説明

多価RNA−ナノ粒子組成物

本発明は、これに限定されないが遺伝子調節を含めた様々な使用のための、二重鎖RNAを用いて機能化されたナノ粒子に関する。より詳細には、本開示は、安定性および活性の向上を実現するためにRNAをナノ粒子に結合体化させるための新規の戦略を提供する。一局面において、ナノ粒子と結合した1つまたは複数のリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含むナノ粒子組成物が提供され、該RNAポリヌクレオチドが、ポリペプチドの相互作用部位を有し;該RNAポリヌクレオチドが、二重鎖を形成するのに適した条件下で該二重鎖を形成する配列を有し;該二重鎖は、該二重鎖の一本鎖内に、該一本鎖と標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成を適切な条件下で可能にする、該標的ポリヌクレオチド内の配列と十分に相補的な少なくとも1つのドメインを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の利益についての声明
本発明は、National Cancer Institute/Centers of Cancer Nanotechnology Excellence(NCI/CCNE)によって付与された助成金第5U54 CA119341号、およびにNational Institutes of Health(NIH)よって付与された助成金第5DP1 OD000285号の下、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
発明の分野
本発明は、二重鎖RNAを用いて機能化されたナノ粒子に関する。本発明はまた、RNAをナノ粒子に結合体化させる方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
RNA干渉(RNAi)とは、二本鎖RNA(dsRNA)が、細胞内に存在する場合、二本鎖RNAにおける一本鎖と十分に相補的な配列を有する遺伝子の発現を阻害する現象である。遺伝子発現の阻害は、標的遺伝子から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の分解によって起こる[非特許文献1]。RNAiの誘発を担う二本鎖RNAは、干渉RNAと呼ばれる。dsRNAがRNAiを仲介する機序および細胞機構は、遺伝的手法と生化学的手法の両方を使用して研究されている。生化学的分析により、細胞の細胞質に導入されたdsRNAは、最初に21〜25ヌクレオチド長のRNA断片にプロセシングされることが示唆されている[非特許文献2;Hamiltonら、「Science」286:950〜952(1999);Zamoreら、「Cell」101:25〜33(2000);Yangら、「Current Biology」10:1191〜1200(2000);Parrishら、「Molecular Cell」6:1077〜1087(2000)]。低分子干渉RNA(siRNA)と呼ばれるこうしたdsRNAは、RNaseIII様酵素Dicerによる少なくとも1つの機序で産生されることが、in vitro試験で示されている[非特許文献2]。標的mRNAが、特定のsiRNAとハイブリッド形成した領域の中央の位置で切断されることから、こうしたsiRNAは、おそらくmRNA切断のガイドとして働くのであろう[非特許文献1]。生化学的証拠が示唆するところによると、siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる多成分ヌクレアーゼ複合体の一部である[非特許文献2]。この複合体のタンパク質の1つであるArgonaute2は、argonaute遺伝子ファミリーの産物として同定されている[非特許文献1]。このタンパク質は、マウスの発達に不可欠であり、Argonaute2を欠く細胞は、siRNAに対する実験応答を開始することができない。古細菌のArgonauteタンパク質の構造との比較によって同定されたArgonaute2内の未解明リボヌクレアーゼHドメイン内の変異は、RISCを失活させる。したがって、Argonauteは、RISCに「スライサー」活性を与え、RNAiに触媒的原動力を提供する[Liuら、「Science」305(5689):1437〜1441(2004)]。
【0004】
C.elegans相同体rde−1および関連遺伝子、N.crassa相同体qde−2、ならびにArabidopsis相同体arg−1も包含するこの遺伝子ファミリーが、RNAiに必要とされることが、遺伝的研究を通して示されている[非特許文献1;非特許文献2;Hamiltonら、「Science」286:950〜952(1999)]。C.elegansでの遺伝子スクリーニングにより、mut−7遺伝子もRNAiに不可欠と同定されている。この遺伝子は、RNaseDに類似しており、この遺伝子の産物が、該反応のmRNA分解ステップにおいて作用することが示唆される[非特許文献1]。
【0005】
研究者らは、過去10年かけて、多価DNAで機能化された金ナノ粒子(DNA−Au NP)を設計、合成、試験、および利用してきた[Mirkinら、「Nature」382:607(1996)]。こうした努力によって、ハイブリッドナノ構造についての新規の基本理解[Demersら、「Anal.Chem.」72:5535(2000);Jinら、「J.Am.Chem.Soc.」125:1643(2003);Lytton−Jeanら、「J.Am.Chem Soc」127:12754〜12754(2005);Storhoffら、「J.Am.Chem.Soc.」122:4640(2000);Youら、「Soft Matter」2:190(2006);Wangら、「Nanomed.」1:413(2006)]、重要でありかつ場合によっては商業的に実現可能である検出および診断アッセイ[Namら、「Science」301:1884(2003);Stoevaら、「J.Am.Chem.Soc.」128:8378(2006);Liuら、「J.Am.Chem.Soc.」126:12298(2004);Fauldsら、「Anal.Chem.」76:412(2004)]、およびDNAシントンの使用を介する材料組立をプログラムする能力[Mirkinら、「Nature」382:607(1996);Parkら、「Nature」451:553(2008);Nykypanchukら、「Nature」451:549(2008)]が得られてきた。多価DNA−Au NPには、融解温度の尖鋭化および上昇[Jinら、「J.Am.Chem.Soc.」125:1643(2003)]、結合特性の向上[Lytton−Jeanら、「J.Am.Chem Soc」127:12754−12754(2005)](同配列の遊離鎖と比較した場合)、および距離依存性光学特性[Elghanianら、「Science」277:1078(1997)]などのいくつかの独特な特性がある。多価分子系に関する研究[Gestwickiら、「J.Am.Chem.Soc.」124:14922(2002)]に同意するならば、ナノ粒子の、高い表面DNA密度や、多座配位相互作用に関わる能力が、こうした独特な特性の由来を提示するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Sharpら、Genes and Development(2001)15:485〜490
【非特許文献2】Hammondら、Nature(2000)404:293〜296
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記述するのは、遺伝子調節に有用であるような物性を与えるRNA単一層が結合したナノ粒子組成物である。この組成物は、RNAを細胞に導入するための他の材料とは対照的に、単なるRNAの送達手段ではなく、表面リガンドの配置および高密度に由来する協同的特性という利点を生かした単一体因子である。本明細書に記述する組成物は、形質移入剤なしで細胞に入り、また、ノックダウン活性を従来の高分子担体に比べて向上させるような方式での分解に耐性がある。
【0008】
したがって、ある態様では、ナノ粒子と結合した1つまたは複数のリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含むナノ粒子組成物が提供される。ここでは、RNAポリヌクレオチドは、ポリペプチドの相互作用部位を有し、かつ、二重鎖を形成するのに適した条件下で二重鎖を形成する配列を有し、該二重鎖は、該二重鎖の一本鎖内に、一本鎖と標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成を適切な条件下で可能にする、標的ポリヌクレオチド内の配列と十分に相補的な少なくとも1つのドメインを有し、二重鎖の該ドメインと標的ポリヌクレオチド内の該配列とのハイブリッド形成によって、ポリペプチドによって認識される基質部位がもたらされ、ナノ粒子と結合するRNAポリヌクレオチドは、ポリペプチドの相互作用部位およびナノ粒子に対して方向特異的な様式(orientation specific manner)である。
【0009】
ある態様では、RNAポリヌクレオチドがナノ粒子と共有結合的に結合したナノ粒子組成物が提供される。他の態様では、RNAポリヌクレオチドがナノ粒子と共有結合的に結びついた状態ではないナノ粒子組成物が提供される。
【0010】
さらなる態様では、ナノ粒子と結合した各RNAポリヌクレオチドが同一の配列を有するナノ粒子組成物が提供される。他の態様では、ナノ粒子と結合した少なくとも2つのRNAポリヌクレオチドが異なる配列を有するナノ粒子組成物が提供される。
【0011】
ある実施形態では、二重鎖が、RNAポリヌクレオチドによって形成されたヘアピン構造を含む、ナノ粒子組成物が提供される。
【0012】
本明細書に開示する方法は、二重鎖を形成するのに適した条件下でRNAポリヌクレオチドとのハイブリッド形成を可能にするための、RNAポリヌクレオチド内の配列と十分に相補的な配列を有する追加のポリヌクレオチドをさらに含む、ナノ粒子組成物を企図する。
【0013】
ある態様では、追加のポリヌクレオチドがRNAであるナノ粒子組成物が提供される。他の態様では、追加のポリヌクレオチドがデオキシリボ核酸(DNA)であるナノ粒子組成物が提供される。
【0014】
さらなる実施形態では、追加のポリヌクレオチドがナノ粒子と共有結合的に結合したナノ粒子組成物が提供される。ある態様では、追加のポリヌクレオチドがナノ粒子と共有結合していないナノ粒子組成物が提供される。
【0015】
ある実施形態では、ポリペプチドの相互作用部位が、RNAポリヌクレオチドの中間点を基準にした場合にナノ粒子に対して近位に位置するナノ粒子組成物が提供される。
【0016】
さらなる実施形態では、ポリペプチドの相互作用部位がRNAポリヌクレオチドの中間点を基準にした場合にナノ粒子に対して遠位に位置するナノ粒子組成物が提供される。
【0017】
本方法のある態様では、RNAの表面密度が少なくとも約2pmol/cmから約1000pmol/cmであるナノ粒子組成物が提供される。
【0018】
種々の実施形態では、ポリペプチドの相互作用部位が、RNaseH、RNaseD、RNaseL、RNaseIII、Dicer、Argonaute、Argonaute2、およびヒト免疫不全ウイルスのトランス活性化応答RNA結合タンパク質(TRBP)からなる群より選択されるタンパク質と結合する、ナノ粒子組成物が提供される。
【0019】
本方法のさらなる態様は、ポリヌクレオチドのドメインの長さが約10ヌクレオチドであるナノ粒子を提供する。
【0020】
ある実施形態では、RNAポリヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチド内の第2の配列と十分に相補的な第2のドメインをさらに含み、RNAポリヌクレオチドの第2の該ドメインと標的ポリヌクレオチド内の第2の該配列とのハイブリッド形成によって、第2のポリペプチドによって認識される追加の基質部位がもたらされるようなナノ粒子組成物が提供される。ある態様では、ポリヌクレオチドの第2のドメインの長さが約10ヌクレオチドであるナノ粒子組成物が提供される。
【0021】
ある態様では、基質部位と追加の基質部位が同じであるナノ粒子組成物が提供される。他の態様では、基質部位と追加の基質部位が異なるナノ粒子組成物が提供される。
【0022】
ある態様では、RNAポリペプチドと追加のポリヌクレオチドが、ハイブリッド形成できるのに十分な長さにわたって互いに相補的である、ナノ粒子組成物が提供される。他の態様では、RNAポリヌクレオチドと追加のポリヌクレオチドがその全長にわたって互いに相補的であるナノ粒子組成物が提供される。
【0023】
ある実施形態では、RNAポリヌクレオチドがチオール連結を介してナノ粒子と結合体化されるナノ粒子組成物が提供される。
【0024】
ある態様では、RNAポリヌクレオチドの半減期が、ナノ粒子と結合していない同一のポリヌクレオチドの半減期と少なくとも実質的に同じであるようなナノ粒子組成物が提供される。他の態様では、RNAポリヌクレオチドの半減期が、ナノ粒子と結合していない同一のRNAの半減期よりも約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、またはそれ以上長いナノ粒子組成物が提供される。
【0025】
種々の実施形態では、RNAポリヌクレオチドの長さが約5から約100ヌクレオチドであるナノ粒子組成物が提供される。ある態様では、追加のポリヌクレオチドの長さが約5から約100ヌクレオチドであるナノ粒子組成物が提供される。
【0026】
ある実施形態では、ナノ粒子が金であるナノ粒子組成物が提供される。ある態様では、ナノ粒子が銀であるナノ粒子組成物が提供される。
【0027】
ある態様では、RNAポリヌクレオチドをナノ粒子に結合させる方法であって、チオール化RNAポリヌクレオチド二重鎖とナノ粒子との混合物を一連の溶液(各溶液は、先の溶液よりも増大した濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含み、約0.1M NaClを含む第1の溶液から開始される)中で熟成させて、RNAポリヌクレオチドをナノ粒子に結合させるステップを含む方法が提供される。関連する態様では、この方法は、最後の熟成ステップの後に、混合物を超音波処理するステップをさらに含む。ある態様では、この方法は、ナノ粒子を単離するステップをさらに含む。
【0028】
ある実施形態では、RNAをナノ粒子に結合させる方法であって、以下を含む方法が提供される:
(a)約0.1M塩化ナトリウム(NaCl)を含む溶液中で、チオール化RNA二重鎖をナノ粒子と混合すること;
(b)先の溶液よりも増大した濃度のNaClをそれぞれ含む一連の塩溶液中で、混合物を熟成させること;
(c)混合物を超音波処理すること;および
