説明

外傷治療用装置及び方法

【課題】様々な種類の慢性的でかつ痛みを伴う外傷を治療することが可能な外傷治療用装置及び方法を提供する。
【解決手段】外傷治療用の装置を開示する。外傷治療用装置は、外傷の少なくとも一部を覆い、患者の体の表面を気密にするためのハウジングを備える。ハウジングは、液体を保持するための液体保持チャンバと、真空源に接続される真空接続部とを有する。真空接続部は、液体保持チャンバと、気体が流れるように連通している。真空接続部は、液体バリアによって液体保持チャンバから分離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、感染による外傷、静脈性潰瘍、動脈性潰瘍、糖尿病性潰瘍、火傷、切開による外傷、外科的外傷等の様々な種類の慢性的でかつ痛みを伴う外傷を治療することが可能な外傷治療用装置及び方法に関する。特に、本発明は、陰圧治療を用いる外傷治療用装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
陰圧治療は、様々な外傷を治療するための一手法として利用されている。従来の装置は、サイズが大きく、吸引ポンプ、真空ポンプ等の複雑な機器を基本的に必要とし、また、複雑な電気制御装置を必要としていた。上述した機器以外の関連機器としては、例えば、液体/浸出液捕集キャ二スタ、液体搬送用導管、及び圧力レギュレータ/トランスデューサ/センサが挙げられる。その結果、かかる装置は大がかりで、大きな電力が必要で、比較的コストが高く、そして実質的に使い捨てすることができなかった。さらに、既存の装置の複雑さのため、患者を静止した状態で監視することが必要で、装置の初期配置及び変更は、医師や看護婦によって行わなければならなかった。現在では、かかる装置の使用に必要な典型的なコストは、一日に患者一人に対しておよそ百ドル程度である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヘルスケア及び医療用装置のコストの増加は、患者にとっては負担であり、治療提供者としては、医療行為を行う者による監視の負担がより少なく、患者が家庭でも使用できるといったような解決策を望んでいる。さらに、患者としても、旅行に行ったり、移動したりすることを可能とする携帯可能な種類の装置を望んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、外傷に陰圧治療を施す自己統合型(self−integrated)の外傷治療用装置を提供する。一の実施形態においては、装置は、少なくとも外傷の一部を覆うハウジングを有する。また、装置は、液体保持チャンバと、真空源に接続される真空接続部とを備える。真空接続部は、液体保持チャンバと、気体が流れることができるように連通している。真空接続部は、液体バリアにより、液体保持チャンバから分離されている。外傷治療用装置は、ハウジングが患者の体の表面を気密にできるようにするため、シールを備える。
【0005】
ある実施形態では、真空接続部は、ハウジング内またはその近傍に配置されたマイクロ真空ポンプと接続される。他の実施形態では、真空接続部は、ハウジングから所定の距離を置いて配置された真空源に接続される真空ポートから構成される。
【0006】
他の実施形態においては、外傷治療用装置は、モジュラー式で、外傷接触モジュール、液体保持モジュール、及び、真空ポンプモジュールから構成される。この場合、外傷治療用装置の各モジュールは、別個に交換可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な種類の慢性的でかつ痛みを伴う外傷を治療することが可能な外傷治療用装置及び方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図面において示されるとともに以下に説明する本発明の実施形態に係る発明特定事項は、異なる様々な構成に応じて配置、設計することが可能である。従って、図示して詳細に説明する以下の実施形態は、本発明を限定するものではなく、あくまでも本発明の実施形態を例示するためのものである。本発明の様々な態様を図面によって示すことが可能であるが、特に説明しない限り図示を省略することがある。
【0009】
図1の斜視図を参照して、外傷治療用装置10は、少なくとも部分的に外傷を覆うようにして、患者の体の表面に取り付けられる。装置10は、内部空間を画定するハウジング20を備える。一の実施形態においては、ハウジング20は、剛体または半剛体である。これにより、真空状態でハウジング20がつぶれてしまうのを防止している。ハウジング20は、このハウジング20内での真空治療を可能とするため、ハウジング20を支持するカスタマイズ可能な剛体または半剛体の構造支持体(図示せず)によって支持されるフレキシブルなバリアまたは表面ラップ(surface wrap)から形成される。フレキシブルバリア/表面ラップは、皮膚に対応可能な接着力を有する薄いポリウレタンフィルムから構成され、このポリウレタンフィルムは、液体保持チャンバとして機能する発泡体によって支持される。例えば、構造支持体は、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、シリコン、ネオプレン等の剛体のまたは半剛体のプラスチックまたは発泡体から形成される。
【0010】
一の実施形態では、ハウジング20は、半透過性である。半透過性のハウジングは、例えば、実質的に液体が透過できないが、真空状態で、ハウジング20の下部で陰圧を維持できるように水蒸気やその他の気体が透過可能である。例えば、ハウジングは、テガダーム(登録商標)ブランドの下で販売されているポリウレタンや半透過性の材料から形成される。一の実施形態においては、ハウジングは、およそ836グラム/m2/日以上の水蒸気透過速度(WVTR)を有する。しかしながら、他の実施形態においては、WVTRは、およそ836グラム/m2/日以下である。さらに他の実施形態では、ハウジングの材料は、液体及び気体(水蒸気を含む)の両方に対して実質的に不浸透性である。
【0011】
