説明

変性ジエン系ゴム、ゴム組成物及び空気入りタイヤ

【課題】転がり抵抗性能とウェット性能を改善する。
【解決手段】天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムからなるジエン系ゴムを変性してなるものであって、前記ジエン系ゴムの主鎖における二重結合部分の酸化により生成したエポキシ基と、前記ジエン系ゴムの主鎖に結合した式:−A−SiR(Aは炭素数1〜9の2価の基、kは0又は1、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、m=1〜3、m+n=3)で表されるアルコキシシリル基含有基とを含有し、エポキシ基の含有量がイソプレンユニットに対して5〜30モル%であり、アルコキシシリル基含有基の含有量がイソプレンユニットに対して0.5〜6モル%である変性ジエン系ゴム。該変性ジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対してシリカを10〜120質量部含有するゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ジエン系ゴム、及びそれを配合したゴム組成物、更には、該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいては、低燃費性に寄与する転がり抵抗性能とともに、湿潤路面におけるグリップ性能であるウェット性能を向上することが求められている。しかしながら、一般に両性能は二律背反の関係にあり、転がり抵抗性とウェット性能の2つの特性を同時に満足させることは困難であることから、これを解消するべく従来様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとのブレンド系にシリカを配合する場合にエポキシ化天然ゴムを加えることが提案されている。また、下記特許文献2,3には、分子末端にアルコキシシリル基を導入したスチレンブタジエンゴムを用いることが提案されている。
【0004】
一方、変性した天然ゴムを用いる技術として、下記特許文献4には、エポキシ基を持つエポキシ化天然ゴムの分子主鎖に水酸基を結合させた改質天然ゴムを加硫剤とともに配合したゴム組成物が提案されている。また、下記特許文献5には、天然ゴムラテックスに、アミノ基やエポキシ基、水酸基等の極性基を持つ単量体をグラフト重合することにより得られた変性天然ゴムを、カーボンブラックやシリカとともに配合したゴム組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−090123号公報
【特許文献2】特開平9−235324号公報
【特許文献3】特開2005−008870号公報
【特許文献4】特開2010−106250号公報
【特許文献5】特開2004−359716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように従来様々な技術が提案されているが、天然ゴムの主鎖にエポキシ基とともにアルコキシシリル基を導入したものは知られていなかった。上記従来技術のように、ジエン系ゴムを単一の官能基のみで変性したものでは、転がり抵抗性能の改善効果が不十分である。また、同一の分子内に複数の官能基を導入したジエン系ゴムとして、上記従来の変性スチレンブタジエンゴムでは、これらの官能基が分子末端に導入されているため、転がり抵抗性能の改善効果が不十分である。一方、上記のようにグラフト重合によりエポキシ基等の官能基を導入する方法もあるが、グラフト重合による場合、分子運動による発熱度が上昇するため、転がり抵抗性能に対しては必ずしも好ましいとは言えない。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑み、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスを向上することができる変性ジエン系ゴム、及びそれを用いたゴム組成物並びに空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る変性ジエン系ゴムは、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムからなるジエン系ゴムを変性してなる変性ジエン系ゴムであって、前記ジエン系ゴムの主鎖における二重結合部分の酸化により生成したエポキシ基と、前記ジエン系ゴムの主鎖に結合した下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有基とを含有し、前記エポキシ基の含有量がイソプレンユニットに対して5〜30モル%であり、前記アルコキシシリル基含有基の含有量がイソプレンユニットに対して0.5〜6モル%であるものである。
−A−SiR …(1)
(式中、Aは炭素数1〜9の2価の基、kは0又は1、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、m=1〜3、m+n=3である。)
【0009】
本発明に係るゴム組成物は、上記変性ジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対してシリカを10〜120質量部含有するものである。また、本発明に係る空気入りタイヤは、該ゴム組成物を用いてなるトレッドを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ジエン系ゴムの主鎖にエポキシ基とアルコキシシリル基を導入したことにより、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスを向上することができる変性ジエン系ゴムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0012】
