説明

多チャンネル試験器、その製造法及びその使用

本発明の目的は免疫拡散法及び免疫クロマトグラフィー法に基づいた多チャンネル試験器であって、幾種類もの被検体を同時に又は平行に測定できる試験器である。この試験器では、アレルギー発生要因、心筋梗塞マーカー、性病発症要因、血液スクリーニング被検体、呼吸器感染症発症要因、IgG,IgA及びIgM抗体、他の感染症発症要因、並びに各種の癌マーカーを認識するマーカーの様々な組合せを一緒にグループ化することができる。多チャンネル試験器は多孔質の担体材料を含み、そこにチャンネルネットワークがレーザーで担体材料をエッチングしていくつかのチャンネルを含む形成された形状を形成させることによって形成されている。チャンネルには様々な特異的接合剤が固定されており、標的の疾患及び/又は症候群の診断を可能にする。試料塗布部位は任意にフィルターを備えており、分析可能な試料及び特異的結合剤によって移動可能な標識を任意に含む。試験器の製造方法及びその使用も本発明で開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数種類の分析を同時に又は平行に実施できる免疫拡散法に基づいた多チャンネル試験器に関する。この装置の製造及び使用も本発明で開示する。
【背景技術】
【0002】
免疫拡散法に基づいた方法と試験器は、例えば以下の特許と特許願:米国特許第4757002号、同第3990852号、同第4562147号及び欧州特許第0250137号から公知である。免疫拡散法に基づいた免疫クロマトグラフィー法は、例えば以下の特許及び特許願:欧州特許第0291194号、同第0284232号(FI93150)及び国際特許願公開第WO86/03839号に開示されている。
【0003】
免疫拡散法と免疫クロマトグラフィー法に基づいた上記試験器は、一試験器当たり一つの分析だけを実施するために使用することが最も多い。多くの症例では、特定の疾病又は症候群に冒されている患者の確定診断を行い次いで適切な治療法を選択するのに幾種類もの分析を行う必要があることがある。症状や疾病を起こす疾患の原因を認識し又は特定の疾病を排除するのに幾種類もの試験が必要であれば、診断を行うことが非常に高価になるので通常一つだけ又は非常に限られた数の分析しか行われず、これらの分析は、治療内科医の判断に基づいて又は通常使用される試験からランダムに選択され、この場合、他の選択肢は不明確なままのことがある。
【0004】
2以上の試験チャンネルを使用することは、米国特許第B1 6171870号及び米国特許願公開第A1 2003/0040021号から公知である。米国特許第B1 6171870号は、このようなチャンネルを、撥水性物質例えばワックスを多孔質担体に塗布することによって製造する方法に関する特許である。その処理された領域はそれらチャンネルの間にブロッキングセグメントを形成する。米国特許願公開第A1 2003/0040021号に記載されている方法では、試料が処理されたチャンネルにそって移動するが、処理されていない領域がそのチャンネルの間に残されている。
【発明の開示】
【0005】
従来技術の方法と試験器を超える本発明の利点としては、環境に対する優しさ、寿命及び使用者に対する優しさの改善のみならず、薬剤と材料の消費量及び試料の容積と輸送料の減少がある。環境に対する優しさは、使用される試験器によって起こる環境に対する負担を減らすことによって、向上させることができる。薬剤の消費量と労務費を節約するため、本発明の方法は、試験器を、極めて低いコストで製造することができる。
【0006】
免疫拡散法と免疫クロマトグラフィー法に基づいた従来の試験器に付随する問題点は本発明で克服され、本発明の特徴は本願の特許請求の範囲に開示されている。
【0007】
免疫拡散法に基づいた本発明の試験器は、多孔質の担体材料を含みそしてその材料中にゾーン(zone)又はブロット(blot)の形態の特異的結合剤(免疫剤)を含有している。第二の特異的結合剤(免疫剤)が結合されている検出可能な標識が、前記担体に別個に供給されるか又は予め添加され、試料によって移動可能である。任意にフィルターを備えている試料の塗布部位も試験器に配置される。試験器の前記多孔質担体材料は、好ましくはニトロセルロース製でありかつチャンネルのネットワークを有し、そのネットワークはレーザー処理によって前記多孔質担体材料にエッチングされる。チャンネルのネットワークは、処理された領域(2)で隔てられた2以上のチャンネル(1)、それらチャンネル内に固定化された1以上の特異的結合剤(3)、試料塗布部位(5)の近傍又は試料塗布部位(5)自体に配置され、各チャンネル中に試料が均一に分散できるように配置されている任意の標識部位(4)を含んでいる。
【0008】
本発明の試験器は、幾種類もの症候群を起こす要因又は被検体を同時に又は平行して認識することによって、異なる疾患又は症候群を診断できる。本発明の試験器を使用して、いくつものアレルギー発生要因、心筋梗塞マーカー、性病発症要因、血液スクリーニング被検体、呼吸器感染症発症要因、感染症発症要因及び/又は癌マーカーを同時に認識できる。
【0009】
有用な特異的結合剤の例は、抗体類、抗体フラグメント類、組換え抗体類、組換え抗体のフラグメント類、抗原類、レクチン類、受容体類及び/又はリガンド類である。有用な標識剤は例えば、ラテックス、金、金属もしくは着色剤の粒子又は蛍光物質である。
【0010】
本発明は、認識する特異的免疫剤が、ある物質によって不活性化された多孔質材料中に固定化され、そして試料塗布部位が、フィルター及び特異的結合剤が結合している検出可能な標識を任意に備えている試験器の製造法を開示する。所望の形態と大きさのチャンネルネットワークが、多孔質材料をレーザーでエッチングすることによって、多孔質材料に形成される。そのネットワークは、2以上のチャンネル(1)と処理領域(2);及び1以上の認識する特異的結合剤が各チャンネル(1)中にゾーン又はブロット(3)として固定化されている。
【0011】
多孔質材料を不活性化する有用な物質は、天然又は合成のポリマー、例えばアルブミンとカゼイン又はPEG(ポリエチレングリコール)とPVA(ポリビニルアルコール)、非イオン性界面活性剤例えばヘキサンスルホン酸とTRITON−X−100、BRIJ、及び糖例えばスクロースとトレハロース又はそれらの誘導体などの保存剤である。
【0012】
試験器の貯蔵性は、その試験器を8%以下の相対湿度に乾燥して保持しそして薬剤を添加したのち密封することによって大きく改善される。
【0013】
多チャンネル試験器は、マーカーを一つだけ使って診断することが難しい場合がある標的の疾患及び/又は症候群を診断できるようにいくつもの検定を同時に又は平行して実施するのに有用である。その試料は、分析可能な試料によって移動可能な標識及びその標識に結合された第二の特異的結合剤を含む試験器の塗布部位(5)に塗布され、その部位から試料と結合剤が、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化部位(3)の特異的結合剤と反応するか又は反応しないで、その固定化部位から陽性又は陰性の試験結果を直接読み取ることができる。
【0014】
また、本発明は、標的の疾患及び/又は症候群を認識するためのいくつもの検定を同時に又は平行に実施する試験器に関する。試料は試験器の塗布部位(5)に塗布され、その塗布部位から試料がチャンネルに移行して、そのチャンネルにおいて、試料によって移動可能な標識及びその標識に結合された第二の特異的結合剤と混合して反応し、その後、試料と結合剤は、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の結果を直接読み取ることができる。
【0015】
