説明

外分泌膵臓細胞から、膵島ベータ−細胞を生成する方法

本発明は、哺乳動物ベータ−細胞分化が、EGFおよびLIFのような、EGFレセプターおよびGP130レセプターのリガンドを含む培地中での、脱分化外分泌膵臓細胞中で誘導可能である、in vitro方法を開示している。この方法によって入手可能な、インスリン分泌細胞は、膵島移植による、糖尿病治療のための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膵臓細胞を分化させる方法に関する。本発明はさらに、糖尿病の処置のための、インスリン分泌細胞集団に関する。
【背景技術】
【0002】
膵臓内でのベータ−細胞新生の調節の理解によって、糖尿病に対する細胞置換または再生治療の領域での適用が導かれる[Yamaoka T.Biochem Biophys Res Commun.(2002)、296、1039−43]。たとえば、膵島移植によって、糖尿病患者における機能的なベータ−細胞質量を復元することが可能である[Shapiro et al.N Engl J Med.(2000)343,230−238]が、ドナー組織における不足によってひどく妨げられる。この問題は、新生の工程によって利用可能な膵臓組織からより膵島細胞を産出する方法を見つけることによって解決可能である[Bouwens & Kloppel.Virchows Arch.(1996)427,553−560]。ここ10年の間に、膵臓発達の理解が非常に進展したにもかかわらず、胚における膵島細胞分化を特定する細胞外因子は依然として未知である[Edlund Nat Rev Genet.(2002)3,524−532]。成体哺乳動物において、内分泌膵臓は、特定の実験条件で、主には、始原細胞からの膵島細胞新生の結果として、膨張させるか、または再生可能である[Bouwens & Kloppel、前掲]。後者の実際の性質は分かりにくいままである一方で、導管細胞、腺房細胞または膵島内細胞が、始原能力を持つと示唆されている[Bouwens & Kloppel.Virchows Arch.(1996)427,553−560、Edlund.Nat Rev Genet.(2002)3,524−532、Bouwens.Microscopy Research and Technique(1998)43,332−336、Guz et al.Endocrinology.(2001)142,4956−4968、Bonner−Weir et al.Proc Natl Acad Sci USA.(2000)97,7999−8004、Ramiya VK et al.Nat Med.(2000)6,278−282]。
【0003】
細胞誘導に関して、そして特異的な制御因子に関して両方で、全膵臓の研究から、確固たる結論を引き出すのは難しい。したがって、in vitroモデルが、膵臓から単離された、定義された細胞調製物から開始した、膵島新生を研究するために好ましい。ごくわずかなin vitro研究によってしか、成体組織から膵島新生を誘導する実現可能性が示されえていない。さらなる膵島細胞が、成体膵臓組織の単層培養より生成されうることがすでに報告されている。始原細胞の、調節因子の性質を明らかにするため、そして膵島細胞を生成する効果を改善するために、これらの発見を確認することがいまだに欠けている。
【0004】
KGF(ケラチノサイト増殖因子)とニコチンアミドによって処置されたヒト膵臓誘導細胞培養は、結果として、3〜4週間後、インスリン含有量の増加となる。また、膵島細胞を含む嚢胞性構造が、細胞外マトリックスの影響下で、単層から出芽した[Bonner−Weir et al.前掲]。この新生に関連する前駆体は、導管マーカー、サイトケラチン−19を発現している細胞として特徴づけられる[Gao et al.前掲]。他の研究においては、長期間の培養が、グルコースを含まない条件下で、糖尿病NODマウス膵臓より得られ、これらを、グルコースの存在下で、膵島様構造を生成するために刺激可能であった[Ramiya VK et al.Nat Med.(2000)6、278−282]。これらの細胞は、in vitroにて、機能的な成熟に至らな
かった。現在のところ、後者の発見が、NODマウスで最近発見された、血液循環から由来した「パッセンジャー」幹細胞によるものであるかどうか、は明らかではない[Kodama et al.Science(2003)302,1223−1227]。
【0005】
分化外分泌細胞を、部分的に脱分化した状態に戻し、それによって、胚可塑性を再獲得させることが可能である[Bouwens & Kloppel.Virchows Arch.(1996)427,553−560、Rooman et al.Diabetologia 43,907−914(2000)、Rooman et al.Gastroenterology 121,940−949(2001)、Rooman et al.Diabetes 51,686−690(2002)]。このことは、外分泌細胞、本器官中の大部分の細胞を、適切な条件下で、内分泌細胞へ、変換分化に持って行くことが可能であることを示している。
【0006】
外分泌腺房細胞は、内分泌ベータ−細胞に変換分化可能であり[Bouwens.Microscopy Research and Technique(1998)43,332−336]、これは、腺房−膵島変換細胞に関するin vivo試験より示唆された[Gu et al.Pancreas(1997)15,246−2501、Bertelli E.Bendayan M.Am J Physiol(1997)273,C1641−C1649]。腺房細胞が、アミラーゼを欠き、導管特性を獲得することが可能である[Rooman et al.(2000)&(2001)、前掲の引用]ので、サイトケラチンのような導管マーカーと、インスリンを共発現している、変換細胞の発現[Wang et al.Diabetologia.(1995)38,1405−1411]がまた、最初に腺房細胞から由来した細胞を表しうる。腺房腫瘍から由来した、アミラーゼ−分泌細胞株AR42Jが、in vitroにて、ベータ−細胞表現系に変換分化可能であることが示されてきた[Mashima et al.J Clin Invest.(1996)97,1647−1654]。本発明は、特定の組み合わせの増殖因子での、初代培養モデルにおける、腺房細胞のベータ−細胞への、in vitro変換分化を報告している。
【0007】
LIF(白血病阻害因子)は、膵臓発達における機能が、現在までのところ、記述されていない、多面発現性サイトカインである。幹細胞増殖および分化の調節がよく知られており、胚管細胞の分化を防止するために広く使用されている。最近、EGFおよびPDGFとの組み合わせで(細胞の分化なしで)、多型潜在性成体始原細胞の増殖を刺激することが報告された。[Jiang et al.Nature (2002)418,41−49]。
【0008】
EGF(上皮増殖因子(Epidermal Growth Factor))および他のEGF−ファミリーメンバーが、胚発達の調節、ならびに内分泌膵臓の再生に関連してきた。EGFは、未分化膵臓前駆細胞の増殖を、in vitroにて刺激する[Cras−Meneur et al.Diabetes.(2001)50、1571−1579]。機能的EGF−レセプターを欠くトランスジェニックマウスにおいて、膵島形態形成が障害を受け、ベータ−細胞分化が遅延する[Miettinen et al.Development.(2000)127、2617−2627]。またEGF−レセプターを介して働く増殖因子である、ベータセルリンが、ほぼ完全な膵臓切除ラット(25li)にて、およびアロキサン−糖尿病マウスにて、膵島再発生を促進したことが発見された[Yamamoto et al.Diabetes.(2000)49,2021−2027]。ベータ−細胞新生を刺激する他の因子である、Glp−1[Drucker.Mol Endocrinol.(2003)17,161−171)はまた、EGF−レセプターを変換活性化することが示された[Buteau et al.Diabetes.(2003)52,124−132]。ガストリンホルモンとの組み合わ
