説明

外部機器制御装置

【課題】AVアンプなどの音響機器において、コスト増加を抑制しつつ、その音響機器の各種設定を容易に行うこと。
【解決手段】本発明の実施形態に係るAVシステムにおいて、再生装置は、音響処理装置の機種に対応した制御プログラムをサーバから取得して実行することにより、音響処理装置において施される音響処理の設定についての設定画面を表示装置の表示画面に表示させ、その表示を確認しながら利用者によって指定された指示により、音響処理装置における音響処理の設定を行う。したがって、音響処理装置において、コストをかけて音響処理の設定に対応した設定画面を示すデータや表示させるための表示機能を持たせなくても、表示画面に表示させるための映像データを生成する生成部を有する再生装置を用いて高品質で使いやすい設定画面を表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続された外部機器の制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な音響処理を行う機能を有したAVアンプなどを用いてスピーカから放音させることにより、高音質で様々なコンテンツを楽しむことができる。どのような音響処理を行うかについては、通常、AVアンプに設けられた表示画面を見ながら設定する。テレビ装置などの表示装置と接続している場合には、OSD(On Screen Display)表示機能を用いるなどして、この表示装置の表示画面に設定画面を表示させ、この表示画面を見ながらAVアンプのリモコンなどを操作して音響処理の設定を行うことができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−187027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AVアンプなどの音響機器においては、その機器としての性質から音響処理を行う機能については充実しているが、映像を出力することについての機能については主目的としていないことから、表示機能については充実していない。したがって、設定を行うための表示機能としてのOSDがあったとしても、これは簡易な表示を行うにとどまっている。そのため、表示装置の表示画面に設定画面を表示させたとしても、簡易なものであることには変わりなく、複雑な設定を行うには不便であったり、設定内容、設定方法が一見してわかりにくかったりする場合があった。一方、表示画面に表示される内容を充実するためには、音響機器を使用する上で重要な要素でない映像を出力する機能を充実させる必要があり、コスト増加の要因になっていた。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、AVアンプなどの音響機器において、コスト増加を抑制しつつ、その音響機器の各種設定を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、入力されるオーディオデータに係る音に音響処理を施してスピーカに放音させる外部機器に対してインターフェイスを介して接続し、当該外部機器とデータの入出力を行う接続手段と、オーディオデータを生成し、前記接続手段に接続された外部機器に出力するオーディオデータ出力手段と、前記接続手段によって接続された外部機器から、当該外部機器の種類を特定する識別情報を取得する識別情報取得手段と、外部機器の音響処理に係る設定画面を表示画面に表示するとともに当該外部機器に対して音響処理の設定を行う機能を実現する制御プログラムを取得するプログラム取得手段であって、複数種類の外部機器の各々に対応した前記制御プログラムを記憶したサーバから、前記識別情報取得手段によって取得した識別情報が特定する外部機器の種類に対応する前記制御プログラムを取得するプログラム取得手段と、映像データを生成し、入力される映像データに応じた表示を行う表示画面を有する表示手段に前記映像データを出力する映像データ出力手段と、前記プログラム取得手段によって取得された制御プログラムを実行して、入力される指示情報に応じて変化する前記設定画面を前記表示画面に表示させるように前記表示手段に出力される映像データの内容を制御するとともに、前記接続手段によって接続された外部機器を当該指示情報に応じて制御して音響処理の設定を行う制御手段とを具備することを特徴とする外部機器制御装置を提供する。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記サーバは、前記音響処理を行うためのパラメータを音響処理の内容に対応して記憶し、前記制御手段は、前記音響処理の設定において必要な前記パラメータを前記サーバから前記ネットワークを介して取得して、前記接続手段によって接続された外部機器に設定することを特徴とする。
【0008】
