説明

壁面固定構造

【課題】壁面に被固定部材として曲げが容易な棒材を用いて、壁面を装飾しつつ、対象物を保持できるようにすることを課題とする。
【解決手段】壁面固定構造Xとして、壁面を装飾する棒材により形成される壁面装飾体10と、前記棒材の一部を引っ掛ける爪21aが先端に設けられた、前記棒材を狭持する2つの狭持片21を有する係合体20と、前記棒材を前記各狭持片21が前記爪21aにより引っ掛けて狭持した状態で前記係合体20に係合固定され、当該係合状態において、前記各狭持片21が開かないように拘束する係合体固定部材30と、前記係合体20又は係合体固定部材30に固定される、所定の対象物を保持する対象物保持手段40とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面に額、装飾物、棚、衣服等の対象物を保持する部材を固定する構造に関し、特に、壁面を装飾する棒材を用いた構造に関する。
【背景技術】
【0002】
壁面に傷などをつけないようにし、かつ、ある程度の自由度をもって、額、装飾物、棚などを固定する構造として、下記特許文献に示すように壁面にレールなどの長尺な被固定部材を埋め込んだり、後から、取り付けたりしておき、この被固定部材を用いて、対象物を保持するものがある。これらは、被固定部材を構成するレール内の溝に係合する対象物を保持する部材を、溝の任意の位置に固定することができるので、長尺の被固定部材の存する位置では自由に対象物を固定することができる。
【特許文献1】特開2004−250896号公報
【特許文献2】特開2006−183449号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のような被固定部材は壁面に設けられるものであり、非常に目につくものであるので、これを積極的に装飾に用いることが考えられる。
しかし、従来の溝を用いたレール等の被固定部材で壁面を装飾する場合、直線的な形状の組み合わせで装飾を形成することが考えられるが、直線により形成する場合、デザインも限られ単調なものとなる懸念がある。また、レール等を曲線に形成する場合にも、溝部分を含んた長尺の部材を曲げ加工をするのは困難であるので、金型から製作する必要があり、コストが嵩むとともに、一度できたものを容易に変更することができない。
本発明は、このような問題に鑑み、壁面に被固定部材として曲げが容易な棒材を用いて、壁面を装飾しつつ、対象物を保持できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、壁面を装飾する棒材により形成される壁面装飾体と、前記棒材の一部を引っ掛ける爪が先端に設けられた、前記棒材を狭持する2つの狭持片を有する係合体と、前記棒材を前記各狭持片が前記爪により引っ掛けて狭持した状態で前記係合体に係合固定され、当該係合状態において、前記各狭持片が開かないように拘束する係合体固定部材と、前記係合体又は係合体固定部材に固定される、所定の対象物を保持する対象物保持手段とを有する壁面固定構造である。対象物保持手段は、対象物として棚、衣類、額、花瓶、装飾物などが例示される。
請求項2に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記係合体固定部材は、前記各狭持片が閉じる方向に押圧することで拘束するものである。
請求項3に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記棒材は丸棒により形成されるものである。
【0005】
請求項4に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記狭持片は弾性素材により形成されるとともに、各狭持片同士は基端側で一体に連結しているものである。
請求項5に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記係合体固定部材は、前記係合状態において、前記棒材に係合する切り欠きを先端側に有するものである。
請求項6に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記対象物固定手段は、前記狭持片の先端から基端方向に平行な線分に平行な回転軸に対して回動可能に固定されるものである。
請求項7に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記係合状態において前記狭持片を基端側に引っ張る力を付与する構造を有するものである。
