説明

壁付き水栓

【課題】壁の裏側に位置する通水管で漏水が発生した時に、早期に壁の裏側で漏水が生じている事を容易に検知することができる壁付き水栓を提供する。
【解決手段】壁に形成された取付口に取付けられる吐水部と、吐水部へ通水する通水管と、壁の表側に配置され、通水管への通水を制御する制御機能部とを備え、取付口と取付口より下方で壁に形成された開口部とを、壁の裏側で繋ぐ連結管により、通水管は、開口部、連結管及び取付口を経由し、壁の表側に位置する制御機能部及び吐水部を、壁の裏側を通って繋いでいる構成である壁付き水栓であって、開口部には、少なくとも一部が開口部側の連結管の端部の外周側に位置する突起部と、壁の表側で壁に固定される固定部と、を有する内側接続部材が取付けられていることを特徴とする壁付き水栓。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に取付けられる壁付き水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水平な台に取付ける台付きの水栓が知られているが、この台付き水栓に比べ、設置面に水が溜まることがなく汚れにくいといった清掃性の面とデザイン性の面で、近年、壁付きの水栓が求められている。その中でも自動水栓のような吐水部と機能部が別体であるタイプの壁付き水栓は、機能部を目立たない位置に設置できることから、使用者は吐水部のみを目にすることになり、特にデザイン性に優れているため、近年、強く求められている。
【0003】
特開2002−143009(特許文献1)には、壁の表側に配置された水栓金具と、洗面ボウルの下方で、壁の表側に配置された電磁弁駆動部とを、壁の裏側に配置した接続管にて接続した壁付き水栓が記載されている。
【0004】
このような構造の場合、万が一、壁の裏側に配置した接続管が破損した時には壁の裏側で漏水することになり、通常、使用者が目にする壁の表側からは、漏水を発見することができないため、破損箇所から漏水が続いて、拡大被害に繋がるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−143009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、壁の裏側に位置する通水管で漏水が発生した時に、早期に壁の裏側で漏水が生じている事を容易に検知することができる壁付き水栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の壁付き水栓は、壁に形成された取付口に取付けられる吐水部と、前記吐水部へ通水する通水管と、前記壁の表側に配置され、前記通水管への通水を制御する制御機能部とを備え、前記取付口と前記取付口より下方で前記壁に形成された開口部とを、前記壁の裏側で繋ぐ連結管により、前記通水管は、前記開口部、前記連結管及び前記取付口を経由し、前記壁の表側に位置する制御機能部及び前記吐水部を、前記壁の裏側を通って繋いでいる構成である壁付き水栓であって、前記開口部には、少なくとも一部が前記開口部側の前記連結管の端部の外周側に位置する突起部と、前記壁の表側で前記壁に固定される固定部と、を有する内側接続部材が取付けられていることを特徴としている。
【0008】
このような構成とすることで、万が一、壁の裏側に配置された連結管内に位置する通水管の箇所で、破損などにより漏水が生じたとしても、通水管から漏水した水が、連結管をつたって、開口部まで流れて行き、その後、内側接続部材の突起部の少なくとも一部が管の外周側に位置するため、連結管を出た漏水した水が必ず台座をつたって壁の表側に排出されるので、壁裏で起きた漏水を容易に検知することができ、拡大被害に繋がることを防止できる。
【0009】
また、本発明の壁付き水栓は、前記内側接続部材を壁の表側から覆う外側接続部材が前記開口部に取付けられており、前記外側接続部材と前記内側接続部材の間には、前記連結管をつたった水が通る通水経路及び前記通水路を通った水が外に排出される隙間が形成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成とすることで、デザイン性の面で、内側接続部材を覆う外側接続部材を用いた構造でも、外側接続部材と内側接続部材の間で水が通る通水路が形成されており、更に、通水路を経由した水が外に排出される隙間も形成されているので、万が一、壁の裏側に配置された連結管内に位置する通水管の箇所で、破損などにより漏水が生じたとしても、通水管から漏水した水が、連結管をつたって開口部まで流れて行き、その後、内側接続部材の突起部の少なくとも一部が連結管の外周側に位置するため、連結管を出た漏水した水が必ず内側接続部材をつたって、外側接続部材と内側接続部材の間の通水路を経由して、外側接続部材と内側接続部材の間の隙間から、壁の表側に排出されるので、壁裏で起きた漏水を容易に検知することができ、拡大被害に繋がることを防止できる。