また、別の好ましい態様において、記録媒体に記録された情報を読み出す読出手段とを具備し、前記オーディオデータ出力手段は、前記読出手段によって読み出された情報に基づいてオーディオデータを生成し、前記映像データ生成手段は、前記読出手段によって読み出された情報に基づいて映像データを生成し、前記制御手段は、前記表示画面に表示させる前記設定画面の内容を、前記読出手段によって読み出された情報に応じて変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、AVアンプなどの音響機器において、コスト増加を抑制しつつ、その音響機器の各種設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るAVシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】サーバに記憶されているデータベースを説明する図である。
【図3】設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】制御プログラム実行処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】スピーカ設定画面の一例(測定)を示す図である。
【図6】スピーカ設定画面の一例(設定結果)を示す図である。
【図7】音場設定画面の一例(ホール選択)を示す図である。
【図8】音場設定画面の一例(座席選択)を示す図である。
【図9】変形例1に係るサーバに記憶されているデータベースを説明する図である。
【図10】変形例1に係る更新処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るAVシステム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、AVシステム1は、本発明の外部機器制御装置の一例である再生装置10、この再生装置10とインターネットなどのネットワーク1000を介して接続されるサーバ20、AVアンプなどの音響処理装置30、スピーカなどの入力されるオーディオ信号に応じて放音する放音装置40、テレビ装置など各種表示を行う表示画面500を有する表示装置50を有する。
【0012】
再生装置10と音響処理装置30との間、また音響処理装置30と表示装置50との間は、例えば、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)を用いて互いに接続され、CEC(Consumer Electronics Control)による各種制御、各種データの入出力などを相互に行うことができる。ここで、再生装置10と表示装置50とは音響処理装置30を介して間接的に接続されているが、後述するようにして再生装置10から出力される映像データについては、音響処理装置30を通過して表示装置50に出力されるようになっている。
なお、このように再生装置10と表示装置50との接続は間接的なものに限られず、直接接続されていてもよい。また、映像データ、オーディオデータ、各種制御を行うための制御信号などの入出力が可能な接続になっていれば、HDMIを用いた接続でなくてもよい。また、これらの接続は、有線であっても無線であってもよい。
【0013】
音響処理装置30は、後述するようにして再生装置10から出力されるオーディオデータを取得すると、オーディオデータに係る音に音場効果を付与するなどの各種音響処理を施す。そして、音響処理が施されたオーディオデータをデジタルアナログ変換した結果得られるオーディオ信号を放音装置40に出力する。この音響処理の内容については、再生装置10において後述するようにして行われる設定処理によって、再生装置10から出力される制御信号に応じて音響処理が設定される。また、音響処理装置30は、再生装置10からの要求により、自装置の機種を示す識別情報を再生装置10に出力する。
表示装置50は、後述するようにして再生装置10から出力される映像データを取得すると、表示画面500に映像データに応じた表示を行う。
【0014】
[サーバ20の構成]
サーバ20は、ハードディスクなどの記憶手段に、再生装置10において実行される制御プログラムを登録したプログラムDB(データベース)、および制御プログラム実行時に用いられる各データ、パラメータなどを記憶する設定DB(データベース)を記憶する。プログラムDB、設定DBについて、図2を用いて説明する。
【0015】
図2は、サーバ20に記憶されているデータベースを説明する図である。図2(a)は、プログラムDBを示し、音響処理装置30となる機種ごとに対応して制御プログラムが登録されている。例えば、機種A、B、Cについては、それぞれ制御プログラムA、B、Cが対応してプログラムDBに登録されている。ここで、機種とは、型番などの識別情報により特定される音響処理装置30の種類を示す。この例においては音響処理装置30に対応した制御プログラムが登録されているものとするが、さらに表示装置50に対応する制御プログラムなどが登録されていてもよい。
【0016】
