説明

変位検出装置

【課題】ピエゾケーブルのような分極工程を必要としないケーブル状のセンサを用いた変位検出装置を提供する。
【解決手段】一対の導電性部材5a、5bを電気絶縁層6を介して配し、ケーブル1を構成する。ケーブル1に屈曲や圧力、振動、衝撃と言った変位が加わると、電位が生じ再び元に戻る。前記屈曲や圧力、振動、衝撃と言った変位が除去されると、逆の電位が生じ再び元に戻る。これらの電位に基づいて変位が検出され、ON/OFF信号を出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体にかかる圧力や振動等を、物体に装着したケーブル状のセンサに加わる変位として検出する変位検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の変位検出装置としては、一対の導電性部材を圧電体を介してケーブル状にし、ケーブルが変位した時に圧電体のピエゾ効果により発生した電位を検出するピエゾケーブルを用いた変位検出装置があった。そして、検出した電位に基づいて制御を行ったり、所定の閾値に基づきONまたはOFFの信号を出力していた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−115738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら前記従来の構成では、圧電体が変位によりピエゾ効果を発生する状態にするためには、圧電体を分極させる必要がある。これには圧電体に対して高電圧を印加するという大掛かりな製造工程が必要になると言う課題があった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ピエゾケーブルのような分極工程を必要としないケーブル状のセンサを用いた変位検出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために本発明の変位検出装置は、一対の導電性部材を電気絶縁層を介して配したケーブルと、ケーブルが変位した時に発生する摩擦電位による電位を検出する摩擦電位検出器とを備え、摩擦電位検出器が検出した電位の大きさに応じてONまたはOFFの信号を出力するようにしたものである。
【0006】
したがって、ケーブルが本来有する摩擦電位の電位を摩擦電位検出器で検出することにより変位を検出することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の変位検出装置によれば、安価にケーブル状の変位検出装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、一対の導電性部材を電気絶縁層を介して配したケーブルと、ケーブルが変位した時に発生する摩擦電位による電位を検出する摩擦電位検出器とを備え、摩擦電位検出器が検出した電位の大きさに応じた信号を出力するようにしたものである。そして、簡素な構成でかつ、複雑な製造工程を必要とせずにケーブル状の変位検出装置を得ることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明のケーブルを、芯線となる導電性部材とシールドとなる導電性部材との間に電気絶縁層を配した同軸ケーブルとしたものである。そして、外来ノイズに対して強くなるとともに、簡素な構成でかつ、複雑な製造工程を必要とせずにケーブル状の変位検出装置を得ることができる。
【0010】
第3の発明は、第1または第2の発明の変位検出装置において、所定の閾値を有する判定
回路を持ち、摩擦電位検出器が検出した電位が、閾値より正側に大きい時にはONの信号を出力し、閾値より負側に大きい時にはOFFの信号を出力するようにしたものである。そして、検出した電位を閾値により判定し、制御を行うことができる。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1において、ケーブル1の一対の導電性部材2a、2bは摩擦電位検出器3に繋がれており、変位検出装置4を構成している。
【0013】
図2はケーブル1の構造を示すものであり、一対の導電性部材の一例として、芯線5aとシールド5bが電気絶縁層6を介して配されている。この場合のシールドは細い導電性部材を編組したものである。そして、これらが絶縁被覆7で覆われている。
【0014】
次に動作、作用について説明する。図3に示すように、一対の導電性部材5a、5bの間に生じる電位を摩擦電位検出器3にて検出するために接続し、ケーブル1を屈曲させると、トリボ効果(トライボ効果)による電位が生じ、図4のaの範囲に示すような信号となる。つまり、屈曲させた時に電位(摩擦電位)が生じ、再び元の電位に戻る。
【0015】
一方、屈曲状態から元の状態に戻す(屈曲を解放する)と図4のbの範囲に示すような信号となる。つまり屈曲から解放させた時に逆の電位が生じ、再び元の電位に戻る。
【0016】
上記はケーブル1を屈曲させた場合について述べたが、屈曲以外の例えば圧力や振動、衝撃の付加と言ったケーブル1に対する変位によっても同様の摩擦電位が検出される。この様子を図5に示す。屈曲の場合と同様に、圧力等が付加された時に電位が発生し再び戻り、前記圧力等が除去された時に逆の電位が発生し再び戻る。これにより変位が検出でき、それに伴う信号、例えば電位の変動に比例した信号やON/OFF信号を出力することができる。
【0017】
また、図1の判定回路8を設け、図5に示すような閾値を設定し、その閾値を正側に超えるものについてON、負側に超えるものについてOFF信号を出すこともできる。
【0018】
これらによりピエゾケーブルのような分極工程を必要としないケーブル状のセンサを用いた変位検出装置となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように本発明にかかる変位検出装置は、簡素な構成でかつ、複雑な製造工程を必要とせずにケーブル状の変位検出装置を得ることができるため、安価な変位検出装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施の形態における変位検出装置の構成図
【図2】同実施の形態における変位検出装置のケーブルの構成図
【図3】同実施の形態における変位検出装置の動作を示す説明図
【図4】同実施の形態における変位検出装置の出力電位を示すグラフ
【図5】同実施の形態における変位検出装置の出力電位を示すグラフ
【符号の説明】
【0021】
1 ケーブル
2a、2b、5a、5b 導電性部材
3 摩擦電位検出器
4 変位検出装置
6 電気絶縁層
8 判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の導電性部材を電気絶縁層を介して配したケーブルと、前記ケーブルが変位した時に発生する摩擦電位による電位を検出する摩擦電位検出器とを備え、前記摩擦電位検出器が検出した電位の大きさに応じた信号を出力する変位検出装置。
【請求項2】
ケーブルは、芯線となる導電性部材とシールドとなる導電性部材との間に電気絶縁層を配した同軸ケーブルである請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
所定の閾値を有する判定回路を持ち、摩擦電位検出器が検出した電位が、前記閾値より正側に大きい時にはONの信号を出力し、前記閾値より負側に大きい時にはOFFの信号を出力する請求項1または2に記載の変位検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−39449(P2008−39449A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210606(P2006−210606)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】