説明

外部電極型放電ランプおよびその製造方法

【課題】外部電極とガラスバルブとの接合に支障を来たすことなく、点灯中の外部電極の温度を低減することが可能な外部電極型放電ランプを提供する
【解決手段】周方向に互いに離れた第1の端部12aと第2の端部12bとを備える筒状の外部電極12と、外部電極12に挿入した状態で外部電極12に接合され、外部電極12への電圧印加によって発光するガラスバルブ11と、外部電極12のガラスバルブ11に面する内面のうち第1の端部12aまたは第2の端部12bの少なくとも一方に近接した端部領域21に設けられた突起物13であって、突起物13の高さHが、ガラスバルブ11の外径ODとガラスバルブ11の挿入前の外部電極12の内径IDとの差の値よりも高い突起物13と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電用の電極がガラスバルブの外面に設けられている外部電極型放電ランプおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルのバックライトとして用いられる放電ランプ(蛍光ランプ)には、放電用の電極がガラスバルブの外面に設けられている外部電極型放電ランプが提案されており、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の外部電極型放電ランプは、放電媒体の気体が封入されているガラスバルブと、ガラスバルブの両端の外面に設けられている外部電極とを有する。この放電ランプでは、外部電極は、予め、導電性の帯板を筒状に加工することによって形成されている。このとき、外部電極の内径は、ガラスバルブの外径よりも小さくなるように加工されている。そして、ガラスバルブを外部電極に挿入することによって外部電極がガラスバルブに装着される。その後、外部電極とガラスバルブとがハンダで接合される。
【0004】
特許文献1に記載の外部電極型放電ランプでは、ガラスバルブが外部電極に挿入した際、外部電極は、その内径が径方向外側に広がったことに対する弾性変形によってガラスバルブに固定される。これにより、ハンダディップ工程を支障なく行うことが可能となる。なお、ハンダディップ工程とは、ハンダ接合の対象物(外部電極とガラスバルブ)をハンダ浴槽に浸して接合させる工程である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−134289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているように、外部電極の弾性を利用して外部電極をガラスバルブに固定させる外部電極型放電ランプでは、外部電極の厚みが厚くなる(例えば、0.1mmの厚さが0.2mm以上に厚くなる)と、外部電極の放熱面積が増加する。そのため、点灯中の外部電極の温度低減が可能となる。しかし、外部電極の厚みが厚くなるにつれてガラスバルブを挿入した際に外部電極が変形しにくくなる。そこで、ガラスバルブの挿入前(部品状態)の外部電極の内径を広くすると、ガラスバルブの挿入の際に外部電極が弾性変形しなくなり、その結果、外部電極をガラスバルブへ固定できなくなる場合が考えられる。この場合、ハンダディップにて外部電極とガラスバルブとを接合させる際に接合が不十分になることが懸念される。
【0007】
本発明は、外部電極とガラスバルブとの接合に支障を来たすことなく、点灯中の外部電極の温度を低減することが可能な外部電極型放電ランプおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明による外部電極型放電ランプは、周方向に互いに離れた第1の端部と第2の端部とを備える筒状の外部電極と、前記外部電極に挿入した状態で前記外部電極に接合され、前記外部電極への電圧印加によって発光するガラスバルブと、前記外部電極の前記ガラスバルブに面する内面のうち前記第1の端部または前記第2の端部の少なくとも一方に近接した端部領域に設けられた突起物であって、前記突起物の高さが、前記ガラスバルブの外径と前記ガラスバルブの挿入前の前記外部電極の内径との差の値よりも高い突起物と、を有する。
【0009】
また、上記目的を達成するための本発明による外部電極型放電ランプの製造方法は、周方向に互いに離れた第1の端部と第2の端部とを備え、前記第1の端部または前記第2の端部の少なくとも一方に近接した内面に突起物が設けられた筒状の外部電極に、ガラスバルブを挿入する第1の工程と、前記ガラスバルブと前記外部電極とを接合する第2の工程と、を有し、前記突起物の高さが、前記ガラスバルブの外径と前記ガラスバルブの挿入前の前記外部電極の内径との差の値よりも高い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガラスバルブの挿入時に、ガラスバルブが突起物に当接し、突起物を径方向外側に押し出すように外部電極を広げようとするので、外部電極を径方向外側に変形させやすくなる。そのため、この外部電極は、その厚みが厚くなっても、突起物が形成されていないものに比べ弾性変形が起こりやすくなる。これにより、厚みのある外部電極をガラスバルブに確実に固定した状態でハンダ接合を行うことが可能となる。よって、外部電極とガラスバルブとの接合に支障を来たすことなく、点灯中の外部電極の温度を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の外部電極型放電ランプの一実施形態を示す側面図である。
