説明

外科用デバイスのための撮像システム

外科用デバイスは、顎部と、顎部に旋回可能に連結されたシャフト部とを含む。シャフト部は、シャフト部のそれぞれの半径方向に対向する側面に第1および第2の開口部を有する内部空間を画定する。カメラアセンブリは、シャフト部に連結され、カメラアセンブリがシャフト部の内部空間内に位置する第1の位置と、例えば、カメラアセンブリが、シャフト部の第1および第2の半径方向に対向する開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在する、第2および第3の位置との間で、移動可能である。このように、カメラアセンブリは、どの側面で顎部がシャフト部に対して関節動作されるかにかかわらず、外科用デバイスのいずれかの側面に位置付け可能であってもよく、かつその撮像データを提供してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年1月10日に出願された米国仮特許出願第61/020,298号の優先権を主張し、その全体が本明細書に参考として明白に援用される。
【0002】
(参考としての援用)
本出願は、以下の各々の全体を本明細書に参考として明白に援用する。すなわち、2005年7月27日に出願された米国特許出願第11/191,851号、2002年6月14日に出願された米国特許出願第60/388,644号、2003年6月11日に出願された米国特許出願第10/460,291号、2001年11月30日に出願された米国特許出願第09/999,546号、2001年6月22日に出願された米国特許出願第09/887,789号、2001年4月17日に出願された米国特許出願第09/836,781号、2000年11月28日に出願された米国特許出願第09/723,715号、1999年6月2日に出願された米国特許出願第09/324,451号で、2001年11月13日発行の米国特許第6,315,184号、1999年6月2日に出願された米国特許出願第09/324,452号で、2002年9月3日発行の米国特許第6,443,973号、1999年7月12日に出願された米国特許出願第09/351,534号で、2001年7月24日発行の米国特許第6,264,087号、2000年2月22日に出願された米国特許出願第09/510,923号で、2003年2月11日発行の米国特許第6,517,565号、2000年2月22日に出願された米国特許出願第09/510,927号で、2004年4月6日発行の米国特許第6,716,233号である。
【0003】
(本発明の分野)
本発明は、外科用デバイスに関する。より具体的には、本発明は、組織をクランプ、切断、およびステープル留めする、電力式関節動作デバイスのための撮像システムに関する。
【背景技術】
【0004】
(背景情報)
ある種の外科用デバイスは、線形のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスである。そのようなデバイスは、消化管から癌組織または異常組織を切除するための外科的手技に用いられてもよい。従来の線形のクランプ、切断、およびステープル留め器具の1つを図1に示す。デバイスは、細長いシャフトおよび遠位部を有するピストルグリップ型の構造を含む。遠位部は、閉じた結腸の開放端部をクランプする、一対の鋏型の把持要素を含む。このデバイスでは、アンビル等の2つの鋏型把持要素のうちの一方は全体構造に対して移動または旋回するのに対して、他方の把持要素は全体構造に対して固定されたままである。この切取デバイスの作動(アンビル部の旋回)は、ハンドルに保持されたグリップトリガによって制御される。
【0005】
切取デバイスに加えて、遠位部はステープル留め機構も含む。切取機構の固定された把持要素は、ステープルカートリッジ受入領域と、アンビル部に接触する組織のクランプされた端部にステープルを通し、それによって、以前に開放された端部を封止する機構とを含む。切取要素は、シャフトと一体化して形成されてもよいか、または様々な切り取りおよびステープル要素が交換可能であるように、着脱可能であってもよい。
【0006】
上記外科用デバイスに関する1つの問題は、特に、図1に示すような上記線形のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスにおいて、患者の体内で対向する顎を操作するのが困難であるかもしれないということである。外科医は、対向する顎の間で所望の組織を位置付けるために、対向する顎を様々な角度で移動させる必要がある場合がある。しかしながら、一般に、患者において可能な限り小さな切開を行うことも望ましく、切開の大きさを小さくすることにより、対向する顎を操作できる程度が制限される。
【0007】
上記外科用デバイスに関する別の問題は、特に、図1に示すような上記線形のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスにおいて、対向する顎が十分に止血性ではないかもしれないことである。具体的には、上記外科用デバイスの対向する顎が十分な力でクランプされないために、外科用デバイスの効果が減少させられる。
【0008】
また、上記外科用デバイスは、統合型撮像システムを含まない。結果として、手技を観察する第2のデバイスを使用する必要がある。第2のデバイスの使用は、より侵襲性が高い可能性があり、操作者は、正確な撮像を提供するために、外科用デバイスおよび撮像デバイスが協調していることを継続的に確認する必要がある可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、クランプ、切断、およびステープル留めデバイスの操作性を向上する必要性があると考えられる。また、付加的なクランプ力および撮像能力の向上を提供するクランプ、切断、およびステープル留めデバイスの必要性があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(概要)
本発明の例示的な実施形態によれば、ヒンジの周囲で旋回可能にシャフト部に接続される顎部を含む外科用デバイスが提供される。ヒンジは、顎部およびシャフト部のうちの1つまたは両方に垂直な、これらの構成要素の回転軸を画定する。顎部またはその一部分もまた、顎部の長手方向の軸の周囲でシャフト部に対して回転可能であってもよい。
【0011】
顎部は、第1の顎および第2の顎を含む。第2の顎は、第1の顎と対向一致して配置される。第1の顎は、第2の顎に旋回可能に連結されてもよい。デバイスはまた、第2の顎内に配置される切断要素およびステープル留め要素のうちの少なくとも1つ、好ましくは、ステープルを駆動する楔上に回転可能に装着されたブレードを含んでもよい。切断要素および/またはステープル留め要素は、第2の顎の遠位端と近位端の間で移動するように構成されてもよく、第1および第2の顎の間に配置される組織の一部の切断およびステープル留めのうちの少なくとも1つを行う。
【0012】
本発明の例示的な実施形態によれば、顎部を含む外科用デバイスが提供される。顎部は、第1の顎と、第1の顎に対して移動可能な第2の顎とを含む。外科用デバイスはまた、顎部の近位端に連結されるシャフト部を含んでもよい。外科用デバイスはさらに、顎部とシャフト部とを相対移動させるように構成される駆動部を含む。顎部は第1の長手方向の軸を画定し、シャフト部は第2の長手方向の軸を画定する。駆動部は、第1および第2の長手方向の軸に垂直な旋回軸の周囲で、顎部をシャフト部に対して旋回させるように構成されてもよい。第1および第2の顎は、平面において互いに対して移動可能であってもよく、旋回軸はその平面に平行に配設される。また、本発明の例示的な実施形態によれば、駆動部はまた、第1の長手方向の軸の周囲で、顎部の少なくとも一部をシャフト部に対して旋回させるように構成される。
【0013】
駆動部は、第1の回転可能な駆動シャフトおよび第2の回転可能な駆動シャフトによって駆動されるように適合されてもよい。例えば、駆動部は、互いに反対方向である第1および第2の回転可能な駆動シャフトの回転が、旋回軸の周囲で顎部をシャフト部に対して旋回させるように構成されてもよい。また、駆動部は、互いに同一方向である第1および第2の回転可能な駆動シャフトの回転が、第1の長手方向の軸の周囲で、顎部の少なくとも一部分をシャフト部に対して回転させるように構成されてもよい。さらに、駆動部は、第2の回転可能な駆動シャフトを回転させずに第1の回転可能な駆動シャフトを回転させることにより、第1の顎と第2の顎との相対移動をもたらすように構成されてもよい。
【0014】
外科用デバイスは、第1の顎内に配置される外科用部材を含んでもよい。外科用部材は、切断要素および/またはステープル留め要素を含んでもよい。駆動部は、第1の回転可能な駆動シャフトを回転させずに第2の回転可能な駆動シャフトを回転させることにより、第1の顎内で外科用部材の相対移動をもたらすように構成されてもよい。
【0015】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1および第2の回転可能な駆動シャフトの選択的な回転が、外科用デバイスに少なくとも4つの異なる機能(例えば、顎部、第1の顎、第2の顎、およびシャフト部のうちの1番目のものの、顎部、第1の顎、第2の顎、およびシャフト部のうちの少なくとも2番目のものに対する移動)を果たさせるように、第1の顎と、第1の顎に対して移動可能である第2の顎とを含む顎部と、顎部の近位端に連結されるシャフト部と、第1および第2の回転可能な駆動シャフトによって駆動されるように適合される駆動部とを含む、外科用デバイスが提供される。
【0016】
顎部は、第1の長手方向の軸を画定してもよく、少なくとも4つの異なる機能の1番目は、第1の長手方向の軸の周囲での、顎部の少なくとも一部分のシャフト部に対する回転を含む。駆動部は、顎部の少なくとも1部を、第1の長手方向の軸の周囲でシャフト部に対して回転させるよう、第1および第2の回転可能な駆動シャフトの互いに対して同一方向の回転によって駆動されるように構成される。シャフト部は、第2の長手方向の軸を画定してもよく、少なくとも4つの異なる機能の2番目は、第2の長手方向の軸に垂直な旋回軸の周囲で顎部をシャフト部に対して旋回させることを含む。駆動部は、顎部を旋回軸の周囲でシャフト部に対して旋回させるよう、第1および第2の回転可能な駆動シャフトの互いに対して反対方向の回転によって駆動されるように構成される。少なくとも4つの異なる機能の3番目は、第1の顎を第2の顎に対して移動させることを含んでもよい。駆動部は、第1の顎と第2の顎との相対移動をもたらすように、第2の回転可能な駆動シャフトを回転させずに、第1の回転可能な駆動シャフトによって駆動されるように構成される。また、外科用デバイスは、第1の顎内に配置される切断および/またはステープル留め要素等の外科用部材を含んでもよく、少なくとも4つの異なる機能の4番目は、第1の顎内での外科用部材の相対移動を含む。駆動部は、第1の顎内で外科用部材の相対移動をもたらすよう、第1の回転可能な駆動シャフトを回転させずに第2の回転可能な駆動シャフトの回転させることにより駆動されるように構成される。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、外科用デバイスは、デバイスのシャフト部に接続される旋回可能なカメラアセンブリを含んでもよい。カメラアセンブリは、操作者に画像を提供することが可能なカメラおよび光源を含んでもよい。開口部は、顎部の動きにかかわらず外科用デバイスの顎部の画像を提供するために、カメラアセンブリが通過することが可能であってもよい外科用デバイスのシャフト部を貫通してもよい。外科用デバイスはまた、カメラアセンブリの動きを制御することが可能な制御機構を含んでもよく、外科用デバイスの顎部の動きと協調してカメラアセンブリを移動させることが可能であってもよい。
【0018】
本発明の例示的な実施形態では、外科用デバイスであって、顎部と、顎部に旋回可能に連結されるシャフト部であって、それぞれの半径方向に対向する側面に第1および第2の開口部を有する内部空間を画定するシャフト部と、シャフト部に連結されるカメラアセンブリであって、カメラアセンブリがシャフト部の内部空間内に位置付けられる第1の位置と、カメラアセンブリがシャフト部の第1および第2の半径方向に対向する開口部のそれぞれ1つを通って延在する第2および第3の位置との間で、移動可能であるカメラアセンブリと、を備える外科用デバイスが提供される。顎部は、第1の顎と、第1の顎に対して移動可能な第2の顎とを含んでもよい。シャフト部は、顎部の近位端に連結されてもよい。カメラアセンブリは、少なくとも1つのカメラと、少なくとも1つの光源とを含んでもよい。
【0019】
顎部は、第1の長手方向の軸を画定してもよく、シャフト部は、第2の長手方向の軸を画定してもよい。顎部は、第1および第2の長手方向の軸に垂直な第1の旋回軸の周囲で、シャフト部に対して旋回可能であってもよい。カメラアセンブリは、第1の旋回軸に平行な第2の旋回軸の周囲で、シャフト部に旋回可能に連結されてもよい。顎部は、シャフト部の横方向に対向する側面のうちのいずれか1つに対して関節動作可能であってもよい。カメラアセンブリは、顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、移動可能であってもよい。
【0020】
シャフト部は、カメラアセンブリを、顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って自動的に延在させるように動作する、駆動機構を含んでもよい。単一の駆動機構は、カメラアセンブリを、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って自動的に延在させ、顎部をシャフト部に対して関節動作させるように採用されてもよい。カメラアセンブリは、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、操作者によって少なくとも部分的に手動で移動可能であってもよい。
【0021】
カメラアセンブリは、カメラ筺体と、支持アームとを備えてもよい。支持アームは、第1の位置でシャフト部に、第2の位置でカメラ筐体に連結されてもよい。支持アームは、その周囲で顎部がシャフト部に対して旋回可能である、軸に平行な旋回軸の周囲で、シャフト部に対して旋回可能であってもよい。カメラ筐体は、その周囲で顎部がシャフト部に対して旋回可能である、軸に平行な旋回軸、の周囲で支持アームに対して旋回可能であってもよい。カメラアセンブリは、カメラと、2つの光源とを含んでもよい。一実施形態では、2つの光源の各々は、カメラのそれぞれの側面に位置してもよい。
【0022】
別の本発明の例示的な実施形態では、顎部と、顎部に旋回可能に連結されるシャフト部であって、シャフト部は、シャフト部のそれぞれの半径方向に対向する側面に第1および第2の開口部を有する内部空間を画定するシャフト部と、シャフト部に連結されるカメラアセンブリと、を備える外科用デバイスを操作する方法が提供される。方法は、カメラアセンブリがシャフト部の内部空間内に位置付けられる第1の位置にあるカメラアセンブリを用いて、外科用デバイスを手術部位に挿入するステップと、カメラアセンブリを、カメラアセンブリがシャフト部の第1および第2の半径方向に対向する開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在する第2および第3の位置のうちの1つに、カメラアセンブリを移動させるステップとを含んでもよい。
【0023】
方法はさらに、顎部の第1の顎を顎部の第2の顎に対して移動させるステップを含んでもよい。方法はまた、シャフト部を顎部の近位端に連結させるステップを含む。また、カメラアセンブリが、少なくとも1つのカメラと、少なくとも1つの光源とともに提供されてもよい。
【0024】
一実施形態では、顎部は、第1の長手方向の軸を画定してもよく、シャフト部は、第2の長手方向の軸を画定してもよく、また方法はさらに、第1および第2の長手方向の軸に垂直な第1の旋回軸の周囲で、顎部をシャフト部に対して旋回させるステップを含んでもよい。方法はさらに、第1の旋回軸に平行な第2の旋回軸の周囲で、シャフト部に連結されたカメラアセンブリを旋回させるステップを含んでもよい。顎部は、シャフト部の横方向に対向する側面のうちのいずれか1つに対して関節動作されてもよい。カメラアセンブリは、顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するように移動してもよい。
【0025】
方法は、顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通ってカメラアセンブリを自動的に延在させるように、シャフト部の駆動機構を操作するステップを含んでもよい。単一の駆動機構は、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通ってカメラアセンブリを自動的に延在させ、顎部をシャフト部に対して関節動作させるために採用されてもよい。追加としてまたはあるいは、操作者は、シャフト部の第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、カメラアセンブリを少なくとも部分的に手動で移動させてもよい。
【0026】
カメラアセンブリは、カメラ筺体と、支持アームとともに提供されてもよい。支持アームは、第1の位置でシャフト部に、第2の位置で前記カメラ筺体に連結されてもよい。支持アームは、その周囲で顎部がシャフト部に対して旋回可能である、軸に平行な旋回軸の周囲で、シャフト部に対して旋回されてもよい。また、カメラ筺体は、その周囲で顎部がシャフト部に対して旋回可能である、軸に平行な旋回軸の周囲で、支持アームに対して旋回されてもよい。カメラアセンブリは、カメラと、2つの光源とともに提供されてもよく、2つの光源のそれぞれ1つが、カメラのそれぞれの側面に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、従来の線形のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスの斜視図である。