(d)結合体化されたナノ粒子を調製すること。
【0029】
本方法の種々の態様では、一連の塩溶液は、約0.1Mから約0.3M NaClの範囲である。
【0030】
本方法のある態様は、オリゴ(エチレングリコール)チオール(OEG)を用いてナノ粒子の表面を不動態化することをさらに含む。
【0031】
ある実施形態では、標的ポリヌクレオチドの発現を調節する方法であって、本開示のナノ粒子組成物のドメインと標的ポリヌクレオチドをハイブリッド形成させて、ポリペプチドのための基質部位を形成させるステップを含む方法が提供される。ある態様では、ハイブリッド形成によって、標的ポリヌクレオチドの分解が起こる。種々の態様では、ポリペプチドは、RNaseH、RNaseD、RNaseL、RNaseIII、Dicer、Argonaute、Argonaute2、およびTRBPからなる群より選択される。
【0032】
本発明のさらなる態様は、下に提供する詳細な説明から明らかになるであろう。しかし、以下の詳細な説明および実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながらも、例示目的で与えられるに過ぎないこと、また、この詳細な説明から、本発明の趣旨および範囲内の様々な変更や改変が当業者に明らかになるであろうことを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、金ナノ粒子(NP)の特性評価を表す。オートクレーブの前(a)および後(b)の、ナノ粒子の吸光度スペクトルおよびTEM画像。スケールバーは、50nmである。
【図2】図2は、金ナノ粒子の溶液中のRNaseの存在を表す。未処理のAu NPは、正のシグナルを示すが、RNase活性を排除する処理をした粒子は、RNaseを含まないものとなっている。
【図3】図3は、集密的なHeLa細胞の光学顕微鏡画像を表す。RNAナノ粒子組成物の合成において、RNA二重鎖の添加後、表面不動態化リガンドとして、30μmol/mLのオリゴエチレングリコール−チオール(OEG−チオール)を加えた。この添加は、培養における粒子の沈殿を妨げることが分かった。(a)OEG−チオールを添加しない細胞培養におけるRNA−ナノ粒子組成物は、粒子の沈殿(黒)を示す。(b)OEG−チオールを含む細胞培養におけるRNA−ナノ粒子組成物。スケールバーは、30μmである。
【図4】図4は、細胞によるRNA−Au NPの取り込みを表す。(a)RNA−Au NP(Cy5標識したRNA)と共に6時間インキュベートしたHeLa細胞の蛍光顕微鏡画像。スケールバーは、20μmである。(b)RNA−Au NP処理した細胞を未処理の対照と比較したフローサイトメトリー分析図。
【図5】図5は、(a)4日にわたるルシフェラーゼ発現のノックダウン、(b)RNA−Au NPの安定性(dsRNA(四角形)とRNA−Au NP(三角形)の10%血清における安定性の比較)を表す。
【図6】図6は、二本鎖または一本鎖ヘアピンRNAを用いて機能化されたRNA−Au NPに対するRNaseIIIの活性を表す。どちらの系も、RNaseIIIによって基質として認識される。最大蛍光の相違は、一部は装填の相違によるものである(表1参照)。酵素を加えない反応を、バックグラウンド補正に使用した。
【図7】図7は、二本鎖(センス/FITC AS、AS/FITC センス)または一本鎖ヘアピンRNA(FITC HP)を用いて機能化されたRNA−Au NPに対するDicerの活性を表す。どちらの系も、Dicerによって基質として認識されるが、センス鎖の固定化の場合に、より高い活性が見られる。最大蛍光の相違は、一部は装填の相違によるものである(表1参照)。酵素を加えない反応を、バックグラウンド補正に使用した。
【図8】図8は、固定化されたセンス、アンチセンス、およびヘアピンRNA−Au NPに対するRNaseIIIの活性を表す。この酵素については、センス鎖が固定化された場合に、より高い活性が見られる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
発明の詳細な説明
多価粒子およびその並外れた特性を利用して、RNAを装填し、細胞膜を通過させるための方法は、今日まで開発されてこなかった。RNAに関する最も難しい問題の1つ、すなわち特にその化学的不安定性を克服する合成の経路および材料が開発される必要が、確かに存在する。
【0035】
RNAiによって標的遺伝子の発現を特異的に阻害できることは、明らかに有益である。例えば、多くの疾患は、特定の遺伝子や遺伝子群の異常発現に起因する。RNAiを使用すれば、有害な遺伝子の発現を阻害することによって、疾患の症状を軽減したり、さらには治癒させたりすることができる。例えば、癌状態の、またはウイルス複製の一因となる遺伝子を阻害することができる。加えて、筋強直性ジストロフィーなどの優性遺伝性疾患を引き起こす突然変異遺伝子も阻害することができる。シクロオキシゲナーゼまたはサイトカインなどの遺伝子を阻害することによって、関節炎などの炎症性疾患も処置することができる。標的器官の例としては、限定されないが、肝臓、膵臓、脾臓、皮膚、脳、前立腺、心臓などが挙げられるであろう。加えて、RNAiを使用すれば、真の遺伝子「ノックアウト」動物を模倣した動物を生み出して、遺伝子機能を研究することができる。企図される使用および標的のさらなる説明を、以下に提供する。
【0036】
薬物送達も、RNA技術によって、容易にすることができる。標的確認のためのRNA手法によって、潜在的な薬物標的をスクリーニングするための、より迅速で安価な手法が提供される。薬物ターゲティングのための情報は、薬物の潜在的な標的を阻害することによるだけではなく、阻害されるタンパク質ひいてはその経路が、有意な表現型的効果を有するかどうかを決定することによっても得られる。例えば、LDL受容体発現の阻害によって血漿LDLレベルが上昇し、それによって、受容体の上方制御が治療的に有益であろうことが示唆されるはずである。発現アレイを使用して、標的遺伝子または経路ではない遺伝子の発現に対する阻害の応答効果を決定することができる[Sharpら、「Genes and Development」15:485〜490(2001)]。これは、機能性経路およびネットワーク(相互作用経路)内に、遺伝子産物を配置することとなる。
【0037】
本明細書では、RNAオリゴヌクレオチドで機能化された金ナノ粒子が、オリゴヌクレオチドの表面機能化に起因する全体特性を利用することによって、結合されたRNAの安定性および有効性を、触媒的RNA干渉経路において作用する能力を保持させつつ向上させることを開示する。
【0038】
多価のRNA−ナノ粒子組成物(ナノ粒子が金である態様についてはRNA−Au NP)の合成では、(凝集で明らかな通り)RNAリガンドを分解し、また、Au表面を露出させることによってAu NP相互作用を不安定にさせるようなRNaseなどのヌクレアーゼを、すべての成分が含まないようにすることが必要である。RNaseを含まない有機成分および溶液を調製する条件は十分に確立されているが、本明細書では、RNaseを含まない無機の金ナノ粒子を作製する方法を提供する。
【0039】
用語「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書では同義的に使用されることに留意すべきである。用語「結合体化された」および「機能化された」も、本明細書では同義的に使用されることに留意すべきである。
【0040】
本明細書で使用する場合、「基質部位」は、ポリペプチドが認識および作用する、(一本鎖または二本鎖である)ポリヌクレオチド上の位置である。本明細書で使用する場合、「作用する」は、基質部位を認識してそれに結合するポリペプチドによってなされるいずれの酵素的機能も意味することが理解される。
【0041】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチドの相互作用部位」は、ポリペプチドによって認識される、(一本鎖または二本鎖である)ポリヌクレオチド上の部位を指す。種々の態様では、ポリペプチドによるこの相互作用部位の認識によって、ポリヌクレオチドの切断が起こる。ある種の実施形態では、ポリペプチドの相互作用部位を認識するポリペプチド自体がポリヌクレオチドに作用し、他の実施形態では、ポリヌクレオチド認識部位を認識するポリペプチドが1つまたは複数のさらなるポリペプチドの活性を導いて、ポリヌクレオチドに作用する。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「標的」または「標的ポリヌクレオチド」は、所与のRNAポリヌクレオチドが指向可能なポリヌクレオチドを指す。
【0043】
本明細書で使用する場合、「RNA」は、少なくとも1つのリボヌクレオチド残基を含む分子を指す。
【0044】
本明細書で使用する場合、「二重鎖」は、Watson−Crick塩基対合、あるいは相補的または実質的に相補的であるポリヌクレオチド鎖間の二重鎖を安定化できるような他のいずれの方式によっても互いに塩基対を形成する、2本の相補的または実質的に相補的なポリヌクレオチドの領域を指す。例えば、21ヌクレオチド単位を有するポリヌクレオチド鎖は、21ヌクレオチド単位の別のポリヌクレオチドと塩基対合することができるが、各鎖上の19塩基のみが相補的または実質的に相補的であり、その結果、「二重鎖」は19個の塩基対を有することとなる。残りの塩基は、例えば、5’および3’突出部として存在してもよい。さらに、二重鎖内では、100%の相補性は必要ではなく;ある二重鎖内では、実質的相補性が許容可能である。実質的相補性は、75%以上の相補性を指す。例えば、19塩基対からなる二重鎖におけるミスマッチによって94.7%の相補性が生じれば、この二重鎖は、実質的に相補的となる。
【0045】
ナノ粒子
したがって、ポリヌクレオチドを付着させるために機能化されたナノ粒子が提供される。ナノ粒子のサイズ、形状、および化学組成は、得られるポリヌクレオチドで機能化されたナノ粒子の特性に寄与する。これらの特性には、例えば、光学特性、光電子特性、電気化学特性、電子特性、様々な溶液中での安定性、磁気特性、および細孔やチャネルのサイズの変動が含まれる。サイズ、形状、および/または化学組成が様々であるナノ粒子の混合物、ならびにサイズ、形状、および化学組成が一様であるナノ粒子、ひいてはこれらの特性の混合物の使用が企図される。適切な粒子の例としては、限定されないが、凝集粒子、等方性粒子(球状粒子など)、異方性粒子(非球状の棒状体、四面体、および/または角柱など)、およびコアシェル粒子(その開示全体が参照により組み込まれる米国特許第7,238,472号および国際公開第WO2003/08539号に記載されているものなど)が挙げられる。
【0046】
一実施形態では、ナノ粒子は金属であり、種々の態様では、ナノ粒子は、コロイド状金属である。したがって、種々の実施形態では、本発明のナノ粒子としては、金属(限定はされないが例えば、銀、金、白金、アルミニウム、パラジウム、銅、コバルト、インジウム、ニッケル、またはナノ粒子形成に適用できる任意の他の金属を含めて)、半導体(限定はされないが例えば、CdSe、CdS、およびZnSでコーティングされたCdSまたはCdSeを含めて)、および磁性(例えば強磁性鉄鉱(ferromagnetite))コロイド材料が挙げられる。
【0047】
また、米国特許公開第2003/0147966号に記載されている通り、本発明のナノ粒子としては、市販されているもの、ならびに合成されるもの、例えば、溶液中での(例えばコロイド反応による)漸進的核形成によって、またはスパッタリング蒸着などの様々な物理および化学蒸着プロセスによって生成されるものが挙げられる。例えば、HaVashi、「Vac.Sci.Technol.」A5(4):1375〜84(1987);Hayashi、「PhysicsToday」、44〜60(1987);MRS Bulletin、January 1990、16〜47を参照されたい。米国特許公開第2003/0147966にさらに記載されている通り、企図されるナノ粒子は、当分野で既知の方法を使用して、HAuClとクエン酸還元剤を使用して、代替的に生成される。例えば、Marinakosら、「Adv.Mater.」11:34〜37(1999);Marinakosら、「Chem.Mater.」10:1214〜19(1998);Enustun&Turkevich、「J.Am.Chem.Soc.」85:3317(1963)を参照されたい。
【0048】
ナノ粒子のサイズは、平均径で約1nmから約250nm、平均径で約1nmから約240nm、平均径で約1nmから約230nm、平均径で約1nmから約220nm、平均径で約1nmから約210nm、平均径で約1nmから約200nm、平均径で約1nmから約190nm、平均径で、約1nmから約180nm、平均径で約1nmから約170nm、平均径で約1nmから約160nm、平均径で約1nmから約150nm、平均径で約1nmから約140nm、平均径で約1nmから約130nm、平均径で約1nmから約120nm、平均径で約1nmから約110nm、平均径で約1nmから約100nm、平均径で約1nmから約90nm、平均径で約1nmから約80nm、平均径で約1nmから約70nm、平均径で約1nmから約60nm、平均径で約1nmから約50nm、平均径で約1nmから約40nm、平均径で約1nmから約30nm、または平均径で約1nmから約20nm、平均径で約1nmから約10nmの範囲であり得る。他の態様では、ナノ粒子のサイズは、約5nmから約150nm、約5から約50nm、約10から約30nm、約10から150nm、約10から約100nm、または約10から約50nm(平均径)である。ナノ粒子のサイズは、約5nmから約150nm、約30から約100nm、約40から約80nm(平均径)である。ある方法で使用されるナノ粒子のサイズは、その特定の使用または用途に応じて変動する。ナノ粒子のある種の物理的特徴(例えば、本明細書に記述する通りに得ることができる光学特性または表面積量)を最適化するために、サイズの変動が、有利に使用される。
【0049】
ナノ粒子へのポリヌクレオチドの付着
したがって、二重鎖RNAがナノ粒子と結合するような、ポリヌクレオチドが付着されたナノ粒子が提供される。ある態様では、ナノ粒子と結合するRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)である。二重鎖RNAとナノ粒子との様々な手段を介した結びつきが企図される。
【0050】
本明細書に記述する方法によれば、クエン酸で安定化された金ナノ粒子が合成され、この粒子は、0.1%ジエチルピロカーボネート(DEPC)で、攪拌しながら12時間処理された後、121℃で60分間オートクレーブされる。ある態様では、DEPCでのナノ粒子の処理は、約1時間行われる。種々の態様では、DEPCでのナノ粒子の処理は、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、約9、約9.5、約10、約10.5、約11、約11.5、約12、約12.5、約13、約13.5、約14、約14.5、約15、約20、約25、約30、約3日間、約7日間、またはそれ以上の間行われる。
