説明

変速機のシフト制御方法及び装置と情報処理装置

【課題】 車両用自動機械式変速装置において、目標ギヤ比に対応した連結中のジョークラッチ部材を確実に完全連結させる。
【解決手段】 目標ギヤ比(GRT )へのシフトの同期及び連結中のジョークラッチを連結位置へ継続的に押し付けながら、エンジン速度を真の同期エンジン速度(OS×GRT )よりわずかに高くした後にわずかに低くする、またはその逆のサイクルを繰り返し、トルク逆転を発生させる。そして、これによってジョークラッチにゼロトルク伝達状態の瞬間を何度も発生させて連結を促し、トルクロック状態によって生じる部分的連結を最小限に抑え、完全な状態で連結させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、目標ギヤ比に対応した噛み合いクラッチ部材を連結するために、噛み合いクラッチ部材に同期状態を生じさせるための、燃料制御形エンジンを利用した形式の車両用機械式自動/半自動変速装置に関するものである。特に本発明は、連結中の噛み合いクラッチを完全に噛み合わせて、同期行き過ぎを最小限に抑えるため、ギヤ連結作動中の要求エンジン速度を、真の同期エンジン速度(すなわちES=IS=OS×GRT )より所定量だけ高くした後に、所定量だけ低くする、またはその逆の値に設定する(ディザ(dither)という)、少なくとも一部自動化された機械式変速装置用の制御方法/装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の全自動化または一部自動化された機械式変速装置は従来より公知であり、例えば米国特許第4,361,060 号、第4,648,290 号、第4,595,986 号、第4,850,236 号、第5,053,959 号、第5,109,721 号、第5,261,288 号、第5,315,218 号及び第5,335,566 号に記載されており、これらの特許の開示内容は参考文献として本説明に含まれる。これらの形式の装置では、エンジン燃料供給/制動制御は、一般的に目標ギヤ比に連結するための同期状態を得るために用いられる。
【0003】従来型の自動変速装置は、一般的にX−Y機構及び複数の線形アクチュエータの両方またはいずれか一方を介して、複数のほぼ平行なフォークシャフトまたは単式のシフト軸機構等を作動させるために、電気式、電気機械式、電気油圧式または電気空気式アクチュエータを用いていた。軸方向に移動可能なジョークラッチ部材は、シフト軸またはブロック機構によって支持され、シフトフィンガ、ピストン等によって軸方向に位置決めされるシフトヨーク(シフトフォークとも呼ばれる)により、軸方向に選択的に位置決めされる。この形式のシフト機構は、米国特許第4,445,393 号、第4,873,881 号、第4,899,607 号、第4,920,815 号、米国再発行特許第34,260号、米国特許第4,945,484 号、第5,000,060 号、第5,052,535 号、第4,964,313 号及び第5,368,145 号に記載されており、これらの開示内容は参考文献として本説明に含まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来型制御方法/装置は、特に、比較的非追従形(relativeiy non-compliant)の電動モータ作動式変速装置の場合、目標ギヤ比へのシフトの同期及びジョークラッチ連結時において、連結中の噛み合いジョークラッチ部材がトルクロックを生じて、部分的に連結しただけの状態になる可能性があるため、完全には満足できるものではなかった。この状態が長時間にわたって続くと、ジョークラッチ及びシフトアクチュエータ機構の両方またはいずれか一方に過度の磨耗及び損傷の少なくとも一方を生じるおそれがある。
【0005】本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、目標ギヤ比に対応した連結中のジョークラッチ部材を確実に完全連結させる、少なくとも一部自動化された機械式変速装置における新規な改良型制御方法/装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するための本発明に係る手段は、目標ギヤ比へのシフトの同期及び連結中のジョークラッチを連結位置へ継続的に押し付けながら、エンジン速度を真の同期エンジン速度よりわずかに高くした後にわずかに低くする、またはその逆のサイクルを繰り返す。そして、これによってジョークラッチにゼロトルク伝達状態の瞬間を何度も発生させて連結を促し、完全な状態で連結させる機械式自動/半自動変速装置用の制御方法/装置を提供することにより、従来技術の問題点を解決するか、最小限に抑えることができる。この手順を所定回数、好ましくは2〜3回行うか、または、位置センサが完全連結を検知するまでのいずれか早い時点まで繰り返す。好ましくは、真の同期速度を上回るか、若しくは下回る(すなわち、ディザを行う際の)エンジン速度の量は、重量形トラックの一般的なディーゼルエンジンの場合に約15〜50RPMである。