【図2】ガラスバルブの挿入前の外部電極の構造を説明するための図である。
【図3】本実施形態の外部電極型放電ランプにおいて、ガラスバルブを外部電極に挿入する様子を示した側面図である。
【図4】本発明の外部電極型放電ランプが備えている外部電極の他の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の外部電極型放電ランプに形成されている突起物の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の外部電極型放電ランプの一実施形態を示す側面図である。図1に示すように、本実施形態の外部電極型放電ランプ1は、ガラスバルブ11と、外部電極12とを有する。
【0013】
ガラスバルブ11は、外径ODが3〜4mmであり、内部空間が形成されている。この内部空間には、放電媒体の気体(例えば、アルゴンと水銀蒸気との混合ガス)が封入されている。また、ガラスバルブ12の内面には、放電により生じる紫外線を可視光に変換する蛍光体(不図示)が設けられている。
【0014】
ガラスバルブ11の両端の外面には、外部電極12がハンダ(不図示)でそれぞれ接合されている。外部電極型放電ランプ1では、外部電極12間に電圧印加されると、ガラスバルブ12内で放電が生じる。すると、放電で生じる紫外線が蛍光体によって可視光に変換されることによって、ガラスバルブ12は発光する。ここで、図2を用いて外部電極12について詳しく説明する。
【0015】
図2は、ガラスバルブ12の挿入前の外部電極12の構造を説明するための図である。図2(a)は、外部電極型放電ランプ1の軸方向(図1の矢印100参照)から見たときの外部電極12の側面図である。図2(b)は、図2(a)に示す外部電極12をA−A方向に上から見た上面図である。
【0016】
外部電極12は、導電性の帯板を筒状に加工した金属部材(スリーブ)であり、厚みt(図2(a)参照)は、0.2mm以上である。外部電極12は、周方向に互いに離れた第1の第1の端部12aと、第2の第2の端部12bとを備えている。また、外部電極12は、第1の第1の端部12aが第2の第2の端部12bよりも外側に位置し、周方向に重なり合った重複領域20を持つように加工される(図2(a)、(b)参照)。このように、重複領域20を持つように加工することで、放熱面積が増加する。そのため、外部電極型放電ランプ1の点灯中の外部電極12の温度をより一層低減することが可能となる。
【0017】
外部電極12の内面のうち、第1の端部12aに近接する端部領域21には、突起物13が形成されている。本実施形態では、端部領域21は、外部電極12のガラスバルブ11の挿入前の状態において、第1の端部12aから重複領域20だけ周方向に離れた第1の位置P1と、第1の端部12aから外部電極12の内面に沿って第2の端部12bに向かう方向に測ったときに外部電極12の中心Cに対して第1の位置P1とのなす角度θが120度になる第2の位置P2と、で仕切られた範囲内である(図2(a)参照)。すなわち、本実施形態では、突起物13は、図2(a)において、第1の位置P1を時計の12時とみなしたときに、8時から12時の方向の範囲内に形成されている。
【0018】
突起物13の高さHは、ガラスバルブ11の挿入前の外部電極12の内径ID(図2(a)参照)とガラスバルブ11の外径OD(図1参照)との差の値よりも高い。
【0019】
次に、本実施形態の外部電極型放電ランプの製造方法について説明する。
【0020】
まず、導電性の帯板において、端部領域21に該当する位置に突起物13を形成する。本実施形態では、エンボス加工を施すことによって半球状の突起物13を形成する。そして、突起物13が形成された帯板を筒状に加工する。なお、本実施形態では、エンボス加工により突起物13を形成しているので、外部電極12において、突起物13が形成されている内面に対向する外面は径方向内側に窪んでいる(図2(b)参照)。
【0021】
次に、図3(a)〜(c)に示すように、2つの外部電極12がガラスバルブ11の両端に位置するように、ガラスバルブ11を外部電極12の各々に順次挿入する(第1の工程)。最後に、ガラスバルブ11と外部電極12とをハンダディップにて接合する(第2の工程)。
【0022】
ガラスバルブ11を外部電極12に挿入する工程において、上述したように、突起物13の高さHが、外部電極12の内径IDとガラスバルブ11の外径ODとの差の値よりも高いので、ガラスバルブ11が突起物13に当接する。すると、外部電極12を径方向外側に広げようとする力30(図2(a)を参照)が生じる。力30が生じると、外部電極12の弾性により力30と反対方向の力が働き、この力によって、外部電極12がガラスバルブ11に固定される。これにより、外部電極12とガラスバルブ11とのハンダ接合を円滑に行うことが可能となる。