せで、EGFが、ストレプトゾトシン−糖尿病ラットにて、ベータ−細胞再生を刺激することが示された[Brand et al.Pharmacol Toxicol.(2002)91,414−420]。
【0009】
LIFおよびEGFは、胚中のニューロンおよびグリア細胞の分化を制御するシグナルとして、相乗的に働くことが報告された[Viti et al.J.Neurosci.(2003)15,3385−3393]。星状細胞において、始原EGFは、増加したSTAT3リン酸化反応を介して、星状細胞−誘導シグナルとして、LIFを読み取る機能を増加させる。LIFはまた、成体における傷−誘導神経形成のために、鍵となるシグナルとも考えられている[Bauer et al.J.Neurosci.(2003)23,1792−1803]。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
1つの態様にしたがって、本発明は、第一の哺乳動物の脱分化した外分泌膵臓細胞を含む、またはからなる集団から、インスリン産生ベータ細胞を生成するin vitro方法に関し、前記方法には、以下の、a)培養培地中で、脱分化外分泌膵臓細胞の前記集団を提供すること、b)前記培養培地中に、第二の哺乳動物のgp130レセプターの1つまたはそれ以上のリガンドを加えること、および/または第三の哺乳動物のEGFレセプターの1つまたはそれ以上のリガンドを加えること、c)前記1つまたはそれ以上の、gp130レセプターのリガンド、およびまたは、前記1つまたはそれ以上のEGFレセプターのリガンドを含む、前記培養培地中で前記脱分化外分泌膵臓細胞をインキュベートすること、のステップを含む。
【0011】
1つの実施様態において、本方法は、ステップb)にて、前記培養培地に、第三の哺乳動物のEGFレセプターの、1つまたはそれ以上のリガンドを加えることなしに、第二の哺乳動物のgp130レセプターの1つまたはそれ以上のリガンドを加えることによって実施される。特定の実施様態において、本方法は、ステップb)において、前記培養培地に、第二の哺乳動物のgp130レセプターの1つまたはそれ以上のリガンドと、第三の哺乳動物のEGFレセプターの1つまたはそれ以上のリガンド両方を加えることによって実施される。1つの実施様態にしたがって、前記gp130レセプターのリガンドは、ヒトまたはヒト化LIFのような、LIFである。1つの実施様態にしたがって、LIFは、10〜100ng/mlの間の濃度、または10〜25ng/mlの間、または100〜500ng/mlの間の濃度で、培養培地に加えられる。1つの実施様態において、前記EGFレセプターのリガンドは、前記EGFレセプターのヒトまたはヒト化リガンドである。他の実施様態にしたがって、前記EGFレセプターのリガンドは、ヒトまたはヒト化EGFのようなEGFである。1つの実施様態にしたがって、EGFは、10〜100ng/mlの間の濃度、または10〜25ng/mlの間、または100〜500ng/mlの間の濃度で、培養培地に加えられる。一般的に、gp130レセプターの1つまたはそれ以上のリガンド、および/またはEGFレセプターの1つまたはそれ以上のリガンドは、1〜10000ng/mlの間の濃度で培養培地に加えられる。特定の実施様態にしたがって、本方法はさらに、ステップbの間に、前記培養培地中にbFGF(塩基性繊維芽細胞増殖因子)を加えるステップを含む。特定の実施様態にしたがって、培地は、KGF(ケラチノサイト増殖因子)またはガストリン/CCKレセプターリガンドは含まない。特定の実施様態において、本方法におけるインキュベーションステップは、7日,6日、5日または5日未満でも、すなわち4日または3日でも実施する。本発明の方法のために使用可能である脱分化外分泌膵臓細胞の集団は、導管細胞、腺房細胞および膵島細胞からなる群より選択される、1つの実施様態にしたがう。また、導管細胞、腺房細胞および膵島細胞からなる群からなる1つまたはそれ以上の細胞型の、任意の比を含む、これらの型の細胞、また細胞集団の混合を、本発明で使用可能である。他の実施様態にしたがっ
て、ステップa)より前に追加ステップを実施し、そこで、ベータ細胞を枯渇させる。他の実施様態にしたがって、繊維芽細胞の増殖を減少させるために、脱分化および再分化を、ゼニチマイシンの存在下で実施する。本発明の方法にしたがって使用可能な細胞は、齧歯類、ブタ、サルおよびヒト細胞を含む、全ての型の哺乳動物細胞である。特定の実施様態において、哺乳動物細胞は、ラット細胞であり、1つまたはそれ以上の前記EGFレセプターのリガンドには、ヒトEGFが含まれ、1つまたはそれ以上のgp130レセプターのリガンドには、マウスLIFが含まれる。
【0012】
本発明の他の態様は、本発明の方法の実施態様を記述している、上記本明細書のいずれかによって入手可能な、哺乳動物インスリン生成ベータ細胞を含む、哺乳動物膵臓細胞の集団に関する。1つの実施様態において、哺乳動物膵臓細胞のこの集団は、約5〜約15パーセントのインスリン−陽性細胞からなる。他の実施様態において、この哺乳動物膵臓細胞集団は、10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640培地中、37℃にて4時間、20mMのグルコースに対してのような条件に暴露した後に、前記グルコースへの暴露の前の、インスリン分泌と比較した場合に、インスリン分泌に関して、2倍を超える増加を示す。
【0013】
他の実施様態において、この哺乳動物膵臓細胞の集団は、10%胎児ウシを含むRPMI−1640培地中、37℃にて4時間、20mM グルコースのような条件への、前記集団の暴露の後、少なくとも10ng/mlで、インスリン分泌を提供可能である。
【0014】
本発明の他の態様は、哺乳動物インスリン産生ベータ細胞を含む細胞の集団に関し、そこで、前記細胞集団に、分化ベータ細胞の少なくとも1つの特徴、および同一の個々の細胞における、未分化ベータ細胞の少なくとも1つの特徴を持つ細胞が含まれる。分化ベータ細胞の特徴は、たとえば、インスリン分泌であり得、未分化ベータ細胞の特徴は、CK20発現および/または二核性でありうる。本発明はまた、以上で記述した再分化方法の任意の実施態様によって入手可能な、そのような哺乳動物膵臓細胞の集団にも関する。
【0015】
本発明の他の態様は、哺乳動物インスリン分泌ベータ細胞を含む、哺乳動物膵臓細胞の集団に関し、前記細胞集団には、未分化または脱分化細胞のマーカーを持つ細胞の第一亜集団が含まれ、分化細胞のマーカーを持つ細胞の第二亜集団が含まれる。分化細胞のマーカーは、たとえば、C−ペプチド−I、Pdx−1、Glut−2またはインスリンである。脱分化または未分化細胞のマーカーは、たとえばサイトケラチン7、サイトケラチン19、サイトケラチン20、ガストリンに対するCCKBレセプター、PGP9.5、またはnotch−1レセプターである。本発明はまた、以上で記述した再分化方法の任意の実施態様によって入手可能な、そのような哺乳動物膵臓細胞の集団にも関する。
【0016】
他の態様において、本発明は、治療的に活性な量の、本発明の方法によって入手可能な再分化細胞を含む、哺乳動物膵臓細胞集団を含む、医薬組成物に関する。
【0017】
他の態様において、本発明は、医薬品の製造のために、本発明の方法によって入手可能な、再分化細胞を含む、哺乳動物膵臓細胞集団の使用に関する。特定の実施様態において、医薬品は、1型糖尿病または2型糖尿病の処置のために使用される。
【0018】
また他の態様において、本発明は、本発明の培養方法によって入手可能である再分化細胞を含む、治療的に活性な量の哺乳動物膵臓細胞集団を含む、効果的な量の医薬組成物を投与するステップを含む、1型または2型糖尿病の処置のための方法に関する。
【0019】
また他の態様において、本発明は、医薬品の調製のための、EGFレセプターのヒトまたはヒト化リガンドと、gp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドの組み合わせ
