面接着テープを予め頭部の所定位置に接着し、この両面接着テープ上に増毛用部材を固着する際に、所定量の自毛を増毛用部材と両面接着テープとの間に接着剤を塗布して挟み込むことによって、極めて強固な固着力を得ることができる。
【0020】
しかも、頭部に被せるかつらと違い自毛へ固着させるストッパ一等の固定用具を使う必要が無いため、自毛が引っ張られて痛みを感じてしまうようなことがなく、頭皮に対する負担も少なくすることができる。また、頭皮に取り付ける面積が少ないため、かつらを頭部に取り付けた際に起こるような蒸れ等の違和感が無く、自然でボリューム感のある増毛を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法の実施形態について図面を参照して説明する。
[増毛用部材]
まず、本実施形態に係る増毛用部材について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る増毛用部材を示す斜視図である。
図1に示すように、増毛用部材1は、合成樹脂からなるフィルム状の基材2と、この基材2の表面に植設された複数の増毛用毛髪3とを有しており、基材2は、その裏面に粘着剤が塗布されている。そして、この増毛用部材1は、後述する両面接着テープ21を介して基材2を装着者の頭皮Thに固定することにより、装着者の頭部に装着される。
【0022】
この増毛用部材1の基材2としては、装着者の頭皮を刺激することがなく、頭皮にしっかりと接着され、しかも視認されにくい素材が用いられ、また、増毛用毛髪3を植設した際に伸びや裂けが発生しないものが好適であり、後で述べる頭皮Thへの固着工程において両面接着テープ21や接着剤との相性が良く、固着後に脱落することが無いものが好適である。これらの条件に適した基材2の素材としては、例えば、半透明ベージュ色の防水医療用テープ(例えば、ニチバン附製シアテープSH154)が望ましい。
【0023】
また、増毛用部材1の増毛用毛髪3としては、人毛あるいは人工毛髪が用いられ、この増毛用毛髪3は、基材2の表面に、その基材2の長手方向に沿って間隔をあけて一列に植設されて垂設されている。
【0024】
[増毛用部材の作製方法]
次に、上記構造の増毛用部材1の作製方法について、その手順に沿って説明する。
図2〜図8は、増毛用部材の作製方法を説明する図であって、図2は、増毛用部材の作製方法を説明する離型紙を固定した離型紙台の平面図、図3は、離型紙に接着テープを貼り付ける作業を説明する離型紙台の平面図、図4は、接着テープへ増毛用毛髪を植設する作業を説明する離型紙台の平面図、図5は、増毛用毛髪を植設した接着テープを示す離型紙台の側面図、図6は、増毛用毛髪を植設した部分を切断分離して増毛用部材とする作業を説明する接着テープの平面図、図7は、作製した増毛用部材の側面図、図8は、次の増毛用部材の作製作業への移行を説明する離型紙台の平面図である。
【0025】
(1)作製準備作業
まず、図2に示すように、離型紙台11の表面に離型紙12を配置し、この離型紙12の両端部を固定テープ13によって離型紙台11に貼り付けて固定する。ここで、離型紙12を離型紙台11に固定するための固定テープ13は、後述する増毛用毛髪3の植設作業時に離型紙12が離型紙台11からはずれることがないような十分な接着カを持つものが用いられる。また、離型紙台3としては、増毛用部材1の作製工程上幾度も固定テープ13を離型紙台11上で脱着することになるため、固定テープ13を容易に脱着できる素材であることが望ましく、例えば、ポリエチレンシートのような合成樹脂製のシート等を使用するのが好ましい。
【0026】
(2)植設作業
次に、増毛用毛髪3の基材2への植設作業を行う。
この植設作業では、最初に、図3に示すように、基材2となる接着テープ2Aを、その粘着剤が塗布されている裏面側を離型紙台11に固定した離型紙12に貼付する。
次に、図4及び図5に示すように、接着テープ2Aの粘着剤が塗布されていない表面側において、接着テープ2Aの一側部側の周縁部に沿う所定の位置に、所定の長さを有する増毛用毛髪3を、約1mm程度の間隔をあけてほぼ垂直にかつ一列に植えていく。なお、植設の際には、既知のかつらベースに増毛用毛髪を植え込む方法でよく、例えば、図5で示すように、増毛用毛髪3の中間部分を接着テープ2Aに植え込むことによりV字状に植設する。
【0027】
(3)切り離し作業
接着テープ2Aに増毛用毛髪3を植設した後、増毛用毛髪3を植設した接着テープ2Aを、離型紙12とともに離型紙台11から取り外し、図6に示すように、植設した増毛用毛髪3を含む約1.2mm程度の所定の幅寸法にて、増毛用毛髪3の配列方向に沿って離型紙12と一緒に切り取る。
このようにすると、図7に示すように、粘着剤が塗布された裏面側に離型紙12が貼り付けられた基材2に、複数の増毛用毛髪3が植設されて垂設された増毛用部材1が作製される。
【0028】
その後は、図8に示すように、上述の工程で増毛用部材1を切り取ることにより残った接着テープ2Aを、この接着テープ2Aが貼り付けられた離型紙12を離型紙台11に固定用テープ13で貼り付けることにより離型紙台11に固定し、上記植設作業、切り離し作業を繰り返し、複数の増毛用部材1を作製する。
【0029】
なお、接着テープ2Aの一側部側における周縁部に沿った所定の位置に増毛用毛髪3をー列に植える理由は、基材2の粘着層側の粘着性を損なわずに切り取り後の増毛用部材1の面積を極力小さくすることにより、増毛用部材1を目立たせることなく装着者の頭部Tに確実に固着させるためである。
また、上記増毛用部材1の作製作業において、増毛用部材1の基材2の幅寸法は、一番小さな1.2mm程度から、装着者の自毛の残量や自毛の生えている間隔に応じて自由に設定することができる。
さらに、上記作製方法では、増毛用毛髪3を植設する接着テープ2Aを1枚として作製を行ったが、強度を高めるために接着テープ2Aを2枚以上重ねて貼り合わせたものに増毛用毛髪3を植設してもかまわない。
また、離型紙12及び接着テープ2Aには、切断して長さを調整するための目印として、約1cm程度の所定の間隔をあけてマークを付しておくのが好ましい。
【0030】
[増毛用部材の装着方法]
次に、増毛用部材1の装着者への装着方法について、その手順に沿って説明する。
図9〜図15は、増毛用部材の装着方法を説明する図であって、図9は、増毛用部材の装着方法を説明する装着者の頭部の平面図、図10は、装着者の頭部に貼り付けた両面接着テープの断面図、図11は、両面接着テープを装着者の頭部に貼り付ける貼着工程を説明する拡大斜視図、図12は、両面接着テープへ固着用自毛を接着させる接着工程を説明する拡大斜視図、図13は、両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する平面図、図14は、両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する断面図、図15は、装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す拡大斜視図、図16は、装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す断面図である。
