説明

外用貼付剤

【課題】本発明の課題は、貼付剤の支持体である不織布や織布に関して有効な捺印又は印刷方法を見出すことである。特に、製品として実施可能な捺印方法を見出すことを目的とする。
【解決手段】本発明は、フィルムコート錠に使用するインクを用いて支持体表面に文字を捺印することにより、インクが膏体まで浸透することなく、識別性が明瞭な貼付剤を作製することが出来た。これにより、トレーサビリティーの向上した貼付剤を提供することが出来るようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤の支持体表面に、成分名や含量等をインクまたは染料等で表示されている外用貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬物を生体内へ投与する手段として薬物を含有する粘着シートを皮膚に貼付する方法が一般的に知られており、パップ剤、プラスター剤などの局所作用を目的とするものや、虚血性心疾患治療効果、喘息治療効果など全身的効果を目的とするものなど、多種多様な薬物含有貼付剤が汎用されている。
薬物含有貼付剤が一般に認知され、普及する中、薬物の情報提供義務の法制化などにより、薬物含有貼付剤を封入する包装材には製品名が従来から表記されているものの、薬物含有貼付剤自体へ製品名などを表記させた例は数少ない。即ち、貼付剤は通常薬剤部をカバーするライナーと薬剤部のラミネート構造をしている。通常ライナー側には製品名や使用方法を印刷しているが貼付時にはライナーを剥がし、薬剤を患部に貼付する。しかしながら薬剤部には基本的に表示がなされておらず、かろうじて刻印での表示が行われているだけである。貼付剤については作用が強い薬品や長期間使用の製剤も増加しており、安全性の観点から品名、使用期間の確認等についてのトレーサビリティーが求められている。
【0003】
支持体がフィルムに関するものについて、幾つかの検討がなされている(特許文献1〜3)が、不織布や織布に関して有効な捺印方法は見出されていない。何故ならば、捺印用のインクが滲んだり、膏体や含有される薬物とインクが反応する可能性があるため、従来は貼付剤の支持体部分への印刷がタブーとされてきたからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−202538号公報
【特許文献2】特開2007−22939号公報
【特許文献3】特開2008−1642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、貼付剤の支持体である不織布や織布に関して有効な捺印方法を見出すことである。特に、製品として実施可能な捺印方法を見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、通常使用される色素や顔料を使用して、貼付剤の支持体に品名、製造番号、成分名、含量、使用期限、使用開始及び終了を記載する枠などを捺印するために、種々検討を行った。しかし、支持体からインクが滲み出して、インクと膏体とが反応し、更にはインクが膏体に含有される有効成分と反応することを回避するため、適切なインクの選択が必要になった。そこで、製造承認申請が可能なインクとして、フィルムコート錠に使用するインク(顔料)を用いることを検討した。その結果、所期の目的を達成することができた。本発明者らは、以上の知見に基づいて本発明を完成させた。
【0007】
本発明の要旨は以下に示す通りである。
(1)支持体、膏体及び剥離ライナーで構成される外用貼付剤であって、
支持体が不織布または織布であり、
支持体の表面(非膏体側)に、
フィルムコート錠に使用する無機顔料及び/又は有機顔料を含有したインクで
捺印又は印刷する
ことを特徴とする、外用貼付剤。
(2)支持体の厚みが200μm〜1mmである、上記(1)に記載の外用貼付剤。
(3)支持体の厚みが300〜600μmである、上記(1)に記載の外用貼付剤。
(4)上記捺印の内容が、品名、製造番号、成分名、含量、使用期限、使用開始及び終了を記載する枠であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の外用貼付剤。
(5)無機顔料が黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化チタン由来の黄色、赤色、黒色、白色あるいはそれらの混合色の顔料であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の外用貼付剤。
(6)更に有機染料がインクに添加されていることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の外用貼付剤。
(7)インクが支持体表面から200μmまでの間に浸透定着していることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の外用剤。
