説明

外科手術用の隔離装置

本発明は、無菌の卵およびトリを生成するためにトリから未成熟な卵を取り出すことを含む、外科的な方法において使用するために適している、外科手術用の隔離装置兼架台に関する。特に、この外科手術用の隔離装置は、特定の無菌状態にあるトリを生産する際に使用される。この隔離装置兼架台は、外科手順が行われる汚染物質を含まない環境を提供し、少なくとも2つのグローブポートを備える壁と堅固な隔離装置の床から作製される隔離装置と;開いた位置と閉じた位置とを有する、滅菌外科手順の間にトリを受容しそして位置決めするための、架台とを備え、この架台は、トリの手術表面が、外科手術用ポートを通して手術され得るように、隔離装置の手術表面に関してトリの手術表面を安定に位置決めすることが可能であり;そして、閉じた位置にある架台は、架台上のトリと外科手術用ポートとの間に維持される完全かつ安定な気密シールを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、無菌の卵およびトリを作製するために、トリから未成熟卵を取り出すための外科的手法において使用するために適した、外科手術用の隔離装置兼架台(isolator and cradle)に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
最初の外科手術用隔離装置は、ノトバイオートでの用途のために開発され、ここで、無菌の実験動物が、Caesarean選択によりその親からこのような動物を直接無菌環境中に取り上げることによって得られた。
【0003】
特許文献1は、特定の汚染物質を含まない状態のトリを飼育する方法に関する。この出願の方法は、トリを親ドリとして飼育する工程、親ドリの排出腔へと卵が移動する前に、親ドリからその殻内の卵を外科的に取り出す工程、その卵を保温する工程、そして、卵を孵化させて、産まれたトリ(laying bird)を得る工程を包含する。この出願はまた、特定の汚染物質を含まない状態の鳥類の卵の生産にも関連する。
【特許文献1】欧州特許第01650109号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特定の無菌状態の卵およびトリを得るための滅菌手順において使用するための、外科手術用の隔離装置兼架台に関する。
【0005】
本明細書において、用語「汚染物質を含まない/無菌」は、非常に広い意味で用いられ、鳥類、特に、ニワトリおよびシチメンチョウのような家禽によって伝染され得る多くの病原体および感染媒体に関連する。これらの家禽は、商業生産用の有精卵を生産するため、ならびに、人間の消費用の卵および食肉を生産するために繁殖させるためのトリの群れをもたらすために広く使用される。さらに、このような卵およびトリは、人間および動物における治療および予防の両方の用途のための、ワクチン、抗体、モノクローナル抗体、線維芽細胞およびタンパク質を含む広範囲の生物学的物質の製造において使用される。これらはさらに、トランスジェニックの卵およびトリの診断検査および生産のために広く用いられる。これらの用途の多くは、これらから生産される卵および/またはトリが、全てまたは感染媒体のような特定の汚染物質(種々の種類の寄生生物、最近、マイコプラズマ、ウイルス、レトロウイルス、プリオン、DNAおよびRNAのフラグメントを含む)を含まないことを必要とする。ときおり、ウイルスは、ピコナ(picoma)ウイルスおよびパルボウイルスを含めた、小さなウイルスであり得る。頻繁に卵を汚染するいくつかの細菌としては、クロストリジウム属および腸内細菌が挙げられる。制限されるべき多くの非病原生物も存在する。同様に、寄生生物、好気性細菌および嫌気性細菌、片利共生種および消化管に関連する種を含む多くの微生物も、望ましくない。同様に、マイコプラズマ、レトロウイルスを含むウイルス、プリオン、真菌、酵母およびカビもまた望ましくない。
【0006】
したがって、用語「特定の汚染物を含まない」または「無菌状態」は、これらのうちいくつかまたは全てを含み得、そして、特定の病原体を含まないに過ぎないという状態よりもかなり広い。例えば、従来の特定病原体を含まない(SPF)とは、いくつかのウイルスを含まないものと特定されるのではなく、実際には、細菌で汚染されている可能性がある。その卵およびトリの使用用途が、その卵またはトリが含んではならない汚染物質を決定する。従来の無菌卵およびいくつかのSPF卵は、自然に産卵されたばかりの卵を消毒剤および抗生物質を含む化学物質で処理し、そして、隔離装置中に置くことによって得られる。このような自然に産卵された卵は、選択された繁殖用の親ドリから取って来られる。これらの方法はSPF卵の生産において比較的成功しているが、これらは、汚染物質を含まない卵の生産において、真の意味で成功しているわけではない。しかし、化学物質は、例えば、産卵直後かつ消毒前の、卵殻の孔から侵入する細菌からの汚染を排除できない。SPFであれ、無菌であれ、ノトバイオートであれ、卵の汚染は、規定の遵守を損ない、多くの場合、商業的な価値および有用性を損ねる。
【0007】
(発明の言説)
本発明の第一の局面によれば、トリのための滅菌外科手術用の隔離装置兼架台が提供され、この隔離装置兼架台は、外科手順が行われる汚染物質を含まない環境を提供し、そして、
