説明

外科用ハンドピース及びこの外科用ハンドピースに取り付けられ駆動され、かつ動力駆動外科用器具とともに使用する切除アクセサリ

【課題】本発明は、切除アクセサリをハンドピースに取り付けた際に、このハンドピースは、切除アクセサリを広範囲の速度で駆動することを目的としている。
【解決手段】ハンドピース及びハンドピースに取外し可能に固定される切除アクセサリを備えた外科用器具システム。ハンドピースは二つの駆動ヘッドを備えたギア列アセンブリを有する。ギア列アセンブリは夫々異なった回転速度で駆動ヘッドを回転する。切除アクセサリに二つの駆動ハブの一つが設けられる。切除アクセサリに第1駆動ハブが設けられる場合には、駆動ハブは二つの駆動ヘッドのうちの第1駆動ヘッドと嵌合し、第1駆動ヘッドの回転速度で回転する。切除アクセサリに第2駆動ハブが設けられる場合には、駆動ハブは二つの駆動ヘッドのうちの第2駆動ヘッドと嵌合し、第2駆動ヘッドの回転速度で回転する。よって、切除アクセサリが駆動する速度は結合する駆動ヘッドにより定まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この願書においては、2002年7月13日に出願した米国特許出願第60/395,881号により優先権を主張する。
【0002】
本発明は、外科用器具システムに関するものである。より具体的には、本発明はハンドピースを備えた外科用器具システムに関するものであって、切除アクセサリをハンドピースに取り付けた際に、このハンドピースは、切除アクセサリを広範囲の速度で駆動するとともに、切除アクセサリに洗浄水を供給するものである。
【背景技術】
【0003】
種々の外科的治療の目的は、手術部位の組織を取り除くことおよび/または取り除くべく成形することにある。鼻や副鼻腔および/または喉の手術は、かかる組織の切除を伴うことが多い。例えば、鼻の手術においては、罹患した膜および/または骨壁および/または空胴裏層と呼ばれることもある奇形空胴組織や空洞層の骨物質を取り除くことが伴う。整形外科においては、骨格系の連絡部を形成する軟組織や骨の整形が伴う。
【0004】
このような外科手術を容易にするために、これまでいくつもの外科用器具が開発されてきた。例えば、出願譲受人は、特に鼻や鼻空洞部や喉の手術に適するHUMMER(商標)という外科用器具を製造している。この外科用器具には、電動駆動のモータを備えたハンドピースが含まれている。ハンドピースに取り付ける切除アクセサリが種々設計されている。それぞれの切除アクセサリは、通常、固定した管状ハウジング内に、中空の回転運動あるいは往復運動軸を備えている。洗浄溶液は、運動軸と相補形ハウジングとの間の環状空間を経て、切除アクセサリの遠方端、すなわち手術部位に施される端から流出する。それからこの液体は、吸引により回転軸または往復運軸を通じて手術部位から吸い取られる。この液体は、患者から破片を取り除き洗浄する運搬媒体として機能する。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5、689、159号公報
【特許文献2】米国特許第6、017、354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の外科用器具でも有用であることが証明されているが、その使用に関しては幾分限界がある。例えば、種々の手術用ハンドピースや相補形取付具には、取り付けた切除アクセサリから吸引がなされる管路が設けられている。このハンドピースや切除アクセサリは、切除アクセサリをハンドピースに取り付けると、切除アクセサリの吸引経路とハンドピースの吸引経路との間に流体連絡路が形成されるように、集合的に構成される。
【0007】
しかし、現在までのところ、切除アクセサリをハンドピースに取り付けた場合に洗浄液が切除アクセサリに供給される流体経路を確立した外科用器具システムの実現は困難であったことが証明されている。商品化された外科用器具システムにおいては、この流体経路を形成するためには、医療作業員はハンドピースの小さく柔軟性のある洗浄液供給ラインを切除アクセサリに一体化した入口に手動で接続しなければならない。医療作業員がこの作業を行うとともにハンドピースから切除アクセサリを取り外すときにはこの洗浄液供給ラインを取り外す必要があるので、切除アクセサリの取外し、取替え、変更する時間が長くなってしまう。
【0008】
相補形の洗浄液出力ポートを備えたハンドピースを含む外科用器具システムが存在した。このシステムにおいては、要望の流体連絡経路を構成するためには、相補形の切除アクセサリをハンドピースに正確に配置しなければならないようになっている。したがって、新たなアクセサリをハンドピースに挿入した場合、これら二つの構成部品が適切に配置されるように神経を使わなければならない。また、医療作業員がこのステップを行う必要があるので、新たなアクセサリをハンドピースに取り付ける場合に作業時間が長くなってしまう。
【0009】
さらに、従来の外科用器具システムにおいて、切除アクセサリを正確にハンドピースに配置する必要があるということは、切除アクセサリに一体化した切除要素を、ハンドピースを基準にした所定の一定の方向に配置しなければならないということを意味する。よって、このシステムにおいては、切除要素が、外科医にとって外科的手術をやりやすい方向になるように、あるいはやりやすい方向になる可能性があるように、外科医は切除アクセサリを配置することができない。
【0010】
さらに、他のモータと同様、外科用器具システムのハンドピースに一体化したモータは、単に所定の作動範囲において作動するのみである。ハンドピースに一体化したモータは、限定された回転速度範囲内で作動する。これは、特にハンドピースがブラシ不要のセンサーなしのモータを備えている場合に特にあてはまる。これらのモータは、モータが発信するEMF信号がその制御に使用されるため、ロータ位置を示すセンサを設けた類似のモータよりも狭い回転速度範囲となる。
【0011】
このハンドピース速度範囲が限定されているということは、ハンドピースに取り付けたアクセサリは所定の比較的限定された範囲でのみ駆動するということを意味する。これは、切除アクセサリ、例えば喉頭部カッタが実用的な低速で駆動しないことを意味する。同様に、別の切除アクセサリ、例えばバーが好ましいとされる高速で駆動しないことになる。
【0012】
かかる問題の一解決方法としては、外科医が二つの異なったハンドピース、すなわち、一方は低速モータを備えたハンドピース、他方は高速モータを備えたハンドピースを使用することである。この問題の別の解決方法は、ハンドピースと切除アクセサリとの間に中間取付具を設けることである。通常、この中間取付具は、ハンドピースと高速モータとを連結するものである。この中間取付具内には、取り付けたアクセサリが駆動する出力速度を減速するギアアセンブリが設けられている。この両解決方法の不利な点は、追加ハンドピースあるいは手術室の付属取付具といった追加部品が必要なことにある。さらに、このシステムの追加部品を使用する医療作業員は、切除アクセサリが要望の速度で作動させるために切除アクセサリが適切なハンドピースまたは中間取付具に取り付けられたかどうかを確実にするための時間をとられることになる。確実に結合したかを確認する時間が生じるため、切除アクセサリを要望の外科的処置を行うための時間が延長されてしまう。
【0013】
この発明は、新しい有用な外科用器具システムに関するものである。この発明の外科用器具システムは、相補形の切除アクセサリが取り外し可能に取り付けられるハンドピースが含まれる。このハンドピースには切除アクセサリを駆動するモータを備えている。ギア列がモータに取り付けて設けられている。ギア列には、それぞれ異なった速度で回転する複数の回転出力ヘッドが設けられている。各切除アクセサリには、それぞれ特定のひとつの出力軸に連結する寸法となった駆動ハブが設けられている。したがって、切除アクセサリの駆動ハブを特定の相補形の出力軸に連結させると、切除アクセサリが適切な速度で回転することになる。
【0014】
この発明のハンドピース内には、洗浄液が供給される管路が設けられている。この管路は放出ポートへ開放している。本システムの切除アクセサリには、洗浄液を受け入れる相補形の外周管路が設けられている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、切除アクセサリを駆動する外科用ハンドピースであって、本体を設け、前記本体に回転出力軸を有するモータを設け、前記本体には第1駆動ヘッドを回転可能に設け、この第1駆動ヘッドは前記出力軸の回転とともに回転するように前記モータ出力軸に連通して設け、この第1駆動ヘッドには、切除アクセサリ駆動ハブが前記第1駆動ヘッドとともに回転するように前記駆動ハブを受け入れる結合部材を設け、前記本体には第2駆動ヘッドを回転可能に設け、この第2駆動ヘッドには、前記駆動ハブが前記第2駆動ヘッドとともに回転するように前記駆動ハブを受け入れる結合部材を設け、前記第2駆動ヘッドと前記モータ出力軸とを連通する第1ギアアセンブリを設け、この第1ギアアセンブリは、前記モータ出力軸の駆動時に前記第2駆動ヘッドを駆動するとともに前記第1駆動ヘッドの回転速度とは異なる回転速度で前記第2駆動ヘッドを駆動することを特徴とする。
【0016】
また、外科用ハンドピースに取り付ける切除アクセサリであって、前記切除アクセサリにおいては、近傍端と遠方端とを有する細長い部材であって経路を備えた前記細長い部材と、この細長い部材の近傍端に固定する外側ハブとを設け、前記外側ハブにおいては、外面と、前記細長い部材の近傍端がここから前方に延長する軸方向ボアと、ハンドピースの相補形ロック部材を受け入れる前記外面に形成された一つ以上の表面部材と、前記外面周囲に形成された第1溝と、前記溝の底面から内側径方向に前記軸方向ボアまで延長する補助ボアとを設けるように成形され、また前記切除アクセサリにおいては、それぞれ離間して外側ハブ溝の区画分離面付近に配置して外側ハブ周囲を延長するとともにハンドピース壁に当接する寸法となった第1封止および第2封止を設けたことを特徴とする。
【0017】
更に、切除アクセサリを駆動する外科用ハンドピースであって、前記ハンドピースにおいては、遠方端と近傍端とを有する本体を設け、この本体においては、切除アクセサリを受け入れる遠方端付近の第1ボアであって前記ハンドピースの内壁により構成される前記第1ボアと、前記ハンドピースの近傍端から延長して前記ハンドピースの内壁に開口する供給ボアと、前記第1ボアから近傍端に延長する吸引ボアとを有するように成形され、また前記ハンドピースにおいては、前記本体に取り付けて前記切除アクセサリを取り外し可能に前記本体に保持する結合アセンブリを設け、前記切除アクセサリを駆動すべく前記切除アクセサリの取付に適合させた動力発生ユニットを前記本体に設け、前記本体の供給ボアと流体連絡しており流体供給ラインに連結するよう構成されている入口取付部を前記本体の近傍端付近に取り付けて設け、前記ボアの吸引ボアと流体連絡しており流体ラインに連結するよう構成されている吸引取付部を前記本体の近傍端に取り付けて設けたことを特徴とする。
【0018】