請求項8に記載の発明は、前記壁面固定構造において、前記係合体、係合体固定部材、対象物固定手段のうちの少なくとも一つは、前記係合状態において、前記対象物固定手段が、前記棒材の前記狭持位置における接線に平行な回転軸に回転することを壁面に当接することで規制する回転規制部を有するものである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成により本発明は、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、壁面を装飾する棒材に対して、狭持片が爪で引っ掛けて狭持し、この状態で拘束することで、対象物保持手段を壁面装飾体に固定する。このように、棒材の外周を狭持固定する構造を採ることから、壁面を装飾する棒材の断面形状を複雑にする必要がないので、曲げ加工しやすい断面形状を採用でき、対象物固定手段を固定する
棒材により比較的容易にバリエーションに飛んだ装飾を壁面に施すことができる。
請求項2に記載の発明は、前記狭持片を閉じる方向に押圧して拘束するので、より強固に対象物固定部を棒材に固定することができる。
請求項3に記載の発明は、棒材を丸棒とすることで曲げ加工が比較的容易となり、壁面の装飾を行いやすくすることができる。
請求項4に記載の発明は、前記狭持片を弾性素材により形成し基端側で連結することで、狭持片が分離している場合に比較して係合体を取り扱いやすくすることができる。
【0007】
請求項5に記載の発明は、係合体固定部が前記棒材に係合する切り欠きを有することで、係合体固定部も棒材に係合するので、さらに、対象物固定手段を安定して棒材に固定することができる。
請求項6に記載の発明は、前記対象物保持手段が、前記狭持片の先端から基端方向に平行な線分に平行な回転軸に対して回動可能に固定されることで、対象物保持手段が固定されている係合体もしくは係合体固定部材の固定される角度に関わらず、対象物保持部を所望の角度にすることができる。
請求項7に記載の発明は、前記狭持片を基端側に引っ張ることで、先端側に設けられている爪が前記棒材に押し付けられることで、さらに、棒材に強固に対象物保持手段を固定することができる。
請求項8に記載の発明は、棒材の接線方向に平行な回転軸回りの回転を回転規制部が規制するので、対象物保持手段が当該回転軸に対して回りにくくなるので、より安定して対象物を固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1(a)に実施形態1に係る壁面固定構造X1の構成を示す分解斜視図を示し、図1(b)に壁面固定構造X1を示す斜視図を示す。また、図2(a)に壁面固定構造X1の分解した状態を示す縦断面図を示し、図2(b)に壁面固定構造X1の側面図を示す。壁面固定構造Xは壁面Wに固定される棒材からなる壁面装飾体10、壁面装飾体10を爪21aで引っ掛けで挟持する係合体20、係合体20に係合固定され、挟持状態を保持する係合体固定部材30と、壁面Wに固定する対象物を保持する対象物保持部40とから構成される。
【0009】
壁面装飾体10は、金属製の丸棒からなる棒材により構成され、図3に示すように、曲げたり、組み合わせたりすることで壁面Wに模様を描き、壁面Wを装飾する。
係合体20は、壁面装飾体10を構成する棒材に引っかかる爪21aを先端に有し、当該棒材を挟持する2つの挟持片21を有する。ここでは、係合体20は、弾性のある合成樹脂からなる円筒体の先端側に壁面装飾体10を構成する棒材が挟まる断面略円形の空間が設けられるとともに、当該空間の先端側が切り欠かれることで、先端側に爪21aを有する挟持片21が対向して2つ形成されている。また、各挟持片21の外面側には小突起21bが設けられている。
【0010】
係合体固定部材30は、係合体20の挟持片21が壁面装飾体10を爪21aを引っ掛け、挟持した状態で係合する。具体的には、係合固定部材30は、ここでは、円柱体の先端側に係合体20に外嵌する円柱状の空間が形成されている。この空間の内径は係合体20の小突起21bを含んだ外径よりもやや小さく形成されることで、この空間を係合体20に外嵌させると、空間の内壁31が挟持片21を閉じる方向に押圧し、挟持片21を動かないように拘束する。同時に、係合固定部材30は、この外嵌により係合体20に係合し固定される。
【0011】
対象物保持部40は、ここでは、対象物保持構造41として鉤状に屈曲するフックが採用され、これが係合体固定部材30の基端側に固定されている。即ち、係合体固定部材30が係合体30に係合した状態において、対象物保持部40は、前記挟持片21の爪の位置とほぼ反対側に存することとなる。
【0012】