また、本発明は、標的の疾患及び/又は症候群を認識するためのいくつもの検定法を同時に又は平行に実施する試験器の使用に関する。試料は、第二の特異的結合剤を結合された別個の標識と混合され、次いでその混合物は試験器の塗布点(5)に塗布され、その塗布点から、試料と結合剤は、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の試験結果を直接読み取ることができる。
【0016】
図面の簡単な記述
図1は八つまでの異なる検定を実施する好ましい試験器の八つのチャンネルのネットワークを示す。標識部位4は同時に試料塗布点5として機能しそして処理領域2で隔てられたチャンネル1はゾーン3として特異的結合剤を含有している。
図1aは図1に示す八つまでの異なる検定を実施する多チャンネル試験器の進歩した実施態様を示す。標識部位4は同時に試料塗布点5として機能しそして処理領域2で隔てられたチャンネル1はゾーン3として特異的結合剤を含有している。この試験器には、試験と製造者に関する情報が標記されている。
図2は六種類の検定とそれらの対照反応、又は任意に六種の標識による12種までの検定を実施するために使用できる試験器を示す。チャンネル1のうちの一つは、処理領域2によって隔てられた二つのチャンネル1a、1bに分岐している。試料塗布点がチャンネルネットワークの中央に配置され、各チャンネル1は標識点4と一つ以上の結合剤ゾーン3を含んでいる。
図3は四種類の検定とそれらの対照反応、又は任意に四種の標識による八種までの検定を実施するために使用できる試験器を示す。
図4は四種類の検定とそれらの対照反応、又は任意に四種の標識による八種までの検定を実施するために使用できる試験器を示す。
図5は六種類までの検定、又は任意に三種の検定とそれらの対照反応を実施するために使用できる試験器を示す。
図6は四種の標識によって12種の検定を実施するため使用できる試験器を示す。
図7は24種までの検定を行うための好ましい試験器の八チャンネルのネットワークを示す。各チャンネル1は三つの結合剤ゾーンを含んでいる。
図8は同時に16種の検定を行うため使用できる試験器を示す。
図9は五種の標識によって20種の検定を実施するため使用できる試験器を示す。
図10は二つの検定と対照反応を実施するために使用できる試験器を示す。この試験器には試験と製造者に関する情報が標記されている。
図11は二つの検定と対照反応を実施するために使用できる試験器を示す。この試験器には試験と製造者に関する情報が標記されている。
図12は三つの平行検定、又は任意に三つの個々の検定とそれらの対照反応をおこなうために使用できる、レーザーエッチングで製造された試験器を示す。この試験器には試験と製造者に関する情報が標記されている。
本発明の目的は、多孔質担体材料及びその材料中の単一もしくは複数のゾーンもしくはブロットの形態の一種以上の特異的結合剤(免疫剤)、並びに例えば血球を除くためのフィルターが任意に設けられそして分析可能な試料で移動可能でかつ第二の特異的結合剤(免疫剤)でコートされた標識を任意に含む試料塗布点を含んでなる免疫拡散法に基づいた多チャンネル試験器である。この標識は試験器上に位置しているか又は試料に付加される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の試験器は、多孔質担体材料にネットワークを例えばレーザーによってエッチングすることによって製造されたチャンネルネットワークを備えていることを特徴とするものである。この試験器のチャンネルは、異なるマーカー群から選択されそしてともに使用することができかつ特定の症候群を診断するのに必要な一種以上の同一又は異なる特異的結合剤を備えている。したがって、いくつもの検定を同時に実施して特定の標的疾病及び/又は症候群を認識することによって診断を実施できる。ドットもしくはブロット又はラインもしくはゾーンの形態であることができる試料塗布部位が、例えばストリップの中央部又は他方の末端に、試料が各チャンネル中に均一に分布できるように配置されている。同じ特異的結合剤をチャンネル中に異なる濃度で使用すると、半定量的な結果を得ることができる。
【0018】
本発明の試験器は、いくつもの被検体を同時に又は平行して測定するため使用できるいくつものチャンネルを備えている。この試験器では、各種の症候群に関連する疾患発症要因例えばアレルゲンを認識する薬剤;心筋梗塞マーカー;性病認識及び血液スクリーニングのための適切な薬剤;呼吸器感染症発症要因を認識するマーカー;抗体のIgG、IgA及びIgM;他の感染症発症要因を認識するマーカー及び各種癌マーカーを、それらを同時に又は平行して測定するため組み合わせることができる。
【0019】
本発明の追加の目的は、前記試験器の製造方法である。その製造方法は、所望の形態と大きさの多チャンネルのチャンネルネットワーク(図1−12参照)を、基板上に特定の形状をつくりだすレーザー法で、多孔質材料にエッチングすることを特徴とする方法である。異なる認識を行う特異的結合剤が、各チャンネルの多孔質物質中に永久的に結合されすなわち固定化される。試験反応に関する分析結果はこれらの点から読み取ることができる。
【0020】
この後、その多孔質材料を、例えば、被検体又は標識が、前記永久的に固定化された薬剤のゾーン又はブロット中に移行するのを遅らせるか又は防止することによって、遊離の反応性部位を不活性にする。すなわちこれらの部位が望ましくない方式で反応しないようにする物質で処理する。第二の特異的結合剤が結合している検出可能でかつ任意に目視可能な標識を、試料塗布点又は予め定められた場所の試験チャンネルに塗布する。また結合剤が結合されている標識を試料に加えてもよく、この場合、その標識は、試料が試料塗布点に塗布されると、試験器中に移動する。
【0021】
さらに、いくつもの検定を同時に又は平行して実施して特定の疾病及び/又は症候群を認識する試験器の使用について、本発明で説明する。また分枝チャンネルを使用して、すなわちその分枝チャンネルのうちの一つを試験チャンネルとして使いそしてもう一つのチャンネルを機能チャンネルもしくは対照チャンネルとして使って、試験器が適切に機能していることを照査することができる。また、装置と薬剤の機能を示す別個の対照チャンネルを試験器に付け加えてもよい。
【0022】
本発明の多チャンネル試験器及びその診断法での使用は、一つ以上の異なっているか又は同一の平行試験、好ましくは2−40の、より好ましくは4−30の、そして最も好ましくは8−24の平行試験を、多孔質材料から生成する極めて小さい物体を使って実施できる点で、上記特許及び特許願に開示されている従来技術の装置と異なっている。
【0023】
レーザーを使ってチャンネルネットワークを作製することは、本発明の試験器を製造する好ましい方法である。この製造法で使用される機械は安価であり、その運転費用は主として使用電力量からなっている。熱ワックスなどの撥水性物質を使用することと比べて、レーザーを使って製造することによって、製造工程での化学薬剤の使用を避けることができる。レーザーを使うことによって、正確なエッチング結果(プリンティング)を達成することができ、そしてプリンティング(インプレッション)が正確であるため、その試験器は、必要に応じて製造工程に関連する標記をつけて、試験器を混同する危険を少なくすることができる。
【0024】
大量の試験器が、ロール上に単一チャンネル、平行チャンネル又はチャンネルネットワークをエッチングし、同じ製造ラインで必要な薬剤と処理を付加し、次いで最終的にこれら試験器を所望の方法で互いに分離して、一つ以上の検定のための単一試験器にするか又はいくつもの平行試験体のための試験器の組合わせにすることによって作製できる。
【0025】