装置10が患者に取り付けられて起動されると、あるいは、アダプタ32を介して真空接続部30を外部ポンプに接続すると、装置10は、外傷に対して陰圧を供給する。装置10は、既存のシール材、例えば、一の実施形態では、ハウジングシール24を用いて主に患者の体の表面に取り付けられる。用途によっては、装置10は、この装置10を患者に対して固定するためのフレキシブルバリア12を備えていてもよい。さらに、いくつかの実施形態においては、ハウジング20の内部または近傍でマイクロ真空ポンプを用いてもよい。
【0012】
図2は、図1に示す装置10の矢線2−2に沿った断面図である。図2は、この実施形態に係る外傷治療用装置10の内部構成および内部配置を示している。図示する装置10が備える剛体または半剛体のハウジング20は、内部空間22を画定する。この装置10では、内部空間22は、さらに、液体バリア36によって真空チャンバ24と液体保持チャンバ40とに分割される。真空接続部30は、真空ポンプや当業者によく知られたその他のソースから構成される外部真空源(図示せず)への接続を可能にするアダプタ32に接続される。真空接続部30は、真空チャンバ24及び液体バリア36を介して、気体が流れるように液体保持チャンバ40に連通している。真空接続部30は、マイクロ真空ポンプあるいは装置の近傍にある他の陰圧源、または、外部真空ポンプに接続される。
【0013】
一の実施形態では、真空接続部30は、ハウジングの近傍または内部に位置する浸透性または電気浸透性ポンプに接続される。浸透性ポンプは、インバイビング(imbibing)水または他の駆動フルードを含む。このポンプは、塩チャンバと液体チャンバとから構成される。塩及び水チャンバは、水に対して実質的に透過性があるとともに、塩に対して実質的に透過性がない半透過性の膜によって分割される。水は、浸透的に塩チャンバに吸収され、真空または部分的真空状態を生じさせる。塩と水以外の物質を用いても、液体が空間からなくなるようにして真空または部分的真空状態を生じさせることもできる。半透過性または浸透性の膜は、液体保持チャンバに連通したカチオンまたはアニオン膜から構成される。様々な種類の浸透性膜が商業上利用可能で、それらのうちの一つを本発明において用いる。
【0014】
一の実施形態では、電気浸透性ポンプは、真空状態または部分的真空状態を生じさせるために用いられる。選択的に透過性のある膜が、液体を浸透的に分散させて真空状態、部分的真空状態、または陰圧状態を生じさせる真空チャンバあるいはその近傍に配置される。動作の際、一組の電極を介して電力源から電圧が電気回路に印加されることにより、電気浸透性ポンプが作動し、これによって電極反応が起こり、水または他のフルードが抽出されて真空状態または部分的真空状態が生じる。
【0015】
他の代替的な実施形態では、外傷を治療する方法は、中空を有するハウジングを、外傷の少なくとも一部がハウジングの中空内に位置するように配置するステップと、中空に水等の液体を充てんしてから液体(水)を中空から除去し、そして浸透性または電気浸透性セルを用いて中空またはハウジング内で制御された真空状態または部分的真空状態を生じさせるステップとを含む。
【0016】
液体バリア36は、液体保持チャンバ40から真空接続部30に液体が流れることを防止する。液体バリアは、液体が液体保持チャンバ40から真空チャンバ24に流れないように防止するとともに、気体が流れることを許容して真空接続部30から陰圧が伝達されるようにする様々な種類の好適な技術によって構成される。液体バリア36は、例えば、多孔性かつ疎水性の膜、多孔性かつ疎水性の構造、液滴ギャップ、迷路から構成される。多孔性かつ疎水性の膜の例としては、これらに限定されるものではないが、多孔性かつ微小孔性のポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、または、それらの繊維層もしくはそれらの組み合わせからなる繊維層が挙げられる。例えば、ゴアテックス(登録商標)ブランドの下で販売されている多孔性かつ疎水性のフィルムが好適である。当業者によく知られている、気体が流れることを許容するとともに液体が流れることを防止するその他の技術を液体バリア36に使用してもよい。
【0017】
図2に示す装置10においては、液体バリア36は、液体が流れるのを許容するとともに、フルードが流れることを防止するように構成された多孔性かつ疎水性の膜から構成される。従って、真空接続部30のアダプタ32に真空源(図示せず)が接続されたとき、陰圧が真空チャンバ24を介して液体保持チャンバ40に供給/伝達され、液体が外傷から液体保持チャンバ40内へと吸収される。液体保持チャンバ40は、このチャンバ40内に吸収された液体を保持するための構造体/物体をさらに備えていてもよい。かかる構造体/物体としては、スポンジや、ウィッキング(wicking)繊維、布、あるいはガーゼや、ゲルを形成する超吸収性ポリマー等の超吸収性物質や、吸収性発泡体や、ゲル剤や、充てん剤や、その他等業者に知られた同様の特色を有する構造体/物質が挙げられる。かかる多孔性構造体または物質は、液体が流れることを許容して、外傷を真空状態にさらすとともに、外傷から液体を吸収して保持する。ある実施形態では、液体吸収構造または薬剤は、抗菌作用を有し、あるいは、抗菌剤を含んでいてもよい。
【0018】
従って、動作の際、装置10は、真空ソースが真空接続部30に接続された状態で、患者の外傷部分にパッチのように取り付けられ、外傷に陰圧を供給する。使用する前に、装置10は汚れることを防止するため梱包されていてもよい。かかる梱包は、バッグや封筒、あるいは、患者に装置を取り付ける前に取り外される、プルタブ18を有する保護シール16によって具現される。外傷部分に陰圧を供給する間、液体が液体保持チャンバ40に吸収され、この液体保持チャンバ40に保持されて、液体バリア36によって液体が流れることを防止する。
【0019】
装置10のハウジング20は、当業者によく知られた好適な材料から製造され、かかる材料としては、これらに限定するものではないが、ポリウレタンを含むゴムや、ポリプロピレン、塩化ポリビニール、ポリエチレン、バレックス(登録商標)ブランドの下で販売されているアクリロニトリル系共重合体、ポリエステル、ナイロン、ポリクロトリフルオロエチレン、フッ素重合体、テフロン(登録商標)ブランドの下で販売されているポリテトラフルオロエチレン等の高密度プラスチック、あるいは、これらの組み合わせが挙げられる。ハウジング20は、液体保持チャンバ40及び真空チャンバ24を包囲する剛体または半剛体であり、陰圧の供給の際にその大きさと外形状を維持し、これにより、ハウジング20内を真空状態に維持することができる。