【0011】
本発明の壁付き水栓において、好ましくは、前記内側接続部材の突起部には、連結管に向かって延びた水受壁が形成されていることを特徴としている。
【0012】
このような構成とすることで、管が少し壁の裏側で壁に固定されたしても、水受壁があるので、連結管をつたってきた漏水した水が、内側接続部材の突起部を伝って、壁裏に流れることがなく、壁裏で生じた漏水を確実に壁の表側に排出できるので、壁裏で起きた漏水を容易に確実に検知することができ、拡大被害を確実に防止できる。
【0013】
また、本発明の壁付き水栓は、壁に形成された取付口に取付けられる吐水部と、前記吐水部へ通水する通水管と、前記壁の表側に配置され、前記通水管への通水を制御する制御機能部とを備え、前記取付口と前記取付口より下方で前記壁に形成された開口部とを、前記壁の裏側で繋ぐ連結管により、前記通水管は、前記開口部、前記連結管及び前記取付口を経由し、前記壁の表側に位置する制御機能部及び前記吐水部を、前記壁の裏側を通って繋いでいる構成である壁付き水栓であって、前記開口部側の前記連結管の端部の外周側又は内周側に設けられ、前記連結管と水密に当接するパッキン突起部と、前記壁の表側で前記壁に固定されるパッキン固定部とからなるパッキンが前記開口部に取付けられており、前記パッキン突起部が壁裏に向かって先細り形状となっていることを特徴としている。
【0014】
このような構成とすることで、万が一、壁の裏側に配置された連結管内に位置する通水管の箇所で、破損などにより漏水が生じたとしても、通水管から漏水した水が、連結管をつたって、開口部まで流れて行き、パッキン突起部が連結管の外周側又は内周側のどちらに設けられていても必ずパッキンをつたって壁の表側に排出されるので、容易に漏水を検知することができ、拡大被害に繋がることを防止することができる。また、パッキンの突起部が壁裏に向かって先細り形状になっているため、しっかり連結管と開口部とパッキンとをパッキングできるので、管をつたって開口部まで流れてきた漏水の水が壁の裏側に流れることがない。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、壁の裏側に位置する通水管で漏水が発生した時に、早期に壁の裏側で漏水が生じている事を容易に検知することができる壁付き水栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】壁取付け型の自動水栓システムを示す斜視図である。
【図2】図1の自動水栓システムの部分的な側面図である。
【図3】水栓の拡大縦断面図である。
【図4】台座の斜視図である。
【図5】台座の縦断面図である。
【図6】壁の斜視図である。
【図7】連結管接続部の拡大縦断面図である。
【図8】内側接続部材の斜視図である。
【図9】内側接続部材の縦断面図である。
【図10】外側接続部材の斜視図である。
【図11】外側接続部材の縦断面図である。
【図12】第2の実施形態である連結管接続部の拡大縦断面図である。
【図13】第3の実施形態である連結管接続部の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明による壁取付け型の水栓の実施形態を説明する。図1は、壁取付け型の自動水栓システムを示す斜視図である。図2は、図1の自動水栓システムの部分的な側面図である。図3は、後述するスパウトの拡大断面図である。図4及び図5はそれぞれ、後述する台座の斜視図及び縦断面図である。図6は、壁の斜視図である。図7は、連結管接続部の拡大縦断面図である。図8及び図9はそれぞれ、内側接続部材の斜視図及び縦断面図である。図10及び図11はそれぞれ、外側接続部材の斜視図及び縦断面図である。図12及び図13は、第2及び第3の実施形態である連結接続部の拡大縦断面図である。