の使用に関する。1つの実施様態において、前記医薬品は、1型または2型糖尿病の処置のために使用される。他の実施様態において、EGFレセプターのヒトまたはヒト化リガンドがヒトEGFであり、およびヒトgp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドが、ヒトLIFである。
【0020】
また他の態様において、本発明は、1型または2型糖尿病の処置のための医薬品の調製のための、gp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドの使用に関する。1つの実施様態において、gp130の前記ヒトまたはヒト化リガンドは、LIFである。
【0021】
また他の実施様態において、本発明は、a)CK20、CK7またはCK19の存在、b)二核細胞の発生、c)インスリン陽性細胞の存在、d)C−ペプチド、Pdx−1およびGlut−2の存在、e)ガストリンCCKBレセプター、PGP9.5およびnotch−1レセプターの、前記哺乳動物膵臓細胞上での存在、からなる群より選択される1つまたはそれ以上のパラメータを決定するステップを含む、脱分化哺乳動物膵臓細胞の再分化の程度を決定するための、in vitro方法に関する。本発明はまた、脱分化の再分化の程度を決定するためのこのin vitro方法によって同定可能である、哺乳動物膵臓細胞の集団に関する。
【0022】
本発明は、脱分化膵臓細胞からの、in vitroインスリン産生哺乳動物ベータ細胞の生成の方法に関する。1つの実施様態において、これは、EGFレセプターのリガンド、たとえば、EGFまたはTGF−アルファを含む培地中で、前記脱分化膵臓細胞をインキュベートすることによって行う。任意に、培地にはさらに、LIFのような、gp130レセプターのリガンドが含まれる。あるいは、培地には任意にbFGFが含まれる。本方法にて使用される脱分化膵臓細胞は、たとえば導管細胞、腺房細胞または膵島細胞である。これらの脱分化細胞は、この培地中へのインキュベーションの前に、ベータ細胞より枯渇可能である。脱分化膵臓細胞は、たとえば、齧歯類(ラット、マウス)、蓄牛、ブタおよびヒトを含む霊長類から得られる、哺乳動物細胞である。
【0023】
他の態様において、本発明は、以上で記述した方法によって、脱分化膵臓細胞より入手可能である、インスリン産生細胞の集団に関する。そのようなインスリン産生細胞の集団は、グルコース(たとえば20mM グルコース、4時間)に曝露したときのインスリン分泌において、少なくとも2倍の増加を示す。細胞の集団をさらに、C−ペプチド−I、Pdx−1およびGlut−2のようなマーカーに対する、それらの免疫応答性によってさらに特徴づけることが可能である。これらはまた、さらに、10%未満のサイトケラチン陽性細胞の存在、および7%未満の二核細胞の存在によって特徴づけられる。
【0024】
本発明は、さらなる態様において、本発明の方法によって、脱分化膵臓細胞より入手可能な、インスリン産出細胞の細胞集団を含み、さらに、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む、医薬組成物に関する。本発明の方法によって、脱分化膵臓細胞から入手可能な、インスリン産出細胞の細胞集団は、1型または2型糖尿病の処置のための医薬品の製造のために使用可能である。したがって、本発明はまた、本発明の医薬組成物を、必要としている個体に投与する段階を含む、糖尿病の処置のための方法に関する。
【0025】
他の態様において、本発明は、インスリン分泌ベータ細胞集団の量をin vivoで増加させるために、糖尿病の処置のための医薬品調製のためのEGFレセプターのリガンド(たとえばEGF)、またはgp130レセプターのリガンド(たとえばLIF)の使用に関する。
【0026】
以上で示唆したように、糖尿病に対する処置として、膵島移植の適用が、インスリン−産生細胞の不適切な供給によって妨げられる。本発明において、インスリン−産生ベータ
細胞は、外分泌細胞より産出され、たとえばヒトおよび他の哺乳動物において、膵臓中の細胞の大部分を表す。
【0027】
本発明は、ベータ−細胞新生が、培地中の2つの可溶性因子、すなわちEGFとLIFの組み合わせによって、外分泌細胞より誘導可能である方法を提供する。本発明は、膵島移植による、そして、不十分なドナーベータ−細胞の問題に打ち勝つ方法を提供することによって、糖尿病の処置における、重要な進展を提供する。
【0028】
ヒト細胞に適用する場合、本発明は、膵島移植による、そして、不十分なドナーベータ−細胞の問題に打ち勝つ方法を提供することによって、糖尿病の処置における、重要な進展提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明中の「加えた(added)」、「加えること(adding)」または「添加(addition)」は、培地に別々に添加される、LIFおよびEGFのような化合物、EGFレセプターリガンドおよびGp130レセプターリガンドを意味する。細胞による分泌による、培地中に存在する未知の量の化合物は意味しない。また、基礎増殖培地に加える、血清中に存在する低量の化合物も意味しない。培地中の添加した化合物の濃度は、ng/ml範囲であり、約1、10、25、50、100、250、500、〜1000ng/mlで変化しうる。特定の実施様態において、各化合物に対する添加化合物の濃度は、別々に、10〜100ng/mlの間で変化する。他の特異的な実施様態において、各化合物に対する添加化合物の濃度は、別々に20〜100ng/mlの間で変化する。
【0030】
「脱分化外分泌膵臓細胞(Dedifferentiated exocrine pancreatic cells)」は、より少なく、またはより多く脱分化しえ、再獲得胚可塑性を持つ細胞を意味する。分化細胞によって失われた、脱分化細胞の典型的な特徴は、膵臓トリプシノーゲン、トリプシンおよびリパーゼ、インスリン−転移活性転写因子Pdx−1、ベータ−細胞特異的グルコーストランスポーターGlut−2、および未加工プロインスリンのC−ペプチド−I成分のような、アミラーゼおよび他のチモーゲンの発現である。脱分化細胞によって獲得される胚可塑性の典型的な特徴は、サイトケラチン7、19および/または20の発現である。さらに、ガストリンに対するコレシストキニンB CCKB−レセプター、神経外分泌マーカーPGP9.5(ニューロン−特異的ユビキチンc−末端ハイドロラーゼ)およびNotch−1レセプターの発現がありうる。本発明にしたがって、脱分化可能である典型的な膵臓細胞型は、腺房細胞、導管細胞および非外分泌膵島細胞である。
【0031】
「ベータ細胞(beta cells)」は一般的に、膵臓中の、クラスター(膵島)にて発見される、特異的な細胞として知られている。ベータ細胞は、インスリンを産生し、グルコースレベルをモニタし、グルコースレベルの増加に応答して、インスリンを分泌することによって、血流中でのグルコースレベルを調節する。グルカゴン分泌アルファ細胞とともに、膵臓の外分泌細胞集団の大部分を形成する。
【0032】
膵島またはランゲルハンス島は、膵臓中の特定の細胞集団である。これらは、体の衰弱を助け、食物を使用するホルモンを産生し、分泌する。これらの細胞は、膵臓のクラスター内に存在する。膵島中には、5つの型の細胞が存在し、それは、ソマトスタトンを産生する、ベータ細胞、アルファ細胞、デルタ細胞と、PP細胞およびD1細胞である。
【0033】
本発明は、通常、ヒトおよび他の哺乳動物の膵臓からの、ランゲルハンス島の単離の後に捨てられる、外分泌画分を使用する。特定の実施様態において、膵臓外分泌細胞は、成
体、出産後または出産前膵臓から由来する。特定の実施様態において、再分化外分泌膵臓細胞を、異なる種内への移植のために使用する。他の実施様態において、再分化外分泌細胞を、同一の種の異なる個体への移植のために使用する。また他の実施様態細胞において、外分泌膵臓細胞を、個体より得、再分化外分泌細胞を、同一の個体への移植のために使用する。脱分化細胞を、14日間までのより長い期間、培養中に維持可能である。あるいは、脱分化細胞を、凍結し、保存する。