【0020】
代替的に、ハウジング20は、このハウジング20内で真空状態を維持できるようにハウジング20を支持するカスタマイズ可能な剛体または半剛体の構造支持体によって支持されたフレキシブルなバリアから形成されてもよい。また、ハウジング20は、液体保持チャンバとして機能する発泡体に支持された薄いポリウレタン膜のようなフレキシブルなバリアまたは表面ラップから形成されてもよい。構造支持体は、剛体または半剛体のプラスチックや発泡体(例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレン、シリコンまたはネオプレン)から形成される。
【0021】
装置10のハウジング20は、さらに、外傷と直接接触する外傷接触層41を備えていてもよく、単一または複数の層から構成されていてもよい。外傷接触層41は、外傷の中に直接配置されてもよいし、外傷の上に直接配置されてもよい。外傷接触層41は、外傷を真空状態にするとともに、外傷用医薬材料(dressing)を変更する際に簡単にかつ痛みを伴わないように外傷部分から取り外すことができる層、例えば、トプキン(登録商標)ブランドの下で販売されている分解性共重合体膜であったり、皮膚再生テンプレート(例えば、インテグラ(登録商標)ブランドの下で販売されているもの)、生体吸収性ゲル、発泡体、または組織の接着を防止するバリア(例えば、インサート(登録商標)ブランドの下で販売されているもの)等の特殊な外傷用医薬材料の形で有益なバイオエージェント(bioagent)を提供する層であったり、皮膚の代替物(例えば、バイオフォイル(登録商標)ブランドの下で販売されているもの)であったり、選択的に外傷部分の水分を維持する層(例えば、アレビン(登録商標)ブランドの下で販売されているもの)であったり、血管由来の層(例えば、セラマー(登録商標)ブランドの下で販売されているもの)であったり、あるいは、抗菌性の層であったりする。外傷接触層41は、例えば、これらに限定されるものではないが、シート、発泡体、ゲル、ガーゼ、多孔性母材の形態をとることができる。
【0022】
ある具体的な実施形態においては、ハウジング20は、さらに、圧力安全弁(図示せず)を備える。かかる弁は、装置10内に汚染物質が入り込むのを防止し、これによって外傷部分を保護するための吸入フィルタを備えている。他の実施形態においては、装置10は、充てんインジケータを備えていてもよい。さらに、装置10は、真空接続部用のフロート弁のようなオーバーフロー弁を備えており、真空ソースに液体が流れ込むのを防止する。外傷治療用装置10は、さらに、外傷上及び中空内の圧力及び酸素レベルを検出するためのセンサを備えていてもよい。
【0023】
装置10のハウジング20は、患者の体の表面を気密にするものであってもよい。ある実施形態においては、ハウジング20を患者の体の表面に対して配置して装置10内で真空引きをすることにより、気密作用が生じる。接着剤、ガスケット、その他の当業者に知られた気密にすることに関する技術が、接着剤が裏に塗布された薄いポリウレタン膜からなるシール28として用いられる。当業者にとっては、その他の好適なシールも自明であり、本発明の実施形態において用いてもよい。図1に示すように、ある実施形態では、装置は、この装置10をさらに保護/気密にするためのラップを備える。
【0024】
次に、図3を参照して、他の実施形態に係る外傷治療用装置110を、図2の側断面と同様にして説明する。図3に示す外傷治療用装置110は、ハウジング120と、真空路130とを備える。図3の装置110では、真空路130は、気密状態で外部真空源134に取り付けられるポート132を有し、真空源134から装置110に陰圧が与えられる。代替的な実施形態においては、真空源134は、ハウジング120の近傍、内部、または外部に配置される。例示する装置110では、真空源134は、複数の装置110によって一人の患者に対して共有され、あるいは、装置110によって液体が真空接続部134に流れ込むことがないので複数の患者に対して共有される。装置110は、さらに、真空源134がいつ必要なのかを測定して指示するための圧力センサ(図示せず)を備えていてもよく、圧力を治療に適したレベル、例えば、75〜80mmHgの真空度に維持する。
【0025】
図1及び図2に示す装置10と同様に、図3に示す装置110もまた、液体保持チャンバ140と真空チャンバ124とを備える。この実施形態では、真空チャンバ124は、液体保持チャンバ140に吸収される液体が越えることができない「液滴ギャップ」として機能する液体バリア136自体である。より詳細に説明すると、真空チャンバ124は、ハウジング120の内部空間122内に配置された円筒形の空隙(void)であり、その大きさから、液体が液体保持チャンバ140から真空路130に流れ込むのを防止する。真空路130は、真空チャンバ124内まで延伸し、少なくとも一つの孔138を有する。ハウジング120は、真空路130と液体保持チャンバ140の周辺部142との間で延伸する内部支持体126を有し、真空路130と液体保持チャンバ140との間の距離を適切に保つ。
【0026】
図1及び図2に示す外傷治療用装置については、図3に示す液滴ギャップ原理が得られるようにするため、ハウジング20が十分な剛体で真空チャンバ24を維持できる限りにおいて液体バリア36を除去し、真空接続部30と液体保持チャンバ40との間の接触を防止するように変更されてもよい。
【0027】
図3に戻り、装置110は、液体保持チャンバ140の周辺部分に配置された多孔性かつ疎水性の膜からなる液体バリア136を備えていてもよい。特定の論理に限定されるものではないが、かかる物理的バリアを備えることにより、装置110の方向性の自由度(orientation independence)が向上する。
【0028】
図4は、図3中の円4で囲った、装置110の真空チャンバ124及び液体バリア136の詳細を示す図である。図示するように、内部支持体126は、真空チャンバ124内で真空路130に沿って配置されている。
【0029】