更にまた、切除アクセサリ(24)を駆動する外科用ハンドピース(22)であって、前記切除アクセサリにおいては、複数の離間した歯(346)を有する外側ハブ(344)を設け、この歯間にはスロット(348)を構成して設け、前記スロットは長手方向部位と幅方向部位を有しており、前記外側ハブとは別個の駆動ハブ(390、418)を設け、前記ハンドピースにおいては、遠方端が開口した本体(40)を設け、前記本体内に配置する動力発生ユニット(26)を設け、結合アセンブリを設け、前記切除アクセサリの外側ハブを前記本体に取り外し可能に保持するロックアセンブリ(44)を設け、前記ロックアセンブリにおいては、開口端を有するスリーブ(202)を前記本体の遠方端に設け、このスリーブは切除アクセサリの外側ハブおよび内側ハブを受け入れるボア(204)を有すべく設け、このスリーブに相対的に固定されるとともにスリーブのボア内に延長して外側ハブのスロットの一つの長手方向部位に着座する回転防止ピン(220)を設け、前記スリーブに装着されるとともに前記スリーブの部位周囲をアーチ状に移動できる取り外しピン(230)を設け、この取り外しピンは、スリーブボア内に延長して前記外側ハブのスロットの一つに着座する部位を有すべく設け、前記本体を通り延長する前記取り外しピンに装着する制御部材を設け、この制御部材は、前記取り外しピンが着座する外側ハブのスロットの長手方向部位に前記取り外しピンを手動で配置できるように前記取り外しピンの位置を設定するために、手動で相対的に移動可能に設け、 切除アクセサリの外側ハブを前記スリーブ内に挿入した場合に前記回転防止ピンが外側ハブスロットの一つである第1スロットの長手方向部位に着座するとともに前記取り外しピンが外側ハブスロットの一つである第2スロットの幅方向部位に着座するように前記取り外しピンを前記スリーブを基準としたアーチ状の位置に保持するために前記本体と前記取り外しピン間を延長する付勢部材(238)を設け、この付勢部材は、前記制御部材を手動的に作動させることによりまたは外側ハブの歯の一つを取り外しピンに当接することにより前記付勢部材が付勢する力に打ち勝つように構成して設けたことを特徴とする。
【0019】
また、動力駆動外科用器具とともに使用する切除アクセサリ(24)であって、前記切除アクセサリは、対面した近傍端および遠方端を有しており、ボア(370)を備えた外側ハブ(344)を設け、前記外側ハブのボアから遠方側前方に延長する外側ハウジング(340)を設け、前記外側ハブの近傍端付近に位置する駆動ハブ(390、418)を設け、この駆動ハブは、前記駆動ハブを駆動する動力駆動外科用器具内の相補形の結合アセンブリと係合する面要素(410、412)を有するように形成して設け、前記駆動ハブから前記外側ハブを通り前記外側ハウジング内へと前方に延長する回転軸(380)を設け、外側ハブはその外面周囲に複数の離間した歯(346)を有するように形成して設け、この歯はそれぞれ離間して歯間にロックスロット(348)を形成して設け、このロックスロットのそれぞれは、前記ハブの近傍端側で開口した長手方向部位と前記ハブの近傍端より遠方側の前記長手方向部位から延長する幅方向部位とを有しており、さらにそれぞれの歯はV字形状面(350)を有するように形成して設け、それぞれの前記歯の対向面は前記ロックスロットの一つ側へ開口して設けたことを特徴とする。
【0020】
更に、切除アクセサリ(24)を駆動する動力駆動外科用ハンドピース(20)であって、前記切除アクセサリは、管状の回転軸(380)がそこから延長する駆動ハブ(390、418)を備えており、この駆動ハブは、回転軸と流体連絡するボアを設け、このハンドピースにおいては、本体(40)を設け、この本体にはモータ(26)を設け、前記駆動ハブと前記モータとを取り外し可能に結合する結合アセンブリ(42)を設け、このモータにおいては、磁界コイルアセンブリ(62)を設け、近傍端と遠方端とを有する管状の軸(66)を前記磁界コイルアセンブリ内に回転可能に配置して設け、前記軸には複数のマグネット(68)を設け、また前記結合アセンブリにおいては、その遠方端が前記モータ軸の遠方端の前側に位置しているとともにその近傍端が前記モータ軸の近傍端の後方に位置しているモータ管(124)を前記モータ軸内に設け、前記モータ管の遠方端に取り付けるヘッドを設け、このヘッドには前記切除アクセサリの駆動ハブの面要素と取り外し可能に係合する面要素を設け、また前記ハンドピースにおいては、前記本体内に配置するとともに前記モータ軸の回転運動を前記モータ管に伝達するために前記モータ軸と前記結合アセンブリのモータ管とを結合するギア列(42)を設け、前記モータ管の近傍端を受け入れ前記モータ管と吸引取付部(43)とを連結する前記ハウジングに配置する後部部材(278)を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上詳細に説明した如くこの本発明によれば、切除アクセサリをハンドピースに取り付けた際に、このハンドピースは、切除アクセサリを広範囲の速度で駆動することができるとともに、切除アクセサリに洗浄水を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
上述の如く発明したことにより、ハンドピース及びハンドピースに取り外し可能に固定される切除アクセサリを備えた外科用器具システムにおいて、ハンドピースは二つの駆動ヘッドを備えたギア列アセンブリを有し、ギア列アセンブリは夫々異なった回転速度で駆動ヘッドを回転する。
切除アクセサリに二つの駆動ハブの一つが設けられる。
切除アクセサリに第1駆動ハブが設けられる場合には、駆動ハブは二つの駆動ヘッドのうちの第1駆動ヘッドと嵌合し、第1駆動ヘッドの回転速度で回転する。
切除アクセサリに第2駆動ハブが設けられる場合には、駆動ハブは二つの駆動ヘッドのうちの第2駆動ヘッドと嵌合し、第2駆動ヘッドの回転速度で回転する。
よって、切除アクセサリが駆動する速度は結合する駆動ヘッドにより定まる。
【実施例】
【0023】
以下図面に基づいてこの発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
図1、図2、図2Aは、本発明の外科用器具システム20を示すものである。外科用器具システム20は、切除アクセサリ24が取り外し可能に取り付けられるハンドピース22を備えている。ハンドピース22内には、切除アクセサリ24を駆動するモータ26が設けられている。モータ26の駆動力は、外部の制御卓28から供給される。かかる制御卓やその回路構成は、出願譲受人の1997年11月18日に付与された米国特許第5、689、159号(SURGICAL TOOL SYSTEM WITH BRUSHLESS、SENSORLESS MOTOR)および2000年1月25日に付与された米国特許第6、017、354号(INTEGRATED SYSTEM FOR POWERED SURGICAL TOOLS)に開示されており、かかる開示をもって本発明の開示にかえるものとする。ハンドピース22は、ハンドピースの近傍端から延長する通電ケーブル30を通じて制御卓28に連結している。(本願において、「近傍」とは、ハンドピース22を保持する外科医側であり、「遠方」とは、外科医から切除アクセサリ24が施される手術部位側に離れる方向である。)
【0025】
ポンプ32は制御卓28に連通している。ポンプ32は洗浄液を容器33から供給ライン34を通じてハンドピースに供給する。以下説明するように、この洗浄液はハンドピースを通り切除アクセサリ24に流れる。ハンドピース22は、吸引ライン38を通じて吸引ポンプ36に連結している。切除アクセサリ24の遠方端にはハウジング窓342、回転軸窓382が設けられている(図17)。吸引ポンプ36が駆動すると、ハウジング窓342、回転軸窓382から切除アクセサリ24およびハンドピース22を通じて収集容器37にまで吸引される。収集容器37は、二つの吸引ライン38間に位置する。吸引ポンプ36により外科用器具システム20を通じて吸引された物質は、収集容器37に吐出される。このようなサブアセンブリにより、手術部位に現れた洗浄液や破片が、手術部位から外科用器具システム20を通じて吸引される。
【0026】
ハンドピース22は、図2、図2A、図2B、図3に示されているが、ハンドピースの別の構成部品が取り付けられる細長いハンドピース本体40を備えている。ハンドピース本体40は、長手方向に延長したメインボア41を有するように構成されている。このメインボア41には、ハンドピース22内に取り付けられる部品が位置することになる。後部キャップ39は、メインボア41を有するハンドピース本体40の近傍端を覆う。メインボア41の遠方端(正面端)は開口しており、切除アクセサリ24の近傍端を受け入れる。
【0027】
モータ26はメインボア41内に配置される部品の一つである。ギア列42は、メインボア41内のモータ26の前側に位置する。ギア列42は、一組のギアおよび二つの出力ヘッドを備えている。ギアは、モータの出力軸によって発生した回転モーメントを減速すなわちステップダウンする。具体的には、ギア列は、特定のモータ軸の出力速度に対する比率で各出力ヘッドを回転する。取り付けた切除アクセサリ24には、二つの駆動ハブのうちの一つが設けられる。それぞれの駆動ハブは、ギア列42の特定の出力軸の一つが係合する寸法となっている。よって、ハンドピースが切除アクセサリ24を駆動する速度は、どの出力ヘッドが切除アクセサリと係合するかで定まる。
【0028】
モータ26およびギア列42は、それぞれ管状となっている。よって、これらのアセンブリには、集合的にハンドピース22を通り軸方向に延長する経路を構成する部品が設けられる。この経路は、ハンドピース22の後ろ、すなわち近傍端に設けた吸引取付部43を通じて吸引ライン38に連絡している。この経路は、切除アクセサリ24およびハンドピース22を通じた吸引経路として機能する。
【0029】
ロックアセンブリ44は、ギア列42の前側のメインボア41内に設けられている。ロックアセンブリ44は、メインボア41内で切除アクセサリ24の近傍端を取り外し可能に保持する。
【0030】
ハンドピース本体40は図2Aおよび図2Bが最も良く示されているが、メインボア41の上方には、長手方向に延長する流体供給ボア46が形成されている。ハンドピース本体40においては、流体供給ボア46は本体の長手方向軸から偏倚するように設けられている。流体供給ボア46は、ハンドピース本体40の近傍端から遠方端側に延長している。流体供給ボア46は、ハンドピース本体40を完全には延長するものではなく、ハンドピース22の遠方端に至る前に終結している。小さな吐出ボア48は、流体供給ボア46の遠方端からメインボア41内へ、斜めに延長している。後部キャップ39から延長する入口取付部50は、外部供給ライン34から流体供給ボア46への流体連絡通路を確立する部材として機能する。
【0031】
バルブ52は、モータ26のすぐ後ろ側でメインボア41内に回転可能に取り付けられている。バルブ52は、モータ26およびギア列42を通り延長する流体経路を流れる流体を調整するよう選択的に配置される。バルブ52の位置に応じて、この吸引経路は、吸引取付部43に連結するか、あるいは入口取付部50に連結する。バルブ52の制御は、ハンドピース22の遠方前端に摺動可能に取り付けられるボタン54により制御される。連結ロッド56はボタン54とバルブ52とを連結する。連結ロッド56は、ハンドピース本体40内に形成されたメインボア41の上側で平行して延長するボア58内に配置される。
【0032】
ここで、ブラシなしでセンサなしのモータ26につき、図4A、図4Bに基づき詳細に説明する。モータ26は、メインボア41に嵌入される略管形状で両端が開口しているモータハウジング59を備えている。さらにモータハウジング59は、ハウジングの前端外周囲で延長する内向きのリップ60を有するように形成されている。磁界コイルアセンブリ62およびロータアセンブリ64は、ハウジング内に配置されるものであり、それぞれモータ26の第一の静止部位および回転部位となる。略管形状の磁界コイルアセンブリ62は、モータ26の静的巻線(図示せず)を備えている。ロータアセンブリ64は磁界コイルアセンブリ62の内側に設けられる。このロータアセンブリ64は、管状のロータ軸を備えている。磁界コイルアセンブリ62の巻線により包囲されるロータ軸66の周囲部位には、複数のマグネット68が設けられている。マグネット68は円筒スリーブ70内に位置している。
【0033】
ロータアセンブリ64のロータ軸66は、モータハウジング59の前側に延長する寸法となっている。ベアリングアセンブリ72は、モータハウジング59のロータ軸66を回転可能に保持する。具体的には、ベアリングアセンブリ72は、断面が長形状のハウジングのリップ60の内軸周囲を延長する溝74に圧入される。
【0034】