【0034】
本発明は、EGFレセプター(EGFR)へ結合し、下流経路を活性化する、EGF(上皮増殖因子)の使用に関する。したがって、EGFレセプターに結合し、活性化する活性を維持する、EGFの短化または変異形態を、本発明の方法のための変法として使用可能である。同様の文脈で、膵臓細胞を単離した種とは異なる、他の動物種からのEGFのようなリガンドを、レセプターに結合し、活性化するならば、使用可能である。これらの目的のために、1つの種からのそのようなリガンドの配列を、他の種から得た細胞集団上での望む結合および活性化特性を獲得するために、改変可能である。in vivoの目的のために、非ヒト哺乳動物からのリガンドを、ヒト内で活性を獲得するため、およびヒト免疫システムによる免疫応答を避けるために、「ヒト化」可能である。同様に、EGFRに対するリガンドである、他の天然に存在する、または改変タンパク質を、本発明の方法のために使用可能である。これらの例は、形質転換増殖因子−アルファ、アンフィレグリン、ベータセルリンおよびPoxVirus増殖因子がある。
【0035】
本発明は、gp130レセプターに結合し、下流経路を活性化する、LIF(白血病阻害因子)の使用に関する。LIFは、膵臓発達における機能は現在までに記述されていない、多面性サイトカインである。幹細胞増殖および分化のよく知られている調節物であり、胚幹細胞の分化を防止するために広く使用されている。gp130レセプターに結合し、活性化する能力を保持する、LIFの短化または変異形態を、本発明の方法のための変法として、使用可能である。同様に、gp130に対するリガンドであり、下流経路を活性化する、他の天然に存在する、または改変タンパク質を、本発明の方法のために使用可能である。その例には、IL−6、IL−11、OSM(オンコスタチンM)、CNTF(Ciliart 神経栄養因子)、G−CSF(顆粒球−コロニー刺激因子)、CT−1(カルディオトロフィン−1)、IL−12およびレプチンがある。
【0036】
LIFに対する齧歯類(マウス、ラット)と霊長類(ヒト、サル)細胞の挙動の違いが、ヒトES細胞とMAPC細胞に関して記述されている[Jiang et al.前掲]。1つの実施様態にしたがって、ヒト脱分化膵臓細胞を、EGFレセプターに対するリガンド(たとえば、EGF)およびgp130レセプターに対するリガンド(たとえばLIF)を含む組成物中でインキュベートする。ヒト細胞を使用する特定の実施様態において、LIFは任意である。
【0037】
再分化のために、本発明の方法にて使用する、EGF、LIFおよび他の化合物は、同一の種からでありえ、また、化合物がそのレセプターに結合し、レセプターを活性化する限り、他の種からでもあり得る。したがって、一般的に、本発明は、第二の哺乳動物のgp130レセプター経路のリガンド、および/または第三の哺乳動物のEGFレセプター経路のリガンドを加えることによる、第一の哺乳動物の細胞の再分化に関し、各第一、第二および第三の哺乳動物は、独立して、限定はしないが、ヒト、霊長類および非霊長類サル、ハムスター、マウスおよびラットのような齧歯類、ウサギ、ヤギ、ウシおよび他の畜牛、イヌおよびブタからなる、哺乳動物の群より選択される。
【0038】
1つの実施様態において、本発明は、成熟インスリン産出細胞の特徴的な形態、または未熟、脱分化、または胚細胞の特徴的な形態である、個々の細胞、または細胞集団における特性を決定することに関する。外分泌腺房細胞が、上清培養のたった4日以内に、大い
にその表現系を変化させることが、先に示されている(Rooman et al.(2000)&(2001)、前掲)。これらは、膵臓トリプシノーゲン、トリプシンおよびリパーゼのような、アミラーゼおよび他のチモーゲンを欠き、導管マーカーCK20の発現を開始する。Matrigelマトリックスにおいて、これらは、導管と似ている嚢胞性構造を形成するが、上清培養中に残っている場合に、脱分化し、Pdx−1およびPtf1−p48転写因子、神経外分泌マーカーPGP9.5、およびCCKBガストリンレセプターの組み合わせのような、胚マーカーを発現する傾向にある[Rooman et
al.(2000)&(2001)、前掲]。これらのマーカーは別として、分化および脱分化細胞に関する他のマーカーが、当業者に公知であり、細胞または細胞集団の分化の程度を評価するために使用可能である。
【0039】
本発明は、再分化細胞集団または個々の細胞が、未分化または胚細胞に典型的な特定の特徴を持つことを示す。インスリン産生している再分化細胞のいくつかは、2つの核(二核)およびCK20免疫応答性の発生のような、同様の細胞特性を維持している。したがって、本発明は、一方で、再分化細胞および再分化細胞を含む細胞集団を、他方で、成熟細胞および成熟細胞を含む細胞集団を見分けるマーカーおよび方法を防ぐ。
【0040】
本発明の1つの実施様態において、由来した脱分化細胞を、低血清濃度(1% FBS)の存在下で、プラスチックに結合させた単層として培養した。多くの他の条件を、上清培養の使用、ウシ血清以外の他の動物の血清の使用、RPMI−1640以外の他の基礎培地の使用、およびグルコース濃度の変更のような、哺乳動物の脱分化細胞の培養のために同定可能である。
【0041】
本発明は、ベータ−細胞新生が、培地中の2つの可溶性因子の組み合わせ、すなわちEGFとLIFによって、齧歯類、とりわけラットのような、特定の動物で誘導可能である、短期間培養モデルを含む。これは、正常外分泌を、内分泌細胞に表現系スイッチすることを記した、腺房島変換分化の、初めてのin vitro研究である。
【0042】
本発明の1つの実施様態は、再分化インスリン分泌膵臓細胞を含む、哺乳動物細胞の集団を含む、医薬組成物に関する。細胞集団に加えて、前記組成物は通常、当業者によく知られており、たとえば、コラーゲンまたはゼラチンのようなタンパク質、デンプン、ポリサッカライド、糖(デキストロース、グルコースおよびスクロース)のような炭水化物、ナトリウムまたはカルシウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体、プレゼラチン化デンプン、ペクチン寒天、カラゲナン、泥、親水性ガム(アカシアガム、グアーガム、アラビアガムおよびキサンタンガム)、アルギニン酸、アルギニン酸塩、ヒアルロン酸、ポリグリコール酸およびポリ乳酸、デキストラン、ペクチン、水溶性アクリルポリマーまたはポリビニルピロリドンのような合成ポリマー、プロテオグリカン、リン酸カルシウムなどから選択される、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む。
【0043】
本発明は、LIFの組み合わせのような、化合物の存在下で、脱分化外分泌細胞の、in vitro再分化を示している。他の実施様態において、細胞の再分化は、処置されるべき個体内で起こることが想定される。例として、脱分化細胞を、さらにたとえばLIFおよびRGFを含む、時間および濃度制御マトリックスを可能とする化合物を含む、生物分解性マトリックス内に埋め込み、これにより、脱分化外分泌膵臓細胞のin vivo分化が可能にある。マトリックスの分解の後、分化細胞が放出される。特定の実施様態において、細胞をまず、制限された時間で、in vitroにて分化誘導増殖因子で処理し、その後、さらにin vivo分化のために、増殖因子の存在下で、移植する。したがって、他の態様において、本発明は、脱分化細胞と、細胞の分化のための化合物を含む医薬組成物に関する。
【0044】
以下の実施例で本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0045】
実験設定