次に、以上のような構成を有する壁面固定構造の利用の仕方について説明する。なお、壁面装飾体10は、図3に示すように予め壁面に装飾として固定されているものとする。利用者は、まず、対象物保持部40を固定したいと考える壁面装飾体10の任意の位置を選択し、係合体20の各狭持片21で選択した位置を爪21aが壁面装飾体10に引っかかるように挟む。次に、係合体固定部材30を係合体20の基端側から挿入し、嵌合固定する。これにより、係合体固定部材30の内壁31により狭持片21は閉じる方向に押圧されて、開かないように拘束され、この状態で爪21aが壁面装飾体10に引っ掛かっているので、係合体20は壁面装飾体10に固定される。係合体固定部材30には対象物保持部40が固定されているので、この状態で、使用者は壁面装飾体10の所望の位置に対象物保持部40を固定することができることとなる。なお、係合体固定部材30を係合体20に固定する際には、対象物保持部40を構成するフックの先端が上方を向くように調整しておく。
このように、壁面固定構造X1では、棒材からなる壁面装飾体10の外周面に対象物保持部40を係合固定させることができるので、壁面装飾体10を構成する棒材の断面形状を複雑にする必要がなく、棒材を曲げ加工が容易な断面形状とすることで、壁面装飾を容易かつ柔軟に形成することができる。
【0013】
なお、上記実施形態1では、係合体20の外周に係合体固定部材30が係合した際に、狭持片21を閉じる方向への押圧力を増すように小突起21bが設けられているが、これは、図4(a)のように、設けなくてもよい。この際、係合体固定部材30の内壁31もしくは係合体20の外壁が、係合体20と係合体固定部材30との係合が深くなるにつれて、上記押圧力を増すようにテーパーを設けることが望ましい。また、図4(b)に示すように、狭持片21の内面に突起21c、21dを設けることで、狭持力を増すようにしてもよい。
【0014】
さらに、係合体20の形状は円柱状である必要はなく、図5(a)に表した内壁固定構造X2の分解斜視図に示す係合体20のように、直方体状でも構わない。この場合、係合体固定部材30の形状は、係合体20の形状に合わせて、図5(a)に示すように、内壁が係合体20に係合するような形状を採ることととなる。なお、図5(a)に示す内壁固定構造X2は、対象物保持部40は当初係合体固定部材30とは分離しており、対象物固定部40に形成された貫通孔42から係合体固定部材30に形成された貫通孔34を介して、係合体20に形成された雌ねじ部22に、雄ねじ43を介して固定されるようになっている。これは、係合体20が直方体形状であるために、係合体固定部材30の固定方向が拘束されるので、対象物保持部40が、前記係合体20の先端から基端方向に平行な回転軸に対して回動できるようにするためである。また、図5(a)に示す内壁固定構造X2の係合体固定部材30は、上下に張り出したフランジ部からなる、回転規制部32が設けられている。回転規制部32は、係合体固定部材30を係合体10に係合させた際に、壁面に当接して、係合している棒材の位置における棒材の接線方向に平行な回転軸回りの回動を防止するものである。
さらに、係合体固定部材30は図5(b)に表した内壁固定構造X3の分解斜視図に示す係合体固定部材30のように、箱状にしてもよい。なお、この係合体固定部材30の両側面には、後述する実施形態2で説明する係合体固定部材30と同様に棒材に係合する切り欠き33が設けられている。
【0015】
また、係合体20は、上記実施形態1に示すように基端側で連結している必要はなく、図6(a)に示す係合体20のように、基端側で分離していてもよい。また、係合体20は、合成樹脂により形成するほか、図6(b)に示すようにコの字状に折り曲げた板バネにより形成することもできる。
さらに、上記実施形態では、壁面装飾体10を構成する棒材として、丸棒体を用いたが、断面形状は、種々の形状を採用することができ、例えば、図7に示すように断面長方形状の棒材を用いることもできる。この場合、壁面装飾体10の断面形状の壁面側が平らなので壁面に平らな面を接触させると係合体20の爪21aが引っ掛からなくなるので、図7に示すように、スペーサー12を介して壁面Wに壁面装飾体10を固定するようにする。なお、壁面装飾体10の断面形状が変れば、図7に示すように、係合体20の狭持片21の狭持部分の形状も変ることとなる。
【0016】
(実施形態2)
図8(a)に実施形態2に係る壁面固定構造X4の構成を示す分解斜視図を示し、図8(b)に壁面固定構造X4を示す斜視図を示す。また、図9(a)に壁面固定構造X4の分解した状態を示す側面図を示し、図9(b)に壁面固定構造X4の側面図を示す。壁面固定構造X4は、やはり、壁面Wに固定される棒材からなる壁面装飾体10、壁面装飾体10を爪21aで引っ掛けで挟持する係合体20、係合体20に係合固定され、挟持状態を保持する係合体固定部材30と、壁面に固定する対象物を保持する対象物保持部40とから構成される。
【0017】