制御プログラムとは、再生装置10において実行されると、音響処理装置30における音響処理の設定を行うときの設定画面を表示画面500に表示させるための映像データを生成するとともに、音響処理装置30における音響処理の設定をするための制御信号を生成する機能を実現するためのプログラムである。音響処理装置30の機種ごとに、設定可能な内容が異なったり、受け付ける制御信号の内容が異なったりすることから、各機種に対応して制御プログラムが登録されている。なお、この例においては、音響処理に係る制御プログラムを例としたが、他にも様々な設定に係る制御プログラムが存在してもよい。
【0017】
図2(b)は、設定DBの一例を示し、制御プログラムにより実現される音響処理の設定のうち、オーディオデータに係る音に音場効果を付与する設定を行うときに用いられるデータなどが登録されている例を示している。この設定DBは、様々なホールに対応する音場効果を付与するためのデータなどが登録され、各ホールに対応して、そのホールの基本的な音響特性、座席配置、設定画面の表示内容に関する情報などが含まれる基本データ、およびそのホールの各座席における音場を再現するためのパラメータを示す座席パラメータが登録されている。例えば、ホールAに対応して基本データAが登録され、さらに座席パラメータ(1−A1、1−A2、・・・)が登録されている。座席パラメータ(2−D5)は、2階のD5席において、ステージ上の演奏を聴取した場合の音場を再現する音場効果を付与するためのパラメータを示している。
なお、これらの基本データ、パラメータが機種ごとに異なるものが必要である場合には、機種ごとにこれらが登録されていてもよいし、全ての機種において同じパラメータを登録しておき、制御プログラムの実行により各機種に対応した基本データ、パラメータなどに変換されるようにしてもよい。
【0018】
サーバ20は、上述したようにネットワーク1000を介して再生装置10と接続し、再生装置10からの要求に応じて、制御プログラム、基本データ、座席パラメータなどを再生装置10に送信する。例えば、再生装置10から、機種Aに対応する制御プログラムの送信を要求された場合には、サーバ20は、プログラムDBを参照して、機種Aに対応する制御プログラムAを再生装置10に送信する。また、再生装置10において制御プログラムが実行されることによって、設定DBを参照して、基本データ、座席パラメータの送信を要求された場合には、サーバ20は、設定DBを参照して、要求されたホール、座席に対応する基本データ、座席パラメータを再生装置10に送信する。以上が、サーバ20の構成についての説明である。
【0019】
[再生装置10の構成]
次に、再生装置10の構成について、図1に戻って説明する。再生装置10は、制御部110、操作信号取得部120、再生部130、接続部140、記憶部150および通信部160を有する。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有する。CPUは、ROMもしくはRAM、記憶部150から基本プログラムを読み出して実行することにより、再生装置10の各部を制御する。また、後述する設定処理において、サーバ20から取得した制御プログラムを実行すると、制御プログラムの内容にしたがった機能を実現する。
【0020】
操作信号取得部120は、操作子を有するリモコン121などから、操作子の操作に応じて赤外線、電波などにより送信される操作信号を受信して、制御部110に出力する。この操作信号が制御部110に入力されることにより、制御部110は、利用者による各種指示を認識し、この指示に応じて各部を制御する。なお、この例においては、操作信号により利用者からの指示を認識したが、操作に応じた操作信号でなくても利用者からの指示を認識できる指示情報であれば、どのようなものであってもよい。すなわち、操作信号も指示情報の一態様である。
【0021】
再生部130は、光ディスク保持部131、読出部132および生成部133を有し、制御部110の制御によって、光ディスクに記録されている映画などの情報(例えば、映画の映像および音声)を読み出して、コンテンツ情報に応じた映像を示す映像データ、音声を示すオーディオデータを出力する。
光ディスク保持部131は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(登録商標))などの光ディスクを保持し、制御部110の制御によって保持した光ディスクを回転させる。読出部132は、光ディスク保持部131に保持された光ディスクに記録されたコンテンツ情報の映像を示す部分、音声を示す部分を読み出して生成部133に出力する。
【0022】
生成部133は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)などであって、読出部132から出力された情報に基づいて、映像データおよびオーディオデータを生成して出力する。
また、生成部133は、制御部110の制御により、後述する設定画面などを示す映像データを生成して出力する。このとき、生成部133は、上述の光ディスクに記録された情報に基づく映像データの生成を停止してもよいし、双方の映像データに係る映像をPIP(Picture In Picture)により合成した映像データを生成するようにしてもよい。