【0031】
(1)切断工程
最初に、前述した作製方法にて作製した増毛用部材1を、装着者の頭部への装着位置に合わせて切断し、所定の大きさとする。
【0032】
(2)貼着工程
次に、図9〜図11に示すように、増毛用部材1を装着者の頭部Tに固着するための固着部材である両面接着テープ21を、切断した増毛用部材1の大きさに合わせて切断し、装着者の頭部Tの所定の装着位置に貼着する。
この両面接着テープ21は、図10及び図11に示すように、フィルム状の芯材22の上面及び下面に、それぞれ上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bを備えたもので、下面側粘着層23bを装着者の頭部Tの頭皮Thに貼着させることにより装着者の頭部Tに取り付けられる。
【0033】
(3)接着工程
上記のように、装着者の頭部Tに両面接着テープ21を取り付けたら、図12に示すように、装着者の自毛Hのうちの、両面接着テープ21の一側部側付近における長手方向に沿って生えている所定量の自毛Hを固着用自毛Haとして選択し、これら固着用自毛Haを緩みが生じない程度に両面接着テープ21の他側部側へ引っ張り、これら固着用自毛Haの根元を両面接着テープ21の上面側粘着層23aに接着させる。
そして、固着用自毛Haを接着した状態の両面接着テープ21を、増毛用部材1を固着させるための土台25とする。
【0034】
頭部Tに両面接着テープ21を貼り付けて土台25を形成したら、この土台25を構成する両面接着テープ21の固着用自毛Haを貼り付けた上面側粘着層23aの部分に、頭部Tと両面接着テープ21の下面側粘着層23bとの間にも入り込む程度の量の接着剤を塗布する。
【0035】
(4)固着工程
次いで、図13及び図14に示すように、塗布した接着剤が乾く前に、離型紙12を剥がした増毛用部材1の基材2を土台25の位置に合わせて配置させ、図15及び図16に示すように、固着用自毛Haを増毛用部材1の基材2と両面接着テープ21の上面側粘着層23aとで挟むように固着する。
そして、上記(1)〜(4)の工程を行うことにより、装着者の頭部Tに、増毛用部材1が確実に固着され、装着者の頭部Tの増毛が行われ、頭髪が薄くなった部分にて、自然に毛髪が増えたように見せることができる。
【0036】
以上、説明したように、本実施形態に係る増毛用部材及びその作製方法によれば、接着テープ2Aの一側部側の周縁部に沿って増毛用毛髪3を植設して増毛用部材1を作製し、この増毛用部材1と増毛用部材1を頭部Tに固着させる両面接着テープ21などからなる固着部材とを分ける構成とすることで、粘着性を損なわないまま増毛用部材1の基材2の面積を小さくして容易に作製することが可能となり、増毛用部材1の基材2の面積を小さくすることにより、第三者から増毛用部材1を視認されにくくすることができる。
しかも、自毛Hや増毛用毛髪3の編み込み作業などが不要であるので、熟練を要せずに容易にかつ確実に装着することができ、また、自毛が少なくても自然な状態で増毛することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る増毛用部材の装着方法によれば、増毛用毛髪3を植設した接着テープ2Aからなる基材2と基材2を頭皮Thに貼り付けるための両面接着テープ21とで頭部Tに残った自毛Hから選択した固着用自毛Haを挟んだ状態で頭皮Thに固着するので、増毛用部材1の頭皮Thへの固着力を大幅に向上させることができ、増毛用部材1の頭部Tからの脱落を防ぎ、確実な固着状態を維持させることができる。
【0038】
さらに、頭部Tに被せるかつらと違い自毛Hへ固着させるストッパ一等の固定用具を使う必要が無いため、自毛Hが引っ張られて痛みを感じてしまうようなことがなく、頭皮Thに対する負担も少なくすることができる。また、頭皮Thに取り付ける面積が少ないため、かつらを頭皮Thに取り付けた際に起こるような蒸れ等の違和感が無く、自然でボリューム感のある増毛を行うことが可能となる。
【0039】
なお、固着用自毛Haを両面接着テープ21の上面側粘着層22aに接着する接着工程における固着用自毛Haの選択は、増毛用部材1の装着後に装着者が頭部T上において自然な増毛感を得ることができるようにするため、両面接着テープ21を接着した位置の付近に生えている自毛Hの頭部Tから生えている方向に基づいて選択するのが好ましい。具体的には、例えば、図17に示すように、頭部Tの後方から視て左側の位置に増毛用部材1を装着する場合は、頭部Tの左側の装着位置Sの付近にて自毛Hが生えている方向に沿って自然な毛髪の流れになるように、装着位置Sよりも右側の自毛Hを固着用自毛Haとして選択し、図18に示すように、これら選択した固着用自毛Haを、頭部Tから生えている方向に従って引き出して両面接着テープ21の上部側粘着層23aに接着させるのが好ましい。
【0040】
また、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bは、増毛用部材16の貼り付け後に、増毛用部材16が剥がれて落ちたり頭皮Thから剥がれ落ちるようなことがないように、十分な接着力を持つ必要がある。このため、両面接着テープ21としては、その上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bが、共に300〜600N/mの接着力を有するものが使用される。
【0041】
ここで、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの接着力が上記数値より低い場合は、頭部Tから外れやすくなる。また、頭部Tに固着した増毛用部材1を取り外す際には、通常、増毛用部材1の頭部Tとの固着部分である両面接着テープ21からなる土台25に剥離剤を塗布して増毛用部材1及び両面接着テープ21を取り外すが、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの接着力が上記数値より高くて強すぎると、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bに使用している粘着剤の除去が難しくなり、頭部T上に増毛用部材1を装着した痕が残ってしまう。
【0042】
つまり、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの接着力を300〜600N/mとすることにより、増毛用部材1の頭部Tへの確実な固着状態を得つつ、取り外し後における装着痕の付着を抑えることができる。
なお、両面接着テープ21の接着力のデータは、対BA(Bright Annealed)板接着力試験によるものである。
【0043】
また、両面接着テープ21は、その芯材22の厚さが30μm以下であり、上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bが低アレルギー性アクリル系粘着剤から形成され、上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さが共に80〜150μmであることが望ましい。