【0007】本発明の上記及び他の目的及び利点は、添付の図面を参照した以下の発明の実施の形態における詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は、公知のディーゼルエンジン等のスロットル制御形エンジン14によって、マスタークラッチ16を介して駆動される、自動多段速度変速機12を備えた車両用機械式自動変速装置10を概略的に示している。エンジン14の回転速度を減速する排気ブレーキ17等のエンジンブレーキ、及び、摩擦カップリングであるマスタークラッチ16の切り離し時に変速機の入力軸に制動力を加えることができる入力軸ブレーキ18の両方またはいずれか一方を公知のように設けることができる。自動変速機12の出力部は出力軸20であり、これは、駆動車軸のディファレンシャル、トランスファーケース等の適当な車両構成要素に駆動連結することができる。
【0009】上記動力伝達機構の各要素は、幾つかの装置の作用を受け、またそれらによって監視されているか、そのいずれかであり、これらの装置の各々を以下に詳細に説明する。これらの装置には一般的に、運転者が操作する車両スロットル及び他の燃料スロットル装置24またはそのいずれか一方の位置を検知するスロットル位置すなわちスロットル開度モニター22と、エンジン14への燃料供給量を制御することにより、エンジンをコントロールする燃料コントローラ(エンジンコントローラ)26と、エンジンの回転速度を検知するエンジン回転数センサ28と、マスタークラッチ16の連結及び切り離しの指示と、マスタークラッチ16の作動状態に関する情報を提供するマスタークラッチオペレータ30と、入力軸ブレーキオペレータ31と、変速機入力軸速度センサ32と、変速機12を選択ギヤ比へシフトさせ、ギヤニュートラル状態及び現在の連結比の両方またはいずれか一方を表す信号を発生する変速機オペレータ34と、変速機出力軸速度センサ36とが含まれる。車両ブレーキモニター38が、車両のブレーキペダル40の作動を検知する。
【0010】ギヤのニュートラル及び連結スイッチを含む機械式自動変速装置用の変速機オペレータが、米国特許第4,945,484 号及び第4,445,393 号に記載されており、それらの開示内容は参考文献として本説明に含まれる。あるいは、線形電位差計等の線形位置センサを用いてもよい。
【0011】上記装置は、中央処理装置すなわち制御ユニット42へ情報を送って、それから指示を受け取るか、またはそのいずれか一方を行う。中央処理装置42は、アナログ及びデジタル式、またはいずれか一方の電子計算及び論路回路を備えることができるが、これの特定の構成及び構造は本発明の主要部をなすものではない。中央処理装置42は、上記米国特許第4,595,986 号に記載されている形式のものを用いることができる。中央処理装置42は、運転者が車両の後退(R)、ニュートラル(N)または前進走行(D)の各作動モードを選択できるシフト制御部44からも情報を受け取る。電源(図示せず)と加圧流体源(図示せず)との両方またはいずれか一方が、電力、油圧動力及び空気動力またはそのいずれかを様々な検知、作動及び処理装置またはそのいずれかへ送る。故障表示器またはアラーム46が、特定の故障を識別して、または単に何らかの故障が存在することを表示することができる。
【0012】センサ22、28、30、32、36、38及び44は、これらが検知するパラメータに比例したアナログまたはデジタル信号を発生する公知のいずれの形式または構造にすることもできる。同様に、オペレータ17、18、26及び34は、中央処理装置42からの出力信号に応じて作動を実行し、または中央処理装置42へ入力信号を送ることの少なくとも一方が可能な、公知の電気式、機械式、空気圧式、油圧式、電気空気式または電気油圧式とすることができる。燃料コントローラ26は、通常は運転者によるスロットル24の設定に従ってエンジン14へ燃料を供給するが、制御装置42からの指示に従って燃料の減量(燃料ディップ)または燃料の増量(燃料ブーストまたはブリップ)を行うことができる。燃料コントローラ26は、エンジン制御マイクロプロセッサと、ISO 11898 、SAE J1922 及びSAE J1939 のいずれかと同様なプロトコルに一致した形式の、電子データリンクを含む電子制御形エンジンを備えることができる。
【0013】一例として、図2に典型的な変速機オペレータ34の一部分が示されている。簡単に説明すると、シフトフォーク50が、フォークシャフト56に対し共に軸方向移動可能に取り付けられている。一対の向き合った流体作動式ピストン58及び60が、それぞれ選択的に加圧されるシリンダ62及び64内に密接し、かつ、摺動可能に設けられている。シフトロッド部材66はフォークシャフト56及びシフトフォーク50と共に軸方向に移動可能であり、一対の溝68及び70が形成され、ランド72で互いに分離されている。また、ばね付勢されたプランジャ74が、ランド72と協働することによってギヤニュートラルスイッチ76を開き、溝68及び70と協働することによってギヤニュートラルスイッチ76を閉じる。このため、ギヤニュートラルスイッチ76はギヤニュートラル信号(GNS)を、ギヤニュートラル状態を表す第1の値(GNS=O)とギヤ連結状態を表す第2の値(GNS=1)とで発生する。あるいは、線形位置センサを用いた場合、ニュートラル及び非ニュートラルは軸位置の範囲に対応するであろう。
