説明

壁体取付型太陽光追尾集光装置

【課題】壁体に角度が調節される太陽光集光装置を取り付けて、季節または高度の変化に応じて効率よく太陽光を集光する壁体取付型太陽光追尾集光装置を提供すること。
【解決手段】壁体手段(100)と、前記壁体手段(100)の側面に形成されて太陽光を集光する太陽光集光手段(200)と、前記太陽光集光手段(200)の一方の端を開閉させてその集光角度を調整する開閉手段(300)と、を備えることを特徴とする壁体取付型太陽光追尾集光装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁体取付型太陽光追尾集光装置に関するもので、さらに詳しくは、工場壁、防音壁、開放型構造物、鉄骨構造物、仕切りなどの壁構造物を用いて、太陽の位置を追尾して太陽光を集光する壁体取付型太陽光追尾集光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽光発電とは、太陽電池によって太陽光を直接的に電力に切り換える発電方式を言う。
【0003】
太陽エネルギー発電は、他の発電に比べて、大気汚染、騒音、発熱、振動などの公害が全くない清浄エネルギーを用いた発電であり、燃料の輸送及び発電設備のメンテナンスがほとんど不要であり、装置の寿命が長い他、設備規模の選択や設置工事が容易である。
【0004】
この種の太陽光発電システムは、1)エネルギー源が清浄であり、2)無制限である他、3)発電システムのメンテナンスが容易であり、しかも、4)無人化可能であり、5)寿命が長いという長所がある。
【0005】
図1は、従来の固定型太陽光集光装置を示すものである。同図に示す固定型太陽光集光装置は、最も安価で且つ安定した構造のものであり、比較的に遠隔地域に、しかも、設置面積の制約がない個所に多用されている。特に、この固定型太陽光集光装置は、島しょ地域など風速が強い個所に設置するのが普通である。この固定型太陽光集光装置は、初期設置費が安く、保守管理に伴うリスクがないことから、相対的に多用されるアレイ支持方法を採用しており、韓国内の島しょ用太陽光システムにおいては、このような固定型システムを標準としている。
【0006】
また、上記の如き固定式構造を、両方向に設置した固定式両方向太陽光集光装置を用いることもある。
【0007】
しかしながら、この種の従来の固定式太陽光集光装置は、太陽光の高度または軌道の変化に応じてシステムの全体としての集光効率が落ちてしまうという問題点があった。
【0008】
さらに、主として地上の大地に設置されるため、その設置場所が限定的であり、屋根や屋上に設置する場合には、風や荷重に弱いという問題点もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、壁体に角度が調節される太陽光集光装置を取り付けて、季節または高度の変化に応じて太陽の位置を追尾して効率よく太陽光を集光する壁体取付型太陽光追尾集光装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の如き目的を達成するために、本発明に係る壁体取付型太陽光追尾集光装置は、壁体手段と、前記壁体手段の側面に形成されて太陽光を集光する太陽光集光手段と、前記太陽光集光手段の一方の端を開閉させてその集光角度を調整する開閉手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記壁体手段は、垂直方向の構造を有する壁体と、前記壁体の上部及び下部にそれぞれ突設された壁体ブラケットと、を備える。
【0012】
また、前記太陽光集光手段は、前記上部の壁体ブラケットに形成されて回動可能なヒンジを有するヒンジ固定棒と、前記ヒンジ固定棒に回動可能に連結された開閉ヒンジ棒と、前記開閉ヒンジ棒から縦方向に延設されて連れ回動する縦棒と、前記縦棒端部に形成された開閉下棒と、前記開閉ヒンジ棒と、前記縦棒及び前記開閉下棒に延びた構造物の前面に形成されて太陽光を集光するソーラーセルと、前記下部の壁体ブラケットに形成され、前記開閉下棒と接触されて支持される下棒と、を備える。
【0013】
また、前記開閉手段は、モーターと、前記モーターの回転軸に延びて水平方向に回転する駆動パイプと、前記駆動パイプの回転運動を垂直方向の直線運動に切り換えるラックピニオンと、前記ラックピニオンに結合されて垂直方向(上下方向)に直線運動する従動パイプと、前記従動パイプを前記壁体に固定すると共に、垂直方向の直線運動が円滑に行われるようにガイドするパイプローラーと、一方の側は回動可能な押し棒クランプを用いて前記従動パイプに結合され、他方の側は前記開閉下棒に回動可能に結合されて、前記従動パイプの垂直運動につれて前記開閉下棒を外側に押し出したり引っ張ったりして前記ソーラーセルの角度を調整する押し棒と、を備える。