少なくとも2つのグローブポート(gloved port)を備える壁と堅固な隔離装置の床から作製される隔離装置であって、この堅固な隔離装置の床内に、手術表面および外科手術用ポートを提供する、隔離装置;ならびに
開いた位置と閉じた位置とを有する、滅菌外科手順の間にトリを受容しそして位置決めするための、架台
を備え、この架台は、トリの手術表面が、外科手術用ポートを通して手術され得るように、隔離装置の手術表面に関してトリの手術表面を安定に位置決めすることが可能であり;そして、閉じた位置にある架台は、架台上のトリと外科手術用ポートとの間に維持される完全かつ安定な気密シールを提供する。
【0008】
本発明の第二の局面によれば、上述の外科手術用の隔離装置兼架台の使用方法が提供され、この方法は、
外科手術用ポートを滅菌した透明な接着フィルムの第一の層で密封する工程;
トリの手術表面を清浄かつ滅菌し、そして、トリを開いた位置にある架台の上に置く工程;
接着フィルムの細片上に滅菌した透明な接着フィルムの第二の層を置く工程;および
トリの手術表面、好ましくは腹部を、外科手術用隔離装置の手術表面に関して安定に位置決めすることを確実にするように、架台を閉じた位置に動かす工程
を包含し、ここで、第一の接着層は第二の接着層と接しており、そして、トリと外科手術用隔離装置との間には完全な気密シールが形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
一般的な観点において、本発明は、外科手術用の隔離装置兼架台と、この隔離装置兼架台を用いて、外科手順が行われ得る汚染物質を含まない環境を提供するための手段とを提供する。この外科手順は、トリからの、その殻内の未成熟卵の外科的な取り出しを含む。
【0010】
排出腔は、トリの体内の主な汚染領域である。排出腔は、トリの消化系および生殖系の両方に連結された房であり、従って、卵と糞便とが排出腔内に同時に存在し得る。卵は、排出腔に入る前は、汚染物質を含まない。しかし、卵殻が多孔性であるので、卵が排出腔を通って生殖系へと通過する際の外部の汚染物質が大きな問題となる。無菌性を維持しつつ卵を親ドリから取り出すためには特定の方法が必要とされ、その後、卵が未成熟であることから、卵を首尾よくかつ着実に保温および孵化させるためにも、さらなる特定の方法が必要とされる。
【0011】
具体的には、本発明は、外科手順において使用するための外科手術用の隔離装置兼架台に関し、ここで、卵が排出腔に移動する前に、親ドリから、その殻内にある未成熟な卵が取り出される。本発明は、無菌卵を得ることに関するので、外科手術用の隔離装置兼架台は、その内部で手順が行われるための滅菌環境を提供することが絶対条件である。
【0012】
好ましくは、外科手術用の隔離装置は、滅菌のガス状環境を含むものとする。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、外科的操作に適切な隔離装置は、柔軟であり得、そして、外科的操作のための少なくとも2つのグローブポートを備える壁と、別個のエントリーポートと、地面から高くした堅固な隔離装置の床とから作製される。グローブポートの前方にある隔離装置の床には、特別の外科手術用ポートが存在する。好ましくは、この外科手術用ポートは、約200mm×300mmであり得る。
【0014】
トリは、調節可能なステンレス鋼の架台を用いて、外科手術のために呈され、そして保持される。この架台は、外科手術用ポートの下で隔離装置の床の下側に旋回様式で取り付けまたはヒンジ付けされている。
【0015】
外科手術用の隔離装置と、付随する機器とは、熱、湿気(水蒸気)、放射線および化学物質(例えば、過酸化物および/またはアルコールと合わせた有機ヨウ素)を含む、方法の組み合わせを用いて滅菌され得る。胚の生存能力を損ねない滅菌方法のみが使用されるべきである。さらに、細菌および芽胞を含まない程度を最大にするために、あらゆる外科手術用機器がγ線照射されるべきである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、外科手術用の隔離装置は、完全に清浄にされ、乾燥され、アルコール噴霧(少なくとも10分間の曝露時間)され、乾燥され、2〜5%v/vの過酢酸(peracetic acid)で燻蒸消毒(少なくとも20分間の曝露時間)されるべきである。
【0017】
外科手術用の隔離装置の環境は、胚毒性を避けるために、滅菌濾過した空気でパージされ得る。水蒸気、放射線または過酢酸滅菌に適さない電気機器および他の機器は、市販のエチレンオキシド滅菌システムを24時間ごとに1回、または好ましくは2回適用することによって滅菌され得る。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、透明な滅菌した外科用のプラスチック製フィルムまたは接着フィルムが、トリの滅菌表面と隔離装置との間に安定な気密シールを達成するために使用され得る。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、外科手術用ポートは、好ましくは、透明なプラスチック製フィルムまたは接着フィルムで密封されて、トリの滅菌した表面と、外科手術用の隔離装置の開口部との間に完全かつ安定な気密シールの形成を可能にする。
【0020】