さらに、本発明の試験器は、小容積の患者の試料、例えば尿、血液、血漿、血清、唾液、組織液、糞便、環境試料などを分析するのに使用できる。一試験器当たりの試料の容積は1.0−50μl、好ましくは2.0−40μl、より好ましくは4.0−20μl又は最も好ましくは5.0−10.0μlという小容積でも充分なので、小児から収集される試料又は指の先端からの血液試料について検定を実施する際には特に有利である。
【0026】
試験器の製造
試験器の製造工程には六つの主要ステップが含まれている。すなわち、チャンネルネットワークの作製、特異的薬剤の塗布と固定化、多孔質チャンネルの不活性化、第二特異的薬剤をコートされた標識の添加、試料塗布点の作製と試験器の安定化及び試験器の貯蔵特性の保証である。上記主要ステップの間に、試験ストリップを乾燥させることができる。標識を試料に付加する場合は、標識を試験器に付加するステップは省略できる。
【0027】
本発明の試験器では、異なるか又は同一のいくつもの平行試験(図1−12)を、試験器をチャンネル化することによって、多孔質材料製の非常にコンパクトな製品で実施できる。
【0028】
チャンネルの製造
薬剤と試料のチャンネル化は、多孔質の水透過性材料、例えばニトロセルロース、ポリスルホネート、ナイロン又は紙を、撥水性の又は部分的に撥水性の物質例えばワックス、ポリオレフィン類、ポリアクリルアミドのペンキ又はそれらの組合わせで処理することによって達成できる。撥水性材料の多孔質材料への添加は、撥水性材料の融点、好ましくは50℃−80℃の温度で行い、プリンティング法、ブラッシング法又はスプレーイング法を利用して多孔質材料上に、所望の形態の撥水図形であって前記処理された領域で互いに隔てられたいくつものチャンネルのネットワークを封入しそのチャンネルにそって毛管作用と拡散作用によって試料が移行する撥水図形を形成することによって有利に行われる。添加を実施した後、支持体を直ちに室温まで冷ます。薬剤は、その反応性を維持するようにチャンネルネットワークに塗布できる。
【0029】
当然のことであるが、チャンネルを担体材料の適切な大きさの一片に型打ちして作製し所望の形態と大きさのチャンネルネットワークを作製することもできる。
【0030】
しかし、本発明によれば、チャンネル化は、ニトロセルロースなどの多孔質で水透過性の材料をレーザーで処理することによって実施することが好ましい。適切なレーザー力を使って、ニトロセルロースを、液体流が必要でないニトロセルロース基板の領域からエッチングで除き前記ニトロセルロースの上に配置したプラスチックフィルム(マイラーフィルム)でカバーされた処理領域だけを残す。異なる形態の図形(図1−12)が、ニトロセルロースなどの多孔質材料を含むチャンネル及び基板エッジのすべての方向に延びるチャンネルエッジすなわち処理領域によって形成され、そして適切な予めプログラムされたコンピュータープログラムを使用して、装置の最大出力の10−90%、好ましくは10−80%、より好ましくは12−60%、最も好ましくは15−40%を使い、好ましくは100mm/s−1500mm/sの範囲の、より好ましくは400mm/s−1000mm/sの範囲のエッチング速度、及び50/1000−1000/1000の範囲の解像度(resolution)、好ましくは100/1000−800/1000の範囲の解像度、より好ましくは150/1000−500/1000の範囲の解像度、最も好ましくは200/1000−300/1000の範囲の解像度を使用してレーザーエッチングされている。
【0031】
チャンネルを隔てる処理領域は、試験器のエッジのすべての方向に延ばすか又は任意に未処理領域を図形エッジに残してもよい。試験器に、製作者及び試験に関する情報を、例えばレーザー処理でエッチングすることによって標記してもよい。
【0032】
担体への薬剤の添加
チャンネルネットワークに、試験を実施するのに必要な各種の薬剤を添加し必要に応じて固定化することができる。これら薬剤はごく小さい容積で利用できる。この必要な薬剤は少なくとも二種の特異的結合剤(その一方は固定化され、もう一方は試料溶液で移動可能な標識に結合されている)及び少なくとも一つの検出可能な標識を含んでいる。
【0033】
特異的結合剤
適切な物質としては、各種の結合剤;特異的免疫化学薬剤例えば抗体、抗体フラグメント、組換え抗体、組換え抗体フラグメント、抗原;及びその他のリガンド例えば受容体、レクチン、ビオチン、アビジンなどがある。特に適切なのは、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体、抗原及びそのフラグメントである。アレルギー試験の場合に適切なアレルゲンとしては、樹木、草又雑草の花粉から調製した抽出物、カビの胞子、コナダニ、家庭のほこり、動物皮膚の上皮、昆虫、ラテックス、寄生虫、薬物又は食品などから調製した抽出物がある。
【0034】
結合剤は、所望の場所の多孔質担体の構造体に公知の方法で固定化するか又は化学的にもしくは物理的に結合させることができ、そして対照の反応に使う結合剤も、同じチャンネル又は分枝したチャンネルに、任意に固定化するか又は化学的にもしくは物理的に結合させることができる。
【0035】
多孔質物質の不活性化
チャンネルネットワークを作製し特異的結合剤を添加した後、多孔質担体の物質をいわゆるブロッキング剤を使って不活性化し、その結果、担体物質の遊離反応性部位と特異的結合剤の非特異的結合部位が、天然及び/又は合成のポリマー、例えばアルブミンもしくはカゼイン及び/又はPEG(ポリエチレングリコール)とPVA(ポリビニルアルコール);非イオン性界面活性剤例えばヘキサンスルホン酸とTRITON−100、BRIJ;及び保存剤例えばスクロースとトレハロース又はその誘導体などの糖を含む適切な混合物で除かれる。
【0036】
必要に応じて、前記ブロッキング剤は、試料の塗布と関連して、試験器を製造した後にのみ添加してもよい。
【0037】
標識点の調製
適切な標識剤としては、試料流によって移動可能なプラスチック又は金属の微細粒子、例えばラテックス、金、リポソーム、着色剤、発蛍光団、蛍光色素、又は被検体に結合可能でかつ特異的結合剤例えば抗体、受容体、レクチン又は他のリガンドに結合できる他の金属物質もしくは着色剤の粒子がある。蛍光粒子、蛍光着色剤又は常磁性粒子も標識として機能できる。
【0038】
標識は、多孔質担体内に、試験器の試料塗布点に又は試料塗布点から離れた別の点に固定化できる。標識剤を分析可能な試料に添加した後に、その試料を試験ストリップに添加してもよい。
【0039】
試料塗布点の調製
試料塗布点には、その塗布点に、例えば血球がチャンネル中に持ち込まれるのを防止するフィルターを配置することによって、任意にフィルターを設けてもよい。その試料塗布点は、第二特異的結合剤が結合された標識を備えていてもよい。
【0040】
試験器の安定化とその貯蔵特性の保証
試験器は、処理することによって、例えば乾燥して相対湿度を8%以下にした後に、密閉梱包し次いで試験器を8%以下の相対湿度に維持するため乾燥して貯蔵することによって貯蔵可能にすることができる。こうして、本発明の試験器は、感度又は特異性を含む機能が実質的に低下することなく、その機能を、24−36ヶ月間維持する。
【0041】
必要に応じて、本発明の試験器は、ボール紙又はプラスティック製のケーシング内に入れそして必要に応じて試験器の作動と使用法が記載された説明書を入れてもよい。
【0042】
試験器の構造
本発明の試験器の構造とその可能な変形を、図1−12に示してある。
【0043】
本発明の試験器は、いくつもの、好ましくは2−10の、より好ましくは3−8のチャンネル1を備え、そのチャンネルは分岐点でさらにいくつもの、好ましくは2−5(1a,1b…)の、より好ましくは2−3の分枝チャンネルに分かれていてもよい。処理された領域2は、チャンネル1を互いに隔てて試験器内の試料の移行を方向付ける。