図5は、装置110の真空チャンバ124の構成、形状、及び構造を示す図であり、図3の矢線5−5に沿って外傷治療用装置110の断面を示す。内部支持体126は、真空路130と周辺部分142との間で延伸し、真空路130と液体保持チャンバ140との間の距離を適切に保つ。図5においては、真空チャンバ124は、円筒形状を有する。なお、真空チャンバ124のサイズ、体積、形状は当業者にとって自明な範囲で変更可能である。従って、楕円形状、四角形状、その他の形状が本発明の技術的範囲内で検討可能である。
【0030】
次に、図6を参照して、他の実施形態に係る外傷治療パッチ装置210を、図2の側断面と同様にして説明する。図1〜図5で示した装置と同様に、図6の装置210は、内部空間を形成するハウジング220を備える。しかしながら、この実施形態の外傷治療用装置210は、真空ソース234と、陰圧を真空チャンバ224に供給する供給カプラ232とを含む陰圧ソース230を包含している。真空ソース234は、電源238に接続されて駆動され、この電源もまた、装置210の内部に配置されている。さらに、真空源234及び電源238はハウジング220の内部に配置されるように図示しているが、図6の補助チャンバ226においては、かかる装置はハウジング220の外部か、あるいは、必要に応じて取り外して交換される装置210のモジュール部分内に配置されてもよい。
【0031】
ある実施形態においては、陰圧は、真空ポンプ234に取り付けられたチューブまたはカプラ232を介して液体保持チャンバ240に供給される。真空ソース230が内部に配置された真空ポンプ234である場合、カプラ232は、ポンプ234から真空チャンバ224へと気体が通過可能に接続される。真空ソース230が内部に配置された真空ポンプ234である場合、排気口235が、真空ポンプが脱気できるように設けられる。排気口は、フィルタ237を備え、外部から細菌が内部に入り込んだり、内部から外部に細菌が放出されるのを防止する。真空チャンバ224内のカプラ232の開口は、フィルタ(いくつかの実施形態においては、抗菌性のフィルタ)261を備え、外傷から液体が真空ソース230に流れ込むのを防止し、外部から細菌が外傷部分に入り込むのを防止する。さらに、ある実施形態においては、装置210は、吸気及び排気フィルタの両方を備え、ハウジング220の外部から微生物が混入することを防止する。
【0032】
動作の際、外傷治療用装置210は、まず、患者の体の表面上に配置され、外傷部分を少なくとも部分的に包囲する。上述したように、装置210は、装置210単体の吸引あるいは公知技術から選択されたシール228を用いて患者の体の表面を気密にする。図6に示すシール228は、任意でプルタブ218を有するカバー216によって格納される粘着性のシールである。装置210は、さらに、上述した外傷接触層241を備えていてもよい。
【0033】
患者に装置210を取り付けることに続き、真空源234が駆動され、装置210の内圧を低下させる。陰圧が生じると、液体が外傷から装置210の液体保持チャンバ240へと吸収され、液体バリア236により、真空チャンバ224または陰圧源230へと流れ込むのを防止される。上述した実施形態では、液体バリア236は、当業者にとってよく知られたものであり、例えば、疎水性の膜、スポンジや発泡体等の多孔性かつ疎水性の構造体から構成されるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
図6に例示する装置210は、さらに、圧力安全弁260と充てんインジケータ270とを備える。圧力安全弁260は、ハウジング220(及び液体保持チャンバ240内及び外傷面)内の内部空間における陰圧を治療に適した値に維持するために用いられる。例えば、Usupovらは、その研究では、75〜80mmHgの範囲が治療に適していて、アクティブな外傷に適していると報告している(「Active Wound Drainage」、Vestnik Khirurgii著、1987年4月、42頁)。あるいは、差圧スイッチを装置210の内部に組み込んで、真空度が所望の陰圧を越えた場合に真空ソース230を停止させるようにしてもよい。あるいは、圧力センサスイッチを配置して、圧力安全弁なしで、所望の圧力値に達したら真空ソース230を停止するようにしてもよい。
【0035】
圧力安全弁260は、吸入フィルタ(図示せず)を備えていてもよく、装置210に汚染物質が入り込むのを防止し、従って、これによって外傷を保護する。圧力安全弁260は、様々な態様を採用することができ、例えば、外気を装置210内に取り込む、予め設定された圧力点の開口であったり、装置210及び真空ソース234の機能を停止状態にする開口であったり、あるいは、単に真空ソース234の機能のみを停止状態にするものであってもよい。
【0036】
充てんインジケータ270は、当業者にとってよく知られた態様を採用することができる。例えば、充てんインジケータ270は、液体保持チャンバ240内に自由水分があり、多孔性のパッドが吸収容量の限界に達したことを検出する。あるいは、充てんインジケータ270は、液体保持チャンバ240の一部からの経路を介して導電率を利用して、水分がいつ特定のレベルに達したかを検知し、真空源230を停止させるための信号を出力する。その他の態様の当業者に知られた充てんインジケータ、例えば、物質の水分含量に基づく色彩変更技術、あるいは、物理的特徴または特性を変更する技術を装置とともに用いても好適である。充てんインジケータ270は、オーバーフロー弁に接続されていてもよく、これによって外傷の液体が真空ポンプ234に到達するのを防止する。
【0037】
図7は、さらに別の実施形態に係る外傷治療用装置410を示す。外傷治療用装置410は、真空源434及びその電源438を外傷部分から離間させており、これら真空源及び電源はハウジングの内部に配置されていても、外部に配置されていてもよい。ある実施形態では、オフセットを設けることが外傷にとっては有益である。上述した実施形態と同様に、装置410は、内部空間422を画定するハウジング420を備える。この内部空間422は、真空チャンバ424と、液体保持チャンバ440と、補助チャンバ426とに分割される。しかしながら、上述した実施形態と同様に、補助チャンバ426は任意のものであり、あるいは、真空ソース434と電源438とを内蔵することも任意である。真空ソースが内部に配置された真空ポンプ434である場合、脱気用に排気口が設けられる。排気口はフィルタ437を備えていてもよく、これによって細菌が外部から内部に入り込むのを防止するとともに、内部から外部に漏洩することを防止する。
