説明

壁紙施工用工具

【課題】 樹脂製のヘラでは、当て切りや空気抜きの2つの機能ができる工具として知られたものがあるが、空気抜きを効率的に行うには幅が短く、撫でブラシと同等に空気抜きができるというものではなかった。地ベラなどを誤って腰袋から落下させてしまうということが起きており、ヘラの一部が損傷したり、曲がってしまったりするという問題も発生したりしていた。
【解決手段】断面略コの字型をした芯材2と壁紙へ接触する表面部材3とで構成される、ヘラの先端部に取り付ける着脱用空気抜き部材1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装施工の工具に関するものである。さらに詳しくは、内装施工の際に使用するヘラの先端部に取り付けることにより、撫でブラシの機能とヘラ先端部の保護機能を備える工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内装施工の際に使用するヘラや撫でブラシはそれぞれ単独の工具としてよく知られ種々の形状が製造販売されている。ヘラについては金属製のものや、グラスファイバー製、ポリスチレン合成樹脂やポリウレタン製のものが知られている。そして樹脂製のものは、撫でブラシのように空気抜きの作業もできるという構成とされて内装施工に使用されている。(特許文献1)
【0003】
入隅やドアの回り等の当て切りに使用する地ベラは、金属製でヘラの先端幅が30〜200mmと幅が狭く設定されているものが多い。そして、通常の地ベラとしてはヘラ先端幅が180〜310mmに設定されているものが多く、サイズとして6寸、8寸、9寸、10寸というサイズにて販売がされている。内装施工業者は、自分の好みのサイズのヘラを購入して施工に使用しているのである。樹脂製のヘラは、ヘラのいくつかの片がそれぞれ当て切りなどに使用できるように構成され、100mm程度と200mm程度の幅が設定されているものが一般的に知られており、空気抜きもその1辺を使用して行うのである。
【0004】
撫でブラシは、ブラシ部(ハケ部)に馬や豚の毛が使用されており、ブラシ部の幅が210mm、240mm、270mm、330mm、450mm、600mmなどの種々の幅のサイズが販売されている。そしてまた、ブラシに関する提案なども知られている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−230991号公報
【特許文献2】実用新案登録第3151826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内装施工の際には、施工に使用する工具を腰袋に入れて作業することが通常の施工スタイルとなっている。そのため、腰袋に入れる工具を少なくし、かつ軽量にしたいという要望が従来からあった。樹脂製のヘラでは、当て切りや空気抜きの2つの機能ができる工具として知られたものがあるが、上述したように樹脂製のヘラは通常長くとも200mm程度の幅が一番長い辺となっているため、空気抜きを効率的に行うには幅が短く、撫でブラシと同等に空気抜きができるというものではなかった。また、樹脂製のヘラは空気を抜くために壁紙の表面に樹脂部を直接に接触させてこすりつけるために耳障りな音がしてしまっていた。そしてまた、壁紙表面の凹凸がある場合には、樹脂を直接に接触させた状態での空気抜き作業で壁紙表面を傷めてしまうということも発生していた。
【0007】
また、使用する工具の中でも、地ベラや撫でブラシは幅が大きなものであり、壁紙の端部を押さえるローラーを使用しようと腰袋から取りだそうとした際に、地ベラなどを誤って腰袋から落下させてしまうということが起きていた。また、壁紙を貼り付ける際に、脚立にあがり、天井付近から作業して腰をかがめた際に、腰に取り付けた工具袋から地ベラを落下させてしまうというようなケースも発生していた。そして、脚立等に上がった状態で地ベラを床に落下させてしまったりすると、ヘラの一部が損傷したり、曲がってしまったりすると、当て切り作業に使用することはできず、新しい地ベラに交換しなければならないという問題も発生したりしていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明は、断面が略コの字型状の芯材と芯材を覆う表面材から構成され、上記表面材は裏面側が接触して芯材を覆うように巻き付けられて、芯材のコの字のそれぞれの先端部で表面材は折り返された状態となり、折り返された表面材は表面同士で接触した状態で、芯材のコの字状の凹部内に嵌装され、地ベラのヘラ先端部を表面同士が接触した表面材間に嵌装することによりヘラ先端部に取り付けされ、ヘラ先端部の保護及び空気抜き用作業工具として使用できることを特徴とする。