また、映像データだけでなく、オーディオデータについても同様であり、制御部110の制御により、設定画面などに対応した音声を示すオーディオデータを生成して出力する。このとき、上述の光ディスクに記録された情報に基づくオーディオデータの生成を停止してもよいし、双方のオーディオデータに係る音声をミキシングしたオーディオデータを生成するようにしてもよい。また、制御部110の制御により、光ディスクに記録された情報に基づくオーディオデータに対して音響処理を施してもよい。
映像データ、オーディオデータのそれぞれについて、上述のどの態様で生成されるかは、制御部110の制御による。なお、設定画面などの映像データ、これに対応したオーディオデータについて、制御部110において生成し、後述の入出力部142において合成処理などを行うようにしてもよい。
【0023】
接続部140は、インターフェイス(IF)141および入出力部142を有する。インターフェイス141は、音響処理装置30と接続して、データの入出力を行うための接続端子などである。上述したように、このインターフェイス141と直接接続されていない表示装置50に対してもデータの入出力ができる。以下、データの入出力が可能なこれらの機器を、それぞれ区別しない場合には外部機器という。
入出力部142は、生成部133から出力される映像データ、オーディオデータ、制御部110から出力される制御信号などを、インターフェイス部141を介して外部機器に出力する。これにより、映像データが表示装置50により取得されると、映像データが示す映像が表示画面500に表示される。この映像には、上述したように制御部110の制御による設定画面なども含まれる。
一方、入出力部142は、インターフェイス部141を介して外部機器から入力される情報、例えば、要求に応じて出力される音響処理装置30の機種を識別する識別情報を制御部110に出力する。
【0024】
記憶部150は、ハードディスク、不揮発性メモリなどの大容量記憶手段であって、制御部110の制御により、記憶内容の読み出し、書き換えなどが行われる。この例においては、サーバ20から受信した各種制御プログラム、データ、基本プログラムなどを記憶する。
通信部160は、NIC(Network Interface Card)などの通信手段であって、ネットワーク1000を介してサーバ20と接続して、制御部110の制御によりサーバ20に対して、制御プログラム、基本データ、座席パラメータなどの送信を要求する。ここで、制御プログラムを要求するときには、上述したように、予め取得した識別情報が示す機種、すなわち音響処理装置30の機種に対応する制御プログラムを要求する。以上が、再生装置10の構成についての説明である。
【0025】
[再生装置10の動作]
次に、再生装置10の制御部110がROM、RAM、記憶部150に記憶されている基本プログラムを実行することによって行われる設定処理について、図3から図8を用いて説明する。設定処理とは、外部機器、この例においては音響処理装置30における音響処理の設定を行うための制御プログラムをサーバ20から取得して実行することにより、その設定を行う処理である。
【0026】
[設定処理]
図3は、設定処理の流れを示すフローチャートである。フローチャートに沿って順に説明する。まず、利用者によるリモコン121の操作などによる設定処理の開始指示がなされると、制御部110は、設定処理を開始する。まず、制御部110は、インターフェイス141に接続されている外部機器を表示画面500に表示させる(ステップS110)。ここでは、音響処理装置30と表示装置50とが再生装置10に接続されていることを示す表示内容で表示画面500に表示される。ここで、再生装置10にどのような外部機器が接続されているかについては、設定処理が開始されたときに、外部機器の識別情報を受信して、接続されている外部機器を認識すればよい。
なお、再生装置10とインターフェイス141を介して外部機器が直接的、間接的に接続されたときに、識別情報を受信して、記憶部150、制御部110のRAMなどに予め記憶しておいてもよい。また、識別情報の受信ではなく、複数の機種を候補リストなどとして、その中から接続されている外部機器の機種を選択できるように表示させてもよい。
【0027】
利用者は、表示画面500の表示内容を確認しながらリモコン121を操作して、設定を行いたい外部機器を選択する(ステップS120)。この例においては、音響処理装置30を選択する。音響処理装置30が選択されると、制御部110は、予め受信した識別情報のうち、選択された音響処理装置30の識別情報を取得(ステップS130)し、この識別情報が示す機種に対応した制御プログラムが、すでにサーバ20から取得済みであるなどして記憶部150に記憶されているか否かを判定する(ステップS140)。
【0028】
この制御プログラムが記憶部150に記憶されている場合(ステップS140;Yes)には、制御部110は、この制御プログラムを記憶部150から読み出して、実行する(ステップS200)。