ベアリングアセンブリ72は、ロータ軸66の肩部76が嵌入される軸受レース(図示せず)を備えている。肩部76の外径は、ロータ軸66の本体部位よりも大きくなっているのがわかる。さらにロータ軸66は、肩部から外側に延長するとともに肩部周囲を延長する隆起78を有するように形成される。隆起78は、ロータ軸66が前方に移動するのを防止する。
【0035】
さらにロータ軸66は、ハウジング59の前方に位置する肩部76より前方に、頭部80を有するように形成される。頭部80の外面は歯82を有するように形成されている。歯82はギア列42の相補形ギアと係合する。
【0036】
磁界コイルアセンブリ62およびロータアセンブリ64は、それぞれ液晶ポリマーのような不導体で形成された前部シェル86、後部シェル88に収納される。前部シェル86は、リング状の頭部90を備えている。いくつもの離間して平行した指部92は、頭部90から後方に延長している。少し隆起したリブ94は、指部92の外面から外方向に突出している。前部シェルをモータハウジング59に挿入した場合、リブ94はシェルを締り嵌めする。後部シェル88には、リング状の頭部96を備えている。いくつもの離間して平行した指部98は、頭部96から前方に延長している。モータ26を組み立てた場合、後部シェル88の指部98は、前部シェル86の指部92間の隙間に着座する。したがって、前部シェル86・後部シェル86は、それぞれ磁界コイルアセンブリ62・ロータアセンブリ64とモータハウジング59との間の障壁となる。
【0037】
C形状に自由に曲げられる回路102は、後部シェル88の外周に設けられる。回路102上に形成される配線は図示されていない。かかる配線は、磁界コイルアセンブリ62に一体化した巻線に通導している。
【0038】
一組の絶縁導線106は、回路102から後方にメインボア41を通って延長する。この導線106は、ハンドピース本体40から後方に延長して、一組の第2導線108に連通している(図2A、図3に示される)。特に導線108は、後部キャップ39から後方に延長する傾斜管110を通って延長している。プラグ112は、傾斜管110から延長する。導線108は、このプラグ112と通電ケーブル30を通って延長する。プラグ112は、通電ケーブル30の遠方端であり、導線108はケーブル内の導線である。
【0039】
ギア列42は、図5A、図5B、図5Cに示される。ギア列42は、ギア列の他の構成部品が収納される円筒状のギア列ハウジング116を備えている。ギア列ハウジング116は、ハンドピースのメインボア41に滑嵌合するように設計されている。ギア列ハウジング116の内側面には、ハウジングがギア列を構成する二つの遊星ギヤアセンブリの外側静止リングとして機能するように、内側歯118が形成されている。またギア列ハウジング116は、二つのタブ120を有するように形成される(一つが図示されている)。タブ120は、モータアセンブリのモータハウジング59に形成された相補形のスロット122に着座する(図4B)。タブ120は、ギア列ハウジング116がモータ26を基準として回転するのを防止する。
【0040】
またギア列42は、モータ管124を備えている。このモータ管124は、ギア列ハウジング116内に配置されるものであり、ロータ軸66の近傍端を越えて後方に延長する。モータ管124の遠方端、すなわちギア列ハウジング116内の端は、高速ヘッド128の中央ボアに着座する。この高速ヘッド128は、貫通ボアを有するように成形される。モータ管124の遠方端は、貫通ボアと同軸の後方に面するカウンタボアに圧入される(高速ヘッドのボアは図示されていない)。よって、モータ管124と高速ヘッド128は共に回転する。三角形状の遊星キャリア130は、ヘッドおよびキャリアが共に回転するように、高速ヘッド128の近傍端に圧入される。三つの遊星ギア132は、遊星キャリア130から後方に延長するピン134に取り付けられる。本発明のハンドピース22が組み立てられた場合、遊星ギア132は、モータロータ軸66の歯82およびギア列ハウジング116の内側歯118の両方と係合する。
【0041】
遊星キャリア130のすぐ前方には、高速ヘッド128が有歯リング137を有するように形成されている。高速ヘッド128の遠方端には、二つの対向した前向きの先端歯138が形成されている。高速駆動ハブを備えた切除アクセサリをハンドピース22に取り付けた場合、先端歯138はその高速駆動ハブと係合する。
【0042】
低速ヘッド142は、遊星キャリア130の前方の高速ヘッド128の部位を覆って回転可能に挿入される。低速ヘッド142は、図6A、図6Bに最も良く示されているが、貫通ボア144を有するように形成される。有歯リング137より遠方で先端歯138より近傍の高速ヘッド128の部位は、ボア144と同軸で後方のカウンタボア146内に着座する。高速ヘッド128と低速ヘッド142とは、それぞれ先端歯138が、ボア144を構成する低速ヘッド142の内側壁から内側に離間するように成形される。さらに高速ヘッド128と低速ヘッド142は、それぞれ高速ヘッド128の外側壁とカウンタボア146を構成する低速ヘッド142の内側壁との間に環状の隙間が生じるように成形される。
【0043】
カウンタボア146に位置するベアリングアセンブリ148は、低速ヘッド142内で高速ヘッド128を回転可能に保持する。軸受リング150はベアリングアセンブリ148の近傍端面に対して位置している。軸受リング150は、図5B、図6Cに最も良く示されているが、平坦な内側面152を有するように形成される。軸受リング150は、内側面152の直径が高速ヘッド128の封入部分近傍の直径よりも少し大きくなるように形成される。軸受リング150は、さらにV字形状の溝156がその外周囲で延長するように形成される。
【0044】
二つのワッシャ158、160は軸受リング150の近傍端面近くに位置する。ワッシャ160は、軸受リング150が有歯リング137へ押圧されるのを防止する。ワッシャ158は、軸受リング150とワッシャ160との間に位置する。ワッシャ158は、軸受リング150とワッシャ160との間の低摩擦界面となる。図5Cに示すように、低速ヘッド142の有歯リング137の前方に設けた逃げ溝162は、製造上の理由により形成される。
【0045】
止めネジ164は、低速ヘッド142を軸受リング150へ保持する。特に、止めネジ164は、低速ヘッド142を通じて径方向に延長するネジ穴166に着座する。止めネジ164の先端は円錐形状となっており(図示せず)、軸受リング150の溝156に着座する。止めネジ164は、高速ヘッド128を低速ヘッド142内に保持する。
【0046】
止め輪167はベアリングアセンブリ148の前方に位置しており、高速ヘッド128が後方に移動するのを防止する。C形状の止め輪167は、ベアリングアセンブリ148により包囲される高速ヘッド128のすぐ前方に位置する高速ヘッド128の円周溝168にぴったりと嵌合する。
【0047】
運動用シール170は、低速ヘッド142のカウンタボア146の底部に位置する。運動用シール170は、カウンタボア146を構成する低速ヘッド142の内側面と先端歯138が前方に延びる高速ヘッド128の外側面との間を延長する。運動用シール170は、弾力性のある低摩擦物質のU字形状リングと、外側方向に押圧するリング中央に形成される金属の円バネとからなる(シール部品は図示せず)。運動用シール170は、高速ヘッド128と低速ヘッド142との間の液体防止障壁となる。
【0048】
リング状のスペーサ176は、止め輪167を包囲するとともに、そこから離間している。対向したスペーサ176の近傍端と遠方端は、それぞれベアリングアセンブリ148の外側レースと運動用シール170の外面に当接する。スペーサ176は、運動用シール170が止め輪167に押圧されるのを防止する。
【0049】
低速ヘッド142の遠方部は、断面が略円形状となっている。ただ、低速ヘッド142は、三角形状の近傍側底部180を有しており、低速ヘッド142の他の部位を越えて外側に突出するように形成される。底部180は、低速ヘッド142の一部であり、ネジ孔166が形成されている。三つの遊星ギア182は、底部180の頂点近くの位置から後方に延長するピン184に取り付けられている。ハンドピース22が組み立てられた場合、遊星ギア182は、高速ヘッド128の有歯リング137とギア列ハウジング116の内面歯との両方に係合する。
【0050】
図5Bに示すように、ワッシャ186は、遊星ギア182と低速ヘッド142の底部180の近傍との間でピン184周囲に位置する。ワッシャ186は、ギアとヘッドとの接触による摩擦を低減する。
【0051】
底部180のすぐ遠方において、円形状の肩部188を有するように低速ヘッド142が形成される。ベアリングアセンブリ190は、メインボア41を構成するハンドピース本体40の内壁近傍と肩部188との間を延長する。ベアリングアセンブリ190は、低速ヘッド142をメインボア41の中央に回転可能に保持する。ハンドピース22を組み立てた場合、ベアリングアセンブリ190の外側レース(図示せず)がギア列ハウジング116の端面に着座する。C字形状の止め輪192は、ベアリングアセンブリ190の内側レースの遠方面周囲に配置される。止め輪192は、肩部188に形成された円周溝193にぴったりと嵌合する。
【0052】
ボア144が構成された低速ヘッド142の前方部位において、低速ヘッド142は、周囲よりも短い直径となった鼻部194を有するように形成される。この鼻部194は、ボア144と同軸の第2カウンタボア196を構成する。二つの離間しつつ対向する歯198は、鼻部194から前方に延長している。低速駆動ハブが取り付けられた切除アクセサリ24をハンドピース22に結合させた場合、歯198はそのハブと結合する。
【0053】
ロックアセンブリ44は、図7、図8、図9に示される。このロックアセンブリ44は、メインボア41に配置される略筒形状のロックアセンブリ複合ハウジング202を含む。ボア204はこのロックアセンブリハウジング202を軸方向に延長している。ロックアセンブリハウジング202は、その異なった部位のうちで最も大きな直径となった近傍側底部208を有するように形成される。具体的には、ロックアセンブリハウジングの底部208は、メインボア41を構成するハンドピース本体40の内壁と滑嵌合する寸法となっている。底部208の近傍端は、ベアリングアセンブリ190の外側レースの遠方端面に当接する。底部208は、止め輪192から離れるようにロックアセンブリハウジング202を保持する。図面では、底部208の近傍端に対面するスロット210が見られる。スロット210は、ハウジング202の挿入・設置・取り外しに使用する器具を収容するよう設計されている。
【0054】
運動用シール212は、底部208のボア204の近傍端開口部のすぐ内側に位置する。運動用シール212は、前記運動用シール170の構造と類似している。運動用シール212は、ボア204を構成する底部208の内壁と低速ヘッド鼻部194の外側面近傍との間を延長する。運動用シール212は、低速ヘッド142とロックアセンブリハウジング202との間の液体防止障壁となる。ロックアセンブリハウジング202は、底部208の内側において、ボア204側に延長する円周内向きリップ214を有するように形成される。このリップ214は、運動用シール212が前方に移動するのを防止する。
【0055】
底部208の前方において、ロックアセンブリハウジング202は底部208よりも短い外径となった腰部216を有している。ロックアセンブリハウジング202の腰部216は、底部208と腰部216との間の直径となった肩部218を備えている。回転防止ピン220は、ロックアセンブリハウジングの肩部218の開口部(図示せず)からボア204側に延長する。回転防止ピン220が着座する位置の前方において、ロックアセンブリハウジングの肩部218は、ハウジングの一部にわたるアーチ形状のスロット222を有するように形成される。
【0056】