【0018】
図1に示すように、壁取付け型の自動水栓1は、垂直な壁2に取付けられた吐水部、即ち、スパウト4と、スパウト4とは別体で、スパウト4からの吐水を制御する制御機能部8とを有している。またボウル6が固定されたパネル5が壁2から水平に延びておりスパウト4からの吐水を受けるようになっている。さらに制御機能部8はパネル5の下方で壁2に取り付けられている。
【0019】
図2に示すように、スパウト4は、壁2の表側Aに取付けられるように構成され、壁2から水平方向に延び、概略的には、円筒形状である。また、スパウト4は、内部空間12を形成する内面14を有しており、スパウト4の下方に手を差し出したことを感知するセンサ(電気部品)16及び吐水口18を内部空間12に含んでいる。センサ16及び吐水口18は、内面14に取付けられている。
【0020】
水栓1は、更に、吐水口18に連通接続され且つスパウト4の内部空間12からスパウト4の外に延びる可撓性の通水管20と、スパウト4内のセンサ16に接続され且つスパウト4の内部空間12から外に延びる電気コード22とを有している。
【0021】
通水管20及び電気コード22は両方とも、スパウト4が取付けられる壁2のところに設けられた取付口である第1の開口24とそれから離れたところにおいて壁2に設けられた開口部である第2の開口26との間を壁2の裏側Bで連結する湾曲した連結管(CD管)28の中に、スパウト4の内部空間12から第1の開口24を通して挿入され、第2の開口26から壁2の表側Aに延びている。
【0022】
通水管20及び電気コード22は、更に、制御機能部8に接続されている。制御機能部8は、センサ16の信号に応答して、通水管20への通水及び止水、即ちスパウト4からの吐水を行う電子制御バルブ28を有し、通水管20は、電子制御バルブ28を介して供給管30に接続されている。
【0023】
図3に示すように、スパウト4は、管状の本体10aと、その一方の端部を塞ぐ蓋10bを有している。蓋10bは、本体10aの一方の端部に嵌合するように構成され、Oリング32によってシールされている。また、本体10aの反対側、即ち、壁側の端部は、通水管20及び電気コード22がスパウト4の外に延びる管状の取付け口10cを構成している。スパウト4の取付け口10cは、台座34を介して壁2に取付けられている。
【0024】
センサ16と吐水口18とは、一体に組み立てられ、本体10aの一方の端部から
本体10aの内部空間12に挿入可能な形状を有している。吐水口18は、本体10aの長手方向に延びる通路18aと、それと連通し且つ壁から離れる方向に斜め下方に延びる通路18bとを有し、通路18bには、本体10aの下側に設けられた孔10dを介して先端ノズル18cが取付けられている。センサ16は、通路18bが延びる方向と同じ方向に吐水口18に取付けられ、孔10dを介して、吐水させようとする人の手を感知するように配置されている。吐水口18は、本体10aの下側に設けられた孔10eを介して本体10aの内面14にネジ留めされている。
【0025】
吐水口18の通路18aには、通水管20が接続されている。通水管20の外径は、例えば、10〜12mmであり、例えば、軟質塩ビ管で作られている。また、本体10aの内径は、約26mmである。
【0026】
電気コード22は、スパウト4の内部空間12内に設けられたコネクタ36を介して接続された第1の部分22a及び第2の部分22bを有している。
【0027】
図3〜図5に示すように、台座34は、壁2に固定される板状のフランジ固定部38と、フランジ固定部38から壁2に対して横方向に延びる筒部40と、通水管20及び電気コード22が通る貫通孔40bとを有している。
【0028】
筒部40は、スパウト4の管状の取付け口10cの内側に嵌合する外周面40aを有している。貫通孔40bの寸法及び形状は、通水管20及び電気コード22を通すことができる程度にできるだけ小さいことが好ましい。外周面40aは、下側に位置する下側部分40aaと、上側に位置する上側部分40abと、両側の横側部分40acを有している。横側部分40acは、平面状である。スパウト4の取付け口10cの内側の形状は、スパウト4の長手方向軸線周りの取付け角度を規定するために、筒部40と相補的な形状を有していることが好ましい。筒部40は、その下側部分44aaに、スパウト4の管状の取付け口10cを下方から固定するためのネジ山付き孔40cを有し、スパウト4は、本体10aの下側に設けられた孔10fを介して、台座34の筒部40にネジ留めされている。