【0044】
チャンネル1又は分枝チャンネル(1a,1b…)は、結合剤のゾーン又はブロット3として1以上の結合剤を含んでいる。さらに、試験器は、1以上の標識点4を含み、その標識点は試料塗布点5と任意に組み合わされている。その試料塗布点5は任意にフィルターを備えている。
【0045】
図1は、所望の大きさ例えば25×25mmのニトロセルロースフィルムが八つの同一チャンネル1に分割されている試験器を示す。それらのチャンネルは、図形を多孔質材料例えばニトロセルロースフィルムにプリントし次いで約60℃の熱溶融ポリオレフィンを、ニトロセルロースフィルムの撥水性処理ゾーン2に、スタンピング器で転写することによって作製した。各チャンネルは特異的結合剤3を含んでいる。試験器の中央の標識点4は、測定すべき被検体に対する第二の標識剤を含んでいる。試料塗布点5は、同時に、試験器の標識点4として機能する。図1に示す試験器は、各チャンネルが異なる結合剤(例えばアレルゲン)を含んでいてもよく、そしてこれら各結合剤に共通の粒子標識(例えば抗ヒトIgE)がそれらチャンネルの中央に配置されていることを特徴としている。
【0046】
図1aは、ニトロセルロースフィルムが八つの同一チャンネル1に分割された試験器を示す。これらチャンネルは、多孔質材料例えばニトロセルロースフィルム上の図形を、処理領域2がチャンネル間に残るように、レーザーでエッチングすることによって作製した。そしてそのレーザー処理中、前記処理領域に、試験と製造者に関する標記を付け加えた。各チャンネルは特異的結合剤3を含んでいる。試験器の中央に配置された標識点4は、測定すべき被検体に対する第二標識剤を含んでいる。試料塗布点5は同時に、試験器の標識点4として機能する。図1aに示す試験器は、各チャンネルが異なる結合剤(例えばアレルゲン)を含んでいてもよく、そしてこれら各結合剤に共通の粒子標識(例えば抗ヒトIgE)がそれらチャンネルの中央に配置されていることを特徴としている。
【0047】
図2は、チャンネル1の内の一つが、結合剤ゾーン3内に特異的結合剤を含む分枝チャンネル1aと1bを有している試験器を示す。その他のチャンネル1は二つの結合剤ゾーン3を有し、その結合剤ゾーンの一方は対照ゾーンである。すべてのチャンネル1が別個の標識点4を有している。この試験器は、その中心に別個の試料塗布点5を有している。
【0048】
図3は、四つの同一の又は同一でないチャンネル1が分枝チャンネル1a、1bを有する試験器を示し、それら分枝チャンネルは、結合剤領域3に特異的結合剤を含有しそしてこれらチャンネルの分岐点から下流に、特異的結合剤でコートされた四つの別個の粒子標識点4を有している。この試験器は別個の試料塗布点5を有している。
【0049】
図4は、チャンネル1a、1bに分岐している四つの同一の又は同一でないチャンネル1を有する試験器を示し、それら分枝チャンネルは、順に、結合剤領域3に特異的結合剤を含有しそしてこれらチャンネルの分岐点から下流に、特異的結合剤でコートされた四つの別個の粒子標識点4を有している。この試験器は別個の試料塗布点5を有している。
【0050】
図5は、試料塗布点が試験器すなわちストリップの一方の末端に配置されている試験器を示す。この試験器は、三つのチャンネル1を有し、その各チャンネルには二つの結合剤ゾーン3が配置されている。標識点4は試料塗布点5と同じである。
【0051】
図6は、さらに三つのチャンネル1a、1b及び1cに分岐している四つの異なるチャンネル1内の12の別個の結合剤ゾーン3中に、12種までの異なる結合剤を含む試験器を示す。さらに、この装置は四つの別個の標識点4を含んでいる。この試験器は別個の試料塗布点5を含んでいる。
【0052】
図7は、八つの同一のチャンネル1とそれらチャンネルの間に処理領域2を有する試験器を示す。各チャンネル1は、三つの別個の結合剤ゾーン3内に、任意に異なる被検体に対する三つの特異的結合剤を含んでいる。試験器の中央の標識点4は、測定すべき被検体に対する別の標識剤を含んでいる。
【0053】
図8は、八つのチャンネル1を有し、各チャンネルが二つのチャンネル1aと1bに分岐しかつ結合剤ゾーン3を有する試験器を示す。この試験器は組み合わせた標識点と試料塗布点4、5を備えている。
【0054】
図9は、五つのチャンネル1を有し、各チャンネルが四つの結合剤ゾーン3を有する試験器を示す。この試験器は五つの隔てられた標識点4及び一つの試料塗布点5を備えている。
【0055】
図10は、試料塗布点5が試験器すなわちストリップの一方の末端に配置されている、ウイルス抗原を検出する試験器を示す。この試験器は三つのチャンネル1を有し、それら各チャンネルは結合剤ゾーン3及び隔てられた標識点4を有している。この試験器には、試験と製造者に関する情報が標記されている。
【0056】
図11は、試料塗布点5が試験器すなわちストリップの一方の末端に配置されている、心筋梗塞を検出する試験器を示す。この検出器は三つのチャンネル1を有し、それら各チャンネルは結合剤ゾーン3及び隔てられた標識点4を有している。この試験器には、試験と製造者に関する情報が標記されている。
【0057】
図12は、試料塗布点5が試験器の末端の内の一方に配置されている三つの試験器を示す。これら試験器は標識点4と二つの結合剤ゾーン3を有し、その結合剤ゾーンの一方は対照点である。
【0058】
上記試験器の形態と大きさは、単に、本発明の方法によって製造できる形態と大きさの例とみなすべきである。
【0059】
同時の又は平行の検定を実施する試験器の使用
本発明は、周知の拡散及び毛管作用によって、実際にあらゆる方向に同じ速度で起こるニトロセルロースなどの多孔質材料内の液体の流れに基づいている。多孔質材料のチャンネル化が確実な方法で行われている限り、前記半径方向又は横方向の流れによって、分析可能な被検体と試験薬剤を含有する試料が、異なる試験体として同時に働くいくつものチャンネル中に移動できる。試験器に塗布された試料は、試料に添加された標識又は試験器に加えた1以上の標識と反応し、次にこの複合体はさらに、試験器の異なるチャンネル内に位置する固定化結合剤と反応する。免疫薬剤もその機能を妨げることなく固定化できる。試料は、少量の試料又はその希釈物を試料塗布点5に塗布することによって、試験器に塗布され、その試料は、塗布点から、単一又は複数の標識点4に移動し、さらにチャンネルにそって試験ゾーン3に移動して、その試験ゾーンで、標識の特異的結合体、試料中の被検体及び固体担体に結合された他の特異的結合剤の間の反応が起こる。前記標識が、着色粒子であるか、又は紫外線で発光するドット、ブロット、ラインもしくは他の図形として裸眼で読み取れるか又は適切な装置、光度計、蛍光光度計もしくは磁界の変化を測定する装置で読み取って解釈できるならば、前記反応は裸眼で目視可能になる。
【0060】
別の実施態様では、標識点4は試料塗布点5に配置され、この場合、試料中の被験体と標識の特異的結合剤が複合体を形成した後、試料はチャンネルに沿って流れる。
【0061】
さらに別の実施態様では、試料に標識を添加した後に、その試料を試験器に添加する。
【0062】
本発明の試験器は、アレルギーの試験に特に有用である。この試験では、IgEクラスのアレルギー特異的抗体を決定するのに比較的大量の血清が現在必要である。本発明を適用すると、24種以上のアレルゲンに対する患者の感受性(sensibilization)が、ごく少量の試料例えば僅か10−40μlの血清、血漿又は全血から、試験器の各チャンネルに幾種類ものアレルゲンを加えることによって、同じ試験器で同時に検出できる。
【0063】