【0014】
また、前記押し棒は、一方の端が前記押し棒クランプに連結され、他方の端が前記開閉下棒の少なくとも2個所以上に連結されて支持される。
【0015】
また、前記壁体手段には、前記太陽光集光手段が横方向及び縦方向に多数配設されていてもよい。前記壁体手段には、多数の前記太陽光集光手段の間に所定の間隔をあけて開放された空間を有する開放部が形成される。
【0016】
また、前記壁体手段は、工場壁、防音壁、開放型構造物、鉄骨構造物、仕切りのうち少なくともいずれか一種の壁構造物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明に係る壁体取付型太陽光追尾集光装置によれば、壁体に角度が調節される太陽光集光装置を取り付けて、季節または高度の変化に応じて太陽の位置を追尾して効率よく太陽光を集光することにより、太陽光の高度または軌道の変化によって集光効率を向上させ、壁面を用いて設置場所の活用度を高めるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の固定型太陽光追尾集光装置の斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態による壁体取付型太陽光追尾集光装置の側断面図である。
【図3】図2の斜視図である。
【図4】図2の要部の詳細側断面図である。
【図5】図2の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施の形態による壁体取付型太陽光追尾集光装置を詳述する。
【0020】
なお、本明細書及び特許請求の範囲に使用された用語や単語は通常的であるか、あるいは、辞書的な意味に限定されて解釈されてはならず、発明者は自分の発明を最良の方法により説明するために用語の概念を適切に定義可能であるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈される必要がある。よって、この明細書に記載の実施の形態と図面に示す構成は、本発明の最も好適な実施の形態に過ぎず、本発明の技術的思想をいずれも代弁するものではないため、本発明の出願時点において、これらを代替可能な様々な均等物と変形例がありうることを理解すべきである。
【0021】
本発明において説明する壁体とは、工場などの各種の建物の壁体を包括的に意味するものであり、防音壁、開放型構造物、鉄骨構造物、工事用仕切りなどの各種の壁構造物を含む。なお、傾斜屋根またはアーチ型屋根を含んでもよい。
【0022】
図2は、本発明の一実施の形態による壁体取付型太陽光追尾集光装置の側断面図であり、図3は、図2の斜視図である。そして、図4は、図2の要部の詳細側断面図であり、図5は、図2の正面図である。
【0023】
同図に示すように、本発明は、壁体手段100と、太陽光集光手段200と、開閉手段300と、を備える。
【0024】
前記壁体手段100は、垂直方向の構造を有する構造物である。前記壁体手段100は、垂直方向の構造を有する壁体101と、前記壁体101の上部及び下部にそれぞれ突設された壁体ブラケット111、117と、を備える。
【0025】
前記壁体手段100には、前記太陽光集光手段200が横方向及び縦方向に多数配設されていてもよい。前記壁体手段100には、多数の前記太陽光集光手段200の間に所定の間隔をあけて開放された空間を有する開放部115が形成される。前記壁体手段100は、工場壁、防音壁、開放型構造物、鉄骨構造物、仕切りのうち少なくともいずれか一種の壁構造物であることが好ましい。
【0026】
太陽光集光手段200は、前記壁体手段100の側面に形成されて太陽光を集光する。前記太陽光集光手段200は、前記上部の壁体ブラケット111に形成されて回動可能なヒンジを有するヒンジ固定棒105と、前記ヒンジ固定棒105に回動可能に連結された開閉ヒンジ棒106と、前記開閉ヒンジ棒106から縦方向に延設されて連れ回動する縦棒116と、前記縦棒116の端部に形成された開閉下棒110と、前記開閉ヒンジ棒106と、前記縦棒116及び前記開閉下棒110に延びた構造物の前面に形成されて太陽光を集光するソーラーセル107と、前記下部の壁体ブラケット117に形成され、前記開閉下棒110と接触されて支持される下棒109と、を備える。
【0027】