【0029】
筒部40の外周面40aに、周方向に延びる溝40dが、少なくとも上側部分40abに、好ましくは、全周にわたって設けられている。溝40dの位置とネジ山付き孔40cの位置は、スパウト4の長手方向に一致していることが好ましい。
【0030】
図3及び図6に示すように、フランジ固定部38が固定される壁2は、表側のタイル壁2aと、裏側の補強パネル2bによって構成されている。タイル壁2aの厚さは、タイルの種類に応じて、3〜12mmである。補強パネル2bは、合板等で作られ、その厚さは、9〜12.5mmである。
【0031】
第1の開口24は、通水管20及び電気コード22が通る補強パネル2bの開口2cと、補強パネル2bの開口2cよりも大きいタイル壁2aの開口2dとによって構成され、それにより、補強パネル2bに環状の露出面2eが形成されている。
【0032】
図3及び図5に示すように、台座34のフランジ固定部38は、壁側の取付け面38aと、その反対側の面38bとを有している。取付け面38aは、その周囲に環状凹部38cを有し、この凹部38cよりもスパウト4の軸線側に取付け孔38dが設けられている。取付け面38aは、タイル壁2aの開口2dよりも小さく且つ露出面2eに当接したスペーサ42を介して、壁2に取付けられている。取付け孔38dに挿入された取付けネジ44が露出面2eに固定されるように、取付け孔38dのピッチ(直径)は、タイル壁2aの開口2dの直径よりも小さくなっている。
【0033】
図3に示すように、スパウト4は、更に、台座34のフランジ固定部38を覆うフランジカバー46を有している。フランジカバー46は、筒部40に挿入される貫通孔46cを有し、且つ、筒部40とスパウト4の取付け口10cと嵌合させたときにスパウト4によってフランジ固定部38に押付けられるカバー平面部46aと、カバー平面部46aの周囲から壁2に向かって延びるカバー側面部46bとを有している。カバー側面部46bの内側において、カバー平面部46aと壁2との間にパッキン48が設置されている。
【0034】
図3に示すように、連結管28が第1の開口24に通され、台座34に固定されたスペーサ42に当接している。また、図2に示すように、連結管28は、壁2の後方(裏側)に設けられた連結管固定フレーム50に、ブラケット52を介して固定されている。
【0035】
図7〜図11に示すように、連結管接続部54が第2の開口26に取付けられている。第2の開口26は、タイル壁2a及び補強パネル2bに形成された互いに同じ径の孔によって構成されている。連結管接続部54は、内側接続部材56と、外側接続部材58とを有している。
【0036】
図8及び図9に示すように、内側接続部材56は、壁2に固定されるフランジ部分56aを有し、フランジ部分56aには、通水管20及び電気コード22が通る貫通孔56bが設けられている。内側接続部材56は、更に、フランジ部分56a(固定部)から表側に延びる表側筒部分56cと、それから裏側に延びる裏側筒部分56d(突起部)とを有している。表側筒部分56cは、その内面に雌ネジ山56eを有している。また、表側筒部分56cは、上下左右の4箇所に切欠き56fを有している。更に裏側筒部分56dの先端部にはその内側に全周に亘り凸形状部56gを備えている。
【0037】
図10及び図11に示すように、外側接続部材58は、カバー板部分58aと、その周囲から壁2に向かって延びるカバー側面部分58bを有している。カバー板部分58aには、通水管20及び電気コード22が通る貫通孔58cが設けられている。外側接続部材58は、更に、カバー板部分58aから裏側に延びる二重筒部分58dを有している。二重筒部分58dは、通水路である筒内空間58fを備え、その外面に、内側接続部材56の雌ネジ山56eと螺合する雄ネジ山58eを有している。
【0038】
次に、水栓の組立て方法を説明する。
【0039】
