説明

壁パネル端部構造

【課題】 壁パネルの端部をしっかりと挟み込みこんで強度を向上させることができ、施工が容易でコストも低減することができる壁パネル端部構造を提供する。
【解決手段】 三角形状に折り曲げられた壁パネル本体の端部に、三角形状の係止部を設けた樹脂スペーサを当接させ、折り曲げ角度が90度未満の略L字金具の短辺を、上記樹脂スペーサの後方から固定し、上記略L字状金具の長辺を、上記壁パネルの三角形状を樹脂スペーサの係止部方向へ押圧するように取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユニットルームの壁パネルとドア枠との接合部位等における同壁パネルの端部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の壁パネル端部構造としては、特許文献1に示すものが公知である。
【0003】
【特許文献1】特許第3979349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の壁パネル端部構造は、壁パネル本体の側端縁に後方へ折曲突出したパネル端片部を形成し、前方へ開口した断面略コ字状の補強型材を同パネル端片部に後方から装着固定してなる壁パネル端部構造であって、パネル端片部の内側に当接されるスペーサブロックを備え、このスペーサブロックの外側面に係止凹所を形成し、同パネル端片部の内側に係止凸片を突設し、係止凸片を係止凹所に係合させてパネル端片部の内側に同スペーサブロックを当接させ、このスペーサブロックの後端部分を同パネル端片部の後端縁よりも後方へ突出した状態として、このパネル端片部とスペーサブロックとを両側から挟持するように補強型材を同パネル端片部に後方から装着固定してなる壁パネル端部構造であり、パネル端片部の係止凸片をスペーサブロックの係止凹所に係合し、スペーサブロックの内外方向の寸法と内巾寸法が略等しく設定された断面略コ字状の補強型材によりパネル端片部とスペーサブロックとを両側から挟持するように補強型材をパネル端片部に後方から装着したものであるが、この従来の壁パネル端部構造に用いられる樹脂スペーサと断面略コ字状の補強型材は、嵌合するものであるため、寸法誤差が生じないように高い精度が要求され、その結果、コスト高となる、という問題を有していた。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、壁パネルの端部をしっかりと挟み込みこんで強度を向上させることができ、施工が容易でコストも低減することができる壁パネル端部構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明は、三角形状に折り曲げられた壁パネル本体の端部に、三角形状の係止部を設けた樹脂スペーサを当接させ、折り曲げ角度が90度未満の略L字金具の短辺を、上記樹脂スペーサの後方から固定し、上記略L字状金具の長辺を、上記壁パネルの三角形状を樹脂スペーサの係止部方向へ押圧するように取り付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明にあっては、以上ように構成されているので、壁パネルの端部をしっかりと挟み込みこんで強度を向上させることができ、施工が容易でコストも低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面に示す一実施形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0009】
図1は、この発明の一実施形態例にかかる壁パネル端部構造を示す斜視図を、図2は同壁パネル端部構造を分解して示す断面図を、図3は同端部構造に用いられる略L字状金具の平面図及び側面図を、図4は同端部構造に用いられる略L字状金具の正面図を、図5は同端部構造に用いられるドア横アングル受けの正面図及び平面図を、図6は同アングル受けの拡大平面図を、夫々示している。
【0010】
この実施形態の壁パネル端部構造は、壁パネル1の側端縁に後方へ三角形状に折り曲げられ突出したパネル端部2を形成し、三角形状の係止部を設けた樹脂スペーサであるドア横アングル受け4Aを当接させ、折り曲げ角度が90度未満の略L字金具3の短辺3Aを、上記ドア横アングル受け4A(図6参照)の後方から固定し、上記略L字状金具3の長辺3Bを、上記壁パネル1の三角形状をドア横アングル受け4Aの係止部方向へ押圧するように取り付けたものである。
【0011】
この実施形態例に係る壁パネル端部構造では、パネル端部2の内側に当接されるドア横アングル受け4Aの外側面4bに係止凹所5を形成し、パネル端部2の内側に係止凸片6を突設している。そして、係止凸片6を係止凹所5に係合させてパネル端部2の内側にドア横アングル受け4Aを当接させ、このドア横アングル受け4Aの後端部分4aを同パネル端部2の後端縁2aよりも後方へ突出した状態として、このパネル端部2とドア横アングル受け4Aとを略L字状金具3の長辺3Bの弾性で押圧するようにパネル端部2に後方から装着固定している。
【0012】
また、この実施形態例の壁パネル端部構造では、金属製の壁パネル1の側端縁に三角形状に折曲加工を施して、パネル端部2及び係止凸片6を同壁パネル本体1と一体に形成している。この場合、パネル端部2の後端縁部分を内側前方へ折り返して、内側へ略山型に折曲突出する係止凸片6を形成してもいる。さらに、略L字状金具3をその後方から挿通されてドア横アングル受け4Aにねじ込まれる結合ネジ7で固定している。
【0013】
以下、この実施形態の壁パネル端部構造を、より具体的詳細に説明する。壁パネル1は樹脂被覆鋼板でなり、ユニットバスルームの壁パネルとして施工されるものである。それ故、壁パネル1の後方側の裏面略全面には、バスルーム内を保温するための断熱材8が付設されている。この場合、断熱材8は樹脂発泡体や石膏ボード、繊維板等でなり、この断熱材8の厚み寸法と略等しいか若干小さい寸法にして、壁パネル1の側端縁からパネル端部2が後方へ突出されており、この壁パネル1は全体として薄くて嵩張らないものとなっている。
【0014】