【0044】
ここで、頭部Tに生えている自毛Hの径は一般的に平均80μmであるので、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さが80μmよりも薄いと、図19に示すように、上面側粘着層23aと増毛用部材1との間に介在する固着用自毛Ha及び頭部Tと下面側粘着層23bとの間に介在する自毛Hが、上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さを上回ってしまい、これら固着用自毛Ha及び自毛Hによって上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bが増毛用部材1及び頭部Tへ十分に届かなくなり、想定している接着カが得られないことがある。
また、自毛Hの径よりも上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さが極端に厚いと、頭部Tに増毛用部材1を固着した部分が盛り上がってしまい、見た目を損ねてしまう。
【0045】
つまり、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さを80〜150μmとすることにより、外観を損ねることなく、十分な接着力を発揮させ、増毛用部材1の確実な固着状態を得ることができる。
【0046】
また、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付けた固着用自毛Haの上から接着剤を塗布し、増毛用部材1を両面接着テープ21からなる土台25に固着するので、増毛用部材1と土台25との固着力を大幅に向上させることができる。しかも、頭部Tと両面接着テープ21からなる土台25との聞にも塗布した接着剤が入り込むことで、頭部Tと土台25との接着力も大幅に向上させることができる。これにより、頭部Tからの増毛用部材1の脱落を確実に防ぐことができる。
【0047】
ここで、接着剤を使用せず増毛用部材1を両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの粘着力だけで装着した場合、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bから粘着剤が漏れ出し、増毛用部材1を装着した部分以外の頭部Tや近傍の自毛Hに付着して汚してしまい、美観が損なわれるとともに、増毛用部材1の固着箇所が露見されてしまうことがある。
【0048】
しかし、本実施形態のように、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bを覆うように接着剤を塗布することで上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bにおける粘着剤の硬度が高くなり流動性が失われるため、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bからの粘着剤の漏れ出しを防ぐことができ、粘着剤の漏れ出しにより美観が損なわれたり増毛用部材1の固着箇所が露見してしまうような不具合なく、増毛用部材1を確実に固着させることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、装着箇所付近の自毛Hから選択した固着用自毛Haを挟み込むように増毛用部材1を両面接着テープ21に固着するので、増毛用部材1が両面接着テープ21のみならず固着用自毛Haにも固着されることになり、増毛用部材1の頭部Tに対する固着カをより向上させることができる。
【0050】
なお、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haの本数は、増毛用部材1の長手方向の長さ1cmに対して10本〜20本程度が望ましい。
【0051】
ここで、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haの本数が多すぎると、増毛用部材1の粘着剤が塗布されている下面側と土台25を構成する両面接着テープ21の上面側粘着層23aとの間に挟まれる固着用自毛Haにより、土台25を構成している両面接着テープ21の上面側粘着層23aにおける接着カが弱くなり、増毛用部材1を土台25に固着するための接着カが弱くなってしまう。また、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haが少なすぎると、増毛用部材1の粘着剤が塗布されている下面側と両面接着テープ21の上面側粘着層23aとの間に固着用自毛Haを挟むことによる増毛用部材1と頭部Tとの固着力を向上させる効果が低減してしまう。
【0052】
つまり、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haの本数を、増毛用部材1の長手方向の長さ1cmに対して10本〜20本程度とすることにより、土台25及び頭部Tに対する増毛用部材1の固着力を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る増毛用部材を示す斜視図である。
【図2】増毛用部材の作製方法を説明する離型紙を固定した離型紙台の平面図である。
【図3】離型紙に接着テープを貼り付ける作業を説明する離型紙台の平面図である。
【図4】接着テープへ増毛用毛髪を植設する作業を説明する離型紙台の平面図である。
【図5】増毛用毛髪を植設した接着テープを示す離型紙台の側面図である。
【図6】増毛用毛髪を植設した部分を切断分離して増毛用部材とする作業を説明する接着テープの平面図である。
【図7】作製した増毛用部材の側面図である。
【図8】次の増毛用部材の作製作業への移行を説明する離型紙台の平面図である。
【図9】増毛用部材の装着方法を説明する装着者の頭部の平面図である。
【図10】装着者の頭部に貼り付けた両面接着テープの断面図である。
【図11】両面接着テープを装着者の頭部に貼り付ける貼着工程を説明する拡大斜視図である。
【図12】両面接着テープへ固着用自毛を接着させる接着工程を説明する拡大斜視図である。
【図13】両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する平面図である。
【図14】両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する断面図である。
【図15】装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す拡大斜視図である。
【図16】装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す断面図である。
【図17】両面接着テープへ接着させる固着用自毛の選択の仕方を説明する装着者の頭部の平面図である。