【0008】
(8)外用貼付剤の支持体表面への捺印又は印刷方法であって、
支持体が不織布または織布であり、
支持体の表面(非膏体側)に、フィルムコート錠に使用する無機顔料及び/又は有機顔料を含有したインクで捺印することを特徴とする、外用貼付剤支持体表面への捺印又は印刷方法。
(9)無機顔料が黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化チタン由来の黄色、赤色、黒色、白色あるいはそれらの混合色の顔料であることを特徴とする、上記(8)に記載の捺印又は印刷方法。
(10)更に有機染料がインクに添加されていることを特徴とする、上記(8)に記載の捺印又は印刷方法。
(11)インクが支持体表面から200μmまでの間に浸透定着していることを特徴とする、上記(8)〜(10)のいずれかに記載の捺印又は印刷方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の外用貼付剤は、貼付剤の支持体表面に有効成分の品名、使用期間等がフィルムコート錠に使用するインクを用いて捺印又は印刷されており、トレーサビリティーの向上を図ることができた。更には、貼付日時を筆記用具で記載でき、貼付剤の適切な使用が可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】貼付剤の織布製支持体に青色インクで有効成分を印刷した外見を表した正面図(写真)である。
【図2】図1の印刷された支持体の部分拡大図(50倍の拡大写真)である。
【図3】図1の印刷された支持体の部分拡大図(200倍の拡大写真)である。支持体の表面に、インクが印刷されていることを示している。
【図4】貼付剤を切断し、その断面を部分拡大し、青色インクが支持体の中にどこまで浸透しているかを表した図(100倍の拡大写真)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
−本発明の第一の態様−
本発明の第一の態様は、フィルムコート錠に使用するインクを用いて織布または不織布製の支持体表面に有効成分等が印刷された貼付剤に関するものである。
本明細書において「フィルムコート錠に使用する無機顔料又は有機顔料を含有したインク」とは、フィルムコート錠に被覆するために、高分子素材(HPMC、CMC、HPC等)と共に、無機系含量である酸化鉄(赤、黄、黒色)や酸化チタン等を組み合わせてインクとしたもの、あるいは有機系染料又は有機系顔料を含有し、分散剤や沈降防止剤等一般的な成分を含有するインクであり、医薬品への安全性が確認されたインクのことを言う。なお、有機系染料として、タール系の色素を使用することも可能であるが、医薬品の添加剤としての使用は必要最小限とすることが望ましい。
本明細書において「無機顔料」とは、例えば二酸化チタン、酸化鉄、鉄黒等の酸化物、例えばアルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン等の水酸化物、例えばホワイト、クレー、タルク等のケイ酸塩物、例えば硫酸バリウム等の硫酸塩、例えば炭酸カルシウム等の炭酸塩などのことを言う。
本明細書において「有機顔料」とは、例えば黄色4号アルミレーキ、黄色5号アルミレーキ、青色1号アルミレーキ、青色3号アルミレーキ、赤色2号アルミレーキ、赤色3号アルミレーキ、赤色40号アルミレーキ、緑色3号アルミレーキ等の食品用または医薬品用の顔料のことを言う。
本明細書において「有機染料」とは、例えばタール色素の赤色2号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、青色1号、青色2号等の食品用または医薬品用の染料のことを言う。
【0012】
なお、好ましいインクとしては、例えばカラコン社製の医療包装用インク(TYVEK SUBSTRATES、FLEXO/GRAVURE)、耐熱性ポリオレフィンインク(FLEXOGRAPHIC/GRAVURE)、水基剤インク(FLEXOGRAPHIC/GRAVURE)及び東洋インク社製のGRAVURE INK LAMISTAR SERIES等を挙げることができる。
本明細書において「織布」とは、例えば、緯メリヤス編、経メリヤス編の編布の他、経糸と緯糸を編成した織物、レースを包含するものを言う。このような織布としては、支持体として用いた場合に投錨性をより向上させるという観点から、一方の面がパイルのない平滑な編成となっているものが好ましい。また、このような緯メリヤス編としては、天竺編、ゴム編、パール編(ガータ編)等が挙げられる。このような天竺編の編布は鹿の子編、裏毛編等の変化組織を有するものであり、このような変化組織によって表裏の目の違いがはっきりしている。そのため、前記支持体として天竺編の編布を用いる場合には投錨性をより向上させるという観点から、平滑で密な面に粘着剤を配置させることが好ましい。