【図2a】図2(a)は、本発明による電気機械駆動部構成要素の例示的な実施形態の斜視図である。
【図2b】図2(b)は、本発明の例示的な実施形態による、外科用デバイスの構成要素のうちのいくつかを示す概略図である。
【図3a】図3(a)は、本発明の例示的な実施形態による、外科用デバイスの斜視図である。
【図3b】図3(b)は、本発明の一実施形態による、外科用デバイスの内部構成要素のうちのいくつかを示す後方斜視図である。
【図3c】図3(c)は、本発明の一実施形態による、外科用デバイスの内部構成要素のうちのいくつかを示す側面斜視図である。
【図3d】図3(d)は、本発明の一実施形態による、シャフト部に対して相対的に完全に旋回された(例えば、関節動作された)顎部を示す斜視図である。
【図3e】図3(e)は、本発明の一実施形態による、シャフト部に対して相対的に完全に旋回された顎部を示す底面斜視図である。
【図3f】図3(f)は、本発明の一実施形態による、交換可能なステープルカートリッジの分解図である。
【図3g】図3(g)は、本発明の一実施形態による、全閉位置にある外科用デバイスの断面図である。
【図3h】図3(h)は、本発明の別の例示的な実施形態による、第1の顎の底面図である。
【図3i】図3(i)〜(l)は、本発明の別の例示的な実施形態による、第1および第2の顎の開閉を示す側方断面図である。
【図3j】図3(i)〜(l)は、本発明の別の例示的な実施形態による、第1および第2の顎の開閉を示す側方断面図である。
【図3k】図3(i)〜(l)は、本発明の別の例示的な実施形態による、第1および第2の顎の開閉を示す側方断面図である。
【図3l】図3(i)〜(l)は、本発明の別の例示的な実施形態による、第1および第2の顎の開閉を示す側方断面図である。
【図4a】図4(a)は、本発明の別の例示的な実施形態による、関節動作するクランプ、切断、およびステープル留めアタッチメントの斜視図である。
【図4b】図4(b)は、本発明の例示的な実施形態による、顎部の第2の顎の付加的特徴を示す斜視図である。
【図5a】図5(a)は、本発明の例示的な実施形態による、第2の顎の近位端を示す斜視図である。
【図5b】図5(b)は、第1の部分的な閉位置に移動された時の、図4(a)の外科用デバイスを示す図である。
【図5c】図5(c)は、第2の部分的な閉位置に移動された時の、図4(a)の外科用デバイスを示す図である。
【図5d】図5(d)は、全閉位置に移動された時の、図4(a)の外科用デバイスを示す図である。
【図6a】図6(a)は、本発明の例示的な実施形態による、可撓性シャフトおよび第1の連結部を示す図である。
【図6b】図6(b)は、本発明の例示的な実施形態による、第1の連結部の後方斜視図である。
【図6c】図6(c)は、図6(b)に示す例示的な実施形態による、第1の連結部の正面斜視図である。
【図6d】図6(d)は、本発明の例示的な実施形態による、第1の連結部の内部構成要素のうちのいくつかの側面斜視図である。
【図6e】図6(e)は、本発明の例示的な実施形態による、可撓性シャフトの遠位端における第2の連結部の後方斜視図である。
【図7】図7は、本発明の別の例示的な実施形態による、部分的に断面で示した可撓性シャフトの側面図である。
【図8】図8は、図7に示される線8−8に沿った可撓性シャフトの断面図である。
【図9】図9は、本発明の例示的な実施形態による、第1の連結部の後端面図である。
【図10】図10は、本発明の例示的な実施形態による、可撓性シャフトの第2の連結部の正面端面図である。
【図11】図11は、本発明の例示的な実施形態による、モータの配設を概略的に示した図である。
【図12】図12は、本発明の例示的な実施形態による、電気機械駆動部構成要素の概略図である。
【図13】図13は、本発明の例示的な実施形態による、エンコーダの概略図である。
【図14】図14は、本発明の例示的な実施形態による、メモリモジュールを概略的に示す図である。
【図15】図15は、本発明の例示的な実施形態による、無線RCUの概略図である。
【図16】図16は、本発明の例示的な実施形態による、有線RCUの概略図である。
【図17】図17は、本発明の例示的な実施形態による、外科用デバイスに結合されたカメラアセンブリの正面端面図である。
【図18】図18は、本発明の例示的な実施形態による、外科用デバイスに結合されたカメラアセンブリの別の図である。
【図19】図19は、本発明の例示的な実施形態による、カメラアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
図2(b)は、本発明の例示的な実施形態による、外科用デバイス11の構成要素のうちのいくつかを示す概略図である。外科用デバイス11は、例えば、カニューレ(図示せず)を通した患者の体内への挿入に特に好適であるように構成される。図示の実施形態では、外科用デバイス11は、クランプ、切断、およびステープル留めデバイスである。外科用デバイス11は、ヒンジ部11cによってシャフト部11bに旋回可能に連結される顎部11aを含む。顎部11aは、遠位端50aおよび近位端50bを有する第1の顎50と、遠位端80aおよび近位端80bを有する第2の顎80とを含む。第1の顎50および第2の顎80は、それら各々の近位端50b、80bまたはその付近で、互いに旋回可能に連結される。図示の例示的な実施形態では、第1の顎50および第2の顎80は、ページに対して垂直に配向される旋回軸Aの周囲で互いに旋回する。
【0029】
上述したように、顎部11aは、ヒンジ部11cによってシャフト部11bに旋回可能に連結される。具体的には、顎部11aは、旋回軸Bの周囲でシャフト部11bに対して旋回可能であり、該軸は、顎部11aおよびシャフト部11b上またはそれらの間のいずれの位置、ならびに顎部11aおよびシャフト部11bに対するいずれの円周上の位置に位置付けられてもよい。図示する例示的な実施形態では、関節動作の際に、顎部11aが、ページに対して垂直な平面内で旋回するように、示された図では、旋回軸Bは垂直方向に配向される。他の例示的な実施形態では、顎部11aが異なる平面内で旋回することができるよう、旋回軸Bは異なる配向を有してもよいことを認識されたい。使用中に顎部11aを所望の通りに選択的に位置付けることができるように、顎部11aは、シャフト部11bに対していずれの角度までおよびその間で旋回可能であってもよい。シャフト部11bの長手方向の軸(図2(b)において、シャフト部11bの長手方向の軸は軸Dとして設計される)に対して複数の旋回軸が提供されてもよい。例えば、様々な実施形態では、顎部11aは、その長手方向の軸Dの周囲でシャフト部11bに対して回転可能であってもよいか、または長手方向の軸Dに垂直な複数の旋回軸の周囲で、シャフト部11bに対して回転可能であってもよい。
【0030】
シャフト部11bは、顎部11aが接続される遠位部1101、および近位部1102を含んでもよい。シャフト部11bの近位部1102は、使用者が外科用デバイス11を把持することができるハンドル1103を含んでもよい。シャフト部11bは、近位部1102の最近位端に、例えば、クイックコネクト連結部等の可撓性シャフトに接続するための接続要素1104を含んでもよい(後に、より詳細に説明する)。
【0031】
第2の顎80は、クランプ面106を含む。第2の顎80はまた、第2の顎80のクランプ面106の少なくとも一部分を形成してもよい、切断およびステープル留め要素104を含む。第1の顎50は、第2の顎80と対向一致するアンビル部材700を含む。アンビル部材700は、第2の顎80のクランプ面106に沿って、切断およびステープル留めされる組織の一部をクランプするクランプ面108を含む。後に、より詳細に説明するように、切断およびステープル留め要素104は、第1の顎50および第2の顎80が、例えば、全閉位置等の閉位置にある時、組織の一部を切断およびステープル留めするように構成される。一実施形態によれば、切断およびステープル留め要素104の付加的特徴は、例えば、下の図3(f)および3(g)と関連して、またさらには、2001年11月30日に出願された米国特許出願第09/999,546号、および2003年6月11日に出願された第10/460,291号に示されかつ説明されており、上記のように、それらの各々は、その全体が本明細書に参考として明示的に援用される。
【0032】
例えば、顎部11aをシャフト部11bに対して旋回させる、顎部11aまたはそのある部分を、その長手方向の軸の周囲でシャフト部11bに対して回転させる、第1の顎50を第2の顎80に対して旋回させる、ステープルカートリッジを発射する等の外科用デバイス11の動作を駆動するために、様々なドライバが用いられてもよい。本発明の一実施形態によれば、これらの機能は、外科用デバイス11を2本の回転可能な駆動シャフトを有する可撓性シャフトに接続することにより行われるが、他の実施形態では、異なる種類および/または異なる数の駆動構成要素が用いられてもよいことを認識されたい。
【0033】
図2(b)は、外科用デバイス11に第1および第2の駆動部88および98が用いられ、その各々が、例えば、可撓性の駆動シャフト等の2本の回転可能な駆動シャフトのうちのそれぞれ1つに接続される実施形態を概略的に示している。例えば、第1の駆動部88は、第1の顎50および第2の顎80を互いに移動させるように動作してもよい。第1の駆動部88は、第1の顎50および第2の顎80を互いに移動させることが可能な、いずれの種類の駆動機構を含んでもよい。第1の駆動部88は、第2の顎80の近位端80bに少なくとも部分的に配置されてもよく、第1の顎50の近位端50bに接続されてもよい。第1の駆動部88は、第1の顎50を第2の顎80に対して開閉するよう、第1の顎50の近位端50bに係合してもよい。また、第1の駆動部88は、外科用デバイス11のシャフト部11bを通って、第1の駆動ソケット654まで延在してもよい。第1の駆動部88の第1の駆動ソケット654は、第1の駆動シャフト94によって第1のモータ96に連結される。後により詳細に説明するように、第1の駆動部88は、第1の駆動シャフト94を介して、第1のモータ96によって係合されると、外科用デバイス11の他の動作を行うことに加えて、第1の顎50を第2の顎80に対して開閉するように動作してもよい。
【0034】
第2の顎80もまた、第2の駆動部98を含む。第2の駆動部98もまた、外科用デバイス11のシャフト部11bを通って、第2の駆動ソケット694まで延在してもよい。第2の駆動ソケット694は、第2の駆動シャフト102によって第2のモータ100に連結される。第2の駆動部98は、第2の駆動シャフト102を介して、第2のモータ100に係合されると、外科用デバイス11の他の動作を行うことに加えて、組織52の一部を切断およびステープル留めするための切断およびステープル留め要素104を駆動するように動作してもよい。
【0035】
2つの駆動ソケット、例えば、第1の駆動ソケット654および第2の駆動ソケット694と、2つの対応する駆動シャフト、例えば、第1の駆動シャフト94および第2の駆動シャフト102とは、外科用デバイス11の一部として、組織の一部をクランプ、切断、およびステープル留めする目的のために示されているが、いずれの好適な数の駆動ソケットおよび駆動シャフトを提供することも可能である。例えば、外科用デバイス11の上記機能を行うために、単一の駆動シャフトが提供されてもよい。
【0036】
一実施形態では、2つの駆動シャフト、例えば、第1の駆動シャフト94および第2の駆動シャフト102もまた、顎部11aをシャフト部11bに対して移動させるように構成される。この種類の実施形態の実施例は、図3(a)〜3(e)に示され、後にさらに説明される。あるいは、また図2(b)に示すように、外科用デバイス11はまた、顎部11aをシャフト部11bに対して移動させるために用いられる第3の駆動部201および第4の駆動部202を含んでもよい。例えば、第3の駆動部201は、顎部11aを軸Bの周囲でシャフト部11bに対して旋回させるように構成されてもよく、第4の駆動部202は、顎部11aをその長手方向の軸Dの周囲でシャフト部11bに対して回転させるように構成されてもよい。一実施形態では、第3および第4の駆動部201、202は、外科用デバイス11のシャフト部11bを通って、それぞれ第3および第4の駆動ソケット2011、2021まで延在する、回転可能な駆動シャフトである。第3の駆動ソケット2011は、第3の駆動シャフト2012によって第3のモータ2013に連結される。第3の駆動部201は、第3の駆動シャフト2012を介して、第3のモータ2013によって係合されると、顎部11aを軸Bの周囲でシャフト部11bに対して旋回させるように動作する。第4の駆動ソケット2021は、第4の駆動シャフト2022によって第4のモータ2023に連結される。第4の駆動部202は、第4の駆動シャフト2022を介して、第4のモータ2023によって係合されると、顎部11aをその長手方向の軸Dの周囲でシャフト部11bに対して回転させるように動作する。
【0037】
例えば、第1および第2の回転可能な駆動シャフト94および102等の駆動シャフト、ならびに他のいずれの駆動シャフトも、図2(a)に示される可撓性駆動シャフト1620等の可撓性駆動シャフト内に収容されてもよい。また他の種類の可撓性駆動シャフトが用いられてもよい。例えば、駆動シャフトは、米国仮特許出願第60/703,227号および米国特許出願第11/495,920号(それらの各々は、その全体が本明細書に参考として明示的に援用される)に説明され示される周囲の可撓性駆動シャフト内に収容されてもよい。
【0038】
図2(b)を参照すると、外科用デバイス11はまた、メモリモジュール6041を含んでもよい。一実施形態では、メモリモジュール6041は、切断およびステープル留め要素104に接続されるかまたは一体化される。メモリモジュール6041は、データ転送ケーブル1278によってデータコネクタ1272に接続される。これらの構成要素の付加的特徴は、図3(f)および7と関連して記載される。
【0039】
さらに、図2(b)は、接続要素1104も示している。接続要素1104は、後により詳細に説明される、可撓性駆動シャフト1620のクイックコネクト要素1664に相補的に係合するクイックコネクトスロット713aを有するクイックコネクトスリーブ713を含んでもよい。クイックコネクトスリーブ713のクイックコネクトスロット713a内に可撓性駆動シャフト1620のクイックコネクト要素1664を保持するために、接続要素1104はまた、ばねを含んでもよい。
【0040】
本発明の例示的な実施形態によれば、外科用デバイス11は、図2(a)に示すモータシステムを有する電気機械駆動部構成要素1610等の電気機械的外科用システムに対するアタッチメントとして構成されてもよいか、またはそれと一体化されてもよい。この例示的な実施形態では、いずれの適切な数のモータが提供されてもよく、モータは、電池電源、線電流、DC電源、電子的に制御されたDC電源等によって動作してもよいことを理解されたい。また、モータは、DC電源に接続され、それが今度は線電流に接続されてモータに対する動作電流を提供してもよいことを理解されたい。別の例示的な実施形態では、外科用デバイスは、機械駆動システムに対するアタッチメントであってもよいか、またはそれと一体化されてもよい。
【0041】
図3(a)は、本発明の一実施形態による、外科用デバイス11の斜視図である。上記のように、図3(a)〜3(e)は、2つの駆動シャフトが、顎部11aをシャフト部11bに対して移動させるため、顎部11aをその長手方向の軸の周囲で回転させるため、第1の顎50を第2の顎80に対して移動させるため、そしてステープル留めおよび切断カートリッジを発射するために用いられるように構成される、本発明の一実施形態を示している。図3(a)に示す位置では、顎部11aが、シャフト部11bに対して約60度の角度に位置付けられる。顎部11aは、患者の体内で行われる切開と、クランプ、切開、およびステープル留めされる所望の組織の位置とに従って、適切に位置付けられてもよい。
【0042】
図3(b)は、本発明の例示的な実施形態による、外科用デバイス11の内部構成要素のうちのいくつかを示す後方斜視図である。外科用デバイス11の外側本体は、破線で示されている。図示するように、顎部11aは最初の位置にあり、シャフト部11bと軸方向に整列している。
【0043】
図3(b)は、シャフト部11b内で軸方向に回転可能であってもよい第1の回転可能な駆動シャフト500を示す。第1の回転可能な駆動シャフト500には、ギア要素502が連結されている。ギア要素502は、長手方向の軸の周囲を回転し、ギア要素504と噛合する。ギア要素504は、その周囲を顎部11aがシャフト部11bに対して旋回する旋回軸Bと同軸である中心軸ピン505によって、定位置に置かれる。
【0044】
ギア要素504もまた、顎部11a内でギア要素506と噛合する。ギア要素506は、シャフト508によってギア要素510に接続される。ギア要素506、ギア要素510、およびシャフト508は、シャフト508の中心軸によって画定される長手方向の軸の周囲で、顎部11a内で回転する。ギア要素510は、顎部11a内に長手方向に配設されるピン513の周囲で回転するギア要素512と噛合する。ギア要素512は、ギア要素514と噛合する。ギア要素514は、一連の歯516まで遠位に延在するシャフト部を有する。歯516は、プレート518における対応する形状の開口部と選択的に係合可能であり、プレート518は、プレート518の相対回転を防ぐよう、外科用デバイス11の内部表面に固定されている。プレート518は、プレート518における対応する形状の開口部が歯516と係合して固定される第1の位置と、プレート518が第1の位置に対して遠位に移動され、プレート518における対応する形状の開口部が歯516と係合していない第2の位置との間で軸方向に移動可能である。