補強パネル2bに第1の開口24の開口2c及び第2の開口26を形成し、連結管28を、その両端部が第1の開口24及び第2の開口26に整列するように、壁2の裏側Bで連結管固定フレーム50に固定する。この状態では連結管28の両端部は壁2の厚みより若干長くなっている。次に前述の補強パネル2bを形成した2つの開口に連結管28の端部を挿入しながら所定の位置に固定する。更にタイルを補強パネル2b表面に貼り付け、タイル壁2aを形成する。この際2つの開口付近ではタイルを加工し、第1の開口24では補強パネル2bに設けた開口2cより大きな開口2dを、第2の開口26では補強パネル2bに形成した開口と同じ大きさの開口を形成する。この結果、第1の開口24には補強パネル2bの露出面2eが形成されている。
次にこの状態において壁2から突出している連結管28の端部をタイル壁2aの表面に沿って切断する。
【0040】
タイル壁2aの厚さとほぼ同じ厚さとなるようにスペーサ42を準備し、露出面2eにスペーサ42を押し当てながら、台座34を壁2の補強パネル2bに固定する。台座34の取付け面38aの環状凹部38cにより、台座34のフランジ固定部38とタイル壁2aとの間に隙間ができる。
【0041】
また、吐水口18に通水管20を接続し、センサ16を取付ける。本体10aの一方の端部から、通水管20及び電気コード22を通し、反対側の端部(取付け口10c)から引出しておく。引き続いて、吐水口及18びセンサ16を本体10aの中に挿入する。吐水口18を本体10aの孔10eを利用して、ネジ留めし、吐水口18に先端ノズル18cを取付ける。更に、蓋10bを本体10aに挿入する。
【0042】
パッキン48を台座34の周囲に配置し、フランジカバー46を台座34の筒部40に挿入する。次いで、通水管20及び電気コード22を、台座34の貫通孔40b、第1の開口24、連結管28に通して、第2の開口26から押出す。引き続いて、スパウト4を台座34に押込む。スパウト4を、本体10aの孔10fを利用して、ネジ留めする。パッキン48によってフランジカバー46と壁2との間がシールされると共に、フランジカバー46がスパウト4に向かって押され、フランジカバー46とスパウト4との間に簡易シールが形成される。
【0043】
第2の開口26から出ている通水管20及び電気コード22は、連結管28の中で弛んでいるので、通水管20及び電気コード22を引出して弛みをとる。
【0044】
通水管20及び電気コード22、連結管28を内側接続部材56の貫通孔56bに通してから、裏側筒部分56dを第2の開口26のところに挿入し、内側接続部材56を壁2にネジ留めする。次いで、通水管20及び電気コード22を外側接続部材58の貫通孔58cに通してから、外側接続部材58を内側接続部材56の雌ネジ山56eに螺合させる。この状態で二重筒部分58dの筒内空間58fは連結管28端部と相対する位置になる。
【0045】
ここで、前述の連結管28端部の切断の際に、狙いの位置(タイル壁2aの表面の位置)よりずれてしまった場合の連結管28端部位置について説明する。まず狙いの位置より長く切断してしまった場合には、連結管28端部が筒内空間58fに進入することになる。次に狙いの位置より短く切断してしまった場合には、連結管28端部はタイル壁2a表面より後退することになるが、前述のように施工時に連結管28を貫通孔56bに挿入しているので裏側筒部分56d内に位置することになる。
【0046】
次いで、通水管20と電気コード22を制御機能部8に接続する。
【0047】
次に、連結管28内の通水管20が破損した場合について説明する。
【0048】
連結管28内の通水管20が破損した場合、通水管20の外部、即ち連結管28内に漏れた水は連結管28に沿って低い位置にある第2の開口26へ向かう。連結管28の端部に到達した水はタイル壁2aの表側に流れ出す。この端部での水の流れについて以下説明する。
【0049】
まず連結管28端部が狙いの位置又はそれより長い場合、端部はタイル壁2a表面より表側に位置する。このため、端部より流れ出た水は、外側接続部材58の裏側または内側接続部材56の切欠き56f、フランジ部分56aの表側をつたい、タイル壁2aの表面に流れ出す。なお、外側接続部材58と内側接続部材56との間は螺合により固定されており、Oリングなどのシール部材は用いていない。このためフランジ部分56a下方に達した水は、外側接続部材58との隙間から外部(タイル壁2aの表面)に流れだすことになる。
【0050】
次に連結管28端部が狙いの位置より短い場合、端部はタイル壁2a表面より裏側の裏側筒部分56b部に位置する。この状態で端部より流れ出た水は、裏側筒部材56bの端部28の下方の部分に流下する。その後水は壁表側に移動し、切欠き56f、フランジ部分56aの表側をつたい、外側接続部材58と内側接続部材56との隙間からタイル壁2aの表面に流れ出す。
