外シースを備えたプラスチックチューブ上にカフを製造するための方法
【課題】外シースを備えたプラスチックチューブ上にカフを製造するための方法を提供する。
【解決手段】内側チューブ(1;21)と該内側チューブ(1;21)を覆う外側シース(6;23)とを含むプラスチックチューブ(14;30)上にカフを製造するための方法。外側シース(6;23)は、カフを形成するために成形される少なくとも一部分を含む。当該方法は、内側チューブ(1;21)とシース(6;23)との間に断続的に又は連続的に空気が注入される注入操作を含む。
【解決手段】内側チューブ(1;21)と該内側チューブ(1;21)を覆う外側シース(6;23)とを含むプラスチックチューブ(14;30)上にカフを製造するための方法。外側シース(6;23)は、カフを形成するために成形される少なくとも一部分を含む。当該方法は、内側チューブ(1;21)とシース(6;23)との間に断続的に又は連続的に空気が注入される注入操作を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外シースを備えたプラスチックチューブ上にカフを製造するための方法に関するものである。
【0002】
特に、本発明は、以下の説明で例示的にしかしながら非制限的に具体的に言及される気管チューブ又は気管切開カニューレの製造に有利に使用される。
【0003】
本明細書において、以下では、用語「カフ」は、例えば気管チューブなどのチューブの周囲に取り付けされた膨張性のバルーンを意味するものとする。気管チューブにおいて、カフの目的は、肺から空気が漏れること及び肺に細菌が入ることを阻止するために、チューブと気管との間の漏れ止めとして機能することである。例えば尿道カテーテルなどのその他のカテーテルでは、カフの目的は、挿入先の身体部分にチューブを固定して取り付けることである。
【0004】
気管チューブは、集中治療室又は麻酔用ベンチレータによる空気又はガス混合を、呼吸回路を通じて患者の気道に運ぶ手段として使用される。気管切開カニューレは、気管チューブと同じ用途を有することができ、又は特定の疾患若しくは不測の理由のためにこの気道バイパスなしには自発的に且つ十分に呼吸することができない自発呼吸下の患者に装着することができる。
【0005】
通常、カフは、予め押し出しされたチューブを膨張させる吹き込みプロセス又はそれに代わる技術によって得られる。チューブに対するカフの組み付けプロセスは、以下の、
カラーと称されるカフ端を切断する段階と、
そうして得られたカフをチューブに嵌め込み、その位置を修正する段階と、
溶剤又は接着剤によって貼り付けする段階と、
からなる。
【0006】
上記のプロセスの結果、ある種の段がカラーの切り端の隣りに形成される。この段は、それによって生じ得る磨耗ゆえに、挿管操作時における外傷性要素を意味する。この問題は、チューブの直径がより狭く、カラーの厚さが決定的になる、子供や幼児の患者に特に関わりのある問題である。
【0007】
先行技術プロセスの別の問題は、製造に関する。実際、成形操作及び組み付け操作は、プロセス全体を遅くし、高価にし、尚且つ個人の経験及び能力に大きく依存させる。このような問題は、チューブの直径が(例えば子供や幼児の患者用に)狭い場合、並びにカフが厚さの薄いポリウレタン(PU)で作成され、取り扱い、チューブ化、及び貼り付けの際に損傷されやすい場合に関わりを増すことに留意することが重要である。
【0008】
上記の欠点を克服するための手法が、欧州特許第1733752(A1)号に開示されている。この特許出願は、カフを形成するための外シースを備えたチューブを得る方法を開示している。この方法は、カフ成形区域への付着防止剤の添加を提供する。当業者ならば明らかなように、付着防止剤の存在及び使用は、しかしながら、技術的及び経済的な一連の不都合を伴う可能性がある。
【0009】
本発明の狙いは、外シースを備えたプラスチックチューブ上にカフを製造するための方法を提供することにあり、その技術的特徴は、上記付着防止材料の使用を回避できることにある。
【0010】
本発明の目的は、外シースを備えたプラスチックチューブを製造するための方法であり、その本質的特徴は、請求項1に報告されており、その好ましい特徴及び/又は補助的な特徴は、請求項2から請求項10に報告されている。
【0011】
本発明のより良き理解のために、添付の図面を参照にして、限定的ではなく例示的に、2つの好ましい実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1a】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第一の図である。
【図1b】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第二の図である。
【図1c】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第三の図である。
【図1d】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第四の図である。
【図1e】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第五の図である。
【図1f】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第六の図である。