【0045】
ねじ山付きねじ520が、ギア514および歯516を担持するシャフト部から遠位に延在している。ねじ山付きねじ520は、長手方向に配設され、ギア514が回転させられると、長手方向の軸の周囲で回転するように構成される。ねじ山付きねじ520の上にはプッシュブロック522が装着される。プッシュブロック522は、プッシュブロック520の相対回転を防ぐよう、外科用デバイス11の内部表面に固定されている。一対のローラ524は、プッシュブロック520の下方遠位端に回転可能に連結される。一対のローラ524は、上顎50のそれぞれの側面の各スロット5011内に位置している。上顎50およびスロット5011は、図3(b)において点線で示されている。
【0046】
図3(b)はまた、シャフト部11b内で軸方向に回転可能であってもよい第2の回転可能な駆動シャフト550を示す。第2の回転可能な駆動シャフト550には、ギア要素552が連結されている。ギア要素552は、長手方向の軸の周囲を回転し、ギア要素554と噛合する。ギア要素554は、その周囲を顎部11aがシャフト部11bに対して旋回する旋回軸Bと同軸である中心軸ピン505によって、定位置に置かれる。
【0047】
ギア要素554もまた、顎部11a内でギア要素556と噛合する。ギア要素556は、シャフト558によってギア要素560に接続される。ギア要素556、ギア要素560、およびシャフト558は、シャフト558の中心軸によって画定される長手方向の軸の周囲で、顎部11a内で回転する。ギア要素560は、ピン513の近位端に装着されたギア要素562aと噛合する。ギア要素562aは、ピン513上に回転不能に装着されるように、したがってピン513とともに回転するように適合されるように構成され、ピン513は、顎部11a内で長手方向に延在する。また、ギア要素562bは、ピン513の遠位端に回転不能に装着されるように適合される。したがって、ギア要素562bもまた、ピン513とともに回転するように構成される。
【0048】
ギア要素562bは、遠位に延在し、かつ一連の歯5661(図3(b)には表示されないが、図3(d)では示される)を含むシャフト部を有する。歯5661は、プレート518における対応する形状の開口部と選択的に係合可能である。上記のように、プレート518は、プレート518の相対回転を防ぐよう、外科用デバイス11の内部表面に固定されており、プレート518における対応する形状の開口部が歯5661と係合して固定される第1の位置と、プレート518が第1の位置に対して遠位に移動され、プレート518における対応する形状の開口部が歯5661と係合していない第2の位置との間で軸方向に移動可能である。
【0049】
ギア要素562bは、ギア要素564と噛合する。第1の長手方向のロッド566が、ギア564から遠位に延在している。第1の長手方向のロッド566は、第2の長手方向のロッド568に結合される。第2の長手方向のロッド568は、肩部572を有する。第1の長手方向のロッド566と、第2の長手方向のロッド568の肩部572との間には、バネがある。第2の長手方向のロッド568の遠位端574は、楔駆動部605の各開口部に係合するように構成される。楔駆動部605は、ステープルカートリッジに沿ってステープル留め/切断用の楔(後により詳細に説明する)を駆動するよう、回転する。
【0050】
これらの構成要素は、様々な他の図にも示される。例えば、図3(c)は、外科用デバイス11の内部構成要素のうちのいくつかを示す側面斜視図である。図示するように、顎部11aは、シャフト部11bに対して旋回されている(例えば、関節動作されている)。また、図3(d)は、シャフト部11bに対してさらに旋回された(例えば、関節動作された)顎部を示す斜視図である。また、図3(e)は、シャフト部11bに対して旋回された(例えば、関節動作された)顎部を示す底面斜視図である。
【0051】
上記のように、外科用デバイス11は、切断およびステープル留め要素104を含んでもよい。一実施形態では、ステープル留めおよび切断要素104は、ステープルカートリッジである。図3(f)は、交換可能なステープルカートリッジ600の分解図である。交換可能なステープルカートリッジ600は、図3(a)〜3(e)に示される本発明の例示的な実施形態において、切断およびステープル留め要素104として用いられてもよい、ステープル留め/切断装置の一種である。交換可能なステープルカートリッジ600は、ステープルトレー604を含む。ステープルトレー604は、メモリモジュール6041がメモリモジュール保持具6042によって保持される、その近位端604dにスロット604iを有する。メモリモジュール6041は、例えば、現在、米国特許第6,793,652号として2004年9月21日に発行された2000年11月28日出願の米国特許出願第09/723,715号、2001年4月17日出願の米国特許出願第09/836,781号、2001年6月22日出願の米国特許出願第09/887,789号、および2002年3月15日出願の米国特許出願第10/099,634号に記載されるような情報を格納してもよく、それらの各々は、その全体が本明細書に参考として明示的に援用される。楔駆動部605は、ステープルトレー604の中央チャネル604eを通って回転可能に配置されるように構成される。具体的には、楔駆動部605は、ステープルトレー604の遠位オリフィス604a内に回転可能に装着されるように構成される遠位端605aを有する。楔駆動部605はまた、雄ねじ領域605b、ステープルトレーの604近位端604bにある近位オリフィス604bを通って回転可能に延在する無ねじ部605c、および第2の長手方向のロッド568の遠位端574を受けいれるための、その最近位端で近位方向を向いた開口部605dを含む。近位方向を向いた開口部605dおよび第2の長手方向のロッド568の遠位端574は、第2の長手方向のロッド568の遠位端574が近位方向を向いた開口部605d内に受け入れられる(例えば、挿入される)時、互いに回転不能な連結に適合している。
【0052】
交換可能なステープルカートリッジ600もまた、雌ねじ孔603aを有する楔603を含む。楔駆動部605の雄ねじ領域605bは、楔603の雌ねじ孔603aを通って延在するように構成される。楔603の雌ねじ孔603aのねじ山は、楔駆動部605の雄ねじ領域605bのねじ山と合致する。後により詳細に説明されるように、駆駆動部605が回転すると、楔603は、中央チャネル604eを通って、ステープルトレー604の遠位端604cとステープルトレー604の近位端604dとの間で移動される。
【0053】
ステープルトレー604はまた、中央チャネル604eの対向する壁604gに、複数の垂直方向に配置されたスロット604fを含む。中央チャネル604eのそれぞれの側面には、ステープルプッシャー607が、スロット604f内で摺動可能に配置されるように構成される。より具体的には、それぞれのステープルプッシャー607は、ステープルプッシングフィンガー607cの2つの列607bの間を垂直方向に走る上面607aを有する。ステープルプッシングフィンガー607cは、ステープルトレー604の壁604gに隣接する列607bの各ステープルプッシングフィンガー607cが、その中で垂直方向に摺動可能となるように、壁604gの対応するスロット604f内に保持されるように構成される。ステープルプッシングフィンガー607cは、ステープルトレー604のスロット604hの上に位置する。ステープルトレー604のスロット604hは、複数の締結具(例えば、ステープル606)を収容する。各ステープル606は、付き合わせ部606aおよび一対の突起606bを含む。
【0054】
楔603もまた、ステープルプッシャー607のそれぞれの上面607aに摺動可能に係合する一対の傾斜エッジ603bを含む。楔603が、中央チャネル604eを通ってステープルトレー604の遠位端604cから近位端604dに移動されると、楔603の一対の傾斜エッジ603bは、ステープルプッシャー607のステープルプッシングフィンガー607cをステープルトレー604のスロット604hの中に連続的に押し入れ、そこからステープル606を出すために、ステープルプッシャー607のそれぞれの上面607aに摺動可能に係合するように構成される。カートリッジ上部611は、ステープルトレー604の中央チャネル604aの上に適合するように構成され、ステープル保持具610は、ステープルトレー604のクランプ面106を覆うように構成される。例えば、ブレード51等のステープルカートリッジ600の追加的特徴は、図3(g)に関連して後に記載され、外科用デバイス11のこれらの操作中の特徴が説明される。
【0055】
図3(h)は、第1の顎50の底面図である。第1の顎50は、アンビル部材700の遠位端から近位端に延在する長手方向に配置されたスロット701を有するアンビル部材700を含む。ブレードが第2の顎80の遠位端80aから近位端80bに移動された時、ブレード51がスロット701の中に延在し、それに沿って進行するように、スロット701は、第2の顎80のブレード51と整列している。アンビル部材700はまた、ステープルガイド703の複数の列702を含む。ステープルガイド703は、ステープル606を閉めるよう、ステープル606の突起606bを受け入れて突起606bを曲げるように構成される。外科用デバイス11が閉位置にある時、ステープルガイド703の列702は、第2の顎80のステープルトレー604のスロット604hと整列する。
【0056】
操作中、顎部11aは、図3(b)に示す位置のように、シャフト部11bと軸方向に整列した最初の位置に維持される。この位置で、外科用デバイス11は、例えば、トロカールを介して、手術部位に挿入されてもよい。切開およびクランプ、ステープル留め、および切断される組織の位置によって、使用者は、顎部11aをシャフト部11bに対して関節動作させてもよい。
【0057】
第1の関節動作プロセスでは、顎部11aがシャフト部11bに対して旋回される。プレート518は、例えば、プレート518の2つの開口部が、ギア要素514の歯516およびギア要素562bの歯5661とそれぞれ係合して係止されるように、その第1の位置に配設される。第1の回転可能な駆動シャフト500および第2の回転可能な駆動シャフト550は、次いで、反対方向に回転される。例えば、図3(b)を参照すると、顎部11aをシャフト部11bに対して時計回り方向に(上から見た場合)関節動作させるために、第1の回転可能な駆動シャフト500は、反時計回り方向に回転されてもよい(簡略化のために、本明細書における回転方向(例えば、時計回りまたは反時計回り)についてのすべての言及は、他に記載のない限り、外科用デバイスの近位端から外科用デバイス11の遠位端に向いた視界を指すものとする)。したがって、第1の回転可能な駆動シャフト500に結合されたギア要素502も、反時計回り方向に回転させられる。ギア要素504と係合しているため、ギア要素502の反時計回りの回転は、ギア要素504を、ピン505の周囲で反時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素506と係合しているため、ギア要素504の反時計回りの回転は、ギア要素506を時計回り方向に回転させる。
【0058】
同時に、第2の回転可能な駆動シャフト550は、時計回り方向に回転されてもよい。したがって、第2の回転可能な駆動シャフト550に結合されたギア要素552も、時計回り方向に回転させられる。ギア要素554と係合しているため、ギア要素552の時計回りの回転は、ギア要素554を、ピン505の周囲で反時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素556と係合しているため、ギア要素554の時計回りの回転は、ギア要素556を反時計回り方向に回転させる。プレート518の歯516および5661との係合は、外科用デバイス11に対するギア要素506および566の回転を防ぐ。したがって、顎部11aは、シャフト部11bに対して時計回り方向に(上から見た場合)回転させられる。上から見た場合に、顎部11aをシャフト部11bに対して反対方向(例えば、反時計回り)に回転させるために、第1および第2の回転可能な駆動シャフト500、550の回転方向は逆向きである。
【0059】
一旦、顎部11aがピン505の周囲で所望の位置まで回転されると、顎部11aもまた、第2の関節動作プロセスにおいて、顎部11aの長手方向の軸(例えば、軸Dとして示される)の周囲でシャフト部11bに対して回転されてもよい。プレート518は、プレート518の2つの開口部が、ギア要素514の歯516およびギア要素562bの歯5661とそれぞれ係合して係止されるように、その最初の位置に維持される。第1の回転可能な駆動シャフト500および第2の回転可能な駆動シャフト550は、次いで、同じ方向に回転される。例えば、図3(b)を参照すると、顎部11aをその長手方向の軸の周囲でシャフト部11bに対して反時計回り方向に回転させるために、第1の回転可能な駆動シャフト500は、反時計回り方向に回転されてもよい。したがって、第1の回転可能な駆動シャフト500に結合されたギア要素502も、反時計回り方向に回転させられる。ギア要素504と係合しているため、ギア要素502の反時計回りの回転は、ギア要素504を、ピン505の周囲で反時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素506と係合しているため、ギア要素504の反時計回りの回転は、ギア要素506を時計回り方向に回転させる。ギア要素506は、シャフト508によってギア要素510に結合されるため、ギア要素506の時計回り方向の回転は、ギア要素510も時計回り方向に回転させる。ギア要素512と係合しているため、ギア要素510の時計回りの回転は、ギア要素512を反時計回り方向に回転させる。
【0060】
第2の回転可能な駆動シャフト550もまた、反時計回り方向に回転されてもよい。したがって、第2の回転可能な駆動シャフト550に結合されたギア要素552も、反時計回り方向に回転させられる。ギア要素554と係合しているため、ギア要素552の反時計回りの回転は、ギア要素554を、ピン505の周囲で時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素556と係合しているため、ギア要素554の時計回りの回転は、ギア要素556を時計回り方向に回転させる。ギア要素556はシャフト558によってギア要素560に結合されるため、ギア要素556の時計回り方向の回転は、ギア要素560も時計回り方向に回転させる。ギア要素562aと係合しているため、ギア要素560の時計回りの回転は、ギア要素562aを反時計回り方向に回転させる。また、ギア要素562aおよびギア要素562bの両方が、ピン513に回転不能に装着される(例えば、固定される)ように適合されるため、ギア要素562aの反時計回りの回転も、ギア要素562bを反時計回り方向に回転させる。
【0061】
したがって、ギア要素562bおよびギア要素512は、それらの共通する長手方向の軸(例えば、ピン513の中心軸)の周囲で、反時計回り方向にともに回転する。プレート518はその最初の位置に維持されるため、プレート518の2つの開口部は、ギア要素514の歯516およびギア要素562bの歯5661とそれぞれ係合して係止される。したがって、ギア要素562bおよびギア要素512のピン513の周囲での反時計回り方向の回転は、ギア要素514およびギア要素564も、顎部11aの長手方向の軸Dと同軸上の中心軸であるピン513の周囲で反時計回り方向に回転させる。ギア要素は、プッシュブロック522に装着されるねじ520に接続される。プッシュブロック522は、顎部11aの内部表面に固定されるため、長手方向の軸Dの周囲でのギア要素514の回転は、顎部11aをその長手方向の軸Dの周囲でシャフト部11bに対して回転させる。
【0062】
一旦、顎部11aが、所望の位置まで、その長手方向の軸Dの周囲でシャフト部11bに対して回転されると、顎50、80は、その間に組織の一部が配置されるよう、開放されてもよい。この操作を行うためには、プレート518の2つの開口部がギア要素514の歯516またはギア要素562bの歯5661とそれぞれ係合して係止されないように、プレート518がその第2の位置まで遠位に移動される。第1の回転可能な駆動シャフト500は、次いで、第1の方向に回転される一方で、第2の回転可能な駆動シャフト550は回転されない。例えば、図3(b)を参照すると、第1の顎50を第2の顎80に対して開放させるために、第1の回転可能な駆動シャフト500は反時計回り方向に回転されてもよい。したがって、第1の回転可能な駆動シャフト500に結合されたギア要素502も、反時計回り方向に回転させられる。ギア要素504と係合しているため、ギア要素502の反時計回りの回転は、ギア要素504を、ピン505の周囲で反時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素506と係合しているため、ギア要素504の反時計回りの回転は、ギア要素506を時計回り方向に回転させる。ギア要素506は、シャフト508によってギア要素510に結合されるため、ギア要素506の時計回り方向の回転は、ギア要素510も時計回り方向に回転させる。ギア要素512と係合しているため、ギア要素510の時計回りの回転は、ギア要素512を反時計回り方向に回転させる。ギア要素514と係合しているため、ギア要素512の反時計回りの回転は、ギア要素514を時計回り方向に回転させる。プレート518がその第2の位置に移動されるため、ギア要素512は、ピン513を回転させることなく、ピン513の周囲で回転する。
【0063】
