説明

外国語ヒアリング音声教材

【課題】 従来の音声教材による外国語ヒアリング学習では逐語的なヒアリングになりがちであり、学習効率が上がらなかった。
【解決手段】 本発明の音声教材は、文章を構成する一連の語句において、一つの語句の音声が終わらないうちに、並行して次の語句の音声を出すようにしたものである。学習者は複数の語句の音声の重なったものを聞くことで、必然的に、まとめて聞き・まとめて認識することの直接的なトレーニングを行える。また、ステレオ音源により、語句ごとに音声の聞こえてくる方向を違えることで、語句が聞き分けられやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外国語ヒアリング学習の音声教材に関する。
【背景技術】
【0002】
言葉を聞き取るという行為は、耳で音を『聞く』過程と、それに続いて脳でその音に対応する言葉として『認識する』過程で構成されると考えられる(図1)。音声は語句ごとに順次聞こえてくる(図2)ので、外国語の学習を始めたばかりの頃は、一単語ずつ逐語的に、聞く・認識する、聞く・認識する、を繰り返すこと(以下、逐語的ヒアリングとする)をしてしまいがちであるが、通常速度の外国語を聞き取るためには、一単語ずつではなく、文章を『まとめて聞き・まとめて認識する』ことが必要となる。
【0003】
従来から語学学習においては、速度変更可能な再生装置を用いて通常とは異なる速度で外国語音声を聞くことが行われてきており、それを発展させた音声教材やシステムもあるが、しかしながら、これらの主な効果は逐語的ヒアリングの向上である。
【0004】
例えば、通常より遅い速度で外国語音声を聞くタイプの音声教材は、確実に『聞き』、確実に『認識する』ことを行うためのものであり、速度に余裕があることから、逐語的ヒアリングの癖をつけてしまいがちである。
【0005】
また、通常より速い速度で外国語音声を聞くタイプの音声教材は、早い速度でのヒアリングに慣れることで、通常の速度の外国語音声を聞き取りやすくすることが主な効果であり、逐語的ヒアリングを高速で行うトレーニングになりがちである。さらに、速くするほど『聞く』こと自体が難しくなっていくという欠点もある。
【0006】
また、近年、コンピューターを活用した学習システムが提案されており、文章全体を把握することを志向した学習システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、そこで用いられている音声は、従来のものと同様に語句の音声が順次聞こえてくるものであり、従来の音声教材が本質的に持っている逐語的ヒアリングの傾向は変わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2007−248750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の音声教材による外国語ヒアリング学習は逐語的ヒアリングになりがちであり、学習効率が上がらなかった。
【0009】
本発明は、文章をまとめて聞き・まとめて認識する力を直接的に高め、効果的にヒアリング力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願の第1発明の外国語ヒアリング音声教材は、文章を構成する一連の語句において、一つの語句の音声が終わらないうちに、並行して次の語句の音声を出すようにしたものである(図3)。
【0011】
本願の第2発明の外国語ヒアリング音声教材は、本願の第1発明において、ステレオ音源により、語句ごとに音声の聞こえてくる方向を違えるようにしたものである(図4)。
【作用】
【0012】
本願の第1発明によれば、学習者は複数の語句の音声の重なったものを聞くので、それは必然的に、まとめて聞き・まとめて認識することの直接的なトレーニングとなる。
【0013】
語句間の重なりが多いほど高い効果を期待できるが、重なりの多い音声が同一方向から聞こえてくると、音声が混じってしまい語句として聞き取ることが難しくなる。
【0014】
第2発明によれば、語句ごとに音声の聞こえてくる方向が異なることで、語句が聞き分けやすくなるので、語句間の重なりを多くすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、直接的に、まとめて聞き・まとめて認識する力を高められるので、効果的にヒアリング力を向上させることができる。また、本発明は音声のスピードを問わないので、幅広いレベルに対応することができる。
【0016】
第2の発明によれば、語句間の重なりを多くすることができ、より効果的にヒアリング力を向上させることが可能となる。また、主語、動詞等または主節、従属節等の構文にあわせて聞こえてくる方向を変えることで、構文を意識づける効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 言葉の聞き取りと認識の過程を示す図である。
【図2】 通常の音声を示す図である。
【図3】 一連の語句の音声が重なっている音声を示す図である。
【図4】 語句ごとの音声が異なった方向から聞こえてくる音声を示す図である。
【図5】 語句ごとの音声の聞こえてくる方向に構文を考慮した音声を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
音声合成はコンピューター等を用いて行う。予め合成した音声をコンパクトディスク等の媒体に録音しておき、ヒアリング学習時にそれを聞く。もしくは、音声合成のためのコンピュータープログラムを作成し、ヒアリング学習時にそれを用いる。
【実施例】
【0019】
単純な文で、聞こえてくる方向が大きく異なる場合は、60〜90%程度語句を重ねる。聞こえてくる方向があまり異ならない場合は、30〜50%程度重ねる。聞こえてくる方向は語句の順に左から右に変化させる。
【0020】
複文の場合は、主節と従属節の間で聞こえてくる方向を大きく違え、節間での重なりを多くする。それぞれの節中の語句間では、聞こえてくる方向をあまり違えず、語句間の音声の重なりを少なめにする(図5)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文章を構成する一連の語句において、一つの語句の音声が終わらないうちに、並行して次の語句の音声を出すことを特徴とする外国語ヒアリング音声教材。
【請求項2】
ステレオ音源により、語句ごとに音声の聞こえてくる方向を違えることを特徴とする請求項1の外国語ヒアリング音声教材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−266834(P2010−266834A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−135547(P2009−135547)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(508043888)
【Fターム(参考)】