【0051】
一実施形態では、一本鎖RNAポリヌクレオチドは、本明細書に記述するスペーサーを場合によっては介して、ナノ粒子に直接的に付着される。一本鎖RNAヌクレオチドがナノ粒子に付着されるようなこうした態様では、RNAポリヌクレオチドは、ヘアピン構造を形成するのに適した条件下で互いにハイブリッド形成できるような、十分に相補的である2つの部分を含む。
【0052】
別の実施形態では、二重鎖RNAは、二重鎖RNAのうちの片方の鎖のみがナノ粒子に直接的に付着するように、本明細書に記述するスペーサーを場合によっては介して、ナノ粒子上に直接的に固定化される。
【0053】
他の実施形態では、ナノ粒子に付着されるポリヌクレオチドは、DNAである。DNAがナノ粒子に付着される場合には、DNAは、ナノ粒子に付着するDNAポリヌクレオチドとRNA二重鎖の一本鎖領域とのハイブリッド形成が行われることによってナノ粒子にRNA二重鎖が結合するように、このRNA二重鎖の一本鎖領域と十分に相補的である配列から構成される。一態様では、二重鎖RNAの一本鎖領域は、突出末端である。種々の態様では、DNAは、その二本鎖分子が、二重鎖RNAの一本鎖領域とハイブリッド形成する一本鎖領域も含みさえすれば、一本鎖または二本鎖である。
【0054】
ポリヌクレオチドの方向性
センス 対 アンチセンス
ある態様では、ナノ粒子に付着されるRNAの鎖は、「センス」鎖であり、二重鎖RNAの相補鎖は、センス鎖とはハイブリッド形成するが、ナノ粒子には付着しない。他の態様では、ナノ粒子に付着されるRNAの鎖は、「アンチセンス」鎖であり、二重鎖RNAの相補鎖は、アンチセンス鎖とはハイブリッド形成するが、ナノ粒子には付着しない。本明細書で使用する場合、「センス」鎖は、標的ポリヌクレオチドと同一の鎖であり、「アンチセンス」鎖は、標的ポリヌクレオチドと相補的な鎖である。センス鎖またはアンチセンス鎖のナノ粒子への付着によって、二本鎖RNAのナノ粒子に対する方向性の一態様が決定される。
【0055】
センス鎖がナノ粒子に付着し、かつアンチセンス鎖がセンス鎖とはハイブリッド形成するがナノ粒子には付着しないRNA二重鎖は、アンチセンス鎖がナノ粒子に付着し、かつセンス鎖がアンチセンス鎖とはハイブリッド形成するがナノ粒子には付着しないRNA二重鎖よりも活性が高いことを、本明細書で実証する(実施例5を参照されたい)。理論に拘泥されないが、RNA二重鎖のナノ粒子への付着の方向性(限定はされないが例えば、RNA二重鎖のセンス鎖とアンチセンス鎖のどちらがナノ粒子に付着するか)は、本開示により企図されるポリペプチドのための基質を提供するために重要であると考えられる。ある態様では、ポリペプチドは、Dicerである。ある態様では、ポリペプチドは、Argonauteである。
【0056】
ポリペプチド(polyeptide)相互作用部位の位置
ある実施形態では、ナノ粒子に付着されるポリヌクレオチドがRNAであることが、本開示によって企図される。また、RNA内の配列に位置するタンパク質相互作用部位がナノ粒子に対して近くまたは遠くになるように、ポリヌクレオチドがナノ粒子に付着されることも企図される。これらの態様では、「近く」および「遠く」は、ポリヌクレオチド上の中間点を指す。例えば、ナノ粒子に付着するポリヌクレオチドの長さが20塩基であれば、その中間点は、ナノ粒子から10塩基の位置になり、タンパク質相互作用部位は、この第10塩基に対して近くまたは遠くであり得る。
【0057】
本明細書に記述する方法を使用して、ナノ粒子上にRNAポリヌクレオチドを固定化させることによって、本開示のポリペプチドによる二重鎖への接近を制御することができる。
【0058】
ある実施形態では、様々な長さのスペーサー配列を利用して、ナノ粒子上のRNAポリヌクレオチドの本数およびRNAポリヌクレオチド間の距離を変えることによって、標的ポリヌクレオチドの分解速度が制御される。理論に拘泥されないが、タンパク質相互作用部位が上で述べた通りの近位置になるようにナノ粒子上のRNAポリヌクレオチドを固定化させることによって、標的ポリヌクレオチド分解の速度を制御することができる。この態様は、下に記述する通りの表面密度と組み合わせて、本開示のポリペプチドのタンパク質相互作用部位への接近を可能にしたり妨げたりすることができる。
【0059】
スペーサーについて、以下でさらに詳細に記述する。
【0060】
スペーサー
ある種の態様では、オリゴヌクレオチドがスペーサーを介してナノ粒子に付着するものを含めた、機能化されたナノ粒子が企図される。本明細書で使用する場合、「スペーサー」は、それ自体は遺伝子発現の調節に関与しないが、ナノ粒子と機能性オリゴヌクレオチドとの間の距離を広げるのに、または多重コピーでナノ粒子に付着する場合には個々のオリゴヌクレオチド間の距離を広げるのに役立つ部分を意味する。したがって、スペーサーは、オリゴヌクレオチドが同一の配列を有するとしても異なる配列を有するとしても、個々のオリゴヌクレオチド間に並べて配置されることが企図される。一態様では、スペーサーは、存在する場合、有機部分である。別の態様では、スペーサーは、これに限定されないが水溶性ポリマーを含めたポリマーや、核酸、ポリペプチド、オリゴ糖、炭水化物、脂質、エチルグリコール、またはこれらの組み合わせである。
【0061】
ある種の態様では、スペーサーは、スペーサーに共有結合的に結合した、ナノ粒子と結合可能なポリヌクレオチドを有する。こうしたポリヌクレオチドは、上で述べたのと同じポリヌクレオチドである。スペーサーとナノ粒子との結合の結果、ポリヌクレオチドは、ナノ粒子の表面との距離が離れ、ポリヌクレオチドの標的と、よりハイブリッド形成しやすくなる。スペーサーがポリヌクレオチドである例では、種々の実施形態におけるスペーサーの長さは、少なくとも約10ヌクレオチド、10〜30ヌクレオチド、さらには30ヌクレオチド超である。スペーサーは、ポリヌクレオチドがナノ粒子とまたは標的ポリヌクレオチドと結合できるようになる能力を妨げないような任意の配列を有することができる。スペーサー同士が互いに相補的な配列を有するべきではないし、スペーサーはオリゴヌクレオチドの配列と相補的な配列を有するべきではないが、スペーサーは、標的ポリヌクレオチドと、すべてまたは部分的に相補的であり得る。ある種の態様では、ポリヌクレオチドスペーサーの塩基は、すべてアデニン、すべてチミン、すべてシチジン、すべてグアニン、すべてウラシル、またはすべて他の何らかの修飾塩基である。
【0062】
表面密度
本明細書で提供するナノ粒子は、ナノ粒子間および単一ナノ粒子上のポリヌクレオチド鎖間の協同的挙動をもたらすのに、種々の態様において十分であるような、ポリヌクレオチドのナノ粒子表面上での充填密度を有する。別の態様では、ナノ粒子間の協同的挙動によって、ヌクレアーゼ分解に対するポリヌクレオチドの耐性が増大する。さらに別の態様では、細胞によるナノ粒子の取り込みは、ナノ粒子と結合するポリヌクレオチドの密度によって影響される。参照により本明細書にその全体が組み込まれるPCT/US2008/65366に記載の通り、ナノ粒子の表面上のポリヌクレオチドの密度がより高いことは、細胞によるナノ粒子の取り込みの増大と関連する。
【0063】
ナノ粒子を安定させるのに妥当な表面密度、また、所望の組み合わせのナノ粒子とポリヌクレオチドのための表面密度を得るのに必要な条件は、経験的に決定することができる。安定したナノ粒子−オリゴヌクレオチド組成物を提供するためには、一般に、少なくとも2pmol/cmの表面密度が妥当であろう。ある態様では、表面密度は、少なくとも15pmol/cmである。また、ポリヌクレオチドが、少なくとも2pmol/cm、少なくとも3pmol/cm、少なくとも4pmol/cm、少なくとも5pmol/cm、少なくとも6pmol/cm、少なくとも7pmol/cm、少なくとも8pmol/cm、少なくとも9pmol/cm、少なくとも10pmol/cm、少なくとも約15pmol/cm、少なくとも約20pmol/cm、少なくとも約25pmol/cm、少なくとも約30pmol/cm、少なくとも約35pmol/cm、少なくとも約40pmol/cm、少なくとも約45pmol/cm、少なくとも約50pmol/cm、少なくとも約55pmol/cm、少なくとも約60pmol/cm、少なくとも約65pmol/cm、少なくとも約70pmol/cm、少なくとも約75pmol/cm、少なくとも約80pmol/cm、少なくとも約85pmol/cm、少なくとも約90pmol/cm、少なくとも約95pmol/cm、少なくとも約100pmol/cm、少なくとも約125pmol/cm、少なくとも約150pmol/cm、少なくとも約175pmol/cm、少なくとも約200pmol/cm、少なくとも約250pmol/cm、少なくとも約300pmol/cm、少なくとも約350pmol/cm、少なくとも約400pmol/cm、少なくとも約450pmol/cm、少なくとも約500pmol/cm、少なくとも約550pmol/cm、少なくとも約600pmol/cm、少なくとも約650pmol/cm、少なくとも約700pmol/cm、少なくとも約750pmol/cm、少なくとも約800pmol/cm、少なくとも約850pmol/cm、少なくとも約900pmol/cm、少なくとも約950pmol/cm、少なくとも約1000pmol/cm、またはそれ以上の表面密度でナノ粒子に結合されるような方法も提供する。
【0064】
ナノ粒子表面上のポリヌクレオチドの密度によって、ナノ粒子の表面上のポリヌクレオチドおよび/またはナノ粒子自体と、特定のポリペプチドとの相互作用が調節されることが示されている。ナノ粒子と結合したポリヌクレオチドとの相互作用が、ポリヌクレオチドの密度に起因する立体障害を基にして妨げられる可能性があるポリペプチドも、種々の条件下では存在する。ポリヌクレオチドとポリペプチドとの相互作用が立体障害によって妨げられないことが望ましい態様では、ポリペプチドをポリヌクレオチドと相互作用させるために、ナノ粒子表面上のポリヌクレオチドの密度を低下させる。
【0065】
ポリヌクレオチド表面密度によって、ナノ粒子と結合したポリヌクレオチドの安定性が調節されることも示されている。一実施形態では、ナノ粒子と結合していない同一のRNAポリヌクレオチドの半減期と少なくとも実質的に同じ半減期であるような、ナノ粒子と結合したRNAポリヌクレオチドが提供される。他の実施形態では、ナノ粒子と結合したRNAポリヌクレオチドの半減期は、ナノ粒子と結合していない同一のRNAポリヌクレオチドの半減期よりも、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上、約6倍以上、約7倍以上、約8倍以上、約9倍以上、約10倍以上、約20倍以上、約30倍以上、約40倍以上、約50倍以上、約60倍以上、約70倍以上、約80倍以上、約90倍以上、約100倍以上、約200倍以上、約300倍以上、約400倍以上、約500倍以上、約600倍以上、約700倍以上、約800倍以上、約900倍以上、約1000倍以上、約5000倍以上、約10,000倍以上、約50,000倍以上、約100,000倍以上、約200,000倍以上、約300,000倍以上、約400,000倍以上、約500,000倍以上、約600,000倍以上、約700,000倍以上、約800,000倍以上、約900,000倍以上、約1,000,000倍以上、またはそれ以上長い。
【0066】
ポリヌクレオチドを付着させる方法
本方法に使用を企図されるポリヌクレオチドとしては、任意の手段を介してナノ粒子に結合されるポリヌクレオチドが挙げられる。ポリヌクレオチドをナノ粒子に付着させる手段にかかわらず、種々の態様における付着は、5’連結、3’連結、ある種類の内部連結、またはこれらの付着の任意の組み合わせを介して行われる。
【0067】
一態様では、ナノ粒子またはポリヌクレオチドまたはその両方が、ポリヌクレオチドをナノ粒子に付着させるために官能化される。ナノ粒子およびポリヌクレオチドを官能化させる方法は、当分野で既知である。例えば、3’末端または5’末端にアルカンチオールを用いて官能化されたポリヌクレオチドは、金ナノ粒子に容易に付着する。Whitesides、「Proceedings of the Robert A.Welch Foundation 39th Conference On Chemical Research Nanophase Chemistry、Houston、Tex.」、109〜121頁(1995)を参照されたい。Mucicら、[Chem.Commun.555〜557(1996)](平坦な金表面に3’チオールDNAを付着させる方法を記載している)も参照されたい。このアルカンチオール法はまた、オリゴヌクレオチドを他の金属、半導体、および磁性コロイドに、または本明細書に記述する他の種類のナノ粒子に付着させるために使用することができる。オリゴヌクレオチドを固体表面に付着させるための他の官能基としては、ホスホロチオアート基(例えば、オリゴヌクレオチド−ホスホロチオアートと金表面との結合については、米国特許第5,472,881号を参照のこと)、置換型アルキルシロキサン[例えば、オリゴヌクレオチドとシリカおよびガラス表面との結合については、Burwell、「Chemical Technology」、4、370〜377(1974)、ならびに、MatteucciおよびCaruthers、「J.Am.Chem.Soc.」、103、3185〜3191(1981)、アミノアルキルシロキサンの結合について、またメルカプトアルキルシロキサンの類似の結合については、Grabarら、[Anal.Chem、67、735〜743]を参照のこと]が挙げられる。5’チオヌクレオシドまたは3’チオヌクレオシドを有するポリヌクレオチドも、オリゴヌクレオチドを固体表面に付着させるために使用することができる。次の参考文献は、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着させるために用いることができる他の方法について記載している:Nuzzoら、「J.Am.Chem.Soc.」、109、2358(1987)(金に対してジスルフィド);AllaraおよびNuzzo、「Langmuir」、1、45(1985)(アルミニウムに対してカルボン酸);AllaraおよびTompkins、「J.Colloid Interface Sci.」、49、410〜421(1974)(銅に対してカルボン酸);Iler、「The Chemistry Of Silica」、Chapter 6、(Wiley 1979)(シリカに対してカルボン酸);TimmonsおよびZisman、「J.Phys.Chem.」、69、984〜990(1965)(白金に対してカルボン酸);SoriagaおよびHubbard、「J.Am.Chem.Soc.」、104、3937(1982)(白金に対して芳香環化合物);Hubbard、「Acc.Chem.Res.」、13、177(1980)(白金に対してスルホラン、スルホキシド、および他の機能性溶媒);Hickmanら、「J.Am.Chem.Soc.」、111、7271(1989)(白金に対してイソニトリル);MaozおよびSagiv、「Langmuir」、3、1045(1987)(シリカに対してシラン);MaozおよびSagiv、「Langmuir」、3、1034(1987)(シリカに対してシラン);Wassermanら、「Langmuir」、5、1074(1989)(シリカに対してシラン);EltekovaおよびEltekov、「Langmuir」、3、951(1987)(二酸化チタンおよびシリカに対して、芳香族カルボン酸、アルデヒド、アルコール、およびメトキシ基);Lecら、「J.Phys.Chem.」、92、2597(1988)(金属に対して、硬いリン酸塩)。