ギア要素514の時計回りの回転は、ねじ山付きねじ520の時計回り方向の回転を引き起こす。操作の初期段階(例えば、外科用デバイス11が初めて患者の体内に挿入された時)では、プッシュブロック522は、ねじ山付きねじ520に沿った最遠位位置に位置する。ねじ山付きねじ520の回転は、外科用デバイス11の内部表面内に回転不能に装着される(例えば、固定される)ように適合されるプッシュブロック522を、近位方向に進行させる。プッシュブロック522の近位方向への移動は、一対のローラ524を、上顎50のそれぞれの側面のそれぞれのスロット5011内で近位に移動させる。プッシュブロック522がねじ山付きねじ520の近位端に移動されると、ローラ524がスロット5011の近位端に位置付けられ、その位置で第1の顎50が第2の顎80に対して最大に開放される。
【0064】
一旦、第1および第2の顎50、80が互いに対して所望の位置まで開放されると、顎50、80は、その間の組織の一部をクランプするよう、閉鎖される。この場合も同様に、例えば、プレート518の2つの開口部がギア要素514の歯516またはギア要素562bの歯5661とそれぞれ係合して係止されないように、プレート518はその第2の位置にあり、第1の回転可能な駆動シャフト500が第2の方向に回転される一方で、第2の回転可能な駆動シャフト550は回転されない。例えば、図3(b)を参照すると、第1の顎50を第2の顎80に対して閉鎖するために、第1の回転可能な駆動シャフト500は時計回り方向に回転されてもよい。したがって、第1の回転可能な駆動シャフト500に結合されたギア要素502も、時計回り方向に回転させられる。ギア要素504と係合しているため、ギア要素502の時計回りの回転は、ギア要素504を、ピン505の周囲で時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素506と係合しているため、ギア要素504の時計回りの回転は、ギア要素506を反時計回り方向に回転させる。ギア要素506は、シャフト508によってギア要素510に結合されるため、ギア要素506の反時計回り方向の回転は、ギア要素510も反時計回り方向に回転させる。ギア要素512と係合しているため、ギア要素510の反時計回りの回転は、ギア要素512を時計回り方向に回転させる。ギア要素514と係合しているため、ギア要素512の時計回りの回転は、ギア要素514を反時計回り方向に回転させる。プレート518がその第2の位置に移動されるため、ギア要素512は、ピン513を回転させることなく、ピン513の周囲で回転する。
【0065】
ギア要素514の反時計回りの回転は、ねじ山付きねじ520の反時計回り方向の回転を引き起こす。上記のように、プッシュブロック522は、ねじ山付きねじ520に沿った最近位位置に位置してもよい。ねじ山付きねじ520の回転は、外科用デバイス11の内部表面内に固定されるプッシュブロック522を遠位方向に進行させる。プッシュブロック522の遠位方向への移動は、一対のローラ524を、上顎50のそれぞれの側面のそれぞれのスロット5011内で遠位に移動させる。プッシュブロック522がねじ山付きねじ520の遠位端に移動されると、ローラ524がスロット5011の遠位端に位置付けられ、その位置で、第1の顎50が第2の顎80に対して最大にクランプされる。第1および第2の顎50、80の開閉は、単純な鋏の様式で起こってもよいが、他の実施形態では、第1および第2の顎50、80は、異なる態様で開閉してもよいことに留意されたい。そのような種類の動作の実施例は、図3(f)〜3(i)と関連して後にさらに詳細に説明する。
【0066】
一旦、組織の一部が第1および第2の顎50と80との間にクランプされると、組織の一部は切断およびステープル留めされてもよい。本発明は、切断およびステープル留め要素の両方を使用して示されているが、外科用デバイス11は、そのような要素を1つのみ採用してもよく、そうでなければ異なる種類の外科用器具を採用してもよいことを認識されたい。外科用デバイス11が患者の体内に挿入される前に、ステープルカートリッジ578が第2の顎80の間に提供される。一実施形態では、外科用デバイス11は、ステープルカートリッジが第2の顎80と一体化された、一回限り使用のデバイスである。あるいは、外科用デバイス11は、例えば、図3(f)に示す交換可能なステープルカートリッジ600等の、交換可能なステープルカートリッジを有してもよく、そのため、外科用デバイス11は、異なるステープルカートリッジを用いて何度も使用することが可能となる。この実施形態では、外科用デバイス11が初めて使用される場合、ステープルカートリッジ600は、外科用デバイス11の製造中および組み立て中に事前に設置されてもよく、そうでなければ、使用者によって外科用デバイス11の使用直前に設置されてもよい。外科用デバイス11が2度目以上に使用される場合、ステープルカートリッジ600は、使用者によって外科用デバイス11の使用直前に設置されてもよい。ステープルカートリッジ600が第2の顎80の中に設置される場合は、長手方向のロッド568の遠位端574は、楔駆動部605の近位方向を向いた開口部605d内に受け入れられる。
【0067】
外科用デバイス11の切断/ステープル留め動作を示すために、最初に、図3(b)を参照する。ステープルカートリッジ600が外科用デバイス11の第2の顎80内に設置され、プレート518の2つの開口部がギア要素514の歯516またはギア要素562bの歯5661とそれぞれ係合して係止されないように、プレート518はその第2の位置に維持される。第2の回転可能な駆動シャフト550が、次いで、第1の方向に回転される一方で、第1の回転可能な駆動シャフト500は回転されない。例えば、第1および第2の顎50と80との間に配置された組織の一部を切断およびステープル留めするためには、第2の回転可能な駆動シャフト550が、反時計回り方向に回転されてもよい。したがって、第2の回転可能な駆動シャフト550に結合されたギア要素552も、反時計回り方向に回転させられる。ギア要素554と係合しているため、ギア要素552の反時計回りの回転は、ギア要素554を、ピン505の周囲で時計回り方向に(上から見た場合)回転させる。ギア要素556と係合しているため、ギア要素554の時計回りの回転は、ギア要素556を時計回り方向に回転させる。ギア要素556は、シャフト558によってギア要素560に結合されるため、ギア要素556の時計回り方向の回転は、ギア要素560も時計回り方向に回転させる。ギア要素562aと係合しているため、ギア要素560の時計回りの回転は、ギア要素562aおよび562bを反時計回り方向に回転させる。ギア要素564と係合しているため、ギア要素562bの反時計回りの回転は、ギア要素564を時計回り方向に回転させる。プレート518がその第2の位置に移動されるため、ギア要素562bは、ギア要素514を回転させることなく、ピン513とともに回転する。
【0068】
ギア要素564の時計回りの回転は、第2の長手方向のロッド568に沿った、第1の長手方向のロッド566の時計回り方向の回転を引き起こす。第1の長手方向のロッド566の遠位端と第2の長手方向のロッド568の肩部572との間に存在するばね570は、第2の長手方向のロッド568を遠位方向に偏向する役割を果たし、それによって、第2の長手方向のロッド568の遠位端574が、楔駆動部605のそれぞれの開口部605d内に確実に収まるようにする。
【0069】
外科用デバイス11の切断/ステープル留め動作をさらに示すために、次に図3(g)を参照する。図3(g)は、本発明の一実施形態による、全閉位置にある外科用デバイス11の断面図である。図3(g)では、外科用デバイス11は、第1および第2の顎50、80のクランプ面106と108との間の組織の一部を含まずに示されている。
【0070】
図3(g)に示すように、外科用デバイス11は第2の顎80内に配置され、切断およびステープル留め要素104は、第2の顎80内に交換可能に装着することができる、図3(g)の交換可能なステープルカートリッジ600を含む。図3(f)の分解図で示される交換可能なステープルカートリッジ600が、図3(g)では、組み立てられて第2の顎80内に装着されて示されている。
【0071】
図3(g)に示すように、楔603は、切断エッジ51aを有するブレード51上に配置される。あるいは、切断およびステープル留め要素は、別個に配置されてもよい。図3(g)に示される例示的な実施形態では、ブレード51は、接触面653とともに尾部654を有する。ブレード51は、楔603に旋回軸51bの周囲で回転可能に連結され、ブレード51が第1の位置と第2の位置との間で回転できるようにする。図3(g)は、楔603およびブレード51は、ステープルトレー604の遠位端604cから近位端604dに進むため、位置A〜Eとして表示したいくつかの位置にある楔603およびブレード51を示している。
【0072】
Aと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ステープルトレー604の遠位端604cに位置付けられている。Aと表示した位置では、楔603およびブレード51は筺体615内に収容され、例えば、切断エッジ51aが上を向き、曝露されない後退位置にあるよう、ブレード51は楔603に対して回転される。接触面653は、最初はステープルトレー604の近位端604dに向いている。
【0073】
操作中、第2の長手方向のロッド568の遠位端574を介した楔駆動部605の回転は、楔603およびブレード51を、Bと表示した位置まで前進させる。Bと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ステープルトレー604の遠位端604cに対して近位に位置付けられる。具体的には、Bと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ブレード51の接触面653が、筺体615の関節動作リップ615aに接触し始めるように位置付けられる。ブレード51の接触面653が筺体615の関節動作リップ615aに接触し始めると、ブレード51は楔603に対して回転し始める。
【0074】
第2の長手方向のロッド568の遠位端574を介した楔駆動部605のさらなる回転は、楔603およびブレード51を、Cと表示した位置まで前進させる。Cと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ステープルトレー604の遠位端604cに対してさらに近位に位置付けられる。具体的には、Cと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ブレード51の接触面653が、筺体615の関節動作リップ615aに完全に接触するように位置付けられる。ブレード51の接触面653が筺体615の関節動作リップ615aに完全に接触すると、ブレード51は、ブレード51の切断エッジ51aが、例えば、切断エッジ51aがステープルトレー604の近位端604dに向いた伸長位置にあるように、楔603に対して完全に回転される。
【0075】
第2の長手方向のロッド568の遠位端574を介した楔駆動部605のさらなる回転は、楔603およびブレード51を、Dと表示した位置まで前進させる。Dと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ステープルトレー604の遠位端604cと近位端604dとのほぼ中間点に位置付けられる。Dと表示した位置では、ブレード51は、第1の顎50と第2の顎80との間にクランプされた組織の一部(図示せず)を切断するよう、切断エッジ51aをステープルトレー604の近位端604dに向かせる伸長位置に維持される。
【0076】
第2の長手方向のロッド568の遠位端574を介した楔駆動部605のさらなる回転は、楔603およびブレード51を、Eと表示した位置まで前進させる。Eと表示した位置では、楔603およびブレード51は、ステープルトレー604の近位端604dに位置付けられる。Eと表示した位置では、ブレード51は、切断エッジ51aがステープルトレー604の近位端604dに向いた伸長位置になお維持される。しかしながら、ここでは、切断エッジ51aが曝露されないように、ブレード51は筺体616内に囲まれている。
【0077】
ステープルトレー604内に収容されたステープル606は、第2の顎80の近位端80bから遠位端80aまでのブレード51の動作と同時に発射されてもよい。例えば、第2の長手方向のロッド568の遠位端574を介した楔駆動部605の回転は、楔603を、ステープルトレー604の中央チャネル604eを通って移動させる。楔603が、中央チャネル604eを通って、ステープルトレー604の遠位端604cから近位端604dへと移動されると、楔603の一対の傾斜エッジ603bは、ステープルプッシャー607のそれぞれの上面607aに摺動可能に係合し、ステープルプッシャー607のステープルプッシングフィンガー607cをステープルトレー604のスロット604hの中に連続的に押し入れ、ひいてはそこからステープル606を押し出す。外科用デバイス11が閉位置にある時、ステープルトレー604のスロット604h内に維持されたステープル606が、ステープルプッシャー607のステープルプッシングフィンガー607cによって、アンビル部材700の対応するステープルガイド703の中に押し入れられ、アンビル部材700の対応するステープルガイド703によって閉じられるように、ステープルガイド703の列702は、第2の顎80のステープルトレー604のスロット604hと整列する。ステープルガイド703は、ステープル606を閉じて組織の一部をステープル留めするよう、外科用デバイス11が発射されると、ステープル606の突起606bを受け入れて、突起606bを曲げる。
【0078】
本発明の様々な実施形態によれば、ブレード51および楔603は、第1の顎50と第2の顎80との間に配置された組織の一部を切断するために、近位または遠位方向に移動されてもよいことを認識されたい。さらに、本発明の様々な実施形態によれば、第1の顎50と第2の顎80との間に配置された組織の一部を切断および/またはステープル留めするために、ブレード51および楔603を移動させるように構成されるいずれの機械装置が採用されてもよいことを認識されたい。
【0079】
上記のように、第1および第2の顎50、80の開閉は単純な鋏の様式で起こってもよいが、他の実施形態では、第1および第2の顎50、80は、異なる態様で開閉してもよい。そのような種類の動作の実施例は、図3(i)〜3(l)に関連して後に広く説明する。そのような種類の動作のさらなる詳細および利点は、2003年6月11日出願の特許出願第10/460,291号に記載されており、その全体が、本明細書に参考として明示的に援用される。明瞭にするために、ギア要素514およびギア要素564の近位に位置する外科用デバイス11のこれらの構成要素は図示していない。これらのギア要素514、564は、図3(a)〜3(e)に示される駆動構成要素の組み合わせによって、または他のいずれの駆動構成要素の組み合わせによって駆動されてもよいことを理解されたい。
【0080】
図3(i)は、第2の顎80に対して開放位置にある第1の顎50を示している。この位置では、プッシュブロック522は、ねじ山付きねじ520の近位端またはその付近にあり、プッシュブロック522に結合されたローラ524は、第1の顎50のスロット5011の近位端またはその付近に位置付けられる。第1の顎50は、第2の顎80の垂直方向のスロット5013内に係合される旋回ピン5012を含む。第1および第2の顎50、80の近位端50b、80bは、それぞれ、図3(i)に示される最初の位置において、ピン5012がスロット5013の下方端部に位置付けられるように、互いから離れて偏向される。
【0081】
図3(j)を参照すると、ギア要素514が回転されるにつれて、プッシュブロック522は、ねじ山付きねじ520の第1の中間位置まで遠位に移動し、プッシュブロック522に結合されたローラ524は、同様に、第1の顎50のスロット5011内の第1の中間位置まで遠位に移動される。図3(j)に示す位置では、ピン5012は、最終的にスロット5013の上端部に位置付けられるまで、スロット5013内で移動されている。このように、第1および第2の顎50、80の遠位端50a、80aは、第1および第2の顎50、80が、ともに完全にクランプされる前に、一緒に合わせられる。
【0082】
図3(k)を参照すると、ギア要素514がさらに回転されるにつれて、プッシュブロック522は、ねじ山付きねじ520の第2の中間位置まで遠位に移動し続け、プッシュブロック522に結合されたローラ524は、同様に、第1の顎50のスロット5011内の第2の中間位置まで遠位に移動し続ける。図3(k)に示す位置では、第1および第2の顎50、80をさらにクランピングすると、この場合も、最終的にスロット5013の下端部に位置付けられるまで、ピン5012をスロット5013内で移動させる。このように、第1および第2の顎50、80の遠位端50a、80aが一緒の状態を保つ一方で、第1および第2の顎50、80の近位部が、徐々にともにクランプされる。ねじ山付きねじ520に沿ってプッシュブロック522の遠位方向の移動を継続すると、最終的には、第1および第2の顎50、80が、それらの遠位端50a、80aおよびそれらの近位端50b、80bの両方でクランプされる図3(l)に示す位置に、外科用デバイス11が配置される。
【0083】
上記のように、第1の顎50を第2の顎80に対して移動させるために採用されてもよい様々な異なる機構が存在する。この目的のために採用される機構にかかわらず、第1の顎50と第2の顎80との間に配置される組織の一部に強いクランプ力を発揮する機構を使用することが、概して望ましい。図4(a)は、本発明の別の実施形態による、第1の顎50を第2の顎80に対して移動させるための異なる機構を採用する外科用デバイス11の斜視図である。