開閉手段300は、前記太陽光集光手段200の一方の端を開閉させてその集光角度を調整する。前記開閉手段300は、モーター114と、前記モーター114の回転軸に延びて水平方向に回転する駆動パイプ112と、前記駆動パイプ112の回転運動を垂直方向の直線運動に切り換えるラックピニオン113と、前記ラックピニオン113に結合されて垂直方向(上下方向)に直線運動する従動パイプ102と、前記従動パイプ102を前記壁体101に固定すると共に、垂直方向の直線運動が円滑に行われるようにガイドするパイプローラー103と、一方の側は回動可能な押し棒クランプ108を用いて前記従動パイプ102に結合され、他方の側は前記開閉下棒110に回動可能に結合されて、前記従動パイプ102の垂直運動につれて前記開閉下棒110を外側に押し出したり引っ張ったりして前記ソーラーセル107の角度を調整する押し棒104と、を備える。
【0028】
また、前記押し棒104は、一方の端が前記押し棒クランプ108の1個所に固定され、他方の端が前記開閉下棒110の少なくとも2個所以上に支持されるV字状に形成される。
【0029】
以下、本発明の作用を説明する。
【0030】
まず、非起動時、すなわち、夜間または降雨時のように光がなくて本装置を起動しないときには、開閉手段300は、前記太陽光集光手段200を前記壁体手段100に押し付けておく。
【0031】
すなわち、モーター114が回転すると、前記モーター114の回転軸に水平方向に伸びた駆動パイプ112が連れ回転し、ラックピニオン113は前記駆動パイプ112の回転運動を垂直方向の直線運動に切り換える。
【0032】
これにより、前記ラックピニオン113に結合された従動パイプ102が、パイプローラー103によって前記壁体101に固定されると共に、垂直上方にガイドされながら直線運動する。
【0033】
この後、前記従動パイプ102に一方の側が押し棒クランプ108を介して回動可能に結合された押し棒104が、上方に移動しながら前記開閉下棒110を壁体101に向かって引き寄せる。
【0034】
このため、前記上部の壁体ブラケット111に形成されて回動可能なヒンジを有するヒンジ固定棒105によって、ヒンジ固定棒105に回動可能に連結された開閉ヒンジ棒106、縦棒116及び開閉下棒110が上端を中心に壁体101に向かって回動することにより、前記縦棒116及び前記開閉下棒110に延びた構造物の前面に形成されて太陽光を集光するソーラーセル107が、壁体101に向かって押し付けられる。
【0035】
一方、本装置を起動して太陽光を集光する場合には、開閉手段300は、前記太陽光集光手段200の一方の端を開放させて、前記太陽光集光手段200を前記壁体手段100から所定の角度に位置させる。
【0036】
モーター114が回転すると、前記モーター114の回転軸に延びた駆動パイプ112が水平方向に回転し、ラックピニオン113は前記駆動パイプ112の回転運動を垂直方向の直線運動に切り換える。
【0037】
これにより、前記ラックピニオン113に結合された従動パイプ102が、パイプローラー103によって前記壁体101に固定されると共に、垂直の下方にガイドされながら直線運動する。
【0038】
この後、前記従動パイプ102に一方の側が押し棒クランプ108を介して回動可能に結合された押し棒104が、下方に移動しながら前記開閉下棒110を壁体101の反対側に押し出す。
【0039】
このため、前記上部の壁体ブラケット111に形成されて回動可能なヒンジを有するヒンジ固定棒105によって、ヒンジ固定棒105に回動可能に連結された開閉ヒンジ棒106、縦棒116及び開閉下棒110が上端を中心に壁体101の反対側に回動することにより、前記縦棒116及び前記開閉下棒110に延びた構造物の前面に形成されて太陽光を集光するソーラーセル107が、所定の角度を有するように開放される。
【0040】
このとき、前記集光角度は、春、夏、秋、冬の各季節別に太陽の位置を考慮して異なる角度に設定してもよい。すなわち、冬よりも春や秋に集光角度を一層大きくし、春や秋よりも夏に集光角度を一層大きく設定してもよい。
【0041】
以上述べたように、本発明によれば、壁体に集光角度が調節される太陽光集光装置を取り付けて、季節または高度の変化に応じて太陽の位置を追尾して効率よく太陽光を集光することにより、太陽光の高度または軌道の変化に応じて集光効率を向上させ、壁面を用いて設置場所の活用度を高めることができる。
【0042】
本発明は、上述した特定の好適な実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術分野において通常の知識を持った者であれば誰でも様々な変形実施が可能であることはもちろん、そのような変更は特許請求の範囲に記載の範囲内にある。
【符号の説明】
【0043】
101 壁体
102 従動パイプ
103 パイプローラー
104 押し棒
105 ヒンジ固定棒