実施形態2に係る壁面固定構造X4の係合体固定部材30は実施形態1に係る壁面固定構造X1の係合対固定部材30とは異なり、係合体固定部材30が壁面装飾体10の位置まで先端側が伸び、壁面装飾体10に重なる部分に切り欠き33が形成されている。これにより、係合体固定部材30はより安定するが、切り欠き33が壁面装飾体10に係合するので、係合体固定部材30は壁面装飾体10に対する固定位置が拘束されることとなり、実施形態1に係る壁面固定構造X1のように係合体固定部材30に対象物保持部40を完全に固定すると、対象物保持部40の向きが望ましくない方向に固定される場合が生じる。そこで、対象物保持部40は、係合体固定部材30に、係合体20の先端から基端に向う線分に平行な軸に回動可能に固定されている。
【0018】
即ち、対象物保持部40は対象物保持構造41であるフックが固定された円板体の底面に回転軸が設けられ、これが、係合体固定部材30の基端面に形成された貫通孔を通り、係合体固定部材30内部で抜け止めの円板44が回転軸の先端に固定されることで、係合体固定部材30に、回動自在に固定される。
また、係合体20の基端面には滑り止めとして溝が形成されたゴム板からなる回り止め23が貼られている。これによって、係合体20に係合体固定部材30が係合した状態において、回り止め23が、対象物保持部40の円板44を押圧して、対象物保持部40の回動を規制する。
以上のような構成を有する壁面固定構造X2の使用方法は、実施形態1に係る壁面固定構造X1とほぼ同様である。ただ、係合体固定部材30を係合体20に係合させる際に、対象物保持部40のフックが適切な方向を向くように調整してから係合させるようにすることが望ましい。
【0019】
なお、上記実施形態2では、係合体20と対象物保持部40とが押圧しあうことで、対象物保持部40の回動を固定するようにしているが、例えば、図10(a)に表される内壁固定構造X5の分解斜視図に示すように、係合体固定部材30の基端面に回転止め35を形成し、これと対象物保持部40とが押圧しあうようにすることで回動を固定するようにしてもよい。なお、図10(a)に示す内壁固定構造X5は、対象物保持部40は、対象物固定部40に形成された貫通孔42から係合体固定部材30に形成された雌ねじ部34aに、雄ねじ43を介して固定されるようになっている。
【0020】
また、対象物保持部40は摩擦により回動を規制されるのではなく、図10(b)に表される内壁固定構造X6の分解斜視図に示すように、例えば、係合体固定部材30の基端外周面に形成される複数の溝からなる係合外周面36を設け、対象物保持部40にこれに係合する凸部が配された係合内周面45を有する筒体を設けることで、係合外周面36と係合内周面45とが係合することで回転が規制されるようにしてもよい。なお、図10(b)に示す内壁固定構造X6のように係合体固定部材30に係合外周面36を設けることに代えて、図10(c)に表される内壁固定構造X7の分解斜視図に示すように、係合体20の基端外周面に係合外周面24を設け、これに、対象物保持部40の係合内周面45を係合させるようにしてもよい。この場合、係合体固定部材30の基端面は両者が係合できるように貫通孔34bが設けられる。
【0021】
(実施形態3)
図11(a)に実施形態3に係る壁面固定構造X8の分解側面図を示し、図11(b)に壁面固定構造X8の側面図を示す。壁面固定構図X8も壁面装飾体10、係合体20、係合体固定部材30、対象物保持部40とから構成される。壁面装飾体10は実施形態1、2と同様丸棒からなる棒材により構成される。
係合体20は基端側に雄ねじ25が形成された円柱体を縦に2分し、先端側内側に壁面装飾体10を狭持できる空間を形成することで狭持片21を対向するように形成したものである。狭持片21の外周面にはやはり小突起21bが設けられ、また、爪21a部分の壁面装飾体10に接触する部分には、点により押圧するように爪突起21aaが設けられている。
係合体固定部材30は、係合体20の小突起21bを含んだ外径よりもやや小さい内径を有する貫通孔を有するリング体であり、先端側に壁面装飾体10に係合する切り欠き33が設けられている。また、切り欠き33の底の壁面装飾体10と接触する部分には点により押圧するように切り欠き突起33aが設けられている。
対象物保持部40は、一端に鉤状のフックからなる対象物固定構造41が設けられた係合体20が通ることができる貫通孔を有する板体と、前記係合体20に形成された雄ねじ25に係合するナット43aとから構成される。
【0022】