取外し襟部(リリースカラ)224は、図10に最も良く示されているが、ロックアセンブリハウジング肩部218周囲に嵌合される。この取外し襟部224は、略C字形状になっており、下にあるロックアセンブリハウジング肩部218の周囲を回転できるように形成される。取外し襟部224は、その一端すなわち端226が他端すなわち端228よりも短い長さになっている。取外し襟部224は、襟部の端226が回転防止ピン220の前方近傍に位置するように、ロックアセンブリハウジング202に嵌合される。この取外し襟部224が回転する場合、端226は回転防止ピン220に触れずに通過することができる。
【0057】
取外しピン230は、取外し襟部224の穴232に着座する。取外し襟部224は、穴232を上方に延長するリム(図示せず)を有するよう形成される。取外しピン230の頭部231は、取外し襟部224上をハンドピース本体40に形成されるアーチ状のスロット236を通り延長する寸法となっている。取外しピン230の底部は、ロックアセンブリハウジングのスロット222を通りボア204側およびハンドピースのメインボア41側に延長する。
【0058】
ねじりバネ238は、それぞれ取外し襟部224および取外しピン230を付勢してロック位置にする。ねじりバネ238は、ロックアセンブリハウジングの腰部216を覆って配置される。ねじりバネ238の一端は、ハウジング底部208の外面に形成されたスロット240に着座する。ねじりバネ238の他端は、取外し襟部224に形成された溝242に着座する。本発明の実施例において、スロット242は襟部穴232と長手方向で一列に並んでいるが、これは場合に応じて異なる。ロックアセンブリハウジング202、取外し襟部224、およびねじりバネ238は、これらの構成部品が組み立てられた場合、取外しピン230がロックアセンブリハウジングスロット222の一端に当接するとともに、取外しピンが端面付近を押圧すべくバネが取外し襟部を付勢するように、集合的に設計されている。
【0059】
ロックアセンブリハウジング202は、肩部218から前方に延長する首部240を有している。首部240は、いくつもの溝242を有するように形成される。首部240の遠方側において、ロックアセンブリハウジング202は、ネジ切られた外面の頭部244を有している。本発明のハンドピース22が組み立てられた場合、ロックアセンブリハウジング202は、頭部244を覆い固定されるナット246(図2B)によりメインボア41に保持される。ナット246は、ハンドピース本体40の遠方端から内側に延長するカウンタボア248内にきちりと滑嵌合する。ナット246は、ロックアセンブリ44が後方に移動するのを防止する。
【0060】
ロックアセンブリ44をハンドピース本体40に挿入した場合、底部208の遠方面は、二つのメインボア41の異なった直径を有する環状の段部(図示せず)に着座する。このハウジング202をハンドピース本体40の内側壁に対して当接させると、ロックアセンブリ44が前方に移動するのを防止するようになる。
【0061】
ハンドピース22を組み立てた場合、Oリング250がロックアセンブリハウジング202の溝242に着座する。このOリング250は、ロックアセンブリハウジング202とメインボア41を構成するハンドピース本体40の内側壁近傍との間の封止として機能する。
【0062】
図2A、図2B、図3に示す後部キャップ39につき説明する。後部キャップ39は、ハンドピース本体40の開口端を覆う板256を備えている。後部キャップ39は、さらに板256からハンドピース本体40を越えて後方に延長するブロック形状の頭部258を有するように形成されている。板256と頭部258は、それぞれ集合的に、メインボア41の中央軸に位置合わせをした第1貫通孔260を構成する。吸引取付部43は、後部キャップ39の両側の第1貫通孔260を通じて延長する。第2貫通孔262は、第1貫通孔260の下方で板256および頭部258を通り延長する。傾斜管110の遠方端は、第2貫通孔262に固定される。
【0063】
後部キャップ39は、板256と頭部258を通り延長する第3貫通孔264を有するように形成される。貫通孔264は、第1貫通孔260上方に位置しており、ハンドピース本体40に形成される流体供給ボア46と一直線に並んで設けられている。入口取付部50は第3貫通孔264の近傍端から後方に延長する。ハンドピース22を組み立てた場合、細長い管266は、流体供給ボア46の近傍端に着座するとともに、流体供給ボア46を構成するハンドピース本体40を越えて少しだけ延長する。管266の近傍端は、後部キャップ第3貫通孔264内に位置する。後部キャップ第3貫通孔264と管266は、集合的に、入口取付部50と流体供給ボア46との間の流体経路を構成する。
【0064】
後部キャップ39は、さらに板256から前方に延長する脚部268を有するように形成される。脚部268は、第1貫通孔260と第3貫通孔264との間に位置しており、第1貫通孔260と水平軸を共有する。ボア269は、脚部268を通り延長する。後部キャップ39は、さらに分岐経路(図示せず)が、第3貫通孔264の開口部とボア269との間の流体連絡通路を構成するように形成される。
【0065】
ロック板270は図3に最も良く示されているが、後部キャップ39のすぐ前方でハウジングのメインボア41内に固定される。本発明の一形態においては、メインボア41の近傍端の断面が涙滴状となっていることがわかる。ロック板270は、開口端の大きな直径部となるハンドピース本体40の内側壁に形成されるアーチ形状の溝267にカム嵌めされる。ロック板270は、後方キャップ39が締結具271により固定されて静止部材として機能する。ワッシャ272は締結具271の頭部と後部キャップ39の頭部との間に位置する。ロック板270の締結具271は、ロック板270のネジ切られた開口部(図示せず)に固着する。ロック板270は、楕円形状の中央開口部273を有するように形成される。取付部43の脚と後部キャップ脚部268は、中央開口部273を通じて延長する。ロック板270は、回路末端106が延長できる空間を設けるべく、メインボア41の底までは延長しない。
【0066】
バルブ52は、図11、図12に最も良く示されているが、バルブハウジング274を備えている。バルブハウジング274は、図13、図14に示されており、リング状の襟部276を備えている。襟部276はメインボア41に嵌合する寸法となっている。ブロック278は、襟部276と一体的に形成されており、襟部276から下方に延長している。このブロック278は、円形の頭部280を有するように形成される。ハンドピース22が組み立てられた場合、襟部276の円形外壁は、モータの後部シェル頭部98の円形内壁に着座する。さらにブロック278は、襟部276に開口部279を有するように形成される。開口部279は、導線106の通路として機能する。
【0067】
ブロック278は、さらにブロックを通じて延長して頭部280と同軸となったブロックボア282を有するように形成される。具体的には、ブロック278は、頭部280の遠方端から近傍側に延長するブロックボア282が、徐々に直径が小さくなった第1カウンタボア284、第2カウンタボア286、第3カウンタボア288、第4カウンタボア290を有するように形成される。ハンドピース22を組み立てた場合、モータロータ軸66が第1カウンタボア284に着座する。モータ管124は、第1カウンタボア284、第2カウンタボア286、第3カウンタボア288内に配置される。図2Aに示すように、ベアリングアセンブリ285はロータ軸66の近傍端と第1カウンタボア284を有するブロック278の壁との間を延長する。ベアリングアセンブリ287は、第2カウンタボア286内にモータ管124を回転可能に保持する。運動用シール289は、モータ管124の近傍端と第3カウンタボア288を構成するブロック278の円周壁との間を延長する。
【0068】
ブロック278は、さらにブロックボア282と交差わる円形バルブボア292を有するように形成される。具体的には、バルブボア292の縦軸は、ブロックボア282の縦軸に対して直角に延長している。バルブボア292の縦軸は、ブロックボア282の縦軸よりも上方に位置している。ブロック278は、バルブボア292がブロックボア282と完全に交差するように形成される。
【0069】
ハンドピース22を組み立てた場合、比較的短い外径の吸引取付部43の脚部は、バルブボア292近傍のブロックボア282の部位に着座する。ブロックボア282と連続する溝296に着座したOリング294は、吸引取付部脚部の外面周囲を延長する。Oリング294は、取付部43とブロックボア282を構成するブロック278の内壁近傍との間を封止する。
【0070】
ブロック278は、さらにブロックボア282の上方で幅方向同軸に配置した補助ボア298を有するように形成される。補助ボア298はバルブボア292の部位から近傍側に延長する。後部キャップ39の脚部268は、補助ボア298から延長するブロック278に形成されるカウンタボア302に着座する。Oリング304は、カウンタボア302に配置した脚部268の遠方端に形成された溝305に着座する。Oリング304は、脚部268の外面とブロック278の内壁近傍との間を封止する。
【0071】
バルブ52は、バルブボア292に回転可能に取り付けたバルブ部材306を備えている。バルブ部材306は図15、図16に最も良く示されているが、略円盤の形状となっている。バルブ部材306は、バルブ部材306の外面上を延長する二つの離間して平行した溝308を有するように形成される。Oリング310は、それぞれの溝308に着座して、バルブ部材306の外面とブロック278の内側面近傍との間を封止する。
【0072】
バルブ部材306は、さらに二つの交差する第1ボア312、第2ボア314を有するように形成される。第1ボア312の直径は、ブロックボア282と同じ直径となっている。バルブ部材306は、バルブ部材306が第1回転方向にある場合、ブロックボア282と第1ボア312は軸方向で一列となる。第2ボア314の直径は、第1ボア312の直径よりも小さくなっている。第2ボア314は、バルブ部材306が第2回転方向にある場合に、第2ボア314がブロックボア282の遠方部位(バルブボア292の前)と補助ボア298との間の流体連絡経路を確立するように、バルブ部材306内に位置している。
【0073】
バルブ部材306は、その一側面に頭部316を有するように形成される。頭部316の外径は、バルブボア292の直径よりも大きくなっている。頭部316と同じ外径となった円盤状のロック板318は、頭部316に対向するバルブ部材306の一端を覆って嵌合する。ロック板318は、バルブ部材306の面近傍から外側に延長するボス320を覆って圧入される。具体的には、ボス320は、ロック板318の中央穴322に圧入される。そのサイズにより、頭部316およびロック板318は、集合的にバルブ部材306をバルブボア292に保持する。
【0074】
バルブガイド324は、連結ロッド56とバルブ部材306とを連結する。このバルブガイド324は、連結ロッド56の近傍端が固定されるリング形状の頭部326を有している。首部328は頭部326から下方に延長する。二つの対向する腕部330はその首部328から外側に延長する。それぞれの腕部330は、略斜下方向に向かっており、垂直下方に延長する平らな掌部333を有するように形成される。バルブガイドピン334は、バルブ部材306の対向端とバルブガイド324とを連結する。具体的には、各バルブガイドピン334は頭部(図示せず)と脚部(図示せず)を備えている。第1ガイドピン334の頭部は、バルブ部材の頭部316に形成されたU字形状のスロット336に着座する。第2ガイドピン334はロック板318に形成された類似のスロット338に着座する。ピンの脚部は、それぞれバルブガイド324の掌部333近傍の開口部(図示せず)を通じて回転可能に延長する。
【0075】