【0038】
本実施形態では、陰圧源430は、ハウジング420を越えて真空チャンバ424内の排気口432まで延伸する。排気口432は、フィルタ(例えば、いくつかの実施形態においては、抗菌性フィルタ)461を備えていてもよく、これにより、外傷の浸出液が真空ソース434に流れ込むのを防止する。他の実施形態と同様に、装置410は、例えば疎水性の膜からなる液体バリア436を備えてもよく、液体が真空チャンバ424に流れ込むのを防止するが、陰圧が液体保持チャンバ440に到達するのを許容し、これによって液体が外傷から液体保持チャンバ440に吸収される。いくつかの実施形態においては、真空チャンバ424は、多孔性かつ疎水性の発泡体から構成される。他の実施形態では、真空チャンバ424は、空である(empty)。
【0039】
上述したとおり、装置410は、装置410単体による吸引または当業者にとって公知の技術から選択されたシール428を用いて、患者の体の表面を気密にする。図7に示すシール428は、保管の際に任意でプルタブ418を有するカバー416によって被覆される接着性のあるシールである。装置410は、さらに、上述したとおり、外傷接触層441を備えていてもよい。
【0040】
図8は、本発明の代替的な実施形態に係る外傷治療用装置510を示し、この装置は、患者が立っていたり、座っていたり、横になっているときに、足のかかとやおしり等の患者の体の一部にある外傷の治療に役立つ。かかる場合においては、取り付けた位置における外傷治療用医薬材料及び装置が、実質的に体の周辺領域の形状に適合することが望ましく、これにより、装置が取り付けられた位置における、治療に有害で、場合によっては外傷を悪化させる圧力荷重を防止することが望ましい。さらに、外傷の液体や浸出液を、外傷の近傍ではあるが離間した位置で捕集することが望ましい。
【0041】
かかる要望を達成するため、図8に示す装置510は、外傷接触層541が一端に配置され、陰圧源530が外側の多端に配置された横長なハウジング520を備える。液体保持チャンバ540は、外傷接触層541から陰圧源530にまで延伸する。この実施形態では、液体保持チャンバ540の主要部分は、陰圧源530近傍のハウジング520の一端に配置されている。外傷側に配置された外傷接触層541は、外傷を気密にし、外傷部分に陰圧を供給する。外傷接触層541は、真空供給チャンバ524の位置まで延伸する液体保持チャンバ540と接していてもよい。延伸する液体保持チャンバ540により、陰圧源を外傷に対して異なる位置に配置することが可能となる。
【0042】
一の実施形態においては、液体保持チャンバ540は、外傷の液体や浸出液のほとんどが陰圧ソース530の近傍でかつ外傷から離間した位置で捕集されるようにする形状を有する。この場合、液体保持チャンバ540は、外傷側で低い縦横比を有していてもよく、これにより患者が座ったとき、立ったとき、横になったときに外傷部分への圧力荷重を最小限にすることができる。
【0043】
あるいは、装置510は、二つの別体のハウジングを備えていてもよい。一方のハウジング520aは、外傷部分の周囲にシール面512を有し、他方のハウジング520bは、外傷部分から離間した位置に配置されている。後者のハウジング520bは、皮膚を気密にしてもしなくてもよい。図8に示すハウジング520a、520bは、両方とも、剛体または半剛体の支持構造体によって支持される、液体に対して不浸透性なフレキシブルなバリアから構成されてもよい。真空チャンバ524を含むハウジング520bは、患者が座ったり、立ったり、横になったりする際に負荷が加わるのを防止できるようなより快適な位置に配置されていてもよい。
【0044】
陰圧源530は、バッテリ等の電源538に接続されて駆動されるマイクロ真空ポンプ534を含む。陰圧源530は、図示するように、ハウジング520の外部に配置される。しかしながら、代替的な実施形態に係る外傷治療用装置510においては、マイクロ真空ポンプ534及び/または電源538は、ハウジングの内部に配置される。陰圧源530は、ハウジングの近傍または内部に配置された浸透性または電気浸透性のポンプから構成される。
【0045】
図9A及び図9Bは、モジュラー式の外傷治療用装置610、610’を示す。この実施形態では、装置610、610’は、3つのモジュールに分割される。しかしながら、3つ以下または3つ以上のモジュールを用いてもよいことは、当業者にとって明らかである。この実施形態では、装置610、610’は、外傷接触層モジュール641、641’と、液体保持モジュール640、640’と、真空ポンプモジュール630、630’とを備える。モジュール式の態様を採用することにより、必要に応じて装置610、610’の一のモジュールを交換することが可能である。
【0046】
例えば、液体保持モジュール640、640’が浸出液で満たされた場合、真空ポンプモジュール630、630’を機能させながら新たな液体保持モジュール640、640’に交換することができる。あるいは、液体保持モジュール640、640’を、適宜交換して、液体があふれたりすることを防止するとともに、適切な液体保持容量を保つことができる。同様に、外傷接触層モジュール641、641’もまた、他のモジュールから独立して交換することができる。
【0047】
図9Aの実施形態においては、液体保持モジュール640は、図2及び図6に示すものと同様の構成を有する。その一方、図9Bに示す液体保持モジュール640’は、図3及び図4に示した実施形態のものと同様の構成を有する。両方の実施形態に係る装置610、610’は、液体バリア636、636’を備え、浸出液が真空チャンバ624、624’内に入り込むのを防止する。真空ポンプモジュール630、630’は、真空源634、634’を含み、さらに電源638、638’を備えていてもよい。真空源634、634’が内部に配置されている場合、排気口635、635’が、真空源634、634’が脱気できるように設けられている。排気口635、635’は、フィルタ637、637’を備えていてもよく、これによって細菌が外部から内部に入り込むのを防止するとともに、内部から外部に漏洩することを防止する。