本実施形態に係る変性ジエン系ゴムは、天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムからなるジエン系ゴムを変性してなるものであり、即ち、ポリイソプレン系のジエン系ゴムの変性ポリマーである。該変性ジエン系ゴムは、その分子主鎖にエポキシ基とアルコキシシリル基を導入してなるものであり、詳細には、上記ジエン系ゴムの主鎖における二重結合部分の酸化により生成したエポキシ基と、上記ジエン系ゴムの主鎖に結合した上記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有基とを含有するものである。主鎖に導入されたエポキシ基は、シリカとの相互作用力(分子間力)が適度にあり、ゴム組成物中でのシリカの分散性を向上させる効果がある。また、主鎖に導入されたアルコキシシリル基は、シリカと強い結合力(化学結合力)があり、ゴムとシリカとの結合力を高め、シリカの分散性に優れたゴム配合となる。このようにシリカと適度な分子間力を持つエポキシ基と、より強い結合力を持つアルコキシシリル基とを、同一分子内に含有させることにより、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスを向上することができる。
【0013】
前記変性ジエン系ゴムにおいて、エポキシ基の含有量は、イソプレンユニットに対して5〜30モル%である。エポキシ基の含有量が少なすぎると、上記シリカとの適度な分子間力による分散性向上効果が不十分となるだけでなく、変性ジエン系ゴムのガラス転移温度が下がり、ウェット性能の低下を招く。逆に、エポキシ基の含有量が多すぎると、変性ジエン系ゴムのガラス転移温度が上がり、転がり抵抗性能が悪化する。エポキシ基の含有量は、下限が10モル%以上であることが好ましく、上限が20モル%以下であることが好ましい。ここで、エポキシ基の含有量は、イソプレンユニットのモル数に対するエポキシ基のモル数の比率であり、従って、変性ジエン系ゴムの全イソプレンユニット数を100個としたとき、導入されたエポキシ基の数が5〜30個であることを意味する。
【0014】
前記変性ジエン系ゴムにおいて、アルコキシシリル基含有基の含有量は、イソプレンユニットに対して0.5〜6モル%である。アルコキシシリル基含有基の含有量が少なすぎると、上記シリカとの強い結合力による分散性向上効果が不十分となる。逆に、アルコキシシリル基含有基の含有量が多すぎると、ウェット性能が低下する傾向となる。アルコキシシリル基含有基の含有量は、下限が1モル%以上であることが好ましく、上限が5モル%以下であることが好ましい。ここで、アルコキシシリル基含有基の含有量(アルコキシシリル基の含有量と同じ。)は、イソプレンユニットのモル数に対するアルコキシル基含有基のモル数の比率であり、従って、変性ジエン系ゴムの全イソプレンユニット数を100個としたとき、導入されたアルコキシシリル基含有基の数が0.5〜6個であることを意味する。
【0015】
該アルコキシシリル基含有基を表す上記式(1)において、Aは、上記のように炭素数1〜9の2価の基であるが、より好ましくはウレタン結合、エステル結合、アミド結合、窒素、硫黄などを有してもよい2価の基であり、例えば、−O−CO−NH−R−、−NR−R−、−S−R−、及び、炭素数1〜9(より好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基等が挙げられる。ここで、Rは、炭素数1〜8(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキレン基である。Rは、水素又は炭素数1〜8の1価の炭化水素基(アルキル基やアリール基等)であり、Rは、炭素数1〜9(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキレン基である(但し、RとRの炭素数の合計は9以下)。Rは、炭素数1〜9(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキレン基である。kは、0又は1であり、従って、上記Aがなく、アルコキシシリル基−SiRが上記ジエン系ゴムの主鎖に直接結合してもよい。アルコキシシリル基に関し、Rは、上記のように炭素数1〜3のアルコキシ基であり、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。また、Rは、上記のように炭素数1〜3のアルキル基であるが、好ましくはメチル基又はエチル基である。なお、R,Rは、それぞれ、アルコキシシリル基中に複数有する場合、それらは同一でも異なってもよい。また、m,nについては、上記のようにm=1〜3、m+n=3であるが、m=3及びn=0であること、すなわち、トリアルコキシシリル基であることが好ましい。
【0016】
前記変性ジエン系ゴムは、通常のイソプレンユニットに加えて、下記式(2)で表される構成単位と、下記式(3)及び/又は(4)で表される構成単位とを有することが好ましい。
【化1】

【0017】
(式中、X及びYはそれぞれ前記アルコキシシリル基含有基、水酸基又は水素であり、かつ少なくとも一方は前記アルコキシシリル基含有基である。)
【0018】
式(2)で表される構成単位がエポキシ基の導入された構成単位であり、式(3)及び(4)で表される構成単位がアルコキシシリル基含有基の導入された構成単位である。アルコキシシリル基含有基の導入された構成単位は、より詳細には、式(3)に対応する下記式(31)〜(35)と、式(4)に対応する下記式(41)〜(43)の8通りであり、これらのいずれか1以上からなる。
【化2】

【化3】

【0019】
式中のA、k、R、R、m及びnは、上記式(1)と同じである。
【0020】
前記式(3)で表されるアルコキシシリル基含有基が導入された構成単位としては、より好ましくは、下記式(5)で表される、アルコキシシリル基がウレタン結合を介して分子主鎖に結合された構成単位が挙げられる。
【化4】

【0021】
式中、R、R、m及びnは上記式(1)と同じであり、Rは炭素数1〜8のアルキレン基、より好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基である。
【0022】
上記変性ジエン系ゴムの合成方法は、特に限定されないが、例えば、次のようにして合成することができる。
【0023】
まず、天然ゴムや合成イソプレンゴムの主鎖にエポキシ基を導入する(エポキシ化)。変性対象となる天然ゴムとしては、RSS3号やTSR20などが挙げられる。合成イソプレンゴムとしては、天然ゴムの代替として一般に用いられている1,4−シス−ポリイソプレン(即ち、シス1,4−結合が90%以上のポリイソプレン)を用いることができる。なお、以下、天然ゴムについて説明するが、合成イソプレンゴムについても同様である。