【0014】ギヤニュートラルセンサ入力信号(GNS)は、中央処理装置42によって機械式自動変速機12のシフト制御に利用される。例えば、シフトシーケンス中に、変速機が先に連結していたギヤ比から目標ギヤ比(GRT )へシフトする時、ギヤニュートラル信号によってギヤニュートラル状態であることが表示された場合、目標ギヤ比を連結するための同期手順が進められる。
【0015】変速装置10に使用される一般的な4段前進速度、1段後退速度形チェンジギヤ機械式変速機である変速部12が、図3に概略的に示されている。変速機12は、2副軸形の簡単な変速機または変速部であり、これは従来より公知であって、米国特許第3,105,395 号、第4,735,109 号及び第4,152,949 号を参照すれば詳細に理解されるであろう。これらの開示内容は参考文献として本説明に含まれる。
【0016】図示の変速機は入力軸114 を有しており、これに入力ギヤ116 が共転可能に支持されている。入力軸114 は、公知のように、マスター摩擦クラッチまたはトルクコンバータを介してエンジン14によって駆動されるようになっている。一対のほぼ同一の副軸118 及び118 Aが、軸受120 及び120 Aによってハウジング(図示せず)内に回転可能に取り付けられている。主軸すなわち出力軸122 が設けられており、これは変速機ハウジング内に好ましくは浮動状態で、かつ、回動可能に、またはそのいずれかの状態で取り付けられている。
【0017】副軸120 及び120 Aの各々には、副軸ギヤ124 、126 、128 、130 及び132 が共転可能に固定されている。副軸ギヤ124 は、入力ギヤ116 と常時噛み合っている。第3速主軸ギヤ134 が主軸122 をその中心に挿通し、副軸ギヤ126 と常時噛み合うことにより支持されている。第2速主軸ギヤ136 が主軸122 をその中心に挿通し、副軸ギヤ128 と常時噛み合うことにより支持されている。第1速ギヤ138 が主軸122 をその中心に挿通し、副軸ギヤ130 と常時噛み合うことにより支持されている。後退主軸ギヤ140 が主軸122 をその中心に挿通し、副軸ギヤ132 と常時噛み合って駆動される一対のアイドラギヤ(図示せず)と常時噛み合うことにより支持されている。
【0018】軸方向に摺動可能なクラッチ142 、144 及び146 が、好ましくはスプライン連結によって、主軸122 に対して摺動可能に、かつ共転可能に取り付けられている。シフトフォークまたはヨーク148 がクラッチ142 の溝にはまって、主軸122 に対するクラッチ142 の軸方向位置を制御できるようになっている。シフトフォーク50がクラッチ144 の溝にはまって、主軸122 に対するクラッチ144 の軸方向位置を制御できるようになっている。シフトフォーク152 がクラッチ146 の軸方向溝にはまって、主軸122 に対するクラッチ146 の軸方向位置を制御できるようになっている。
【0019】変速機アクチュエータ34は、フォークシャフトまたはシフトロッドとも呼ばれる軸方向に移動可能な3つのシフトバー56、154 及び158 を備えており、これらはほぼ平行であって、シフトバーハウジング34A内のほぼ平行な内孔162 、164及び166 内をそれぞれ独立的に軸方向に摺動可能である。シフトバーハウジング34Aは、一般的に従来通りに変速機ハウジング(図示せず)に取り付け可能である。シフトフォーク148 はシフトバー154 と共に軸方向移動可能であり、シフトフォーク50はシフトバー56と共に軸方向移動可能であり、シフトフォーク152 はシフトバー158 と共に軸方向移動可能である。もちろん、上記米国特許第4,873,881 号、第4,899,607 号及び米国再発行特許第34,260号またはそのいずれかに記載されているようなX−Yシフト機構や、上記米国特許第4,920,815 号に記載されているような単軸形シフト機構などの様々な他の形式のシフトアクチュエータを用いることもできる。
【0020】中央処理装置42は、所望の目標ギヤ比を表す制御信号を制御弁172 へ送り、制御弁172 はソレノイド弁等の、個別に制御可能な複数の弁を有している。制御弁172 は、供給源174 から送られる、好ましくは調整弁176 によって調整された油圧流体または圧縮空気等の加圧流体源に流体連結している。
【0021】変速機12は、噛み合い非同期形ジョークラッチを用いるものとして図示されている。また、変速機の損傷を避けるため、一度に1つのクラッチだけが噛み合うようにする必要があるので、シフトバーハウジングアセンブリ34は一般的に、シフトバー56、154 及び158 のうち、複数が一時にニュートラル軸方向位置から移動するのを防止するためのインターロック機構(図示せず)を設けている。
【0022】自動機械式変速装置では公知のように、目標ギヤ比(GRT )に連結するため、変速機をニュートラルへシフトさせ、マスタークラッチを連結した状態で、エンジンを(すなわち入力軸を)同期エンジン速度で回転させる。同期エンジン/入力軸速度は次式で表される。
