説明

壁掛取付装置

【課題】壁掛取付装置自体の壁面への固定作業に簡単にするとともに、壁掛取付装置自体を当初の設計通りに正確に壁面に固定することができる壁掛取付装置を得る。
【解決手段】マウント部10の外形は矩形状を呈し、中央に壁面1sに固定した取付用金具2,2により掛止可能な開口部9を設けている。設置面10fには上部にマウント固定用穴11a及び11bが設けられ、下部にマウント固定用穴11c及び11dが設けられる。マウント固定用穴11a及び11bに隣接してデフォルト位置決め用穴12a及び12bが設けられる。マウント固定用穴11a〜11dにはネジ止めにおいて所定のネジ止め位置自由度を有している。デフォルト位置決め用穴12a及び12bそれぞれの領域はマウント固定用穴11a〜11dそれぞれの領域に比べ、開口面積が狭く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、薄型ディスプレイ等の表示装置用の壁掛取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型ディスプレイ等の表示装置を壁面に設置する際、表示装置取付用の壁掛取付装置を壁面に予め固定した後、当該壁掛取付装置に表示装置を取り付ける構成が一般的であった。
【0003】
このような壁掛取付装置として例えば特許文献1に開示された薄型ディスプレイ用壁掛け装置がある。
【0004】
この壁掛け装置は、壁面に固定するベース盤と、薄型ディスプレイの背面に予め装着する装着枠体とを設け、上記ベース盤の前面に設けた支持杆に、上記装着枠体の後面上下に設けた係止ピンを着脱自在に連結し、上記支持杆の差込凹部に差し込んだ下部係止ピンを係止部が自動ロックすると共に、上記係止部を下方に引き下げる解除具にて上記係止部のロック状態を開放するように設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−53212号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の壁掛取付装置は以上のように構成されており、壁掛取付装置自体の壁面への固定作業に比較的手間を要し、壁掛取付装置自体を当初の設計通りに正確に壁面に固定することが困難であるとの問題点があった。
【0007】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、壁掛取付装置自体の壁面への固定作業を簡単にするとともに、壁掛取付装置自体を当初の設計通りに正確に壁面に固定することができる壁掛取付装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る壁掛取付装置は、所定の表示装置を壁面に取り付ける壁掛取付装置であって、固定対象となる壁面に対向する設置面を有する枠体を備え、前記枠体の設置面は、壁面に設けられる所定の金具により掛止可能な掛止用開口部と、壁面に前記枠体をネジ止め固定するために設けられ、所定のネジ止め位置自由度を有する複数の固定用ネジ穴と、複数の位置決め用穴とを有する。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る壁掛取付装置は、所定の表示装置を壁面に取り付ける壁掛取付装置であって、固定対象となる壁面に対向する設置面を有する枠体を備え、前記枠体の設置面は、壁面に設けられる所定の金具により掛止可能な掛止用開口部と、壁面に前記枠体をネジ止め固定するために設けられ、所定のネジ止め位置自由度を有する複数の固定用ネジ穴と、複数の位置決め用穴とを有するものなので、所定の表示装置をマルチ配置するための複数の壁掛取付装置の取付を、簡単、かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態である壁掛取付装置の構成を示す説明図である。
【図2】実施の形態の壁掛取付装置を取り付ける壁面を模式的に示す説明図である。
【図3】本実施の形態の壁掛取付装置の排気構造を示す斜視図である。
【図4】9台の薄型ディプレイ装置を3個3段のマルチ配置構成した状態を示す説明図である。
【図5】9台の薄型ディプレイ装置を3個3段のマルチ配置構成した状態を示す斜視図である。
【図6】実施の形態の壁掛取付装置におけるパンタグラフ構造の後退状態を示す斜視図である。
【図7】実施の形態の壁掛取付装置におけるパンタグラフ構造の前進状態を示す斜視図である。
【図8】パンタグラフ構造の断面構造を示す断面図である。
【図9】パンタグラフ構造の収納状態時におけるロック機構を示す斜視図である。
【図10】図9で示したロック部材の詳細構造を示す説明図である。
【図11】図9で示したロック解除用治具の詳細を示す説明図である。
【図12】薄型ディプレイ装置の表面及び裏面構成を示した斜視図である。
【図13】図12で示したハンドルユニットの詳細を示す斜視図である。
【図14】図12で示したハンドルユニットの詳細を示す側面図である。
【図15】薄型ディプレイ装置が収納状態で壁掛取付装置に取り付けられている状態のハンドルユニット及びロック解除用治具周辺の詳細を示す説明図である。
【図16】パンタグラフ構造の解放状態時におけるロック機構を示す斜視図である。
【図17】図16で示したロック機構の詳細構造を示す説明図である。
【図18】2つのパンタグラフ構造におけるリンク機構を示す斜視図である。
【図19】薄型ディプレイ装置の壁掛取付装置への取り付け前の状況を模式的に示す説明図である。
【図20】薄型ディプレイ装置の壁掛取付装置への取り付け前の状況を模式的に示す側面方向から視た説明図である。
【図21】薄型ディプレイ装置の壁掛取付装置への取り付け後の状況を模式的に示す側面方向から視た説明図である。
【図22】薄型ディプレイ装置及び壁掛取付装置それぞれの上部取付部材の詳細を示す説明図である。
【図23】壁掛取付装置の上部取付部材の詳細を示す説明図である。
【図24】薄型ディプレイ装置及び壁掛取付装置それぞれの下部配置部及び下部配置台の詳細を示す説明図である。
【図25】薄型ディプレイ装置及び壁掛取付装置それぞれの上部取付部材間の取り付け状況を示す説明図である。
【図26】薄型ディプレイ装置の上部取付部材が壁掛取付装置の下部配置台上に支持される状態等を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<壁面への設置>
図1はこの発明の実施の形態である壁掛取付装置の構成を示す説明図である。同図の(a) は上面構成(薄型ディスプレイ設置側から視た構成)を示しており、同図(b) は同図(a) のA−A断面を示している。
【0012】