図17と図18は、本発明の外科用器具システム20とともに使用されるある切除アクセサリ24の基本部品を示すものである。切除アクセサリ24は、管形状の外側ハウジング340を備えている。特殊な切除アクセサリ、例えばシェーバの場合は、外側ハウジング340の遠方端が閉鎖するように構築される。小さなハウジング窓342は、外側ハウジング340の閉鎖した遠方先端の近傍に形成される。外側ハブ344は、図19Aおよび図19Bに最も良く示されているが、外側ハウジング340の近傍端に固定される。外側ハブ344は、外側ハウジング340の近傍端を越えて少し後方に延長する略管状部材である。外側ハブ344は、一組の離間した略L字形状の歯346を有するように形成される。歯346は、歯間にロックスロット348を有するように形成される。歯346は、さらに近傍面350がV字形状となり、その頂点が最も歯に接近するように形成される。
【0076】
歯346の遠方側において、外側ハブ344はその外面に二つの離間した溝352を有するように形成される。溝352は、Oリング354を収容するように形成される。外側ハブ344は、溝352間の外側面に比較的浅い凹溝356を有するように形成される。幅方向ボア358は、外側ハブの溝356の底面から下に位置するハブ中心軸のボア側へ延長する。
【0077】
最遠方溝352が形成された外側ハブ344の部位の遠方側において、外側ハブ344は一組の離間したウェブ360を有するように形成される。外向き外周フランジ362は、ウェブ360と交差する。ウェブ360は、外側ハブ344の一部でもある平坦リング364の近傍面と接しており、そこで終結している。ウェブ360と一直線に並んだウェブ366は、平坦リング364の遠方端から外側ハブ344の遠方端へ前方に延長している。ウェブ366の輪郭は三角形状、すなわち外側ハブ344の中央軸から離れたところである平坦リング364から前方に延長しはじめる部位において最も大きな幅となっている。ウェブ360、フランジ362、平坦リング364、およびウェブ366は、外側ハブ344を構造的に強化する。また、ウェブ366により、外側ハブ344の形成工程がより簡単になる。
【0078】
さらに、外側ハブ344は、その内部に数々のハブ長手方向軸を中心にした同軸のボアを有するように形成される。ハウジングボア370は、外側ハブ344の遠方端から最遠方の溝352に包囲される部位まで延長する。ハウジングボア370は、外側ハウジング340の近傍端が着座する外側ハブ344の一部分である。貯留ボア372はハウジングボア370から近傍側に延長する。この貯留ボア372の直径は、ハウジングボア370よりも広くなっている。貯留ボア372は、外側ハブの溝356により包囲される。幅方向ボア358は、貯留ボア372側に開口している。第1カウンタボア374は、貯留ボア372の近傍端から延長している。第1カウンタボア374の直径は、貯留ボア372の直径よりも大きくなっている。第2カウンタボア376は、第1カウンタボア374から離れて外側ハブ344の近傍端へ延長している。第2カウンタボア376の直径は、第1カウンタボア374の直径よりも大きくなっている。外側ハブ344は、内壁に短いテーパ部378を有するように形成される。テーパ部378は、第1カウンタボア374と第2カウンタボア376との間の移行部を構成する。
【0079】
管状の回転軸380は外側ハウジング340内に配置される。回転軸380の遠方端は閉鎖している。回転軸380は、遠方端から近傍側に延長する回転軸窓382を有するように形成される。回転軸窓382は、回転軸380の端面384により画定される。同様に外側ハウジング340のハウジング窓342は、外側ハウジングの鋭利な傾斜端343により画定される。よって端343、384は、回転軸380が回転するときに鋏として機能する。
【0080】
2002年1月29日に付与された出願譲受人の米国特許第6、342、061号(SURGICAL TOOL WITH INTEGRATED CHANNEL FOR IRRIGATION)の内容を明細書に記載したものとするが、その明細書にはどのようにして切除アクセサリの遠方端が構築されているか関して記載がなされている。同様に、本発明に従いバーやリセクタ等の別の切除アクセサリも構築できることが認識される。
【0081】
駆動ハブは、回転軸380の近傍端に取り付けられる。図20A、図20Bに示すように、本発明のいくつかの切除アクセサリ24には、高速ヘッド128の先端歯138と係合するように設計された駆動ハブ390が設けられている。駆動ハブ390は、以下高速駆動ハブと称するが、略円筒形状の本体を備えている。ボア392は、高速駆動ハブ390を軸方向に延長する。高速駆動ハブ390は、より短い外径の頭部394やより長い外径の近接した首部396を有するように形成される。頭部394と首部396との間のテーパ部は図示されていない。リング状の襟部398は、首部396の近傍端周囲を延長する。襟部398は、首部396よりも大きな外径を有している。図示されていないが、高速駆動ハブ390内には、頭部394と首部396と襟部398との内側にボア392と同軸にカウンタボアが形成されている。このカウンタボアは、回転軸380の近傍端が加熱ピン打ちされるか、あるいは単に固定された駆動ハブ390の一部位である。
【0082】
高速駆動ハブ390には、襟部398から近傍側に延長する円筒の胴部402を有するように形成される。胴部402の直径は、首部396の直径よりもわずかに大きくなっている。胴部402の近傍において、高速駆動ハブ390は、胴部402よりも短い直径のスカート部404を有するように形成される。円筒の脚部406は、スカート部404近傍を延長する。脚部406の直径は、スカート部404の直径よりも短くなっている。
【0083】
高速駆動ハブ390は、さらに脚部406のスカート部404から近傍側に延長する四つの離間平行の歯408を有するように形成される。それぞれの歯408は、直接スカート部404から延長する遠方部410を有しているが、それはスカート部404の外径と同じになっている。各歯408は、遠方部410よりも隆起した近傍部412を有している。歯408の近傍部412は尖った対向面413を有している。
【0084】
バネ414は、高速駆動ハブ390周囲に設けられる。このバネ414は、スカート部404および歯遠方部410を覆って配置される。高速駆動ハブ390が一体化された切除アクセサリ24をハンドピース22に嵌入する場合、バネ414は、高速ヘッド128の遠方端と(駆動ハブ胴部402とスカート部404との間の)段部面との間を延長する。バネ414は、回転軸の遠方端が外側ハウジング340の遠方端内側面近傍と当接するように、駆動ハブ390および回転軸380を前方に付勢する。
【0085】
また、低速駆動ハブ418は、図21A、図21Bに図示されるが、回転軸380の近傍端に固定される。低速駆動ハブ418は、低速ヘッド142との接続を意図して、切除アクセサリ24に一体化される。低速駆動ハブ418は、ボア420、頭部422、および首部424を有しているが、これは高速駆動ハブ390のボア392、頭部394、および首部396の形状と同様である。低速駆動ハブ418の首部424は、高速駆動ハブ390のボア392の首部396よりも長くなっている。低速駆動ハブ418内には、ボア420と同軸に頭部422と首部424を通じ延長するカウンタボア(図示せず)が設けられている。このカウンタボアは、回転軸380の近傍端が固定される駆動ハブ418の内側空間である。
【0086】
首部424の近傍に位置において、低速駆動ハブ418は、首部424から外側に延長する襟部426を有するように形成される。数多くの離間した歯428が襟部426の外面に形成されている。歯428は、尖った面430を有している。低速駆動ハブ418は、襟部426から後方に延長した、部424と襟部426との間の直径を有する円筒の肩部432を有している。肩部432の近傍側において、低速駆動ハブ418は脚部434を有している。脚部434は、ギア列高速ヘッド128の開口端に嵌合する寸法となっている。
【0087】
バネ435(図23)は、低速駆動ハブ418の肩部432および脚部434を覆って延長する。低速駆動ハブ418を備えた切除アクセサリ24をハンドピース22に結合させた場合、バネ435は、低速ヘッドのボア144と第2カウンタボア196との間の段面外周と、ハブ襟部426と肩部432との間の断面外周との間を延長する。バネ435は、バネ414が回転軸380へ力を与えるのと同じように、低速駆動ハブ418および回転軸380を前方に押圧する。
【0088】
切除アクセサリ24が組み立てられた場合、Oリング436(図18)は、ハブの脚部に挿入される。このOリング436は、高速駆動ハブ脚部406の近傍端に形成された溝438、あるいは同様な低速駆動ハブ脚部434の溝440に挿入される。Oリング436は、駆動ハブの脚部406または脚部434とギア列高速ヘッド128の内側壁近傍との間の封止として機能する。
【0089】
Oリング442は、高速駆動ハブ390の頭部394または低速駆動ハブ418の頭部422を覆って配置される。本発明の構成部品は、広げられていないOリングの内径が、回転軸380の外径よりもわずかに小さくなるような寸法となっている。一般的に、本発明の一形態として、Oリング442の内径は0.002〜0.005インチ(約0.005〜0.013センチメートル)となっており、これは回転軸380の内径よりも小さく、その差は約0.003インチ(約0.0076センチメートル)である。外側ハブ344は、Oリングが着座する空間である第1カウンタボア374の直径が、Oリングを軸に取り付けて広げられた状態になった場合のOリングの外径よりも小さくなるように形成される。典型的には、これらの構成部品は、Oリング442を軸に取り付けて広げられた状態の外径が、0.007〜0.010インチ(約0.01778〜0.0254センチメートル)であって、貯留ボア372よりも大きくなるように選択される。この回転軸・内側ハブアセンブリを外側ハウジング・外側ハブアセンブリに挿入すると、Oリング442は、回転軸380周囲の静的シールとなる。
【0090】
図示されておらず、かつ本発明の一部を構成するものではないが、メモリチップを切除アクセサリの外側ハブ344内に設けることも可能であることが理解できる。このメモリチップは、切除アクセサリ24の作動特性に関するデータを含んでいる。メモリチップが着座する外側ハブ344の一部を包囲するようにしてハンドピース本体40の遠方端にはコイルが設けられている。切除アクセサリ24をハンドピース22に取り付けた場合、メモリのデータが制御卓28により通電ケーブル30およびハンドピースコイルを通じて誘導的に読み込まれる。切除アクセサリメモリから読み込まれたデータは、モータ26の駆動を制御するのに使用される。この特徴要素を完全に理解するには、2002年8月8日に出願された出願譲受人の米国特許出願第10/214、973号(SURGICAL TOOL SYSTEMS THAT PERFORM INDUCTIVE DATA TRANSFER)に開示されており、その内容を明細書に記載したものとする。
【0091】
本発明の外科用器具システム20は、通電ケーブル30の近傍端を制御卓28に接続して使用準備完了となる。吸引ライン38を取付部43に取り付ける。供給ライン34を入口取付部50に連結する。
【0092】
それから、切除アクセサリ24をハンドピースのメインボア41の遠方開口端に挿入する。メインボア41およびボアに挿入した外側ハブ344の部位は、ともに円筒形状となっている。外側ハブ344は数々のロックスロット348を備えており、その入口は歯346の先端面350により形成される。これは、切除アクセサリ24を挿入する医療従業者は、切除アクセサリ24の所定方向の結合位置合わせに集中する必要はないということを意味する。
【0093】
そのかわり、切除アクセサリの歯346の一つを取外しピン230に当接させると、取外しピン230がロックスロット348の一つの長手方向部分に着座するようにハブまたは取り外しピンが回転される。外側ハブをさらにハンドピース22側に押圧すると、回転防止ピン220が別のスロットの長手方向部分に着座する。ひとたび取り外しピン230がロックスロット348の幅方向部分に配置されると、バネ238は取外し襟部224および取外しピン230の停止位置までそれらを回転する。この取り外しピン230の移動により、取外しピンが、長手方向開放端部分から離間したロックスロット348の幅方向部分に着座することになる。よって、取り外しピン230がこの位置にある場合、ピンが切除アクセサリ24をハンドピース22に保持することになる。