本発明の好ましい一実施態様では、幾種類もの標識が試験器に結合されている。したがって、一つの小試料が、任意に互いに異なりかつ異なるチャンネルに配置されている標識を移動させる。このような試験器は、異なる疾患を起こす要因に対する免疫グロブリン特異的抗体検定法に好適である。
【実施例】
【0064】
試験器を利用する実施例
以下の実施態様は実施例とみなすべきであり、本発明の他の可能な用途は当業者にとって自明であると解すべきである。
【0065】
実施例1.レーザーによるチャンネルネットワークの作製
図1aに示す図形を、多孔質担体上に、Domino DGM−1「High Resolution Leser Marker」装置を使って、液流が必要でない領域からニトロセルロースをエッチングすることによって作製する。処理領域2によって隔てられた八つのチャンネル1を有するネットワークが試験器に形成される。試験器を混同する危険を避けるため、製品と製造者に関する標記を、ニトロセルロースをエッチングせずに残すことによって作製する。
【0066】
コンピュータープログラムに予めプログラムされた所望の図形を、10−2500mm/secのうちの700mm/secのマーキング速度と20Wレーザーの最大出力電力の20%(85−132V/170−260V,IPhase入力と20W出力)及び250/1000の解像度を使ってエッチングする。
【0067】
このようにして製造された、チャンネルネットワークを有する試験器マトリックスを、いくつもの検定を同時に実施する以下の実施例で使用する。
【0068】
実施例2.アレルギー試験用の試験器
分析可能な特異的アレルゲンを、溶液(1−5mg/mlの濃度)として、実施例1で作製した試験器のネットワークのチャンネル1に添加し、その結果、これらアレルゲンは試料塗布点のニトロセルロースに結合すると不溶性のゾーン3を形成する。異なるアレルゲン(樹木、草又は雑草の花粉から製造した抽出物;カビの胞子、コナダニ、家庭のほこり、動物の皮膚の上皮、昆虫、ラテックス、寄生虫、薬物又は食品から製造した抽出物)を各チャンネルに加える。この後、チャンネル1の反応性セルロースを、ウシ血清アルブミン(BSA)(0.1−5.0%)、ヘキサンスルホン酸及びトレハロース(1.0−3.0%)を含有する溶液を使ってブロックするか又は不活性にする。この溶液(10−100μl)を試験器の中央に塗布した後、その溶液は拡散と毛管作用によって各チャンネル中に移行して、ニトロセルロースの遊離反応性点に結合しすなわちこれらの点をブロックする。この後、試験器は、相対湿度が8%以下になるまで室温で乾燥する。
【0069】
乾燥した後、抗IgE(0.2−1.0%)でコートされた着色ラテックス粒子を含有し、さらに0.1−1.0%のBSA、0.01−0.05%のTween20及び0.5−1.5%のトレハロースを含有する水溶液を手作業で試験器の中央に塗布する。この粒子ゾルを試験器の中央で乾燥する。
【0070】
試験体を使うときは、アレルギーに冒されているヒト由来の10−50μlの血清又はその希釈液を、試験器中央の試料塗布点に塗布する。その試料は中央の標識を溶解する。標識の抗IgE抗体はアレルギー特異的IgE分子と反応し次いで毛管作用によって試験チャンネル中に拡散する。
【0071】
分析可能な試料が、試験器のゾーン3内の1種以上のアレルゲンに対する特異的IgE抗体を含有していると、着色ゾーンが、問題のアレルゲンの抗体を含有する反応チャンネル内に形成される。
【0072】
実施例3.アレルギー試験用試験器
適切なスタンプを使って、多孔質ニトロセルロースの担体に図1に示すような図形をプリントし、そして着色された約60℃のポリオレフィンを、必要な領域の担体の細孔をブロックするように多孔質担体上に転写することによってチャンネルネットワークが形成されて、処理領域2で隔てられた八つのチャンネル1を有するネットワークが試験器に形成される。
【0073】
試験すべき特異的アレルゲン(1−5mg/mlの濃度)をこのネットワークのチャンネルに塗布し、その結果そのアレルゲンは、試料塗布点のニトロセルロースに結合している不溶性ゾーン3を形成する。異なるアレルゲン(樹木、草又は雑草の花粉から製造した抽出物、カビの胞子、コダニ、家庭のほこり、動物の皮膚の上皮、昆虫、ラテックス、寄生虫、薬物又は食品から製造した抽出物)を各チャンネルに塗布する。この後、ウシ血清アルブミン(BSA)(0.1−5.0%)、ヘキサンスルホン酸及びトレハロース(1.0−3.0%)を含有する溶液を使って、チャンネル1の反応性セルロースをブロックするか又は不活性にする。この溶液(10−100μl)を試験器の中央に加えた後、その溶液は拡散と毛管作用によって各チャンネル中に移行して、ニトロセルロースの遊離反応性点に結合しすなわちこれらの点をブロックする。
【0074】
この後、試験器は、相対湿度が8%以下になるまで室温で乾燥する。乾燥した後、抗IgE(0.2−1.0%)でコートされた着色ラテックス粒子を含有し、さらに0.1−1.0%のBSA、0.01−0.05%のTween20及び0.5−1.5%のトレハロースを含有する水溶液1.0−10.0μlを手作業で試験器の中央に塗布する。この粒子ゾルを試験器の中央で乾燥する。
【0075】
試験体を使うときは、アレルギーに冒されているヒト由来の10−50μlの血清又はその希釈液を、試験器中央の試料塗布点に塗布する。その試料は中央に配置されている標識を溶解する。試料の抗IgE抗体はアレルギー特異的IgE分子と反応し次いで毛管作用によって試験チャンネル中に拡散する。
【0076】
分析可能な試料が、試験器のゾーン3内に配置された1種以上のアレルゲンに対する特異的IgE抗体を含有していると、着色ゾーンが、問題のアレルゲンの抗体を含有する反応チャンネル内に形成される。
【0077】
実施例4.性病試験と血液スクリ−ニング用の試験器
実施例4では、抗体及びウイルス抗原と細菌抗原の両方を、患者の試料から同時に測定する性病試験に対する本発明の適用について述べる。
【0078】
図2に示す試験器は、多チャンネルネットワークが実施例1に記載されているようにして作製されているが、さらに、二つの部分に分岐する第一チャンネル1がHIV1とHIV2の抗体の試験に使う試験チャンネルを形成するように作製されている。問題のウイルスの典型的なポリペプチド抗原又は組換え抗原を、これらチャンネル中にライン(0.1−0.5μl)として0.5−5.0mg/mlの濃度で配置する。例えば金の粒子を、HIV1ウイルスとHIV2ウイルスを認識する第三のポリペプチド抗原又は組換え抗原でコートすることによって製造した着色標識点4がチャンネル1内に配置される。
【0079】
同じ試験器の第二チャンネル1を使用して、例えば、HIVウイルスのp24抗原に対して生成するモノクローナル抗体(0.5−5.0mg/ml)のライン又はブロットをそのチャンネル中に配置しそして問題の同じ標識抗体に対するモノクローナル抗体を含むいわゆる対照薬剤ゾーンを同じ分岐していないチャンネル1中に配置することによって、HIVウイルスの抗原を検出する。
【0080】
第三チャンネル1を使って、白血病ウイルス(HTLV−1/2)の典型的な組換え抗原について先に述べた方法で試験ライン3と対照ライン3を作製し、そして金の粒子をHTLV1/2ウイルスに典型的な別の組換え抗原でコートすることによって製造された必要な標識を同じチャンネルの標識点4に配置することによって、前記ウイルスの抗原を検出する。
【0081】
類似の方法で、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)−細菌の抗体を検出するのに適切な特異的組換え抗原から製造される薬剤ゾーン3を、第四チャンネル1内に配置する。
【0082】