同図(a) に示すように、壁掛取付装置8は枠体であるマウント部10内に水平フロントバー21及び22、垂直フロントバー23a及び23b、シャフト43、ノブ44等を含む表示装置取付部と排気部(図1では図示せず)とから構成される。なお、表示装置取付部及び排気部の説明図について後に詳述する。
【0013】
マウント部10の外形は矩形状を呈し、設置面には上部にマウント固定用穴11a及び11bが設けられ、下部にマウント固定用穴11c及び11dが設けられている。また、マウント固定用穴11a及び11bに隣接してデフォルト位置決め用穴12a及び12bが設けられる。
【0014】
マウント固定用穴11a〜11dはそれぞれφ15(直径15mm)を有し、M6(径が6mm)程度のネジを用いてφ15を超えるワッシャを介して、壁1の壁面1s上にマウント部10を固定するために設けられている。したがって、マウント固定用穴11a〜11dにはM6程度のネジを用いたネジ止めにおいて所定のネジ止め位置自由度を有している。
【0015】
一方、デフォルト位置決め用穴12a及び12bはそれぞれφ6程度のサイズで設けられている。すなわち、デフォルト位置決め用穴12a及び12bそれぞれの領域はマウント固定用穴11a〜11dそれぞれの領域に比べ、開口面積が狭く設定されている。デフォルト位置決め用穴12a及び12bは、位置決めに必要な大きさであればよく、その開口面積をマウント固定用穴の開口面積と同じか大きくしてもよい。
【0016】
図2は実施の形態の壁掛取付装置8を取り付ける壁面を模式的に示す説明図である。同図に示すように、壁面1sにはデフォルト位置決め用穴12a及び12bによる位置決め用の位置合わせ印72a及び72bが予め印される。また、図1の(b) 及び図2に示すように、位置合わせ印72a及び72bを基準とした所定位置に取付用金具2,2がそれぞれネジ3によって壁面1sにネジ止めされている。
【0017】
一方、図2において破線で示すマウント部10の設置面10fは、前述したように、マウント固定用穴11a〜11d及びデフォルト位置決め用穴12a及び12bが設けられるとともに、中央の比較的大きな領域として取付用金具2,2により掛止可能な開口部9(壁掛用開口部)を設けている。
【0018】
このような構成の本実施の形態の壁掛取付装置8は以下のステップ(a) 〜(d) を実行して壁掛取付装置8を壁面1s上に固定することができる。
【0019】
(a) 壁面1sの所定位置に位置合わせ印72a及び72bを印すとともに、位置合わせ印72a及び72bを基準として取付用金具2,2に取り付ける。
【0020】
(b) 取付用金具2,2にマウント部10の開口部9の上端部分を掛止して、壁掛取付装置8を壁面1s上に仮配置する。この仮配置状態では、デフォルト位置決め用穴12a及び12bは、位置合わせ印72a及び72bに対して低い位置となる。
【0021】
(c) マウント部10を少し持ち上げて、壁面1sに印した位置合わせ印72a及び72bに、デフォルト位置決め用穴12a及び12bを一致させて位置合わせする。
【0022】
(d) 上記ステップ(c) で位置合わせした状態で、マウント固定用穴11a〜11dそれぞれを介してネジ止めすることにより、マウント部10の設置面を壁面1sに固定する。
【0023】
上記ステップ(a),(b) の実行により、壁掛取付装置8を壁面1sに比較的簡単に仮配置することができ、ステップ(b) で仮配置されているため、上記ステップ(d) が完了するまでの間、壁掛取付装置8の落下防止を確実に図りながら、ステップ(c) 以降の取付処理が可能となる。
【0024】
加えて、ステップ(d) の際、マウント固定用穴11a〜11dは所定のネジ止め位置自由度を有するため、マウント部10の設置面10fに多少の寸法誤差があっても、位置合わせ印72a及び72bにデフォルト位置決め用穴12a及び12bが一致するように簡単、かつ正確に取り付けることができる効果を奏する。
【0025】
以上、上記ステップ(a) 〜(d) を他の壁掛取付装置8の取付に順次適用することにより、薄型ディスプレイをマルチ配置すべく、複数の壁掛取付装置8の壁面1s上への配置を、簡単、かつ当初の設計通りに正確に行うことができる。さらに、最下段から最上段にかけて複数の壁掛取付装置8を順次配置する場合、最下段以外の取付け時にはステップ(c) を省略することができる。その結果、壁掛取付装置8の取付作業に要する時間短縮を図ることができる。
【0026】
<排気構造>
図3は本実施の形態の壁掛取付装置8の排気構造を示す斜視図である。図4は9台の壁掛取付装置8a〜8iを用いて9台の薄型ディプレイ装置40a〜40iを3個3段のマルチ配置構成した状態を示す説明図である。図4(a) が正面から視た図を示しており、図4の(b) が図4(a) のB−B断面を示している。
【0027】
これらの図に示すように、表示装置取付部5に取り付けられた薄型ディプレイ装置40を冷却した空気を排気する排気部6はマウント部10の設置面10f側に設けられており、中央領域に上下縦断して設けられた煙突20が設けられている。この煙突20の上部においてマウント部10の設置面10fから遠ざかる方向に傾斜してディプレイ近接排気口15が設けられる。このディプレイ近接排気口15が表示装置取付部5に薄型ディプレイ装置40(図4の(b) 薄型ディプレイ装置40d,40e,40f)を取り付けた際、その排気口75の近傍に位置する。また、ディプレイ近接排気口15の外周部に緩衝材を用いて形成された排気口枠体16が設けられているため、壁掛取付装置8の表示装置取付部5への薄型ディプレイ装置40の収納状態で薄型ディプレイ装置40の排気口75と排気口枠体16との密着性を高めることができる。なお、表示装置取付部5は、後に詳述するパンタグラフ構造26、水平フロントバー21,22、上部取付部材45,55、下部配置部46及び下部配置台56等を含み、薄型ディプレイ装置40の取り付けに寄与している部分の総称を意味する。
【0028】
また、マウント部10の上面及び下面において煙突20の外部排気口17が設けられ、マウント部10の上面及び下面において外部排気口17の一方側(図3では左側)に左部吸気口14a及び14bが設けられ、マウント部10の上面及び下面において外部排気口17の他方側(図3では右側)に右部吸気口14c及び14dが設けられる。さらに、マウント部10の両側面の下方部に側面吸気口14e及び14fが設けられる。
【0029】
このように、壁掛取付装置8の排気部6は、煙突20、ディプレイ近接排気口15、排気口枠体16、外部排気口17、及び吸気口14a〜14f等から構成され、表示装置取付部5に設置した薄型ディプレイ装置40より生じる熱が排気口75から煙突20を介して上面の外部排気口17から排気される。この排気動作に伴い、吸気口14a〜14fからの吸気動作が行われる。