【発明の効果】
【0009】
本発明により、地ベラをベースに空気抜き作業を行う工具と当て切り作業の工具を兼用することができるため、空気抜き用の撫でブラシを減らすことができ腰袋を軽量化できる。また、着脱用空気抜き部材を地ベラに取り付けてカバーすることで、腰袋の底部の破れを防止し、また地ベラの落下によるヘラの損傷も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の着脱用空気抜き部材の構成を説明する側面図である。
【図2】本発明の着脱用空気抜き部材の構成を説明する正面図である。
【図3】着脱用空気抜き部材を地ベラに取り付けた状態を説明する正面図である。
【図4】着脱用空気抜き部材を地ベラに取り付けた状態を説明する側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を図示して詳細を説明する。図1の側面図と図2の正面図に示すように、ヘラの先端部に取り付ける着脱用空気抜き部材1は、断面略コの字型をした芯材2と壁紙へ接触する表面部材3とで構成される。図1は図2と縮尺を変えて図示している。
【0012】
芯材2は、樹脂または金属で構成し、金属であれば、アルミなどの軽量な素材を選定すると良い。もちろん耐食性の高いステンレスを採用しても良く、ステンレスを採用する場合には、軽量にするためにアルミに比べ芯材2の厚みを薄くしておくと良い。
【0013】
芯材2の幅寸法は、取り付けるヘラの先端の幅寸法に対して0〜20mm程度長いくらいがちょうど使い安い。金属製の芯材2とした場合には、芯材2の強度があり空気抜き作業でたわんだりすることもほぼないため、ヘラの先端の幅寸法よりも50〜100mm長くても良い。もちろんヘラの先端の幅寸法とほぼ同寸法でもよい。
【0014】
表面部材3は、壁紙に対して滑りが良く、壁紙の表面が凹凸していてもひっかかりなく空気抜きができ、耐久性の高い素材が好ましい。特に不織布などは価格も安価で好適である。ニードルパンチカーペットは不織布の1つであるが、ポリプロピレンなどの繊維を針で刺し固めてフェルト状にしたもので、裏面は合成ゴムなどで補強されており、裁断した際にもほつれが発生することが無く、厚みや適度なクッション性があり、さらに壁紙に対して接触させた状態で空気抜きを行った場合の表面の耐久性もあるので表面材3に適した素材である。
【0015】
空気抜きの際に表面が削れて欠けたりしてしまうような耐久性に課題があったり、また、壁紙の空気抜き作業の際に壁紙の表面に素材の色が付着したり、壁紙の表面と摩擦が大きい素材は採用しない方が良い。
【0016】
表面材3は裏面側が接触して芯材2を覆うように巻き付けられ、芯材2のコの字のそれぞれの先端部で表面材3は折り返された状態となり、折り返された表面材3は表面同士で接触した状態で、芯材2のコの字状の凹部内に嵌装されている。
【0017】
芯材2のコの字の凹部には、上記のように表面材3の端部がそれぞれ嵌装された状態となるため、凹部の寸法は表面材3の2枚分の厚み寸法と同じ寸法に設定すると良い。
【0018】
着脱用空気抜き部材1を、地ベラ4のヘラ先端部5に取り付けた状態を図3及び図4に示す。図3は正面図であり、図4は図3を側方から見た状態の側面図である。
【0019】
地ベラ4のヘラ先端部5の厚みは、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.5mmや2.0mmなどのヘラの厚みが採用されており、心材2の凹部に嵌装された表面材3の間にヘラ先端部5を嵌装すると、芯材2がヘラ先端部5の寸法だけ拡げる時に作用する力の反作用により、ヘラ先端部5を表面材3を介して芯材2のコの字の部分で挟み込むので、特に係止手段を使用することなく、地ベラ4に着脱用空気抜き部材1を取り付けすることができる。
【0020】
着脱用空気抜き部材1を取り外す場合には、着脱用空気抜き部材1のいずれか一方の片側の端部付近を持って、片方の端部を地ベラ4のヘラ先端部5から外すようにすれば容易に取り外すことができる。
【0021】
図3及び図4のように着脱用空気抜き部材1を地ベラ4に取り付けた状態で腰袋に収納しておくと、ヘラ先端部5が直接に腰袋の底に接触しないので腰袋を破くことも防ぐことができ、地ベラ4を万一落下させてしまった場合でもヘラ先端部5を傷めることも防ぐことができる。そしてなによりも、当て切り用の工具と空気抜き用の工具のベースとなる工具を兼用できるために腰袋に入れる工具を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 着脱用空気抜き部材
2 芯材
3 表面部材
4 地ベラ
5 ヘラ先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略コの字型状の芯材と芯材を覆う表面材から構成され、
上記表面材は裏面側が接触して芯材を覆うように巻き付けられて、芯材のコの字のそれぞれの先端部で表面材は折り返された状態となり、折り返された表面材は表面同士で接触した状態で、芯材のコの字状の凹部内に嵌装され、
地ベラのヘラ先端部を表面同士が接触した表面材間に嵌装することによりヘラ先端部に取り付けされ、ヘラ先端部の保護及び空気抜き用作業工具として使用できることを特徴とする壁紙施工用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−251300(P2012−251300A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122487(P2011−122487)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000163121)極東産機株式会社 (68)