【図18】両面接着テープへ接着させる固着用自毛の選択の仕方を説明する拡大斜視図である。
【図19】自毛及び固着用自毛からなる毛髪の径に対する両面接着テープの上面側粘着層及び下面側粘着層の厚さによる固着状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 増毛用部材
2 基材
3 増毛用毛髪
21 両面接着テープ(固着部材)
22 芯材
23a 上面側粘着層(粘着層)
23b 下面側粘着層(粘着層)
H 自毛
Ha 固着用自毛
T 頭部
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪が薄くなった部分等に毛髪を補うために装着される増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛等により頭髪が薄くなった場合には、かつら等を着用して頭髪の薄くなった部分を隠蔽する方法があるが、かつらを装着すると一気に頭部の毛髪が増えて外観が一変し、かつらの装着が視認され易く、このため、かつらは敬遠される傾向にある。
近年では、かつらを装着するほどではないが、頭皮が透けて見える人向けとして、増毛用部材を装着することによる部分的な増毛法が、かつらに代わる増毛技術として行われている。
【0003】
この種の増毛技術としては、下面が粘着性を有する粘着層とされた層状部材に毛髪を植設した増毛用部材を、その層状部材の縁部に装着者の頭髪を編み込むとともに粘着層を頭髪に貼り付けて装着し、この増毛用部材を固定した部分を装着者の毛髪で隠して増毛用部材が視認されないようにするものがある(特許文献1参照)。
【0004】
また、増毛用毛髪の端部に繊維を編み込んで作製した増毛用部材の端部に両面接着テープの一方側の面を貼り付け、この両面接着テープの他方側の面を自毛に接着して増毛用毛髪を折り返し、増毛用毛髪によって装着部が隠れるように装着する技術もある(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、長方形の基板支持体に増毛用毛髪を植えた増毛用部材を2枚作製し、これら増毛用部材のうち一枚を装着者の頭皮に粘着テープ及び編み込みによって固定し、もう一枚を、既に固定した増毛用部材の固定部分を隠すために固定部分に粘着テープ及び縫い付けによって固定し、次に、装着者の自毛によって縫い付け部分を隠す技術も知られている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】米国特許5,575,298号公報
【特許文献2】米国特許6,135,122号公報
【特許文献3】米国特許6,405,736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1に記載の技術は、取り付けに際しては自毛を増毛用部材の層状部材に編み込むための熟練した技術が必要である。また、編み込みを行うことができ、しかも、増毛用部材装着後に増毛用部材を覆って視認されないように隠すことができる十分な量の自毛が必要であるため、薄毛の進行度合いによっては装着することができないという欠点がある。
また、特許文献2に記載の技術は、自毛に取り付けるための繊維を増毛用毛髪の端部に編み込まなければならず、その作業に熟練が必要であった。また、この増毛用毛髪は、両面接着テープのみを使用して頭髪に貼り付ける形態であるため、残っている自毛の量や状態によっては十分な接着力が得られない可能性がある。
さらに、特許文献3に記載の技術は、装着者の頭部に固定した増毛用部材の基板支持体が目立つため、その固定部分を装着者の頭部に残っている毛髪によって隠すことが必須となり、十分な量の自毛が頭部に無ければ取り付けることが出来ない。
【0008】
しかも、上記のいずれの技術も、ファッション的要素が強いエクステンション(つけ毛またはみの毛)に関するものであるため、頭部に十分な自毛があることを前提としており、さらに上記の増毛用部材は、頭部へ固定する部分と増毛用の毛髪を固着する部分とが共用されているため、頭部に固定する部分が分厚くなり不自然さが残ってしまう。このため、上記技術では、薄毛かくしを目的とした増毛には適しなかった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、熟練を要せずに容易にかつ確実に装着することができ、また、自毛が少なくても自然な状態で増毛することが可能な増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の増毛用部材は、一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設され、この基材が固着部材を介して装着者の頭皮に固着されることを特徴とする。
これにより、基材の面積を小さくして容易に作製することが可能となり、また、増毛用毛髪が植設された基材の面積を小さくすることにより、第三者から視認されにくくすることができ、また、この基材を自毛への編み込みなど行うことなく装着することができるので、熟練を要せずに装着でき、しかも自毛が少ない装着者に対しても自然な状態で増毛することができる。
【0011】
また、前記増毛用毛髪は、前記基材の前記粘着剤が塗布されていない他方の面側に垂延して植設されていることが好ましい。
これにより、基材に植設された増毛用毛髪によって自然な状態でかつ確実に増毛することができる。
【0012】
さらに、装着者の頭部に接着した両面接着テープからなる前記固着部材の一面側へ前記基材を接着することにより、前記頭部に固着されることが望ましい。
これにより、従来行われていた自毛や増毛用毛髪の頭部への編み込みなどの熟練を要する作業を行うことなく、容易に且つ確実に装着者の頭部に装着することができる。
【0013】
また、前記両面接着テープは、芯材の厚さが30μm以下で、両面の粘着層の厚さが80〜150μmで且つこれら粘着層の接着力が300〜600N/mであることが好ましい。
つまり、両面接着テープの芯材の厚さを30μm以下、両面の粘着層の厚さを80〜150μmで且つ接着カを300〜600N/mとすることにより、外観を損ねることなく、十分な接着力を発揮させ、頭部への確実な固着状態を得ることができ、また、取り外し後における装着痕の付着を抑えることもできる。
【0014】
本発明の増毛用部材の製造方法は、一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪を植設することを特徴とする。
これにより、増毛用毛髪を編み込むような熟練を要する特殊な技術がなくても容易に作製することができる。
【0015】