【0048】
両方の実施形態に係る外傷接触層モジュール641、641’は、外傷を真空状態にするとともに、外傷用医薬材料を取り替える際に容易にかつ痛みを伴わないように取り外すことができる層、等の上述した様々な機能を有する。あるいは、外傷接触層は、有益なバイオエージェントを皮膚再生テンプレート、生物吸収性ゲル、発泡体組織の接着を防止するバリア等の特別な外傷用医薬材料の形で提供する層であってもよい。外傷接触層は、皮膚の代替物であったり、外傷部分の水分を選択的に維持する層であったり、血管由来の層であったり、抗菌性の層であってもよい。外傷接触層は、様々な態様を採用することができ、例えば、これらに限定されるものではないが、シート、発泡体、ゲル、ガーゼ、多孔質母材の態様であってもよい。
【0049】
図10は、外傷治療用装置の液体保持チャンバ内に配置される支持構造体772を示す。支持構造体772は、外傷治療用装置にフィットするように形状付けされ、かつ/または、カスタマイズされる。支持構造体772は、外傷治療用装置のハウジングを陰圧下で支持する構造支持部材774を備える。構造支持部材774は、剛体または半剛体のプラスチック等から形成される。構造支持部材774の間には、液体保持チャンバ内で外傷の浸出液を吸収して保持する吸収部材776が配置されている。上述したとおり、吸収部材776は、スポンジ、ウィッキング繊維、布またはガーゼ、超吸収性重合体を含む超吸収性物質、吸収発泡体、ゲル剤、充てん剤等を含む。いくつかの実施形態においては、吸収部材776は、外傷治療用装置が陰圧状態でハウジングに対して構造支持体として機能する。
【0050】
図11は、さらに別の実施形態に係る外傷治療用装置810を示す。この実施形態は、図2を参照して説明した実施形態に類似する。外傷治療用装置810は、ハウジング820内に支持構造体872を備える。図10を参照して説明したように、支持構造体872は、液体保持チャンバ840内に、構造支持部材874と吸収部材876とを備える。
【0051】
本明細書で開示した装置及び方法は、患者の外傷の治療に有益である。かかる外傷には、これらに限定されるものではないが、感染性外傷、火傷、静脈及び動脈潰瘍、糖尿病性潰瘍、切開による外傷、床擦れによる外傷等を含む。さらに、かかる装置は、様々な分野において用いることができるが、これは、当業者にとって明らかである。
【0052】
上述した装置を用いた外傷治療方法によれば、液体保持チャンバを備えたハウジングを有する装置が、外傷の少なくとも一部分上に配置される。真空源を用いて外傷が陰圧状態にされる。外傷からの液体や浸出液は、液体保持チャンバ内に捕集される。さらに、液体でいっぱいになったとき、装置は交換される。モジュール式の実施形態においては、液体保持チャンバまたは真空源が必要に応じて交換される。
【0053】
上述した実施形態のうちのいくつかにおいては、装置は、安価で、軽量で、部分的または全体的に使い捨て可能である。さらに、装置は、操作が簡単で、低い医療的な監視の程度で患者が装置を使用することができる。加えて、装置はその配置に注意を払わなくてもしようできるように構成されている。
【0054】
装置は、全体的に使い捨て可能であったり、あるいは、真空源や液体保持チャンバ等の一部が使い捨て可能な様々な態様を採用することができる。図1及び図2に示す実施形態の装置10においては、液体で一杯となったときには全体的に使い捨てして交換することができる。これは、小さな外傷、すでに治癒しかけている段階にある外傷、及び家庭で治療している外傷に対しては便利である。かかる方法及び装置は、人から人に感染したり、または、有害な体液が他人に接することを防止したり、その可能性を低減することができる。
【0055】
かかる方法及び装置は、皮膚の移植にも有益である。さらに、かかる装置は、皮膚再生テンプレート等のやけどや外傷を治癒段階に入るようにする母材として機能するものを塗布する際に有益である。
【0056】
ハウジングを、主に曲線的な形状等の特定の形状で図示したが、ハウジングの形状は、特定の形状に限定されず、有益な形状にすることが可能である。いくつかの実施形態においては、装置は、真空チャンバまたは液体保持チャンバが患者の外傷を少なくとも部分的に気密にすることが可能な大きさ、形状で構成される。上述したハウジングやシールは、装置が取り付けられて患者の体の表面の外傷を覆ったときに真空状態を維持する。かかるシールは、気密性があり、細菌が混入するのを防止するが、完全に不浸透性である必要はない。真空圧は継続してまたは断続的に与えられ、治療に適した陰圧レベルを維持するようにする。
【0057】
本明細書で総称した電源とは、例えば、電源コンセント、バッテリ、及び/または充電可能なバッテリ等をいう。例えば、バッテリは、内蔵式(交換不可)であったり、(ユーザや治療を施す人によって)交換可能であったり、充電可能であってもよい。
【0058】
患者の外傷上に装置を配置して真空ポンプの電源を投入すると、外傷の周りの空気が脱気され、ハウジングの中空内が真空状態となる。同時に、外傷の液体を吸収する部材が、外傷中の液体/浸出液の吸収を始める。外傷を陰圧状態に維持することにより、組織の移動が促進され、傷口がくっつくようになる。いくつかの実施形態においては、本発明の装置は、複数日で取り替えられるパッチや包帯の態様で用いられる。
【0059】
さらに、本発明の装置は、液体保持チャンバ内に自由水分があることを検出するとともに、任意の多孔性パッドが充てんされている旨の信号を出力する充てんインジケータを備えていてもよい。充てんインジケータは、オーバーフロー弁に接続されていて、外傷の液体が真空ポンプに流れ込むのを防止するものであってもよく、あるいは、ポンプの動作を停止させるための信号を出力するものであってもよい。
【0060】
上述したすべての実施形態において、装置が使い捨て可能なように構成されている場合、使用した後に部分的または全体的に廃棄することが可能である。一の治療プランに複数の使い捨て可能な装置を提供し、所定の期間個別の治療に装置を使用してもよい。
【0061】