そして、壁パネル1はユニットバスルームの床部位を構成する床パンの周縁部分に立設施工され、その前方側の表面がバスルームの室内側面となり同床パン側に向いている。また、この実施形態の壁パネル端部構造は、ドア枠Dとの接合部位に施工されるもので、この場合、バスルームへの出入口は壁パネル1の側方に並設配置され、この出入口に開閉自在なドアを備えるドア枠が設置されるものである。その際、ドア枠のうち周側から挿通される固定ネジにより、壁パネル端部構造に対して同ドア枠が結合固定される。
【0015】
次に、この実施形態例の壁パネル端部構造に用いられる各構成部材について説明する。壁パネル1は前記の如く樹脂被覆鋼板でなり、その両側端縁に後方へ三角形状に突出したパネル端部2が一体に折曲形成されている。パネル端部2の後端縁2aには、内側前方へと略く字状に折り返されて内側へ折曲突出する略山型の係止凸片6が延設されており、この係止凸片6は同パネル端部2と共に壁パネル本体1の側端縁略全長に折曲プレス加工が施されて簡単に一体成形されている。
【0016】
ドア横アングル受け4Aは樹脂一体成形品であり、前記壁パネル本体1の側端縁の略全長にわたる長さ寸法に形成されている。図1に示すように、ドア横アングル受け4Aの前後方向の寸法は前記パネル端部2の後方への突出寸法よりも大きく形成され、その内外方向の寸法は前記係止凸片6の内側への突出寸法よりも大きく形成されている。
【0017】
また、ドア横アングル受け4Aの外側面4bには、その前端付近に断面略V字状で溝型の係止凹所5が全長にわたって形成されており、この係止凹所5は前記略山型の係止凸片6と略合致する形状である。そして、ドア横アングル受け4Aの前端面が前記壁パネル1の後方裏面に当接された状態で、係止凹所5は係止凸片6にその内側側方から係合され、同ドア横アングル受け4Aの外側面4bが前記パネル端部2の外面と略面一状に連設される。
【0018】
略L字状金具3は断面略L字状の鋼製の金属材で、壁パネル1の側端縁の略全長にわたる長さ寸法に形成されていると共に、該略L字状金具3は、短辺3Aと長辺3Bとで略L字状に形成されており、該短辺3Aと長辺3Bの折り曲げ角度は、90度未満、例えば、本実施形態例では89度に設定され、長辺3Bは壁パネル端部2の外面に当接されるように形成されている。
【0019】
このように略L字状金具3は、係止凸片6をその弾性により係止凹所5に押圧して係合させ、パネル端部2の内側にドア横アングル受け4Aを当接させることができるように、後方から装着される。そして、この略L字状金具3の短辺3Aには固定用孔12が穿設されており、該固定用孔12から挿通される結合ネジ7がドア横アングル受け4Aにねじ込み結合されることにより、このドア横アングル受け4Aを介して同略L字状金具3はパネル端部2に長手方向の複数個所で強固に結合固定される。
【0020】
従って、この実施形態例の壁パネル端部構造にあっては、金属製で断面略L字状の略L字状金具3がパネル端部2に装着固定されるので、このパネル端部2は略L字状金具3によって十分に補強される。
【0021】
しかも、ドア横アングル受け4Aの係止凹所5に、パネル端部2の内側に突設された係止凸片6が押圧され係合され、壁パネル1の端部2をしっかりと挟持するので、十分な強度を得ることができる。
【0022】
このように、ドア横アングル受け4Aはパネル端部2における強度のための前後方向厚みを補足するものであり、パネル端部2と略L字状金具3との間に介在して両者を固定するものでありながら、略L字状金具3を装着固定するだけで簡単にこれ等三者が結合一体化されて容易に固定される。それ故、パネル端部2とドア横アングル受け4Aとが係止凸片6と係止凹所5とで相互に係合されて、両者はこの係合だけでも位置決め固定されるため、略L字状金具3を簡単且つ確実に装着固定することができる。
【0023】
また、この実施形態例の壁パネル端部構造においては、金属製の壁パネル1の側端縁に折曲加工を施して、パネル端部2及び係止凸片6が同壁パネル1と一体に形成されているため、これ等パネル端部2、係止凸片6の成形加工は容易である。しかも、この場合に、パネル端部2の後端縁部分を内側前方へ折り返して、内側へ略山型に折曲突出する係止凸片6が形成されているため、この係止凸片6は変形し難く、且つ、ドア横アングル受け4Aの係止凹所5が内側側方からスムーズに係合される形状となっている。
【0024】
さらに、この実施形態例の壁パネル端部構造においては、略L字状金具3がその後方から挿通されてドア横アングル受け4Aにねじ込まれる結合ネジ7で固定されているため、この結合ネジ7による固定作業は後方から容易に行われ、該略L字状金具3とドア横アングル受け4Aとが強固に結合されて、両者はパネル端部2に対し後方へ抜け外れないよう確実に結合固定される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の一実施形態例にかかる壁パネル端部構造を示す斜視図である。
【図2】同壁パネル端部構造を示す分解断面図である。
【図3】同端部構造に用いられる略L字状金具の平面図及び側面図である。
【図4】同端部構造に用いられる略L字状金具の正面図である。
【図5】同端部構造に用いられるドア横アングル受けの正面図及び平面図である。
【図6】同アングル受けの拡大平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 壁パネル
2 パネル端部
3 略L字状金具
3A 短辺
3B 長辺
4A ドア横アングル受け(樹脂スペーサ)
5 係止凹所
6 係止凸片
7 結合ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角形状に折り曲げられた壁パネル本体の端部に、三角形状の係止部を設けた樹脂スペーサを当接させ、折り曲げ角度が90度未満の略L字金具の短辺を、上記樹脂スペーサの後方から固定し、上記略L字状金具の長辺を、上記壁パネルの三角形状を樹脂スペーサの係止部方向へ押圧するように取り付けることを特徴とする壁パネル端部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−114693(P2009−114693A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287429(P2007−287429)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)