多孔性金属ガラス及びその製造方法
【課題】本発明はナノサイズの多孔性金属ガラス及びその製造方法に関する。
【解決手段】本発明による多孔性金属ガラスは50.0at%乃至70.0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Ti+Y+Al+Co+ その他の不純物=100.0at%である。
【解決手段】本発明による多孔性金属ガラスは50.0at%乃至70.0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Ti+Y+Al+Co+ その他の不純物=100.0at%である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多孔性金属ガラス及びその製造方法に関し、より詳しくは連結形状に作られて2個の非晶質相を有するナノサイズの多孔性金属ガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性素材は気孔を複数含む素材である。多孔性素材は既に日常生活のあらゆる分野で使用されている。多孔性素材は衛生製品、織物、フィルター及び絶縁体だけでなく多くの製造工程で使用されている。
【0003】
多孔性素材の基本特性は多孔性微細構造に起因する。多孔性微細構造は熱伝導性、吸湿性、フィルター効率及び防音効率など多孔性素材の巨視的な特性を決定する。微細多孔性素材と言われるゼオライト(zeolite)等気孔寸法を数オングストロームまで調節できる技術が開発された。特に、重合体とセラミック素材において気孔寸法が2μm乃至50μmであるメソポーラス(mesoporous)素材または50μmを超えるマクロポーラス(macroporous)素材が数十年にかけて開発された。
【0004】
一方、気孔寸法をナノ単位で調節した素材が開発されている。この素材の気孔寸法はナノ単位であるため、独特の特性を有する。ナノ技術の発展により体積に比べて表面積比が大きい多孔性構造を有する素材を製造することができる。
【0005】
ナノ技術を利用して、最近10年間の多孔性金属ガラスを開発するための試みが行われている。金属ガラスは粒子消失及び偏析などの非規則的な構造を有する均一素材である。金属ガラスは高い比強度、高い腐蝕抵抗性及び低い熱伝導性などの優れた特性を有する。金属ガラスは従来の金属素材とは異なって多様な寸法の単結晶粒子からなる規則的な結晶構造を有する。この寸法は微細構造を形成するため好適である。
【0006】
多孔性金属ガラスは、気孔が複数形成された金属ガラスである。多孔性金属ガラスは、多孔性素材と金属ガラスの利点を合わせた素材である。例えば、多孔性金属ガラスは体積に比べて表面積が大きくて、強度も大きい。
【0007】
しかし、必要な最小合金ガラス形成能の限界によって従来の方法を用いると多くの困難に直面する。また、気孔寸法を数マイクロメーターまで減らすことができないという問題点があった。特に、ナノメートル範囲の気孔寸法を有する多孔性金属素材がまだ開発されていない。さらに、気孔は金属素材の強度を非常に低下させるため、素材開発に限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、2個の非晶質相を有する多孔性金属ガラスを提供することである。
【0009】
他の課題は、前述した多孔性金属ガラスを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による多孔性金属ガラスは50.0at%乃至70.0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Ti+Y+Al+Co+その他の不純物=100.0at%になる。
【0011】
多孔性金属ガラスは相互に隔離されて、隣接した2ケ以上の非晶質相を含み、2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であるのが望ましい。
【0012】
Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であるのが望ましい。
【0013】
多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔は、Y56Al24Co20非晶質相からYを除去して、形成されるのが望ましい。
【0014】
多孔性金属ガラスの気孔寸法は10nm乃至500nmであるのが望ましい。
【0015】
本発明による多孔性金属ガラスは、50.0at%乃至70.0at%のZr、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Zr+Y+Al+Co+ その他の不純物=100.0at%である。
【0016】
多孔性金属ガラスは相互に連結された2ケ以上の非晶質相を含み、2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であるのが望ましい。
【0017】
Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であるのが望ましい。
【0018】
多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔はY56Al24Co20非晶質相からYを除去して形成されたのが望ましい。
【0019】
多孔性金属ガラスの気孔寸法は10nm乃至500nmであるのが望ましい。
【0020】
本発明による前述した多孔性金属ガラスの製造方法は、Ti、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、多孔性金属ガラスを急冷させ非晶質相を形成する段階、及び電気化学的方法によって、多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階を含む。
【0021】
非晶質相を形成する段階では、多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、2ケ以上の非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相及びY56Al24Co20非晶質相を含むのが望ましい。
【0022】
Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であるのが望ましい。
【0023】
多孔性網構造を形成する段階において、選択腐蝕によってY56Al24Co20非晶質相からYを除去するのが望ましい。
【0024】
本発明による前述した多孔性金属ガラスの製造方法は、Zr、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、多孔性金属ガラスを急冷させ非晶質相を形成する段階、及び電気化学的方法によって、多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階を含む。
【0025】
非晶質相を形成する段階は、多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であるのが望ましい。
【0026】
Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であるのが望ましい。
【0027】
多孔性網構造を形成する段階において、電気化学的な方法によってY56Al24Co20非晶質相からYを選択腐食させるのが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明による金属ガラスは、その気孔寸法が小さく、体積に比べて表面積が広くて、比強度が大きい。
【0029】
従って、触媒支持用多孔性電極、大分子液体用フィルター、バイオ医学用多孔性バイオ化合金、絶縁体、自動車用サンドイッチ型構造体及び航空宇宙用として好適である。
【0030】
また、同一分野に使用される多孔性素材のセラミックや重合体に代わって使える。
【0031】
多孔性金属ガラスは、液体フィルターから触媒基板まで、バブル構造からバイオ医学用インプラントまで広い範囲にわたって適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図1乃至図5を通して、本発明の実施例を説明する。このような実施例は単に本発明を例示するためであり、本発明がここに限定されるのではない。
【0033】
多孔性金属ガラスの製造方法を簡単に要約すると、次の通りである。まず、急速冷却によって、金属ガラスを製造する。次に、電気化学的方法によって、金属ガラスを選択腐食して、特定元素を除去することによって多数の気孔を形成する。このような方法を用いて、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0034】
固形相間の非混和性と互いに異なる電気化学的特性を利用して、多孔性金属ガラスを製造する。固体状態において互いに混ざり合わない元素を選択して、金属ガラスを製造する。互いに混ざり合わない元素同士を主元素とする合金は金属ガラス内で相互分離される。互いに混ざり合わない元素同士の電気化学的特性が異なる場合、選択腐蝕(dealloying)によって特定元素のみ除去できる。特定元素を除去することによって金属ガラスに多数の気孔が形成される。このような原理を利用して、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0035】
前述したような条件を満たす元素としてTi及びYがある。また、Zr及びYも前述した条件を満たす。これらの元素を含む合金に金属ガラス形成を助けるAl及びCoを添加することによって多孔性金属ガラスを製造できる。つまり、本発明の一実施例ではTi系統金属及びZr系統金属を使って、多孔性金属ガラスを製造する。
【0036】
まず、Ti−Y−Al−Co合金について説明する。非晶質相を形成した後、選択腐食すれば、これらの合金は50.0at%乃至70.0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含む。そして、Ti、Y、Al、Co及びその他の不純物の合計は100.0at%である。