【0013】
前記編布の目付としては、50〜200(より好ましくは80〜180)g/mの範囲が好ましい。前記目付が50g/m未満では、得られる貼付剤の自己支持性が不足するため貼付剤を貼付する際の操作が困難となるばかりか、粘着剤が裏じみしやすい傾向にある。また、前記目付が200g/mを超えると、裏じみを防止する観点からは好ましいものの布帛の伸長性が低下する傾向にある。
前記編布の繊維の主材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等のポリオレフィン(例えばHelly Hansen社製の商品名「Lifa」)、ビニロン等のポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂の1種を単独で又は2種以上を混合したものが挙げられる。このような編布の繊維の主材質としては、薬物をはじめとする粘着剤成分の保存安定性の観点からポリエステルが好ましい。また、前記編布には、前記主材質の繊維にレーヨン等のセルロース繊維や、綿等を加えることもできる。また、前述のインレイ糸としては、上記の材質のものを使用することが可能であり、更に、合成ポリウレタン、合成ゴム等の弾性の高い繊維を使用することも可能である。
【0014】
また、前記編布に編成される糸としては特に制限されないが、30〜150デニールの範囲の糸が好ましい。デニールとは、糸9000mあたりのグラム(g)であらわす重量値である。このような糸の繊維が太いと編布が硬い触感となる。このような糸としては、モノフィラメント糸であっても、複数のフィラメントから構成されるマルチフィラメント糸であってもよいが中でもマルチフィラメント糸が好ましい。このようなマルチフィラメント糸を用いた場合には、官能的に心地よい肌触り、風合を与えるだけでなく、製剤を貼付した状態での違和感が少なく、心理的なストレスが少ない傾向にある。また、編成する糸の太さに応じて、得られる編布の目付けが増す傾向にある。
また、本発明の支持体の材料として用いられる織物としては特に限定されず、例えば、平織り、綾織、朱子織等の基本組織が挙げられる。また、このような織物(布帛)の伸縮性を高めるため、前記基本編成に変化組織を加えてもよい。
本明細書において「不織布」とは、不織布それ自体、あるいは複数の不織布のとの積層によるもの、更には不織布と他の織布、編布、ウレタン等の高分子フィルム等との積層体であってもよい。また不織布の繊維素材は、特に限定されないが、熱可塑性繊維単独、または熱可塑性繊維と非熱可塑性繊維の混紡であってもよい。
熱可塑性繊維としては、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロンなど熱可塑性樹脂からなる素材、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル繊維などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。非熱可塑性繊維としては、レーヨン、キュポラ、麻、絹などを挙げることができる。なお、これらの繊維を用いて不織布を製造する方法は特に限定されないが、ウォータージェット、ニードルパンチ法等により製造することができる。
【0015】
本発明で支持体として使用される不織布は、そのなかでもポリエステル繊維を主体とする、伸縮性を有する不織布が好ましく、特に、ポリエステル含量が70%以上のものが好適であり、好ましくは90%以上のものがよい。このようなポリエステル系不織布としては、例えば、0.5〜3.0デニールの太さのポリエステルウエップを、必要により他の繊維ウエップと共にニードルパンチ法等により1m2当たり10〜200g程度の均一なシート性にしたものが好ましい。他の繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、レーヨンなどを挙げることができる。
本発明の不織布にあっては、これらの熱可塑性繊維、特にポリエステル繊維に、さらに低融点繊維を混紡した繊維からなる不織布を使用するのが好ましい。かかる低融点繊維を混紡することにより、エンボス加工により、シャープに文字が刻印され、またエンボス加工が形崩れしにくい特性を発揮する。そのための低融点繊維としては、ポリエステル、ポリプロピレン等が挙げられ、1種または2種以上を混紡して用いることができる。その混紡量としては3〜20%、好ましくは5〜10%である。
【0016】
本発明で支持体として使用される不織布の厚みは、エンボス加工により刻印された文字が明瞭に判読し得るに十分な厚みを有するものであればよく、0.1〜3mm程度、好ましくは0.2〜2mm程度であり、その目付量としては10〜200g/m2、好ましくは50〜150g/m2のものを用いることができる。