【図1g】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第七の図である。
【図1h】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第八の図である。
【図2a】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第一の図である。
【図2b】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第二の図である。
【図2c】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第三の図である。
【図2d】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第四の図である。
【0013】
図1aでは、押し出しされ引き続き所望の長さに切断された気管チューブが1で示されている。以下で説明されるように提供されるカフに対応して膨張ルーメン(既に知られており、簡潔さを期するため図示されていない)を外部と接続するために、気管チューブ1上には、表面的な切り込み2が切り抜きされてある。
【0014】
図1bは、周囲に気管チューブ1を配されてアセンブリ4を形成する金属コア3を示している。具体的に言うと、金属コア3は、中空であり、圧縮空気のための供給ラインLに接続される接続端3aと、圧縮空気の出口のための幾つかの穴(不図示)を有する切頂円錐端3bとを含む。図に示されるように、切頂円錐形状を有する第2の端3bは、気管チューブ1の外部に留まる。
【0015】
図1cは、押し出しされ冷却されたシース6を金属チューブ7内に挿入された第2のアセンブリ5を示している。チューブ7内におけるシース6の位置は、留め具8を用いて固定される。具体的に言うと、金属チューブ7は、シース6の直径より大きい内径を有するので、上記シース6は、ひとたび膨張されると、金属チューブ7のサイズになることができる。
【0016】
図1dに示されるように、アセンブリ5は、切頂円錐端3bをシース6の第1の端内に持ってくることによって、アセンブリ4に接続される。切頂円錐端3bを通じた空気の注入は、この位置で開始され、それと同時に、アセンブリ4は、アセンブリ5内を滑って新しいアセンブリ9を得る。アセンブリ5内でアセンブリ4が滑っている間に、その結果として生じる空気は、シース6を膨張させ、それと同時に気管チューブ1の周囲にエアクッションを形成することによって、シース6を金属チューブ7に付着させたままに維持する。こうして形成されたエアクッションは、気管チューブ1をシース6内に滑り込ませることを可能にする。そして、チューブの外径より小さい内径を有し、弾性材料で作成されているシース6は、エアクッションが壊れるとすぐに、気管チューブ1に付着した状態になる。
【0017】
図1eは、シース6が気管チューブ1に完全に付着した時点におけるアセンブリ9の切り離しを示している。切り離しは、留め具8を解除し、気管チューブ1及びそれを取り巻くシース6を金属チューブ7から抜き出すことによって生じる。ひとたび抜き出されると、シース6の部分は、切頂円錐端3bに対応して切断され、それと同時に、シース6の新しい一部分が、新しい生産サイクルのために金属チューブ7内に配される。
【0018】
図1fは、気管チューブ1からの金属コア3の分離を示しており、それと同時に、シース6は、該シースを気管チューブ1のサイズに適応させるための仕上げ切断を経て、半完成品の医療用チューブ10を得る。
【0019】
図1gは、使用時に膨張ルーメンをその貼り付け先である膨張チューブの一部分に接続するために、切り込み11を切り抜きされた、半完成品10を示している。
【0020】
図1hは、切り込み2を含む半完成品10の一部分が、カフ13を成形するため及びそうして医療用チューブ14を生産するために型12内に挿入される、成形段階を示している。型12は、出願人の名で本出願と同日に出願され、引用によって本明細書に組み込まれる、イタリア特許出願「Die for molding of a cuff on a plastic tube(プラスチックチューブ上にカフを成形するための型)」に記載され、特許請求されている。
【0021】
図2a〜2dを参照にして、本発明の目的である方法の第2の実施形態が説明される。該方法は、より自動化されている点で、図1a〜1hに関した方法と異なる。
【0022】
図2aは、連続押し出しされ、空気によって冷却され、以下で説明されるように提供されるカフに膨張ルーメン(既に知られており、簡潔さを期するため図示されていない)を接続するために所定の距離に表面的な切り込み22を切り抜きされた、気管チューブ21を示している。気管チューブ21は、図1の実施形態で必要とされたような金属コアを必要としない程度の硬さを有する。
【0023】