【0084】
図4(b)は、顎部11aの第2の顎80の付加的特徴を示す斜視図である。明瞭にするために、第1の顎50を破線で示している。具体的には、図4(b)は、例えば、第1の回転可能なクランプ要素302に結合された水平駆動部要素301等の、第1の駆動部88の部分を示している。本発明による第1の駆動部88のこれらおよび他の特徴を、さらに図5(a)〜5(d)に示す。
【0085】
図5(a)は、第2の顎80の近位端80bを示す斜視図である。第1の顎50の近位端50bは、破線で示されている。図5(a)は、全開位置にある外科用デバイス11を示す。この実施形態では、第1の駆動部88は、回転シャフト303を含む。第1の駆動部88はまた、水平駆動部要素301を含む。水平駆動部要素301の近位端は、回転シャフト303によって係合される。水平駆動部要素301の遠位端は、開口部3011を含む。第1の駆動部88はまた、第1の回転可能なクランプ要素302を含む。第1の回転可能なクランプ要素302は、近位端3021、中間部3022、および遠位端3023を含む。
【0086】
第1の駆動部88はまた、第2の回転可能なクランプ要素303を含む。第2の回転可能なクランプ要素303は、近位端3032および遠位端3031を有する。第1の回転可能なクランプ要素302の近位端は、水平な駆動部要素301の遠位端で、開口部3011に旋回可能に接続される。第1の回転可能なクランプ要素302の中間部3022は、第2の回転可能なクランプ要素303の近位端3032に旋回可能に接続される。第1の回転可能なクランプ要素302の遠位端3021は、第1の顎50に旋回可能に接続される。第2の回転可能なクランプ要素303の遠位端3031は、第2の顎50に旋回可能に接続される。また、第1の顎50の近位端50bは、旋回点Aの周囲で第2の顎80の近位端80bに旋回可能に接続される。
【0087】
第1の駆動部88の係合により、外科用デバイス11は、図5(b)に示されるように第1の部分的に閉じた位置に移動される。具体的には、第1のモータ96が係合されると、第1の駆動シャフト94は、第1の駆動ソケット654の第1の方向への回転を引き起こす。第1の駆動ソケット654の回転は、第1の駆動部88の回転シャフト303の回転を引き起こし、今度は水平駆動部要素301を遠位方向に移動させる。第1の駆動部88の構成要素は、本実施形態と関連して回転シャフト303を含むように記載されているが、上記のように図3(a)〜3(e)に示される実施形態に関連して記載される構成要素のうちのいくつかまたはすべてを含んでもよく、そうでなければ、水平駆動部要素301を遠位方向の駆動に移動させるのに好適な構成要素の他のいずれの装置を含んでもよいことを認識されたい。
【0088】
さらに図5(b)を参照すると、水平駆動部要素301の遠位方向の移動が、第2の回転可能なクランプ要素302の遠位端3023が下方方向に移動し始めるように、第1の回転可能なクランプ要素302の回転を引き起こす。第2の回転可能なクランプ要素302の遠位端3023の下方移動は、第1の顎50に旋回可能に結合しているために、第1の顎50を旋回点Aの周囲で第2の顎80に対して部分的に閉じた位置まで回転させる。
【0089】
第1の駆動部88のさらなる係合により、外科用デバイス11は、図5(c)に示されるように第2の部分的に閉じた位置に移動される。具体的には、第1のモータ96がさらに係合されると、水平駆動部要素301は、第1の駆動部88の第1の駆動シャフト94、第1の駆動ソケット654、および回転シャフト303の回転により、さらに遠位方向へと移動させられる。水平駆動部要素301の継続的な遠位方向への移動は、第2の回転可能なクランプ要素302の遠位端3023が下方方向に移動し続けるように、第1の回転可能なクランプ要素302のさらなる回転を引き起こす。第2の回転可能なクランプ要素302の遠位端3023の継続的な下方移動は、第1の顎50に旋回可能に結合しているために、第1の顎50を旋回点Aの周囲で第2の顎80に対してほぼ完全に閉じた位置まで回転させる。
【0090】
第1の駆動部88をさらに係合させると、外科用デバイス11は、図5(d)に示すように第1の完全に閉じた位置まで移動される。具体的には、第1のモータ96がなおさらに係合されると、水平駆動部要素301は、第1の駆動部88の第1の駆動シャフト94、第1の駆動ソケット654、および回転シャフト303の回転により、完全に遠位方向へと移動させられる。完全な遠位位置では、第1の回転可能なクランプ要素302の遠位端3023が完全に下げられた位置にあるように、第1の回転可能なクランプ要素302が完全に回転される。完全に下げられた位置では、第1の回転可能なクランプ要素302の遠位端3023は、第1および第2の顎50と80との間に配置された組織の一部52が、第1および第2の顎50と80との間に完全にクランプされるように、第1の顎50を旋回点Aの周囲で完全に閉じた位置に移動されている。
【0091】
本発明の例示的な実施形態によれば、外科用デバイス11は、図1に示されるもののような純粋に機械的なデバイスに対するアタッチメントとして構成されてもよいか、またはそれと一体化されてもよい。別の実施形態では、外科用デバイス11は、図2(a)に示される電気機械駆動部システム1610等の電気機械的外科用システムに対するアタッチメントとして構成されてもよいか、またはそれと一体化されてもよい。
【0092】
具体的には、図2(a)は、本発明による電気機械駆動部構成要素1610の例示的な実施形態の斜視図である。そのような電気機械的外科用システムは、例えば、現在、米国特許第6,793,652号として2004年9月21日に発行された2000年11月28日出願の米国特許出願第09/723,715号、2001年4月17日出願の米国特許出願第09/836,781号、2001年6月22日出願の米国特許出願第09/887,789号、および2002年3月15日出願の米国特許出願第10/099,634号に記載され、それらの各々は、その全体が本明細書に参考として明示的に援用される。電気機械駆動部構成要素1610は、例えば、前面パネル1615を有する筺体1614を含む遠隔電力コンソール1612を含んでもよい。前面パネル1615上には、ディスプレイデバイス1616ならびにインジケータ1618aおよび1618bが装着される。可撓性シャフト1620は、筺体1614から延在してもよく、第1の連結部1622を介して、そこに着脱可能に結合されてもよい。可撓性シャフト1620の遠位端1624は、例えば、上述した外科用デバイス11を可撓性シャフト1620の遠位端1624に着脱可能に結合するように適合された第2の連結部1626を含んでもよい。第2の連結部1626もまた、異なる外科用器具またはアタッチメントを着脱可能に結合するように適合されてもよい。別の例示的な実施形態では、可撓性シャフト1620の遠位端1624は、外科用器具に恒久的に結合されていてもよいか、またはそれと一体化されていてもよい。
【0093】
図6(a)〜6(e)は、本発明の一実施形態による、外科用デバイス11を電気機械駆動構成要素1610に接続するために用いられてもよい、連結部および可撓性シャフトの配設を示している。例えば、図6(a)は、そこに着脱可能に結合された筺体1614から、第1の連結部2622を介して、延在する可撓性シャフト2620を示す。可撓性シャフト2620の遠位端2624は、例えば、上記外科用デバイス11を、可撓性シャフト2620の遠位端2624に着脱可能に連結するように適合される第2の連結部2626を含んでもよい。図6(b)は、本発明の一実施形態による第1の連結部2622の後方斜視図を示している。図6(c)は、図6(b)に示す実施形態による、第1の連結部2622の正面斜視図を示している。図6(d)は、第1の連結部2622の内部構成要素のうちのいくつかの側面斜視図である。図6(e)は、本発明の一実施形態による、可撓性シャフト2620の遠位端2624における第2の連結部2626の後方斜視図である。明瞭にするために、可撓性シャフト2620は、図6(e)において破線で示されている。これらの構成要素の付加的特徴は、米国仮特許出願第60/703,227号および米国特許出願第11/495,920号にさらに記載されており、それらの各々は、その全体が本明細書に参考として明示的に援用される。
【0094】
可撓性シャフト2620と連結部2622、2626とを組み合わせることにより、外科用デバイス11が電気機械的な電力コンソール1610に結合されていてもよい1つの配設が提供されるが、いずれの好適な配設が用いられてもよい。例えば、図7から10は、外科用デバイス11が電気機械的な電力コンソール1610に結合されていてもよい、別の配設を示している。図7を参照すると、部分的な断面である可撓性シャフト1620の側面図が示される。例示的な実施形態によれば、可撓性シャフト1620は、その内部チャネル1640と環境との間に液密シールをもたらすように構成されたコーティングまたは他のシール装置を含んでもよい管状シース1628を含む。シース1628は、組織適合性の滅菌可能なエラストマー材料で形成されてもよい。シース1628はまた、加圧滅菌可能な材料で形成されてもよい。第1の回転可能な駆動シャフト94、第2の回転可能な駆動シャフト102、第1のステアリングケーブル1634、第2のステアリングケーブル1635、第3のステアリングケーブル1636、第4のステアリングケーブル1637、およびデータ転送ケーブル1638は、可撓性シャフト1620の内部チャネル1640内に配置され、その全長に沿って延在してもよい。図8は、図7に示される線8−8に沿った可撓性シャフト1620の断面図であり、いくつかのケーブル94、102、1634、1635、1636、1637および1638をさらに示している。ステアリングケーブル1634、1635、1636、1637の各遠位端は、可撓性シャフト1620の遠位端1624に固着される。いくつかのケーブル94、102、1634、1635、1636、1637、1638のそれぞれは、各シース内に収納されてもよい。
【0095】
第1の回転可能な駆動シャフト94および第2の回転可能な駆動シャフト102は、例えば、編組または螺旋状の駆動ケーブル等、例えば、高い可撓性の駆動シャフトとして構成されてもよい。そのような高い可撓性の駆動ケーブルは、限定されたトルク伝達特性および能力を有する可能性があることを理解されたい。外科用デバイス11、または可撓性シャフト1620に接続される他のアタッチメントは、駆動シャフト94および102によって伝達されるトルクよりも高いトルク入力を必要とする可能性があることもまた、理解されたい。したがって、駆動シャフト94および102は、低いトルクだが速い速度で伝達するように構成されてもよく、外科用器具もしくはアタッチメントおよび/または遠隔電力コンソール1612における、例えば、駆動可撓性シャフト1620の遠位端および/または近位端に配置されるギア装置によって、高速/低トルクが低速/高トルクに変換される。そのようなギア装置(複数可)は、筺体1614内に配置されたモータと、可撓性軸1620に接続された結合した外科用器具または他のアタッチメントとの間の伝動機構に沿った、いずれの好適な位置に提供されてもよいことを理解されたい。そのようなギア装置(複数可)は、例えば、平歯車装置、遊星歯車装置、調和歯車装置、サイクロイド駆動装置、エピサイクリック歯車装置等を含んでもよい。
【0096】
次に図9を参照すると、第1の連結部1622の背面図が示される。第1の連結部1622は、第1のコネクタ1644、第2のコネクタ1648、第3のコネクタ1652、および第4のコネクタ1656を含み、それぞれが回転可能に第1の連結部1622に固定されている。コネクタ1644、1648、1652、および1656の各々は、それぞれの凹部1646、1650、1654、および1658を含む。図9に示すように、それぞれの凹部1646、1650、1654、および1658は、六角形の形状であってもよい。しかしながら、凹部1646、1650、1654、および1658は、コネクタ1644、1648、1652、および1656を、筺体1614内に収納されるモータ装置のそれぞれの駆動シャフトに回転不能に連結し、堅固に結合するように構成された、いずれの形状および構成を有してもよい。相補的な突出部がモータ装置の各駆動シャフト上に提供され、それによって可撓性シャフト1620の駆動要素を駆動してもよいことを認識されたい。凹部が駆動シャフト上に提供されてもよく、相補的な突出部がコネクタ1644、1648、1652、および1656上に提供されてもよいこともまた、認識されたい。コネクタ1644、1648、1652、および1656とモータ装置の駆動シャフトとを、回転不能かつ解放可能に連結するように構成された他のいずれの連結装置が提供されてもよい。
【0097】
コネクタ1644、1648、1652、および1656のうちの1つは、第1の駆動シャフト94に回転不能に固定され、コネクタ1644、1648、1652、および1656のうちの別の1つは、第2の駆動シャフト102に回転不能に固定される。コネクタ1644、1648、1652、および1656の残りの2つは、ステアリングケーブル1634、1635、1636、および1637に引張力を印加し、それによって可撓性シャフト1620の遠位端1624を操作するように構成された伝達要素と係合する。データ転送ケーブル1638は、データコネクタ1660と電気的かつ論理的に接続される。データコネクタ1660は、例えば、データケーブル1638に収納される個々の電線の数に対応し、その数と等しい数の電気的接点1662を含む。第1の連結部1622は、第1の連結部1622を、筺体1612上に配置される嵌合的および相補的な連結装置に適切に配向されるように構成される鍵構造1642を含む。鍵構造1642は、第1の連結部1622と、筺体1612上に配置される嵌合的および相補的な連結装置とのうちのいずれか1つ、または両方の上に提供されてもよい。第1の連結部1622は、単純な押す動作によって、第1の連結部1622を筺体1612に係合することができる、クイックコネクトタイプのコネクタを含んでもよい。いくつかのコネクタ1644、1648、1652、1656、および1660のうちのいずれかとともにシールが提供され、第1の連結部1622の内部と環境との間に液密シールを提供してもよい。
【0098】
次に図10を参照すると、可撓性シャフトの1620の第2の連結部1626の正面端面図が示される。例示的な実施形態では、第2の連結部1626は、第1のコネクタ1666および第2のコネクタ1668を含み、それぞれが第2の連結部1626に回転可能に固定され、それぞれが、第1および第2の駆動シャフト94および102のうちのそれぞれ1つの遠位端に回転不能に固定される。クイックコネクトタイプの取付具1664は、第2の連結部1626上に提供され、そこにデバイス11を着脱可能に固定する。クイックコネクトタイプの取付具1664は、例えば、回転式のクイックコネクトタイプの取付具、差し込みタイプの取付具等であってもよく、図2(b)に示されるクイックコネクトスリーブ713に相補的な取付具であってもよい。鍵構造1674は、第2の連結部1626上に提供されてもよく、外科用デバイス11を第2の連結部1626に対して適切に整列させるように構成されてもよい。鍵構造、または外科用デバイス11を可撓性シャフト1620に対して適切に整列させるように構成される他の装置は、第2の連結部1626および外科用デバイス11のうちのいずれか1つまたは両方の上に提供されてもよい。また、鍵構造は、図2(b)に示すように、クイックコネクトスリーブ713のスロット713aとして、デバイス11上に提供されてもよい。電気的接点1672を有するデータコネクタ1670もまた、第2の連結部1626内に提供されてもよい。第1の連結部1622のデータコネクタ1660と同様に、第2の連結部1626のデータコネクタ1670は、データ転送ケーブル1638の各電線およびデータコネクタ1660の接点1662に電気的かつ論理的に接続される接点1672を含む。コネクタ1666、1668、および1670とともにシールが提供され、第2の連結部1626の内部と環境との間に液密シールを提供してもよい。
【0099】
遠隔電力コンソール1612の筺体1614内には、駆動シャフト94および102ならびにステアリングケーブル1634、1635、1636、および1637を駆動し、それによって、電気機械駆動部構成要素1610と、第2の連結部1626に結合された外科用デバイス11とを動作させるように構成される電気機械駆動部要素が配置される。図19に概略的に示される例示的な実施形態では、電力源によってそれぞれ動作される5つの電気モータ96、100、1684、1690、および1696は、遠隔電力コンソール1612内に配置されてもよい。しかしながら、いずれの適切な数のモータが提供されてもよく、モータは、電池電源、線電流、DC電源、電子的に制御されたDC電源等によって動作してもよいことを理解されたい。また、モータは、DC電源に接続され、それが今度は線電流に接続されてモータに対する動作電流を提供してもよいことを理解されたい。
【0100】