以上のような構成を有する壁面固定構造X8の利用の仕方は、実施形態1にかかる壁面固定構造X1とほぼ同様であり、利用者は、壁面装飾体10から対象物保持部40を固定したいと考える任意の位置を選択し、係合体20の各狭持片21で選択した位置を爪21aが棒材に引っかかるように挟んで、係合体固定部材30を係合体20の基端側から挿入し嵌合固定する。さらに、係合体固定部材30の貫通孔から突出する係合体20の雄ねじ部25に、対象物保持部40の貫通孔を通し、雌ねじ部25にナット43aを係合させることで、対象物保持部40を固定する。
壁面固定構造X8は、ナット43aを締め付けることで係合体固定部材30が壁面装飾体10を壁面側に押し付け、また、爪21aはナット43aにより引かれるので、爪21aは壁面装飾体10を壁面側から離れる方向へ力を付与する。即ち、係合体固定部材30と爪21aとで壁面装飾体10を狭持することとなり、2つの狭持片21による狭持に加えて、さらに、強固に壁面装飾体10に係合体20および係合体固定部材30は固定されることとなる。なお、ここでは、爪21aと係合体固定部材30とにより壁面装飾体10を狭持しているが、狭持することは必須ではない。即ち、狭持片21は閉じた状態で拘束され、爪21aは常に壁面装飾体10に引っ掛かる状態にあるので、爪21aを壁面から離す方向へ引っ張る力を付与し、係合体固定部材30や対象物保持部40がこれを支持するように壁面装飾体10や壁Wに当接すれば、保持力を強化することができる。
【0023】
なお、上記壁面固定構造X8は、ねじ構造を用いて係合体20を壁面から引き離す方向へ引っ張ったが、引っ張る方法は適宜変更することができる。例えば、図12(a1)、(a2)に平面図及び縦断面図を示すようなクサビを有する対象物保持部40と、図12(b)に示すようなクサビに係合する係合体20のように、クサビにより係合体20を壁面から引き離す方向へ引っ張ってもよい。具体的に説明すると、図12(a1)(a2)に示す対象物保持部40は、板体に対象物保持構造41としてフックが設けられたものであり、板体のほぼ真ん中に貫通孔42cが設けられるとともに、貫通孔42cのフックのある方とは反対側に切り欠き46が形成されている。そして、この切り欠き46の外縁に、下方から上方に向って、壁面から離れる状に傾斜するクサビ面46aが形成されている。一方、係合体20の基端側には、貫通孔42cを通る突起が設けられるとともに、突起の外周にクサビ面46aに係合する溝26が形成されている。このような構造により、図12(c)に示す壁面固定構造X9のように、係合体20で壁面装飾体10を狭持し、図11に示すような係合体固定部材30を係合体20に係合固定し、図12(a1)(a2)に示すような対象物保持部40の貫通孔42cを係合部20の突起に通して、クサビ面46aを溝26に嵌めて、対象物保持部40をフックの方向へ移動させると、クサビ面46aにより溝26は壁面から離れる方向に力を受け、結果として係合体20に壁面から引き離す力を付与することができる。
その他にも、図13に示す壁面固定構造X10のように、係合体20の基端部に回動可能に固定された、カム47aと把手47bとからなる押圧体47を設けることで、カム47aの回動位置により、係合体20を壁から引き離すように引っ張る力を付与するように設定すれば、把手47bの位置を変えることで係合体20を壁から引き離すように引っ張ることができる。
【0024】
(実施形態4)
図14(a)に実施形態4に係る壁面固定構造X11の分解側面図を示し、図14(b)に壁面固定構造X11の側面図を示す。壁面固定構図X11も壁面装飾体10、係合体20、係合体固定部材30、対象物保持部40とから構成される。壁面装飾体10は実施形態1と同様丸棒からなる棒材により構成される。
壁面固定構造X11の特徴は、係合体20の先端面に壁面に面により当接するフランジ部からなる回転規制部28が設けられている点である。係合体20が壁面装飾体に係合し、係合対固定部30が係合体20に係合固定された状態において、回転規制部28が壁面に当接することで、係合している位置における壁面装飾体10の接線方向に平行な回転軸回りの回動を防止することができる。
【0025】
なお、壁面固定構造11では回転規制部を係合体20に設けたが、これは、係合体固定部材30に設けることもできる。このような構成を有する壁面固定構造X12の分解側面図を図15(a)に示し、側面図を図15(b)に示す。壁面固定構造X12では、図に示すように係合体固定部材30の先端面に壁面Wに当接するフランジ部からなる回転規制部32が設けられている。
さらに、回転規制部を対象物保持部40に設けてもよい。かかる構成を有する壁面固定構造X13の分解側面図を図16(a)に示し、側面図を図16(b)に示す。壁面固定構造X13では、図に示すように対象物保持部40に係合体固定部材30を避けて壁面Wに達する脚部48が設けられ脚部48の先端に壁面Wに当接するフランジ部からなる回転規制部48aが形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は実施形態1に係る壁面固定構造X1の構成を示す分解斜視図であり、(b)は壁面固定構造X1の斜視図である。