最も好ましい実施形態によれば、外科手術用ポートは、滅菌した透明な接着フィルムの第一の層で密封され、架台上にトリが置かれ、そして、トリの表面が滅菌され、透明な接着フィルムの細片がトリの滅菌表面上に置かれ、滅菌した透明な接着フィルムの第二の通常はより大きな層が、この接着フィルムの細片の上に置かれ、そして、トリの腹部を外科手術用の隔離装置の手術表面に関して安定に位置決めすることを確実にするために、架台が閉じた位置に旋回される;ここで、第一の接着層は、第二の接着層と接しており、そして、トリと外科手術用隔離装置との間に完全な気密シールが形成される。
【0021】
接着フィルムは、羽毛を完全に除去し、皮膚を徹底的に調製および滅菌し、そして、(界面活性剤、アルコールおよび有機ヨウ素を用いて)角質細胞(keratocyte)および皮脂を除去した後に、トリの皮膚に適用されるべきである。
【0022】
フィルムの一体性の維持と、外科的アプローチの簡易化とは、架台を使用することによって高められ、架台は、外科手術用隔離装置の手術表面に関してトリの腹部を安定に位置決めすることを可能にする。
【0023】
本発明のなおさらなる実施形態によれば、シールの一体性の確認は、外科手術用隔離装置内に無菌的に放出される滅菌したヘリウムガスのような流体検査物質を用いて成され得、そして、漏れは、ヘリウムガス検出器を用いて外部から検出される。あるいは、滅菌を示す液体(例えば、ヨウ素溶液)が使用され、視覚による検査により検出され得る。
【0024】
好ましくは、卵の外科的な取り出しは、胚の生存能力を損ねるのを避けるために、最良には安楽死から約30分未満の時点で迅速に完了される。麻酔の使用の延長、または、親ドリの安楽死と卵の取り出しとの間の過度の遅延は、胚の生存能力に不利な影響を与える。
【0025】
本発明のなおさらなる実施形態によれば、トリの子宮から未成熟卵を取り出すための外科手順は、接着フィルムの切開、トリの皮膚の切開、トリの皮下、筋肉および腹膜の層を通した処理(transaction)を包含する。卵は、無傷の密閉された(例えば、クランプ留めされた)子宮内で、または、子宮の切開により直接的に、のいずれかで取り出され得る。無菌溶液の形態の流体との全ての直接的な接触は、胚の生存能力を損ねるあらゆる危険性に対抗するために回避されるべきである。
【0026】
あるいは、外科的な取り出しは、以下:
側腹部切開を行い、そして、縫合糸を用いてトリの卵管を両端で結紮する工程;
各縫合糸から遠位に離れた位置で卵管を切断する工程;
卵を卵管中に包まれた状態で取り出す工程;
卵管を滅菌する工程;
卵を取り出す工程;および
卵を滅菌する工程
を包含する。
【0027】
使用される外科手順は、トリの腸が排泄物によって汚染されないこと、そして、卵が傷つかないことを確実にしなければならない。あらゆる点で、無菌の技術が使用されなければならない。
【0028】
好ましくは、トリは、その殻内の卵を取り出す前に、安楽死または畜殺により屠殺される。あるいは、トリは安楽死され得る。雌性の親ドリは、生きていても、ごく最近に畜殺されていてもよい。生きたトリは、倫理、法律、および動物の福祉の考慮と両立するように、完全に意識があって落ち着いていても、麻酔されてもよい。卵および卵子(eggs and ova)は、有精または無精のいずれかであり得、意識があって落ち着いていても麻酔されていてもよい。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、架台は、トリを受容するための空間を規定する2本の実質的に平行な棒を備える。使用時に、架台は開かれ、そして、トリが架台中に置かれる。好ましくは、2本の棒は、実質的に同一なものであり、そして、隔離装置の床の下で鋭角を形成する。トリは、トリの手術表面(子宮および腹部)が隔離装置の床に対して平行になるように、頭を先に架台中に置かれる。トリの尾の端は、子宮および腹部が正確に位置決めされるように、架台の棒の上に置かれる。次に、架台上の解放機構が閉じられ、次いで、トリの下側が隔離装置の床および外科手術用ポートに対して平行になる。次に、未成熟卵を取り出すための外科手順が行われ得る。隔離装置の壁中のグローブポートは、トリの下側および手術表面へのアクセスを可能にする。
【0030】
外科手術用の隔離装置は、一般に、グローブポートを有する作業領域表面、ビューイング領域、および外科手術用ポートの形状のアクセスパネルを囲む囲いを備える。また、その後、保温隔離装置へと移動するための、外科手術用の隔離装置から移動ユニットへの外科的に取り出した卵の無菌的な移動を可能にする、さらなるアクセスパネルもまた存在する。
【0031】
好ましくは、卵の取り出しは、自然状態で卵が親ドリの排出腔へと移動する移動時点よりも前で、かつ可能な限りこの移動時点に近い時点において行われる。
【0032】
外科的に取り出された卵は、次いで、滅菌した容器内に置かれて、密閉され得る。この容器は、卵を冷却することを可能にし、そして、卵の保存に適した設計および大きさであるべきである。滅菌した容器は、卵の約10倍の容量のものであり、卵は、プラスチック製のフレームにより支持され、そして保護される。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、全外科手順の滅菌性が確認され得る。これらとしては、好気性環境、嫌気性環境および微小嫌気性環境における、細菌、マイコプラズマ、ウイルスおよび真菌のための適切な培養培地(液体培養液富化培地(liquid broth enrichment media)を含む)を用いた、卵および生殖管からの微生物スワブ(湿ったスワブとして採取し、すぐに移動媒体中に入れた)のようなサンプルの、微生物の単離のための採取および評価が挙げられる。