図11は、モータの1つの可能な配設を概略的に示している。第1の連結部1622、ひいては可撓性シャフト1620が筺体1614と係合されると、第1のモータ96の出力シャフト1678が第1の連結部1622の第1のコネクタ1644と係合し、それによって、第2の連結部1626の第1の駆動シャフト94および第1のコネクタ1666が駆動される。同様に、第1の連結部1622、ひいては可撓性シャフト1620が筺体1614と係合されると、第2のモータ100の出力シャフト1682が第1の連結部1622の第2のコネクタ1648と係合し、それによって、第2の連結部1626の第2の駆動シャフト102および第2のコネクタ1668が駆動される。第1の連結部1622、ひいては可撓性シャフト1620が筺体1614と係合されると、第3のモータ1684の出力シャフト1686が第1の連結部1622の第3のコネクタ1652と係合し、それによって、第1のプーリ装置1688を介して、第1および第2のステアリングケーブル1634、1635が駆動される。第1の連結部1622、ひいては可撓性シャフト1620が筺体1614と係合されると、第4のモータ1690の出力シャフト1692が第1の連結部1622の第4のコネクタ1656と係合し、それによって、第2のプーリ装置1694を介して、第3および第4のステアリングケーブル1636、1637が駆動される。第3および第4のモータ1684、1690はキャリッジ1100上に固定されてもよく、該キャリッジは、第3および第4のモータ1684、1690をそれぞれのプーリ装置1688および1694と選択的に係合および係脱するように、第5のモータ1696の出力シャフト1698を介して、第1の位置と第2の位置との間で選択的に移動可能であり、それによって、可撓性シャフト1620を必要に応じて緊張させて操作可能に、または弛緩させることができる。他の機械的、電気的および/または電気機械的機構などが、操作機構を選択的に係合および係脱するために使用されてもよいことを理解されたい。モータは、例えば、「A Carriage Assembly for Controlling a Steering Wire Mechanism Within a Flexible Shaft」というタイトルの米国特許出願第09/510,923号に記載されるように配設および構成されてもよく、その全体が、本明細書に参考として明示的に援用される。また、本発明の他の実施形態によると、操作機構はまったく存在しなくてもよく、手術部位内で外科用デバイス11を操作するために、外科用デバイス11が顎部11aとシャフト部11bとの間の関節動作を提供することも理解されたい。
【0101】
モータ96、100、1684、1690、および1696のうちのいずれか1つ以上は、例えば、高速/低トルクモータ、低速/高トルクモータ等であってもよいことを理解されたい。上述したように、第1の回転可能な駆動シャフト94および第2の回転可能な駆動シャフト102は、高速および低トルクを伝達するように構成されてもよい。したがって、第1のモータ96および第2のモータ100は、高速/低トルクモータとして構成されてもよい。あるいは、第1のモータ96および第2のモータ100は、第1のモータ96および第2のモータ100と、第1の回転可能な駆動シャフト94および第2の回転可能な駆動シャフト102のそれぞれの1つとの間に配置された減トルク/増速ギア装置を有する、低速/高トルクモータとして構成されてもよい。そのような減トルク/増速ギア装置は、例えば、平歯車装置、遊星歯車装置、調和歯車装置、サイクロイド駆動装置、エピサイクリック歯車装置等を含んでもよい。いずれのそのようなギア装置も、遠隔電力コンソール1612内または可撓性シャフト1620の近位端(例えば、第1の連結部1622)に配置されてもよいことを理解されたい。そのワインドアップおよび破損を防ぐために、ギア装置(複数可)が、第1の回転可能な駆動シャフト94および/または第2の回転可能な駆動シャフト102の遠位端および/または近位端に提供されてもよいことを理解されたい。
【0102】
次に図12を参照すると、電気機械駆動部構成要素1610の概略図が示される。コントローラ1122は、遠隔電力コンソール1612の筺体1614内に提供され、電気機械駆動部構成要素1610ならびに線形のクランプ、切断およびステープル留めデバイス11または可撓性シャフト1620に結合された他の外科用器具もしくはアタッチメントの、すべての機能および動作を制御するように構成される。記憶装置1130が提供され、ROM構成要素1132、RAM構成要素1134等のメモリデバイスを含んでもよい。ROM構成要素1132は、ライン1136を介して、コントローラ1122と電気的かつ論理的に連通しており、RAM構成要素1134は、ライン1138を介して、コントローラ1122と電気的かつ論理的に連通している。RAM構成要素1134は、例えば、磁気記憶素子、光学記憶素子、光磁気記憶素子、電子記憶素子等のいずれの種類のランダムアクセスメモリを含んでもよい。同様に、ROM構成要素1132は、例えば、PCカードまたはPCMCIAタイプの素子等の着脱可能な記憶素子等の、いずれの種類の読み出し専用メモリを含んでもよい。ROM構成要素1132およびRAM構成要素1134は、単一のユニットまたは別個のユニットとして構成されてもよく、ROM構成要素1132および/またはRAM構成要素1134は、PCカードまたはPCMCIAタイプの素子の形態で設けられてもよいことを理解されたい。
【0103】
コントローラ1122は、ライン1154を介して、筺体1614の前面パネル1615、より具体的には、ディスプレイ装置1616にさらに接続され、ライン1156および1158それぞれを介して、インジケータ1618aおよび1618bにさらに接続されている。ライン1116、1118、1124、1126、および1128は、コントローラ1122を、第1、第2、第3、第4、および第5のモータ96、100、1684、1690、および1696のそれぞれに電気的かつ論理的に接続する。有線の遠隔制御装置(「RCU」)1150は、ライン1152を介して、コントローラ1122に電気的かつ論理的に接続される。無線RCU1148もまた提供され、ライン1144を介して、トランシーバ1140に接続された受信/送信装置1146と、無線リンク1160を介して、通信する。トランシーバ1140は、ライン1142を介して、コントローラ1122に電気的かつ論理的に接続される。無線リンク1160は、例えば、赤外線リンク等の光学リンク、無線リンクまたは他のいずれの形態の無線通信リンクであってもよい。
【0104】
例えば、DIPスイッチのアレイを含んでもよいスイッチデバイス1186は、ライン1188を介して、コントローラ1122に接続されてもよい。スイッチデバイス1186は、例えば、メッセージおよびプロンプトをディスプレイデバイス1616上に表示するのに使用される複数の言語のうちの1つを選択するように構成されてもよい。メッセージおよびプロンプトは、例えば、電気機械駆動部構成要素1610および/またはそれに結合された外科用デバイス11の動作および/または状態に関連してもよい。
【0105】
本発明の例示的な実施形態によれば、第1のエンコーダ1106は、第2の連結部1626内に提供され、第1の駆動シャフト94の回転に応答して、またそれに従って、信号を出力するように構成される。第2のエンコーダ1108もまた、第2の連結部626内に提供され、駆動シャフト102の回転に応答して、またそれに従って、信号を出力するように構成される。エンコーダ1106および1108のそれぞれによって出力される信号は、駆動シャフト94および102それぞれの回転位置、ならびにそれらの回転方向を表すことができる。これらのエンコーダは、例えば、図6(e)に示すように、例えば、LEDおよび光ファイバ等の光源の装置であってもよい。あるいは、そのようなエンコーダ1106、1108は、例えば、ホール効果素子、光学素子等を含んでもよい。エンコーダ1106および1108は、第2の連結部1626内に配置されるものとして記載されているが、エンコーダ1106、1108は、モータシステムと外科用デバイス11の間のいずれの位置に提供されてもよいことを理解されたい。エンコーダ1106、1108を、第2の連結部1626内または可撓性シャフト1620の遠位端に提供することにより、駆動シャフトの回転を正確に決定できるようになることを理解されたい。エンコーダ1106、1108が可撓性シャフト1620の近位端に配置された場合、第1および第2の回転可能な駆動シャフト94、102のワインドアップにより、測定誤差を生じる可能性がある。
【0106】
図13は、ホール効果素子を含むエンコーダ1106、1108の概略図である。駆動シャフト94、102上に、N極1242およびS極1244を有する磁石1240が回転不能に装着されている。エンコーダ1106、1108はさらに、駆動シャフト94、102の長手方向の軸または回転軸に対して約90°離れて配置される第1のセンサ1246および第2のセンサ1248を含む。センサ1246、1248の出力は、持続性であり、センサの検出範囲内における磁界の極性の変化の関数としてその状態が変化する。したがって、エンコーダ1106、1108からの出力信号に基づいて、駆動シャフト94、102の角度位置が4分の1回転内で決定されてもよく、駆動シャフト94、102の回転方向が決定されてもよい。それぞれのエンコーダ1106、1108の出力は、データ転送ケーブル1638の各々のライン1110、1112を介して、コントローラ1122に送信される。コントローラ1122は、エンコーダ1106、1108からの出力信号に基づいて、駆動シャフト94、102の角度位置および回転方向を追跡することにより、電気機械駆動部構成要素1610に接続された外科用デバイスの構成要素の位置および/または状態を決定することができる。すなわち、駆動シャフト94、102の回転数を数えることによって、コントローラ1122は、電気機械駆動部構成要素1610に接続された外科用デバイスの構成要素の位置および/または状態を決定することができる。
【0107】
例えば、第1の顎50の、第2の顎80および楔603に対する前進距離は、それぞれの駆動シャフト94、102の回転の関数であってもよく、また、それらに基づいて確認可能であってもよい。ある時点での第1の顎50および楔603の絶対位置を確認することによって、エンコーダ1106、1108からの出力信号と、ねじ520および楔駆動部605の既知のピッチとに基づく第1の顎50および楔603の相対変位は、その後あらゆる時点での第1の顎50および楔603の絶対位置を確認するために使用されてもよい。第1の顎50および楔603の絶対位置は、外科用デバイス11が可撓性シャフト1620に最初に連結された時点で固定され、確認されてもよい。あるいは、例えば、第2の顎80に対する、第1の顎50および楔603の位置は、エンコーダ1106、1108からの出力信号に基づいて決定されてもよい。
【0108】
図2(b)および10に関連して前述したように、外科用デバイス11は、第2の連結部1626のコネクタ1670に電気的かつ論理的に接続するようにサイズおよび構成によって適合されるデータコネクタ1272を含んでもよい。例示的な実施形態では、データコネクタ1272は、コネクタ1670の接点1672の数と等しい数の接点1276を含む。メモリモジュール6041は、データコネクタ1272と電気的かつ論理的に接続される。メモリモジュール6041は、例えば、EEPROMおよびEPROM等の形態であってもよく、例えば、図3(f)に示すように、外科用デバイス11の第2の顎80内で、交換可能なステープルカートリッジ600のステープルトレー604内に収納されてもよい。
【0109】
図14は、メモリモジュール6041を概略的に示す。図14に見られるように、データコネクタ1272は、例えば、可撓性データケーブル1278等の各々のラインによって、メモリモジュール6041にそれぞれ電気的かつ論理的に接続された接点1276を含む。メモリモジュール6041は、例えば、シリアル番号データ1180、アタッチメントタイプ識別子(ID)データ1182、および使用データ1184を格納するように構成されてもよい。メモリモジュール6041は、付加的に他のデータを格納してもよい。シリアル番号データ1180およびIDデータ1182の両方は、読み出し専用データとして格納されてもよい。シリアル番号データ1180および/またはIDデータ1182は、メモリモジュール6041の読み出し専用部分に格納されてもよい。例示的な実施形態では、シリアル番号データ1180は、特定の外科用デバイスを一意に識別するデータであってもよく、一方、IDデータ1182は、例えば、他のタイプの外科用器具またはアタッチメントを結合することが可能な電気機械駆動部構成要素1610等の、アタッチメントのタイプを認識するデータであってもよい。使用データ1184は、例えば、外科用デバイス11の第1の顎50が開閉された回数、または外科用デバイス11の楔603が前進させられた回数等の、特定のアタッチメントの使用を表す。使用データ1184は、メモリモジュール6041の読取り/書込み部分に格納されてもよい。
【0110】
例えば、外科用デバイス11等の、可撓性シャフト1620の遠位端1624に結合可能なアタッチメントは、単回または複数回使用されるように設計および構成されてもよいことを理解されたい。アタッチメントもまた、所定の回数使用されるように設計および構成されてもよい。したがって、使用データ1184は、外科用デバイス11が使用されたかどうか、および使用回数が許容される最大使用回数を超えたかどうかを決定するために使用されてもよい。後により完全に説明されるように、許容される最大使用回数に達した後でアタッチメントを使用しようとすると、ERROR条件が生成されるであろう。
【0111】
再び図12を参照すると、コントローラ1122は、外科用デバイス11が最初に可撓性シャフト1620に接続されると、外科用デバイス11のメモリモジュール6041からIDデータ1182を読み取るように構成される。メモリモジュール6041は、データ転送ケーブル1638のライン1120を介して、コントローラ1122に電気的かつ論理的に接続される。読み取られたIDデータ1182に基づいて、コントローラ1122は、記憶装置1130から、可撓性シャフト1620に接続された外科用器具またはアタッチメントのタイプに対応する動作プログラムもしくはアルゴリズムを読み取るか、あるいは選択するように構成される。記憶装置1130は、利用可能な各タイプの外科用器具またはアタッチメンの動作プログラムもしくはアルゴリズムを格納するように構成され、コントローラ1122は、結合された外科用器具またはアタッチメントのメモリモジュール6041から読み取ったIDデータ1182に従って、記憶装置1130から動作プログラムまたはアルゴリズムを選択し、かつ/または読み取る。上述したように、記憶装置1130は、着脱可能なROM構成要素1132および/またはRAM構成要素1134を含んでもよい。したがって、記憶装置1130に格納された動作プログラムまたはアルゴリズムは、必要に応じて、更新、追加、消去、改良、そうでなければ修正されてもよい。記憶装置1130に格納された動作プログラムまたはアルゴリズムは、例えば、使用者の特別な必要性に基づいて、カスタマイズ可能であってもよい。例えば、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、タッチスクリーン等のデータ入力デバイスは、動作プログラムまたはアルゴリズムのカスタマイズを容易にするために、例えば、データコネクタポートを介して、記憶装置1130に接続されてもよい。あるいはまたは追加として、動作プログラムまたはアルゴリズムは、電気機械駆動部構成要素1610から遠隔でカスタマイズされ、記憶装置1130に予めプログラムされてもよい。シリアル番号データ1180および/または使用データ1184もまた、複数の動作プログラムまたはアルゴリズムのうちのどれが記憶装置1130から読み取られたか、または選択されたかを決定するために使用されてもよいことを理解されたい。動作プログラムまたはアルゴリズムは、あるいは、外科用デバイス11のメモリモジュール6041に格納され、データ転送ケーブル1638を介して、コントローラ1122に転送されてもよいことを理解されたい。適切な動作プログラムまたはアルゴリズムが、一旦、コントローラ1122によって読み取られるか、または選択されるか、またはそれに送信されると、コントローラ1122は、有線RCU1150および/または無線RCU1148を介して、使用者が行う操作にしたがって、動作プログラムまたはアルゴリズムが実行されるようにする。上述したように、コントローラ1122は、それぞれのライン1116、1118、1124、1126、および1128を介して、第1、第2、第3、第4、および第5のモータ96、100、1684、1690、および1696に電気的かつ論理的に接続されており、それぞれのライン1116、1118、1124、1126、および1128を介して、読み取られた、選択された、または送信された動作プログラムまたはアルゴリズムにしたがって、そのようなモータ96、100、1684、1690、1696を制御するように構成される。
【0112】
次に図15を参照すると、無線RCU1148の概略図が示される。無線RCU1148は、4方向ロッカー(揺り子)1310の下に配設された複数のスイッチ1302、1304、1306、および1308を有するステアリングコントローラ1300を含む。スイッチ1302、1304の動作は、ロッカー1310を介して、第3のモータ1684による第1および第2のステアリングケーブル1634、1635の動作を制御する。同様に、スイッチ1306、1308の動作は、ロッカー1310を介して、第4のモータ1692による第3および第4のステアリングケーブル1636、1637の動作を制御する。ロッカー1310ならびにスイッチ1302、1304、1306、および1308は、スイッチ1302、1304の動作が、可撓性シャフト1620を南北方向に動作し、スイッチ1306、1308の動作が、可撓性シャフト1620を東西方向に操作するように配設されることを理解されたい。本明細書における東西南北とは、相対座標系のことを指す。あるいは、デジタルジョイスティック、アナログジョイスティック等が、ロッカー1310ならびにスイッチ1302、1304、1306、および1308の代わりに提供されてもよい。ポテンショメータまたは他のいずれかの種類のアクチュエータもまた、スイッチ1302、1304、1306、および1308の代わりに使用されてもよい。
【0113】