【0030】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8は、マウント部10内に取付時の薄型ディスプレイを冷却した空気を排気する熱排気用の排気部6を設けることにより、薄型ディスプレイ側に特に熱排気用の排気部を設けていない場合においても、壁掛取付装置8の排気部6を介した排気処理を確実に行うことができ、薄型ディスプレイ内部の温度上昇を効果的に抑制することができる効果を奏する。
【0031】
次に、図4に示すように、壁掛取付装置8a〜8iに薄型ディプレイ装置40a〜40iを取り付けて、薄型ディプレイ装置40a〜40iを3個3段のマルチ配置構成した場合における排気動作について説明する。以降、図4における水平方向をX方向、垂直方向をY方向として説明する。すなわち、マウント部10の上面及び下面の形成方向がX方向、両側面の形成方向をY方向として規定される。
【0032】
上面及び下面にそれぞれ設けられる外部排気口17は、壁掛取付装置8をY方向に沿って複数台配設した際、上下配置される壁掛取付装置8間における下面及び上面の外部排気口17が互いに合致して、上記配設された複数の壁掛取付装置8間で煙突20が連結されるように構成される。
【0033】
同様に、上面及び下面にそれぞれ設けられる左上部吸気口14a,14c及び14b,14dは、壁掛取付装置8をY方向に沿って複数台配設した際、Y方向に配設された複数の壁掛取付装置8間で左部吸気口14a及び14b間並びに右部吸気口14c及び14d間が合致するように構成される。
【0034】
加えて、両側面に設けられる側面吸気口14e及び14fは、壁掛取付装置8をX方向に沿って複数台配設した際、X方向に配設された複数の壁掛取付装置8間で側面吸気口14e及び14f間が合致するように構成される。
【0035】
したがって、図4(b) に示すように、例えば、壁掛取付装置8dと壁掛取付装置8eとの関係において、下方の壁掛取付装置8eの上面の外部排気口17と上方の壁掛取付装置8dの下面の外部排気口17とが互いに合致する。その結果、Y方向においてマルチ配置される複数の壁掛取付装置8間において煙突20が連結して、3台の壁掛取付装置8分の排気通路29が形成される。
【0036】
排気通路29にディスプレイ近接排気口15からの空気が流れこみやすくするために、図4に示すように、最下段の壁掛取付装置8(壁掛取付装置8c,8f,8i)の下面の外部排気口17に蓋部18を設け、最上段の壁掛取付装置8(壁掛取付装置8a,8d,8g)の上面の外部排気口17からY方向にマルチ配置された3台の薄型ディプレイ装置40から生じる熱を排気することができる。
【0037】
同様にして、例えば、壁掛取付装置8dと壁掛取付装置8eとの関係において、下方の壁掛取付装置8eの上面の吸気口14a及び14cと上方の壁掛取付装置8dの下面の吸気口14b及び14dとが互いに合致する。その結果、Y方向においてマルチ配置される複数の壁掛取付装置8間において吸気口14a〜14dが連結して、3台の壁掛取付装置8分の吸気通路が形成される。
【0038】
壁掛取付装置8の内部に比較的冷たい外気が入りやすくするために、図4に示すように最上段の壁掛取付装置8(壁掛取付装置8a,8d,8g)の上面の吸気口14a及び吸気口14cに蓋部19を設け、最下段の壁掛取付装置8(壁掛取付装置8c,8f,8i)の下面の吸気口14b及び14dから比較的冷たい外気を吸気することにより、Y方向にマルチ配置された3台の薄型ディプレイ装置40から排気処理による冷却効果を向上させることができる。
【0039】
また、例えば、壁掛取付装置8dと壁掛取付装置8gとの関係において、左側の壁掛取付装置8dの右側面の右側面吸気口14fと右側の壁掛取付装置8gの左側面の左側面吸気口14eとが互いに合致する。その結果、X方向においてマルチ配置される複数の壁掛取付装置8間において側面吸気口14e及び14fが連結して、3台の壁掛取付装置8分の吸気通路が形成され、上記排気処理による冷却効果を向上させることができる。
【0040】
このように、各壁掛取付装置8の排気用通路となる煙突20及び外部排気口17は、壁掛取付装置8をY方向に沿って複数個配設した際、Y方向に配設された複数の壁掛取付装置8間で連続的に繋がり排気通路29を形成するように設けられるため、Y方向に薄型ディスプレイをマルチ設置する場合においても、効果的な排気処理が行え、マルチ設置された薄型ディスプレイ内部の温度上昇を効果的に抑制することができる効果を奏する。
【0041】
加えて、マウント部10に設けられる複数の吸気口14a〜14fは、壁掛取付装置8をX方向及びY方向に沿って複数個配設した際、上記X方向及びY方向において左部吸気口14a及び14bの組合せ、右部吸気口14c及び14dの組合せ、側面吸気口14e及び14fの組合せが、互いに合致する位置関係となるように設けられるため、上記排気処理に伴う吸気処理が支障なく行われる。
【0042】
加えて、X方向及びY方向に所定の表示装置をマルチ設置する場合において、マルチ設置された薄型ディスプレイ間の配線を、上記複数の吸気口14a〜14fを介して比較的簡単に行うことができる。
【0043】
<表示装置取付部における可動部の動作>
図5は9台の薄型ディプレイ装置40a〜40iを3個3段のマルチ配置構成した状態を示す斜視図である。壁掛取付装置8は後に詳述する可動部である2つのパンタグラフ構造26a及び26bによる前進,後退動作により、3個3段のマルチ配置構成の真ん中の薄型ディプレイ装置40e単独の取り付け、取り外しを比較的簡単に行うことができる。
【0044】
図6はパンタグラフ構造26a及び26bの後退状態を示す斜視図である。図7はパンタグラフ構造26a及び26bの前進状態を示す斜視図である。図8は壁掛取付装置8におけるパンタグラフ構造26の断面構造を示す断面図である。同図(a) は前進状態を示し、同図(b) は後退状態を示している。
【0045】
これらの図に示すように、パンタグラフ構造26(26a,26b)は、マウント部10の設置面10fに沿って設けられた支持部材28と、支持部材28に互いに一方端が連結され、互いの中心部が回転自在のピン60により連結されたクロスバー24(24a,24b),25(25a,25b)により構成される。クロスバー24は、支持部材28の下方にY方向に設けられた長穴に移動可能に連結される。クロスバー25は、支持部材28の上方に設けられた穴に回転可能に連結される。
【0046】
そして、クロスバー24,25の他方端間に垂直フロントバー23(23a,23b)が設けられ、垂直フロントバー23a及び23b間の上部及び下部を横断して水平フロントバー21及び22が設けられる。クロスバー24は、垂直フロントバー23の上方に設けられた穴に回転可能に連結される。クロスバー25は、垂直フロントバー23の下方にY方向に設けられた長穴に移動可能に連結される。