図2bは、気管チューブ21をシース23で覆う、被覆段階を示している。ひとたび冷却され、前述のように切り込みされると、気管チューブ21は、被覆シース23を上乗せ押し出しによって形成する第2の押出ヘッド24に連続的に挿入される。具体的に言うと、プラスチック材料が入口24bを通して押出ヘッド24に入り、チューブ21の周囲に上乗せ押し出しされ、上記シース23を形成する。シース23の上乗せ押し出し時には、気管チューブ21と、形成中のシース23との間に、一定の間隔で幾らかの空気が注入される。具体的に言うと、空気は、使用時に圧縮空気の供給ラインに接続される入口24aを通じて押出ヘッド24に入り、シース23と気管チューブ21との間の表面的な切り込み22に対応して注入されるので、幾つかの非付着領域が、上記切り込み22の周囲に形成される。こうして、切り込み22の周囲の領域に複数のシース23の膨らみ26を規則的に分布させた、半完成品の医療用チューブ25が得られる。その後は、規則的に分布された切り込み27が、使用時に膨張ルーメンをその貼り付け先である膨張チューブのそれぞれの部分に接続するために、切り抜きされる。
【0024】
図2cは、膨らみ26を含む半完成品の医療用チューブ25の一部分が、カフ29の成形のために型28内に挿入される、成形段階を示している。型12について言及されたように、型28もまた、出願人の名で本出願と同日に出願され、引用によって本明細書に組み込まれる、イタリア特許出願「Die for molding of a cuff on a plastic tube(プラスチックチューブ上にカフを成形するための型)」に記載され、特許請求されている。
【0025】
最後に、図2dは、カフ29の成形後に半完成品の医療用チューブ25を所定の地点で切断することによって得られる医療用チューブ30を示している。
【0026】
以上の説明からの明らかな結果としてわかるように、本発明の目的である方法は、付着防止材料を使用することなく気管チューブを生産することを可能にする。
【技術分野】
【0001】
本発明は、外シースを備えたプラスチックチューブ上にカフを製造するための方法に関するものである。
【0002】
特に、本発明は、以下の説明で例示的にしかしながら非制限的に具体的に言及される気管チューブ又は気管切開カニューレの製造に有利に使用される。
【0003】
本明細書において、以下では、用語「カフ」は、例えば気管チューブなどのチューブの周囲に取り付けされた膨張性のバルーンを意味するものとする。気管チューブにおいて、カフの目的は、肺から空気が漏れること及び肺に細菌が入ることを阻止するために、チューブと気管との間の漏れ止めとして機能することである。例えば尿道カテーテルなどのその他のカテーテルでは、カフの目的は、挿入先の身体部分にチューブを固定して取り付けることである。
【0004】
気管チューブは、集中治療室又は麻酔用ベンチレータによる空気又はガス混合を、呼吸回路を通じて患者の気道に運ぶ手段として使用される。気管切開カニューレは、気管チューブと同じ用途を有することができ、又は特定の疾患若しくは不測の理由のためにこの気道バイパスなしには自発的に且つ十分に呼吸することができない自発呼吸下の患者に装着することができる。
【0005】
通常、カフは、予め押し出しされたチューブを膨張させる吹き込みプロセス又はそれに代わる技術によって得られる。チューブに対するカフの組み付けプロセスは、以下の、
カラーと称されるカフ端を切断する段階と、
そうして得られたカフをチューブに嵌め込み、その位置を修正する段階と、
溶剤又は接着剤によって貼り付けする段階と、
からなる。
【0006】
上記のプロセスの結果、ある種の段がカラーの切り端の隣りに形成される。この段は、それによって生じ得る磨耗ゆえに、挿管操作時における外傷性要素を意味する。この問題は、チューブの直径がより狭く、カラーの厚さが決定的になる、子供や幼児の患者に特に関わりのある問題である。
【0007】
先行技術プロセスの別の問題は、製造に関する。実際、成形操作及び組み付け操作は、プロセス全体を遅くし、高価にし、尚且つ個人の経験及び能力に大きく依存させる。このような問題は、チューブの直径が(例えば子供や幼児の患者用に)狭い場合、並びにカフが厚さの薄いポリウレタン(PU)で作成され、取り扱い、チューブ化、及び貼り付けの際に損傷されやすい場合に関わりを増すことに留意することが重要である。
【0008】
上記の欠点を克服するための手法が、欧州特許第1733752(A1)号に開示されている。この特許出願は、カフを形成するための外シースを備えたチューブを得る方法を開示している。この方法は、カフ成形区域への付着防止剤の添加を提供する。当業者ならば明らかなように、付着防止剤の存在及び使用は、しかしながら、技術的及び経済的な一連の不都合を伴う可能性がある。
【0009】
本発明の狙いは、外シースを備えたプラスチックチューブ上にカフを製造するための方法を提供することにあり、その技術的特徴は、上記付着防止材料の使用を回避できることにある。
【0010】
本発明の目的は、外シースを備えたプラスチックチューブを製造するための方法であり、その本質的特徴は、請求項1に報告されており、その好ましい特徴及び/又は補助的な特徴は、請求項2から請求項10に報告されている。
【0011】
本発明のより良き理解のために、添付の図面を参照にして、限定的ではなく例示的に、2つの好ましい実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1a】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第一の図である。
【図1b】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第二の図である。
【図1c】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第三の図である。