無線RCU1148は、さらにステアリング係合/係脱スイッチ1312を含み、その動作は、第5のモータ696の動作を制御して、ステアリング機構を選択的に係合/係脱する。無線RCU1148はまた、それによって第1および第2のスイッチ1316、1318を動作可能にさせる2方向ロッカー1314を含む。これらのスイッチ1316、1318の動作は、結合されたデバイスに対応する動作プログラムまたはアルゴリズムに従って、電気機械駆動部構成要素1610、および可撓性シャフト1620に結合された外科用デバイス11等のいずれかの外科用器具またはアタッチメントの特定の機能を制御する。例えば、2方向ロッカー1314の動作は、外科用デバイス11の第1の顎50および第2の顎80の開閉を制御してもよい。無線RCU1148は、さらに別のスイッチ1320を備えてもよく、その動作は、結合されたデバイスに対応する動作プログラムまたはアルゴリズムに従って、電気機械駆動部構成要素1610および可撓性シャフト1620に結合されたデバイスの動作をさらに制御してもよい。例えば、スイッチ1320の動作は、外科用デバイス11の楔603の前進を開始することができる。
【0114】
無線RCU1148は、コントローラ1322を含み、該コントローラは、ライン1324を介して、スイッチ1302、1304、1306、および1308と、ライン1326を介して、スイッチ1316および1318と、ライン1328を介して、スイッチ1312と、そしてライン1330を介して、スイッチ1320と、電気的かつ論理的に接続される。無線RCU1148は、前面パネル1615のインジケータ1618a、1618bに対応するインジケータ1618a’、1618b’と、前面パネル1615のディスプレイデバイス1616に対応するディスプレイデバイス1616’とを含んでもよい。提供される場合は、インジケータ1618a’、1618b’は、それぞれのライン1332、1334を介して、コントローラ1322に電気的かつ論理的に接続され、ディスプレイデバイス1616’は、ライン1336を介して、コントローラ1322に電気的かつ論理的に接続される。コントローラ1322は、ライン1340を介して、トランシーバ1338に電気的かつ論理的に接続され、トランシーバ1338は、ライン1344を介して、送信機/受信機1342に電気的かつ論理的に接続される。例えば、電池等の電源は、無線RCU1148に電力供給するようにその中に提供されてもよい。したがって、無線RCU1148は、無線リンク1160を介して、電気機械駆動部構成要素1610、および可撓性シャフト1620に結合されデバイス11の動作を制御するために使用されてもよい。
【0115】
無線RCU1148は、ライン1348を介して、コントローラ1322に接続されるスイッチ1346を含んでもよい。スイッチ1346の操作により、無線リンク1160を介して、データ信号が送信機/受信機1146に送信される。データ信号は、無線RCU1148を一意に識別する識別データを含む。この識別データは、電気機械駆動部構成要素1610の不正な動作を防ぐため、そして別の無線RCUによる電気機械駆動部構成要素610の動作への干渉を防ぐために、コントローラ1122によって使用される。無線RCU 1148と電気機械駆動部構成要素610との間のその後の各通信は、識別データを含んでもよい。したがって、コントローラ1122は、無線RCU間の区別を行い、それによって、単一の識別可能な無線RCU1148のみが、電気機械駆動部構成要素1610、および可撓性シャフト1620に結合された外科用デバイス11の動作を制御できる。
【0116】
エンコーダ1106、1108からの出力信号にしたがって決定される可撓性シャフト1620に結合された外科用デバイスの構成要素の位置に基づいて、コントローラ1122は、結合されたデバイスに対応する動作プログラムまたはアルゴリズムによって規定されるような電気機械駆動部構成要素1610の機能を、選択的に有効または無効にすることができる。例えば、外科用デバイス11において、スイッチ1320の動作によって制御される発射機能は、第1の顎50と第2の顎80との間の空間または間隙が、許容可能な範囲内であると決定されない限り、無効であってもよい。
【0117】
次に図16を参照すると、有線RCU1150の概略図が示される。例示的な実施形態では、有線RCU1150は、無線RCU1148と実質的に同一である制御要素を含むため、そのような要素のさらなる記載は省略する。同様の要素は、図16において添付のダッシュ(’)を用いて示す。電気機械駆動部構成要素1610、および可撓性シャフト1620に結合されたデバイス(例えば、外科用デバイス11)の機能は、有線RCU1150によっておよび/または無線RCU1148によって制御されてもよいことを理解されたい。例えば、無線RCU1148において電池の故障が起こった場合、有線RCU1150は、電気機械駆動部構成要素1610、および可撓性シャフト1620に結合されたデバイスの機能を制御するために使用されてもよい。
【0118】
本明細書において上述したように、筺体1614の前面パネル1615は、ディスプレイデバイス1616およびインジケータ1618a、1618bを含む。ディスプレイデバイス1616は、LCDディスプレイデバイス等の英数字ディスプレイデバイスを含んでもよい。ディスプレイデバイス1616はまた、スピーカ、ブザー等の音声出力デバイスを含んでもよい。ディスプレイデバイス1616は、例えば、外科用デバイス11等の可撓性シャフト1620に結合されたデバイスに対応する動作プログラムまたはアルゴリズムにしたがって、コントローラ1122によって動作または制御される。外科用器具またはアタッチメントがそのように結合されていない場合は、デフォルト動作プログラムまたはアルゴリズムが、コントローラ1122によって読み取られるか、または選択されるか、またはコントローラ1122に送信され、それによって、ディスプレイデバイス1616の動作ならびに電気機械駆動部構成要素1610の他の側面および機能が制御される。外科用デバイス11が可撓性シャフト1620に結合されている場合は、ディスプレイデバイス1616は、例えば、より完全に前述したように、エンコーダ1106、1108の出力信号にしたがって決定される第1の顎50と第2の顎80との間の間隙を示すデータを表示することができる。
【0119】
同様に、インジケータ1618a、1618bは、例えば、外科用デバイス11等の可撓性シャフト1620に結合されたデバイスに対応する動作プログラムまたはアルゴリズムにしたがって、コントローラ1122によって動作および制御される。インジケータ1618aおよび/またはインジケータ1618bは、スピーカ、ブザーなどの音声出力デバイスおよび/またはLED、ランプ、光等の視覚的インジケータデバイスを含んでもよい。外科用デバイス11が可撓性シャフト1620に結合されている場合は、インジケータ1618aは、例えば、電気機械駆動部構成要素1610の電力がON状態であることを示してもよく、インジケータ618bは、例えば、第1の顎50と第2の顎80との間の間隙が、許容可能な範囲内であるかどうかを示してもよい。2つのインジケータ1618a、1618bが記載されているが、必要に応じて、任意の数の追加のインジケータが提供されてもよいことを理解されたい。また、単一のディスプレイデバイス1616が記載されているが、必要に応じて、任意の数の追加のディスプレイデバイスが提供されてもよいことを理解されたい。
【0120】
有線RCU1150のディスプレイデバイス1616’およびインジケータ1618a’、1618b’と、無線RCU1148のディスプレイデバイス1616”およびインジケータ1618a”、1618b”は、それぞれのコントローラ1322、1322’によって、可撓性シャフト1620に結合されたデバイスの動作プログラムまたはアルゴリズムにしたがって、同様に動作および制御される。
【0121】
上記のように、従来の外科用デバイスの1つの問題は、特に、図1に示すような従来の線形のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスにおいて、患者の体内で対向する顎を操作するのが困難な場合があることである。外科医は、対向する顎の間で所望の組織を位置付けるために、対向する顎を様々な角度で移動させる必要がある場合がある。しかしながら、患者において可能な限り小さな切開を行うこと望ましい場合もがあり、切開の大きさを小さくすることにより、対向する顎を操作できる程度が制限される。本発明の例示的な実施形態は、患者の体内における、例えば、外科用デバイス11等の外科用デバイスの操作性の向上を提供することができる。
【0122】
上記外科用デバイスに関する別の問題は、特に、図1に示すような上記線形のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスにおいて、対向する顎が十分に止血性ではない可能性があることである。特に、上記外科用デバイスの対向する顎が十分な力でクランプされないため、外科用デバイスの効果を減少させる場合がある。本発明の例示的な実施形態は、例えば、外科用デバイス11等の外科用デバイスの顎の間に配置された組織の一部のクランプの向上を提供し、それによって、クランプされた組織の一部に対して十分な止血性条件を提供する。
【0123】
さらに、上述したように、従来の切断およびステープル留めデバイスの1つの問題は、デバイスの操作中に、その機構の対向する顎が、その間にクランプされた組織の一部を十分にクランプできずに、その間にクランプされた組織の一部が顎の遠位端の間から抜け出ることを防ぐことができないことである。これは、図1に示すデバイス等の従来のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスの鋏型の把持要素が、把持要素の近位端における固定旋回点の周囲を互いに旋回することによるものである。したがって、把持要素の間の距離は、把持要素の近位端において常に把持要素の遠位端よりも短いため、把持要素の間に配置される組織の一部にかかるクランプ力は、把持要素の近位端付近で最も高く、遠位端では次第に減少する。把持要素の近位端における相対的に高いクランプ力と把持要素の遠位端における相対的に低いクランプ力とが相まって、組織の一部が把持要素の遠位端に向かって押され、また最終的にはその間から出る原因となる。したがって、組織の一部が十分に切断およびステープル留めされないことがあり、不十分に切断およびステープル留めされた組織の末端から患者の開腹部にその内容物が流入し、感染および他の合併症の可能性が増加するかもしれない。
【0124】
対照的に、図3(i)〜3(l)に関連して前述したように、外科用デバイス11は、外科用デバイス11における第1および第2の顎50、80の遠位端50aと80aとの間のクランプ力が、従来のクランプ、切断、およびステープル留めデバイスの顎の遠位端間のクランプ力よりも高くなるように、第1および第2の顎50、80の遠位端50a、80aが外科用デバイス11の動作中に互いに向き合わせられる装置を提供してもよい。第1および第2の顎50、80の遠位端50a、80aにおけるクランプ力の増加は、第1および第2の顎50と80との間に配置された組織の一部が、第1および第2の顎50、80の遠位端50a、80aから抜け出ることを防いでもよい。
【0125】
本発明の様々な例示的な実施形態はまた、カメラアセンブリ2000を含んでもよい。カメラアセンブリは、シャフト部に連結されてもよく、カメラアセンブリがシャフト部の内部空間内に位置付けられる第1の位置と、カメラアセンブリがシャフト部の半径方向に対向する開口部を通って延在する他の位置との間で移動可能であってもよい。
【0126】
カメラアセンブリ2000の例示的な実施形態を図17〜19に示す。カメラアセンブリは、筺体2028を含んでもよい。筺体2028がシャフト部11bの開口部2012および2013を通過することができるように、筺体2028は、外科用デバイスのシャフト部11bよりも実質的に薄くてもよい。
【0127】
筺体2028は、カメラ2002を収納してもよい。筺体2028はまた、カメラ2002によって観察される領域を照明することができる1つ以上の光源を収納してもよい。図示した例示的な実施形態では、筺体2028は、カメラ2002によって観察される領域を照明することができる2つの光源2001、2003を含む。光源2001、2003は、例えば、1つ以上のLEDであってもよいが、他の光源が使用されてもよい。例えば、光源2001、2003は、カメラアセンブリ2000から遠隔で生成される光を提供することができる光ファイバ要素であってもよい。例示的な実施形態では、カメラ筺体2028は、カメラ2002の左右に位置する2つの光源2001および2003を収納してもよく、これらの光源2001および2003は、LEDであってもよい。
【0128】
筺体2028はまた、少なくとも1本のケーブル2023を含んでもよい。ケーブル2023は、光源2001および2003およびカメラ2002の一端に接続されてもよいが、ケーブル2023はまた、必要に応じて、カメラアセンブリ2000の他の構成要素に接続されてもよい。ケーブル2023の遠端は、電源、制御デバイス、ディスプレイ、もしくはこれらのデバイスのいずれの組み合わせ、または必要に応じて他のいずれのデバイスに接続されてもよい。
【0129】
筺体2028を貫通する、ピン2025を挿入することができる孔が提供されてもよい。ピン2025はまた、支持アーム2011を貫通してもよい。そのようにして、ピン2025は、筺体2028がピン2025の周囲を旋回できるように、筺体2028を支持アーム2011に接続してもよい。筺体2028は、孔に密接して摺動可能に装着される張力要素2027を含んでもよい。筺体2028はまた、バネ2024または他の弾性もしくは偏向要素を含んでもよい。バネ2024は一方の端で、また張力要素2027は他方の端で、バネ2028と接触してもよい。バネ2024は、張力要素2027が自由に移動する方向(例えば、遠位)に力を印加するように配向されてもよい。
【0130】
図17に示すように、開口部2012、2013は、外科用デバイスのシャフト部11bに提供されてもよい。開口部2012、2013は、シャフト部11bに沿って長手方向に配向されてもよい。開口部2012、2013は、シャフト部11bを完全に貫通してもよい。開口部2012および2013はまた、外科用デバイスの顎部11a付近に位置してもよい。
【0131】
一方の端で筺体2028に接続されてもよい支持アーム2011はまた、他方の端で外科用デバイスのシャフト部11bに接続されてもよい。シャフト部11bに接続された支持アーム2011の端部は、開口部2012、2013の内側に位置してもよい。シャフト部11bに接続された支持アーム2011の端部はまた、外科用デバイス11の顎部11aから比較的遠い開口部2012の端部等の、開口部2012の近位部に位置してもよい。支持アーム2011は、外科用デバイス11のシャフト部11bに接続された端部で旋回してもよい。
【0132】
上述したように、カメラアセンブリ2000は支持アーム2011に接続してもよく、また支持アーム2011の周囲を旋回してもよい。図17および18は、様々な位置、すなわち、第1の回転位置(2000と表示)および第2の回転位置(2000aとして破線で表示)にあるカメラアセンブリ2000を示す。また上述したように、支持アーム2011は、例えば、ピン(この図では見えないが)によって外科用デバイス11のシャフト部11bに接続されてもよく、その接続部の周囲を旋回可能であってもよい。各旋回点における回転の軸は平行であってもよい。したがって、カメラアセンブリ2000は、支持アーム2011が旋回するのと同じ平面で回転することが可能で合ってもよい。支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の動作もまた、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000が、外科用デバイスのシャフト部11bを通過してもよいように、また外科用デバイスのシャフト部11bの中に完全に嵌合してもよいように、外科用デバイスのシャフト部11bにおける開口部2012および2013と同じ平面であってもよい。支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の動作によって画定される平面は、顎部11aのシャフト部11bに対する相対的な動作によって確定される平面であってもよい。
【0133】
カメラアセンブリ2000および支持アーム2011の回転は、外科用デバイスの顎部11aの動作に対応して(例えば、リンクして)いてもよい。この場合、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000は、顎部11aが関節動作すると、顎部11aがどこに移動されても顎部11aの撮像を提供する対応する様式で、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000が自動的に移動されるように構成される。
【0134】
支持アーム2011の動作は、外科用デバイス11の顎部11aの動作とリンクする唯一の構成要素であってもよい。追加としてまたはあるいは、カメラアセンブリ2000の動作は、操作者によって独立して制御されてもよい。例えば、支持アーム2011は、外科用デバイス11の顎部11aを移動させると、所定の協調的な様式で自動的に移動してもよい。したがって、顎部11aが関節動作すると、支持アーム2011は、顎部11aの接合に伴って移動される。このように、支持アーム2011の動作は、カメラアセンブリ2000が外科用デバイスの顎部11aに対して持続的に配向されることを確実にすることができる。同時に、カメラアセンブリ2000の回転自体は、観察される領域をより精密に制御するために、操作者によって制御されてもよい。
【0135】