動物:体重250〜300gのオス10〜12週齢Wistarラット(Janvier,Le Genest−St−Isle,France)を、膵臓からの細胞の単離のために使用した。体重22〜24gの8週齢オスBALB/cAnNCrl−nuBRヌードマウス(チャールス リバー ラボラトリー社(Charles River Laboratories,Inc,),Wilmington,MA)を、移植のためのレシピエントとして使用した。全ての動物実験は、ブリュッセルのフリー大学(Free University)のEthical Committeeによって承認された。
【0046】
外分泌組織の単離:膵臓を、コラゲナーゼと共に、部分的に溶解させ、外分泌腺房を、すでに発行されているように(Rooman et al.(2000)&(2001)、前掲)、遠心希釈によって精製した。
【0047】
培養手順:外分泌細胞を、10%胎児ウシ血清(FBS、ギブコBRL(Gibco BRL)、Paisley,Scotland)、ペニシリン(75mg/l)(コンチネンタル ファーマ(Continental Pharma)、Brussels,Belgium)およびストレプトマイシン(100mg/l)(シグマ(Sigma),St Louis,Mo.,USA)を含むRPMI−1640 Glutamax−I培地中の懸濁培養中で、細菌学ペトリディッシュ(ヌンク(Nunc)、Naperville,Ill,USA)内で、4日間、前培養し、Geneticin Sulphate(50μg/ml)(シグマ)を使用して、培養液から繊維芽細胞を禁止した。培地をこの前培養機関の間、毎日取り替えた。単離後第4日目に、細胞を、24−ウェルプレート(ファルコン(Falcon)、BDバイオサイエンセス(BD Biosciences)、Erembodegem,Belgium)上、1000μl−分液中に分配した。この手順を、1ウェルあたりおよそ75ng DNAを得るために標準化した。いくつかの実験では、細胞を、プレーティング前に、10分間、10mM アロキサンで処置した。一晩の培養後、非接着細胞を洗浄して除去し、ついで、対照培地または増殖因子含有培地をウェルに加えた。対照培地は、1% FBSおよび抗生物質(ストレプトマイシン 0.1g/lおよびペニシリン 0.075g/l)を含むRPMI−1640培地からなる。増殖因子培地は、50ng/ml ヒト組換え体上皮増殖因子(EGF)(シグマ、St.Louis,MO)および40ng/ml 組換え体マウス白血病阻害因子(LIF)(シグマ)を含む、対照培地からなる。細胞単層を、後者の培地中3日間の培養期間後に、解析した。
【0048】
免疫細胞組織学およびDNA測定;ウェルあたりの細胞の数を、Hoechst 33258色素の結合に基づく、DNA蛍光アッセイによって測定した[Loontiens
et al.Biochemistry.(1990)29、9029−9039]。少なくとも6ウェルを、1実験条件あたりで使用し、三重培養を、DNA−抽出のために使用し、平衡して、細胞組成の免疫細胞化学解析のために使用可能である。単層の免疫細胞化学染色を、24−ウェルプレート中で直接実施した。この目的のために、細胞単層を、4%緩衝ホルムアルデヒドにて10分間固定し、続いて、細胞透過性のために、20分間、メタノール(−20℃)で処理した。1つの抗原の単独染色のために、ストレプトアビジン−ビオチンペルオキシダーゼ法を使用した[Bouwens et al.Diabetes.(1994)43,1279−1283、Bouwens & De Blay J Histochem Cytochem.(1996)44,947−951]。二重染色のために、FITC−およびTRITC−標識台に抗体での、間接法を使用
した(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)。この研究で使用した第一抗体は、ポリクローナル抗−インスリン(C.Van Schravendijk,VUB,Brussels)[Bouwens et al.(1994)、前掲、Bouwens & De Blay、前掲]、ポリクローナル抗−ラットC−ペプチド−I(O.D.Madsen,Hagedom Research Institute,Gentofte,Denmark[Blume et al,Mol Endocrinol.(1992)6,299−307]、ポリクロナール抗−Pdx1(O.D.Madsen)[Rooman et al.(2000)前掲]、ポリクローナル抗−Glut−2(Wak−Chemie,Bad Soden,Germany)、モノクローナル抗−サイトケラチン−20(CK20)(Novocastra,Newcastle−upon−Tyne,UK)(Bouwens et al.(1994)前掲、Bouwens & De Blay、前掲)、ポリクローナル抗−アルファ−アミラーゼ(シグマ)、およびマウスモノクローナル抗−BrdU(ICN,Irvine,CA,USA)である。増殖細胞による5’−ブロモデオキシウリジン(BrdU)の取り込みを査定するために、10μM BrdU(シグマ)を、固定の1時間前に、培養培地に加えた(Rooman et al.(2001)前掲)。BrdUパルス−追跡標識のために、BrdUを、接着細胞培養の第一日目に、培養培地に加え、24時間後に取り除いた。細胞を、パルスの24時間後、および細胞培養の3日目、すなわちBrdUの存在しない状態での48時間追跡後に、解析した。BrdU取り込みを、インスリン−発現細胞中、およびサイトケラチン−発現細胞中両方でスコア化した。
【0049】
RT−PCR解析:全RNAを、Trizol RNA単離法(インビトロジェン ライフ テクノロジーズ(Invitrogen Life Technologies)、Carlsbad,CA)を用いて、ラット膵臓細胞の単層細胞培養から抽出した。notch−1およびグリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼをコードしている転写物の半定量的解析のために、製造業者(インビトロジェン ライフ テクノロジーズ)によって記述されたように、全RNAを逆転写し、増幅した。PCR産物を、1.5〜2.5% アガロースゲル中での電気泳動によって分離し、臭化エチジウム染色によって視覚化した。解析を、少なくとも3回実施した。
【0050】
形態計測:コンピュータ−補助形態計測[Bouwens et al.(1994)前掲]を使用して、24−ウェルプレート中の単層の面積を測定した。
【0051】
インスリン測定:細胞インスリン含量および培地中に放出されたインスリンを、放射−免疫アッセイによって測定した[Pipeleers et al.前掲]。グルコース−刺激インスリン放出を研究するために、培養培地中のインスリンを、2.5mM グルコースを含む基礎培地中での4時間のインキュベーション、続いて20mM グルコース中の4時間インキュベーション後に測定した(血清およびグルコースを含まないHAM−10培地、ギブコ(Gibco))[Lobner et al.Diabetes(2002)51,2982−2988]。
【0052】
移植:単層細胞を移植するために、これらを、子牛皮膚からのコラーゲンS(I型、ロッシュ モレキュラー バイオケミカルズ(Roche Molecular Biochemicals)、Mannheim,Germany)上で培養し、コラゲナーゼP(ロッシュ モレキュラー バイオケミカルズ)で脱離させた。細胞ペレットを、移植3時間前に、70mg/kgアロキサンを静脈内に注射した、ヌードマウスの肝臓カプセル(17)下で移植した。血液グルコースレベルを、Glucocard Memoryストリップ(A.Menarini Diagnostics Benelux,Zaventem,Belgium)を用いることによって、給餌マウスの尾錠脈から得た試料中で、2日ごとにモニタした。
【0053】
統計:両側対ステューデントt−検定を使用し、信頼区間<0.05で、統計学的有意と判断した。平均値を±SEMで示す。独立した実験の繰り返しを、n=x(nは、繰り返し数)として示し、それぞれの細胞調製物は、合計5匹のラットからのプールである。
【実施例2】
【0054】