【0034】
一度、滅菌外科手術により取り出した未成熟卵が得られると、この卵は、次いで、滅菌環境下で保温され、孵化され、そして、飼育されて産まれたトリをもたらし得る。
【0035】
本発明によれば、微生物を含まない程度を最大にするために、卵は、好ましくは、卵が排出腔内に入る前に、親の雌から無菌的に取り出されるべきであり(排泄腔もまた無菌またはノトバイオートでない限り)、そして、生活環は、滅菌した隔離装置内で一周されるべきである。SPFの卵およびトリが生産される場合、生活環は、隔離装置の外側で一周され得る。
【0036】
本発明により制御され得る感染性生物としては、問題とされる種に対し病原性でも非病原性でもあり得る生物が挙げられる。これらとしては、鳥類種(代表的には、ニワトリ、家禽およびシチメンチョウ)、ヒトおよび他の哺乳動物(代表的には、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラットおよびマウス)が挙げられる。本発明の目的に関して、微生物としては、寄生生物、細菌(嫌気性種および好気性種、片利共生種および腸に関する種を含む)、マイコプラズマ、ウイルス(レトロウイルスを含む)、プリオン、真菌、酵母、カビ、ならびに、DNAおよびRNAのフラグメントが挙げられる。
【0037】
親ドリは、外科的に取り出される卵が得られる元となるトリである。次いで、この外科的に取り出された卵は保温され、そして、孵化されて、産まれたトリが得られる。外科的に取り出された卵およびその後の産まれたトリは無菌である。
【0038】
本発明の一実施形態において、親ドリは、全て同じ条件下で飼育した同様のトリの群れから選択される。
【0039】
本発明の別の実施形態において、親ドリは、同様に汚染物質を含まない状態に存在するトリの群れから、滅菌環境下で自然に孵化される。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、親ドリは、制御された条件下での適切な選択および自然状態での飼育方法によって生産された、別の汚染物質を含まない状態のトリの群れのうちの一羽であり、この方法は、異なる汚染物質を含まない状態のトリを提供するために使用される。
【0041】
好ましくは、産まれたトリは、群れの一部を形成し、そして、産まれたトリが孵化された後、その群れの汚染物質を含まない状態の指標を提供するために、産まれたトリのサンプルが取り出され、そして、特定の汚染物質について検査される。理論上、特定の汚染物質を含まない状態が産まれたトリにおいて達成されていない場合、産まれたトリは、この方法において親ドリとして使用される。
【0042】
好ましくは、親ドリは、1日齢のトリとして選択される。
【0043】
一実施形態において、産まれたトリは、滅菌環境から取り出されて産卵させられ、続いて、この卵が、さらなる産まれたトリを生産するために孵化される。
【0044】
別の実施形態において、産まれたトリは、滅菌環境から取り出され、そして、正常な腸の微生物叢を含む食餌を与えられる。この方法により生産されたトリは、正常な腸の微生物叢(好ましくは、鳥類および人獣共通伝染病の病原体を含まない)を有し、食品産業における消費および使用に適している。
【0045】
代表的には、トリはニワトリである。
【0046】
好ましくは、トリが特定の汚染物質を含まない状態を有する産まれたトリから孵化され、そして、産まれたトリではない場合、このようにして孵化されたトリは、特定の汚染物質を含まない状態またはより少ない量の低い汚染物質を含む状態の産まれたトリの引き続いての孵化のために、滅菌環境で飼育される。
【0047】
本発明のさらなる局面によれば、本発明はさらに、滅菌環境中で、特定の汚染物質を含まない状態の卵を提供する方法を提供し、この方法は、以下:
本発明の方法に従って提供されるような、特定の汚染物質を含まない状態またはより高いレベルの汚染物質を含まない状態を有する産まれたトリを収容する工程;
産まれたトリを用いて卵を産ませる工程;および
別の滅菌環境に卵を移動させる工程
を包含する。
【0048】
次いで、この産まれたトリは、卵を産ませるために使用され得、この卵自体が最終産物であり得るか、あるいは、無菌状態のトリの群れを形成し得るか、または、そのトリが産まれたトリではない場合には、より少ない量の汚染物質を含む状態に達するように産まれたトリを受精させるために使用され得る。
【0049】
受精卵を用いて子孫または取り出されたトリ(derived bird)を生産する場合、卵は、微生物の侵入を制御するために、従来の畜産システム、SPFシステムにおいて、または、隔離装置においてのいずれかで孵化され、飼育され、維持され、そして繁殖させられ得る。
【0050】
特定の状況において、選択したトリを親ドリとする場合、こうして生産された産まれたトリは、実際には、妥当な品質の産まれたトリを生産するには、十分に汚染物質を含まない状態ではない可能性があることが理解される。この場合、このような産まれたトリから生産された卵を用いて同じ工程を再度行い、そして、これらの産まれたトリから卵を人工的に取り出して、(望ましくは汚染物質を含まない)さらなる産まれたトリを生産する必要があり得る。
