説明

壁板の固着装置

【課題】 左右の両側壁板間に天板、棚板、底壁板を水平状に架け渡して使用する棚において、固着位置における揺れを防ぐ壁板の固着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 壁板の凹溝に長尺の縦接合金具と横接合金具を着脱可能に嵌入して形成したL型の固着具により、壁板と壁板を鉛直状に固着した揺れ止め防止手段を構成する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は壁板と壁板を鉛直状に固着して組立てる揺れ防止手段を用いた棚板の固着装置に関するものであり、特にスチール製の組立式整理棚に用いるのに適したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から各部材に分解され、ボルト等の部品を使用して組立てる整理棚等の家具は多く考案されており、従来例として図8に示すように左右の両側に逆さU状型のパイプフレーム12aを配設して、底壁板、棚板等の横架材12bを架け渡してボルト12c等の螺具で固着する。固着手段としてパイプフレーム12aに貫通孔を設け貫通孔よりボルト12cを挿入して横架材12bの端部に設けたネジ孔に向けて螺入して、家具12を組立てるよう構成していた。
しかし、貫通孔にボルトをゆとりをもたせて挿入できるようになっているのと、パイプフレーム12aと横架材12bは突き当て接合になっているので、揺動させることにより部材とボルトの点接合になり、長年使用していると家具にガタが生じていた。また意匠面を考えるとボルトの頭が露出するので美感を損なうという問題点もあり、製作面を考えると横架材12bに固着具をスポット溶着して堅固に組立てる手段も考えられるが、カラー鋼板等の材料で製作する場合、部材にスポット溶着ができないという問題点も発生する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案においては、部材に組立てるための固着具をスポット溶着することなく構成し、固着具は部材の凹溝に着脱可能に嵌入して固着し、部材と部材は堅固に組立てられ、部材にスポット溶着をなくし、また組立ビス類が露出しない意匠的効果を奏するようにしたことを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本考案のうち請求項1及び2に記載の考案は、壁板の左右両側に凹溝を延設し、縦接合金具と横接合金具からなるL型の固着具を凹溝に着脱可能に嵌入した壁板の固着装置であって、このように設定すれば部材にスポット溶着を行わないのでカラー鋼板での製作が可能となる。また長尺の固着具を凹溝に嵌入するので揺れを防ぐ固着ができる。
請求項3記載の考案は長尺の縦接合金具の一方の耳片を凹溝の掛合孔に掛合して嵌入し、凹溝の基面を介在して横接合金具を鉛直状に固着して固着具をL型とするので、壁板と壁板を堅固に固着できる。
請求項4記載の考案は固着爪による壁板と壁板の固着であって、固着爪は基面の両端から相反する方向に耳片を突設して掛止孔にくさび状に掛合して固着するものであり、壁面と壁面を鉛直状に固着することができる。
請求項5記載の考案は、棚受に棚板を載置固着するものであって、棚受の当接片と掛止爪が凹溝の基面表裏に当接するので物品を載置した棚板を支持できる。
【0005】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
添付図面において、図1は本考案における整理棚Aの全体斜視図であり、図2は整理棚Aの要部分解斜視図、図3は整理棚Aを固着具での組立を示す要部斜視図、図4は固着爪の斜視図、図5は棚受の斜視図、図6は図3の分解図、図7は整理棚Aの要部縦断面図、図8は従来例の一例を示す整理棚の斜視図である。
まず図1において整理棚Aの全体を説明する。整理棚Aは左右の両側壁板1、1間に底壁板2、天板6、棚板9を順次水平状に架け渡し、固着具3等を介して組立てる箱型を形成したものであって、底壁板2の四隅には固定車輪2fを自在車輪2gを固着して整理棚Aを移動自在にさせて使用するものである。左右の側壁板1、1の上端には飾り縁1gを設けて整理棚Aを移動させるとき把手の役目をすることができる。また整理棚Aは組立ネジ等が露出しないよう考慮されており、部材に固着具3等の部品をスポット溶着ないし構造となっている。従って部材にスポット溶着の跡を残さないという意匠効果をもたせると共に製作面において各部材をカラー鋼板等の材料で製作が可能となる。
【0006】
図2を参照して左右の側壁板1、1を説明する。整理棚Aの左右に配設する側壁板1、1は同一部材であって、壁面1aの左右両側を隅部に孤面をもたせて、相対向して内方に曲折して断面鉤状の凹溝1bを左右に延設している。凹溝1bを設けることにより壁面1aの強度を増し固着具3を嵌入することができる。また凹溝1bの基面1cには固着具3の爪片4d、棚受8、固着爪7をそれぞれ掛合するための切欠ぎ孔1d、上下掛止孔1e、1h、棚受孔1fを直列に穿設している。
【0007】
図3、図6を参照して、左右の両側壁板1、1を底壁板2の四隅に固着具3を介しての組立を説明する。