【0024】
エポキシ化の方法としては、特に限定されず、例えば、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシ法、過酸法などの公知の種々の方法を用いて行うことができる。一例として、天然ゴムラテックスを蟻酸/過酸化水素水にて処理することにより得られる。ここで、エポキシ基含有量は蟻酸/過酸化水素の量によりコントロールすることができる。また、市販のエポキシ化天然ゴムを用いてもよい。
【0025】
エポキシ化天然ゴムに対して、アルコキシシリル基を導入する方法としては、例えば、(a)エポキシ基とアミノ基を反応させる方法、(b)エポキシ基とチオールを反応させる方法、(c)エポキシ基を水酸化した後、水酸基にイソシアネートを反応させる方法、(d)二重結合にラジカル反応でビニルモノマーを付加させる方法、(e)アリル位へのアミノ基の付加後、アミド結合によりアルコキシシリル基を導入する方法等が挙げられる。
【0026】
上記(a)としては、エポキシ化天然ゴムを溶剤(THF/トルエンなど)に溶解させ、これにアミノ基を有するアルコキシシラン化合物を反応させる方法や、エポキシ化天然ゴムとアミノ基を有するアルコキシシラン化合物をバンバリーミキサーまたは二軸混合機などを用いて、反応させる方法が挙げられる。これにより、上記式(32)及び/又は(33)で表されるように、1つの構成単位にアルコキシシリル基含有基(Aは−NR−R−)と水酸基が導入された構造が形成される。アミノ基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBE−903」)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−603」)、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−573」)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記(b)としては、エポキシ化天然ゴムを溶剤(THF/トルエンなど)に溶解させ、これにチオール基(メルカプト基)を有するアルコキシシラン化合物を反応させる方法や、エポキシ化天然ゴムとチオール基を有するアルコキシシラン化合物をバンバリーミキサーまたは二軸混合機などを用いて、反応させる方法が挙げられる。これにより、上記式(32)及び/又は(33)で表されるように、1つの構成単位にアルコキシシリル基含有基(Aは−S−R−)と水酸基が導入された構造が形成される。チオール基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−803」)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM−803」)、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(モメンティブ社製「A−LINK599」)などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
上記(c)では、まず、エポキシ化天然ゴムに対し、一部のエポキシ基を開環させることにより水酸基を導入する。エポキシ基を開環させる方法としては特に限定されないが、例えば、酸触媒を用いて水を付加させることにより水酸基化することができる。これにより、エポキシ基が導入された構成単位の一部は、2個の水酸基が主鎖に結合した構成単位(上記式(3)において、XとYがともに水酸基である構成単位)となる。
【0029】
水酸基を導入した後、水酸基に結合可能な官能基とアルコキシシリル基を分子内に持つ化合物を用いて、上記エポキシ化天然ゴムの水酸基に反応させることにより、アルコキシシリル基を導入することができ、上記変性ジエン系ゴムが得られる。水酸基に結合可能な官能基としては、イソシアネート基(NCO)を挙げることができ、イソシアネート基と水酸基とが反応することによりウレタン結合が形成され、従って、上記式(5)のように、アルコキシシリル基がウレタン結合を介して分子主鎖に結合された構成単位が得られる。ここで、上記反応させる化合物の添加モル数を適宜に設定することにより、上記式(31)や式(5)で示されるような2個のアルコキシシリル基含有基が結合した構成単位や、式(32)及び(33)で示されるような1個のアルコキシシリル基含有基と1個の水酸基が結合した構成単位となる。なお、変性ジエン系ゴムには、上記2個の水酸基が主鎖に結合した構成単位(式(3)において、XとYがともに水酸基である構成単位)が残存していてもよく、また残存していなくてもよい。イソシアネート基とアルコキシシリル基を分子内に持つ化合物としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBE9007」)、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ社製「Y5187」)等が挙げられ、単独又は組み合わせて用いることができる。
【0030】
上記(d)としては、エポキシ化天然ゴムを溶剤(THF/トルエンなど)に溶解させ、これにビニル基を有するアルコキシシラン化合物を反応させる方法や、エポキシ化天然ゴムとビニル基を有するアルコキシシラン化合物をバンバリーミキサーまたは二軸混合機などを用いて、反応させる方法が挙げられる。この場合、開始剤の量を制御することにより、グラフト重合させることなく、二重結合にビニルモノマーをラジカル付加させる。これにより、上記式(34)及び/又は(35)で表されるように、1つの構成単位にアルコキシシリル基含有基が導入された構造が形成される。ビニル基を有するアルコキシシラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBE1003」)、ビニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製「KBM1003」)等が挙げられ、単独又は組み合わせて用いることができる。
【0031】