【0047】
これら垂直フロントバー23及びクロスバー24が薄型ディプレイ装置40を実際に装着する装着部として機能する。そして、上述したパンタグラフ構造26はピン60を中心としてクロスバー24,25が伸長・収縮することにより、上記装着部をパンタグラフ移動方向D26間で移動させることが可能な可動部として機能する。そして、上記装着部と上記可動部とを併せた構成が表示装置取付部5となる。
【0048】
パンタグラフ移動方向D26で上記装着部を移動させる場合、薄型ディプレイ装置40の装着後は、取り付けた薄型ディプレイ装置40自体を前進後退させることにより行うことができ、薄型ディプレイ装置40の取り付け前は水平フロントバー21,22等を前進後退させることにより行うことができる。
【0049】
パンタグラフ移動方向D26はマウント部10の設置面10fに対し垂直な方向であり、以降、このパンタグラフ移動方向D26をZ方向と称する場合がある。
【0050】
図8(a) に示すように、パンタグラフ構造26はパンタグラフ前進方向D26Fに最大限移動すると、垂直フロントバー23がマウント部10の設置面10fから最も遠ざかる解放状態となる。この解放状態で薄型ディプレイ装置40が取り付けると図5の薄型ディプレイ装置40eのようになる。
【0051】
一方、図8(b) に示すように、パンタグラフ構造26はパンタグラフ後退方向D26Rに最大限移動すると、垂直フロントバー23がマウント部10の設置面10fから最も近づく収納状態となる。薄型ディプレイ装置40が取り付けた状態で収納状態になると、図5の薄型ディプレイ装置薄型ディプレイ装置40a〜40d、40f〜40iのようになる。
【0052】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8の上記装着部に薄型ディプレイ装置40を装着した場合、可動部となるパンタグラフ構造26はパンタグラフ移動方向D26に沿って上記装着部を移動させることにより、薄型ディプレイ装置40の壁掛取付装置8への取り付け、取り外しを比較的簡単に行うことができる。
【0053】
さらに、本実施の形態のパンタグラフ構造26は、収納状態時に薄型ディプレイ装置40の画面部分以外の大半をマウント部10内部に配置し、解放状態時に薄型ディプレイ装置40の全てがマウント部10の外部に突出するように配置している。
【0054】
このため、X方向及びY方向に薄型ディスプレイをマルチ設置する場合において、いずれの位置にある壁掛取付装置8における薄型ディプレイ装置40に対しても、その取付け及び取り外しを他の壁掛取付装置8における薄型ディプレイ装置40の設置状況に関係なく、単独で行うことができる効果を奏する。その結果、マルチ配置された複数の薄型ディプレイ装置のうち、任意の薄型ディプレイ装置に対する取り付け、取り外しを支障なく行うことができる効果を奏する。
【0055】
例えば、図5に示すように、3個3段のマルチディプレイ配置構成において、薄型ディプレイ装置40a〜40i全てが設置済みであっても、真ん中の薄型ディプレイ装置40eを取り付けた壁掛取付装置8eのパンタグラフ構造26を解放状態にすることにより、薄型ディプレイ装置40e単独の取り外し、その後の取り付けを比較的簡単に行うことができる。
【0056】
<ロック機構(その1)>
図9はパンタグラフ構造26の収納状態時におけるロック機構を示す斜視図である。同図に示すように、主としてロック部材31、シャフト32及びロック解除用治具33により、パンタグラフ構造26の収納状態時においてパンタグラフ前進方向D26Fへの移動をロックするロック機構(第1のロック機構)を構成する。ロック部材31は、垂直フロントバー23にX方向に設けられた突起部36(図10に図示)と係合する。シャフト32は、マウント部10のX方向の端部付近に設けられたロック解除用治具33とロック部材31をつなぐものである。ロック解除用治具33がZ方向に移動すると、シャフト32が回転し、ロック部材31が下に移動して突起部36との係合が解除される。なお、図9では一方のパンタグラフ構造26bについてのロック機構のみ示しているが、同様なロック機構が他方のパンタグラフ構造26aに対しても設けられている。ただし、パンタグラフ構造26a,26b間でロック機構を設けるY方向の位置を変えている。第1のロック機構を設けることによるX方向の拡がりを最小現に抑えるためである。以降、パンタグラフ構造26a及び26bを総称であるパンタグラフ構造26として説明する。
【0057】
図10はロック部材31の詳細構造を示す説明図である。同図(a) がパンタグラフ構造26の解放状態、同図(b) がパンタグラフ構造26の収納状態の場合を示している。
【0058】
同図(a) に示すように、垂直フロントバー23にはX方向に突起した突起部36が設けられ、この突起部36はY方向の位置がストッパSW35の傾斜面35dのY方向の位置と一致するように設けられている。
【0059】
ストッパSW35はシャフト32を中心として回転自在にシャフト32に設けられるとともに、スプリング部34の弾性力によりシャフト32を中心に時計回りに回動しようとする力が加えられることにより、同図(a) で示す形態で安定している。
【0060】
同図(a) で示す解放状態からパンタグラフ構造26をパンタグラフ後退方向D26Rに動作させると、垂直フロントバー23の突起部36が点線矢印方向に移動する。突起部36はY方向の位置がストッパSW35の傾斜面35dのY方向の位置に設けられているため、傾斜面35dを当接し、ストッパSW35をシャフト32を中心として反時計方向に押し下げながら進み、収納状態時には、同図(b) に示すように、ストッパSW35の凹部35c内に収まる。
【0061】
一旦、突起部36がストッパSW35の凹部35c内に収まると、仮に垂直フロントバー23をパンタグラフ前進方向D26Fに動かそうとしても、ストッパSW35の凹部35c(垂直部35v)が突起部36に対するストッパとして機能し、垂直フロントバー23のパンタグラフ前進方向D26Fの動きを確実にロックすることができる。
【0062】
図11はロック解除用治具33の詳細を示す説明図である。同図に示すように、ロック解除用治具33はプッシュプレート33a及びストッパプレート33bより構成される。ストッパプレート33bはシャフト32と連動して設けられており、ストッパプレート33bが反時計回りに回転すると、シャフト32も反時計回りに回転する。
【0063】
一方、プッシュプレート33aは薄型ディプレイ装置40側に設けられたプレート41cより押圧されると、これに連動してストッパプレート33bを反時計回りに回転させることができる。