【図1d】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第四の図である。
【図1e】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第五の図である。
【図1f】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第六の図である。
【図1g】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第七の図である。
【図1h】本発明の目的である方法の第1の実施形態の段階を示す第八の図である。
【図2a】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第一の図である。
【図2b】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第二の図である。
【図2c】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第三の図である。
【図2d】本発明の目的である方法の第2の実施形態の段階を示す第四の図である。
【0013】
図1aでは、押し出しされ引き続き所望の長さに切断された気管チューブが1で示されている。以下で説明されるように提供されるカフに対応して膨張ルーメン(既に知られており、簡潔さを期するため図示されていない)を外部と接続するために、気管チューブ1上には、表面的な切り込み2が切り抜きされてある。
【0014】
図1bは、周囲に気管チューブ1を配されてアセンブリ4を形成する金属コア3を示している。具体的に言うと、金属コア3は、中空であり、圧縮空気のための供給ラインLに接続される接続端3aと、圧縮空気の出口のための幾つかの穴(不図示)を有する切頂円錐端3bとを含む。図に示されるように、切頂円錐形状を有する第2の端3bは、気管チューブ1の外部に留まる。
【0015】
図1cは、押し出しされ冷却されたシース6を金属チューブ7内に挿入された第2のアセンブリ5を示している。チューブ7内におけるシース6の位置は、留め具8を用いて固定される。具体的に言うと、金属チューブ7は、シース6の直径より大きい内径を有するので、上記シース6は、ひとたび膨張されると、金属チューブ7のサイズになることができる。
【0016】
図1dに示されるように、アセンブリ5は、切頂円錐端3bをシース6の第1の端内に持ってくることによって、アセンブリ4に接続される。切頂円錐端3bを通じた空気の注入は、この位置で開始され、それと同時に、アセンブリ4は、アセンブリ5内を滑って新しいアセンブリ9を得る。アセンブリ5内でアセンブリ4が滑っている間に、その結果として生じる空気は、シース6を膨張させ、それと同時に気管チューブ1の周囲にエアクッションを形成することによって、シース6を金属チューブ7に付着させたままに維持する。こうして形成されたエアクッションは、気管チューブ1をシース6内に滑り込ませることを可能にする。そして、チューブの外径より小さい内径を有し、弾性材料で作成されているシース6は、エアクッションが壊れるとすぐに、気管チューブ1に付着した状態になる。
【0017】
図1eは、シース6が気管チューブ1に完全に付着した時点におけるアセンブリ9の切り離しを示している。切り離しは、留め具8を解除し、気管チューブ1及びそれを取り巻くシース6を金属チューブ7から抜き出すことによって生じる。ひとたび抜き出されると、シース6の部分は、切頂円錐端3bに対応して切断され、それと同時に、シース6の新しい一部分が、新しい生産サイクルのために金属チューブ7内に配される。
【0018】
図1fは、気管チューブ1からの金属コア3の分離を示しており、それと同時に、シース6は、該シースを気管チューブ1のサイズに適応させるための仕上げ切断を経て、半完成品の医療用チューブ10を得る。
【0019】
図1gは、使用時に膨張ルーメンをその貼り付け先である膨張チューブの一部分に接続するために、切り込み11を切り抜きされた、半完成品10を示している。
【0020】
図1hは、切り込み2を含む半完成品10の一部分が、カフ13を成形するため及びそうして医療用チューブ14を生産するために型12内に挿入される、成形段階を示している。型12は、出願人の名で本出願と同日に出願され、引用によって本明細書に組み込まれる、イタリア特許出願「Die for molding of a cuff on a plastic tube(プラスチックチューブ上にカフを成形するための型)」に記載され、特許請求されている。
【0021】
図2a〜2dを参照にして、本発明の目的である方法の第2の実施形態が説明される。該方法は、より自動化されている点で、図1a〜1hに関した方法と異なる。
【0022】
図2aは、連続押し出しされ、空気によって冷却され、以下で説明されるように提供されるカフに膨張ルーメン(既に知られており、簡潔さを期するため図示されていない)を接続するために所定の距離に表面的な切り込み22を切り抜きされた、気管チューブ21を示している。気管チューブ21は、図1の実施形態で必要とされたような金属コアを必要としない程度の硬さを有する。
【0023】