【0068】
米国特許出願第09/760,500号および第09/820,279号、ならびに国際出願PCT/US01/01190号およびPCT/US01/10071号は、環状ジスルフィドを用いて官能化されたオリゴヌクレオチドを記載している。ある種の態様における環状ジスルフィドは、2個の硫黄原子を含めて、環内に5または6個の原子を有する。適切な環状ジスルフィドは、市販品として入手するか、既知の手順によって合成する。還元型の環状ジスルフィドによる官能化も企図される。3員環ジスルフィドアンカー基による官能化は、参照により本明細書にその全体が組み込まれるPCT/US2008/63441に記載されている。
【0069】
環状ジスルフィドによる官能化が利用されるある種の態様では、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のリンカーを介して、ナノ粒子に付着される。一実施形態では、リンカーは、環状ジスルフィドに付着した炭化水素部分を含む。適切な炭化水素は市販品として入手でき、これを環状ジスルフィドに付着させる。一態様では、炭化水素部分は、ステロイド残基である。環状ジスルフィドに付着させたステロイド残基を含むリンカーを使用して調製されるオリゴヌクレオチド−ナノ粒子組成物は、リンカーとしてアルカンチオールまたは非環状ジスルフィドを使用して調製される組成物よりも安定しており、ある種の例では、オリゴヌクレオチド−ナノ粒子組成物は、300倍も安定していることが判明している。ある種の実施形態では、環状ジスルフィドの2個の硫黄原子は、両方の硫黄原子が同時にナノ粒子に付着できるように互いに十分に近接している。他の態様では、2個の硫黄原子は、互いに隣接する。利用される態様では、炭化水素部分は、ナノ粒子の表面を覆う疎水性表面を与えるのに十分に大きい。
【0070】
他の態様では、表面上にオリゴヌクレオチドを付着させるための方法は、参照により本明細書にその開示全体が組み込まれる米国特許出願第09/344,667号(1999年6月25日出願);第09/603,830号(2000年6月26日出願);第09/760,500号(2001年1月12日出願);第09/820,279号(2001年3月28日出願);第09/927,777号(2001年8月10日出願);および国際出願PCT/US97/12783号(1997年7月21日出願);PCT/US00/17507号(2000年6月26日出願);PCT/US01/01190号(2001年1月12日出願);PCT/US01/10071号(2001年3月28日出願)に記載された熟成プロセスに基づいている。熟成プロセスによって、ナノ粒子−オリゴヌクレオチド組成物に安定性および選択性の向上が提供される。このプロセスは、ナノ粒子に結合できる官能基を含む部分と、一態様では共有結合的に結合しているオリゴヌクレオチドを提供することを含む。この部分および官能基は、オリゴヌクレオチドをナノ粒子に(化学吸着または共有結合によって)結合させることができるものである。例えば、アルカンチオール、アルカンジスルフィド、または環状ジスルフィドが5’または3’末端に共有結合的に結合したオリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドと、金ナノ粒子を含めた様々なナノ粒子とを結合する。
【0071】
「熟成」ステップの使用によって生成した組成物は、「熟成」ステップなしで生成したものよりかなり安定していることが発見されている。この「熟成」プロセスによって、ナノ粒子表面上でのオリゴヌクレオチドの密度の増大が実現される。「熟成」ステップによって実現される表面密度は、ナノ粒子のサイズや種類に、また、オリゴヌクレオチドの長さ、配列、および濃度に依存することとなる。ナノ粒子を安定させるのに妥当な表面密度、また、所望の組み合わせのナノ粒子とポリヌクレオチドのための表面密度を得るのに必要な条件は、経験的に決定することができる。一般に、少なくとも2pmol/cmの表面密度が、安定したナノ粒子−オリゴヌクレオチド組成物を提供するのに妥当であるだろう。それにもかかわらず、本明細書に開示する通り、様々なオリゴヌクレオチド密度が企図される。
【0072】
「熟成」ステップは、ナノ粒子へのオリゴヌクレオチドの最初の結合の後の、機能化されたナノ粒子の生成に組み込まれる。簡単に言うと、少なくともある程度のオリゴヌクレオチドを官能基を介してナノ粒子に結合させるのに十分な時間、オリゴヌクレオチドをナノ粒子と水中で接触させる。こうした時間は、経験的に決定することができる。一態様では、約12〜24時間という時間が企図される。オリゴヌクレオチドの結合に適した他の条件も、経験的に決定することができる。例えば、約10〜20nMの濃度のナノ粒子、および室温でのインキュベーションが企図される。
【0073】
次に、水に少なくとも1種の塩を加えて、塩溶液を生成する。塩は、例えば、限定されないが、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、これらのうちの2種以上の組み合わせ、またはリン酸緩衝液中のこれらの塩のうちの1種、を含めた任意の水溶性の塩である。塩は、濃縮された溶液として、または代替形態では固体として添加される。種々の実施形態では、塩は、1度にすべて添加されるか、時間をかけて徐々に添加される。「時間をかけて徐々に」は、塩が、ある期間をあけて、少なくとも2回に分けて添加されることを意味する。適切な時間間隔は、経験的に決定することができる。
【0074】
塩溶液のイオン強度は、オリゴヌクレオチド同士の静電反発力、および、正に帯電したナノ粒子に対する負に帯電したオリゴヌクレオチドの静電引力、または負に帯電したナノ粒子から受ける負に帯電したオリゴヌクレオチドの静電反発力を、少なくとも部分的に抑えるのに十分でなければならない。時間をかけて徐々に塩を添加することによって静電引力および静電反発力を徐々に弱めていくことで、ナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの表面密度が最大になる。適切なイオン強度は、各塩または塩の組み合わせについて、経験的に決定することができる。一態様では、最終濃度が約0.01Mから約1.0Mの塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液が利用され、塩化ナトリウムの濃度は、時間をかけて徐々に上げられる。別の態様では、最終濃度が約0.01Mから約0.5M、または約0.1Mから約0.3Mの塩化ナトリウムが利用され、塩化ナトリウムの濃度は、時間をかけて徐々に上げられる。
【0075】
塩を添加した後、追加のオリゴヌクレオチドをナノ粒子に結合させて、安定したナノ粒子−オリゴヌクレオチド組成物を生成するために、オリゴヌクレオチドとナノ粒子を、塩溶液中で、ある期間インキュベートする。本明細書に記述している通り、ナノ粒子上のオリゴヌクレオチドの表面密度の増大により、該組成物は安定化する。このインキュベーションの時間は、経験的に決定することができる。例として、一態様では、約24〜48という総インキュベーション時間(ここでは、塩濃度は、この総時間を通して徐々に上げられる)が企図される。塩溶液中でのこの第2のインキュベーション期間は、本明細書では「熟成」ステップと呼ばれる。この「熟成」ステップに適した他の条件も、経験的に決定することができる。例として、熟成ステップは、室温でのインキュベーションおよびpH7.0を用いて実施される。
【0076】
「熟成」の使用によって生成される組成物は一般に、「熟成」ステップなしで生成されるものよりも安定している。上で述べた通り、この安定性の向上は、「熟成」ステップにより実現されるような、ナノ粒子表面上のオリゴヌクレオチドの密度の増大によるものである。「熟成」ステップによって実現される表面密度は、ナノ粒子のサイズや種類に、また、オリゴヌクレオチドの長さ、配列、および濃度に依存することとなる。
【0077】
本明細書で使用する場合、「安定した」は、組成物が作製されてから少なくとも6か月の期間の間、多数のオリゴヌクレオチドがナノ粒子に付着したままであり、かつ、オリゴヌクレオチドが、核酸を検出する方法で、またナノ製造(nanofabrication)の方法で直面する標準の条件下で、核酸およびオリゴヌクレオチド標的とハイブリッド形成することができることを意味する。
【0078】
ポリヌクレオチド
本明細書で使用する場合、用語「ヌクレオチド」またはその複数形は、本明細書で論じる通りの改変された形や、その他当分野で既知のものと同義的である。ある種の例では、当分野では、天然に存在するヌクレオチド、ならびに重合可能なヌクレオチドの改変形態を包含する、用語「核酸塩基」が使用される。したがって、ヌクレオチドまたは核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基、すなわちアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、ウラシル(U)、ならびに天然に存在しない核酸塩基、すなわちキサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N’,N’−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン(mC)、5−(C〜C)−アルキニル−シトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、プソイドイソシトシン、2−ヒロドキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシン、ならびに、Bennerら、米国特許第5,432,272号およびSusan M.FreierおよびKarl−Heinz Altmann、1997、「Nucleic Acids Research」、第25巻:4429〜4443頁に記載されている「天然に存在しない」核酸塩基、を意味する。用語「核酸塩基」には、既知のプリン複素環およびピリジン複素環だけでなく、それらの複素環式類似体および互変異性体も含まれる。さらに、天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基としては、参照により本明細書にそれぞれその全体が組み込まれる、米国特許第3,687,808号(Meriganら)に;「Antisense Research and Application」、S.T.CrookeおよびB.Lebleu編、CRC Press、1993中の、SanghviによるChapter 15に;Englischら、1991、「Angewandte Chemie,International Edition」、30:613〜722(特に622頁および623頁参照)に;また、「the Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」、J.I.Kroschwitz編、John Wiley&Sons、1990、858〜859頁、Cook、「Anti−Cancer Drug Design 1991」、6、585〜607に開示されているものも挙げられる。種々の態様では、ポリヌクレオチドは、最も典型的な意味ではヌクレオシド塩基ではないが、ヌクレオシド塩基として機能する、ある種の「万能塩基」を含めて、核酸塩基のように機能することができる複素環式化合物などの化合物を含めた1種または複数の「ヌクレオシド塩基」または「塩基単位」も含む。万能塩基としては、3−ニトロピロール、任意選択で置換されたインドール(例えば、5−ニトロインドール)、および任意選択で置換されたヒポキサンチンが挙げられる。他の望ましい万能塩基としては、当分野で既知の万能塩基を含めた、ピロール誘導体、ジアゾール誘導体、またはトリアゾール誘導体が挙げられる。
【0079】