上記(e)としては、アリル位に臭素付加した後、臭素基をアミノ化し、該アミノ基にカルボキシル基を有するアルコキシシラン化合物を反応させる方法が挙げられる。アリル位への臭素付加としては、例えば、「第5版 実験化学講座13 有機化合物の合成I 炭化水素・ハロゲン化物」(日本化学会編・丸善株式会社)第376頁に記載された、N−ブロモスクシンイミドを用いたウォール・チーグラー反応により行うことができ、N−ブロモスクシンイミドの量により導入される臭素量を制御することができる。臭素基のアミノ化としては、例えば、「第5版 実験化学講座14 有機化合物の合成II アルコール・アミン」(日本化学会編・丸善株式会社)第360頁に記載されたガブリエル反応により行うことができ、エポキシ化天然ゴムの主鎖に導入された臭素基をアミノ基に置換することができる。そして、該アミノ基にカルボン酸を反応させることにより、アミド結合が形成され、該アミド結合を介してアルコキシシリル基を導入することができる。この場合、上記式(4)で表される構成単位となり、2つのアリル位にそれぞれ臭素が付加することによって式(41)で示される2個のアルコキシリル基含有基が結合した構成単位となり、また、一方のアリル位のみに臭素が付加することによって式(42)及び(43)で示されるような1個のアルコキシシリル基含有基が結合した構成単位となる。
【0032】
本実施形態に係るゴム組成物は、上記変性ジエン系ゴムを含むゴム成分にシリカを配合してなるものである。
【0033】
ゴム成分としては、上記変性ジエン系ゴム単独でもよく、また他のジエン系ゴムとブレンドして用いてもよい。ブレンドする他のジエン系ゴムとしては、特に限定されないが、例えば、未変性の天然ゴム(NR)、未変性の合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエン共重合体ゴム(EPDM)などが挙げられ、これらはいずれか1種、又は2種以上組み合わせてもよい。他のジエン系ゴムとブレンドする場合、ゴム成分は、上記変性ジエン系ゴムを5質量%以上含むことが好ましく、従って、ゴム成分100質量部は、上記変性ジエン系ゴムを5〜100質量部含有するものであることが好ましい。より好ましくは、ゴム成分は、上記変性ジエン系ゴムを30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上含むことである。
【0034】
該ゴム成分に配合するシリカとしては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、中でも湿式シリカが好ましい。シリカのコロイダル特性としては特に限定されないが、例えば、窒素吸着比表面積(BET)が100〜300m/gであることが好ましい。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に記載の方法に準拠し測定される。シリカの配合量は、上記ゴム成分100質量部に対して10〜120質量部であることが好ましく、より好ましくは下限が20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、また、上限が100質量部以下であることが好ましい。
【0035】
本実施形態に係るゴム組成物には、充填剤として、シリカの他に、カーボンブラック、酸化チタン、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどを配合してもよい。シリカと他の充填剤を併用する場合、カーボンブラックとの併用が好ましい。カーボンブラックの配合量は特に限定されないが、50質量部以下であることが好ましく、より好ましくは30質量部以下である。
【0036】
本実施形態にかかるゴム組成物には、シランカップリング剤を更に配合することが好ましい。シランカップリング剤としては、公知の種々のシランカップリング剤を用いることができ、特に限定するものではないが、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエキトシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィドシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシランなどの保護化メルカプトシランなどが挙げられ、これらはいずれか1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、シリカ100質量部に対して2〜25質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜15質量部である。
【0037】
本実施形態に係るゴム組成物には、上記した成分の他に、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。加硫剤としては、硫黄、硫黄含有化合物等が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量は上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、上記ゴム成分100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0038】
本実施形態に係るゴム組成物は、通常のバンバリーミキサーやニーダーなどのゴム用混練機を用いて、常法に従い混練することで調製される。このようにして得られるゴム組成物は、例えば、トレッドやサイドウォール、ベルトやプライのトッピングゴム、ビードフィラー、リムストリップ等のタイヤ、コンベアベルト、防振ゴムなどの各種用途に用いることができるが、好ましくは、空気入りタイヤに用いることである。特には、空気入りタイヤの接地面を構成するトレッドゴムに好適に用いられ、常法に従い、例えば140〜200℃で加硫成形することにより、トレッド部を形成することができる。空気入りタイヤのトレッド部には、キャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるものと、両者が一体の単層構造のものがあるが、好ましい態様として接地面を構成するゴムに用いる場合、単層構造のものであれば、トレッド部の全体が上記ゴム組成物からなることが好ましく、また2層構造のものであれば、キャップゴムが上記ゴム組成物からなることが好ましい。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