【0051】
実際、滅菌率は、産まれたトリを正常な腸の微生物叢を含む食餌と共に滅菌環境中に供給することによってさらに改善され得る。好ましくは、トリは、滅菌環境中で、滅菌の食餌および水が与えられる。あるいは、正常な微生物叢は、孵化前のヒナに投与されても、孵化後のあらゆる段階においてトリに経口投与されてもよい。正常な微生物叢は、病原因子を含まないものであり得る。産まれたトリではないトリが孵化される場合、これらは次いで、産まれたトリのその後の受精のために保持されることが理解される。このようにして、群れ全体が滅菌状態にされ得る。
【0052】
本発明において、その後の用途のために、単に卵を生産することも可能である。無菌状態の卵が必要とされる場合、最初にすべきことは、所望の親ドリを用いることによって卵を保温することである。次いで、無菌状態の指標を提供するためにこれらの親ドリが特定の汚染物質について検査されると、その産まれたトリは別の滅菌環境中に収容し、そして、その産まれたトリを用いて無菌状態を持つ卵を産ませる。
【0053】
本発明のなおさらなる実施形態は、外科的に取り出された卵を保温および孵化し、次いで、その後のトリから飼育および繁殖するための方法を提供する。
【0054】
外科的に取り出された卵は、未成熟であり、そして、その発生(例えば、嚢胚形成)が遅らされ得る。また、卵は、妊娠期を十分に経て自然に産まれた卵のある特徴を欠く可能性がある。例えば、殻上の角質が減少しており、そして、殻中の孔形成が損なわれている可能性がある。殻、その孔および角質は、発生中の胚の呼吸器のガス交換および水和を調節する。したがって、正常な産まれた卵についての標準的な孵化の実施は、最適な生存率には適切でない可能性があり、そして、外科的に取り出された卵からの健康なトリの一貫して高い孵化率を達成するために調節を必要とし得る。この必要とされる特定の条件は、例えば、種および親ドリから取り出されたときの発生の段階と共に変化する。特定の汚染物質を含まない環境または滅菌環境中に維持しつつ、取り出されたトリを健康かつ産出力のある状態で飼育および繁殖することは、食餌を滅菌する間に生じる損失および片利共生微生物からの供給がないことを補填するために、食餌の栄養成分、特にビタミン類のような有機微量栄養素を調節する必要がある。
【0055】
好ましくは、卵は、親ドリから取り出された後、冷却させられるべきである。これらは次いで、トリが少なくとも24時間でありかつ72時間より多くない場合、貯蔵され、妨げられない状態にされる。貯蔵条件は、HEPAフィルター処理した空気と、トリの卵については、15℃と23℃との間の温度、相対湿度50〜75%、そして、振動も突然の衝撃もない状態を含み得る。
【0056】
本発明のさらなる実施形態によれば、最初の24時間には、卵の種についての標準的な保温条件が使用され得る。したがって、各卵が重量の減少、保温温度、相対湿度そして、呼吸器のガス交換が適切に行われているかどうか(特に、空気中の二酸化炭素および酸素の濃度)について注意深く監視されるべきである。保温および孵化の条件は、本発明に従って調節され得る。理想的には、55gの外科的に取り出された未成熟な卵について、約0.4g/日の目標重量減少が望ましい。保温の0日目から18日目までは、まず、約37.2℃の保温温度が好ましく、次いで、孵化までは約36.5℃の温度が望ましい。相対湿度は、最初に約40%に設定され得るが、相対湿度が約65%まで増加されるべき18日目までは、毎日、換気率、および、毎日の卵の重量減少に従って調節されるべきである。
【0057】
孵化したヒナ、飼育中のトリ、産まれ、そして産出能力のあるトリについての適切な環境は、HEPAフィルター処理された空気を備える堅い壁のある隔離装置である。空気は、陽圧に維持され、そして、頻繁な間隔で(例えば、成体のトリについては10回/時間、隔離装置の体積容量および貯蔵の密集具合を考慮)交換され、0.2〜0.4m/トリの床面積、トリによる損傷から保護された入口ポート上のグローブ、ならびに空気の温度および照明が制御され、同じ種および段階のトリの従来の生活環についての条件に類似する条件を提供する。
【0058】
特定の汚染物質を含まない環境または滅菌環境中に維持しつつ、トリを健康かつ産出能力のある状態で飼育および繁殖させることは、例えば、従来の環境中でトリの腸または皮膚に見られる汚染物質によって通常生産される特定の栄養物を欠くことを補償するために、特別の食餌を必要とする。
【0059】
本発明は、全ての鳥類および爬虫類種(ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ、キジ、ヤマウズラ、オウムおよびライチョウが挙げられるがこれらに限定されない)に適用されることが理解される。
【0060】
本発明は、図面および実施例の以下の説明からより明確に理解される。
【0061】