【0051】
また通水管20からの漏水量が多い場合には、前記における水の流れに加えて、フランジ58の貫通孔58cを通り、カバー板部分58aをつたい、タイル壁2aの表面に流れ出す水もある。この為壁裏に流れ出すことはなく、最終的には全て壁表側に移動することになる。
【0052】
次に本発明による壁取付け型の水栓の第2の実施形態について説明する。この実施形態は前述のものと比べ、壁に設けた第2の開口部近傍の構成のみが異なるため、同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また前述の実施形態と同じものについては同じ番号を付し、説明を省略する。
【0053】
図12は第2実施形態での壁の第2の開口部近傍の縦断面図、図13は第3の実施形態での壁の第2の開口部近傍の縦断面図である。
【0054】
図12において、第2の開口部26内には連結管28端部が、その端部内周にはパッキン100が配置されている。パッキン100は、先端先細り円筒形状のパッキン突起部100bと、円筒形状のパッキン固定部100aとからなり、パッキン突起部100bの外周部は連結管28の端部内周に水密に当接している。
【0055】
またパッキン固定部100aは壁2と内側接続部材101に当接している。この内側接続部材101は、内周部一端側に凹部を備える円筒形状をしており、両端を貫通する2箇所のネジ孔101aと外周部に雄ネジ部101bを備えている。このネジ孔101aにビス102が挿入されており、壁2にネジ固定されている。このことにより、パッキン固定部100aは内側接続部材101と壁2とに水密に固定されている。内側接続部材101には、内周部一端に凹部を備える円筒形状の外側接続部材103が配置されている。外側接続部材103の凹部内周には雌ネジ部103aを備えており、内側接続部材101とは雌ネジ部103aと雄ネジ部101bが螺合することにより接続されている。また連結管28内を通った通水管20と電気コード22は、パッキン100、内側接続部材101、外側接続部材103の貫通孔を通り、壁2の表側に出ている。
【0056】
この実施形態ではパッキン100のパッキン突起部100bの形状を、先端側が先細りの円筒形状になるように構成している。即ちパッキン突起部100bの内周面はパッキン固定部100aに対して垂直になっているが、外周面は垂直ではない。このようにすることにより連結管28の内周直径が異なったものに対しても、パッキン突起部100bの外周面を当接させることができる。またこのパッキンはゴムなどの弾性体で構成することが望ましい。こうすることで連結管28の内周面と当接する際に、パッキン突起部100bの外周面が弾性変形し、より確実に水密に当接することができる。
【0057】
次に、万一連結管28内部の通水管20が破損した場合について説明する。通水管20が破損すると、通水管20の内部から、通水管20の外部で連結管28の内部に流れ出す。流れ出した水は、下方にある第2の開口26にある連結管28の端部に到達する。この端部内周部にはパッキン突起部100bが水密に当接しているため、端部に到達した水はパッキン100の内周部100cをつたい、壁2の表側に達する。前述のようにパッキン100は壁2と内側接続部材101とに水密に当接されているので、水は壁2の裏側に流れ落ちることは無く、全て壁2の表側に流れ落ちる。このため、容易に漏水を発見することができ、拡大被害を防ぐことができる。
【0058】
次に本発明による壁取付け型の水栓の第3実施形態について説明する。この実施形態は前述のものと比べ、パッキンの形状、配置のみが異なる。同じ部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。また前述の実施形態と同じものについては同じ番号を付し、説明を省略する。
【0059】
図13において、連結管28の端部外周にはパッキン110が配置されている。パッキン110は、先端先細り円筒形状のパッキン突起部110bと、円筒形状のパッキン固定部110aとからなり、パッキン突起部110bの内周部は連結管28の端部外周に水密に当接している。
【0060】