図2bは、気管チューブ21をシース23で覆う、被覆段階を示している。ひとたび冷却され、前述のように切り込みされると、気管チューブ21は、被覆シース23を上乗せ押し出しによって形成する第2の押出ヘッド24に連続的に挿入される。具体的に言うと、プラスチック材料が入口24bを通して押出ヘッド24に入り、チューブ21の周囲に上乗せ押し出しされ、上記シース23を形成する。シース23の上乗せ押し出し時には、気管チューブ21と、形成中のシース23との間に、一定の間隔で幾らかの空気が注入される。具体的に言うと、空気は、使用時に圧縮空気の供給ラインに接続される入口24aを通じて押出ヘッド24に入り、シース23と気管チューブ21との間の表面的な切り込み22に対応して注入されるので、幾つかの非付着領域が、上記切り込み22の周囲に形成される。こうして、切り込み22の周囲の領域に複数のシース23の膨らみ26を規則的に分布させた、半完成品の医療用チューブ25が得られる。その後は、規則的に分布された切り込み27が、使用時に膨張ルーメンをその貼り付け先である膨張チューブのそれぞれの部分に接続するために、切り抜きされる。
【0024】
図2cは、膨らみ26を含む半完成品の医療用チューブ25の一部分が、カフ29の成形のために型28内に挿入される、成形段階を示している。型12について言及されたように、型28もまた、出願人の名で本出願と同日に出願され、引用によって本明細書に組み込まれる、イタリア特許出願「Die for molding of a cuff on a plastic tube(プラスチックチューブ上にカフを成形するための型)」に記載され、特許請求されている。
【0025】
最後に、図2dは、カフ29の成形後に半完成品の医療用チューブ25を所定の地点で切断することによって得られる医療用チューブ30を示している。
【0026】
以上の説明からの明らかな結果としてわかるように、本発明の目的である方法は、付着防止材料を使用することなく気管チューブを生産することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフをプラスチックチューブ(14;30)上に成形するのに適した該プラスチックチューブ(14;30)を製造するための方法であって、前記チューブは、内側チューブ(1;21)と、前記内側チューブ(1;21)を覆う外側シース(6;23)とを含み、前記外側シース(6;23)は、前記カフを形成するために成形される一部分を少なくとも含み、
前記方法は、
前記内側チューブ(1;21)と前記シース(6;23)との間に断続的に又は連続的に空気が注入される注入操作を含む被覆段階を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記内側チューブ(1;21)は膨張ルーメンを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記膨張ルーメンを外部と接続するために、前記内側チューブ上に、少なくとも一切り込み(2;22)が切り抜きされる、切り込み段階を有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の方法であって、
前記被覆段階は、前記シース(6)内に前記内側チューブ(1)を挿入する操作を含み、前記挿入操作は、幾らかの空気が連続的に注入される前記注入操作によって補助される、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記挿入操作では、前記内側チューブ(1)は、圧縮空気の供給ライン(L)に接続された第1の端(3a)と、前記内側チューブ(1)から出るとともに前記圧縮空気の出口のための幾つかの穴を有する第2の端(3b)と、を含む中空の金属コア(3)の周囲に配され、前記シース(6)は、金属チューブ(7)内に挿入され、前記第2の端(3b)は、前記挿入操作時に前記シース(6)に最初に挿入される、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、
前記シース(6)は、前記内側チューブ(1)の外径より小さい内径を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
成形段階であって、前記切り込み(2)に対応して配されたシース(6)の一部分が、カフ(13)を形成するために型(12)内で成形される、成形段階を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記被覆段階は、前記内側チューブ(21)の周囲に前記シース(27)を上乗せ押し出しすることを含み、前記上乗せ押し出しは、前記注入操作によって補助され、該注入操作では、規則的に分布された非付着領域を前記シース(27)と前記内側チューブ(21)との間に前記切り込み(22)に対応して形成するために、幾らかの空気が断続的に注入される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
成形段階であって、前記非付着領域に対応して配されたシース(23)の一部分が、カフ(28)を形成するために型(27)内で成形される成形段階を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の方法であって、
前記膨張ルーメンを膨張チューブの一部分に接続するために、前記シース(6;23)上及び前記内側チューブ(1;21)上に少なくとも更なる一つの切り込み(11;27)が切り抜かれる、第2の切り込み段階を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の方法であって、