【0037】
Ti及びYが前述した範囲の組成から外れる場合、Ti系統非晶質とY系統非晶質の分率に差が生じるため、適切な組織を有する非晶質組成が得られない。Yは多孔性金属ガラスを製造するために電気分解方法で製造する。Yは多孔性金属ガラスを製造するために必須不可欠に含まれる。Al及びCoが前述した組成範囲を逸脱すると非晶質形成は困難になる。
【0038】
TiとYは固体状態であまりよく混ざり合わない。非混和性に基づいてTi及びYを選択する。また、Ti及びYは電気化学的特性が異なるため、選択腐蝕によって、金属ガラスからYのみ除去できる。このような方法を利用して、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0039】
一方、Zr−Y−Al−Co合金について説明する。非晶質相を形成した後選択腐食すると、これらの合金は50.0at%乃至70.0at%のZr、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含む。そして、Zr、Y、Al、Co及びその他の不純物の合計は100.0at%である。
【0040】
Zr及びYが前述した範囲の組成から外れる場合、Zr系統非晶質とY系統非晶質の分率に差が生じるため、適切な組織を有する非晶質組成が得られない。Yは多孔性金属ガラスを製造するために電気分解方法で製造する。Yは多孔性金属ガラスを製造するために必須不可欠に含まれる。Al及びCoが前述した組成範囲を逸脱すると非晶質形成が困難になる。
【0041】
Zr及びYは固体状態であまりよく混ざり合わない。非混和性に基づいてZr及びYを選択する。また、Zr及びYは電気化学的特性が異なるため、選択腐蝕によって金属ガラスからYのみ除去できる。このような方法を利用して、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0042】
金属ガラスを形成するためにTi系統合金及びZr系合金を固体化温度未満で過冷する。Ti系統合金及びZr系統合金の固体化温度は450℃程度である。液体は溶融状態から急速に冷却及び固化される。一般的な金属とは異なって、金属ガラスは結晶を形成しないで固体になる。このような非晶質固体構造によってセラミックの強度に比べて2倍乃至3倍程度の強度を有する金属ガラスを製造できる。
【0043】
2相非晶質構造を有するTi−Y−Al−Co合金及びZr−Y−Al−Co合金に選択腐蝕技術を適用して、ナノサイズの多孔性Ti系統金属ガラス及び多孔性Zr系統金属ガラスを製造する。これらの合金は最初に電気的な特性、2番目にガラス形成能、3番目にYの非混和性によって、選択する。非混和性ではYがTiまたはZrとあまりよく混ざり合わない特性を利用する。
【0044】
Y−Al−Co相からY元素を除去して、初期微細構造、印加ポテンシャル及び時間に依存する10nm乃至500nm範囲の気孔寸法を有する多孔性網構造を形成する。気孔寸法は主に異常非晶質組織によって、決定される。適正範囲の印加ポテンシャルを印加すると気孔寸法を10nm乃至500nm範囲で調節することができる。非晶質形成時、冷却速度を急速にすると、さらに微細な非晶質を得ることができる。従って、気孔寸法は冷却速度を変化させることによって初期組織を制御して調節できる。
【0045】
一方、印加ポテンシャルが前述した範囲を逸脱すると、気孔寸法を前述のように調節するのが困難になる。印加ポテンシャル、つまり、電位を利用して、多孔性金属ガラスの製造速度を制御することができる。印加ポテンシャルを上げると多孔性金属ガラスの製造時間が速くなり、印加ポテンシャルを下げると多孔性金属ガラスの製造時間が遅くなる。
【0046】
10nm乃至500nm範囲の気孔寸法を有するガラス金属を製造できる。この方法は2相非晶質物質に適用されるが、簡単かつ迅速で、安価の選択腐蝕に基づく。この方法を利用すると気孔寸法を制御できて、優れた特性を有する多様な構造の気孔をガラス金属に形成できる。
【0047】
そして、合金になる一つ以上の元素を除去する。実際に2つ以上の元素を含む合金は異なる電気化学的特性を示す。例えば、いくつかの元素は他の元素に比べて希少である。活性が更に強い元素を除去して、ナノサイズの網を形成することができる。この方法はよく選別された化学溶媒に素材を浸漬したり、電気化学法によって達成できる。
【0048】
電気化学法はより速かに実施できると共に、気孔形成の動きをより広く制御できる。電気化学装置において合金を電極として使って、一定範囲の電圧を印加する場合、相対的に希少でない金属が溶解する。電気化学溶媒を選択する場合、選択的な溶解が起こるので望ましくない。制御を簡単にするためにイオンになるポテンシャルの差によって、一方の元素は電解質で溶解させて、他方の元素はそのまま残っているようにするのが望ましい。もう少し不活性的な成分を持続的に除去する場合、気孔寸法が10nm乃至500nmであり表面積が約20m2/gの多孔性網構造を得ることができる。気孔寸法が10nm未満であれば、多孔性に起因した効果を期待し難く、気孔寸法が500nmを越えると素材の品質が低下する問題点がある。