【0094】
取り外しピン230を手動でアーチ移動させることで、切除アクセサリ24をハンドピース22から簡単に取り外すことができる。この動きにより、取り外しピンは、着座する外側ハブスロット348の長手方向部分と一直線に並んで位置することになる。取り外しピン230をそのように配置すると、メインボア41から切除アクセサリ24を簡単に取り外すことができ、よって別の切除アクセサリを取り付けることができるようになる。
【0095】
また、切除アクセサリ24をメインボア41に挿入すると、高速駆動ハブ390または低速駆動ハブ418がギア列の高速ヘッド128または低速ヘッド142にそれぞれ連結する。切除アクセサリ24に高速駆動ハブ390を取り付けた場合は、図22のように、高速ヘッドの先端歯138が高速駆動ハブ歯の近傍部位412間に着座する。切除アクセサリ24に低速ヘッド142を取り付けた場合は、図23のように、低速ヘッドの歯198が近傍ハブ歯428間に着座する。一組の歯138と歯408および歯198と歯428の対向面の形状からして、また駆動ハブの歯内側スロットの数が相補形ヘッド歯よりも多くなっているので、駆動ハブをメインボアに挿入すると駆動ハブが自動的に回転して適切な相補形の高速ヘッド128または低速ヘッド142にロックされる。よって、医療従業者は、切除アクセサリ24をハンドピース22に取り付けてギア列と適切に連結されたかどうかを確かめるという駆動ハブの調整時間を費やす必要がなくなる。
【0096】
本発明の外科用器具システム20の別の特徴としては、切除アクセサリ24をハンドピースのメインボア41に固定した場合、外側ハブの溝356は、吐出ボア48の開口端に位置が揃うということである。ポンプ32により洗浄液がハンドピース22を通り吐出ボア48から溝356に放出される。Oリング354は、流体がメインボア41が長手方向に流れるのを防止する。よって、洗浄液が外側ハブ344の幅方向ボア358を強制的に流れるようになる。幅方向ボア358から、流体は外側ハウジング340と回転軸380との間の環状空間を遠方側に流れ、ハウジング窓342から外部に放出される。このように、本発明の外科用器具システムは、医療従業者が洗浄液供給ラインをさらに追加連結する必要なしに、あるいは切除アクセサリをハンドピースに挿入する場合にこれらが選択方向にあるかを確認する必要なしに、ハンドピース22から切除アクセサリ24への洗浄液の流体経路を自動的に確立するものである。
【0097】
さらに本発明による外科用器具システム20の別の利点としては、切除アクセサリ24はハンドピース22を基準とした種々の回転方向に位置させることができるということである。本発明の一形態として、切除アクセサリは、90度に分けられた4つの回転方向の一方向に選択的に配置される。これは、切除要素たる切除アクセサリのハウジング窓342または窓348が、ハンドピース22を基準とした4つの回転方向の一方向に配置されることを意味する。本発明の外科用器具システムを使用している外科医は、要望の手術を行うため切除アクセサリをハンドピース22における最も好ましい位置に選択的に配置することができる。
【0098】
外科医が制御卓28の制御部材を押すことで、切除アクセサリが駆動される。この制御部材はフットスイッチであることが多い(図示せず)。本発明の別の形態において、制御部材はハンドスイッチ(図示せず)である。その構成部品は、全部または一部がハンドピース本体40内に配置される。
【0099】
制御部材を押すことにより、制御卓がモータ26に電力を供給する。本発明の一形態として、モータ26は4,000〜60,000rpmで作動する。この速度はロータ軸66が回転する速度である。ギア列ハウジング116の内側歯面、遊星ギア132、および遊星キャリア130は、第1遊星ギアアセンブリを構成する。本発明の一形態として、この第1遊星ギア列アセンブリは、モータ管124のロータ軸66に対する回転出力速度を2.8:1.0から5.0:1.0にまで低減させる。切除アクセサリ24に高速駆動ハブ390を設けた場合、このハブは先端歯138を通じてモータ管124と係合し、モータ管とともに回転する。
【0100】
有歯リング137、遊星ギア182、およびギア列ハウジング116の内側有歯面は、第2遊星ギアアセンブリを構成する。この第2遊星ギア列アセンブリは、高速ヘッドに対する低速ヘッド142の回転モーメントを2.8:1.0から5.0:1.0にまで低減させる。切除アクセサリ24に低速駆動ハブ418を取り付けた場合、このハブは低速ヘッド142と係合し、それとともに回転する。
【0101】
このように、高速駆動ハブ390、低速駆動ハブ418のいずれかが切除アクセサリ24に取り付けられたかに応じて、ロータ軸66の出力速度の20〜36%、またはロータ軸66の出力速度の4〜13%でアクセサリが駆動する。本発明の外科用器具システムのこの特徴事項の利点は、切除アクセサリが、モータ回転速度よりも比較的広い速度範囲で駆動できるというところにある。
【0102】
バルブ52は、回転軸380を軸方向に延長するボアを通じて流れる流体を制御する。バルブ部材の第1ボア312の全体または一部がブロックボア282と一列に並ぶようにバルブ52を制御されることは予想できる。バルブ部材306をそのように配置した場合、ポンプ36により回転軸を通じて完全にあるいは部分的に吸引される。図2Aに最も良く示されているように、ハンドピースのボタン54が最遠方位置にある場合には、バルブ部材第1ボア312の全体がブロックボア282と一列に並ぶように位置することがわかる。このボタン54を近傍側に引っ込めると、連結ロッド56とバルブガイド324の位置が変化する。バルブガイド324が後方に移動すると、バルブ部材306はボアを回転してブロックボア282の一列位置から外れる。バルブ部材第1ボア312がブロックボア282といずれかの角度で並ぶと、バルブ部材第2ボア314は、補助ボア298の位置から完全に外れる。
【0103】
さらに、バルブ部材306が回転すると、図22に示すような位置になる。ここで第1ボア312は、ブロックボア282の一列位置外になっており、ボア314は、ブロックボア282と補助ボア298との間に流体連絡経路を確立する。よって、バルブ52がかかる状態にある場合、洗浄液はボア298・314・282および駆動ハブボアを通じて切除アクセサリの回転軸380の中央に供給される。この流体は圧力を受けているので、回転軸から破片を洗い流す。またこの流体は、必要ならば、切除アクセサリが使用される手術部位に洗浄液を施すのにも使用することができる。
【0104】
上述の記載は、本発明の一つの形態についてなされたものである。本発明を別の形態にする場合、上述の記載は変更されうる。すなわち、本発明の外科用器具システムの全ての形態は、全ての記載事項を当然に備えるとする必要はない。例えば、本発明のいくつかの形態は、ギア列アセンブリのみを含み、洗浄液を切除アクセサリの外側ハブに自動供給するアセンブリを含まない。あるいは、本発明の別の形態は、外側ハブに洗浄液を供給するアセンブリを含むが、ギア列アセンブリを含まない。
【0105】
また、本発明の別の形態は、上述の構成要素とは異なる構成要素を備えうるということも理解できる。例えば、本発明のすべての形態は、電動モータはいうまでもなく、ブラシなしのセンサなしの電動モータを当然に備えるとする必要はない。本発明の別の形態において、別の動力発生ユニットをハンドピースシステムに一体化することもできる。この動力発生ユニットは、空気圧駆動モータを設け、レーザ等の発光装置を設け、電気外科的部材を設け、音波または超音波発生装置を設けた本発明に組み込むこともできる。動力発生ユニットを備えた本発明のシステムの場合も、本明細書に記載した全ての構成要素を備える必要はない。
【0106】
本発明の別の形態は、以上とは異なった構成要素を備えている。例えば、別案の異なった駆動ハブを受け入れるギア列や、異なった駆動ハブを種々の速度で駆動するギア列も可能である。例えば、本発明のある形態としては、モータロータは、切除アクセサリを駆動するに適切な速度領域で回転する。本発明のこの形態において、高速駆動アクセサリを受け入れ可能な高速ヘッドは、モータロータに取り付けられ、それと共に回転する。本発明のこの形態において、単一減速ギアアセンブリのみが設けられ、低速ヘッドはこのギアアセンブリの一部になっている。また、本発明の別の形態において、ギア列は、3つ以上の速度範囲で切除アクセサリを駆動するための3つ以上のヘッドを備えている。この形態のギア列は、2つ以上の減速ギアアセンブリを備えている。
【0107】
また、本発明の別の形態のギア列は、減速ギアアセンブリのみを備えているといる必要はない。本発明のある形態は、結合した入力ギアよりも高速に回転する出力ヘッドを備えた一つ以上ギアアセンブリをギア列に設けている。
【0108】
同様に、それぞれ切除アクセサリの駆動ハブを受け入れ可能な複数のヘッドをギア列に設けることも可能である。本発明のこれらの形態において、手動駆動の取り外しまたはガイド機構を設け、駆動ハブを意図する駆動ヘッドに確実に係合させることもできる。
【0109】
同様に、本発明のすべての形態は、遊星ギアアセンブリを構成するギアを常に設ける必要があるわけではないことは理解されよう。別のギアアセンブリも設けることもできる。例えば、あるギアアセンブリは、平歯車を備えている。減速ギアアセンブリのみを備えた形態を含む本発明のこれらの形態において、低速ヘッドは常に高速ヘッドの前方に位置しているとする必要はない。本発明のこの形態において、ヘッドの配置を減らすこともできる。
【0110】
本発明の上述の形態において、ギアは全てモータ軸66の回転方向に回転する。これは常にそうなるわけではない。本発明のある形態においては、モータ軸とは逆の回転方向に回転させる一つ以上のギアを設けることが望ましい。本発明のこの形態の利点は、モータが振動モードで駆動する場合、すなわちロータ軸66が正転/逆転/正転/逆転パターンで回転する場合、ロータ軸66の反対方向に回転するギアは、ハンドピースの別のギアが回転方向を変更する場合に発生する振動反発力を相殺するところにある。
【0111】
モータとギア列を備えた本発明のすべての形態において、モータは、ハンドピースからの吸気が引き込まれる管状ロータを備えているとする必要はない。ただし、システム自体が手術部位を吸引できるように設計されている場合、明らかにこのタイプのモータは必要ではない。また本発明の別の形態においては、洗浄液供給ボアのかわりに、ハンドピース本体のボアを通じて吸引することもありうる。本発明のこれらの形態において、モータは、その全体がシールされた装置であって、唯一の露出部材は出力軸の遠方端である。ギア列は、ハンドピースのチャンバに着座しており、吸引ボアはこのチャンバから延長する。
【0112】
別案のロックアセンブリは、切除アクセサリをハンドピースに取り外し可能に保持するのに使用される。例えば、本発明のある別の形態において、ロックアセンブリは、切除アクセサリの着座空間に当接するとともにその相補形の着座空間から引き出される一つ以上の部材を備えている。同様に、本発明のロックアセンブリは、上記とは異なった動力発生ユニットを備えた外科用ハンドピースに使用することができる。
【0113】
また、本発明の別の形態に組み込んだバルブアセンブリの変形例もある。流体供給アセンブリを備えていない本発明の形態においては、明らかに、バルブは手術部位を吸引制御するのみである。モータが管状の流体経路を備えていない場合、バルブはハンドピースの近傍端とは異なる別の位置に配置されうる。また、本発明のある形態においては、流体を切除アクセサリの外側ハブに供給するよう構成した流体供給アセンブリを備えていない。ただし、本発明のこれらの形態においてもなお、流体入口および吸引出口の両方を備えている。ここで、本発明の上述の形態において、バルブは、切除アクセサリに一体化した一経路と流体入口または吸引出口とを結合するように設計されている。