第五チャンネル1には、B型肝炎ウイルスの表面抗原に対して生成する2種類の特異的抗体(一方は試験ゾーン3に配置され他方は標識点4に配置されている)を使って、その表面抗原を検出する試験システムが配置されている。
【0083】
C型肝炎ウイルスを検出するのに必要な薬剤が第六チャンネル1に配置されている。HCVの典型的な組換え抗原が試験ライン3に配置され、そして標識点4が、金の粒子を抗ヒトIgEでコートすることによって作製される。
【0084】
試験器のチャンネル1はすべて、アルブミン(BSA)(0.1−5.0%)、TRITON−X−100、BRIJ及びスクロースを含有するいわゆるブロッキング溶液の充分な量を試験器の試料塗布点5に添加することによって処理し、その溶液はその塗布点から各チャンネルに拡散してニトロセルロースの反応性点を満たす。この試験器の乾燥は、速く乾燥するため減圧キャビネット内で行う。
【0085】
この後、各試験に特有の必要な上記標識を、適切な自動ディスペンサーを使って、試験器の予め定められた標識点4に添加する。その乾燥は、上記実施例に記載されているようにして行う。
【0086】
患者の試料を分析するときは、10−50μlの血清、血漿又は全血を試験器の中央に塗布し、試験結果は、1−10分間の反応時間が経過した後に読み取ることができる。陽性の場合、着色したライン又はブロットが、これらチャンネルもしくは分枝チャンネルの、試験ゾーン及び対照ゾーンの第二着色ゾーンに現れる。
【0087】
実施例5.性病試験と血液スクリーニング用の試験器
実施例5では、抗体及びウイルス抗原と細菌抗原の両方を、患者の試料から同時に測定する性病試験に対する本発明の適用について述べる
【0088】
HIVウイルス抗原を検出するため、チャンネルを実施例1に記載したようにして作製した図3に示す試験器を、HIVウイルスのp24抗原に対して生成するポリクローナル抗体(0.5−5.0mg/ml )から調製したブロットを第一チャンネル1に配置しそして問題の標識抗原に対するポリクローナル抗体であるいわゆる対照薬剤ゾーンを同じ分岐していないチャンネルに配置することによって、製造する。
【0089】
同様に、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum)−細菌の抗体を検出するのに適切な特異的組換え抗原から製造した薬剤ゾーン3を、第二チャンネル1内に配置する。
【0090】
第三チャンネルには、B型肝炎ウイルスの表面抗原に対して生成する2種類の特異的抗体(一方は試験ゾーン3に配置され他方は標識点4に配置されている)を使って、その表面抗原を検出する試験システムが配置されている。
【0091】
C型肝炎ウイルスを検出するのに必要な薬剤が第四チャンネル1に配置されている。HCVの典型的な組換え抗原が試験ライン3に配置され、そして標識点4が、金の粒子を抗ヒトIgGでコートすることによって作製される。試験器のチャンネル1はすべて、カゼイン(0.1−5.0%)、ヘキサンスルホン酸及びトレハロース(1.0−3.0%)を含有するいわゆるブロッキング溶液の充分な量を試験器の試料塗布点5に添加することによって処理し、その溶液はその塗布点から各チャンネルに拡散してニトロセルロースの反応性点を満たす。試験器の乾燥は、速く乾燥するため減圧キャビネット内で行った。
【0092】
この後、各試験に特有の必要な上記標識を、試験器の予め定められた標識点4に添加する。その乾燥は、上記実施例に記載されているようにして行う。
【0093】
実施例6.心筋梗塞試験用の試験器
本発明の用途をうまく説明する実施例は、患者の全血、血漿又は血清の試料から心筋梗塞を検出する試験器である。
【0094】
図4に示す試験器は4種の被検体に使用するために製造した。実施例1に記載したようにして製造したこの試験器は、四つの同一のチャンネルを有しその各チャンネルはさらに二つの別個のチャンネルに分岐している、したがって、この試験器を使って、患者の試料中のトロポニンI、ミオグロビン、クレアチンキナーゼMBアイソザイム(CKMB)及びC反応性タンパク質(CRP)の存在を、単一の試料から同時に測定できる。
【0095】
この試験器のチャンネル1aと1bについては、トロポニンIの抗体(濃度は1.0−5.0mg/ml)0.1−0.5μlをチャンネル1aに添加しそして抗マウス抗体(濃度は1.0−5.0mg/ml)0.1−0.5μlをチャンネル1bに添加する。チャンネル1aはいわゆる試験チャンネルを形成しそしてチャンネル1bは内部機能対照チャンネルを形成している。
【0096】
別の反応対が、トロポニンIに対して生成する抗体でコートされた着色粒子で製造され実施例1に記載されているようにして、チャンネル1の予め定められた標識点4に加えられる。
【0097】
トロポニンIの特異的試験に加えて、ミオグロビン、CKMB及びC反応性タンパク質の特異的試験が、上記方式で、上記試験器で行われる。
【0098】
試験器のチャンネル1はすべて、ポリエチレングリコール(PEG)、TRITON−X−100及びトレハロース(1.0−3.0%)を含有するいわゆるブロッキング溶液の充分な量を試験器の試料塗布点5に添加することによって処理し、その溶液はその塗布点から各チャンネルに拡散してニトロセルロースの反応性点を満たす。試験器の乾燥は、速く乾燥するため減圧キャビネット内で行った。
【0099】
この後、各試験に特有の標識を、試験器の予め定められた標識点4に添加する。その乾燥は、上記実施例に記載されているようにして行う。
【0100】
試料をこの試験器の中央に塗布すると、試料は、その中央から同一の各チャンネルに向かって半径方向に拡散し、その患者の試料が心筋梗塞のマーカーに相当する被検体を含有している場合、試験反応と対照反応を開始する。分析は、血清、血漿又は全血の試料で行われるが、全血の場合、適切な濾過システムが全血の試料から赤血球と白血球を除く。
【0101】
実施例7.心筋梗塞試験用の試験器
図11に示す試験器は、実施例1に記載されているようにして製造され、トロポニンIとミオグロビンの特異的試験に関する情報が標記されている。
【0102】
トロポニンIとミオグロビンの特異的試験は実施例6に記載されているようにして行われる。チャンネルのブロッキングと標識の添加も、実施例6に従って行う。これらチャンネルのうちの一つは試験が正しく行われ薬剤が機能していることを保証する対照チャンネルとして働く。
【0103】
実施例8.呼吸器感染症試験用の試験器
以下の実施例は、呼吸器感染症の症例における本発明の用途について説明する。この場合、患者の血清、血漿又は全血の試料から得た細菌又はウイルスの抗原に対するクラス特異的抗体を測定することが望ましい。
【0104】
図6に示す試験器は、実施例1に記載されているようにして製造される。分析可能な各細菌又はウイルスから調製した抗原は0.1−0.5mg/mlの濃度で試験チャンネルの点3に配置される。各薬剤の全容積は0.1−0.5μlである。チャンネル1の非反応性ゾーンは実施例1に記載されているようにしてブロックされ、そしてその試験器は乾燥される。抗IgE抗体、抗IgM抗体又は抗IgA抗体で製造した結合体それぞれを、各試験チャンネルの分岐点の標識点4に配置する。これら試験器は先に記載したようにして乾燥する。
【0105】
患者の試料(血清、血漿又は全血)を試験器の中央の試料塗布点5に塗布すると、試料は塗布点から拡散してまず毛管作用で結合体点に移動し、問題の標識点4で粒子標識と反応し続いてさらに試験ゾーン3に移行し、試料が分析可能な細菌又はウイルスに対する問題のサブクラス特異的抗原を含有していると、その試験ゾーンで反応が起こる。上記実施例に記載したのと類似の方法で陽性の試験結果が検出される。
【0106】
実施例9.癌診断用の試験器