【0064】
図12は薄型ディプレイ装置40の表面及び裏面構成を示した斜視図である。同図(a) が表面構成、同図(b) が裏面構成を示している。同図に示すように、表面視右側(裏面視左側)の側面にハンドルユニット41が設けられる。ハンドルユニット41は、収納状態で第1のロック機構を解除するために、ロック解除用治具33をZ方向に移動させるためのものである。なお、ディスプレイ裏面部40Rの裏面突出部40T上に設けられるホルダーユニット42については後に詳述する。ホルダーユニット42は、薄型ディプレイ装置40をクロスバー24に取り付けるためのものである。
【0065】
図13及び図14はハンドルユニット41の詳細を示す説明図である。図13は、ディスプレイ裏面部40R側から視た構造を示している斜視図であり、図14は薄型ディプレイ装置40のディスプレイ表面部40Sに対し右側面から視た構造を示している側面図である。
【0066】
これらの図に示すように、ハンドル41aのハンドル回転軸41xがピン41bを中心として回転自在にピン41bに連結される。同様に、プレート41cがピン41bに回転自在にプレート41cに連結される。なお、ハンドル41aとプレート41cとはピン41bを中心に互いに先端部の位置関係が反対方向になるように設けられる。
【0067】
したがって、図13(a)及び図14(a) で示す状態で、ハンドル41aを時計方向に回転させると、プレート41cも時計方向に回転し、図13(b)及び図14(b) に示すように、プレート41cはパンタグラフ後退方向D26Rに突出した状態となる。
【0068】
図15は薄型ディプレイ装置40が収納状態で壁掛取付装置8に取り付けられている状態のハンドルユニット41及びロック解除用治具33周辺を詳細に示す説明図である。同図は、薄型ディプレイ装置40のディスプレイ表面部40Sに対し右側面から視た構造を示している。
【0069】
同図に示すように、ハンドル41aを時計方向に回転させて、プレート41cをパンタグラフ後退方向D26Rに突出させると、プレート41cがプッシュプレート33aをパンタグラフ後退方向D26Rに押圧し、ストッパプレート33bを反時計回りに回転させる。
【0070】
すると、ストッパプレート33bの回転に連動してシャフト32が反時計回りに回転するため、シャフト32の回転に連動してストッパSW35が反時計回りに回転し、垂直部35vが下降する。その結果、ストッパSW35の凹部35c内に突起部36が収まることによるストッパSW35のロック機能が解除されるため、パンタグラフ構造26をパンタグラフ前進方向D26Fに動かすことが可能となる。
【0071】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8は、パンタグラフ構造26の収納状態で、パンタグラフ構造26のZ方向(パンタグラフ前進方向D26F)の動きをロックする第1のロック機構(ロック部材31、シャフト32、ロック解除用治具33等)を有するため、パンタグラフ構造26の収納状態時に安定性良く薄型ディプレイ装置40を設置することができる。
【0072】
<ロック機構(その2)>
図16はパンタグラフ構造26の解放状態時におけるロック機構を示す斜視図である。同図に示すように、主としてシャフト43、ノブ44、スプリング部49及びロックプレート50により、パンタグラフ構造26の解放状態時においてパンタグラフ後退方向D26Rへの移動をロックするロック機構(第2のロック機構)を構成する。なお、図16では一方のパンタグラフ構造26b(垂直フロントバー23b)についてのみ示しているが、同様なロック機構がパンタグラフ構造26aに対しても設けられている。ただし、シャフト43及びノブ44はパンタグラフ構造26a,26b間で共有する。
【0073】
図17は上記第2のロック機構の詳細構造を示す説明図である。同図(a) がパンタグラフ構造26b収納状態、同図(b),同図(c)がそれぞれパンタグラフ構造26bの解放状態の場合を示している。
【0074】
同図(b) に示すように、クロスバー25bの先端部に設けられた昇降ピン25pは垂直フロントバー23bの昇降領域23r内においてY方向に移動自在に、垂直フロントバー23bに連結されている。
【0075】
また、ロックプレート50はスプリング部49の弾性力により常に反時計方向へ回転しようとする力が加えられており、通常は図17の(a) で示す状態で安定している。
【0076】
同図(a) に示すように、収納状態ではクロスバー25bはY方向に平行な状態となるため、昇降ピン25pは昇降領域23r内の最下段に位置することになる。
【0077】
この収納状態からパンタグラフ構造26bをパンタグラフ前進方向D26Fに動作させると、昇降領域23r内において昇降ピン25pは上昇し、ロックプレート50の傾斜面50dに当接し、ロックプレート50を時計回りに回転させ退けながら、昇降領域23r内を上昇する。その後、解放状態時には、同図(b) に示すように、昇降領域23rの最上部に位置することになる。それに前後して、ロックプレート50がスプリング部49の弾性力により同図(b) で示す状態に戻り安定するため、ロックプレート50の凹部50c内に昇降ピン25pが収まる。
【0078】
一旦、昇降ピン25pがロックプレート50の凹部50c内に収まると、仮に垂直フロントバー23bをパンタグラフ後退方向D26Rに動かそうとしても、ストッパSW35の凹部50cが昇降ピン25pに対するストッパとして機能し、垂直フロントバー23bのパンタグラフ後退方向D26Rの動きを確実にロックすることができる。
【0079】
このように、スプリング部49の弾性力によりロックプレート50の位置は同図(b) で示す状態で安定するため、昇降ピン25pの昇降領域23rの下降、すなわち、パンタグラフ構造26bのパンタグラフ後退方向D26Rへの移動をロックすることができる。
【0080】
一方、パンタグラフ構造26a(図示せず)はパンタグラフ構造26bと同様に移動するため、パンタグラフ構造26bと同様にパンタグラフ構造26aもパンタグラフ後退方向D26Rへの移動がロックされる。
【0081】
同図(b) で示す解放状態時かつロック状態時において、同図(c) に示すように、ノブ44を時計回りに回転させると、シャフト43も時計回りに回転する。すると、シャフト43に連動して回転するロックプレート50も時計回りに回転する。その結果、ロックプレート50の凹部50c内に昇降ピン25pが収まることによるスプリング部49及びロックプレート50のロック機能が解除されるため、パンタグラフ構造26bをパンタグラフ後退方向D26Rに動かすことが可能となる。この際、シャフト43及びノブ44はパンタグラフ構造26aにおいても用いられているため、パンタグラフ構造26bと同時にパンタグラフ構造26aのロック機能も解除される。
