説明

外着用ウェア

【課題】パッド部からの水分の排出を容易にすることを課題とする。
【解決手段】胸部に装着して使用されるブラジャーパッド部8を少なくとも有する外着用ウェアにおいて、硬質ウレタンフォームシートからなる湾曲したパッド7の両面に内生地3、外生地4を貼り付け、前記パッド7に該パッド7の厚み方向に沿って水抜き若しくは汗抜き用貫通孔2を設けたことを特徴とする外着用ウェア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は外着用ウェアに関し、特に吸水した水が抜けやすい水着や、激しい運動等により生じた汗が抜けやすいレオタード又はフィットネスウェアに関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、例えば水着は胸部に位置する部分にブラジャーパッド部を有する。ここで、ブラジャーパッド部は、例えば、主として着用者の肌側(内側)に位置する内布地と、硬質ウレタンフォームシートからなる湾曲したパッドと、このパッドの外側に位置する外生地とから構成されている。一般に、前記硬質ウレタンフォームシートは、補整性能や緩衝性能に優れ、かつ他の素材と比べ安価であるという理由で多用されている。
【0003】
こうした構成のブラジャーパッド部を有した水着においては、内部に多孔質の硬質ウレタンフォームシートが使用されているため、一旦海水等につかると、海水が硬質ウレタンフォームシートに吸水され、パッド部からなかなか抜けにくいため、風などが吹いたりあるいは曇ったりすると、肌寒さを感じたり、あるいは不快感が生じるという問題があった。従来、ウレタンフォームを用いた水着の例としては、例えば下記特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2001−172806
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明はこうした事情を考慮してなされたもので、ウレタンフォームシート又はポリエチレンフォームシートからなるパッドに該パッドの厚み方向に沿って水抜き若しくは汗抜き用貫通孔を設けることにより、ブラジャーパッド部からの水分の排出が容易な外着用ウェアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の外着用ウェアは、胸部に装着して使用されるブラジャーパッド部を少なくとも有する外着用ウェアにおいて、ウレタンフォームシート又はポリエチレンフォームシートからなる湾曲したパッドの両面に布地を配置し、前記パッドに該パッドの厚み方向に沿って水抜き若しくは汗抜き用貫通孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、ブラジャーパッド部からの水分の排出が容易な触感のよい外着用ウェアが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明について更に詳しく説明する。
この発明に係る外着用ウェアは、主として水着、若しくはレオタード、若しくはフィットネスウェア等、水や汗を含みやすいウェアとして特に有効的に使用されるが、これらに限定されることなく、ブラジャーパッド部を有する他の衣類に適用することができる。
【0008】
この発明において、パッドの材質としては、硬質あるいは軟質ウレタンフォームシートが用いられるが、貫通孔を開けることを考慮すると硬質ウレタンフォームシートが好ましい。また、この他の材質としては、例えばポリエチレンフォームシートを用いることもできる。
【0009】
この発明に係るウレタンフォームシート又はポリエチレンフォームシートからなるパッドは、胸部の中心部で厚く、その周辺部に向かうにつれて中心部に比べて徐々に薄くすることが、補整性能を保持する点で好ましいが、全体的に同じ厚みで形成することもできる。また、前記シートに形成する貫通孔は、胸部の下部側に位置する部分で他の部分と比べて多数設けられていることが好ましい。これにより、一旦吸水した水や汗を重力に従って早く排出することができる。また、前記貫通孔は、格子状に同じ間隔で形成してもよいし、互いに間隔を変えて形成してもよい。更に、貫通孔の形状も丸穴に限定されず、任意の形に形成することができ、更にはその数も特に限定されない。
【0010】
前記ブラジャーパッド部は、板状のウレタンフォームシート又はポリエチレンフォームシートを型にセットし、歯型又は多数のポンチを用いて前記シートに多数の貫通孔を開けた後、前記シートの両面に布地を配置し、更に加熱,加圧により圧縮する(モールド加工)ことにより得ることができる。
【0011】
(実施例)
以下、この発明の実施例に係る水着について図1及び図2を参照して説明する。
[水着のブラジャーパッド部の製造方法]