パッキン突起部110bは、先端側が先細りの円筒形状になるように構成している。即ちパッキン突起部110bの外周面はパッキン固定部110aに対して垂直になっているが、内周面は垂直ではない。こうすることにより連結管28の外周直径が異なったものに対しても、パッキン突起部110bの内周面を当接させることができる。またこのパッキンはゴムなどの弾性体で構成することが望ましい。こうすることで連結管28の外周面と当接する際に、パッキン突起部110bの内周面が弾性変形し、より確実に水密に当接することができる。
【0061】
次に通水管20が破損し漏水した場合について説明する。前述の実施形態の場合と同様に、漏水した水は連結管28端部に達する。連結管28端部外周とパッキン突起部110bの内周は水密に当接されているので、漏水した水はパッキン110内部を伝い、内側接続部材101を経由して壁2の表側に流れ出す。このため、容易に漏水を発見することができ、拡大被害を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の壁付き水栓は、壁に取付けられる壁付き水栓などにおいて広く利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 水栓
2 壁
4 スパウト
10c 取付け口
12 内部空間
14 内面
16 センサ(電気部品)
18 吐水口
20 通水管
22 電気コード
34 台座
38 フランジ固定部
40 筒部
40a 外周面
40aa 下側部分
40ab 上側部分
40c ネジ山付き孔
40d 溝
46 フランジカバー
46a カバー平面部
46b カバー側面部
48 パッキン
A 表側
B 裏側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に形成された取付口に取付けられる吐水部と、前記吐水部へ通水する通水管と、前記壁の表側に配置され、前記通水管への通水を制御する制御機能部とを備え、
前記取付口と前記取付口より下方で前記壁に形成された開口部とを、前記壁の裏側で繋ぐ連結管により、前記通水管は、前記開口部、前記連結管及び前記取付口を経由し、前記壁の表側に位置する制御機能部及び前記吐水部を、前記壁の裏側を通って繋いでいる構成である壁付き水栓であって、
前記開口部には、少なくとも一部が前記開口部側の前記連結管の端部の外周側に位置する突起部と、前記壁の表側で前記壁に固定される固定部と、を有する内側接続部材が取付けられていることを特徴とする壁付き水栓。
【請求項2】
前記内側接続部材を壁の表側から覆う外側接続部材が前記開口部に取付けられており、
前記外側接続部材と前記内側接続部材の間には、前記連結管をつたった水が通る通水経路及び前記通水路を通った水が外に排出される隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の壁付き水栓。
【請求項3】
前記内側接続部材の突起部には、前記連結管に向かって延びた水受壁が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁付き水栓。
【請求項4】
壁に形成された取付口に取付けられる吐水部と、前記吐水部へ通水する通水管と、前記壁の表側に配置され、前記通水管への通水を制御する制御機能部とを備え、
前記取付口と前記取付口より下方で前記壁に形成された開口部とを、前記壁の裏側で繋ぐ連結管により、前記通水管は、前記開口部、前記連結管及び前記取付口を経由し、前記壁の表側に位置する制御機能部及び前記吐水部を、前記壁の裏側を通って繋いでいる構成である壁付き水栓であって、
前記開口部側の前記連結管の端部の外周側又は内周側に設けられ、前記連結間と水密に当接するパッキン突起部と、前記壁の表側で前記壁に固定されるパッキン固定部とからなるパッキンが前記開口部に取付けられており、前記パッキン突起部が壁裏に向かって先細り形状となっていることを特徴とする壁付き水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−229702(P2010−229702A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77986(P2009−77986)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】