説明

変復調装置

【目的】端末間のデータ伝送手順がエラー訂正機能を有するデータ伝送手順の場合は変復調装置のエラー訂正手順を停止しデータ送信のスループット低下あるいは異常終了を防止する。
【構成】電話回線の発着信を制御するNCU部と、送受信データの変復調を行う変復調部と、エラー訂正手順に従いエラー訂正を行うエラー制御部と、接続された端末がエラー訂正機能を含むデータ伝送手順を使用しているかを検出する端末手順検出部と、前記NCU部、変復調部、エラー制御部、および端末手順監視部を制御する制御部をから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エラー訂正手順を有する変復調装置(モデム)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエラー訂正手順を有する変復調装置の動作について、図3を用いて説明する。図3において、NCU部10は、電話回線への選択信号の送出あるいは電話回線からの呼出信号の検出などを行い電話回線網に伝送路を設定するための一連の動作を行う。変復調部11は、本変復調装置の本体で端末からのデータの変調および電話回線からの変調信号の復調を行う。エラー制御部12は、CCITT勧告V.42等の手順によりエラー訂正を行う。制御部15は、変復調装置が電話回線を用いてエラー訂正データ伝送を行えるように、NCU部10、変復調部11、およびエラー制御部12、のそれぞれを制御する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来のエラー訂正機能を有する変復調装置は、変復調装置間でのエラー訂正手順を使用している。これに対し端末間でもバイナリーデータの転送のために、例えばXMODEM,YMODEM等のデータ伝送手順を使用する場合がある。この端末間のデータ転送手順は、変復調装置間のエラー訂正機能と同じようなエラー訂正機能を持っており、具体的には、送信したいデータをパケット化し、そのパケットにエラー検出などのための制御用データを付加して送信している。
【0004】このため、変復調装置間のエラー訂正手順と端末間のデータ転送手順の両方を使用することになると、それだけ送信したいデータに対する制御データの割合が増加し、送信データのスループット(処理能力)が低下してしまう。さらに、これらの手順には、送信相手からの応答がある一定期間ないと、タイムアウトとしてデータを再送する機能がある。実際に回線にエラーが発生した場合、変復調装置間のエラー訂正機能によるエラー回復が行われるので、この間は、端末には送信データが送られなくなる。この端末にデータが送られない時間が長くなると、上記のタイムアウトによって、端末が同じデータを再送してしまい、スループットが低下する問題がある。
【0005】また、端末間のデータ転送手順による再送の頻度によっては、端末間のデータ伝送手順エラーとなり、データ伝送が可能であるにも関わらず、データ転送を中止し異常終了するという問題もある。
【0006】従って、本発明の目的は、上記のような問題を解決するために、端末間のデータ転送手順を使用する場合には、変復調装置間のエラー訂正手順を自動的に停止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の変復調装置は、電話回線の発着信を制御するNCU部と、送受信データの変復調を行う変復調本体部と、所定のエラー訂正手順に従いエラー訂正を行うエラー制御部と、接続された端末がエラー訂正機能を有するデータ伝送手順を使用しているかを検出し検出した場合は前記エラー制御部の機能を停止させる端末手順検出部と、前記NCU部と前記変復調本体部、前記エラー制御部、および端末手順検出部とをそれぞれ制御する制御部とを備えている。
【0008】
【実施例】次に本発明の一実施例につき図面を参照して説明する。図1は本実施例のブロック図である。NCU部10、変復調部11、およびエラー制御部12は、図3R>3におけるものと同様で端末手順検出部13が付加されている。この端末手順検出部13は端末間のデータ伝送用手順である例えばXMODEM,YMODEM等のデータ伝送手順の検出を行う。制御部14は、変復調装置が電話回線を用いてエラー訂正データの伝送を行えるように、NCU部10、変復調部11、およびエラー制御部12を制御し、更に端末手順検出部13の制御を行う。