カメラアセンブリ2000は、上記の自動的な様式で最初に配置された後に、操作者によって移動可能であってもよい。例えば、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000は、外科用デバイスの顎部11aが関節動作すると、協調的な態様で自動的に移動されてもよい。また、外科用デバイスの顎部11aが一旦、所望の位置に関節動作すると、操作者は、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の両方を自由に制御することができる。このように、カメラ2002は、たとえ顎部11aが移動されても、外科用デバイスの顎部11aに対して配向され、顎部11aが一旦、所望の位置に関節動作すると、操作者は、カメラアセンブリ2000の位置付けを完全に制御することが可能であり、また、必要に応じて、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000を回転させることができる、ということが、提供されてもよい。
【0136】
支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の両方の回転は、操作者によって完全に制御されてもよい。このように、操作者は、顎部11aの位置に関係なく、カメラ2002をいずれの所望の位置にも位置付けることができる。これによって、例えば、たとえ顎部11aが使用中であっても、彼女または彼が独自に選択する手術領域に焦点を合わせる能力を操作者に提供するかもしれない。
【0137】
シャフト部11bに対する支持アーム2011の回転は、カメラアセンブリ2000を顎部11aの全体的な方向に位置付けることができる。次いで、支持アーム2011に対するカメラアセンブリ2000の回転は、カメラ2002の視野を、外科用デバイスの顎部11aに沿った異なる位置に方向付けるために使用されてもよい。このように、カメラ2002は、顎部11aを全体として撮像するだけではなく、現在使用中の顎部11aの特定部分も撮像するように作製されてもよい。
【0138】
カメラ2002自体が、操作者によって制御されてもよい。例えば、操作者は、カメラ2002のフォーカスおよびズーム等、カメラ2002の撮像特性を制御することができる。操作者はまた、光源2001、2003を制御することもできる。例えば、操作者は、光源2001、2003の明るさを調節することができる。別の実施例として、操作者は、光源2001、2003のスペクトルを調節できるかもしれない。カメラ2002および光源2001、2003の制御は、カメラアセンブリ2000に接続されたケーブル2023の使用を介して、達成されてもよい。
【0139】
カメラ2002および光源2001、2003は、自動的に制御されてもよい。例えば、従来技術を使用して、フォーカスが自動的に調節されてもよい。また、カメラ2002のフォーカスは、カメラ2002および顎部11aの物理的な位置に基づいて自動的に調節されてもよい。
【0140】
操作中、カメラアセンブリ2000は、最初にシャフト部11bの開口部2012および2013の中に完全に位置していてもよい。この位置では、カメラアセンブリ2000の側面が、シャフト部11bの側面と同一面上にあってもよい。この最初の位置では、カメラアセンブリ2000がシャフト部11b内に完全に後退している、例えば、カメラアセンブリ2000の一部がシャフト部11bの外周を越えて突出していない状態で、外科用デバイスが手術部位に挿入されてもよい。
【0141】
一旦、外科用デバイスが手術部位で定位置に置かれると、カメラアセンブリ2000を関節動作させ、外科用デバイスのシャフト部11bの開口部2012および2013から選択された1つの外側に移動させてもよい。外科用デバイスの顎部11aがシャフト部11bに対して旋回すると、カメラ2002は顎部11aおよび外科的手技において顎部11aが用いられる領域に対して配向されたままとなるように、カメラアセンブリ2000もまた旋回されてもよい。上で説明したように、顎部11aがシャフト部11bに対して旋回させられると、カメラアセンブリ2000もまた旋回させられ、顎部11aをカメラ2002の視野内に保持するように、旋回が自動的に達成されてもよい。旋回はまた、手動制御を介して、全体的または部分的に達成されてもよい。
【0142】
支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の回転は、様々な装置によって成し遂げられてもよい。例えば、支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の動作は、1つ以上の回転可能な駆動シャフトによって制御されてもよい。駆動シャフトは、外科用デバイスの他の動作を制御するために使用されるものであってもよく、および/または駆動シャフト支持アーム2011とカメラアセンブリ2000とを個別に制御してもよい。支持アーム2011およびカメラアセンブリ2000の動作を駆動するために、外科用デバイスの中にモータが提供されてもよい。
【0143】
一旦、外科用デバイスが手術領域に挿入されると、その手術領域を照明するために光源2001、2003が有効にされてもよい。カメラ2002もまた有効にされてもよいが、カメラ2002と光源2001、2003とは、手術領域に最初に挿入された時は、交互に有効であってもよい。一旦、有効にされると、カメラ2002は、外科的手技を行っている操作者に視覚的な情報を提供する。撮像情報は、カメラ2002からケーブル2023を介して、操作者に転送されてもよい。撮像情報は、アナログまたはデジタルのいずれの形式であってもよい。情報は、外科用デバイスの操作者が手術部位をリアルタイムで観察するように、ディスプレイ画面に手術領域の画像を表示するために使用されてもよい。
【0144】
このように、外科用デバイス以外の別個の撮像システムの必要性を排除することが可能である。したがって、本外科用デバイスを使用して行われる手技は、外科用デバイスと撮像システムとの両方を使用して行われる手技と比較して、より侵襲性が低い可能性があるかもしれない。また、カメラアセンブリ2000が、外科用デバイスの顎部11aに対して自動的または協調的な様式で旋回してもよいため、カメラ2002を常に最適に方向付けることができる。カメラ2002を顎部11aの位置に対して自動的に配向することができるため、本デバイスの操作者は、手術領域に撮像システムの焦点を保持するために別個の撮像システムを操作する必要性を回避することができる。したがって、本外科用デバイスの操作者は、別個の撮像システムを調製する必要性によって注意散漫となる可能性が低いため、従来のデバイスを用いてそのような外科的手技を行うことと比較して、外科的手技の安全性がさらに向上させられる。また、別個の撮像デバイスを方向付けるのに必要な時間が排除されるため、従来のデバイスを用いてそのような外科的手技を行うことと比較して、より短時間で手技を完了することができる。
【0145】
当業者は、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、本明細書にこれまで記載した例示的な実施形態の多数の修正が行われてもよいことを理解するであろう。本明細書では、本発明の例示的な実施形態を詳細に説明および開示してきたが、決してそれらによって本発明が限定されるものではないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用デバイスであって、
顎部と、
該顎部に旋回可能に連結されるシャフト部であって、該シャフト部は、該シャフト部の側面に少なくとも1つの開口部を有する内部空間を画定する、シャフト部と、
該シャフト部に連結されるカメラアセンブリであって、該カメラアセンブリが該シャフト部の該内部空間内に位置付けられる第1の位置と、該カメラアセンブリが該シャフト部の該少なくとも1つの開口部を通って延在する第2の位置との間で、移動可能である、カメラアセンブリと
を備える、外科用デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの開口部は、前記シャフト部のそれぞれの半径方向に対向する側面に第1および第2の開口部を含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
前記カメラアセンブリは、前記シャフト部の前記第1および第2の半径方向に対向する開口部のそれぞれ1つを通って延在するよう、移動可能である、請求項2に記載の外科用デバイス。
【請求項4】
前記カメラアセンブリは、少なくとも1つのカメラと、少なくとも1つの光源とを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記顎部は、第1の長手方向の軸を画定し、前記シャフト部は、第2の長手方向の軸を画定し、該顎部は、該第1および第2の長手方向の軸に垂直な第1の旋回軸の周囲で、該シャフト部に対して旋回可能である、請求項3に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記カメラアセンブリは、前記第1の旋回軸に平行な第2の旋回軸の周囲で、前記シャフト部に旋回可能に連結される、請求項5に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記顎部は、前記シャフト部の横方向に対向する側面のうちのいずれか1つに対して関節動作可能である、請求項5に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記カメラアセンブリは、前記顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、移動可能である、請求項7に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
前記シャフト部は、前記カメラアセンブリを、前記顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、該シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って自動的に延在させるように動作する、駆動機構を含む、請求項8に記載の外科用デバイス。
【請求項10】
単一の駆動機構は、前記カメラアセンブリを、前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って自動的に延在させ、前記顎部を該シャフト部に対して関節動作させるように適合される、請求項9に記載の外科用デバイス。
【請求項11】
前記カメラアセンブリは、前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、操作者によって少なくとも部分的に手動で移動可能である、請求項8に記載の外科用デバイス。
【請求項12】
前記カメラアセンブリは、カメラ筐体および支持アームを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項13】
前記支持アームは、第1の位置で前記シャフト部に、第2の位置で前記カメラ筐体に連結される、請求項12に記載の外科用デバイス。
【請求項14】
前記支持アームは、前記顎部が前記シャフト部に対して旋回可能である軸に対して、平行な旋回軸の周囲で、該シャフト部に対して旋回可能である、請求項13に記載の外科用デバイス。
【請求項15】
前記カメラ筐体は、前記顎部が前記シャフト部に対して旋回可能である軸に対して、平行な旋回軸の周囲で、前記支持アームに対して旋回可能である、請求項13に記載の外科用デバイス。
【請求項16】
前記カメラアセンブリは、カメラと、2つの光源とを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項17】
前記2つの光源の各々は、前記カメラのそれぞれの側面に位置する、請求項16に記載の外科用デバイス。
【請求項18】
顎部と、該顎部に旋回可能に連結されるシャフト部と、該シャフト部に連結されるカメラアセンブリとを含む、外科用デバイスを操作する方法であって、該シャフト部は、該シャフト部の側面に少なくとも1つの開口部を有する内部空間を画定し、
該カメラアセンブリが該シャフト部の該内部空間内に位置付けられる第1の位置にある該カメラアセンブリを伴って、該外科用デバイスを手術部位に挿入することと、
該カメラアセンブリが該シャフト部の該開口部を通って延在する第2の位置に、該カメラアセンブリを移動させることと
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記少なくとも1つの開口部は、前記シャフト部のそれぞれの半径方向に対向する側面の第1および第2の開口部を含み、該方法はさらに、該シャフト部の前記第1および第2の半径方向に対向する開口部のそれぞれ1つを通って延在するよう、前記カメラアセンブリを移動させることを含む、方法。
【請求項20】
前記シャフト部の前記第1および第2の半径方向に対向する開口部のそれぞれ1つを通って延在するよう、前記カメラアセンブリを移動させる際に、前記顎部に向かって配向されるよう、該カメラアセンブリを旋回させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記カメラアセンブリは、少なくとも1つのカメラと、少なくとも1つの光源とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、前記顎部は第1の長手方向の軸を画定し、前記シャフト部は第2の長手方向の軸を画定し、該方法はさらに、該第1および第2の長手方向の軸に垂直な第1の旋回軸の周囲で、該顎部を該シャフト部に対して旋回させるステップを含む、方法。
【請求項23】
前記第1の旋回軸に平行な第2の旋回軸の周囲で、前記シャフト部に連結された前記カメラアセンブリを旋回させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記シャフト部の横方向に対向する側面のうちのいずれか1つに対して前記顎部を関節動作させることをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、前記カメラアセンブリを移動させることをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記顎部が関節動作される側面と同じ側面上に位置する、前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って前記カメラアセンブリを自動的に延在させるように、該シャフト部の駆動機構を操作することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記操作するステップは、前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って前記カメラアセンブリを自動的に延在させ、前記顎部を該シャフト部に対して関節動作させるために、単一の駆動機構を採用することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記シャフト部の前記第1および第2の開口部のうちのそれぞれ1つを通って延在するよう、前記カメラアセンブリを少なくとも部分的に手動で移動させることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記カメラアセンブリは、カメラ筐体と、支持アームとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
前記支持アームを、第1の位置で前記シャフト部に連結させ、第2の位置で前記カメラハウジングに連結させることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記顎部が前記シャフト部に対して旋回可能である軸に対して、平行な旋回軸の周囲で、前記支持アームを該シャフト部に対して旋回させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記顎部が前記シャフト部に対して旋回可能である軸に対して、平行な旋回軸の周囲で、前記カメラ筐体を前記支持アームに対して旋回させることをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記カメラアセンブリは、カメラと、2つの光源とを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項34】
前記2つの光源の各々1つを前記カメラのそれぞれの側面に配置することをさらに含む、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図3h】
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【図3i】
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【図3j】
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【図3k】
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【図3l】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−509715(P2011−509715A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542408(P2010−542408)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/030759
【国際公開番号】WO2009/089539
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】