一方、この制御プログラムが記憶部150に記憶されていない場合(ステップS140;No)には、制御部110は、サーバ20に対して、識別情報が示す機種に対応した制御プログラムの送信を要求(ステップS150)し、その応答としてサーバ20から送信される制御プログラムを受信して取得(ステップS160)し、記憶部150に記憶してから実行する(ステップS200)。そして、制御プログラムの実行処理が終了すると、設定処理は終了する。次に制御プログラムの実行処理(ステップS200)について説明する。
【0029】
[制御プログラム実行処理]
図4は、制御プログラム実行処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部110は、制御プログラムを実行すると、制御プログラムの内容にしたがって設定画面を表示画面500に表示させる(ステップS210)。制御部110は、利用者が表示画面500の設定画面を確認しながらリモコン121を操作することによって出力される操作信号を受け付ける(ステップS220)。
利用者の操作により、設定指示が行われる(ステップS230;Yes)と、制御部110は、制御信号を出力して音響処理装置30に操作に応じた音響処理の設定処理をさせる(ステップS240)。一方、その操作が設定指示ではなく(ステップS230;No)、終了指示でもない場合(ステップS250;No)、例えば、設定画面内のカーソルを動かすだけなどの場合には、制御部110は、引き続き操作を受け付ける(ステップS220)。また、その操作が設定指示ではなく(ステップS230;No)、終了指示であった場合(ステップS250;Yes)には、制御プログラムの実行処理を終了する。
【0030】
[設定画面の表示例]
以上が、制御プログラム実行処理の流れであるが、次に、具体的な設定画面の表示内容と設定処理について具体例を挙げて説明する。まず、放音装置40が複数チャンネル(例えば5.1ch)に対応するスピーカ(C、L、R、SL、SR、SW)を有している場合に、そのスピーカの配置位置と聴取位置との関係を測定して、その関係を設定(以下、スピーカ設定という)するときの設定画面について説明する。
【0031】
図5は、スピーカ設定画面の一例(測定)を示す図である。まず、スピーカ設定の開始を指示するリモコン121の操作が行われると、表示画面500には、図5(a)に示す設定画面が表示される。選択ウインドウW1には、「測定開始」または「キャンセル」のいずれかを選択する表示がされ、ポインタPをリモコン121の操作により上下に移動させて、いずれかを選択できるようになっている。
利用者が「測定開始」を選択すると、表示画面500の表示が図5(b)に示す内容に変更され、制御部110の制御によって音響処理装置30におけるスピーカ設定の処理が開始される。一方、「キャンセル」を選択すると、スピーカ設定を終了する。
ここで、スピーカ設定の処理とは、音響処理装置30が、各位置に配置されたスピーカからの音を出力させる一方、聴取位置に配置されたマイクにより収音し、収音結果から聴取位置と各スピーカとの配置位置との関係を測定し、音響処理を施すときの一パラメータとしてその位置関係を設定することである。詳細な処理の説明については公知の技術を用いればよいから省略する。
【0032】
図6は、スピーカ設定画面の一例(設定結果)を示す図である。図6(a)は、上述のようにスピーカ設定を行った結果として表示画面500表示される内容の一例を示した図である。この例においては、設定された位置関係が、表示画面500内のウインドウW2に模式的に表示される。なお、図6(b)は、放音装置40が複数の方向に指向した音を出力し、壁面反射を利用して聴取者に到達させるスピーカ(SP)を有している場合に、上記スピーカ設定を行った結果表示画面500に表示される内容の一例を示した図である。いずれの表示においても音の経路を矢印などにより表現した表示をしているが、この表示に限らず、波面などであらわしてもよいし、アニメーションなどにより表現してもよい。
【0033】
図7は、音場設定画面の一例(ホール選択)を示す図である。音場設定とは、音響処理装置30において、再生装置10から入力されたオーディオデータに係る音に音場効果を付与する処理を行うための設定を行うものである。この例においては、選択したホールにおける特定の座席における音場を再現するための設定である。図7(a)に示すように、表示画面500に、音場を再現したいホールの選択をするための選択ウインドウW3が表示される。そして、表示画面500内の表示の背景には、ポインタPによって選択されているホールをイメージした表示がなされるとともに、説明ウインドウW4にホールの説明が表示される。利用者は、リモコン121を操作するなどしてポインタPを移動させ、例えば、ホールAからホールBにポインタPを移動させると、表示画面500の表示内容が、図7(a)に示す表示から図7(b)に示す表示に変更される。
なお、説明ウインドウW4におけるホールの説明においては、文章での説明だけでなく、周波数特性などのグラフ、図などを用いてもよい。
【0034】