図1は、本発明による、トリのための滅菌外科手術用隔離装置兼架台を示す。この隔離装置は、外科手順が行われる汚染物質を含まない環境を提供する。この隔離装置(1)は、少なくとも2つのグローブポート(図示されず)を備える可撓性の壁、堅固な隔離装置の床(2)から作製される隔離装置を含み、この堅固な隔離装置の床内に手術表面および外科手術用ポート(3)を提供する。外科手術用ポートは、開口部を提供し、この開口部を通して外科手術を行う人物がトリの手術表面にアクセスし得る。隔離装置の床には、滅菌外科手術手順の間にトリを受容し、そして位置決めするための架台(4)が取り付けられる。架台は、示されるように、ヒンジ(5)によって、外科手術用ポートの下にある隔離装置の床の下側に旋回式に取り付けられるか、またはヒンジ付けされる。外科手術用ポートは、架台内にトリを受容し、そして、外科手術の間に架台上のトリと外科手術用ポートとの間に維持される完全かつ安定な気密シールを提供するように適合される。外科手術用ポートの開口部は、好ましくは滅菌した接着フィルム(点線で示す)で覆われる。この滅菌した接着フィルムは、安定な気密シールを提供する。この架台はまた、外科手術用隔離装置の手術表面に対してトリの腹部を安定に位置決めすることを可能にするという利点を提供する。
【0062】
図2は、本発明による架台を使用する方法の概略的な図を示す。
【0063】
図2aは、隔離装置の床(2)、外科手術用ポートおよび接着フィルム(3)、架台(4)ならびにヒンジ(5)を備える、外科手術用隔離装置(1)が、非使用時でかつ閉じた位置で示される。架台は閉じた位置にある。外科手術用ポート(3)は、滅菌した透明な接着フィルムの第一の層で密封される。
【0064】
図2bは、開いた位置にある外科手術用隔離装置を示し、この開いた位置にされた結果、トリが架台中に配置され得る。トリは、架台中に頭を先にして配置され、そして、トリの手術表面が、羽毛を取られ、かつ滅菌される。このトリと隔離装置との間の気密シールは、外部の漏れが検出できるように外科手術用隔離装置内に放出される滅菌した流体検査物質を用いて外科手術の前後に検査され得る。
【0065】
図2cは、トリの滅菌した下側に配置される第二の滅菌接着フィルムを示す。好ましくは、透明な接着フィルムの細片(図示せず)が、トリの滅菌した表面上に配置される。滅菌した透明な接着フィルムの第二の層は、接着フィルムの細片の上に配置される。この段階で、架台は、閉じた位置に旋回され、そして、トリの腹部を外科手術用隔離装置の手術表面に関した安定な位置決めを確実にする。トリの腹部は、外科手術操作を容易にするために外科手術用隔離装置の床に対して平行であるべきであり、そして、脚は、完全に曲げられた位置に保持され、そして、排出腔は密封されるべきである。
【0066】
図2dは、閉じた位置にある架台を示し、この閉じた位置にされた結果、外科手術用ポートの滅菌した接着フィルムと、トリの上の接着フィルムとが接触して、外科手術用隔離装置内に気密シールを形成し、そして、その上で手術操作が行われるべき滅菌表面を提供する。ポート上の第一の接着層がトリ上の第二の接着層と接すると、トリと外科手術用隔離装置との間に完全な気密シールが作製される。
【0067】
トリと外科手術用隔離装置との間の気密シールは、漏れが検出できるように外科手術用隔離装置内に放出される滅菌した流体物質を用いて外科手術の前後に検査され得る。
【実施例】
【0068】
実施例1
方法
公知のSPF状態の50羽の成体の雌および5羽の成体の雄ドリを選択した食餌で維持し、自然繁殖させた。数週間の期間にわたり、各雌について個々に、産卵(egg laying)(産卵(oviposition))の時期を記録した。卵を産む平均日数(時間、L)を各雌について計算した。L−3hの日数を計算し、L−3からLまでの時間を、取り出し間隔とみなした。この間隔は、各トリにおいて最も発生が進行した卵を取り出すために、無菌外科的開腹術を行う時点であった。
【0069】
この手順のために、頚椎脱臼によりトリを安楽死させ、その直後に調製した。トリを消毒液に5分間浸漬させた。腹側胸郭および腹部から羽毛を取り除き、そして、露出された皮膚を、37℃に加熱したアルコール中50%のヨウ素溶液を用いて滅菌した。次いで、各トリを、5%の過酢酸溶液で滅菌した特別に適合され、かつ、滅菌した機器とアルコール中のヨウ素溶液を含む500mlフラスコを備える外科手術用隔離装置に配置した。トリを滅菌したドレープで覆い、次いで、隔離装置の滅菌した入口ポートを、ドレープを覆って配置した。開腹切開を創り、そして、縫合材料を用いて、卵管(代表的には子宮)を卵の両側で結紮した。次いで、卵から両方の縫合までから遠位に離れた位置で卵管を切断し、そして、卵を含む卵管を、雌性の腹部から取り出した。次いで、子宮に包まれた卵を、ヨウ素/アルコール溶液中に5分間入れ、その後、卵管に包まれた卵を、入口ポートを介して、外科手術用隔離装置から受容用の隔離装置へと移し、この受容用の隔離装置において、卵管を切開し、そして、卵を取り出し、消毒溶液で消毒し、そして、孵化用保温装置として適合された隔離装置へと移した。
【0070】
孵化の1日以内に、生きたニワトリを孵化用の隔離装置から取り出し、そして、若いニワトリの群れの飼育に適した2倍の規模の飼育用の隔離装置へと移した。ニワトリは、放射線照射により滅菌した市販の食餌で飼育した。18日齢において、5羽のニワトリを飼育用の隔離装置の各々から取り出して安楽死させ、そして、好気性培養および嫌気性培養によって細菌学的にサンプリングした。これらのサンプルには、肝臓、脾臓、心臓の血液、膣/排出腔、盲嚢および小腸の消化物ならびに糞便を含めた。
【0071】
結果