本発明の増毛用部材の装着方法は、一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設された増毛用部材を装着者の頭部に装着する増毛用部材の装着方法であって、装着者の頭部に所定の大きさの両面接着テープを貼着する貼着工程と、貼着した前記両面接着テープ付近の自毛を前記両面接着テープの上面に密着させ、さらにその上から接着剤を塗布する接着工程と、自毛を密着させた前記両面接着テープに前記増毛用部材の前記基材の粘着剤が塗布された面側を接着する固着工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記方法によれば、増毛用毛髪を植設した基材と基材を頭皮に貼り付けるための両面接着テープとで自毛を挟んだ状態で頭皮に固着するので、増毛用部材の頭皮への固着力を大幅に向上させることができ、増毛用部材の頭部からの脱落を防ぎ、確実な固着状態を維持させることができる。
また、取り付け時に、自毛や増毛用毛髪を編み込むような熟練を要する特殊な技術が不要で、装着の容易化を図ることができる。
【0017】
また、前記固着工程において、前記両面接着テープの上面に密着させる自毛の本数を、長手方向の長さ1cmに対して10〜20本とすることが好ましい。
このように、両面接着テープの上面に密着させる自毛の本数を10〜20本とすることにより、土台となる両面接着テープ及び頭部に対する増毛用部材の固着力を確実に得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、頭部に直接増毛用部材を固定しない構成とすることで増毛用部材の基材の面積を小さくすることができるため、増毛用部材が視認されにくくなり、装着した増毛用部材を隠すための自毛の量が僅かであっても装着が可能となる。
さらに、増毛用部材の基材の面積を小さくすることによって装着者の頭部への負担を最小限に抑えることができ、増毛用部材を頭部の所定位置に所定数装着することによって薄毛を隠蔽するための増毛を容易に行うことができる。
【0019】
また、増毛用部材の作製時や頭部への取り付け時に、自毛や増毛用毛髪を編み込むような熟練を要する特殊な技術を不要とすることができ、増毛用部材の作製及び装着の容易化を図ることができる。
また、増毛用部材の大きさに合わせた両面接着テープを予め頭部の所定位置に接着し、この両面接着テープ上に増毛用部材を固着する際に、所定量の自毛を増毛用部材と両面接着テープとの間に接着剤を塗布して挟み込むことによって、極めて強固な固着力を得ることができる。
【0020】
しかも、頭部に被せるかつらと違い自毛へ固着させるストッパ一等の固定用具を使う必要が無いため、自毛が引っ張られて痛みを感じてしまうようなことがなく、頭皮に対する負担も少なくすることができる。また、頭皮に取り付ける面積が少ないため、かつらを頭部に取り付けた際に起こるような蒸れ等の違和感が無く、自然でボリューム感のある増毛を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る増毛用部材、増毛用部材の作製方法及び増毛用部材の装着方法の実施形態について図面を参照して説明する。
[増毛用部材]
まず、本実施形態に係る増毛用部材について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る増毛用部材を示す斜視図である。
図1に示すように、増毛用部材1は、合成樹脂からなるフィルム状の基材2と、この基材2の表面に植設された複数の増毛用毛髪3とを有しており、基材2は、その裏面に粘着剤が塗布されている。そして、この増毛用部材1は、後述する両面接着テープ21を介して基材2を装着者の頭皮Thに固定することにより、装着者の頭部に装着される。
【0022】
この増毛用部材1の基材2としては、装着者の頭皮を刺激することがなく、頭皮にしっかりと接着され、しかも視認されにくい素材が用いられ、また、増毛用毛髪3を植設した際に伸びや裂けが発生しないものが好適であり、後で述べる頭皮Thへの固着工程において両面接着テープ21や接着剤との相性が良く、固着後に脱落することが無いものが好適である。これらの条件に適した基材2の素材としては、例えば、半透明ベージュ色の防水医療用テープ(例えば、ニチバン附製シアテープSH154)が望ましい。
【0023】
また、増毛用部材1の増毛用毛髪3としては、人毛あるいは人工毛髪が用いられ、この増毛用毛髪3は、基材2の表面に、その基材2の長手方向に沿って間隔をあけて一列に植設されて垂設されている。
【0024】
[増毛用部材の作製方法]
次に、上記構造の増毛用部材1の作製方法について、その手順に沿って説明する。
図2〜図8は、増毛用部材の作製方法を説明する図であって、図2は、増毛用部材の作製方法を説明する離型紙を固定した離型紙台の平面図、図3は、離型紙に接着テープを貼り付ける作業を説明する離型紙台の平面図、図4は、接着テープへ増毛用毛髪を植設する作業を説明する離型紙台の平面図、図5は、増毛用毛髪を植設した接着テープを示す離型紙台の側面図、図6は、増毛用毛髪を植設した部分を切断分離して増毛用部材とする作業を説明する接着テープの平面図、図7は、作製した増毛用部材の側面図、図8は、次の増毛用部材の作製作業への移行を説明する離型紙台の平面図である。
【0025】
(1)作製準備作業
まず、図2に示すように、離型紙台11の表面に離型紙12を配置し、この離型紙12の両端部を固定テープ13によって離型紙台11に貼り付けて固定する。ここで、離型紙12を離型紙台11に固定するための固定テープ13は、後述する増毛用毛髪3の植設作業時に離型紙12が離型紙台11からはずれることがないような十分な接着カを持つものが用いられる。また、離型紙台3としては、増毛用部材1の作製工程上幾度も固定テープ13を離型紙台11上で脱着することになるため、固定テープ13を容易に脱着できる素材であることが望ましく、例えば、ポリエチレンシートのような合成樹脂製のシート等を使用するのが好ましい。
【0026】
(2)植設作業
次に、増毛用毛髪3の基材2への植設作業を行う。
この植設作業では、最初に、図3に示すように、基材2となる接着テープ2Aを、その粘着剤が塗布されている裏面側を離型紙台11に固定した離型紙12に貼付する。
次に、図4及び図5に示すように、接着テープ2Aの粘着剤が塗布されていない表面側において、接着テープ2Aの一側部側の周縁部に沿う所定の位置に、所定の長さを有する増毛用毛髪3を、約1mm程度の間隔をあけてほぼ垂直にかつ一列に植えていく。なお、植設の際には、既知のかつらベースに増毛用毛髪を植え込む方法でよく、例えば、図5で示すように、増毛用毛髪3の中間部分を接着テープ2Aに植え込むことによりV字状に植設する。
【0027】
(3)切り離し作業
接着テープ2Aに増毛用毛髪3を植設した後、増毛用毛髪3を植設した接着テープ2Aを、離型紙12とともに離型紙台11から取り外し、図6に示すように、植設した増毛用毛髪3を含む約1.2mm程度の所定の幅寸法にて、増毛用毛髪3の配列方向に沿って離型紙12と一緒に切り取る。
このようにすると、図7に示すように、粘着剤が塗布された裏面側に離型紙12が貼り付けられた基材2に、複数の増毛用毛髪3が植設されて垂設された増毛用部材1が作製される。
【0028】
その後は、図8に示すように、上述の工程で増毛用部材1を切り取ることにより残った接着テープ2Aを、この接着テープ2Aが貼り付けられた離型紙12を離型紙台11に固定用テープ13で貼り付けることにより離型紙台11に固定し、上記植設作業、切り離し作業を繰り返し、複数の増毛用部材1を作製する。