ポリヌクレオチドはまた、修飾核酸塩基も含むことができる。「修飾塩基」は、当分野では、天然の塩基(例えば、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、および/またはチミン)と対合可能であるかつ/または天然に存在しない塩基と対合可能であるものであると理解される。例示的な修飾塩基は、参照により本明細書にその開示が組み込まれるEP1072679およびWO97/12896に記載されている。修飾核酸塩基としては、限定されないが、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン、および2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシンならびにピリミジン塩基の他のアルキニル誘導体、6−アゾウラシルおよびシトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオールアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換型アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル、および他の5−置換型ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、ならびに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンが挙げられる。さらなる修飾塩基としては、フェノキサジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾオキサジン−2(3H)−オン)、フェノチアジンシチジン(1H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾチアジン−2(3H)−オン)、置換型フェノオキサジンシチジン(例えば、9−(2−アミノエトキシ)−H−ピリミド[5,4−b][1,4]ベンゾオキサジン−2(3H)−オン)などのG−クランプ、カルバゾールシチジン(2H−ピリミド[4,5−b]インドール−2オン)、ピリドインドールシチジン(H−ピリド[3’,2’:4,5]ピロロ[2,3−d]ピリミジン−2−オン)、などの三環式ピリミジンが挙げられる。修飾塩基には、プリン塩基またはピリミジン塩基が、例えば7−デアザアデニン、7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン、および2−ピリドンなどの他の複素環で置き換えられたものも含めることができる。追加の核酸塩基としては、米国特許第3,687,808号に開示されているもの、「The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering」、858〜859頁、Kroschwitz,J.I.編、John Wiley&Sons、1990、に開示されているもの、Englischら、1991、「Angewandte Chemie,International Edition」、30:613、によって開示されているもの、およびCrooke,S.T.およびLebleu,B.編「Antisense Research and Applications」、Sanghvi,Y.S.、Chapter 15、289〜302頁、CRC Press、1993、によって開示されているものが挙げられる。これらの塩基の中には、結合親和性を増大させるのに有用なものもあり、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含めた、5−置換型ピリミジン、6−アザピリミジン、ならびにN−2、N−6、およびO−6置換型プリンが挙げられる。5−メチルシトシン置換塩基は、核酸二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃向上させることが示されており、ある種の態様では、2’−O−メトキシエチル糖修飾塩基と組み合わされる。参照により本明細書にその開示が組み込まれる、米国特許第3,687,808号、米国特許第4,845,205号;第5,130,302号;第5,134,066号;第5,175,273号;第5,367,066号;第5,432,272号;第5,457,187号;第5,459,255号;第5,484,908号;第5,502,177号;第5,525,711号;第5,552,540号;第5,587,469号;第5,594,121号、第5,596,091号;第5,614,617;第5,645,985号;第5,830,653号;第5,763,588号;第6,005,096号;第5,750,692号、および第5,681,941号を参照されたい。
【0080】
所定の配列のポリクレオチドを作製する方法は、周知である。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning」:「A Laboratory Manual」(第2版 1989)、およびF.Eckstein(編)「Oligonucleotides and Analogues」、初版(Oxford University Press、New York、1991)を参照されたい。固相合成法は、ポリリボヌクレオチドとポリデオキシリボヌクレオチドの両方について好ましい(DNAを合成する周知の方法は、RNAを合成するのにも有用である)。ポリリボヌクレオチドはまた、酵素的に調製することもできる。天然に存在しない核酸塩基も、ポリヌクレオチドに組み込むことができる。例えば、米国特許第7,223,833号;Katz、「J.Am.Chem.Soc.」、74:2238(1951);Yamaneら、「J.Am.Chem.Soc.」、83:2599(1961);Kosturkoら「Biochemistry」、13:3949(1974);Thomas、「J.Am.Chem.Soc.」、76:6032(1954);Zhangら、「J.Am.Chem.Soc.」、127:74〜75(2005);およびZimmermannら、「J.Am.Chem.Soc.」、124:13684〜13685(2002)を参照されたい。
【0081】
ポリヌクレオチドまたはその改変形を用いて機能化されたナノ粒子は、一般に、長さが約5ヌクレオチドから約100ヌクレオチドのポリヌクレオチドを含む。より詳細には、ナノ粒子は、長さが約5から約90ヌクレオチド、長さが約5から約80ヌクレオチド、長さが約5から約70ヌクレオチド、長さが約5から約60ヌクレオチド、長さが約5から約50ヌクレオチド、長さが約5から約45ヌクレオチド、長さが約5から約40ヌクレオチド、長さが約5から約35ヌクレオチド、長さが約5から約30ヌクレオチド、長さが約5から約25ヌクレオチド、長さが約5から約20ヌクレオチド、長さが約5から約15ヌクレオチド、長さが約5から約10ヌクレオチドであるポリヌクレオチド、および所望の結果を実現できる範囲の具体的に開示されたサイズの長さであるすべてのポリヌクレオチド中間体、を用いて機能化される。したがって、長さが、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100ヌクレオチドまたはそれ以上であるポリヌクレオチドが企図される。
【0082】
ナノ粒子への付着のために企図されるポリヌクレオチドには、標的ポリヌクレオチドから発現される遺伝子産物の発現を調節するものが含まれる。したがって、標的ポリヌクレオチドとハイブリッド形成してRNase(例えば、RNaseH)活性を誘発するRNAポリヌクレオチドや、二本鎖ポリヌクレオチドとハイブリッド形成して転写を阻害する三重らせん形成ポリヌクレオチドや、標的ポリヌクレオチドとハイブリッド形成して翻訳を阻害するリボザイムが企図される。
【0083】
種々の態様では、特定のmRNAが標的にされる場合、単一のナノ粒子結合因子組成物が、同じ転写物の多重コピーに結合する能力を有する。一態様では、同一の(すなわち、各ヌクレオチドが同じ長さと同じ配列を有する)ポリヌクレオチドで機能化されたナノ粒子が提供される。他の態様では、ナノ粒子は、2種以上の同一ではない(すなわち、少なくとも1つの付着されるポリヌクレオチドが、異なる長さおよび/または異なる配列を有するという点で、他の少なくとも1つの付着されるポリヌクレオチドと異なる)ポリヌクレオチドで機能化される。異なるポリヌクレオチドがナノ粒子に付着される態様では、これらの異なるポリヌクレオチドが、異なる位置または基質部位の同じ単一の標的ポリヌクレオチドと結合する、あるいは、異なる遺伝子産物をコードする異なる標的ヌクレオチドと結合する。したがって、種々の態様では、単一のナノ粒子結合因子組成物が、2種以上の遺伝子産物を標的にする。したがって、ポリヌクレオチドは、所望のレベルの遺伝子発現阻害が行われるために必要とされるような、標的ポリヌクレオチド内の1つまたは複数の特定領域で、または標的ポリヌクレオチドの全長にわたって、標的特異的なポリヌクレオチドである。
【0084】
ポリヌクレオチドの特色
本開示は、種々の実施形態において、遺伝子調節に有用である多価RNA−ナノ粒子組成物を提供する。低分子干渉RNAは、標的RNA(一般にメッセンジャーRNA(mRNA))の一部との相補性を有する(すなわちハイブリッド形成できる)二本鎖RNA因子である。こうした相補性は、一般には、100%であるが、所望により、例えば、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約70%、約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のように低くすることができる。例えば、21塩基のうちの19塩基を塩基対合させることができる。したがって、本方法において使用されるオリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリッド形成可能であるために、所望の標的核酸と100%相補的である必要はないことが理解されるであろう。さらに、オリゴヌクレオチドは、介在または隣接セグメントがハイブリッド形成事象(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)に関与しないように、1つまたは複数のセグメントを飛び越えて互いにハイブリッド形成することができる。任意の所与のオリゴヌクレオチド間の相補性(%)は、当分野で既知のBLAST(Basic Local Alignment Search Tools)プログラムおよびPowerBLASTプログラムを使用して、機械的に決定することができる(Altschulら、1990、「J.Mol.Biol.」、215:403〜410;ZhangおよびMadden、1997、「Genome Res.」、7:649〜656)。
【0085】
ある態様では、様々な対立遺伝子変異体の中から選択することが望まれる場合、標的配列と他の対立遺伝子配列を有効に識別するために、標的遺伝子に対する100%相補性が必要となる。対立遺伝子標的から選択する際に、長さの選択も重要な要素である。なぜなら、長さの選択は、相補性(%)および対立遺伝子間の違いを区別する能力に関与するもう1つの要素であるからである。
【0086】
「ハイブリッド形成」は、Watson−CrickのDNA相補性の規則、Hoogstein結合の規則、または当分野で既知の他の配列特異的結合の規則に従う水素結合による、核酸の二本または三本の鎖の間の相互作用を意味する。ハイブリッド形成は、当分野で既知の、様々な厳密性の条件下で実施することができる。
【0087】
用語「RNA」は、二本の別の鎖の二重鎖、ならびに、一本鎖、三重鎖、または四重鎖構造を含む。一本鎖RNAの例は、ヘアピンループを有するRNAである。このRNA配列は、相補的塩基対合作用を介して低分子干渉RNAと標的RNAとを結合させるのに十分な長さである必要がある。本明細書に開示する方法に有用なRNAは、様々な長さのものであり得る。該RNAは、本明細書に開示する通り、二重鎖の一本鎖と標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成を適切な条件下で可能にする、標的ポリヌクレオチド内の配列と十分に相補的な、二重鎖の一本鎖内のドメインを含み、二重鎖の該ドメインと標的ポリヌクレオチド内の該配列とのハイブリッド形成によって、ポリペプチドによって認識される基質部位がもたらされる。このドメインの長さは、一般に10ヌクレオチド以上であり、標的RNAとハイブリッド形成するのに十分な長さ;詳細には10〜100ヌクレオチド;より詳細には10と80ヌクレオチドとの間の任意の整数値(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、および100など)である。「十分な長さ」は、意図される機能を所期の条件下で提供するのに必要なサイズの長さである10ヌクレオチド以上のオリゴヌクレオチドを意味する。
【0088】
RNAは、in vitroで重合させることもできるし、組み換えRNAであってもよいし、キメラ配列を含有することもできるし、これらの群の誘導体であってもよい。種々の実施形態では、RNAは、標的遺伝子の発現が阻害されるような、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、合成ヌクレオチド、または任意の適切な組み合わせを含有する。
【0089】
送達されるRNAは、細胞質内または核内にとどまることができる。RNAは、細胞に送達されて、内因性または外因性ヌクレオチド配列の発現を阻害したり、細胞に天然には伴われない特定の生理的特徴を与えたりすることもできる。
【0090】
RNAを、治療的である細胞変化をもたらすために細胞に送達することができる。RNAまたは他の遺伝子材料を治療目的で送達すること(疾患の処置または予防を含めた、動物の健康を向上させる技術)は、遺伝子治療と呼ばれる。RNAは、in situで生体に直接的に、またはex vivoで細胞に移入され、次いでこれが生体内に移植されることによって間接的に、送達することができる。タンパク質の産生をブロックするためには、または、あるRNAの量を低下させるためには、RNAが細胞内に入ることが必要である。本開示によって企図されるポリヌクレオチド配列を、さらに以下で述べる。
【0091】
ポリヌクレオチド配列およびハイブリッド形成
ある態様では、本開示は、特定の核酸を標的にする方法を提供する。いかなる種類の核酸も標的にすることができ、本方法は、例えば、遺伝子発現の治療的調節のために使用することができる(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれるPCT/US2006/022325を参照されたい)。本発明の方法により標的にされる核酸の例としては、遺伝子(例えば、特定の疾患に関連する遺伝子)、ウイルスRNA、またはmRNA、RNA、一本鎖の核酸が挙げられるが、これに限定されない。
【0092】
標的核酸は、当分野で既知でもある通り、細胞、組織サンプル、または生体液中に存在し得る。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning」:「A Laboratory Manual」(第2版、1989)、およびB.D.HamesおよびS.J.Higgins編、「Gene Probes 1」(IRL Press、New York、1995)を参照されたい。
【0093】
用語「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからのいずれかの方向(すなわち5’または3’)の隣接するヌクレオチドを包含する、mRNAまたは遺伝子の部分を指す。同様に、用語「終止コドン領域」および「翻訳終結コドン領域」は、翻訳終結コドンからのいずれかの方向(すなわち5’または3’)の隣接するヌクレオチドを包含するようなmRNAまたは遺伝子の部分を指す。したがって、「開始コドン領域」(または「翻訳開始コドン領域」)および「終止コドン領域」(または翻訳終結コドン領域」)は、機能化されたナノ粒子上のオリゴヌクレオチドで有効に標的にされ得るすべての領域である。
【0094】
他の標的領域としては、5’非翻訳領域(5’UTR)、すなわち、mRNAの5’キャップ部位と翻訳開始コドンとの間のヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)を含む、翻訳開始コドンから5’方向のmRNAの部分と、3’非翻訳領域(3’UTR)、すなわち、mRNAの翻訳終結コドンと3’末端との間のヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)を含む、翻訳終結コドンから3’方向のmRNAの部分が挙げられる。mRNAの5’キャップ部位は、5’−5’三リン酸連結を介してmRNAの最も5’側の残基(5’−most residue)と連結されるN7−メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5’キャップ部位は、5’キャップ構造自体、ならびに該キャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドを含むと考えられる。