外分泌細胞単層の産出と組成
単離および前培養外分泌腺房細胞凝集体を、先に記述されたようにして得(Rooman et al.(2000)&(2001)、前掲)、続いて、これらの細胞をプラスチック上で単層を形成させた。90%を超える細胞が、導管マーカーCK20に対して免疫応答性であり、腺房細胞のアミラーゼマーカーを失っていた。(これらの細胞のうち、79.0±0.4%(n=7)は二核化しており、これは腺房細胞の部分の特徴である)。これらの培養は最初、3.7±0.46%(n=7)のインスリン−陽性細胞を含んでいた。細胞調製物を、単層形成の前に、アロキサンで前処理した場合、単層は、0.5%未満のインスリン−陽性細胞を含んだ。ゲニチシンを培養の間に使用した場合、繊維芽細胞の生産物は阻害された。
【0055】
発行されたデータによって、外分泌腺房細胞が、上清培養の4日以内に、アミラーゼや他のチモーゲンのような、その分化特性を欠き、CK20、Pdx−1とPtf1−p48転写因子の組み合わせ、神経内分泌マーカーPGP9.5およびCCKBガストリンレセプターのような、腺房細胞および胚特性を発現し始める(Rooman et al,(2000)&(2001)、前掲、Lardon et al.(2004)Virchows Arch.444,61−65)。デキサメタゾンの存在下で、これらの細胞が、肝細胞様細胞に変換分化可能であることが示された[Lardon et al.(2004)、Hepatology 39,1499−1507]。本研究のために、これらの細胞を、低血清濃度(1%FBS)の存在下で、プラスチックに接着した単層として培養し、LIFとEGFの組み合わせの効果に関して試験した。これらの因子は、成体および胚神経幹細胞の分化を制御することが知られている(Viti et al.(2003)、J.Neurosci.15,3385−3393)。
【実施例3】
【0056】
細胞数とベータ−細胞頻度における増殖因子の効果
単層培養を、LIFとEGFで、3日間処理すると、培養の開始および両方の増殖因子のない状態での培養と比較して、DNA含量の有意な増加が観察された(図1A)。形態計測によって測定された、細胞に覆われている総表面は、同程度の増加を示した。
【0057】
LIFとEGFでの処理はまた、インスリン−陽性細胞の頻度の、有意な増加を誘導した。全ての細胞のパーセンテージとして示す(図1B)。インスリン−陽性細胞の頻度を、総DNA含量で掛け合わせ、絶対ベータ−細胞数の測定を行った場合、ベータ−細胞数の11倍の増加が、3日間の培養期間にわたり、LIFおよびEGFの存在下で観察された(図1c)。総細胞インスリン含量の、放射免疫アッセイでの解析によって、対照培養と比較して、LIFおよびEGF処置培養において、6倍の増加が示された。
【0058】
LIFまたはEGFいずれかのみの存在下でも、ベータ−細胞数の有意な増加があり、開始物質と比較して、それぞれ6倍および5倍であるが、これらの増加は、両方の因子が一緒に存在する場合よりも、有意に低かった。
【0059】
LIFおよびEGFの存在下での培養3日後、ベータ−細胞の汚染を枯渇させた、アロキサン前処理培養において、9.2±1.5%インスリン−陽性細胞が見られた(n=4)。増殖因子のない場合、0.4±0.1%のインスリン−陽性細胞が存在した。両方の
因子の組み合わせで見られた、インスリン−陽性細胞のアップレギュレーションは、EGFまたはLIFいずれかのみを与えた場合には観察されなかった。
【0060】
本発明の方法にしたがってえられる細胞集団を、さらに、たとえば欧州特許第1146117号で示されたように、FACSソーティング、サイズ分画および溶出のような方法によって、インスリン分泌細胞に関して濃縮可能である。
【0061】
in vitroで、EGFまたはLIFのみはまた、ベータ細胞の数に効果を持つ。このことは、これらの因子がまた、培養細胞によって産出され、パラクラインまたはオートクライン様式で働きうる、という観察(未発表観察)によって説明可能である。本発明において、LIFがベータ細胞より産生されることが示され、したがって、ベータ細胞が、前駆体細胞からのその独自の再生を刺激可能であることが示唆されている。ベータ細胞はまた、たとえばネトリン[De Breuck et al.Diabetologia(2003)46,926−933]および血管上皮増殖因子[Rooman et al.Lab Invest.76,225−232]のような、膵島新生を調節可能な他の因子も産出する。これらの観察によって、なぜ、毒性または自己免疫損傷に続く「自発的」膵島新生が、制限されるのかが説明されうる。
【0062】
分化外分泌細胞の本モデルにおいて、LIFとEGFとの組み合わせが、全DNAにおける有意な増加、および単層によって占領された広い面積によって明らかなように、細胞増殖を刺激することがわかった。LIFとEGFとの組み合わせはまた、インスリン−陽性細胞パーセンテージのおよそ6倍の増加となった。観察されたDNAの増加と共に、インスリン−含有細胞の数の10倍以上の増加を与える。
【実施例4】
【0063】
表現系解析
二重免疫蛍光染色による解析によって、これらのインスリン−陽性細胞のほとんどがまた、プロインスリンC−ペプチド−I、転写因子Pdx−1、およびグルコーストランスポーターGlut−2を含む、他のベータ−細胞マーカーも発現することが示された。C−ペプチドに対する免疫応答性は、インスリン−免疫応答性細胞の頻度の増加の説明として、培地からの、インスリン取り込みの可能性を排除する(インスリンを培地に加えなかった)。
【0064】
EGF+LIF−処置培養中、およそ10%のインスリン−陽性細胞が、CK20に対して免疫応答性であり、インスリン−陰性細胞と比較して多少低い染色度であった。インスリンとCK20の共発現は、増殖因子を加えず、開始物質中で見られなかった場合に、対照培養中でほとんど観察されなかった。この共発現によって、外分泌からインスリン−陽性細胞への表現系転移が示唆されている。著しく、インスリンおよびCK20−二重−陽性細胞が、二核であると観察され得た。二核インスリン−陽性細胞は、対照培養中ではほとんど見られず、開始時点では存在しなかったが、EGF+LIF−処置培養で高い頻度で見られ、そこでは、全てのインスリン−陽性細胞の、6.2±0.47%(n=7)と計数された。本発明の外分泌細胞由来単層において、ほぼ80%の細胞が二核であった。二核性が、腺房細胞外分泌細胞の基本特徴であるので[Ramiya et al.前掲]、これらの観察は、外分泌細胞から、インスリン−陽性細胞への転換に関する、他の示唆である。本発明の方法を用いて得た再分化細胞は、全体として、しかしまたいくつかの個々の細胞として、集団が、完全に分化した細胞の、しかしまた、不完全に分化した胚または成体前駆体細胞の特徴を維持するという、際だつ特徴を持つ。これらの特徴は、本実施例および以下の実施例で例示されている。分化および未分化細胞の両方のマーカーを持つこの特徴によって、本発明によって得られた細胞と、膵臓、とりわけ成体の膵臓から新たに単離された細胞を見分けることが可能になる。
【0065】
これらのインスリン−含有細胞の大部分が、インスリン−変換活性化転写因子Pdx−1、ベータ−細胞特異的グルコーストランスポーターGlut−2、および未処理プロインスリンのC−ペプチド−I成分のような、ベータ細胞の他の表現系特徴を発現しているので、成熟ベータ−細胞として考えることができる。BrdU−標識ベータ−細胞は非常に少ないので、3日間の期間内での、観察されたその数の増加は、前駆体細胞の分化、または新生に起因すると考えられる。
【0066】
外分泌細胞が、新しく形成されたベータ−細胞の前駆体細胞として利用されたことの2つの示唆が存在した。第一に、CK20免疫応答性は、インスリン−陽性細胞の部分として考えられた。これ以前に、CK20を含むベータ−細胞が、胎児[Bouwens &