【0029】
なお、接着テープ2Aの一側部側における周縁部に沿った所定の位置に増毛用毛髪3をー列に植える理由は、基材2の粘着層側の粘着性を損なわずに切り取り後の増毛用部材1の面積を極力小さくすることにより、増毛用部材1を目立たせることなく装着者の頭部Tに確実に固着させるためである。
また、上記増毛用部材1の作製作業において、増毛用部材1の基材2の幅寸法は、一番小さな1.2mm程度から、装着者の自毛の残量や自毛の生えている間隔に応じて自由に設定することができる。
さらに、上記作製方法では、増毛用毛髪3を植設する接着テープ2Aを1枚として作製を行ったが、強度を高めるために接着テープ2Aを2枚以上重ねて貼り合わせたものに増毛用毛髪3を植設してもかまわない。
また、離型紙12及び接着テープ2Aには、切断して長さを調整するための目印として、約1cm程度の所定の間隔をあけてマークを付しておくのが好ましい。
【0030】
[増毛用部材の装着方法]
次に、増毛用部材1の装着者への装着方法について、その手順に沿って説明する。
図9〜図15は、増毛用部材の装着方法を説明する図であって、図9は、増毛用部材の装着方法を説明する装着者の頭部の平面図、図10は、装着者の頭部に貼り付けた両面接着テープの断面図、図11は、両面接着テープを装着者の頭部に貼り付ける貼着工程を説明する拡大斜視図、図12は、両面接着テープへ固着用自毛を接着させる接着工程を説明する拡大斜視図、図13は、両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する平面図、図14は、両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する断面図、図15は、装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す拡大斜視図、図16は、装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す断面図である。
【0031】
(1)切断工程
最初に、前述した作製方法にて作製した増毛用部材1を、装着者の頭部への装着位置に合わせて切断し、所定の大きさとする。
【0032】
(2)貼着工程
次に、図9〜図11に示すように、増毛用部材1を装着者の頭部Tに固着するための固着部材である両面接着テープ21を、切断した増毛用部材1の大きさに合わせて切断し、装着者の頭部Tの所定の装着位置に貼着する。
この両面接着テープ21は、図10及び図11に示すように、フィルム状の芯材22の上面及び下面に、それぞれ上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bを備えたもので、下面側粘着層23bを装着者の頭部Tの頭皮Thに貼着させることにより装着者の頭部Tに取り付けられる。
【0033】
(3)接着工程
上記のように、装着者の頭部Tに両面接着テープ21を取り付けたら、図12に示すように、装着者の自毛Hのうちの、両面接着テープ21の一側部側付近における長手方向に沿って生えている所定量の自毛Hを固着用自毛Haとして選択し、これら固着用自毛Haを緩みが生じない程度に両面接着テープ21の他側部側へ引っ張り、これら固着用自毛Haの根元を両面接着テープ21の上面側粘着層23aに接着させる。
そして、固着用自毛Haを接着した状態の両面接着テープ21を、増毛用部材1を固着させるための土台25とする。
【0034】
頭部Tに両面接着テープ21を貼り付けて土台25を形成したら、この土台25を構成する両面接着テープ21の固着用自毛Haを貼り付けた上面側粘着層23aの部分に、頭部Tと両面接着テープ21の下面側粘着層23bとの間にも入り込む程度の量の接着剤を塗布する。
【0035】
(4)固着工程
次いで、図13及び図14に示すように、塗布した接着剤が乾く前に、離型紙12を剥がした増毛用部材1の基材2を土台25の位置に合わせて配置させ、図15及び図16に示すように、固着用自毛Haを増毛用部材1の基材2と両面接着テープ21の上面側粘着層23aとで挟むように固着する。
そして、上記(1)〜(4)の工程を行うことにより、装着者の頭部Tに、増毛用部材1が確実に固着され、装着者の頭部Tの増毛が行われ、頭髪が薄くなった部分にて、自然に毛髪が増えたように見せることができる。
【0036】
以上、説明したように、本実施形態に係る増毛用部材及びその作製方法によれば、接着テープ2Aの一側部側の周縁部に沿って増毛用毛髪3を植設して増毛用部材1を作製し、この増毛用部材1と増毛用部材1を頭部Tに固着させる両面接着テープ21などからなる固着部材とを分ける構成とすることで、粘着性を損なわないまま増毛用部材1の基材2の面積を小さくして容易に作製することが可能となり、増毛用部材1の基材2の面積を小さくすることにより、第三者から増毛用部材1を視認されにくくすることができる。
しかも、自毛Hや増毛用毛髪3の編み込み作業などが不要であるので、熟練を要せずに容易にかつ確実に装着することができ、また、自毛が少なくても自然な状態で増毛することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る増毛用部材の装着方法によれば、増毛用毛髪3を植設した接着テープ2Aからなる基材2と基材2を頭皮Thに貼り付けるための両面接着テープ21とで頭部Tに残った自毛Hから選択した固着用自毛Haを挟んだ状態で頭皮Thに固着するので、増毛用部材1の頭皮Thへの固着力を大幅に向上させることができ、増毛用部材1の頭部Tからの脱落を防ぎ、確実な固着状態を維持させることができる。
【0038】
さらに、頭部Tに被せるかつらと違い自毛Hへ固着させるストッパ一等の固定用具を使う必要が無いため、自毛Hが引っ張られて痛みを感じてしまうようなことがなく、頭皮Thに対する負担も少なくすることができる。また、頭皮Thに取り付ける面積が少ないため、かつらを頭皮Thに取り付けた際に起こるような蒸れ等の違和感が無く、自然でボリューム感のある増毛を行うことが可能となる。
【0039】
なお、固着用自毛Haを両面接着テープ21の上面側粘着層22aに接着する接着工程における固着用自毛Haの選択は、増毛用部材1の装着後に装着者が頭部T上において自然な増毛感を得ることができるようにするため、両面接着テープ21を接着した位置の付近に生えている自毛Hの頭部Tから生えている方向に基づいて選択するのが好ましい。具体的には、例えば、図17に示すように、頭部Tの後方から視て左側の位置に増毛用部材1を装着する場合は、頭部Tの左側の装着位置Sの付近にて自毛Hが生えている方向に沿って自然な毛髪の流れになるように、装着位置Sよりも右側の自毛Hを固着用自毛Haとして選択し、図18に示すように、これら選択した固着用自毛Haを、頭部Tから生えている方向に従って引き出して両面接着テープ21の上部側粘着層23aに接着させるのが好ましい。
【0040】