【0082】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8は、パンタグラフ構造26の解放状態で、パンタグラフ構造26のZ方向(パンタグラフ後退方向D26R)の動きをロックする第2のロック機構を有するため、解放態時に薄型ディプレイ装置40の装着部(水平フロントバー22,垂直フロントバー23)への取付け、取り外しを精度良く行うことができる。
【0083】
<リンク及びガイド機構>
(リンク機構)
図18はパンタグラフ構造26a及び26bにおけるリンク機構を示す斜視図である。同図に示すように、支持部材28a及び28b間の上部において回転自在なリンクシャフト38が設けられている。このリンクシャフト38がパンタグラフ構造26aのクロスバー25a及びパンタグラフ構造26bのクロスバー25bそれぞれの一端の共通の自在止め具として機能している。リンクシャフト38は、その両端がそれぞれクロスバー25a、25bに固定されており、パンタグラフ構造26a及び26bを連結する。
【0084】
したがって、パンタグラフ構造26aとパンタグラフ構造26bとはリンクシャフト38を介して正確に連動しながらスムーズにパンタグラフ移動方向D26間における移動動作を行うことができる。
【0085】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8は、パンタグラフ構造26a及びパンタグラフ構造26b間におけるパンタグラフ移動方向D26の動作が連動するように、パンタグラフ構造26a及び26b間を連結するリンクシャフト38を有するため、パンタグラフ構造26a及び26bによるパンタグラフ移動方向D26の動作がスムーズかつ正確に行える効果を奏する。
【0086】
(ガイド機構)
さらに、図18に示すように、支持部材28bの最上部にパンタグラフ後退方向D26Rに延びて、ガイド通路39rのX方向位置が垂直フロントバー23bに対向するように、ガイド部39が設けられる。
【0087】
このガイド部39は、垂直フロントバー23bが解放状態から収納状態にパンタグラフ後退方向D26Rに移動する際、垂直フロントバー23bの最上部がガイド通路39r内を通過するように設けられる。
【0088】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8は、ガイド部39の存在により、パンタグラフ構造26bのX方向のズレが規制されるため、パンタグラフ構造26a及び26b全体におけるX方向のズレを確実に抑制することができる。
【0089】
<装着部における取付部材>
(取り付け内容)
図19は薄型ディプレイ装置40の壁掛取付装置8への取り付け前の状況を模式的に示す説明図である。図20は薄型ディプレイ装置の壁掛取付装置8への取り付け前の状況を模式的に示す側面方向から視た説明図である。これらの図に示すように、ディスプレイ裏面部40Rの裏面突出部40Tの両側にホルダーユニット42が設けられる。ホルダーユニット42は上部取付部材45と下部配置部46(下部取付部材)とから構成される。
【0090】
一方、垂直フロントバー23b上及びその近傍に上部取付部材55及び下部配置台56(下部取付部材)が設けられる。上部取付部材45と上部取付部材55、下部配置部46と下部配置台56とがそれぞれ所定の結合状態を呈することにより、薄型ディプレイ装置40を壁掛取付装置8に取り付けることができる。
【0091】
以降、説明の都合上、パンタグラフ構造26(水平フロントバー22、垂直フロントバー23、クロスバー24,25)、ホルダーユニット42等を総称して説明する。実際には、壁掛取付装置8側のパンタグラフ構造26a及び26bこれに対応するホルダーユニット42及び42との間でそれぞれ同様な取り付け(上部取付部材45,上部取付部材55間及び下部配置部46,下部配置台56間の取り付け)が行われる。
【0092】
図21は薄型ディプレイ装置40の壁掛取付装置8への取り付け後の状況を示す側面方向から視た説明図である。
【0093】
同図に示すように、上部取付部材45を上部取付部材55の上部から被せるようにし、上部取付部材45の左側面を上部取付部材55の右側面に引っ掛けるようにして、上部取付部材45を上部取付部材55に取り付けて第1結合状態J1を実現している。この際、上部取付部材45の左側面は弾力性を有するスプリングプレート45sで構成されているため、比較的スムーズに上部取付部材45の左側面を上部取付部材55の右側面に引っ掛けることができる。
【0094】
一方、下部配置台56上に下部配置部46のY方向調整用ネジ46tの先端を当接させことにより、下部配置台56上に下部配置部46を取り付けて第2結合状態J2を実現している。このように、上部取付部材45,上部取付部材55間の取り付け及び下部配置部46呼び下部配置台56間の取り付けにより、薄型ディプレイ装置40の壁掛取付装置8の表示装置取付部5への取り付けが行える。
【0095】
上述したように、壁掛取付装置8の表示装置取付部5は上部取付部材55を有している。したがって、薄型ディプレイ装置40の裏面突出部40Tに設けられたホルダーユニット42の上部取付部材45を上部取付部材55に引っ掛けて取り付けることが主要な取り付け作業となるため、比較的簡単に薄型ディプレイ装置40の表示装置取付部5への取付を行うことができる効果を奏する。
【0096】
(X方向調整)
図22は上部取付部材45及び上部取付部材55の詳細を示す説明図である。同図(a) は上部取付部材45の詳細を示しており、同図(b) は上部取付部材55の詳細を示している。
【0097】
同図(a) に示すように、上部取付部材45は上部表面に上部開口領域47を有している。一方、同図(b) に示すように、上部取付部材55は垂直フロントバー23あるいは水平フロントバー22(図示せず)に固定される固定部58とX方向に移動可能なX方向可動部57とから構成される。
【0098】
X方向可動部57はY方向に突出した突出部57tを有しており、上部開口領域47内から突出部57tを突出させながら、上部取付部材55に上部取付部材45を引っ掛けることにより上部取付部材45,上部取付部材55間の取り付けが行える。すなわち、突出部57tの位置が上部取付部材55の装着位置(所定位置)となる。
【0099】
したがって、上部取付部材55の突出部57tをX方向に移動させることにより、上部取付部材45の取り付け位置をX方向に変化させることができる。
【0100】
図23は上部取付部材55の詳細を示す説明図である。同図(a)が垂直フロントバー23の側面方向から視た説明図であり、同図(b) がそのC−C断面を示す断面図である。