ESSYNCH =IS=OS×GRT但し、ESSYNCH =同期エンジン速度、IS=入力軸速度(マスタークラッチを完全に連結した状態でのエンジン速度)
OS=出力軸速度、GRT =目標ギヤ比の数値
【0023】一般的に、シフトアクチュエータ34は、現在エンジン速度と同期エンジン速度との差、エンジン速度の変化率、及びシフトアクチュエータの応答時間、またはそのいずれかに相関させて、エンジン速度が同期速度に一致する前に、ジョークラッチ連結を開始するように命令される。すべての形式のシフトアクチュエータ、特に電動モータによって駆動されるアクチュエータ等の比較的非追従形のシフトアクチュエータでは、連結中の噛み合いジョークラッチ部材がトルクロックを生じて、部分的に連結しただけの状態になることがある。この不完全な連結状態が補正されないと、部分的に連結したジョークラッチ部材及びアクチュエータ機構の両方またはいずれか一方に過度の磨耗及び損傷の少なくとも一方を生じるであろう。
【0024】図4及び図5に示されているように、本発明のシフト制御方法/装置は、ジョークラッチがトルクロックを生じて不完全に連結した状態になることを最小限に抑えるか、防止するために提供されている。
【0025】図4に示すように、先に連結していたギヤ比を切り離し、選択された目標ギヤ比(GRT )に連結する準備としてマスタークラッチ16を連結する時、エンジンは、ダウンシフトの場合には、真の同期速度(ES=IS=OS×GRT )より少し低い値(REF2 )へと速度要求(ESREQ )が出され、アップシフトの場合には、真の同期速度ESよりも少し高い値(REF1 )へと速度指令が出される。これは、同期速度を行き過ぎてしまうことを防止する。そして、REF1 、REF2 共に、約15〜50RPMの範囲内であることが望ましい。その後、シフトアクチュエータが目標ギヤ比に対応したジョークラッチ部材を噛み合い連結位置へ押し付けている間に、エンジンは現在の真の同期速度(ES=OS1 ×GRT)より少し高い速度(REF)へ、次にその時点での真の同期速度(ES=OS2 ×GRT )より少し低い速度(REF)へと速度制御がなされる。
【0026】図5に示すように、ディザの実施回数Xが3回以内である場合には、アップシフトを行うのか、ダウンシフトを行うのかによって、真の同期速度ESに対する前記REF1 、REF2 の速度指令の順序を変え、さらに、これらの速度支持がREFの範囲内にある場合には、目標ギヤ比GRT でのクラッチ連結指示を行い、連結を完了させる。図5の例では、REF1 、REF2 、REFの各値は35RPMとしているが、好ましくは、ディザを行う際の目標エンジン速度と真の同期エンジン速度との差は、約15〜50RPMである。エンジン速度が同期速度より高くなってから低くなるサイクルを繰り返すことによって、連結中のジョークラッチ部材は駆動状態と被駆動状態とを繰り返し、ジョークラッチはゼロトルク伝達状態を通過して、トルクロックの危険性を回避する。
【0027】連結中のジョークラッチ部材においてトルク逆転を生じるサイクルを2〜3回繰り返せば、ジョークラッチが部分的に連結した状態でトルクロックしないことが、実験からわかっている。あるいは、ジョークラッチ連結が不完全か、完全かを表す位置センサに相関させてエンジン速度の変化サイクルを少なくとも部分的に制御することもできる。
【0028】以上に本発明の好適な実施例をある程度特定化して説明してきたが、発明の特許請求の範囲を逸脱しない限りにおいて様々な変更を加えることができることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のニュートラル確認制御方法/装置を好都合に用いた機械式自動変速装置の一例の概略図である。
【図2】ギヤニュートラルセンサスイッチを含む、変速機アクチュエータの一例の部分断面図である。
【図3】本発明によって制御される形式の単式機械式変速機、または複式機械式変速機の主部の一例の概略図である。
【図4】本発明におけるエンジン回転速度の制御方法を説明するグラフである。
【図5】本発明の制御方法/装置を概略的に説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10 変速装置
12 変速機
14 燃料制御形エンジン
16 マスタークラッチ
20 出力軸
26 燃料コントローラ
42 中央処理装置
34 変速機オペレータ
42 制御装置