また、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bは、増毛用部材16の貼り付け後に、増毛用部材16が剥がれて落ちたり頭皮Thから剥がれ落ちるようなことがないように、十分な接着力を持つ必要がある。このため、両面接着テープ21としては、その上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bが、共に300〜600N/mの接着力を有するものが使用される。
【0041】
ここで、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの接着力が上記数値より低い場合は、頭部Tから外れやすくなる。また、頭部Tに固着した増毛用部材1を取り外す際には、通常、増毛用部材1の頭部Tとの固着部分である両面接着テープ21からなる土台25に剥離剤を塗布して増毛用部材1及び両面接着テープ21を取り外すが、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの接着力が上記数値より高くて強すぎると、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bに使用している粘着剤の除去が難しくなり、頭部T上に増毛用部材1を装着した痕が残ってしまう。
【0042】
つまり、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの接着力を300〜600N/mとすることにより、増毛用部材1の頭部Tへの確実な固着状態を得つつ、取り外し後における装着痕の付着を抑えることができる。
なお、両面接着テープ21の接着力のデータは、対BA(Bright Annealed)板接着力試験によるものである。
【0043】
また、両面接着テープ21は、その芯材22の厚さが30μm以下であり、上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bが低アレルギー性アクリル系粘着剤から形成され、上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さが共に80〜150μmであることが望ましい。
【0044】
ここで、頭部Tに生えている自毛Hの径は一般的に平均80μmであるので、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さが80μmよりも薄いと、図19に示すように、上面側粘着層23aと増毛用部材1との間に介在する固着用自毛Ha及び頭部Tと下面側粘着層23bとの間に介在する自毛Hが、上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さを上回ってしまい、これら固着用自毛Ha及び自毛Hによって上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bが増毛用部材1及び頭部Tへ十分に届かなくなり、想定している接着カが得られないことがある。
また、自毛Hの径よりも上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さが極端に厚いと、頭部Tに増毛用部材1を固着した部分が盛り上がってしまい、見た目を損ねてしまう。
【0045】
つまり、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの厚さを80〜150μmとすることにより、外観を損ねることなく、十分な接着力を発揮させ、増毛用部材1の確実な固着状態を得ることができる。
【0046】
また、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付けた固着用自毛Haの上から接着剤を塗布し、増毛用部材1を両面接着テープ21からなる土台25に固着するので、増毛用部材1と土台25との固着力を大幅に向上させることができる。しかも、頭部Tと両面接着テープ21からなる土台25との聞にも塗布した接着剤が入り込むことで、頭部Tと土台25との接着力も大幅に向上させることができる。これにより、頭部Tからの増毛用部材1の脱落を確実に防ぐことができる。
【0047】
ここで、接着剤を使用せず増毛用部材1を両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bの粘着力だけで装着した場合、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bから粘着剤が漏れ出し、増毛用部材1を装着した部分以外の頭部Tや近傍の自毛Hに付着して汚してしまい、美観が損なわれるとともに、増毛用部材1の固着箇所が露見されてしまうことがある。
【0048】
しかし、本実施形態のように、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bを覆うように接着剤を塗布することで上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bにおける粘着剤の硬度が高くなり流動性が失われるため、両面接着テープ21の上面側粘着層23a及び下面側粘着層23bからの粘着剤の漏れ出しを防ぐことができ、粘着剤の漏れ出しにより美観が損なわれたり増毛用部材1の固着箇所が露見してしまうような不具合なく、増毛用部材1を確実に固着させることができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、装着箇所付近の自毛Hから選択した固着用自毛Haを挟み込むように増毛用部材1を両面接着テープ21に固着するので、増毛用部材1が両面接着テープ21のみならず固着用自毛Haにも固着されることになり、増毛用部材1の頭部Tに対する固着カをより向上させることができる。
【0050】
なお、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haの本数は、増毛用部材1の長手方向の長さ1cmに対して10本〜20本程度が望ましい。
【0051】
ここで、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haの本数が多すぎると、増毛用部材1の粘着剤が塗布されている下面側と土台25を構成する両面接着テープ21の上面側粘着層23aとの間に挟まれる固着用自毛Haにより、土台25を構成している両面接着テープ21の上面側粘着層23aにおける接着カが弱くなり、増毛用部材1を土台25に固着するための接着カが弱くなってしまう。また、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haが少なすぎると、増毛用部材1の粘着剤が塗布されている下面側と両面接着テープ21の上面側粘着層23aとの間に固着用自毛Haを挟むことによる増毛用部材1と頭部Tとの固着力を向上させる効果が低減してしまう。
【0052】