特に詳細に説明しないが、当業者であれば、本発明を最大限拡張した技術的範囲内で用いることが可能である。本明細書で開示した例及び実施形態は、あくまでも説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を限定するためのものではない。当業者であれば、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲で、上述した実施形態を様々に変更することが可能であることは明らかである。換言すると、本明細書で特に説明した実施形態の変形、応用例が、本発明の技術的範囲に含まれている。ミーンズプラスファンクション形式で説明した発明特定事項は、米国特許法112条6項の規定に従って構成されているものである。従って、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】一の実施形態に係る外傷治療用装置の斜視図である。
【図2】真空源としてポートまたは弁を含む、図1に示す外傷治療用装置の側断面図である。
【図3】他の実施形態に係る、液体バリアとして液滴ギャップを含む外傷治療用装置の側断面図である。
【図4】図3に示す装置の液滴ギャップの拡大図である。
【図5】図3に示す装置の液滴ギャップの上断面図である。
【図6】他の実施形態に係る、真空源として内部真空ポンプを含む外傷治療用装置の側断面図である。
【図7】他の代替的な実施形態に係る、真空源として内部真空ポンプを含む外傷治療用装置の側断面図である。
【図8】他の実施形態に係る、横長なハウジングを備えた外傷治療用装置の側断面図である。
【図9】図9(a)及び図9(b)は、装置構成としてモジュールの態様を採用した外傷治療用装置の概略図である。
【図10】外傷治療用装置の液体保持チャンバ内に配置される吸収部材の斜視図である。
【図11】他の実施形態に係る、外傷治療用装置の側断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外傷の少なくとも一部を覆うハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置された液体保持チャンバと、
真空源に接続され、前記液体保持チャンバと気体が流れることができるように連通しており、液体バリアによって当該液体保持チャンバと分離されている真空接続部と、
から構成されることを特徴とする外傷治療用装置。
【請求項2】
前記ハウジングによって患者の体の表面を気密にするためのシールをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、大気圧よりも低い圧力下で液体保持チャンバがつぶれるのを防止するのに十分な剛性を有する材料から形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項4】
前記ハウジングの材料は、剛体プラスチック、半剛体プラスチック、剛体ゴム、半剛体ゴムまたはそれらの組み合わせのうちから選択されたものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の外傷治療用装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、フレキシブルなバリアから構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項6】
大気圧よりも低い圧力下で液体保持チャンバがつぶれるのを防止するための構造支持体をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項7】
前記構造支持体は、前記ハウジングを支持し、カスタマイズ可能な剛体またはカスタマイズ可能な半剛体のうちから選択されたものである、
ことを特徴とする請求項6に記載の外傷治療用装置。
【請求項8】
前記液体保持チャンバ内に配置され、大気圧よりも低い圧力下で当該液体保持チャンバがつぶれるのを防止するための構造発泡体をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項9】
前記液体バリアは、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、微小孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性ポリプロピレン、微小孔性ポリプロピレン、多孔性ポリエチレン、微小孔性ポリエチレン、及びそれらの組み合わせから選択されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項10】
前記液体バリアは、迷路である、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項11】
前記液体バリアは、液滴ギャップである、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項12】
前記液体保持チャンバは、さらに、液体を保持するための多孔性構造体を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項13】
前記多孔性構造体は、スポンジ、袋状部材、ゲル材、超吸収性重合体及びそれらの組み合わせから選択されたものである、
ことを特徴とする請求項12に記載の外傷治療用装置。
【請求項14】
前記液体保持チャンバは、さらに、抗菌剤を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項15】
前記真空接続部は、真空供給ラインに接続される真空ポートから構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項16】
前記真空接続部は、外傷の近傍に配置されたマイクロ真空ポンプに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項17】
前記ハウジング内において、外傷部分の圧力を治療に適した圧力に維持するための圧力安全弁をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項18】
前記圧力安全弁は、吸入フィルタをさらに備える、
ことを特徴とする請求項17に記載の外傷治療用装置。
【請求項19】