【図2】(a)は壁面固定構造X1の分解した状態を示す縦断面図であり、(b)は壁面固定構造X1の側面図である。
【図3】壁面装飾体の固定例を示す模式的な立体図である。
【図4】(a)(b)は係合体の変形例を示す斜視図である。
【図5】(a)(b)は、それぞれ変形例である内壁固定構造X2、X3の分解斜視図である。
【図6】(a)(b)は係合体の変形例を示す斜視図である。
【図7】壁面装飾体および係合体の変形例を示す側面図である。
【0027】
【図8】(a)は実施形態2に係る壁面固定構造X4の構成を示す分解斜視図であり、(b)は壁面固定構造X4を示す斜視図を示す
【図9】(a)は壁面固定構造X4の分解した状態を示す縦断面図であり、(b)は壁面固定構造X4の側面図である。
【図10】(a)(b)(c)は、それぞれ対象物保持部40の回動規制構造の変形例を示す壁面固定構造X5、X6、X7の分解斜視図である。
【図11】(a)は実施形態3に係る壁面固定構造X8の分解側面図であり、(b)は壁面固定構造X8の側面図である。
【図12】(a1)は、実施形態3に係る変形例である壁面固定構造X9の対象物保持部の正面図であり、(a2)は当該対象物保持部の縦断面図であり、(b)は当該壁面固定構造X9の係合体の側面図であり、(c)は当該壁面固定構造X9の側面図である。
【図13】実施形態3に係る変形例である壁面固定構造X10の側面図である。
【図14】(a)は実施形態4に係る壁面固定構造X11の分解側面図であり、(b)は壁面固定構造X11の側面図である。
【図15】(a)は実施形態4に係る変形例である壁面固定構造X12の分解側面図であり、(b)は当該固定構造X12の側面図である。
【図16】(a)は実施形態4に係る他の変形例である壁面固定構造X13の分解側面図であり、(b)は当該固定構造X13の側面図である。
【符号の説明】
【0028】
X1〜X13 壁面固定構造
W 壁
10 壁面装飾体
20 係合体
21 狭持片
21a 爪
30 係合体固定部材
32 回転規制部
33 切り欠き
40 対象物保持部
41 対象物保持構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面を装飾する棒材により形成される壁面装飾体と、
前記棒材の一部を引っ掛ける爪が先端に設けられた、前記棒材を狭持する2つの狭持片を有する係合体と、
前記棒材を前記各狭持片が前記爪により引っ掛けて狭持した状態で前記係合体に係合固定され、当該係合状態において、前記各狭持片が開かないように拘束する係合体固定部材と、
前記係合体又は前記係合体固定部材に固定される、所定の対象物を保持する対象物保持手段と
を有する壁面固定構造。
【請求項2】
前記係合体固定部材は、前記各狭持片が閉じる方向に押圧することで拘束するものである請求項1に記載の壁面固定構造。
【請求項3】
前記棒材は丸棒により形成される請求項1又は2に記載の壁面固定構造。
【請求項4】
前記狭持片は弾性素材により形成されるとともに、各狭持片同士は基端側で一体に連結しているものである請求項1から3のいずれか1項に記載の壁面固定構造。
【請求項5】
前記係合体固定部材は、前記係合状態において、前記棒材に係合する切り欠きを先端側に有する請求項1から4のいずれか1項に記載の壁面固定構造。
【請求項6】
前記対象物保持手段は、前記狭持片の先端から基端方向に平行な線分に平行な回転軸に対して回動可能に固定されるものである請求項1から5のいずれか1項に記載の壁面固定構造。
【請求項7】
前記係合状態において、前記狭持片を基端側に引っ張る力を付与する構造を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の壁面固定構造。
【請求項8】
前記係合体、係合体固定部材、対象物保持手段のうちの少なくとも一つは、前記係合状態において、前記対象物保持手段が、前記棒材の前記狭持位置における接線に平行な回転軸に回転することを壁面に当接することで規制する回転規制部を有する
請求項1から7のいずれか1項に記載の壁面固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−53950(P2010−53950A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219413(P2008−219413)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(504036475)
【Fターム(参考)】