つまり、本実施形態では、両面接着テープ21の上面側粘着層23aに貼り付ける固着用自毛Haの本数を、増毛用部材1の長手方向の長さ1cmに対して10本〜20本程度とすることにより、土台25及び頭部Tに対する増毛用部材1の固着力を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る増毛用部材を示す斜視図である。
【図2】増毛用部材の作製方法を説明する離型紙を固定した離型紙台の平面図である。
【図3】離型紙に接着テープを貼り付ける作業を説明する離型紙台の平面図である。
【図4】接着テープへ増毛用毛髪を植設する作業を説明する離型紙台の平面図である。
【図5】増毛用毛髪を植設した接着テープを示す離型紙台の側面図である。
【図6】増毛用毛髪を植設した部分を切断分離して増毛用部材とする作業を説明する接着テープの平面図である。
【図7】作製した増毛用部材の側面図である。
【図8】次の増毛用部材の作製作業への移行を説明する離型紙台の平面図である。
【図9】増毛用部材の装着方法を説明する装着者の頭部の平面図である。
【図10】装着者の頭部に貼り付けた両面接着テープの断面図である。
【図11】両面接着テープを装着者の頭部に貼り付ける貼着工程を説明する拡大斜視図である。
【図12】両面接着テープへ固着用自毛を接着させる接着工程を説明する拡大斜視図である。
【図13】両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する平面図である。
【図14】両面接着テープからなる土台に増毛用部材を固着させる固着工程を説明する断面図である。
【図15】装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す拡大斜視図である。
【図16】装着者の頭部に増毛用部材が装着された状態を示す断面図である。
【図17】両面接着テープへ接着させる固着用自毛の選択の仕方を説明する装着者の頭部の平面図である。
【図18】両面接着テープへ接着させる固着用自毛の選択の仕方を説明する拡大斜視図である。
【図19】自毛及び固着用自毛からなる毛髪の径に対する両面接着テープの上面側粘着層及び下面側粘着層の厚さによる固着状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 増毛用部材
2 基材
3 増毛用毛髪
21 両面接着テープ(固着部材)
22 芯材
23a 上面側粘着層(粘着層)
23b 下面側粘着層(粘着層)
H 自毛
Ha 固着用自毛
T 頭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設され、固着部材を介して前記基材が装着者の頭皮に固着されることを特徴とする増毛用部材。
【請求項2】
前記増毛用毛髪は、前記基材の前記粘着剤が塗布されていない他方の面側に垂延して植設されていることを特徴とする請求項1に記載の増毛用部材。
【請求項3】
装着者の頭部に接着した両面接着テープからなる前記固着部材の一面側へ前記基材を接着することにより、前記頭部に固着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の増毛用部材。
【請求項4】
前記両面接着テープは、芯材の厚さが30μm以下で、両面の粘着層の厚さが80〜150μmで且つこれら粘着層の接着力が300〜600N/mであることを特徴とする請求項3に記載の増毛用部材。
【請求項5】
一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪を植設することを特徴とする増毛用部材の作製方法。
【請求項6】
一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設された増毛用部材を装着者の頭部に装着する増毛用部材の装着方法であって、
装着者の頭部に所定の大きさの両面接着テープを貼着する貼着工程と、貼着した前記両面接着テープ付近の自毛を前記両面接着テープの上面に密着させ、さらにその上から接着剤を塗布する接着工程と、自毛を密着させた前記両面接着テープに前記増毛用部材の前記基材の粘着剤が塗布された面側を接着する固着工程とを含むことを特徴とする増毛用部材の装着方法。
【請求項7】
前記接着工程において、前記両面接着テープの上面に密着させる自毛の本数を、長手方向の長さ1cmに対して10〜20本とすることを特徴とする請求項6に記載の増毛用部材の装着方法。
【請求項1】
一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設され、固着部材を介して前記基材が装着者の頭皮に固着されることを特徴とする増毛用部材。
【請求項2】
前記増毛用毛髪は、前記基材の前記粘着剤が塗布されていない他方の面側に垂延して植設されていることを特徴とする請求項1に記載の増毛用部材。
【請求項3】
装着者の頭部に接着した両面接着テープからなる前記固着部材の一面側へ前記基材を接着することにより、前記頭部に固着されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の増毛用部材。
【請求項4】
前記両面接着テープは、芯材の厚さが30μm以下で、両面の粘着層の厚さが80〜150μmで且つこれら粘着層の接着力が300〜600N/mであることを特徴とする請求項3に記載の増毛用部材。
【請求項5】
一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪を植設することを特徴とする増毛用部材の作製方法。
【請求項6】
一方の面に粘着剤が塗布された合成樹脂からなるフィルム状の基材の周縁部付近に人毛または人工毛髪からなる増毛用毛髪が植設された増毛用部材を装着者の頭部に装着する増毛用部材の装着方法であって、
装着者の頭部に所定の大きさの両面接着テープを貼着する貼着工程と、貼着した前記両面接着テープ付近の自毛を前記両面接着テープの上面に密着させ、さらにその上から接着剤を塗布する接着工程と、自毛を密着させた前記両面接着テープに前記増毛用部材の前記基材の粘着剤が塗布された面側を接着する固着工程とを含むことを特徴とする増毛用部材の装着方法。
【請求項7】
前記接着工程において、前記両面接着テープの上面に密着させる自毛の本数を、長手方向の長さ1cmに対して10〜20本とすることを特徴とする請求項6に記載の増毛用部材の装着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−31897(P2007−31897A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218949(P2005−218949)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000126676)株式会社アデランス (49)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000126676)株式会社アデランス (49)
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