低陰圧閾値以下で前記真空源を停止させるスイッチにより、前記ハウジング内の圧力を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項20】
前記スイッチは、高陰圧閾値以上で前記真空源を動作させる、
ことを特徴とする請求項19に記載の外傷治療用装置。
【請求項21】
充てんインジケータをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項22】
前記充てんインジケータは、前記真空源の動作を停止させるための信号を出力する、
ことを特徴とする請求項21に記載の外傷用治療装置。
【請求項23】
オーバーフロー弁をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項24】
前記ハウジングは、ポリプロピレン、塩化ポリビニール、ポリエチレン、アクリロニトリル共重合体、ナイロン、ポリエステル、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ素重合体、ポリテトラフルオロエチレン、及び、それらの組み合わせから選択されたプラスチックから形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項25】
外傷接触層をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項26】
前記外傷接触層は、複数の層から構成されている、
ことを特徴とする請求項25に記載の外傷治療用装置。
【請求項27】
前記外傷接触層は、外傷の近傍に配置される、
ことを特徴とする請求項25に記載の外傷治療用装置。
【請求項28】
前記外傷接触層は、分解性重合体の箔、皮膚再生テンプレート、生体吸収性ゲル、生体吸収性発泡体、組織接着防止バリア、皮膚代替物、選択的に湿度を維持する層、血管由来の層、及び、抗菌性の層のうちの少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項25に記載の外傷治療用装置。
【請求項29】
前記ハウジングは、半透過性である、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項30】
前記半透過性のハウジングは、およそ836/m日より大きい水蒸気透過率を有する、
ことを特徴とする請求項29に記載の外傷治療用装置。
【請求項31】
外傷部分の少なくとも一部を覆うハウジングと、
外傷部分の近傍で、外傷部分からの浸出液を保持する液体保持チャンバと、
浸出液が前記液体保持チャンバに保持されている間に、外傷部分に陰圧を供給する流路と、
から構成されることを特徴とする外傷治療用装置。
【請求項32】
前記外傷治療用装置は、モジュラー式で、前記液体保持チャンバは、液体保持モジュールの構成部品である、
ことを特徴とする請求項31に記載の外傷治療用装置。
【請求項33】
外傷に接触するように配置され、液体保持モジュールと連通している外傷接触モジュールと、
前記流路を介して前記液体保持モジュールと連通している真空ポンプモジュールと、
をさらに備えることを特徴とする請求項30に記載の外傷治療用装置。
【請求項34】
前記外傷接触モジュール、前記液体保持モジュール、及び、前記真空ポンプモジュールは、それぞれ、単独で交換可能である、
ことを特徴とする請求項33に記載の外傷治療用装置。
【請求項35】
前記外傷接触モジュール、前記液体保持モジュール、及び前記真空ポンプモジュールは、外傷部分の近傍に配置される、
ことを特徴とする請求項33に記載の外傷治療用装置。
【請求項36】
液体保持チャンバと、
真空源と接続され、前記液体保持チャンバと気体が流れることができるように連通し、液滴が流れこむのを防止するための手段によって当該液体保持チャンバから分離されている真空接続部と、
真空状態で前記液体保持チャンバがつぶれることを防止するための手段と、
を備える液体に対して実質的に不浸透性のハウジングから構成される外傷治療用装置。
【請求項37】
液滴が流れこむのを防止するための手段は、多孔性かつ疎水性の膜、微小孔性かつ疎水性の膜、疎水性の繊維から構成される構造体、液滴ギャップ、液体迷路のうちの少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項36に記載の外傷治療用装置。
【請求項38】
前記液体保持チャンバがつぶれることを防止するための手段は、真空に耐えられる剛性を有し、液体に対して不浸透性のハウジングの材料、真空状態で液体に対して不浸透性のハウジングを支持するのに十分な剛性を有する構造支持体、及び、前記液体保持チャンバ内に配置される発泡体のうちの少なくとも一つである、
ことを特徴とする請求項36に記載の外傷治療用装置。
【請求項39】
前記真空接続部は、外傷の近傍に配置された電気浸透性のポンプと接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項40】
前記真空接続部は、外傷の近傍に配置された浸透性ポンプと接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の外傷治療用装置。
【請求項41】
添付の図面とともに本発明の実施形態及び/または実施例で説明した外傷治療用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−536852(P2009−536852A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509861(P2009−509861)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/011321
【国際公開番号】WO2007/133644
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508335071)カリプト メディカル インコーポレーション (6)
【氏名又は名称原語表記】KALYPTO MEDICAL, INC.
【住所又は居所原語表記】6393 Oakgreen Avenue South Hastings, MN 55033 USA
【Fターム(参考)】