114 入力軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両用自動機械式変速装置(10)における目標ギヤ比(GRT)の連結を制御する方法であって、該車両用自動機械式変速装置(10)は、燃料制御形エンジン(14)と、摩擦カップリング(16)によって前記エンジンに駆動連結された入力軸(114) と出力軸(20)との間に複数の選択的に連結されるギヤ比を備えた機械式多段速度変速機(12)と、エンジン回転速度(ES)、出力軸回転速度(OS)及び目標ギヤ比(GRT )を表す入力信号を含む複数の入力信号を受け取り、該入力信号を所定の論理規則に従って処理して、エンジンの速度を制御する燃料制御装置(26)及び変速機をシフトさせる変速機オペレータ(34)を含むアクチュエータへコマンド出力信号を送る情報処理装置とを有し、前記変速装置のギヤ比変更は、第1噛み合いクラッチを切り離してから、第2噛み合いクラッチを連結する順序で行われ、前記噛み合いクラッチは共に、車両エンジンの回転速度に応じて回転速度が決まる第1クラッチ部材と、出力軸速度に応じて回転速度が決まる第2クラッチ部材とを有しているものにおいて、(1)前記第1噛み合いクラッチの切り離し後に、前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度から、所定範囲内の初期連結エンジン速度(((OS×GRT )+REF1 )>ES>((OS×GRT )−REF2 )))を前記エンジンに命令する段階と、(2)現在のエンジン速度が前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度から所定範囲内にある時、前記第2噛み合いクラッチの前記第1及び第2クラッチ部材を連結位置へ継続的に押し付ける一方で、選択的に第1出力軸速度(OS1 )を検知し、該第1出力軸速度で前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期速度より基準速度だけ高いエンジン速度(ES=((OS1 ×GRT )+REF)で前記エンジンを回転させてから、第2出力軸速度(OS2)を検知し、該第2出力軸速度で前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期速度より基準速度だけ低いエンジン速度(ES=((OS2 ×GRT )−REF)で前記エンジンを回転させる段階とを有していることを特徴とする変速機のシフト制御方法。
【請求項2】 前記目標ギヤ比の連結がアップシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに高いことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項3】 前記目標ギヤ比の連結がダウンシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに低いことを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項4】 前記目標ギヤ比の連結がダウンシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに低いことを特徴とする請求項2記載の制御方法。
【請求項5】 前記摩擦カップリングは選択的に連結及び切り離しが行われるマスター摩擦クラッチであることを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項6】 前記所定範囲及び基準測度はすべて、15〜50RPMの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の制御方法。
【請求項7】 車両用自動機械式変速装置(10)における目標ギヤ比(GRT)の連結を制御する装置であって、該車両用自動機械式変速装置(10)は、燃料制御形エンジン(14)と、摩擦カップリング(16)によって前記エンジンに駆動連結された入力軸(114) と出力軸(20)との間に複数の選択的に連結されるギヤ比を備えた機械式多段速度変速機(12)と、エンジン回転速度(ES)、出力軸回転速度(OS)及び目標ギヤ比(GRT )を表す入力信号を含む複数の入力信号を受け取り、該入力信号を所定の論理規則に従って処理して、エンジンの速度を制御する燃料制御装置(26)及び変速機をシフトさせる変速機オペレータ(34)を含むアクチュエータへコマンド出力信号を送る情報処理装置とを有し、前記変速装置のギヤ比変更は、第1噛み合いクラッチを切り離してから、第2噛み合いクラッチを連結する順序で行われ、前記噛み合いクラッチは共に、車両エンジンの回転速度に応じて回転速度が決まる第1クラッチ部材と、出力軸速度に応じて回転速度が決まる第2クラッチ部材とを有しているものにおいて、(1)前記第1噛み合いクラッチの切り離し後に、前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度から、所定値内の初期連結エンジン速度(((OS×GRT )+REF1 )>ES>((OS×GRT )−REF2 )))を前記エンジンに命令する手段と、(2)現在のエンジン速度が前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度から所定範囲内にある時、前記第2噛み合いクラッチの前記第1及び第2クラッチ部材を連結位置へ継続的に押し付ける一方で、選択的に第1出力軸速度(OS1 )を検知し、該第1出力軸速度で前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期速度より基準速度だけ高いエンジン速度(ES=((OS1 ×GRT )+REF)で前記エンジンを回転させてから、第2出力軸速度(OS2)を検知し、該第2出力軸速度で前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期速度より基準速度だけ低いエンジン速度(ES=((OS2 ×GRT )−REF)で前記エンジンを回転させる手段とを有していることを特徴とする変速機の制御装置。