生育できるニワトリを、人工的に取り出された卵から首尾よく孵化させた(孵化率>50%、より頻繁に>90%)。サンプリングしたニワトリからは、嫌気性細菌も好気性細菌も単離されなかった。
【0072】
結論
トリにおける無菌の有精卵の人工的な生産のための安全かつ非常に効率的な方法が確立された。卵は生育可能であり、そして、生育可能な無菌のトリを生産した。これらのトリは、隔離装置内で首尾よく維持された。
【0073】
実施例2
実施例1に従って、一連のさらなる研究を行った。この実施例においては、外科的に取り出された有精卵の滅菌率および生存率に影響を与える、予想される変動因子を評価した。この研究においてなされた評価と得られた結果を以下に提供する。
【0074】
結果は、一貫して高い生存率で無菌の卵を生産するために必要とされる決定的な制御ポイントである変動因子を同定した。この高い生存率とは、>約50%の孵化率と>約80%の再生産能力を持つ成熟段階への到達度(reaching reproductive maturity)として規定される。
【0075】
実施例2A:
外科手術用の隔離装置および機器を備える設備を滅菌するための種々の技術の影響。評価には、胚の生存率および滅菌率に対する、放射線照射のタイプ、量および時間、ならびに、種々の温度および時間についての液体および蒸気の形態の化学的滅菌剤(過酸化物型、ハロゲン液体、アルコール)、卵の洗浄用界面活性剤溶液の有無、を含めた。
【0076】
結果
外科的に取り出した卵の、20℃、32℃または37℃のアルコール、アルコール+有機ヨウ素への曝露、および過酢酸溶液(2〜5%v/v)への曝露は、孵化率を、60〜100%(対照)から13〜89%へと低下させる。
過酢酸蒸気への>5分の曝露は、孵化率を0〜28%へと低下させる。ヨウ素溶液への曝露は、孵化率を50%低下させる。
【0077】
実施例2B:
安楽死から卵の取り出しまでの時間(0〜180分)の生存性、および外科的操作の容易さ、孵化率ならびに滅菌率に対する影響。
【0078】
結果
滅菌率 100%、
30分後には外科的操作が次第に困難になり、
60分後には孵化率が<30%になった。
【0079】
実施例2C:
種々のタイプの接着フィルムおよび親ドリと外科手術用隔離装置との間に気密シールを作るための接着フィルムの適用方法;シールを検査する方法;シールの形成および外科的操作を最適化するために、外科手術の間にトリを位置決めするためのデバイスの影響。
【0080】
結果
フィルムとトリの皮膚との間に一貫したシールを得るためには、皮膚の脱毛および滅菌が重要である。
少なくとも2層のフィルムの使用が必要とされ、一方はトリに接着し、そして、もう一方は、外科手術用隔離装置の外科手術用ポート内に接着し、この接着層はトリと隣接される。
トリの腹部は、外科手術操作を容易にするために外科手術用隔離装置の床に対して平行であるべきであり、そして、脚は、完全に曲げられた位置に保持され、そして、排出腔は密封されるべきである。ヘリウムガスおよび/またはヨウ素指示溶液を用いた、外科手術の前後のシールの完全性の検査は、陽圧および滅菌空気を維持する。
【0081】
実施例3
実施例3A:
予想される産卵と、親ドリからの卵の外科的取り出しとの時間の差の、卵の生存率および滅菌率、ならびに外科手術操作の容易さに対する影響。
【0082】
結果
孵化率:
対照(自然に産まれた卵)、85〜100%の孵化率、80〜100%の滅菌率;
麻酔または安楽死から30分以内に子宮から取り出した卵、13〜40%の孵化率、80〜100%の滅菌率;
安楽死から60分後に子宮から取り出した卵、14%の孵化率、80〜92%の滅菌率。
【0083】
外科手術操作の容易さ:
対照、適用不可;
30分、良好、組織は容易に持ち上がった;
60分、困難、組織は持ち上がりにくかった(早期の死後硬直)。
【0084】
実施例3B:
時間を定めた卵管内配置 対 触診 対 これらの技術の組み合わせの、完全な殻 対 柔らかい殻を有する卵の割合に対する、生存率(通常、孵化の時点で生存するヒナ)に対する、ならびに、外科手術操作の容易さに対する、影響。
【0085】
結果
時間を定めたのみ、柔らかい殻でかつ取り出しに適切な卵がない割合8〜71%、生存率13〜50%、滅菌率75〜100%、外科手術操作の容易さ、可変;
触診のみ、柔らかい殻でかつ取り出しに適切な卵がない割合13〜71%、生存率13〜54%、滅菌率89〜100%、外科手術操作の容易さ、良好;
触診と組み合わせた時間設定、柔らかい殻でかつ取り出しに適切な卵がない割合10〜23%、生存率14〜57%、滅菌率92〜100%、外科手術操作の容易さ、良好。
【0086】
実施例3C:
経卵巣細菌およびマイコプラズマ感染の排除、ならびに、胚およびその後のヒナの生存率および滅菌率に対する、抗生物質(例えば、経口投与されたフルオロキノロン)の影響。
【0087】
結果
抗生物質なし、生存率22〜60%および滅菌率86〜92%;
抗生物質あり、生存率13〜57%および滅菌率89〜100%。
【0088】
実施例3D:
胚の生存率に対する、事前保温貯蔵の時間(0〜5日間)および条件(温度、湿度、卵の方向、換気、振動)、保温条件(温度、湿度、換気、方向、重量の減少)、取り扱いおよび孵化の条件、の影響。
【0089】
結果
0日、1〜3日、4〜5日の貯蔵時間では、孵化率はそれぞれ、90%、90%および60%であった。