【0009】図2は、本発明の変復調装置21、22を使用したシステム構成を示すブロック図である。図2において、変復調装置21と変復調装置22とが、変復調装置間のエラー訂正手順を使用し、端末20と端末23とはまだ端末間のデータ転送手順を使用しないでデータ通信をしているとする。ここで、端末20から、端末間のエラー訂正手順を開始するための端末手順開始データを送信したとする。変復調装置21の端末手順検出部13は端末手順開始データを受信すると、端末20がデータ伝送手順を開始しようとしていると判断する。しかし、この端末手順開始データはそのままエラー訂正手順を使用して変復調装置22に送信し、端末23がデータ伝送手順を開始するかを監視する。
【0010】変復調装置22の端末手順検出部13は、端末手順開始データを受信すると、端末20はデータ転送手順を開始しようとしていると判断し、端末23が端末間のデータ転送手順を開始するかを監視する。端末23が端末手順開始データを変復調装置22に送信すると、変復調装置22の端末手順検出部13は、端末間はデータ伝送手順を開始したと判断し、変復調装置22の制御部14にたいして、次回のデータからエラー訂正手順は使用しないと通知する。しかし、この端末手順開始データはエラー訂正手順を使用して送信する。変復調装置21の端末手順検出部13は、変復調装置22からの端末手順開始データを受信すると、端末間のデータ伝送手順が開始されたと判断し、変復調装置21の制御部14に次回のデータからエラー訂正手順を使用しないと通知する。従って、端末20と端末23がデータ伝送手順によるデータ伝送を開始すると、変復調装置21と変復調装置B22はエラー訂正手順の使用を停止して、変復調装置間のエラー訂正手順を使用しないでデータ通信を行うことができる。
【0011】一方、変復調装置21と変復調装置22とは、変復調装置間のエラー訂正手順を使用せず、端末20と端末23とは、端末間のデータ伝送手順を使用してデータ通信をしているとする。ここで、端末20から、端末間のエラー訂正手順を終了するための端末手順終了データを送信したとする。変復調装置21の端末手順検出部13は端末手順終了データを受信すると、端末20はデータ伝送手順を終了しようとしていると判断する。しかし、この端末手順終了データはそのままエラー訂正手順を使用せずに変復調装置22に送信し、端末23がデータ伝送手順を終了するかを監視する。
【0012】変復調装置22の端末手順検出部13は、端末手順終了データを受信すると、端末20はデータ転送手順を終了しようとしていると判断し、端末23が端末間のデータ伝送手順を終了するかを監視する。端末23が端末手順終了データを変復調装置22に送信すると、変復調装置B22の端末手順検出部13は、端末間はデータ伝送手順を終了したと判断し、変復調装置22の制御部101にたいして、次回のデータからエラー訂正手順を使用すると通知する。しかし、この端末手順終了データはエラー訂正手順を使用せずに送信する。変復調装置A21の端末手順監視部13は、変復調装置22からの端末手順終了データを受信すると、端末間のデータ転送手順が終了されたと判断し、変復調装置21の制御部14に次回のデータからエラー訂正手順を使用すると通知する。従って、端末間がデータ伝送手順によるデータ伝送を終了すると、変復調装置21と変復調装置22はエラー訂正手順を使用してデータ通信を行うことができる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、端末間がエラー訂正機能を有するデータ伝送手順を使用する場合には、変復調装置間のエラー訂正機能を停止することにより、変復調装置間の伝送遅延を削減することができ、送信データのスループットの低下および異常終了を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック図である。
【図2】図1の変復調装置によるシステム構成を示すブロック図である。
【図3】従来例のブロック図である。
【符号の説明】
10 NCU部
11 変復調部
12 エラー制御部
14,15 制御部
13 端末手順検出部
21,22 変復調装置
20,23 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電話回線の発着信を制御するNCU部と、送受信データの変復調を行う変復調本体部と、所定のエラー訂正手順に従いエラー訂正を行うエラー制御部と、接続された端末がエラー訂正機能を有するデータ伝送手順を使用しているかを検出し検出した場合は前記エラー制御部の機能を停止させる端末手順検出部と、前記NCU部と前記変復調本体部、前記エラー制御部、および端末手順検出部とをそれぞれ制御する制御部とを備えることを特徴とする変復調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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