本発明で支持体として使用される織布は、例えば、緯メリヤス編、経メリヤス編の編布の他、経糸と緯糸を編成した織物、レースを包含する。このような織布としては、支持体として用いた場合に投錨性をより向上させるという観点から、一方の面がパイルのない平滑な編成となっているものが好ましい。また、このような緯メリヤス編としては、天竺編、ゴム編、パール編(ガータ編)等が挙げられる。このような天竺編の編布は鹿の子編、裏毛編等の変化組織を有するものであり、このような変化組織によって表裏の目の違いがはっきりしている。そのため、前記支持体として天竺編の編布を用いる場合には投錨性をより向上させるという観点から、平滑で密な面に粘着剤を配置させることが好ましい。
【0017】
前記編布の目付としては、50〜200(より好ましくは80〜180)g/mの範囲が好ましい。前記目付が50g/m未満では、得られる貼付剤の自己支持性が不足するため貼付剤を貼付する際の操作が困難となるばかりか、粘着剤が裏じみしやすい傾向にある。また、前記目付が200g/mを超えると、裏じみを防止する観点からは好ましいものの布帛の伸長性が低下する傾向にある。
前記編布の繊維の主材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン等のポリオレフィン(例えばHelly Hansen社製の商品名「Lifa」)、ビニロン等のポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂の1種を単独で又は2種以上を混合したものが挙げられる。このような編布の繊維の主材質としては、薬物をはじめとする粘着剤成分の保存安定性の観点からポリエステルが好ましい。また、前記編布には、前記主材質の繊維にレーヨン等のセルロース繊維や、綿等を加えることもできる。また、前述のインレイ糸としては、上記の材質のものを使用することが可能であり、更に、合成ポリウレタン、合成ゴム等の弾性の高い繊維を使用することも可能である。
【0018】
また、前記編布に編成される糸としては特に制限されないが、30〜150デニールの範囲の糸が好ましい。デニールとは、糸9000mあたりのグラム(g)であらわす重量値である。このような糸の繊維が太いと編布が硬い触感となる。このような糸としては、モノフィラメント糸であっても、複数のフィラメントから構成されるマルチフィラメント糸であってもよいが中でもマルチフィラメント糸が好ましい。このようなマルチフィラメント糸を用いた場合には、官能的に心地よい肌触り、風合を与えるだけでなく、製剤を貼付した状態での違和感が少なく、心理的なストレスが少ない傾向にある。また、編成する糸の太さに応じて、得られる編布の目付けが増す傾向にある。
また、本発明の支持体の材料として用いられる織物としては特に限定されず、例えば、平織り、綾織、朱子織等の基本組織が挙げられる。また、このような織物(布帛)の伸縮性を高めるため、前記基本編成に変化組織を加えてもよい。
【0019】
本明細書において「膏体」とは、貼付剤の分野において粘着剤または粘着層とも呼ばれるものであり、疎水性粘着剤、親水性粘着剤に分けられている。この膏体中に有効成分を混合し、有効成分を分散、可溶化又は乳化させることになる。疎水性粘着剤は、プラスター(テープ剤)に使用され、親水性粘着剤はパップ剤に使用される。なお、これらの膏体は、それぞれ、公知の汎用手段で作製することができる。例えば疎水性粘着剤は、エラストマー、粘着付与剤、軟化剤、充填剤、老化防止剤等を必要に応じて適量を添加して作製される。
エラストマーとしては、例えばポリイソブチレン、ポリスチレン・ブタジエン、ポリイソブチレン、シリコンゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合体等の合成ゴム、例えばアクリル酸メチルエステル、メタアクリル酸メチルエステル等のアクリル酸系ゴム、天然ゴムなどを挙げることができる。粘着付与剤としては、例えばポリテルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、芳香族石油系樹脂、ロジン、ロジン誘導体などを挙げることができる。軟化剤としては、例えばプロセスオイル、低分子ポリブテン等の石油系軟化剤、例えばやし油、ひまし油等の脂肪油系軟化剤、精製ラノリンなどを挙げることができる。充填剤としては、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ酸類などを挙げることができる。老化防止剤としては、BHT、4,4−ジオキシジフェニル、EDTA−2Naなどを挙げることができる。
【0020】
本明細書において「剥離ライナー」とは、膏体表面を保護し、皮膚への貼付時に剥離する試材を言う。ライナーの材質としては、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、紙等を挙げることができる。なお、膏体との剥離性を良くするため、ライナーの材質の表面をシリコン処理等を行うことができる。