これらの表示は、再生装置10が、サーバ20に対して、ポインタPによって選択されているホールに対応するデータの要求を行って、そのホールに対応する基本データをサーバ20から取得することによって行われるようになっている。このとき、再生装置10は、選択されたホールの座席のうち、代表的な座席として予め決められた座席に対応する座席パラメータについても取得して、そのパラメータを音響処理装置30に設定させてもよい。この場合には、選択とともに設定指示が行われているもの(図4におけるステップS230;Yes)として扱えばよい。このようにすれば、利用者は放音装置40からの放音により、どのような音場効果が付与されるのかを聴取しながらホールの選択を行うこともできる。選択により随時設定指示が行われるものとしない場合には、選択とは別に設定指示がなされたとき(図4におけるステップS230;Yes)に、音響処理装置30に設定させればよい(図4におけるステップS240)。
そして、利用者は、リモコン121の操作などにより音場を再現するホールを決定すると、次にホール内のどの座席を選択するかの設定を行う。
【0035】
図8は、音場設定画面の一例(座席選択)を示す図である。利用者は、図7に示す表示画面500の表示を見ながらホールを決定(この例においては、ホールAを決定)すると、図8(a)に示すように、表示画面500には、座席選択ウインドウW5が表示され、リモコン121などの操作により、ポインタPを移動させて座席を選択することができるようになっている。また、座席選択ウインドウW5の上部には、座席が設けられている階(1F、2F、3F)を示すタブが設けられ、1FタブT1を選択すると1Fの座席が座席選択ウインドウW5に表示される。2FタブT2を選択すると、図8(b)に示すような2Fの座席が座席選択ウインドウW5に表示される。
座席の選択のときに、再生装置10は、サーバ20に対して、選択中のホールAについて、ポインタPによって選択されている座席についての座席パラメータの要求をして、その座席パラメータをサーバ20から取得して、そのパラメータを音響処理装置30に設定させてもよい。この点は、上述したホールの選択の場合と同様である。
【0036】
ここで、上述の説明においては、ホール、座席の選択をしながら、音響処理装置30において選択内容に対応する音場効果を付与した音響処理をさせる場合に、設定に必要な基本データ、座席パラメータなどについては、選択に応じて随時取得するようになっていたが、制御プログラムの取得のときにまとめて関連するものを取得しておいてもよい。また、音響処理装置30において座席パラメータなどを予め記憶しているものとしてもよく、その場合には、再生装置10は、音響処理装置30に対して、記憶されている座席パラメータを用いて設定するように指示をすればよい。
【0037】
そして、リモコン121の操作などにより設定の終了指示がなされると、設定処理が終了する。上述した音響効果の設定の例(スピーカ設定、音場設定など)について、どの設定を行うかについては、設定画面の一部としてこれら設定のいずれかを行うかを選択するための表示がなされるようにして、リモコン121の操作などにより選択できるようにしておけばよい。
【0038】
このように、本発明の実施形態に係るAVシステム1において、再生装置10は、音響処理装置30の機種に対応した制御プログラムをサーバ20から取得して実行することにより、音響処理装置30において施される音響処理の設定についての設定画面を表示装置50の表示画面500に表示させ、その表示を確認しながら利用者によって指定された指示により、音響処理装置30における音響処理の設定を行う。
したがって、音響処理装置30において、コストをかけて音響処理の設定に対応した設定画面を示すデータや表示させるための表示機能を持たせなくても、表示画面500に表示させるための映像データを生成する生成部133を有する再生装置10を用いて高品質で使いやすい設定画面を表示させるとともに、音響処理装置30の設定を行うこともできる。また、接続される音響処理装置30の機種が変わっても、再生装置10は、その機種に応じた制御プログラムをサーバ20から取得できるから、様々な機種に対応して設定処理を行うこともできる。
【0039】
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
[変形例1]
上述した実施形態においては、再生装置10は、サーバ20から取得した制御プログラムを実行することにより、音響処理装置30における音響処理の設定を行っていたが、音響処理装置30において用いられる動作プログラムなどの更新を行うようにしてもよい。動作プログラムとは、音響処理装置30において実行されるプログラムであればどのようなものであってもよいが、例えば、音響処理装置30の基本動作を行うための基本プログラム、音響処理の内容を追加する差分プログラムなどである。
【0040】
図9は、サーバ20に記憶されているデータベースを説明する図である。この例においては、プログラムDBは、音響処理装置30の機種ごとに対応して動作プログラムが登録され、さらに、その動作プログラムのバージョンが対応付けられている。例えば、機種A、B、Cについては、それぞれ動作プログラムA、B、Cが対応してプログラムDBに登録され、それぞれのバージョンは、「1.2」、「1.13」、「2.1」である。