【0095】
原核生物の標的核酸に関しては、種々の態様において、核酸は、ゲノムDNAから転写されたRNAである。真核生物の標的核酸に関しては、核酸は、動物の核酸、植物の核酸、菌類の核酸(酵母菌の核酸を含む)である。上と同様に、標的核酸は、ゲノムDNA配列から転写されたRNAである。ある種の態様では、標的核酸は、ミトコンドリアの核酸である。ウイルスの標的核酸に関しては、核酸は、ウイルスのゲノムRNA、またはウイルスのゲノムDNAから転写されたRNAである。
【0096】
遺伝子産物発現を阻害するための提供される方法には、標的遺伝子産物の発現が、オリゴヌクレオチドで機能化されたナノ粒子の非存在下での遺伝子産物発現と比較すると、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%阻害される方法が含まれる。言い換えれば、提供される方法は、標的遺伝子産物の発現の本質的に任意の程度の阻害をもたらす方法を包含する。
【0097】
阻害の程度は、体液サンプルから、または生検サンプルから、または当技術分野で周知の画像技術によって、in vivoで決定される。あるいは、阻害の程度は、一般的には、特定の種類のナノ粒子と特定のオリゴヌクレオチドとの使用によるin vivoで期待できる阻害の程度の予測可能な測定値として、細胞培養アッセイにおいて決定される。
【0098】
改変されたポリヌクレオチド
ナノ粒子を機能化させるために、ポリヌクレオチド中のヌクレオチド単位の1つまたは複数の糖かつ/または1つまたは複数のヌクレオチド間連結が、「天然に存在しない」基で置き換えられるような、改変されたポリヌクレオチドが企図される。一態様では、この実施形態は、ペプチド核酸(PNA)を企図する。PNA化合物において、ポリヌクレオチドの糖骨格は、アミド含有骨格で置き換えられる。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,539,082号;第5,714,331号;および第5,719,262号、およびNielsenら、「Science」、1991、254、1497〜1500を参照されたい。
【0099】
開示されるポリヌクレオチドのために企図される、ヌクレオチドと天然でないヌクレオチドとの間の他の連結としては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号;第5,792,747号;および第5,700,920号;米国特許公開第20040219565号;国際特許公開WO98/39352号およびWO99/14226号;Mesmaekerら、「Current Opinion in Structural Biology」5:343〜355(1995)、ならびにSusan M.FreierおよびKarl−Heinz Altmann、「Nucleic Acids Research」、25:4429〜4443(1997)に記載されているものが挙げられる。
【0100】
ポリヌクレオチドの具体例としては、改変された骨格または非天然のヌクレオシド間連結を含有するものが挙げられる。改変された骨格を有するポリペプチドとしては、骨格中にリン原子を保持するもの、および骨格中にリン原子がないものが挙げられる。ヌクレオシド間骨格にリン原子がない改変されたポリヌクレオチドも、「ポリヌクレオチド」の意味の範囲内であるとみなされる。
【0101】
リン原子を含有する改変されたポリヌクレオチド骨格としては、例えば、通常の3’−5’連結を有する、ホスホロチオアート、キラルなホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルホスホナートおよび(3’−アルキレンホスホナート、5’−アルキレンホスホナート、およびキラルなホスホナートを含めて)他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、(3’−アミノホスホロアミダートおよびアミノアルキルホスホロアミダートを含めて)ホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスファートおよびボラノホスファート;これらの2’−5’連結類似体;ならびに、1つまたは複数のヌクレオチド間連結が、3’から3’、5’から5’または2’から2’連結である、極性が反転したもの;が挙げられる。最も3’側の(3’−most)ヌクレオチド間連結に単一の3’から3’連結、すなわち、脱塩基であり得る(ヌクレオチドが欠損している、またはその代わりにヒドロキシル基を有する)単一の反転したヌクレオシド残基を含む、極性が反転したポリヌクレオチドも企図される。塩、混合塩、および遊離酸形も企図される。
【0102】
上のリン含有型連結の調製を教示する代表的な米国特許としては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,687,808号;第4,469,863号;第4,476,301号;第5,023,243号;第5,177,196号;第5,188,897号;第5,264,423号;第5,276,019号;第5,278,302号;第5,286,717号;第5,321,131号;第5,399,676号;第5,405,939号;第5,453,496号;第5,455,233号;第5,466,677号;第5,476,925号;第5,519,126号;第5,536,821号;第5,541,306号;第5,550,111号;第5,563,253号;第5,571,799号;第5,587,361号;第5,194,599号;第5,565,555号;第5,527,899号;第5,721,218号;第5,672,697号;および第5,625,050号が挙げられる。
【0103】
リン原子を含まない改変されたポリヌクレオチド骨格は、短鎖アルキルまたはシクロアルキル・ヌクレオシド間連結、ヘテロ原子とアルキルまたはシクロアルキルとの混合型のヌクレオシド間連結、あるいは1つまたは複数の短鎖ヘテロ原子または複素環・ヌクレオシド間連結によって形成される骨格を有する。これらとしては、モルホリノ連結;シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシド、およびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;リボアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファマート骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホナートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;を有するもの;ならびに、N、O、SおよびCH混合型の構成部分を有する他のもの;が挙げられる。さらなる他の実施形態では、ホスホロチオアート骨格を有する、および米国特許第5,489,677号および第5,602,240号に記載されている−CH−NH−O−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−、および−O−N(CH)−CH−CH−を含めたヘテロ原子骨格をもつオリゴヌクレオシドを有するポリヌクレオチドが提供される。例えば、参照により本明細書にその開示全体が組み込まれる、米国特許第5,034,506号;第5,166,315号;第5,185,444号;第5,214,134号;第5,216,141号;第5,235,033号;第5,264,562号;第5,264,564号;第5,405,938号;第5,434,257号;第5,466,677号;第5,470,967号;第5,489,677号;第5,541,307号;第5,561,225号;第5,596,086号;第5,602,240号;第5,610,289号;第5,602,240号;第5,608,046号;第5,610,289号;第5,618,704号;第5,623,070号;第5,663,312号;第5,633,360号;第5,677,437号;第5,792,608号;第5,646,269号;および第5,677,439号を参照されたい。
【0104】
種々の形態では、オリゴにおける2つの連続するモノマーの間の連結は、−CH−、−O−、−S−、−NRH−、>C=O、>C=NRH、>C=S、−Si(R’’)−、−SO−、−S(O)−、−P(O)−、−PO(BH)−、−P(O,S)−、−P(S)−、−PO(R’’)−、−PO(OCH)−、および−PO(NHRH)−から選択される、2から4個、望ましくは3個の基/原子からなる。ここでは、RHは、水素およびC1〜4アルキルから選択され、R’’は、C1〜6アルキルおよびフェニルから選択される。こうした連結の実例は、−CH−CH−CH−、−CH−CO−CH−、−CH−CHOH−CH−、−O−CH2−O−、−O−CH2−CH2−、−O−CH2−CH=(これに続くモノマーへの連結として使用される場合はR5を含む)、−CH−CH−O−、−NRH−CH−CH−、−CH−CH−NRH−、−CH−NRH−CH−、−O−CH−CH−NRH−、−NRH−CO−O−、−NRH−CO−NRH−、−NRH−CS−NRH−、−NRH−C(=NRH)−NRH−、−NRH−CO−CH−NRH−O−CO−O−、−O−CO−CH−O−、−O−CH−CO−O−、−CH−CO−NRH−、−O−CO−NRH−、−NRH−CO−CH−、−O−CH−CO−NRH−、−O−CH−CH−NRH−、−CH=N−O−、−CH−NRH−O−、−CH−O−N=(これに続くモノマーへの連結として使用する場合はR5を含む)、−CH−O−NRH−、−CO−NRH−CH−、−CH−NRH−O−、−CH−NRH−CO−、−O−NRH−CH−、−O−NRH、−O−CH−S−、−S−CH−O−、−CH−CH−S−、−O−CH−CH−S−、−S−CH−CH=(これに続くモノマーへの連結に使用される場合はR5を含む)、−S−CH−CH−、−S−CH−CH−O−、−S−CH−CH−S−、−CH−S−CH−、−CH−SO−CH−、−CH−SO−CH−、−O−SO−O−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−CH−、−O−S(O)−NRH−、−NRH−S(O)−CH−;−O−S(O)−CH−、−O−P(O)−O−、−O−P(O,S)−O−、−O−P(S)−O−、−S−P(O)−O−、−S−P(O,S)−O−、−S−P(S)−O−、−O−P(O)−S−、−O−P(O,S)−S−、−O−P(S)−S−、−S−P(O)−S−、−S−P(O,S)−S−、−S−P(S)−S−、−O−PO(R’’)−O−、−O−PO(OCH)−O−、−O−PO(O CHCH)−O−、−O−PO(O CHCHS−R)−O−、−O−PO(BH)−O−、−O−PO(NHRN)−O−、−O−P(O)−NRH H−、−NRH−P(O)−O−、−O−P(O,NRH)−O−、−CH−P(O)−O−、−O−P(O)−CH−、および−O−Si(R’’)−O−であり;これらのうち、−CH−CO−NRH−、−CH−NRH−O−、−S−CH−O−、−O−P(O)−O−O−P(−O,S)−O−、−O−P(S)−O−、−NRH P(O)−O−、−O−P(O,NRH)−O−、−O−PO(R’’)−O−、−O−PO(CH)−O−、および−O−PO(NHRN)−O−(ここでは、RHは、水素およびC1〜4アルキルから選択され、R’’は、C1〜6アルキルおよびフェニルから選択される)が企図される。さらなる実例は、Mesmaekerら、1995、「Current Opinion in Structural Biology」、5:343〜355、ならびにSusan M.FreierおよびKarl−Heinz Altmann、1997、「Nucleic Acids Research」第25巻:4429頁〜4443頁に示されている。
【0105】
ポリヌクレオチドのさらなる他の改変形態は、参照により本明細書にその開示全体が組み込まれる米国特許出願第20040219565号に詳細に記載されている。
【0106】
改変されたポリヌクレオチドはまた、1つまたは複数の置換された糖部分を含有することができる。ある種の態様では、ポリヌクレオチドは、次のもののうちの1つを2’位置に含む:OH;F;O−、S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;O−、S−またはN−アルキニル;O−アルキル−O−アルキル(式中、アルキル、アルケニル、アルキニルは、置換または非置換のCからC10アルキルまたはCからC10アルケニルおよびアルキニルであり得る)。他の実施形態は、O[(CHO]CH、O(CH2)OCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH(ここでは、nおよびmは、1から約10である)を含む。他のポリヌクレオチドは、次のもののうちの1つを2’位置に含む:C1からC10低級アルキル、置換型低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O−アルカリールまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換型シリル、RNA切断基(RNA cleaving group)、レポーター基、インターカレーター、ポリヌクレオチドの薬物動態特性を向上させるための基、またはポリヌクレオチドの薬力学的特性を向上させるための基、および同様の特性を有する他の置換基。一態様では、改変形態としては、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH;2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られている)(Martinら、1995、「Helv.Chim.Acta」、78:486〜504)、すなわちアルコキシアルコキシ基が挙げられる。他の改変形態としては、2’−ジメチルアミノオキシエトキシ(2’−DMAOEとしても知られている)、すなわちO(CHON(CH基、および2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当分野では2’−O−ジメチル−アミノ−エトキシ−エチルまたは2’−DMAEOEとしても知られている)、すなわち2’−O−CH−O−CH−N(CHが挙げられる。
【0107】