【0101】
同図に示すように、固定部58は垂直フロントバー23によりネジ止めされることにより固定されている。一方、X方向可動部57は、固定部58に設けられたX方向調整用ネジ59のX方向の動きに連動してX方向に移動可能である。すなわち、X方向可動部57は、2箇所の移動領域57r内をX方向に移動可能にネジ止めされ、かつX方向調整用ネジ59の締め具合に応じてX方向の位置調整が可能である。
【0102】
このように、本実施の形態の上部取付部材55は、X方向調整用ネジ59及びX方向可動部57等よりなり、上部取付部材45の取り付け位置を規定する突出部57tの位置をX方向に可変設定するX方向調節機構を含むため、壁掛取付装置8に対する薄型ディプレイ装置40のX方向の位置決めを精度良く行うことができる。
【0103】
なお、X方向可動部57、X方向調整用ネジ59等によるX方向調整機構は、パンタグラフ構造26a及び26bにそれぞれ設けられる2つの上部取付部材55に関し1箇所設ければ十分である。1箇所でX方向の位置調整が可能であるからである。
【0104】
(Y方向調整)
図24は下部配置部46及び下部配置台56の詳細を示す説明図である。同図(a) は下部配置部46の詳細を示しており、同図(b) は下部配置台56の詳細を示している。
【0105】
同図(a) に示すように、下部配置部46は可動部46a、固定部46b及びY方向調整用ネジ46tを有している。
【0106】
可動部46aはY方向調整用ネジ46tのY方向の動きに連動してY方向に移動可能である。すなわち、可動部46aは、2箇所の移動領域46r内をY方向に移動可能にネジ止めされ、かつY方向調整用ネジ46tの固定部46bへの締め具合に応じてY方向の位置調整が可能である。
【0107】
一方、同図(b) に示すように、下部配置台56は上部に平坦面56fを有しており、この平坦面56f上にY方向調整用ネジ46tの先端が配置されることにより、下部配置部46,下部配置台56間の取り付けが行われる。
【0108】
したがって、Y方向調整用ネジ46tのY方向の位置調整により、壁掛取付装置8に対する薄型ディプレイ装置40のY方向の位置調整が可能となる。なお、Y方向調整用ネジ46tの先端はボールペンの先端同様の丸め構造にすることにより、平坦面56fに加わる摩擦力の軽減を図ることができる。
【0109】
上記Y方向の位置決めはパンタグラフ構造26a及び26bに対応して設けられる2組の下部配置部46及び下部配置台56に対して共通に行う。
【0110】
このように、本実施の形態の壁掛取付装置8は、Y方向調整用ネジ46t及び可動部46a等よりなり、上記装着部に装着された薄型ディプレイ装置40に対しY方向に可変設定するY方向調節機構を含む下部配置部46及び当該下部配置部46を配置可能な下部配置台56を設けることにより、壁掛取付装置8に対する薄型ディプレイ装置40のY方向の位置決めを精度良く行うことができる。
【0111】
なお、Y方向の調整は2箇所の下部配置台56において2点で行うことにより、薄型ディプレイ装置40に対する精度の良いY方向の位置調整が可能である。加えて、2点をそれぞれ独立して調整できるため、Z軸を中心に回転方向の調整も可能である。
【0112】
(Z方向調整)
図25は上部取付部材45が上部取付部材55に取り付けられる状況を示す説明図である。同図(a) で示すように、スプリングプレート45s及びZ方向調整用ネジ45tを有する上部取付部材45が、同図(b) に示すように、上部取付部材55の右側面に上部取付部材45の左側面のスプリングプレート45sが当接するように、上部取付部材45を上部取付部材55に引っ掛けることにより、上部取付部材45と上部取付部材55との第1結合状態J1を実現している。
【0113】
同図(b) で示す第1結合状態J1において、Z方向調整用ネジ45tによるねじ締め具体によってZ方向の位置調整を可能にしている。
【0114】
Z方向調整用ネジ45tを締める方向に回転させると、上部取付部材55は固定されているため、Z方向調整用ネジ45tは図中左方向に進行不能である。このため、必然的に、上部取付部材45がパンタグラフ後退方向D26Rに移動する。一方、Z方向調整用ネジ45tを緩める方向に回転させると、逆に上部取付部材45がパンタグラフ前進方向D26Fに移動する。
【0115】
その結果、Z方向調整用ネジ45tによって薄型ディプレイ装置40のZ方向の調整をすることができる。
【0116】
図26は下部配置部46が下部配置台56上に支持される状態等を示す説明図である。同図(a) は下部配置台56の平坦面56f上に下部配置部46(Y方向調整用ネジ46t、可動部46a,固定部46b)のY方向調整用ネジ46tの先端部を支持することにより、第2結合状態J2を実現している。また、同図(b) は下部配置台56の詳細を拡大して示している。
【0117】
図26に示すように、下部配置台56は下部配置部46との第2結合状態J2時において平坦面56fでネジ止めされているスプリングプレート56sが裏面突出部40Tの表面に当接する。このスプリングプレート56sの当接度合をZ方向調整用ネジ56tのねじ締め具合によって調整することができる。
【0118】
すなわち、同図(b) に示すように、この第2結合状態J2に、Z方向調整用ネジ56tを締める方向に回転させると、Z方向調整用ネジ56tによるスプリングプレート56sを介した裏面突出部40Tへの押圧力は高まり、薄型ディプレイ装置40をパンタグラフ前進方向D26Fに移動させる。一方、Z方向調整用ネジ56tを緩める方向に回転させると、Z方向調整用ネジ56tによるスプリングプレート56sを介した裏面突出部40Tへの押圧力は弱まり薄型ディプレイ装置40をパンタグラフ後退方向D26Rに移動させる。その結果、Z方向調整用ネジ56tによってZ方向の調整をすることができる。
【0119】
上記Z方向の位置決めは、パンタグラフ構造26a及び26bに対応して設けられる2組の上部取付部材45及び上部取付部材55並びに2組の下部配置部46及び下部配置台56に対して行う。
【0120】
このように、本実施の形態において、Z方向調整用ネジ45t及びスプリングプレート45sを有する上部取付部材45、及びスプリングプレート56s及びZ方向調整用ネジ56tを有する下部配置台56は、それぞれ上記装着部に装着された薄型ディプレイ装置40に対し、Z方向に可変設定するZ方向調整機構を含んでいるため、壁掛取付装置8に対する薄型ディプレイ装置40のZ方向の位置決めを精度良く行うことができる。
【0121】
なお、Z方向の調整は2箇所の下部配置台56及び2箇所の上部取付部材45において4点の中の任意の3点で行うことにより薄型ディプレイ装置40に対する精度の良いZ方向の位置調整が可能である。