次に、音響処理装置30における動作プログラムの更新処理について図10を用いて説明する。
【0041】
図10は、更新処理の流れを示すフローチャートである。ステップSA110、SA120、SA130については、上述した図3におけるステップS110、S120、S130と同様な処理であるから、その説明を省略し、ステップSA150以降について説明する。
ここで、制御部110が取得する識別情報については、実施形態における識別情報とは異なり、機種を示すだけではなく、用いている動作プログラムのバージョンをも示している。
【0042】
再生装置10は、識別情報が示す機種と動作プログラムのバージョンとをサーバ20に通知することにより、接続されている音響処理装置30において用いられている動作プログラムが最新のバージョンであるかの確認を行う(ステップSA150)。サーバ20は、この通知を受けて、プログラムDBを参照し、通知された機種に対応するバージョンが、通知されたバージョンと同じであるか否かを判定する。そして、サーバ20は、これらのバージョンが同じであれば音響処理装置30において用いられている動作プログラムが最新バージョンであるものとして更新が不要であることを示す応答を、一方、異なっている場合には、最新バージョンではないものとして更新が必要であることを示す応答を、再生装置10に行う。これにより、再生装置10は、サーバからの応答を取得(ステップSA160)する。
【0043】
制御部110は、サーバ20からの応答の内容から、更新が不要であることを示している場合(ステップSA170;No)には、表示画面500に更新無しの通知(ステップSA185)を行うように制御して、更新処理を終了する。一方、更新が必要であることを示している場合(ステップSA170;Yes)には、表示画面に更新有りの通知(ステップSA180)を行うように制御する。
この表示を確認した利用者のリモコン121の操作により、更新指示の有無を判定(ステップSA190)し、更新指示が無かった(更新不要の指示があった)場合(ステップSA190;No)には更新処理を終了する。一方、更新指示があった(更新必要の指示があった)場合(ステップSA190;Yes)には、動作プログラム更新(ステップSA200)を行って終了する。
【0044】
動作プログラム更新とは、再生装置10が、サーバ20に対して識別情報が示す機種に対応した動作プログラムを要求し、その要求に応じてサーバ20から動作プログラムを取得して、音響処理装置30の動作プログラムを、取得した動作プログラムに更新する処理を行うことである。このようにして、動作プログラムを更新することもできる。
なお、サーバ20に実施形態と同様にして、音響処理装置30における動作プログラムを更新するために、再生装置10の制御部110において実行される制御プログラムを音響処理装置30の機種ごとに登録しておけば、再生装置10は、サーバ20から制御プログラムを取得して制御部110により実行し、音響処理装置30の動作プログラムの更新を実現してもよい。
【0045】
[変形例2]
上述した実施形態において、表示画面500に各種設定画面の表示が行われているときに、さらに、その設定画面に対応したマニュアルを表示させるようにしてもよい。この場合には、制御プログラムにマニュアルを表示させる機能を実現する内容を含むようにしてもよいし、マニュアルを表示するための別の制御プログラムをサーバ20から取得して並行して実行してもよい。この場合には、マニュアルを表示させ、利用者の指示により、マニュアルが表示されている部分に対応した設定を行うための設定画面が表示されるようにしてもよい。
【0046】
上述した実施形態において、制御プログラムが記憶部150に記憶されている場合(図3におけるステップS140;Yes)であっても、サーバ20に新しい制御プログラムの有無を確認するようにしてもよい。そして、新しいバージョンの制御プログラムがある場合には、これを取得して実行するようにしてもよい。新しいか否かの判定については、制御プログラムのバージョンを比較して行えばよい。
【0047】
[変形例3]
上述した実施形態において、光ディスク保持部131に保持された光ディスクに記録された情報として、そのコンテンツの内容を示す内容情報が記録されている場合には、読出部132は、この内容情報を読み出して、制御部110に出力する。制御部110は、制御プログラムを実行することにより表示画面500に表示される設定画面の内容を、この内容情報に応じて変更してもよい。例えば、内容情報が示すコンテンツの内容が、ホールBにおいて開催されたコンサートを示すものであった場合には、上述の音場設定において、ホールBが自動的に選択されるようにしてもよいし、ホールBを選択することを推奨する表示が行われるようにしてもよい。
この処理については、制御部110が内容情報に応じてホールBを選択する指示を示す指示情報を生成したものとしてもよい。すなわち、利用者のリモコン121の操作による指示ではなく、内容情報に応じて自動的に指示がされたものとしてもよい。