106 開閉ヒンジ棒
107 ソーラーセル
108 押し棒クランプ
109 下棒
110 開閉下棒
111,117 壁体ブラケット
112 駆動パイプ
113 ラックピニオン
114 モーター
115 開放部
116 縦棒
100 壁体手段
200 太陽光集光手段
300 開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁体手段(100)と、
前記壁体手段(100)の側面に形成されて太陽光を集光する太陽光集光手段(200)と、
前記太陽光集光手段(200)の一方の端を開閉してその集光角度を調整する開閉手段(300)と、
を備えることを特徴とする壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項2】
前記壁体手段(100)は、
垂直方向の構造を有する壁体(101)と、
前記壁体(101)の上部及び下部にそれぞれ突設された壁体ブラケット(111)、(117)と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項3】
前記太陽光集光手段(200)は、
前記上部の壁体ブラケット(111)に形成されて回動可能なヒンジを有するヒンジ固定棒(105)と、
前記ヒンジ固定棒(105)に回動可能に連結された開閉ヒンジ棒(106)と、
前記開閉ヒンジ棒(106)から縦方向に延設されて連れ回動する縦棒(116)と、 前記縦棒(116)の端部に形成された開閉下棒(110)と、
前記開閉ヒンジ棒(106)と、前記縦棒(116)及び前記開閉下棒(110)に延びた構造物の前面に形成されて太陽光を集光するソーラーセル(107)と、
前記下部の壁体ブラケット(117)に形成され、前記開閉下棒(110)と接触されて支持される下棒(109)と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項4】
前記開閉手段(300)は、
モーター(114)と、
前記モーター(114)の回転軸に延びて水平方向に回転する駆動パイプ(112)と、
前記駆動パイプ(112)の回転運動を垂直方向の直線運動に切り換えるラックピニオン(113)と、
前記ラックピニオン(113)に結合されて垂直方向(上下方向)に直線運動する従動パイプ(102)と、
前記従動パイプ(102)を前記壁体(101)に固定すると共に、垂直方向の直線運動が円滑に行われるようにガイドするパイプローラー(103)と、
一方の側は回動可能な押し棒クランプ(108)を用いて前記従動パイプ(102)に結合され、他方の側は前記開閉下棒(110)に回動可能に結合される押し棒(104)と、
を備え、
前記従動パイプ(102)の垂直運動につれて前記開閉下棒(110)を外側に押し出したり引っ張ったりして前記ソーラーセル(107)の角度を調整する、
ことを特徴とする請求項3に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項5】
前記押し棒(104)は、
一方の端が前記押し棒クランプ(108)に連結され、他方の端が前記開閉下棒(110)の少なくとも2個所以上に連結されて支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項6】
前記壁体手段(100)には、
前記太陽光集光手段(200)が横方向及び縦方向に多数配設される、
ことを特徴とする請求項1に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項7】
前記壁体手段(100)には、
多数の前記太陽光集光手段(200)の間に所定の間隔をあけて開放された空間を有する開放部(115)が形成される、
ことを特徴とする請求項6に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。
【請求項8】
前記壁体手段(100)は、
工場壁、防音壁、開放型構造物、鉄骨構造物、仕切りのうち少なくともいずれか一種の壁構造物である、
ことを特徴とする請求項1に記載の壁体取付型太陽光追尾集光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−104526(P2012−104526A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249236(P2010−249236)
【出願日】平成22年11月6日(2010.11.6)
【出願人】(509269942)グリーン プラス カンパニー リミテッド (6)
【出願人】(509269953)
【Fターム(参考)】