【0114】
また本発明の別の形態において、バルブアセンブリは三状態のバルブを備えている。これは、切除アクセサリ流体連絡を吸引取付部から入口取付部に変更する前に、切除アクセサリへの流体連絡または切除アクセサリからの流体連絡を完全に閉鎖するバルブである。
【0115】
また、本発明のこの形態において、制御卓28は、外科医によるハンドピースモータ26の起動と同時に、洗浄ポンプ32を起動するよう構成されていることが理解されよう。さらに、このシステムは、モータ26の起動とは独立して、外科医がポンプ32をオン・オフできるようにも構成されている。この制御は、通常は制御卓28に取り付けたフットスイッチによりなされる。洗浄液が切除アクセサリ回転軸380の中央を流れることを要する場合、外科医はまずモータ26を停止させることになることは予想できる。したがって、バルブがまず入口取付部と切除アクセサリ回転軸との流体連絡を確立するよう移動した場合には、洗浄液がハンドピースに流れるように強制されない。そこで、バルブがこの状態にある場合には、切除アクセサリの回転軸380への流体流れ、または切除アクセサリの回転軸380からの流体流れは起こらない。切除アクセサリ回転軸380に洗浄液を強制的に流すには、外科医においてポンプを作動させる必要がある。これはフットスイッチまたは制御卓28のボタンを押すことによって行われる。
【0116】
本発明の別の形態において、バルブは、入口取付部と切除アクセサリ回転軸との流体経路を確立すべくバルブ部材306が回転できるアークを有するように組み立てられる。センサは、バルブ部材306の位置を知るために使用される。このセンサは、ハンドピース本体40に設けた連結ロッド56の位置に応じてバイスタティック信号を発信するセンサの形態となりうる。本発明のこれらの形態において、バルブがさらに進んだ回転位置にある場合には、センサが発した出力信号の状態が変化する。このセンサによる出力信号は、制御卓に送られポンプ32の駆動を制御する。バルブ部材306が入口取付部と切除アクセサリ回転軸との流体経路をまず確立した場合には、センサによる信号は変化しない。ボタン54をさらに後方に押した場合、それによる連結ロッド56の移動をセンサが検知する。センサの出力信号の変化により、制御卓28はポンプ32を駆動して、洗浄液を切除アクセサリの回転軸380に圧送する。
【0117】
本発明の上記の形態の利点は、外科医は、部材すなわちボタン54一つでバルブ設定およびポンプ32駆動をすることができるという点にある。この単一ボタン54により、外科医はハンドピース22を3つの状態にすることができる。すなわち、切除アクセサリ回転軸と吸引取付部とが連絡した第1状態と、入口取付部と切除アクセサリ回転軸とが流体流れなしに連絡した流体流れなし状態の第2状態と、ポンプ32から切除アクセサリ回転軸への流体流れがある第3状態がそれである。
【0118】
本発明のこの構成により、バルブ部材それ自体は比較的小さい、すなわちその直径および長さは0.5インチ(約1.27センチメートル)以下としても、指一本で3つの流体制御状態をもたらすことができる。ハンドピース自体が比較的小さいため、すなわち通常、長さが最大6インチ(約15.24センチメートル)、幅が最大1インチ(約2.54センチメートル)以下であるため、このようなサイズのバルブが必要となる。さらに、ハンドピース内において、切除アクセサリの外側ハブが着座するボア空間の初期長は、多くの場合1インチ(約2.54センチメートル)までになることが理解される。このボアがそのように長くなっているのは、画像補助手術システムに用いられるハンドピースにおいて、切除アクセサリの遠方端のハンドピースに対する位置が変化しないように切除アクセサリをハンドピースに挿入する必要があるからである。そのようなタイプを装着する場合に直ちに確実にする方法は、外側ハブをハンドピースのボアにきつく挿入するように、また外側ハブの長さが例えば0.6〜1.0インチ(約1.524〜2.54センチメートル)というように比較的長くなるようにシステムを設計することということが分かっている。
【0119】
そこで、外科医が比較的小さなサイズのハンドピースで作業することを好む場合、あるいはハンドピースの前端空間が大きなサイズのハブを収容するように設計されている場合、ハンドピースにはバルブを収容する空間がほとんどなくなる。このような設計条件でも、本発明のバルブアセンブリにおいては、外科医は単一のバルブ制御部材により、切除アクセサリ回転軸380から吸引されるように、あるいは回転軸が流体の流入/流出を閉鎖するように、あるいは洗浄液が回転軸を降りていくようにバルブを設定できる。
【0120】
同様に、別の構造を有するバルブも使用可能であることが理解される。本発明のある形態において、バルブ本体は、ハンドピース本体の縦軸と同軸でおよび/または少なくともそれと平行な軸を回転するように、ハンドピース本体に設けられる。あるいは、バルブは、種々のバルブ状態となるべく滑動するバルブ部材を備えている。
【0121】
本発明の特定の形態の構成部品が鼻および喉手術を行うために設計されたとしても、本発明の別の形態により、整形外科、一般外科、婦人外科等(これに限定するものではないが)の別の手術を行うことも可能であることは理解される。また、本発明の多数の形態は内視鏡による外科手術によく適するものであるが、本発明の使用方法や別形態の設計はそのように限定されるものではないことも理解されよう。
【0122】
同様に、本発明のいくつかの形態において、ギア列に一体化した駆動ヘッドは、同心円軸に配置しなくてもよい。
【0123】
また、切除アクセサリの駆動ハブや外側ハブの形状は、例示であり、これに限定するものではない。例えば、同軸に並んだ外側ハブの数々のボア部は、上述のものとは異なったものとなりうる。単一の、一定直径となったボアさえもありうる。同様に、軸方向ボアに至る幅方向洗浄液入口ボアを複数設けることも望ましい。また、外側ハブについては、相補形のハンドピースロック部材を受け入れる表面部材が一タイプだけ示されている。同様に、駆動ハブと相補形駆動ヘッドとの連結を容易にするため、駆動ハブのそれぞれは、一つのタイプの表面部材だけが示されている。明らかに、本発明の切除アクセサリが別のロックアセンブリおよび/またはヘッドを備えたハンドピースとともに使用するよう設計されている場合には、かかる表面部材の形状やサイズは、本発明の別の切除アクセサリでは異なったものとなってよい。
【0124】
本発明のある好ましい形態においては、切除アクセサリがハンドピースを基準とした種々の回転位置にあることが可能であるが、本発明の別の形態においては、この特徴事項は必要ではないか要求されていない。本発明のこれらの形態において、切除アクセサリには、特定の角度方向におけるハンドピースへの取付を容易にするために設計された単一の表面要素や部材のみを設けることもできる。
【0125】
同様に、外側ハブには、表面部材や表面要素の別配置をなすこともでき、それにより、ハブ(ひいては切除アクセサリ)が例示実施例に記載した4方向、それ以上あるいはそれ以下にて相補形ハンドピースに取り付けられるようになる。本発明のある形態において、ハンドピースロックアセンブリおよび外側ハブ表面要素は、ハブ(ひいては切除アクセサリ)を任意の角度にてハンドピースに取り付けることができるように、設計することもできる。
【0126】
このように、本発明の精神や範囲にある全ての変形例・改変例を保護することは、付属の請求項の目的である。
【0127】
本発明は、請求項に詳細明確に記載される。本発明の上記の特徴事項や利点は、図面を伴った以上の記述により、さらによく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の外科用器具システムの構成要素を示す全体図である。
【図2】本発明の外科用器具システムのハンドピースの正面図である。
【図2A】図2の2A−2A線によるハンドピースの断面図である。
【図2B】図2の2B−2B線によるハンドピースの断面図である。
【図3】本発明による外科用器具システムのハンドピースの分解図である。
【図4A】ハンドピースのモータの断面図である。
【図4B】ハンドピースのモータの分解図である。
【図5A】ハンドピースのギア列アセンブリの断面図である。
【図5B】ハンドピースのギア列アセンブリの分解図である。
【図5C】ギア列アセンブリのベアリングリングの近傍端周囲の境界面の詳細な断面図である。
【図6A】ギア列アセンブリの低速ヘッドの断面図である。
【図6B】ギア列アセンブリの低速ヘッドの斜視図である。
【図6C】ギア列アセンブリの軸受リングの断面図である。
【図7】ロックアセンブリの斜視図である。
【図8】ロックアセンブリの分解図である。
【図9】ロックアセンブリの断面図である。
【図10】ロックアセンブリの取外し襟部の斜視図である。
【図11】バルブの分解図である。
【図12】バルブの断面図である。
【図13】バルブハウジングの斜視図である。
【図14】バルブハウジングの断面図である。
【図15】バルブ部材の斜視図である。
【図16】バルブ部材の断面図である。
【図17】本発明の切除アクセサリの一部分解図である。
【図18】図17による切除アクセサリの断面図である。
【図19A】切除アクセサリの外側ハブの斜視図である。
【図19B】切除アクセサリの外側ハブの断面図である。
【図20A】切除アクセサリの高速駆動ハブの側面図である。
【図20B】切除アクセサリの高速駆動ハブの斜視図である。
【図21A】切除アクセサリの低速駆動ハブの側面図である。
【図21B】切除アクセサリの低速駆動ハブの斜視図である。
【図22】どのようにして高速駆動ハブを取り付けた切除アクセサリがハンドピースに結合しているかを示す図である。
【図23】どのようにして低速駆動ハブを取り付けた切除アクセサリがハンドピースに結合しているかを示す図である。
【符号の説明】
【0129】
20 外科用器具システム
24 切除アクセサリ
22 ハンドピース
26 モータ
28 制御卓
32 ポンプ
33 容器
34 供給ライン
38 吸引ライン
36 吸引ポンプ
37 収集容器
40 ハンドピース本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切除アクセサリを駆動する外科用ハンドピースであって、本体を設け、前記本体に回転出力軸を有するモータを設け、前記本体には第1駆動ヘッドを回転可能に設け、この第1駆動ヘッドは前記出力軸の回転とともに回転するように前記モータ出力軸に連通して設け、この第1駆動ヘッドには、切除アクセサリ駆動ハブが前記第1駆動ヘッドとともに回転するように前記駆動ハブを受け入れる結合部材を設け、前記本体には第2駆動ヘッドを回転可能に設け、この第2駆動ヘッドには、前記駆動ハブが前記第2駆動ヘッドとともに回転するように前記駆動ハブを受け入れる結合部材を設け、前記第2駆動ヘッドと前記モータ出力軸とを連通する第1ギアアセンブリを設け、この第1ギアアセンブリは、前記モータ出力軸の駆動時に前記第2駆動ヘッドを駆動するとともに前記第1駆動ヘッドの回転速度とは異なる回転速度で前記第2駆動ヘッドを駆動することを特徴とする切除アクセサリを駆動する外科用ハンドピース。
【請求項2】
さらに、前記モータ出力軸と前記第1駆動ヘッドとの間で延在する第2ギアアセンブリを設け、この第2ギアアセンブリは、前記モータ出力軸の駆動時に前記モータ出力軸の回転速度とは異なる回転速度で前記第1駆動ヘッドを駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の外科用ハンドピース。
【請求項3】
前記第2ギアアセンブリは、前記第1駆動ヘッドを前記モータ出力軸の回転速度よりも遅い速度で駆動し、前記第1ギアアセンブリは、前記第2駆動ヘッドを前記第1駆動ハブの回転速度よりも遅い速度で駆動することを特徴とする請求項2に記載の外科用ハンドピース。
【請求項4】