3日の貯蔵のための温度、換気/振動:25℃で振動/換気ありの場合、および約20℃で振動/換気なしの場合;孵化率はそれぞれ、60%および80%であった。
卵の方向および重量の減少:卵を横向きに倒した場合、体重の減少は7.8%であり、卵を、ドーム状の端部を上にした場合、体重の減少は10.2〜13.1%であり;孵化率は、それぞれ、30%および80〜90%であった。
【0090】
結論
予想通りに、広範な種々の変動因子を調べると、生存率および滅菌率について広範な種々の結果が得られた。これらの結果は、一貫して高い生存率の無菌卵を生産するために必要とされる決定的な制御ポイントである変動因子を同定した。この高い生存率とは、>約50%の孵化率と>約80%の再生産能力を持つ成熟段階への到達度
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】図1は、本発明による外科手術用隔離装置兼架台を示す。
【図2】図2は、図1の外科手術用隔離装置兼架台を用いる本発明の方法の概略的な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリのための滅菌外科手術用の隔離装置兼架台であって、該隔離装置兼架台は、外科手順が行われる汚染物質を含まない環境を提供し、該隔離装置兼架台は、以下:
少なくとも2つのグローブポートを備える壁と堅固な隔離装置の床から作製される隔離装置であって、該堅固な隔離装置の床内に、手術表面および外科手術用ポートを提供する、隔離装置;ならびに
開いた位置と閉じた位置とを有する、滅菌外科手順の間にトリを受容しそして位置決めするための、架台
を備え、
該架台は、トリの手術表面が、該外科手術用ポートを通して手術され得るように、該隔離装置の手術表面に関して該トリの手術表面を安定に位置決めすることが可能であり;そして
該閉じた位置にある該架台は、該架台上のトリと該外科手術用ポートとの間に維持される完全かつ安定な気密シールを提供する、隔離装置兼架台。
【請求項2】
前記外科手術用ポートが、使用中に透明なフィルムで密封される、請求項1に記載の滅菌外科手術用の隔離装置兼架台。
【請求項3】
トリの子宮から未成熟卵を取り出すことを伴う外科手術に適している、請求項1または2に記載の滅菌外科手術用の隔離装置兼架台。
【請求項4】
前記架台が、前記外科手術用ポートの下で前記隔離装置の床の下側に旋回様式で取り付けまたはヒンジ付けされている、請求項1〜3のいずれかに記載の滅菌外科手術用の隔離装置兼架台。
【請求項5】
前記架台が、ピボットまたはヒンジ手段によって前記隔離装置の床の一方の端部に取り付けられ、そして、解放機構を介してもう一方の端部に取り付けられる、請求項1〜4のいずれかに記載の滅菌外科手術用の隔離装置兼架台。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の外科手術用の隔離装置兼架台の使用方法であって、該方法は、以下:
前記外科手術用ポートを滅菌した透明な接着フィルムの第一の層で密封する工程;
前記トリの手術表面を清浄かつ滅菌し、そして、該トリを前記開いた位置にある前記架台の上に置く工程;
該トリの該滅菌した表面上に透明な接着フィルムの細片を置く工程;
該接着フィルムの細片上に滅菌した透明な接着フィルムの第二の層を置く工程;および
該トリの手術表面、好ましくは腹部を、該外科手術用隔離装置の手術表面に関して安定に位置決めすることを確実にするように、該架台を前記閉じた位置に動かす工程;
を包含し、ここで、該第一の接着層は、該第二の接着層と接しており、そして、該トリと該外科手術用隔離装置との間には完全な気密シールが形成される、方法。
【請求項7】
前記トリと前記外科手術用隔離装置との間の前記気密シールが、滅菌した流体検査物質を用いて検査され、該流体検査物質は、該外科手術用隔離装置内に放出されて、外部の漏れを検出することを可能にする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記流体検査物質が滅菌したヘリウムガスである、請求項8に記載の方法。
【請求項9】
トリからその殻内の未成熟卵を取り出すための外科的方法であって、該方法は、以下:
該トリの皮膚を通して切開を作製する工程;
該トリの子宮を表面へと動かす工程;
該子宮内に切開を作製し、該卵および該子宮を取り出すか、または、該子宮をクランプ留めして、該卵を取り出す工程
を包含する、方法。
【請求項10】
さらに、前記子宮を修復する工程を包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記卵が、前記子宮から取り出した直後に滅菌される、請求項9または10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−527293(P2009−527293A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555640(P2008−555640)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060241
【国際公開番号】WO2007/095998
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508254945)オバジェン インターナショナル リミテッド (3)