さらなる他の改変形態としては、2’−メトキシ(2’−O−CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)、2’−アリル(2’−CH−CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−CH−CH=CH)および2’−フルオロ(2’−F)が挙げられる。この2’−改変形態は、アラビノ(上向き(up))配置またはリボ(下向き(down))配置で存在可能である。一態様では、2’−アラビノ改変形態は、2’−Fである。同様の改変形態はまた、ポリヌクレオチド上の他の位置、例えば、3’末端ヌクレオチド上または2’−5’連結ポリヌクレオチド中の糖の3’位置で、または5’末端ヌクレオチドのおよび5’位置で行われることが可能である。ポリヌクレオチドはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有することもできる。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,981,957号;第5,118,800号;第5,319,080号;第5,359,044号;第5,393,878号;第5,446,137号;第5,466,786号;第5,514,785号;第5,519,134号;第5,567,811号;第5,576,427号;第5,591,722号;第5,597,909号;第5,610,300号;第5,627,053号;第5,639,873号;第5,646,265号;第5,658,873号;第5,670,633号;第5,792,747号;および第5,700,920号を参照されたい。
【0108】
一態様では、糖の改変形態として、2’−ヒドロキシル基が糖環の3’または4’炭素原子に連結されることによって二環性糖部分が形成されたロックド核酸(Locked Nucleic Acid)(LNA)が挙げられる。この連結は、ある種の態様では、メチレン(−CH−)n基(ここではnは1または2である)が2’酸素原子と4’炭素原子とを橋かけさせるものである。LNAおよびその調製は、参照により本明細書にその開示が組み込まれるWO98/39352およびWO99/14226に記載されている。
【0109】
キメラ体
所与の化合物中のすべての位置が一様に改変される必要はなく、実際には、2つ以上の上述の改変が、単一の化合物中に組み込まれても、あるオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドに組み込まれてもよい。こうした「キメラ」アンチセンス化合物は、典型的には、本明細書に記述する通りの改変形態を含む少なくとも1つの領域を含有するが、残りのオリゴヌクレオチドは「未改変」のままである。
【0110】
ある種の態様では、改変形態によって、ヌクレアーゼ分解に対する耐性の向上、細胞取り込みの向上、安定性の向上、および/または標的核酸に対する結合親和性の増大が与えられる。他の態様では、改変形態は、RNA:DNA、またはRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素に対する基質としての役割を果たす。例えば、RNaseHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞内エンドヌクレアーゼである。そのため、RNaseHを活性化すると、RNA標的の切断がもたらされ、それによって、オリゴヌクレオチド介在性の遺伝子発現阻害の効率が大幅に向上する。RNA:RNAハイブリッドの切断は、同様に、細胞性RNAとウイルス性RNAの両方を切断するRNaseLなどのエンドリボヌクレアーゼの作用を通して実現することができる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動、また必要であれば、当分野で周知の関連する核酸ハイブリッド形成技術によって、ごく普通に検出することができる。
【0111】
キメラ化合物は、2種以上の、オリゴヌクレオチド、改変型オリゴヌクレオチド、ヌクレオシド、および/または上述の通りのオリゴヌクレオチド模倣体の、複合構造として形成することができる。こうした化合物は、当分野では、ハイブリッドまたはギャップマー(gapmer)とも呼ばれる。例えば、参照により本明細書にその開示全体が組み込まれる米国特許第5,013,830号;第5,149,797号;第5,220,007号;第5,256,775号;第5,366,878号;第5,403,711号;第5,491,133号;第5,565,350号;第5,623,065号;第5,652,355号;第5,652,356号;および第5,700,922号を参照されたい。
【実施例】
【0112】
実施例1
RNaseを含まないナノ粒子の調製
クエン酸で安定化された金ナノ粒子(13nm)を、発表されている手順[Frens、Nature Physical Science 241:20〜22(1973)]を使用して調製した。合成後、粒子を0.1%ジエチルピロカーボネート(DEPC)で、攪拌しながら12時間処理し、次いで、121℃で60分間オートクレーブした。重要なことに、また、かなり驚いたことに、紫外分光および透過型電子顕微鏡TEM分析(図1)によって測定された通り、このナノ粒子の光学的および物理的特性は、この比較的過酷な処理によって影響を受けない。それに続くリガンド官能化も、この処理によって影響を受けなかった。RNase Alertキット(Ambion)を使用して、これらの溶液のRNase活性を試験しても、対照または未処理粒子(図2)と比較して、検出可能なRNase活性は示されなかった。
【0113】
実施例2
RNaseを含まないナノ粒子の改変
RNaseを含まない得られたナノ粒子は、発表されている方法[Demersら、Anal.Chem.72:5535(2000)]を使用する、チオール化オリゴヌクレオチドによるさらなる改変に適用可能であった。この前処理を行わないと、おそらく、RNAベースの表面を覆うリガンドの急速な分解によって、RNAを用いるそれに続く機能化は達成できなかった。27塩基のRNA鎖と、エチレングリコールスペーサーおよびアルキルチオールを末端とする25塩基の相補鎖とからなる二重鎖をハイブリッド形成させ、チオール−金結合を介して化学吸着が可能となるような、RNaseを含まないAu NPに付加した。この研究のために、これらの配列は、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を標的とするように設計された。
【0114】
RNAオリゴヌクレオチドは、TOM−RNA試薬(Glen Research)およびMerMade6(Bioautomation)を使用して合成した、または商業的に作成した(Integrated DNA Technologies)。非商業的原料によって合成したオリゴヌクレオチドは、TOP−RNAカートリッジ(Varian)を使用して精製した。本研究に使用した配列は:ルシフェラーゼセンス、5’−リン酸rCrGrA rCrUrU rCrGrU rGrCrC rArGrA rGrUrC rUrUrU rCrGAC スペーサー18 スペーサー18−チオール−3’(配列番号:1)、ルシフェラーゼアンチセンス、5’−rGrUrC rGrArA rArGrA rCrUrC rUrGrG rCrArC rGrArA rGrUrC rGrUrA−3’(配列番号:2)、Cy3ルシフェラーゼ、5’−Cy3 rGrUrC rGrArA rArGrA rCrUrC rUrGrG rCrArC rGrArA rGrUrC rGrUrA−3’(配列番号:3)、Cy5ルシフェラーゼ、5’−Cy5 rGrUrC rGrArA rArGrA rCrUrC rUrGrG rCrArC rGrArA rGrUrC rGrUrA−3’(配列番号:4)、ルシフェラーゼダブシル、5’−rCrGrA rCrUrU rCrGrU rGrCrC rArGrA rGrUrC rUrUrU rCrGA C−ダブシル−3’(配列番号:5)、ウミシイタケルシフェラーゼセンス、5’−リン酸rGrGrA rGrGrA rCrGrC rUrCrC rArGrAr UrGrA rArArU rGrGGT スペーサー18 スペーサー18−チオール−3’(配列番号:6)、ウミシイタケルシフェラーゼアンチセンス、5’rArCrC rCrArU rUrUrC rArUrC rUrGrG rArGrC rGrUrC rCrUrG−3’(配列番号:7)である。
【0115】
あらかじめ形成したチオール化RNA二重鎖(1000nM)を、0.1M NaClで調節した、Au NP(10nM)のRNaseを含まない溶液でインキュベートした。この混合物を、塩濃度を上昇させた溶液(0.1から0.3MのNaCl)中で熟成させ、超音波処理して表面上のオリゴリボヌクレオチドの被覆度を増大させた。二重鎖添加の24時間後に、オリゴエチレングリコール(OEG)を加えて(最終濃度30μmol/mL)、細胞培養中の粒子沈殿を防止した(図3)。この濃度での添加は、二重鎖装填を変化させなかった。機能化後、4℃で遠心分離(13,000rpm、20分)することによって粒子を精製し、滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS:137mM NaCl、10mM リン酸塩、2.7mM KCl、pH7.4)中に再懸濁した。このプロセスを3回繰り返した。遠心分離プロセスによって生じる加熱による二重鎖の脱ハイブリッド形成を防止するために、冷却遠心分離が必要であった。dsRNA装填を測定するために、アンチセンス鎖をシアニン3(Cy3)蛍光色素で標識した。550nmでの励起と、560から620nmの増分1nmでの発光測定を用いて、Jobin Yvon Fluorolog FL3−22を使用して蛍光を測定し、検量線と比較した。25μMのシアン化カリウムを使用して金を酸化し、蛍光アンチセンス鎖(形成された二本鎖の指標となる)の数を測定し、ナノ粒子の濃度で割ることによって、粒子あたりの二重鎖の数を計算した。各RNA−金ナノ粒子組成物は、13nm Au NPあたり33±4個のRNA二重鎖を含有していた。
【0116】
RNA二重鎖の脱ハイブリッド形成を防止するために、Au NP溶液の塩濃度を、二重鎖添加の前に、NaClで0.1Mに調節した。それに続いて、ナノ粒子表面上のオリゴヌクレオチドの被覆度を増大させるために、各添加後に、短時間の超音波処理をしながら、12時間かけて、塩濃度を0.1から0.3M NaClに上昇させた[Hurstら、Anal Chem 78:8313(2006)]。より安定な組成物を得るために、RNAで機能化された粒子を、追加的な表面不動態化リガンドとしての30μmol/mLのオリゴエチレングリコール−チオール(OEG−チオール)で処理した(スキーム1)。OEG−チオール不動態化は、細胞培養条件下で、これらのナノ材料を長期間安定化させることが判明した。
【0117】
【化1】

スキーム1.多価RNA金ナノ粒子組成物の調製。RNA二重鎖(二本鎖RNA配列、エチレングリコールスペーサー、およびアルキルチオール基を含有する)をハイブリッド形成を介して形成し、それに続いて、RNaseを含まないナノ粒子と共にインキュベートした。オリゴエチレングリコール−チオール(OEG−チオール)を用いたさらなる不動態化によって、細胞培養の際の追加的な安定性を加えた。
【0118】
実施例3
RNA−ナノ粒子組成物の細胞内取り込み
組成物が細胞に入る能力を、上述の通りに調製した蛍光(シアニン5、Cy5)組成物を使用して、共焦点顕微鏡によって調べた。RNA−Au NPをHeLa細胞の培養物に添加した。細胞をガラスカバーガラス上で生育させ、蛍光標識したRNA二重鎖で機能化されたナノ粒子で処理した。処理の6時間後、このカバーガラスを取り除き、PBSで洗浄し、スライドガラス上に装備した、PBSを満たしたチャンバーに固定した。画像はすべて、63×の拡大率と633nm HeNeレーザー励起源で、走査型共焦点顕微鏡(Zeiss 510 LSM)よって取得した。画像研究によれば、6時間後のHeLa細胞の細胞質中のいたるところに、蛍光が現れる(図4a)。興味深いことに、DNA Au−NPのように、RNA Au−NPは、細胞に入るために形質移入剤を必要としない[Giljohannら,Nano Lett.7:3818(2007)]。実際、分析的フローサイトメトリーによって、細胞集団の99%より多くでRNA−Au NPの取り込みが確認された(図4b)。このフローサイトメトリー実験のために、細胞を、蛍光標識された(Cy5)RNA−ナノ粒子組成物で処理した。形質移入の6時間後に細胞をトリプシン処理して、細胞培養ウェルから細胞を取り出した。フローサイトメトリーは、励起635nmでDakoCytomation CyAnを使用して行った。
【0119】
実施例4
RNA−ナノ粒子組成物の活性
RNA−Au NPが細胞によって内部に取り込まれたことが確定したので、次に、RNA−金ナノ粒子組成物の細胞内活性を試験した。このモデル系の標的として、形質移入されたルシフェラーゼプラスミドを使用して、タンパク質ノックダウン研究をHeLa細胞で行った。HeLa細胞(ATCC)を、10%の熱失活したウシ胎仔血清(FBS)を含むEagleの最少基本培地(EMEM)中で生育させ、5%CO中で37℃で維持した。細胞を96ウェルプレートに播種し、1日生育させて、ホタルルシフェラーゼとウミシイタケ遺伝子の両方を含有するプラスミド(psiCHECK2、Promega)を形質移入した。プラスミド(ウェルあたり0.2μg)を、製造者の勧告に従ってLipofectamine2000(Invitrogen)を使用して加えた。プラスミド導入後(24時間)、培地を、ホタルルシフェラーゼに指向する機能化されたRNA−Au NP(3nMナノ粒子濃度、約100nM RNA二重鎖濃度)を含有する低血清培地に交換した。処理の1日目には、細胞は約70%集密であった。実験の終わりに、処理された細胞の反復実験ウェルを、Guava EasyCyte Mini(Guava Technologies)を使用して、生存率について計数および測定した。インキュベーション後の生存率は、RNA Au NPで処理した細胞については98%を超えていた。
【0120】
比較のために、同じ数のルシフェラーゼRNA二重鎖(100nM)を、製造者の推奨プロトコルに従って、市販剤Lipofectamine2000を使用して形質移入した。処理の24時間後、培地を新鮮なEMEMに交換した。指定の日数後、製造者のプロトコルに従って、Dual−Glo(Promega)アッセイを使用して、細胞をルシフェラーゼ発現についてアッセイした。
【0121】
ルシフェラーゼ発現の定量化を、形質移入していない対照に対して正規化すると、ナノ粒子剤が、ホタルルシフェラーゼを用量および時間依存的に下方制御することが明らかになった。対照(ウミシイタケ)の発現は、ホタルルシフェラーゼに対して設計したRNA−Au NPによって影響を受けず、このことは、このノックダウンはまた、配列特異的であることを示す。興味深いことに、RNA−Au NPを用いる3つの独立した実験の結果は、処理4日後に、単独のRNAを超えるノックダウンを示した(単独のもの33±2%に対して、RNA−Au NP 73±7%、図5a)。
【0122】