実施例9で、癌診断用試験器への本発明の利用について述べる。図9に示す試験器は実施例1で述べたようにして製造する。この試験器は、事実上同一の五つのチャンネルを備えており、癌マーカーであるCA125(癌抗原125)、PSA(前立腺特異的抗原)、pKAc(タンパク質キナーゼAの触媒サブユニット)、CEA(癌胎児性抗原)、AFP(αフェトプロテイン)に対して生成するモノクローナル抗体を0.1−0.5μlずつ(濃度0.1−0.5mg/ml)、各チャンネルの各試験点に(左から右へ)添加する。これら抗体を添加した後、充分乾燥し、続いてポリビニルアルコール(PVA)、ヘキサンスルホン酸及びスクロースを使ってブロッキングを行う。続いて、試験器を乾燥した後、直ちに標識を添加する。
【0107】
対応する癌マーカーに対して作製された特異的標識(標識の金粒子は、前記諸実施例に記載されているようにして、問題のマーカーに対して生成する第二抗体でコートされている)を、それぞれ、各試験チャンネルの最初の部分の標識ゾーン4に添加する。添加を行った後、試験器を乾燥し保護プラスティックケーシング内に入れる。
【0108】
患者の試料(血清、血漿、全血など)10μlを試料塗布点5に塗布し、その塗布点から前記試料が各癌マーカーに対応するチャンネル1中に移行し、標識点4からの標識を溶解してさらに試験ゾーン3に至る。分析可能な癌マーカーが試料中に存在すると、目視可能な試験結果が問題のチャンネルに現われる。
【0109】
実施例10.ウイルス抗原検出用の試験器
実施例10で、ウイルス抗原検出用試験器での本発明の利用について述べる。
【0110】
実施例10に示す試験器は、ロタウイルスを検出するために、チャンネルが実施例1に記載されているようにして作製され、そして第一チャンネル1には、試験ゾーン3に、ロタウイルス抗原に対し生成する特異的抗体すなわち標識点4に使用される標識抗体に対する抗体で作製したブロットを配置することによって製造される。
【0111】
同じ試験器の第三チャンネル1は、アデノウイルス抗原を検出するために使用され、このチャンネルには、試験ゾーン3に、標識ゾーン4に配置されている問題の標識抗体に対する抗体に対する特異的抗体を含有するライン又はブロットを配置する。
【0112】
この試験器の第二チャンネルは、この試験器の機能を試験する対照チャンネルとして使用される。非特異的結合体が標識点に添加されそして抗マウス抗体が試験ゾーンに添加されている。
【0113】
実施例9に記載されているようにして、チャンネル1の反応点をブロックし次いで試験器を乾燥する。各検定に特徴的な標識を、各試験チャンネルの分岐点の標識点4に添加する。試験器を上記のようにして乾燥する。
【0114】
患者の試料(希釈された糞便の試料)が、試験器の試料塗布点5に塗布され、毛管作用によってその塗布点から拡散しまず結合体点に移行して、問題の標識点4の粒子標識と反応し続いて試験ゾーン3に移行し、試料が分析可能なウイルス抗原を含有していると、試験ゾーン3で反応が起こる。陽性の試験結果は、上記実施例に開示されているのと同じ方法で検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】八つまでの異なる検定を実施する好ましい試験器の八つのチャンネルのネットワークを示す。
【図1a】図1に示す八つまでの異なる検定を実施する多チャンネル試験器の進歩した実施態様を示す。
【図2】六種類の検定とそれらの対照反応、又は任意に六種の標識による12種までの検定を実施するために使用できる試験器を示す。
【図3】四種類の検定とそれらの対照反応、又は任意に四種の標識による八種までの検定を実施するために使用できる試験器を示す。
【図4】四種類の検定とそれらの対照反応、又は任意に四種の標識による八種までの検定を実施するために使用できる試験器を示す。
【図5】六種類までの検定、又は任意に三種の検定とそれらの対照反応を実施するために使用できる試験器を示す。
【図6】四種の標識によって12種の検定を実施するため使用できる試験器を示す。
【図7】24種までの検定を行うための好ましい試験器の八チャンネルのネットワークを示す。
【図8】同時に16種の検定を行うため使用できる試験器を示す。
【図9】五種の標識によって20種の検定を実施するため使用できる試験器を示す。
【図10】二つの検定と対照反応を実施するために使用できる試験器を示す。
【図11】二つの検定と対照反応を実施するために使用できる試験器を示す。
【図12】三つの平行検定、又は任意に三つの個々の検定とそれらの対照反応をおこなうために使用できる、レーザーエッチングで製造された試験器を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾーン又はブロットの形態で特異的結合剤(免疫剤)が添加されている多孔質の担体材料、第二の特異的結合剤が結合されている検出可能な標識であって、前記多孔質の担体に別個に供給されるか又は予め添加され、試料によって移動可能である検出可能な標識、及び任意にフィルターを備えている試料の塗布部位を含む免疫拡散法に基づいた試験器において、前記試験器は前記多孔質の担体材料中にチャンネルのネットワークを含み、そのネットワークはレーザー処理によって多孔質担体材料をエッチングすることによって形成され、チャンネルのネットワークは、処理された領域(2)で隔てられた2以上のチャンネル(1)、それらチャンネル内に固定化された1以上の特異的結合剤(3)、試料塗布部位(5)の近傍のチャンネル中に又は試料塗布部位(5)自体に配置され、各チャンネル中に試料が均一に分散できるように配置されている任意の標識部位(4)を含むことを特徴とする試験器。
【請求項2】
一以上の症候群を起こす要因又は被検体を同時に又は平行して認識することによって、疾患を診断できる請求項1に記載の試験器。
【請求項3】
一以上のアレルギー発生要因、心筋梗塞マーカー、性病発症要因、血液スクリーニング被検体、呼吸器感染症発症要因、他の感染症発症要因及び/又は癌マーカーを同時に認識するために用いられる請求項1に記載の試験器。
【請求項4】
多孔質の担体がニトロセルロースである請求項1に記載の試験器。
【請求項5】
特異的結合剤は、抗体類、抗体フラグメント類、組換え抗体類、組換え抗体のフラグメント類、抗原類、レクチン類、受容体類及び/又はリガンド類である請求項1に記載の試験器。
【請求項6】
標識剤は、ラテックス、金、金属もしくは着色剤の粒子又は蛍光物質である請求項1に記載の試験器。
【請求項7】
認識する特異的免疫剤が、多孔質材料中に固定化され、前記多孔質材料がそれを不活性化する物質で処理され、そして試料塗布点が、フィルター及び特異的結合剤が結合している検出可能な標識を任意に備えている請求項1に記載の試験器の製造方法において、(a)所望の形態と大きさのチャンネルネットワークが、多孔質材料をレーザーでエッチングすることによって、多孔質材料に形成され、そのネットワークは、2以上のチャンネル(1)と処理領域(2)を含み;(b)1以上の認識する特異的結合剤が各チャンネル(1)中にゾーン又はブロット(3)として固定化されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
多孔質材料を不活性化する物質は、天然又は合成のポリマーを含む混合物、例えばアルブミンとカゼイン又はPEG(ポリエチレングリコール)とPVA(ポリビニルアルコール)、非イオン性界面活性剤例えばヘキサンスルホン酸とTRITON−X−100、BRIJ、及び糖例えばスクロースとトレハロース又はそれらの誘導体などの保存剤である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
試験器は、8%以下の相対湿度に乾燥されて薬剤を添加したのち密封される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