DeBlay、前掲]、および新生が、導管−ライゲーションによって誘導される場合に、成体膵臓[Wang et al.前掲]にてのみ見られることが示された。したがって、CK20発現は、CK20−陽性外分泌細胞から、ベータ−細胞への変換に対する、良い示唆である。第二に、二核性が、インスリン−陽性細胞の部分で言及される。二核性は、腺房外分泌細胞の特徴であり、正常ラットベータ−細胞では観察されない[Rooman et al.(2000)、前掲]。これは、外分泌細胞のベータ細胞への変換の他の示唆である。二核ベータ細胞は、非常に小さなベータ−細胞有糸分裂活性(BrdU−取り込み)しかないので、細胞質分裂前に、細胞分裂が阻止されていることを示しうる。観察された増加の代わりに、ベータ細胞数の減少を導きうるけれども、ベータ細胞間の細胞融合は完全に除外不可能である。マイトマイシン−cとサイトカラシン−Bでの未発表の発見によって、インスリン−陽性細胞がまた、遅延細胞質分裂または開裂工程の種類によって、二核化(外分泌)細胞からえられうることが予想される。細胞質細胞開裂または収縮−分裂が、四倍体ハイブリッド細胞から間接的に示されたが、機構はいまだに特定されていない[Wang et al.Nature(2003)422,897−901]。
【実施例5】
【0067】
増殖
インスリン−陽性細胞中のBrdU−取り込みの解析によって、0.1%以下のインスリン−陽性細胞が、1時間のパルスの後、BrdU−標識されたことが示された。このことによって、これらの細胞における二核化が、有糸分裂ベータ−細胞における停止核分裂の結果であること、またはベータ−細胞数の増加が、含有ベータ−細胞の増殖によるものでありうることは非常にあり得ないことになる。およそ1.5%の外分泌細胞が、BrdU標識された。
【0068】
72時間期間にわたるBrdUパルス−追跡実験(24時間のパルス期間および48時間の追跡)によって、追跡期間の間の、EGFおよびLIFの存在下での、BrdU−標識ベータ−細胞の有意な増加が明らかになった(図2B)。この増加は、単に、増殖外分泌細胞の、非増殖ベータ−細胞の分化によって説明しうる。
【0069】
マイトマイシン−C(増殖の阻害剤)およびサイトカラシン−B(細胞質分裂の阻害剤)での結果によって、二核細胞が、細胞周期を介さないで、単核化細胞(インスリンを発現している)に分裂可能であったことが示され、これは、一種の遅延細胞質分裂と開裂減少の存在を示唆している。
【実施例6】
【0070】
成熟および胚マーカーのPCR解析
RT−PCR解析によって、Notch発現が、対照−培地(8日目)中で培養した単層では存在しないこと、およびNotchが、EGFおよびLIFの存在下で、単層中で
アップレギュレートされたことが明らかにされた。Notchは、ラット膵島には存在しない。
【実施例7】
【0071】
インスリン分泌
インスリン分泌研究を、上記細胞培養条件下で、4時間にわたって実施した。2.5mM グルコース中でのその基礎分泌と比較して、20mM グルコースによる刺激によって、分泌インスリンの4倍の増加が起こり、すなわち、2.3から9.5ng/mlであった。
【実施例8】
【0072】
移植
LIFおよびEGFで処理した脱分化膵臓ラット細胞の脱離単層を、アロキサン−処理ヌードマウスに移植し、観察した。70mg/kg アロキサンで処置したマウスは、恒久的に高血糖性のままであるか、または1週間以内に死亡する[Wang et al.Diabetologia(1995)38、1405−1411]。移植によって、14日にわたり維持される、血中血糖の正常化となるが、移植片含有肝臓が除去されると、急速に高血糖に戻った(図3)。このことは、本発明にしたがって、in vitroにて、LIFおよびEGFで得た再分化ベータ細胞が、in vivoで、血中血糖を制御可能であることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明の実施様態にしたがって、EGFおよびLIFの存在下で、これらの増殖因子のない状態と比較した、DNAの増加(A)、%インスリン−陽性細胞(B)、ベータ−細胞数(C)および培養増殖の細胞インスリン含量(D)を示している(*=p<0.05、**=p<0.01)。細胞を、EGF+LIFがない状態(中間)またはある状態(右)での3日間前に、培地中で5日間維持する(左)。
【図2】図2は、本発明にしたがって、対照培地対EGFおよびLIF両方で処置した培養での、アロキサンでの前処理後の、インスリン−陽性ベータ細胞の増加(A)(n=4)、パルスおよび追跡期間の間の、EGFとLIFの存在下での、BrdU−標識化インスリン陽性ベータ−細胞の数(B)(n=4)を示している(**=p<0.01)。
【図3】図3は、本発明にしたがって、本発明のEGF+LIF再分化細胞を用いる、in vivo糖尿病マウスモデルを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の哺乳動物の脱分化外分泌膵臓細胞を含む集団から、インスリン産生ベータ細胞を生成するin vitro方法であって、以下のステップ
−a)培養培地中の、脱分化外分泌膵臓細胞を含む集団を提供すること、
−b)前記培養培地に、第二の哺乳動物のgp130レセプターの1つまたはそれ以上のリガンドを加えること、および/または第三の哺乳動物のEGFレセプターの1つまたはそれ以上のリガンドを加えること、
−c)前記1以上のgp130レセプターのリガンド、および/または前記1以上のEGFレセプターのリガンドを含む、前記培養培地中で、前記脱分化外分泌膵臓細胞をインキュベートすること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記gp130レセプターの前記リガンドが、前記gp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記gp130レセプターの前記リガンドが、LIFである、請求項3または2に記載の方法。
【請求項4】
前記gp130レセプターのリガンドが、ヒトまたはヒト化LIFである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
LIFを、10〜100ng/mlの間の濃度で、前記培養培地に加える、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記EGFレセプターの前記リガンドが、前記EGFレセプターのヒトまたはヒト化リガンドである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記EGFレセプターの前記リガンドが、EGFである、請求項1〜6に記載の方法。
【請求項8】
前記EGFレセプターの前記リガンドが、ヒトまたはヒト化EGFである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
EGFを、10〜100ng/mlの間の濃度で、前記培養培地に加える、請求項6〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、さらに、ステップb)の間に、前記培養培地に、bFGFを加えるステップを含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
ステップb)にて、gp130の1つまたはそれ以上の前記リガンド、および/または前記EGFの1つまたはそれ以上の前記リガンドを、1〜10000ng/mlの間の濃度で、前記培養培地に加える、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記培地が、KGFまたはガストリン/CCKレセプターリガンドを含まない、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記インキュベーションステップを、5日未満の間、実施する、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
脱分化外分泌膵臓細胞を含む前記集団が、導管細胞、腺房細胞および膵島細胞からなる