[変性ジエン系ゴムの合成]
・合成例1:エポキシ化天然ゴム(比較例)
天然ゴムラテックス(株式会社レジテックス製「LAラテックス」、固形分濃度=60質量%)200gに対し、蟻酸20g及び過酸化水素水(35質量%水溶液)90gを加え、50℃、24時間攪拌した後、エタノールを加えてゴムを凝固・乾燥させることにより、エポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ化天然ゴムのエポキシ基の含有量は25モル%であった。
【0041】
・合成例2:変性天然ゴムA(比較例)
蟻酸の添加量を30gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を133gとし、その他は合成例1と同様にしてエポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ化天然ゴム100gを1000mlのTHFに溶解させた後、6N硫酸5mlを加え、室温で2時間攪拌した。得られたゴムをエタノールにて凝固させ、水洗い・乾燥させ、水酸基化エポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ基と水酸基を有する天然ゴムと、該水酸基と当モル量の3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランとを、ラボプラストミル(東洋精機社製)にて、120℃×10分間混合し、水酸基とイソシアネートを反応させることにより、アルコキシ変性エポキシ化天然ゴムAを得た。得られた変性天然ゴムAのエポキシ基含有量は35モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であった。
【0042】
・合成例3:変性天然ゴムB(実施例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を17.6gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を79gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を5mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムBを得た。得られた変性天然ゴムBのエポキシ基含有量は20モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であった。
【0043】
・合成例4:変性天然ゴムC(比較例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を12.0gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を54gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を0.7mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムCを得た。得られた変性天然ゴムCのエポキシ基含有量は15モル%であり、アルコキシシリル基含有量は0.3モル%であった。
【0044】
・合成例5:変性天然ゴムD(実施例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を12.8gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を57.6gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を2.5mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムDを得た。得られた変性天然ゴムDのエポキシ基含有量は15モル%であり、アルコキシシリル基含有量は1.0モル%であった。
【0045】
・合成例6:変性天然ゴムE(実施例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を13.6gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を61.2gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を5mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムEを得た。得られた変性天然ゴムEのエポキシ基含有量は15モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であった。
【0046】
・合成例7:変性天然ゴムF(実施例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を16gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を72gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を12.5mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムFを得た。得られた変性天然ゴムFのエポキシ基含有量は15モル%であり、アルコキシシリル基含有量は5.0モル%であった。
【0047】
・合成例8:変性天然ゴムG(比較例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を18.4gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を82.8gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を20mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムGを得た。得られた変性天然ゴムGのエポキシ基含有量は15モル%であり、アルコキシシリル基含有量は8.0モル%であった。