前記第1駆動ヘッドは、第1切除アクセサリ駆動ハブを受け入れるように成形されており、前記第2駆動ヘッドは、前記第1切除アクセサリ駆動ハブとは異なった形状または寸法の第2切除アクセサリ駆動ハブを受け入れるように成形されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の外科用ハンドピース。
【請求項5】
前記第1駆動ヘッドは、前記第1切除アクセサリ駆動ハブを受け入れるボアを有するように成形されており、前記第2駆動ヘッドは、前記第2切除アクセサリ駆動ハブを受け入れるボアを有するように成形されており、前記第2駆動ヘッドのボアの直径は、前記第1駆動ヘッドのボアの直径よりも大なることを特徴とする請求項4に記載の外科用ハンドピース。
【請求項6】
前記モータ出力軸は、貫通ボアを有する管状の部材であり、前記第1駆動軸は貫通ボアを有しており、前記第2駆動ヘッドは貫通ボアを有しており、これらの貫通ボアはそれぞれ同軸に位置することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の外科用ハンドピース。
【請求項7】
さらに、前記駆動ヘッドの一つに連通するとともにそこから前記モータ出力軸を通って延長するモータ管を設けたことを特徴とする請求項6に記載の外科用ハンドピース。
【請求項8】
前記第1ギアアセンブリおよび前記第2ギアアセンブリの少なくとも一つは、遊星ギアアセンブリであることを特徴とする請求項2に記載の外科用ハンドピース。
【請求項9】
外科用ハンドピースに取り付ける切除アクセサリであって、前記切除アクセサリにおいては、近傍端と遠方端とを有する細長い部材であって経路を備えた前記細長い部材と、この細長い部材の近傍端に固定する外側ハブとを設け、前記外側ハブにおいては、外面と、前記細長い部材の近傍端がここから前方に延長する軸方向ボアと、ハンドピースの相補形ロック部材を受け入れる前記外面に形成された一つ以上の表面部材と、前記外面周囲に形成された第1溝と、前記溝の底面から内側径方向に前記軸方向ボアまで延長する補助ボアとを設けるように成形され、また前記切除アクセサリにおいては、それぞれ離間して外側ハブ溝の区画分離面付近に配置して外側ハブ周囲を延長するとともにハンドピース壁に当接する寸法となった第1封止および第2封止を設けたことを特徴とする外科用ハンドピースに取り付ける切除アクセサリ。
【請求項10】
前記封止の少なくとも一つはOリングであって、このOリングは、外面に形成された第2溝に着座して前記外面を延長することを特徴とする請求項9に記載の切除アクセサリ。
【請求項11】
一つ以上の前記表面部材は、前記外側ハブの前記外面に形成された凹部であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の切除アクセサリ。
【請求項12】
前記外側ハブは複数の表面部材を有するように形成されており、それぞれの表面部材は、共通のハンドピースロック部材を受け入れ可能であることを特徴とする請求項9〜請求項11のいずれかに記載の切除アクセサリ。
【請求項13】
前記細長い部材は管であり、外側ハブの軸方向ボアおよび前記細長い部材を通り延長する内側管を設け、この内側管の近傍端は、外側ハブの軸方向ボアから離れ出て延長しており、前記細長い部材と前記外側ハブと前記内側管は、集合的に前記細長い部材の経路として機能するという前記細長い部材と前記外側ハブと内側管との間に隙間を構成するように形成されるとともに、前記外側ハブに形成された内側補助ボアは、前記細長い部材の経路を通じて開口しており、駆動ハブは前記内側管の近傍端に取り付けて設け、 前記外側ハブが前記細長い部材の経路を覆って開口する部位の近傍側に位置する前記内側管の周囲に封止を設けたことを特徴とする請求項9〜請求項12のいずれかに記載の切除アクセサリ。
【請求項14】
切除アクセサリを駆動する外科用ハンドピースであって、前記ハンドピースにおいては、遠方端と近傍端とを有する本体を設け、この本体においては、切除アクセサリを受け入れる遠方端付近の第1ボアであって前記ハンドピースの内壁により構成される前記第1ボアと、前記ハンドピースの近傍端から延長して前記ハンドピースの内壁に開口する供給ボアと、前記第1ボアから近傍端に延長する吸引ボアとを有するように成形され、また前記ハンドピースにおいては、前記本体に取り付けて前記切除アクセサリを取り外し可能に前記本体に保持する結合アセンブリを設け、前記切除アクセサリを駆動すべく前記切除アクセサリの取付に適合させた動力発生ユニットを前記本体に設け、前記本体の供給ボアと流体連絡しており流体供給ラインに連結するよう構成されている入口取付部を前記本体の近傍端付近に取り付けて設け、前記ボアの吸引ボアと流体連絡しており流体ラインに連結するよう構成されている吸引取付部を前記本体の近傍端に取り付けて設けたことを特徴とする切除アクセサリを駆動する外科用ハンドピース。
【請求項15】
切除アクセサリ(24)を駆動する外科用ハンドピース(22)であって、前記切除アクセサリにおいては、複数の離間した歯(346)を有する外側ハブ(344)を設け、この歯間にはスロット(348)を構成して設け、前記スロットは長手方向部位と幅方向部位を有しており、前記外側ハブとは別個の駆動ハブ(390、418)を設け、前記ハンドピースにおいては、遠方端が開口した本体(40)を設け、前記本体内に配置する動力発生ユニット(26)を設け、結合アセンブリを設け、前記切除アクセサリの外側ハブを前記本体に取り外し可能に保持するロックアセンブリ(44)を設け、前記ロックアセンブリにおいては、開口端を有するスリーブ(202)を前記本体の遠方端に設け、このスリーブは切除アクセサリの外側ハブおよび内側ハブを受け入れるボア(204)を有すべく設け、このスリーブに相対的に固定されるとともにスリーブのボア内に延長して外側ハブのスロットの一つの長手方向部位に着座する回転防止ピン(220)を設け、前記スリーブに装着されるとともに前記スリーブの部位周囲をアーチ状に移動できる取り外しピン(230)を設け、この取り外しピンは、スリーブボア内に延長して前記外側ハブのスロットの一つに着座する部位を有すべく設け、前記本体を通り延長する前記取り外しピンに装着する制御部材を設け、この制御部材は、前記取り外しピンが着座する外側ハブのスロットの長手方向部位に前記取り外しピンを手動で配置できるように前記取り外しピンの位置を設定するために、手動で相対的に移動可能に設け、 切除アクセサリの外側ハブを前記スリーブ内に挿入した場合に前記回転防止ピンが外側ハブスロットの一つである第1スロットの長手方向部位に着座するとともに前記取り外しピンが外側ハブスロットの一つである第2スロットの幅方向部位に着座するように前記取り外しピンを前記スリーブを基準としたアーチ状の位置に保持するために前記本体と前記取り外しピン間を延長する付勢部材(238)を設け、この付勢部材は、前記制御部材を手動的に作動させることによりまたは外側ハブの歯の一つを取り外しピンに当接することにより前記付勢部材が付勢する力に打ち勝つように構成して設けたことを特徴とする切除アクセサリ(24)を駆動する外科用ハンドピース(22)。
【請求項16】
前記取り外しピン(230)は、前記制御部材として機能する、前記本体(40)のスロット(236)を通り延長する頭部(231)を有することを特徴とする請求項15に記載の外科用ハンドピース。
【請求項17】
前記付勢部材(238)はバネであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の外科用ハンドピース。
【請求項18】
前記切除アクセサリは、軸がそこから延長する駆動ハブ(390、418)を有しており、動力発生ユニット(26)はモータであり、結合アセンブリ(42)は本体に配置され前記モータと前記駆動ハブとを取り外し可能に結合することを特徴とする請求項15〜請求項17に記載の外科用ハンドピース。
【請求項19】
動力駆動外科用器具とともに使用する切除アクセサリ(24)であって、前記切除アクセサリは、対面した近傍端および遠方端を有しており、ボア(370)を備えた外側ハブ(344)を設け、前記外側ハブのボアから遠方側前方に延長する外側ハウジング(340)を設け、前記外側ハブの近傍端付近に位置する駆動ハブ(390、418)を設け、この駆動ハブは、前記駆動ハブを駆動する動力駆動外科用器具内の相補形の結合アセンブリと係合する面要素(410、412)を有するように形成して設け、前記駆動ハブから前記外側ハブを通り前記外側ハウジング内へと前方に延長する回転軸(380)を設け、外側ハブはその外面周囲に複数の離間した歯(346)を有するように形成して設け、この歯はそれぞれ離間して歯間にロックスロット(348)を形成して設け、このロックスロットのそれぞれは、前記ハブの近傍端側で開口した長手方向部位と前記ハブの近傍端より遠方側の前記長手方向部位から延長する幅方向部位とを有しており、さらにそれぞれの歯はV字形状面(350)を有するように形成して設け、それぞれの前記歯の対向面は前記ロックスロットの一つ側へ開口して設けたことを特徴とする動力駆動外科用器具とともに使用する切除アクセサリ(24)。
【請求項20】
切除アクセサリ(24)を駆動する動力駆動外科用ハンドピース(20)であって、前記切除アクセサリは、管状の回転軸(380)がそこから延長する駆動ハブ(390、418)を備えており、この駆動ハブは、回転軸と流体連絡するボアを設け、このハンドピースにおいては、本体(40)を設け、この本体にはモータ(26)を設け、前記駆動ハブと前記モータとを取り外し可能に結合する結合アセンブリ(42)を設け、このモータにおいては、磁界コイルアセンブリ(62)を設け、近傍端と遠方端とを有する管状の軸(66)を前記磁界コイルアセンブリ内に回転可能に配置して設け、前記軸には複数のマグネット(68)を設け、また前記結合アセンブリにおいては、その遠方端が前記モータ軸の遠方端の前側に位置しているとともにその近傍端が前記モータ軸の近傍端の後方に位置しているモータ管(124)を前記モータ軸内に設け、前記モータ管の遠方端に取り付けるヘッドを設け、このヘッドには前記切除アクセサリの駆動ハブの面要素と取り外し可能に係合する面要素を設け、また前記ハンドピースにおいては、前記本体内に配置するとともに前記モータ軸の回転運動を前記モータ管に伝達するために前記モータ軸と前記結合アセンブリのモータ管とを結合するギア列(42)を設け、前記モータ管の近傍端を受け入れ前記モータ管と吸引取付部(43)とを連結する前記ハウジングに配置する後部部材(278)を設けたことを特徴とする切除アクセサリ(24)を駆動する動力駆動外科用ハンドピース(20)。
【請求項21】
前記後部部材(278)は、前記モータ管と前記吸引取付部との流体連絡を調整するためのバルブ部材(306)が取り付けられるバルブブロックであることを特徴とする請求項20に記載の外科用ハンドピース(20)。
【請求項22】
前記ギア列(42)は、モータ軸の回転速度よりも遅い回転速度で前記モータ管を回転させるギア減速装置であることを特徴とする請求項20または請求項21に記載の外科用ハンドピース(20)。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2006−507031(P2006−507031A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−521651(P2004−521651)
【出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/021656
【国際公開番号】WO2004/006787
【国際公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願人】(595148888)ストライカー・コーポレーション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2725 Fairfield Road,Kalamazoo,Michigan United States of America
【Fターム(参考)】