前記プラスチックチューブ(14;30)は医療用チューブである、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記医療用チューブは気管チューブ又は気管切開カニューレである、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の方法を用いて生産されることを特徴とする医療用チューブ(14;30)。
【請求項1】
カフをプラスチックチューブ(14;30)上に成形するのに適した該プラスチックチューブ(14;30)を製造するための方法であって、前記チューブは、内側チューブ(1;21)と、前記内側チューブ(1;21)を覆う外側シース(6;23)とを含み、前記外側シース(6;23)は、前記カフを形成するために成形される一部分を少なくとも含み、
前記方法は、
前記内側チューブ(1;21)と前記シース(6;23)との間に断続的に又は連続的に空気が注入される注入操作を含む被覆段階を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記内側チューブ(1;21)は膨張ルーメンを備える、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記膨張ルーメンを外部と接続するために、前記内側チューブ上に、少なくとも一切り込み(2;22)が切り抜きされる、切り込み段階を有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の方法であって、
前記被覆段階は、前記シース(6)内に前記内側チューブ(1)を挿入する操作を含み、前記挿入操作は、幾らかの空気が連続的に注入される前記注入操作によって補助される、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記挿入操作では、前記内側チューブ(1)は、圧縮空気の供給ライン(L)に接続された第1の端(3a)と、前記内側チューブ(1)から出るとともに前記圧縮空気の出口のための幾つかの穴を有する第2の端(3b)と、を含む中空の金属コア(3)の周囲に配され、前記シース(6)は、金属チューブ(7)内に挿入され、前記第2の端(3b)は、前記挿入操作時に前記シース(6)に最初に挿入される、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法であって、
前記シース(6)は、前記内側チューブ(1)の外径より小さい内径を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
成形段階であって、前記切り込み(2)に対応して配されたシース(6)の一部分が、カフ(13)を形成するために型(12)内で成形される、成形段階を備えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記被覆段階は、前記内側チューブ(21)の周囲に前記シース(27)を上乗せ押し出しすることを含み、前記上乗せ押し出しは、前記注入操作によって補助され、該注入操作では、規則的に分布された非付着領域を前記シース(27)と前記内側チューブ(21)との間に前記切り込み(22)に対応して形成するために、幾らかの空気が断続的に注入される、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
成形段階であって、前記非付着領域に対応して配されたシース(23)の一部分が、カフ(28)を形成するために型(27)内で成形される成形段階を備えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか一項に記載の方法であって、
前記膨張ルーメンを膨張チューブの一部分に接続するために、前記シース(6;23)上及び前記内側チューブ(1;21)上に少なくとも更なる一つの切り込み(11;27)が切り抜かれる、第2の切り込み段階を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の方法であって、
前記プラスチックチューブ(14;30)は医療用チューブである、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記医療用チューブは気管チューブ又は気管切開カニューレである、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか一項に記載の方法を用いて生産されることを特徴とする医療用チューブ(14;30)。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【公開番号】特開2010−179106(P2010−179106A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24766(P2010−24766)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(507253897)コヴィディエン アクチエンゲゼルシャフト (11)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(507253897)コヴィディエン アクチエンゲゼルシャフト (11)
[ Back to top ]