【0048】
・合成例9:変性天然ゴムH(実施例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を9.6gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を43.2gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を5mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムHを得た。得られた変性天然ゴムHのエポキシ基含有量は10モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であった。
【0049】
・合成例10:変性天然ゴムI(比較例)
エポキシ化における蟻酸の添加量を4gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を18gとし、水酸基化における6N硫酸の添加量を5mlとし、その他は合成例2と同様にしてアルコキシ変性エポキシ化天然ゴムIを得た。得られた変性天然ゴムIのエポキシ基含有量は3.0モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であった。
【0050】
・合成例11:変性天然ゴムJ(実施例)
蟻酸の添加量を19.2gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を86.4gとし、その他は合成例1と同様にしてエポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ化天然ゴム100質量部と3−アミノプロピルトリエトキシシラン12質量部を、ラボプラストミル(東洋精機社製)にて、140℃×10分間混合攪拌することにより、一部のエポキシ基にアミノ基を反応させて、アルコキシ変性エポキシ化天然ゴムJを得た。得られた変性天然ゴムJのエポキシ基含有量は20モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であり、水酸基含有量は2.0モル%であった。
【0051】
・合成例12:変性天然ゴムK(実施例)
蟻酸の添加量を19.2gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を86.4gとし、その他は合成例1と同様にしてエポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ化天然ゴム100質量部と3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン12質量部を、ラボプラストミル(東洋精機社製)にて、140℃×10分間混合攪拌することにより、一部のエポキシ基にチオールを反応させて、アルコキシ変性エポキシ化天然ゴムKを得た。得られた変性天然ゴムKのエポキシ基含有量は20モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であり、水酸基含有量は2.0モル%であった。
【0052】
・合成例13:変性天然ゴムL(実施例)
蟻酸の添加量を17.6gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を79.2gとし、その他は合成例1と同様にしてエポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ化天然ゴム100質量部と、ビニルトリエトキシシラン10質量部と、該ビニルトリエトキシシランに対して1モル%量のジクミルパーオキシド(日本油脂社製「パークミルD」)を、ラボプラストミル(東洋精機社製)にて、160℃×10分間混合攪拌することにより、天然ゴムの主鎖の二重結合にビニルトリエトキシシランをラジカル反応により付加させて、アルコキシ変性エポキシ化天然ゴムLを得た。得られた変性天然ゴムLのエポキシ基含有量は20モル%であり、アルコキシシリル基含有量は2.0モル%であった。
【0053】
・合成例14:変性天然ゴムM(比較例)
蟻酸の添加量を17.6gとし、過酸化水素水(35質量%水溶液)の添加量を79.2gとし、その他は合成例1と同様にしてエポキシ化天然ゴムを得た。得られたエポキシ化天然ゴム100gを1000mlのTHFに溶解させた後、6N硫酸5mlを加え、室温で2時間攪拌した。得られたゴムをエタノールにて凝固させ、水洗い・乾燥させ、水酸基変性エポキシ化天然ゴムMを得た。得られた変性天然ゴムMのエポキシ基含有量は20モル%であり、水酸基含有量は2.0モル%であった。
【0054】
[エポキシ基、水酸基及びアルコキシシリル基の含有量の測定]
合成して得られたゴムをCDCl(重クロロホルム)に溶解させ、H−NMR測定により、二重結合シグナル(5.20ppm)に対して、エポキシ基のシグナル(2.51ppm)、水酸基のシグナル(2〜3ppm付近の比較的ブロードなピーク)、およびアルコキシシリル基由来のシグナル(3.83ppm)の各面積強度から、それぞれの比率を算出した。
【0055】
【表1】

【0056】
[ゴム組成物の調製]
バンバリーミキサーを使用し、下記表2に示す配合(質量部)に従って、常法に従いタイヤトレッド用ゴム組成物を調製した。詳細には、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し、硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して、ゴム組成物を調製した。上記ゴムを除く、表2中の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0057】
・NR:RSS#3
・SBR:JSR(株)製「SBR1502」
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」(BET=200m/g)