【請求項8】 前記目標ギヤ比の連結がアップシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに高いことを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項9】 前記目標ギヤ比の連結がダウンシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに低いことを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項10】 前記目標ギヤ比の連結がダウンシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに低いことを特徴とする請求項8記載の制御装置。
【請求項11】 前記摩擦カップリングは選択的に連結及び切り離しが行われるマスター摩擦クラッチであることを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項12】 前記所定範囲及び基準測度はすべて、15〜50RPMの範囲内にあることを特徴とする請求項7記載の制御装置。
【請求項13】 車両用自動機械式変速装置(10)における目標ギヤ比(GRT )の連結を制御する情報処理装置(42)であって、前記車両用自動機械式変速装置(10)は、燃料制御形エンジン(14)と、摩擦カップリング(16)によって前記エンジンに駆動連結された入力軸(114) と出力軸(20)との間に複数の選択的に連結されるギヤ比を備えた機械式多段速度変速機(12)とを有し、前記情報処理装置(42)は、エンジン回転速度(ES)、出力軸回転速度(OS)及び目標ギヤ比を表す入力信号を含む複数の入力信号を受け取り、該入力信号を所定の論理規則に従って処理することにより、エンジンの速度を制御するエンジンコントローラ(26)及び変速機をシフトさせる変速機オペレータ(34)を含むシステムアクチュエータへコマンド出力信号を送り、前記変速装置のギヤ比変更は、第1噛み合いクラッチを切り離してから、第2噛み合いクラッチを連結する順序で行われ、前記噛み合いクラッチは共に、エンジンの回転速度に応じて回転速度が決まる第1クラッチ部材と、出力軸速度に応じて回転速度が決まる第2クラッチ部材とを有しているものにおいて、前記論理規則は、(1)前記第1噛み合いクラッチの切り離し後に、前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度から、所定範囲内の初期連結エンジン速度(((OS×GRT )+REF1 )>ES>((OS×GRT )−REF2 )))を前記エンジンに命令し、(2)現在のエンジン速度が前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度から所定値内にある時、前記第2噛み合いクラッチの前記第1及び第2クラッチ部材を連結位置へ継続的に押し付ける一方で、選択的に第1出力軸速度(OS1 )を検知し、該第1出力軸速度で前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期速度より基準速度だけ高いエンジン速度(ES=((OS1 ×GRT )+REF)で前記エンジンを回転させてから、第2出力軸速度(OS2 )を検知し、該第2出力軸速度で前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期速度より基準速度だけ低いエンジン速度(ES=((OS2 ×GRT )−REF)で前記エンジンを回転させることを特徴とする変速機の情報処理装置。
【請求項14】 前記目標ギヤ比の連結がアップシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに高いことを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。
【請求項15】 前記目標ギヤ比の連結がダウンシフトである場合、前記初期連結エンジン速度は前記第2噛み合いクラッチを連結するための同期エンジン速度よりわずかに低いことを特徴とする請求項13記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−261250
【公開日】平成8年(1996)10月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−49464
【出願日】平成8年(1996)2月13日
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】Eaton Center,Cleveland,Ohio 44114,U.S.A.