【0122】
(電動機構)
なお、X方向、Y方向、Z方向調整用のX方向調整用ネジ59、Y方向調整用ネジ46t、Z方向調整用ネジ45t及びZ方向調整用ネジ56tのねじ締め度合の調整は通常は手動でネジを締めたり緩めたりして行う。この際、各調整用ネジのねじ締め調整をモーター付き治具等の電動駆動部を用いた電動駆動によって行うようにしても良い。
【0123】
この場合、電動駆動部により、X方向、Y方向及びZ方向の調整動作を迅速に外部から行うことができる効果を奏する。なお、上述した電動駆動部はX方向調整用ネジ59、Y方向調整用ネジ46t、Z方向調整用ネジ45t及びZ方向調整用ネジ56tの少なくとも一つのネジに対し設けることにより、当該ネジについて迅速に外部から行うことができる効果を奏する。
【符号の説明】
【0124】
2 取付用金具、8,8a〜8i 壁掛取付装置、10 マウント部、11a〜11d マウント固定用穴、12a,12b デフォルト位置決め用穴、14a〜14f 吸気口、15 ディプレイ近接排気口、16 排気口枠体、17 外部排気口、21,22 水平フロントバー、23a,23b 垂直フロントバー、23r 昇降領域、24(24a,24b),25(25a,25b) クロスバー、25p 昇降ピン、26(26a,26b) パンタグラフ構造、31 ロック部材、32 シャフト、33 ロック解除用治具、33a プッシュプレート、33b ストッパプレート、34 スプリング部、35 ストッパSW、38 リンクシャフト、39 ガイド部、40,40a〜40i 薄型ディプレイ装置、41 ハンドルユニット、41a ハンドル、41b ピン、41c プレート、42 ホルダーユニット、43 シャフト、44 ノブ、45,55 上部取付部材、45s,56s スプリングプレート、45t,56t Z方向調整用ネジ、46 下部配置部、46a 可動部、46b,58 固定部、46t Y方向調整用ネジ、47 上部開口領域、49 スプリング部、50 ロックプレート、56 下部配置台、57 X方向可動部、59 X方向調整用ネジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示装置を壁面に取り付ける壁掛取付装置であって、
固定対象となる壁面に対向する設置面を有する枠体を備え、
前記枠体の設置面は、
壁面に設けられる所定の金具により掛止可能な掛止用開口部と、
壁面に前記枠体をネジ止め固定するために設けられ、所定のネジ止め位置自由度を有する複数の固定用ネジ穴と、
複数の位置決め用穴とを有する、
壁掛取付装置。
【請求項2】
請求項1記載の壁掛取付装置であって、
前記枠体内に設けられ、前記所定の表示装置を取り付ける表示装置取付部と、
前記表示装置取付部に取り付けられた前記所定の表示装置を冷却した空気を排気する排気部とをさらに備える、
壁掛取付装置。
【請求項3】
請求項2記載の壁掛取付装置であって、
前記枠体の外形は第1の方向及び第2の方向で規定される矩形状を呈し、
前記排気部は前記第2の方向へ延びる排気用通路を有し、
前記排気用通路は、前記壁掛取付装置を前記第2の方向に沿って複数個配設した際、配設された複数の壁掛取付装置間で連続的に繋がるように設けられる、
壁掛取付装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載の壁掛取付装置であって、
前記枠体は外部からの吸気用の複数の吸気口を有し、
前記複数の吸気口は、前記壁掛取付装置を前記第1の方向及び第2の方向に沿って複数個配設した際、前記第1及び第2の方向において前記複数の吸気口のうち少なくとも一つが、配設された複数の前記壁掛取付装置間で互いに対向する位置関係となるように設けられる、
壁掛取付装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載の壁掛取付装置であって、
前記表示装置取付部は、
前記所定の表示装置を装着する装着部と、
前記装着部にて前記所定の表示装置を装着しつつ、前記装着部を前記枠体の設置面に対し垂直な第3の方向に移動させる可動部とを備える、
壁掛取付装置。
【請求項6】
請求項5記載の壁掛取付装置であって、
前記可動部は、前記装着部が前記枠体に近い収納状態で、前記可動部の前記第3の方向の動きをロックする第1のロック機構を含む、
壁掛取付装置。
【請求項7】
請求項5あるいは請求項6記載の壁掛取付装置であって、
前記可動部は、前記装着部が前記枠体から遠い解放状態で、前記可動部の前記第3の方向の動きをロックする第2のロック機構をさらに含む、
壁掛取付装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のうち、いずれか1項に記載の壁掛取付装置であって、
前記可動部は、
前記装着部を前記第3の方向に移動させる複数のパンタグラフ機構と、
前記複数のパンタグラフ機構間における前記第3の方向の動作が連動するように、前記複数のパンタグラフ機構間を連結するリンク機構とを含む、
壁掛取付装置。
【請求項9】
請求項8記載の壁掛取付装置であって、
前記可動部は、
前記複数のパンタグラフ機構のうち少なくとも一つに対し、前記第1あるいは第2の方向のズレを規制するガイド機構をさらに含む、
壁掛取付装置。
【請求項10】
請求項5ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の壁掛取付装置であって、
前記装着部は、前記装着部内の所定位置に装着され、前記所定の表示装置の背面に設けられた所定の取付用部材が引っ掛けられる取付部材を有する、
壁掛取付装置。
【請求項11】
請求項10記載の壁掛取付装置であって、
前記取付部材は、前記所定位置を前記第1の方向に可変設定する第1の調節機構を含む、
壁掛取付装置。
【請求項12】
請求項10あるいは請求項11に記載の壁掛取付装置であって、
前記取付部材は前記装着部に装着された前記所定の表示装置に対し、前記第2の方向に可変設定する第2の調整機構を含む、
壁掛取付装置。
【請求項13】
請求項10ないし請求項12のうち、いずれか1項に記載の壁掛取付装置であって、
前記取付部材は前記装着部に装着された前記所定の表示装置に対し、前記第3の方向に可変設定する第3の調整機構を含む、
壁掛取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−75757(P2011−75757A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226161(P2009−226161)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】