・シランカップリング剤:ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、エボニック・デグサ社製「Si75」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シーストKH」(N339、HAF)
・亜鉛華:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「5%油入微粉末硫黄」
・加硫促進剤:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
【0058】
各ゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従い、185/65R14の空気入りラジアルタイヤを製造し、転がり抵抗性能とウェット性能を評価した。結果を表2に示す。なお、評価方法は以下の通りである。
【0059】
・転がり抵抗性能:各タイヤを一軸ドラム試験機で速度80km/h、空気圧196kPa、荷重3.9kN、室温23℃の条件にて転がり抵抗を測定し、転がり抵抗の逆数を比較例1の値を100として指数表示した。数値が大きいほど、転がり抵抗が小さく、従って、低燃費性に優れ、良好であることを表す。
【0060】
・ウェット性能:各タイヤをトレーラーに装着し、湿潤路面(2〜3mmの水深で水をまいた路面)上において、64.4km/hにてタイヤをロックさせてブレーキングフォースを記録し、比較例1を100として指数表示した。数値が大きいほど良好である。
【0061】
【表2】

【0062】
結果は表2に示す通りであり、未変性の天然ゴムに代えてエポキシ化天然ゴムを用いた比較例2では、ウェット性能は大幅に向上したものの、転がり抵抗性能の悪化しており、両性能のバランスが不十分であった。比較例3では、アルコキシシリル基を導入したエポキシ化天然ゴムを用いたものの、エポキシ基の含有量が多すぎたため、転がり抵抗性能が更に悪化していた。また、比較例4では、アルコキシシリル基の含有量が少なすぎて、転がり抵抗性能の改善効果が不十分であった。比較例5では、アルコキシシリル基の含有量が多すぎて、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスにやや劣るものであった。比較例6では、エポキシ基の含有量が少なすぎて、転がり抵抗性能とウェット性能がともに不十分であった。比較例7では、天然ゴムにエポキシ基と水酸基が導入されるもアルコキシシリル基が導入されていなかったため、ウェット性能は十分であるが、転がり抵抗性能が不十分であった。
【0063】
これに対し、エポキシ基とアルコキシシリル基を分子主鎖に導入し、これらの含有量を規定範囲内とした変性天然ゴムを用いた実施例1〜8であると、比較例1に対してウェット性能が大幅に向上し、かつ、転がり抵抗性能についても改善効果が見られ、よって、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスが顕著に向上していた。また、かかる変性天然ゴムと他のジエン系ゴムであるSBRやBRとを併用した実施例9,10でも、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスに優れていた。更に、シリカとともに、他の充填剤としてカーボンブラックを併用した実施例11においても、規定内の変性天然ゴムを用いることにより、転がり抵抗性能とウェット性能のバランスに優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る変性ジエン系ゴムは、空気入りタイヤ用のゴム組成物に配合するものとして好適に用いることができ、より詳細には、空気入りタイヤのトレッドゴムを構成するゴム組成物に特に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム及び/又は合成イソプレンゴムからなるジエン系ゴムを変性してなる変性ジエン系ゴムであって、前記ジエン系ゴムの主鎖における二重結合部分の酸化により生成したエポキシ基と、前記ジエン系ゴムの主鎖に結合した下記式(1)で表されるアルコキシシリル基含有基とを含有し、前記エポキシ基の含有量がイソプレンユニットに対して5〜30モル%であり、前記アルコキシシリル基含有基の含有量がイソプレンユニットに対して0.5〜6モル%であることを特徴とする変性ジエン系ゴム。
−A−SiR …(1)
(式中、Aは炭素数1〜9の2価の基、kは0又は1、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、m=1〜3、m+n=3である。)
【請求項2】
下記式(2)で表されるエポキシ基を含む構成単位と、下記式(3)及び(4)で表されるアルコキシシリル基含有基を含む構成単位の少なくとも一方と、を有する請求項1記載の変性ジエン系ゴム。
【化1】

(式中、X及びYはそれぞれ前記アルコキシシリル基含有基、水酸基又は水素であり、かつ少なくとも一方は前記アルコキシル基含有基である。)
【請求項3】
前記アルコキシシリル基含有基を含む構成単位が下記式(5)で表される構成単位である請求項2記載の変性ジエン系ゴム。
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜3のアルコキシ基、Rは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数1〜8のアルキレン基、m=1〜3、m+n=3である。)
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の変性ジエン系ゴムを含むゴム成分100質量部に対してシリカを10〜120質量部含有するゴム組成物。
【請求項5】
請求項4に記載のゴム組成物を用いてなるトレッドを備えた空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2012−251085(P2012−251085A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125393(P2011−125393)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】