群より選択される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ステップa)の前に、ベータ細胞から前記集団を枯渇させる予備ステップを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
哺乳動物細胞がラット細胞であり、前記EGFレセプターの1つまたはそれ以上のリガンドが、ヒトEGFを含み、および/またはgp130レセプターの前記1つまたはそれ以上のリガンドが、マウスLIFを含む、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の方法によって入手可能な、哺乳動物インスリン産生ベータ細胞を含む、哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項19】
前記集団が、約5〜約15パーセントのインスリン−陽性細胞を含む、請求項18に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項20】
10%ウシ胎児血清を含む、RPMI−1640培地中、37℃にて、4時間、20mM グルコースに曝露した後、前記細胞集団が、グルコースへの前記暴露の前のインスリン分泌と比較すると、インスリン分泌に関して、2倍以上の増加を示す、請求項18または19に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項21】
10%ウシ胎児血清を含む、RPMI−1640培地中、37℃にて、4時間、20mM グルコースへ、前記集団を曝露した後に、少なくとも10ng/mlのインスリン分泌を産出可能である、請求項18または19に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項22】
前記細胞集団が、少なくとも1つの、分化ベータ細胞の特徴と、少なくとも1つの未分化ベータ細胞の特徴を、同一の個々の細胞内で持つ細胞を含む、哺乳動物インスリン産出ベータ細胞を含む、哺乳動物細胞の集団。
【請求項23】
分化ベータ細胞の特徴が、インスリン分泌であり、未分化ベータ細胞の特徴が、CK20発現および/または二核性である、請求項22に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項24】
請求項1〜18のいずれかに記載の方法によって入手可能である、請求項22または23に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項25】
前記細胞集団が、未分化または脱分化細胞のマーカーを持つ、細胞の第一の亜集団を含み、分化細胞のマーカーを持つ細胞の第二の亜集団を含む、哺乳動物インスリン産出ベータ細胞を含む哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項26】
前記分化細胞のマーカーが、C−ペプチド−I、Pdx−1、Glut−2およびインスリンからなる群より選択される、請求項25に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項27】
脱分化または未分化細胞の前記マーカーが、サイトケラチン7、サイトケラチン19、サイトケラチン20、ガストリンに対するCCKBレセプター、PGP9.5およびnotch−1レセプターの群から選択される、請求項26に記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項28】
請求項1〜17のいずれかに記載の方法によって入手可能である、請求項18〜27のいずれかに記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項29】
前記哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、請求項18〜28のいずれかに記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項30】
前記哺乳動物細胞が、ブタ細胞である、請求項18〜29のいずれかに記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項31】
前記哺乳動物細胞が、ラット細胞である、請求項18〜30のいずれかに記載の哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項32】
治療的に活性な量の請求項18〜31のいずれかに記載の哺乳動物膵臓細胞集団と、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む、医薬組成物。
【請求項33】
医薬品の製造のための、請求項18〜31のいずれかに記載の哺乳動物膵臓細胞集団の使用。
【請求項34】
前記医薬品を、1型または2型糖尿病の処置のために使用する、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
効果的な量の、請求項32に記載の医薬組成物を、必要とする個体に投与するステップを含む、1型または2型糖尿病の処置のための方法。
【請求項36】
医薬品の調製のための、EGFレセプターのヒトまたはヒト化リガンドと、gp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドの組み合わせの使用。
【請求項37】
前記医薬品を、1型または2型糖尿病の処置のために使用する、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記EGFレセプターのヒトまたはヒト化リガンドが、ヒトEGFであり、前記gp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドが、ヒトLIFである、請求項36または37に記載の使用。
【請求項39】
1型または2型糖尿病の処置のための、医薬品の調製のための、gp130レセプターのヒトまたはヒト化リガンドの使用。
【請求項40】
gp130レセプターの前記ヒトまたはヒト化リガンドが、LIFである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
脱分化哺乳動物膵臓細胞の再分化の程度を決定するためのin vitro法であって、前記哺乳動物膵臓細胞上の、以下の、
a)CK20、CK7またはCK19の存在、
b)二核細胞の発生、
c)インスリン陽性細胞の存在、
d)C−ペプチド、Pdx−1およびGlut−2の存在、
e)ガストリンCCKBレセプター、PGP9.5およびnotch−1レセプターの存在、
からなる群から選択される1つまたはそれ以上のパラメータを決定するステップを含む、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法によって同定可能である、請求項18〜31のいずれかに記載
の、哺乳動物膵臓細胞の集団。
【請求項43】
脱分化膵臓細胞から、in vitroにて、インスリン産生哺乳動物ベータ細胞を生成する方法であって、
−gp130レセプターのリガンドを含む培地中で、前記脱分化膵臓細胞をインキュベートすることを含む方法。
【請求項44】
前記培地がさらに、EGFレセプターのリガンドを含む、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−520194(P2007−520194A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515565(P2006−515565)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/BE2004/000089
【国際公開番号】WO2004/113512
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(596099561)
【氏名又は名称原語表記】VRIJE UNIVERSITEIT BRUSSEL
【Fターム(参考)】