【0021】
−本発明の第二の態様−
本発明の第二の態様は、フィルムコート錠に使用する添加剤を用いたインクを用いて織布または不織布製の支持体表面に印刷する方法に関するものである。
本明細書において「捺印又は印刷方法」とは、貼付剤の支持体に、一般的な印刷手段で品名、製造番号、成分名、含量、使用期限、使用開始及び終了を記載する枠を捺印は印刷する方法を言う。例えば、グラビア印刷機、オフセット印刷機、インクジェット印刷機等で支持体表面に捺印又は印刷することができる。
なお、本発明の第一の態様と共通して用いられる用語は、第一の態様と同じ意味を表すものである。
【実施例】
【0022】
以下、実施例および試験例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)貼付剤の支持体表面への捺印
支持体に織布(ポリエチレンテレフタレート製の織布、厚みは約0.5mm)を使用し、公知技術文献(特許第4620168号)方法に準じて、エトドラクのリドカイン塩を有効成分とする貼付剤を作製した。膏体中にエトドラクが2.4w/w%であり、リドカインを2.0w/w%を含有する貼付剤を作製した。その支持体表面に、東洋インク社製のインク(GRAVURE INK LAMISTAR SERIES)で有効成分名等を捺印した。
その結果、図1で示される、支持体表面に印刷された貼付剤が得られた。更に図2(×50倍)、図3(×200倍)の拡大写真で支持体表面の捺印部分を拡大写真で撮影し、表面へのインクの滲み方を評価した。また、インクが支持体の表面からどこまで浸透しているかを確認するため、貼付剤のインク捺印部分を切断し、断面を拡大してインクの付着部分の深さを評価した。その結果を図4(×100倍)の拡大写真で示す。
図4に示されるように、インクは支持体表面から約172〜176μmの深さまで浸透しているが、膏体には到達していないことが示された。なお、図4では、支持体の厚みが約475〜500μmであり、膏体の厚みが約139〜143μmであることが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の外用貼付剤は、貼付剤の支持体表面に安全性を確保するために必要な事項(有効成分の品名、使用期間等)を記載でき、膏体までインクが浸透して行かないため、インクと膏体との間の余分な反応を回避できるだけでなく、更にトレーサビリティーの向上が図れるようになった。しかも、近年の貼付剤については作用が強い薬品や長期間使用の製剤も増加しており、安全性がより求められている。本発明の貼付剤はこの要請に応えるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体、膏体及び剥離ライナーで構成される外用貼付剤であって、
支持体が不織布または織布であり、
支持体の表面(非膏体側)に、
フィルムコート錠に使用する無機顔料及び/又は有機顔料を含有したインクで
捺印又は印刷する
ことを特徴とする、外用貼付剤。
【請求項2】
支持体の厚みが200μm〜1mmである、請求項1に記載の外用貼付剤。
【請求項3】
支持体の厚みが300〜600μmである、請求項1に記載の外用貼付剤。
【請求項4】
上記捺印の内容が、品名、製造番号、成分名、含量、使用期限、使用開始及び終了を記載する枠であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の外用貼付剤。
【請求項5】
無機顔料が黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化チタン由来の黄色、赤色、黒色、白色あるいはそれらの混合色の顔料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の外用貼付剤。
【請求項6】
更に有機染料がインクに添加されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の外用貼付剤。
【請求項7】
インクが支持体表面から200μmまでの間に浸透定着していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の外用剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−183096(P2012−183096A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46418(P2011−46418)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(302005628)株式会社 メドレックス (35)
【Fターム(参考)】