ルシフェラーゼの持続的ノックダウンは、ナノ粒子上のRNAの安定化の結果である。この測定を行うために、Cy3標識したRNA粒子を、96ウェルプレート内の90μLのPBS中に5nMの濃度に希釈した。ダブシル標識分子したRNAについては、濃度は150nMとした。マイクロプレートを、37oCに維持したPhoton Technology International FluoDia T70蛍光プレートリーダー中に配置した。このサンプルを平衡化(10分)させた後、10μLのウシ胎仔血清(FBS、Gemini Bioproducts)を加えて、サンプルを10%の血清濃度にした。蒸発を防止するために、この反応物を40μLの鉱油で覆った。サンプルの蛍光(励起=530nm、発光=570nm)を5分毎に48時間測定した。ベースラインの蛍光は、FBSの代わりに10μL分量のPBSで処理したサンプルから決定した。反応の終点は、時間の関数として観察される蛍光がさらに増加しなくなった時点に決定した。すべてのサンプルを3回測定した。
【0123】
こうした安定性実験では、血清中でインキュベートした組成物は、その分子状RNA対応物と比較して、大いに増強された安定性を示した。例えば、10%血清の存在下では、RNA−Au NP組成物は、分子状RNA二重鎖よりも6倍以上の半減期を有していた(133±30分に対して816±59分、図5b)。こうしたデータは、ナノ粒子コンジュゲーションが、細胞外状況において、分解からの有意な保護を提供することを示す。RNAの細胞外寿命は、その保存、取扱い、および潜在的な治療的用途に非常に重要であるので、ナノ粒子コンジュゲーションは、機能性RNAリガンドの保護および送達に対するかなりの利点を提供することができる。重要なことに、この安定性の向上は、RNAの完全性を保護するための化学的改変を必要としない。
【0124】
実施例5
ナノ粒子表面上のポリヌクレオチドの方向性
ナノ粒子上に固定化されるRNAの方向性は、制御可能である。Dicer酵素に対するRNA基質を固定化する戦略によって、二本鎖への接近の制御が可能になる。様々な固定化化学、モノチオールまたはジチオール、および様々な長さのスペーサー配列を利用して、RNA二本鎖の数およびRNA二本鎖間の距離を変動させることによって、RNA分解の速度を制御することができる。
【0125】
Dicer、すなわちこの系においてRNAiの開始を担うRNaseが、これらの二重鎖を認識および切断できるかどうかを決定するために実験を行った。典型的な酵素動態実験において、37℃の反応バッファー中で、RNA−Au NP(約5nM)をDicer(最終0.1U/mL)と混合した。RNA二重鎖の分解の速度は、蛍光増大を72秒毎に少なくとも12時間モニタリングすることによって測定した。最小および最大蛍光を決定するために、酵素を含有しないサンプル(最小)または金を溶解するための3mMシアン化カリウム(KCN)を含むサンプル(最大)を使用した。KCNは、金ナノ粒子を酸化し、フルオロフォア標識された鎖の消光をなくす。
【0126】
片方または両方の鎖を蛍光標識し、RNAで機能化された所与の濃度のナノ粒子に伴われる蛍光を、同じ鎖を使用して作成した検量線と比較することによって、ナノ粒子あたりの二重鎖の数を決定した。代表的な装填試験の結果を表1に示す。
【0127】
【表1】

表1.2つの異なるRNA装填戦略を使用する、RNA二重鎖装填の測定。結合体は、アンチセンス鎖(ナノ粒子に共有結合的に連結されたセンス鎖とハイブリッド形成している)にフルオレセインを含む、または、ヘアピン系の場合には、RNAは、その5’末端上をフルオレセインで標識される。
【0128】
RNaseIII、すなわちdsRNAを分解することが知られているリボヌクレアーゼを、Dicerの活性と比較した。RNaseIIIとDicerは両方とも、時間に対する、バックグラウンド(反応に酵素を加えていないもの)よりも上への蛍光の増大によって測定される通りの、試験した2つの系に対して活性である。図6は、RNaseIIIの存在下での活性を示す。
【0129】
各系を、RNaseIIIに対して、同様の方式でDicerを用いて処理した場合、時間と共に、相応する蛍光の増大が観察された(図7)。さらに、バックグラウンドに対する蛍光の絶対差は、Dicerの方が、RNaseIIIと比べて高かった。これらのデータから、これらのRNAは、ナノ粒子表面上に高密度に固定化された場合、RNaseIIIのような非特異的酵素よりもDicerによってより特異的に認識されることが示唆される。さらに、センス鎖対アンチセンス鎖の固定化に関して、方向性の優先性が観察できる(図8)。センス鎖が化学的に粒子に付着された場合には、より高い活性が観察される。理論に拘泥されないが、これは、RNAi機構においてガイド鎖として働くアンチセンス鎖の能力を反映する可能性がある。この違いを、細胞中のRNAi応答の調節および調整に役立てることが企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子と結合した1つまたは複数のリボ核酸(RNA)ポリヌクレオチドを含むナノ粒子組成物であって、
該RNAポリヌクレオチドが、ポリペプチドの相互作用部位を有し;
該RNAポリヌクレオチドが、二重鎖を形成するのに適した条件下で該二重鎖を形成する配列を有し;
該二重鎖は、該二重鎖の一本鎖内に、該一本鎖と標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成を適切な条件下で可能にする、該標的ポリヌクレオチド内の配列と十分に相補的な少なくとも1つのドメインを有し、該二重鎖の該ドメインと該標的ポリヌクレオチド内の該配列とのハイブリッド形成によって、ポリペプチドによって認識される基質部位がもたらされ;
該RNAポリヌクレオチドが、該ポリペプチドの相互作用部位および該ナノ粒子に対して方向特異的な様式で該ナノ粒子と結合する;
ナノ粒子組成物。
【請求項2】
前記RNAポリヌクレオチドが、前記ナノ粒子と共有結合している、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項3】
前記RNAポリヌクレオチドが、前記ナノ粒子と共有結合していない、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項4】
前記ナノ粒子と結合した各RNAポリヌクレオチドが、同一の配列を有する、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項5】
前記ナノ粒子と結合した少なくとも2つのRNAポリヌクレオチドが、異なる配列を有する、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項6】
前記二重鎖が、前記RNAポリヌクレオチドによって形成されたヘアピン構造を含む、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項7】
前記二重鎖を形成するのに適した条件下で前記RNAポリヌクレオチドとのハイブリッド形成を可能にするための、該RNAポリヌクレオチド内の配列と十分に相補的な配列を有する追加のポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項8】
前記追加のポリヌクレオチドがRNAである、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項9】
前記追加のポリヌクレオチドがデオキシリボ核酸(DNA)である、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項10】
前記追加のポリヌクレオチドが前記ナノ粒子と共有結合している、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項11】
前記追加のポリヌクレオチドが前記ナノ粒子と共有結合していない、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項12】
前記ポリペプチドの相互作用部位が、前記RNAポリヌクレオチドの中間点に関して、前記ナノ粒子に対して近位に位置する、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項13】
前記ポリペプチドの相互作用部位が、前記RNAポリヌクレオチドの中間点に関して、前記ナノ粒子に対して遠位に位置する、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項14】
前記RNAの表面密度が、少なくとも約2pmol/cmから約1000pmol/cmである、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項15】
前記ポリペプチドの相互作用部位が、RNaseH、RNaseD、RNaseL、RNaseIII、Dicer、Argonaute、Argonaute2、およびヒト免疫不全ウイルスのトランス活性化応答RNA結合タンパク質(TRBP)からなる群より選択されるタンパク質と結合する、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項16】
前記ポリヌクレオチドの前記ドメインの長さが、約10ヌクレオチドである、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項17】
前記RNAポリヌクレオチドが、前記標的ポリヌクレオチド内の第2の配列と十分に相補的な第2のドメインをさらに含み、該RNAポリヌクレオチドの該第2のドメインと該標的ポリヌクレオチド内の該第2の配列とのハイブリッド形成によって、第2のポリペプチドによって認識される追加の基質部位がもたらされる、請求項16に記載のナノ粒子組成物。
【請求項18】
前記ポリヌクレオチドの前記第2のドメインの長さが、約10ヌクレオチドである、請求項17に記載のナノ粒子組成物。
【請求項19】
前記基質部位と前記追加の基質部位が同じである、請求項17に記載のナノ粒子組成物。
【請求項20】
前記基質部位と前記追加の基質部位が異なる、請求項17に記載のナノ粒子組成物。
【請求項21】
前記RNAポリヌクレオチドと前記追加のポリヌクレオチドが、ハイブリッド形成できるのに十分な長さにわたって互いに相補的である、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項22】
前記RNAポリヌクレオチドと前記追加のポリヌクレオチドが、それらの全長にわたって互いに相補的である、請求項21に記載のナノ粒子組成物。
【請求項23】
前記RNAポリヌクレオチドが、チオール連結を介して前記ナノ粒子と結合体化される、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項24】
前記RNAポリヌクレオチドの半減期が、ナノ粒子と結合していない同一のRNAポリヌクレオチドの半減期と少なくとも実質的に同じである、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項25】
前記RNAポリヌクレオチドの半減期が、ナノ粒子と結合していない同一のRNAポリヌクレオチドの半減期よりも約1倍以上、約2倍以上、約3倍以上、約4倍以上、約5倍以上長い、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項26】
前記RNAポリヌクレオチドの長さが、約5から約100ヌクレオチドである、請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項27】
前記追加のポリヌクレオチドの長さが、約5から約100ヌクレオチドである、請求項7に記載のナノ粒子組成物。
【請求項28】
金ナノ粒子である請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項29】
銀ナノ粒子である請求項1に記載のナノ粒子組成物。
【請求項30】
RNAポリヌクレオチドをナノ粒子に結合させる方法であって、チオール化RNAポリヌクレオチド二重鎖と該ナノ粒子との混合物を一連の溶液中で熟成させて、該RNAポリヌクレオチドを該ナノ粒子に結合させるステップを含み、各溶液は、約0.1M NaClを含む第1の溶液から開始して、先の溶液よりも増大した濃度の塩化ナトリウム(NaCl)を含む、方法。
【請求項31】
最後の前記熟成ステップの後に、前記混合物を超音波処理するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノ粒子を単離するステップをさらに含む、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
RNAをナノ粒子に結合させる方法であって、
(a)約0.1M塩化ナトリウム(NaCl)を含む溶液中で、チオール化RNA二重鎖を該ナノ粒子と混合すること;
(b)先の溶液よりも増大した濃度のNaClをそれぞれ含む一連の塩溶液中で、該混合物を熟成させること;
(c)該混合物を超音波処理すること;および
(d)結合体化された該ナノ粒子を精製すること
を含む方法。
【請求項34】
前記一連の塩溶液が、約0.1Mから約0.3M NaClの範囲である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
オリゴ(エチレングリコール)チオール(OEG)を用いて前記ナノ粒子の表面を不動態化することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
標的ポリヌクレオチドの発現を調節する方法であって、請求項1に記載のナノ粒子組成物のドメインと該標的ポリヌクレオチドをハイブリッド形成させて、ポリペプチドのための基質部位を形成させるステップを含む、方法。
【請求項37】
ハイブリッド形成によって前記標的ポリヌクレオチドの分解をもたらす、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリペプチドが、RNaseH、RNaseD、RNaseL、RNaseIII、Dicer、Argonaute、Argonaute2、およびTRBPからなる群より選択される、請求項37に記載の方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−509674(P2012−509674A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537727(P2011−537727)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/065822
【国際公開番号】WO2010/060110
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(511124183)ノースウェスタン ユニバーシティ (9)
【Fターム(参考)】