まず、図1(A)に示すような例えば厚さ10mmの硬質ウレタンフォームシート1を図示しない多数の歯を有した型にセットし、内径3mmの貫通孔2を多数格子状に5mm間隔で形成した(図1(B)参照)。次に、前記シート1の上側(内側)に内生地3を接着するとともに、前記シート1の下側(外側)に外生地4を接着した(図1(C)参照)。つづいて、内生地3及び外生地4を接着した前記シート1を、図2に示すように上型5及び下型6にセットし、例えば220℃、40〜50秒、30kg/cmの条件下で加熱,加圧して図1(D)に示すような湾曲した硬質ウレタンフォームシートからなるパッド7を有したブラジャーパッド部8を形成した。但し、加熱温度、時間、圧力は上記数値に限定されない。また、前記シート1への貫通孔の形成は、多数のポンチを使って行ってもよい。
【0012】
[ブラジャーパッド部の構成]
この発明に係る水着は、多数の貫通孔2を有する硬質ウレタンフォームシートからなる湾曲したパッド7と、このパッド7の両面に接着された内生地3及び外生地4とを有し、前記パッド7は中心部では厚くかつその周辺部に向かうにつれて薄くなる構成であるブラジャーパッド部8を有している。こうした構成の水着によれば、前記パッド7に設けられた多数の貫通孔2の存在により、一旦吸水した水を容易に排出することができる。従って、海水等から上がっても従来の水着に比べて肌寒さをあまり感じず、触感に優れるという利点を有する。また、パッド7が硬質ウレタンフォームシートからなるため、貫通孔2を開けやすい。
【0013】
事実、この発明による硬質ウレタンフォームからなるパッド(以下、本発明品)と貫通孔を有しない硬質ウレタンフォームシートからなるパッド(以下、従来品)を用いて、カップ状の内側に水を溜め、通水する時間を測定した(通水試験)ところ、以下のような結果が得られた。但し、水量は約50cc用いた。
【0014】
即ち、未使用の段階では、従来品の場合50cc全て通水するのに3分以上かかったが、本発明品の場合約20秒で通水した。一方、一回通水後の段階では、従来品が約120秒かかったのに対し、本発明では約5秒で通水した。これにより、本発明品が従来品に比べて著しく通水性が優れていることが明らかである。また、ブラジール型試験機(商品名:エアークランプ式コンパクト型AP360S、(株)大栄科学精器製作所製)を用いて、JIS規格のL1018ニット生地試験方法(8.33.1)に準拠して通風試験を行なった。その結果、従来品の場合19.88(cc/cm/sec)であるのに対し、本発明品の場合37.79(cc/cm/sec)であり、この試験からも本発明品が従来品と比べ通気性が優れ、このことからも本発明の通水性の良さを確認することができる。
【0015】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例に係る水着のパッド部の製造方法を工程順に示す説明図。
【図2】図1(D)の水着用パッドを成形する金型の説明図。
【符号の説明】
【0017】
1…硬質ウレタンフォームシート、2…貫通孔、3…内生地、4…外生地、5…上型、6…下型、7…パッド、8…ブラジャーパッド部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸部に装着して使用されるブラジャーパッド部を少なくとも有する外着用ウェアにおいて、
ウレタンフォームシート又はポリエチレンフォームシートからなる湾曲したパッドの両面に布地を配置し、前記パッドに該パッドの厚み方向に沿って水抜き若しくは汗抜き用貫通孔を設けたことを特徴とする外着用ウェア。
【請求項2】
水着又はレオタード又はフィットネスウェアとして使用されることを特徴とする請求項1記載の外着用ウェア。
【請求項3】
前記シートは、胸部の中心部では厚く、その周辺部に向かうにつれて中心部に比べて薄くなることを特徴とする請求項1もしくは請求項2いずれか記載の外着用ウェア。
【請求項4】
前記貫通孔は、胸部の下部側に位置する部分で他の部分と比べて多数設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか記載の外着用ウェア。
【請求項5】
前記ブラジャーパッド部は、板状のウレタンフォームシート又はポリエチレンフォームシートを型にセットし、歯型又は多数のポンチを用いて前記シートに多数の貫通孔を開けた後、前記シートの両面に布地を配置し、更に加熱,加圧により圧縮して得られることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載の外着用ウェア。

【図1】
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【図2】
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