【0048】
また、再生装置10が内容情報をサーバ20に通知すると、サーバ20は、データベースなどを参照して、この内容情報から音響処理における推奨の設定内容を認識して応答する。そして、再生装置10は、推奨の設定内容に応じて設定画面の内容を決定してもよい。
なお、このような内容情報が光ディスクに記録されていない場合であっても、制御部110は、記録されているコンテンツ情報のうち、映像、音声に係る部分を解析して内容情報を生成してもよいし、サーバ20に解析させてもよい。
【0049】
[変形例4]
上述した実施形態においては、音響処理装置30における音響処理の設定を例として説明したが、表示装置50において音響処理を行う機能を有していれば、再生装置10は、表示装置50の機種に対応した制御プログラムを取得して実行することで、表示装置50における設定を変更することもできる。
【0050】
[変形例5]
上述した実施形態においては、再生装置10が制御プログラムを実行して、表示装置50の表示画面500に設定画面を表示させていたが、表示画面500に相当する表示画面を再生装置10が有していれば、再生装置10が有する表示画面に設定画面を表示させてもよい。そのため、再生装置10と表示装置50とが一体の装置となっていてもよい。
【0051】
[変形例6]
上述した実施形態における基本プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。この場合には、記録媒体を読み取るインターフェイスを設ければよい。また、ネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…AVシステム、10…再生装置、110…制御部、120…操作信号取得部、121…リモコン、130…再生部、131…光ディスク保持部、132…読出部、133…生成部、140…接続部、141…インターフェイス、142…入出力部、150…記憶部、160…通信部、20…サーバ、30…音響処理装置、40…放音装置、50…表示装置、500…表示画面、1000…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるオーディオデータに係る音に音響処理を施してスピーカに放音させる外部機器に対してインターフェイスを介して接続し、当該外部機器とデータの入出力を行う接続手段と、
オーディオデータを生成し、前記接続手段に接続された外部機器に出力するオーディオデータ出力手段と、
前記接続手段によって接続された外部機器から、当該外部機器の種類を特定する識別情報を取得する識別情報取得手段と、
外部機器の音響処理に係る設定画面を表示画面に表示するとともに当該外部機器に対して音響処理の設定を行う機能を実現するための制御プログラムを取得するプログラム取得手段であって、複数種類の外部機器の各々に対応した前記制御プログラムを記憶したサーバからネットワークを介して、前記識別情報取得手段によって取得した識別情報が特定する外部機器の種類に対応する前記制御プログラムを取得するプログラム取得手段と、
映像データを生成し、入力される映像データに応じた表示を行う表示画面を有する表示手段に前記映像データを出力する映像データ出力手段と、
前記プログラム取得手段によって取得された制御プログラムを実行して、前記設定画面を前記表示画面に表示させるように前記表示手段に出力される映像データの内容を制御するとともに、前記接続手段によって接続された外部機器を、入力される指示情報に応じて制御して音響処理の設定を行う制御手段と
を具備することを特徴とする外部機器制御装置。
【請求項2】
前記サーバは、前記音響処理を行うためのパラメータを音響処理の内容に対応して記憶し、
前記制御手段は、前記音響処理の設定において必要な前記パラメータを前記サーバから前記ネットワークを介して取得して、前記接続手段によって接続された外部機器に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の外部機器制御装置。
【請求項3】
記録媒体に記録された情報を読み出す読出手段と
を具備し、
前記オーディオデータ出力手段は、前記読出手段によって読み出された情報に基づいてオーディオデータを生成し、
前記映像データ生成手段は、前記読出手段によって読み出された情報に基づいて映像データを生成し、
前記制御手段は、前記表示画面に表示させる前記設定画面の内容を、前記読出手段によって読み出された情報に応じて変更する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の外部機器制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−30135(P2011−30135A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176186(P2009−176186)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】