標的の疾患及び/又は症候群を診断するためにいくつもの検定を同時に又は平行して実施するための請求項1に記載の試験器の使用において、試料は、分析可能な試料によって移動可能な標識及びその標識に結合された第二の特異的結合剤を含む試験器の塗布点(5)に塗布され、その点から試料と結合剤が、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか又は反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の試験結果を直接読み取ることができることを特徴とする使用。
【請求項11】
標的の疾患及び/又は症候群を認識するためにいくつもの検定を同時に又は平行に実施するための請求項1に記載の試験器の使用において、試料は試験器の塗布点(5)に塗布され、その塗布点から試料がチャンネルに移行して、そのチャンネルにおいて、試料によって移動可能な標識及びその標識に結合された第二の特異的結合剤と混合して反応し、その後、試料と結合剤は、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の結果を直接読み取ることができることを特徴とする使用。
【請求項12】
標的の疾患及び/又は症候群を認識するためにいくつもの検定法を同時に又は平行に実施するための請求項1に記載の試験器の使用において、試料は、別個の標識及びそれに結合された第二の特異的結合剤と混合され、次いでその混合物は試験器の塗布点(5)に塗布され、その塗布点から、試料と結合剤は、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の試験結果を直接読み取ることができることを特徴とする使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゾーン又はブロットの形態で特異的結合剤(免疫剤)が添加されている多孔質の担体材料、第二の特異的結合剤が結合されている検出可能な標識であって、前記多孔質の担体に別個に供給されるか又は予め添加され、試料によって移動可能である検出可能な標識、及び任意にフィルターを備えている試料の塗布部位を含む免疫拡散法に基づいた試験器において、前記試験器は前記多孔質の担体材料中にチャンネルのネットワーク及び試験に関する情報の標記を含み、そのネットワーク及び標記はレーザー処理によって多孔質担体材料をエッチングすることによって形成され、チャンネルのネットワークは、処理された領域(2)で隔てられた2以上のチャンネル(1)、それらチャンネル内に固定化された1以上の特異的結合剤(3)、試料塗布部位(5)の近傍のチャンネル中に又は試料塗布部位(5)自体に配置され、各チャンネル中に試料が均一に分散できるように配置されている任意の標識部位(4)を含むことを特徴とする試験器。
【請求項2】
一以上の症候群を起こす要因又は被検体を同時に又は平行して認識することによって、疾患を診断できる請求項1に記載の試験器。
【請求項3】
一以上のアレルギー発生要因、心筋梗塞マーカー、性病発症要因、血液スクリーニング被検体、呼吸器感染症発症要因、他の感染症発症要因及び/又は癌マーカーを同時に認識するために用いられる請求項1に記載の試験器。
【請求項4】
多孔質の担体がニトロセルロースである請求項1に記載の試験器。
【請求項5】
特異的結合剤は、抗体類、抗体フラグメント類、組換え抗体類、組換え抗体のフラグメント類、抗原類、レクチン類、受容体類及び/又はリガンド類である請求項1に記載の試験器。
【請求項6】
標識剤は、ラテックス、金、金属もしくは着色剤の粒子又は蛍光物質である請求項1に記載の試験器。
【請求項7】
認識する特異的免疫剤が、多孔質材料中に固定化され、前記多孔質材料がそれを不活性化する物質で処理され、そして試料塗布点が、フィルター及び特異的結合剤が結合している検出可能な標識を任意に備えている請求項1に記載の試験器の製造方法において、(a)多孔質の材料がレーザーを用いてエッチングされて多孔質材料に同時に(i)所望の形態と大きさのチャンネルネットワークであって、2以上のチャンネル(1)と処理領域(2)を含むチャンネルネットワーク、及び(ii)試験に関する情報の標記を形成し;(b)1以上の認識する特異的結合剤が各チャンネル(1)中にゾーン又はブロット(3)として固定化されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
多孔質材料を不活性化する物質は、天然又は合成のポリマーを含む混合物、例えばアルブミンとカゼイン又はPEG(ポリエチレングリコール)とPVA(ポリビニルアルコール)、非イオン性界面活性剤例えばヘキサンスルホン酸とTRITON−X−100、BRIJ、及び糖例えばスクロースとトレハロース又はそれらの誘導体などの保存剤である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
試験器は、8%以下の相対湿度に乾燥されて薬剤を添加したのち密封される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
標的の疾患及び/又は症候群を診断するためにいくつもの検定を同時に又は平行して実施するための請求項1に記載の試験器の使用において、試料は、分析可能な試料によって移動可能な標識及びその標識に結合された第二の特異的結合剤を含む試験器の塗布点(5)に塗布され、その点から試料と結合剤が、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか又は反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の試験結果を直接読み取ることができることを特徴とする使用。
【請求項11】
標的の疾患及び/又は症候群を認識するためにいくつもの検定を同時に又は平行に実施するための請求項1に記載の試験器の使用において、試料は試験器の塗布点(5)に塗布され、その塗布点から試料がチャンネルに移行して、そのチャンネルにおいて、試料によって移動可能な標識及びその標識に結合された第二の特異的結合剤と混合して反応し、その後、試料と結合剤は、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の結果を直接読み取ることができることを特徴とする使用。
【請求項12】
標的の疾患及び/又は症候群を認識するためにいくつもの検定法を同時に又は平行に実施するための請求項1に記載の試験器の使用において、試料は、別個の標識及びそれに結合された第二の特異的結合剤と混合され、次いでその混合物は試験器の塗布点(5)に塗布され、その塗布点から、試料と結合剤は、レーザー処理で形成されたチャンネルネットワークのチャンネル中に均一に移行して、チャンネル中でその固定化点(3)の特異的結合剤と反応するか反応しないで、その固定化点から陽性又は陰性の試験結果を直接読み取ることができることを特徴とする使用。

【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−521547(P2006−521547A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505626(P2006−505626)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/FI2004/000179
【国際公開番号】WO2004/086042
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505360465)アニ バイオテク オイ (1)