【0023】
本実施形態では、上述したように、外部電極12の第1の端部12aの近傍に突起物13が形成されているので、ガラスバルブ11の挿入時に外部電極12を径方向外側に変形させやすくなる。そのため、外部電極12の厚みが厚くなっても外部電極12をガラスバルブ12に固定できるようになる。よって、外部電極とガラスバルブとの接合に支障を来たすことなく、点灯中の外部電極の温度を低減することが可能となる。
【0024】
なお、本実施形態では、外部電極12は、重複領域20を持つ筒状に加工される形態としたが、外部電極は、例えば図4に示す外部電極22のように、重複領域20を持たない筒状に形成されていてもよい。図4に示すように、外部電極12が重複領域20を持たない形状に加工されていても、第1の端部22aまたは第2の端部22bの少なくとも一方の近傍に上述した突起物13が形成されていれば、ガラスバルブ11の挿入時に、外部電極22は、外部電極12と同様に径方向外側に変形しやすくなる。したがって、外部電極22の厚みが厚くなっても外部電極22をガラスバルブ11に固定できる。
【0025】
また、本実施形態では、突起物を半球状としたが、突起物は、ガラスバルブ11の挿入時に外部電極を径方向外側に変形させることが可能な形状であればよい。
【0026】
図5は、外部電極に形成されている突起物の他の実施形態を示す図であり、図2(b)と同様に図2(a)に示すA−A方向から外部電極を見た上面図である。図5(a)は、突起物が3個以上形成されている外部電極の一実施形態を示す。一方、図5(b)は、連続した形状の突起物が形成されている外部電極の一実施形態を示す図である。
【0027】
外部電極12では、2つの突起物13が形成された形態であったが、突起物13の数は特に制限されるものではなく、図5(a)に示す外部電極32のように3個以上であってもよい。さらに、外部電極12では、2つの突起物13が互いに離れた形態であったが、突起物の形状は、図5(b)に示す外部電極42に形成されている突起物23のように連続していてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 外部電極型放電ランプ
11 ガラスバルブ
12、22、32、42 外部電極
13、23 突起物
20 重複領域
21 端部領域
30 力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に互いに離れた第1の端部と第2の端部とを備える筒状の外部電極と、
前記外部電極に挿入した状態で前記外部電極に接合され、前記外部電極への電圧印加によって発光するガラスバルブと、
前記外部電極の前記ガラスバルブに面する内面のうち前記第1の端部または前記第2の端部の少なくとも一方に近接した端部領域に設けられた突起物であって、前記突起物の高さが、前記ガラスバルブの外径と前記ガラスバルブの挿入前の前記外部電極の内径との差の値よりも高い突起物と、
を有する外部電極型放電ランプ。
【請求項2】
前記突起物は、エンボス加工により形成されている、請求項1に記載の外部電極型放電ランプ。
【請求項3】
前記外部電極は、前記周方向に重なり合った重複領域を持つように前記ガラスバルブに接合されている、請求項1または請求項2に記載の外部電極型放電ランプ。
【請求項4】
前記端部領域は、前記第1の端部が前記第2の端部よりも外側に位置し、前記外部電極の前記ガラスバルブの挿入前の状態において、前記第1の端部から前記重複領域だけ前記周方向に離れた第1の位置と、前記第1の端部から前記外部電極の前記内面に沿って前記第2の端部へ向かう方向に測ったときに前記外部電極の中心に対して前記第1の位置とのなす角度が120度になる第2の位置と、で仕切られた範囲内である、請求項3に記載の外部電極型放電ランプ。
【請求項5】
前記外部電極は、前記周方向に重なり合った重複領域を持たないように前記ガラスバルブに接合されている、請求項1または請求項2に記載の外部電極型放電ランプ。
【請求項6】
前記外部電極の厚みが0.2mm以上である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の外部電極型放電ランプ。
【請求項7】
周方向に互いに離れた第1の端部と第2の端部とを備え、前記第1の端部または前記第2の端部の少なくとも一方に近接した内面に突起物が設けられた筒状の外部電極に、ガラスバルブを挿入する第1の工程と、
前記ガラスバルブと前記外部電極とを接合する第2の工程と、を有し、
前記突起物の高さが、前記ガラスバルブの外径と前記ガラスバルブの挿入前の前記外部電極の内径との差の値よりも高い、外部電極型放電ランプの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−100563(P2011−100563A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252931(P2009−252931)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)