底壁板2は側壁板1とほぼ同じような曲げ形状をなしており、壁面2aの前後方向を相対向して曲折し、断面鉤状の凹溝2bを延設している。また、底面2cの四隅には、固着具3を、固定車輪2f、自在車輪2gと共に固着する貫通孔2dを設けている。壁面2aの左右端は側壁板1の基面1cと壁面1aとに端面が鉛直状に当接するよう切欠ぎ部2eを設けて底壁板2の揺れを防ぐよう形成している。
【0008】
固着具3は、縦接合金具4と横接合金具5をL型3aに形成したものであって縦接合金具4は、基面4aの両端に左右片4bを形成した断面コ状をなした長尺の金具であり、基面4aの下方にネジ孔4cを設け上端には爪片4dを基面4aと平行に突出している。横接合金具5は垂面5aの両端を平行に折曲して上面5b、下面5cを形成し、下面5cにはネジ孔5dを設けた断面コ状をなした長尺の金具であり、垂面5aの一端には取付面5eと耳片5fを折曲して設け、取付面5eには貫通孔5gを設けている。
【0009】
前記縦接合金具4は側壁板1の下端から凹溝1bに嵌入し、爪片4dを掛止孔1eに掛止する。そして横接合金具5を側壁板1の基面1cを重合状態で上面5b、下面5cの端面と耳片5fを当接させ止めネジ11で切欠き孔1dを介して縦接合金具4の基面4aのネジ孔4cに螺着する。
従って固着具3は縦接合金具4と横接合金具5で基面1cを挟み込むようにしてL型3aに形成して固着される。
そして接合金具5を底壁板2の凹溝2bに嵌入して固定車輪2f、自在車輪2gを底面2cの貫通孔2dを介して下面5cのネジ孔5dに止めネジ11で螺着して、左右の両側壁板1、1間に底壁板2を架け渡して固着する。
【0010】
図4、図7を参照して左右の側壁板1、1に天板6の架け渡しを説明する。
天板6は、壁面6a前後方向を相対向してL状部6bに曲折して強度をもたせ、壁面6aと平行する裏面6cに掛止孔6dとネジ孔6eを設けている。
固着爪7は基面7aの中央に貫通孔7bを設け基面の両端から相対する方向に耳片7cを突設したものである。
前記固着爪7は側壁板1、1の凹溝1bの上方に設けた上掛止孔1hに一方の耳片7cを掛止し、他方の耳片7cを天板6の裏面6cに設けた掛止孔6dに掛止し、止めネジ11を貫通孔7bから天板6のネジ孔6eに螺着して固定する。
【0011】
次に図5、図7を参照して棚受8に棚板9の架け渡しを説明する。
棚板9は天板6と同じような曲げ形状をなしており、壁面9aの前後方向を相対向してL状部9bに曲折して強度を持たせ、壁面9aと平行する裏面9cを形成している。また、左右端は側壁板1の基面1cと壁面1aとに端面が鉛直状に当接するよう切欠ぎ部9dを設けて棚板9の揺れを防ぐよう形成している。
棚受8は、当接片8aを水平に折曲げて棚板9を受ける載置片8bを形成し、当接片8aの両端を後方に折曲げて掛止爪8cを設けている。掛止爪8cの先端は載置片8bより突設し、当接片8aに向けて孤状を形成している。
前記棚受8は側壁板1の棚受孔1fに掛止爪8cの先端を掛入し、載置片8bが水平位になるよう回動させることにより、掛止爪8cは棚受孔1fの裏面に当接し、棚板9を載置片8bにのせることにより当接片8aと掛止爪8cが基面1cの表裏に当接して棚板9の載置を可能とする。
棚受孔1fを鍵孔状とすることで板状の掛止爪8cも丸状のガイド棒10も兼用して挿入することができる。ガイド棒10は弓状に反らして両側壁板1、1の棚受孔1fに挿入して使用するものである。
【0012】
【考案の効果】
■壁板の左右両側に凹溝を延設して長尺の縦接合金具と長尺の横接合金具を凹溝に着脱可能に嵌入したL型の固着具であるので、壁板と壁板を鉛直状に堅固に固着できる。また、壁板に固着具をスポット溶着することなく固着でき、カラー鋼板で製作することも可能である。
■凹溝に長く嵌入したL型の固着具は、組立てた整理棚に揺れを生じさせない。
■固着爪は基面の両端から相反する方向に耳片を突設して、壁板と壁板の両掛止孔にかすがい状に掛合して壁板と壁板を鉛直状に固着することができる。
■棚板を載置した棚受は、当接片と掛止爪が凹溝の基面表裏に当接するのではずれることなく確実に掛止できる。
【提出日】平成8年11月21日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 相対向して立設した左右両側壁板間に底壁板、天板、棚板を水平状に架設して方形に組立てる整理棚において、側壁板と底壁板の固着部に揺れ防止手段を備えたことを特徴とする壁板の固着装置。
【請求項2】 壁板の左右両側に凹溝を延設し縦接合金具と横接合金具とからなる固着具を着脱可能に嵌入して、側壁板と底壁板を鉛直状に固着した請求項1記載の壁板の固着装置。
【請求項3】 長尺の縦接合金具と長尺の横接合金具の間に凹溝の基面を介在させて固着し、固着具をL型とした請求項1または2記載の壁板の固着装置。
【請求項4】 基面の両端から相反する方向に耳片を突設した固着爪を側壁板と天板の掛止孔にかすがい状に掛止して、両壁板を鉛直状に固着した壁板の固着装置。
【請求項5】 棚受を側壁板の棚受け孔に掛止し当接片と掛止爪をそれぞれ凹溝の基面表裏に当接して、該棚受上に棚板を載置固着する棚板の固着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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