【0049】
選択腐蝕を起こすためには電気化学的特性差と共に2つの条件を満足しなければならない。その一つは臨界ポテンシャル(Ec)であり、もう一つは分離限界(parting limit)である。選択腐蝕は最小に印加される臨界ポテンシャルにて起こる。臨界ポテンシャルを越えると、選択腐蝕が急速に起こる。しかし、臨界ポテンシャル下では選択腐蝕が非常に遅くなりうる。また、臨界ポテンシャルはより不活性的な元素の濃度と表面に形成された酸化層の特性に左右される。
【0050】
そして、相対的に活性的でない元素の濃度が特定濃度を超えると、選択腐蝕が起こる。臨界ポテンシャル(Ec)が酸化物の酸化還元ポテンシャルと略同一になった場合の希少元素の濃度を特定酸化物の分離限界といい、この場合、選択腐蝕は起きない。非晶質相は大体元素の組成範囲が少なく、等濃度とは程遠いため、多孔性金属ガラスを製造し難い。
【0051】
本発明の一実施例においては、Ti−Y−Al−Co及びZr−Y−Al−Coなど2つの非晶質相からなる金属ガラスを使用する。この合金で、Yは各々Ti及びZrと互いに混ざり合わない。しかし、Ti−Al−Co、Zr−Al−Co及びY−Al−Coは非晶質相を形成することができる。従って、(Ti−Al−Co)α(Y−Al−Co)(1−α)及び(Zr−Al−Co)β(Y−Al−Co)(1−β)合金と類似する組成を有する合金を製造する場合、0.50≦α≦0.80及び0.45≦β≦0.55であれば、互いに隔離されて、隣接する2個の非晶質相を有する金属ガラスを製造できる。ここで、α及びβは原子分率を意味する。これらの合金に選択腐食を適用する場合、Y−Al−Co非晶質相からYを除去することによってTi系統金属ガラス及びZr系統金属ガラスに多孔性網構造を形成できる。図1乃至図5を参照して、本発明の実施例をより詳細に説明する。
【実施例】
【0052】
電気化学的特性
図1乃至図3は各々Y、Ti及びZrのpH−電位グラフである。図1乃至図3に示したように、Y、Ti及びZrは各々特有な電気化学的動きを示す。
【0053】
図1に示したように、YはあらゆるpH値にも水溶液と反応できる大きい親和力を有する。特に、pHが0乃至7の酸性溶液または中性溶液でこの金属は非常に不安定で、イットリウムイオン(Y+++)になる。
【0054】
図2に示したように、Tiは水溶液でTiO、TiO2、及びTi2O3等の酸化物を形成できる。Tiは腐蝕から保護される。従って、Y及びTiが合金元素の場合、酸性溶液のpHを適切に調節してYを選択的に溶解できる。
【0055】
図3に示したように、Zrは水溶液でZrO及びZrO2の酸化物を形成できる。Zrは腐蝕から保護される。従って、Y及びZrが合金元素の場合、酸性溶液のpHを適切に調節してYを選択的に溶解できる。
【0056】
固体非混和性
本発明の実施例では非混和性に基づいて、元素を選択する。元素は陰電気とWigner−Seitz原子セル境界の電子密度により金属間化合物や固溶体を形成する。しかし、大分異なる電気的特性、例えば、セル境界密度の共通値で求めた電子密度を有する金属はその電子密度が連続しないので、互いに混ざらない。
【0057】
図4及び図5に各々示したTi−Y合金及びZr−Y合金の2元合金系状態図はこれを明確に示す。図4に示したように、Ti−Y合金は化合物や固溶体を形成せず、1355℃未満で2相微細構造を形成する。TiはαTi相またはβTi相のみになり、YはαY相だけになる。従って、Ti−Y合金は固体状態で互いに分離された相を形成する。従って、Ti−Y−Al−Co合金から互いに分離された相を得ることができる。これらの相は分離されて、Ti−Al−Co合金及びY−Al−Co合金として現れる。
【0058】
一方、図5に示したように、Zr−Y合金は化合物や固溶体を形成せずに1063℃未満で2相微細構造を形成する。ZrはαZr相のみになり、YはαY相またはβY相のみになる。従って、Zr−Y合金は固体状態で相互分離された相を形成する。従ってZr−Y−Al−Co合金から相互分離された相を得ることができる。これらの相は分離されてZr−Al−Co合金及びY−Al−Co合金として現れる。
【0059】
以下、本発明の実験例を通して、本発明をより詳細に説明する。このような実験例は単に本発明を例示するためであり、本発明がここに限定されるものではない。
【0060】
非晶質構造
まず、Ti−Y−Al−Co合金を次のような方法で製造した。Ti、Al、Co及びYを含む溶融金属を105K/secを越える速度で冷却してTi−Al−Co合金及びY−Al−Co合金になる非晶質相を形成した。例えば、溶融スピニング方法によってTi系統ガラス合金及びY系統ガラス合金を厚さ30mm、幅7mm、長さ数メートルの薄いリボン状に製造した。
【0061】
一方、Zr−Y−Al−Co合金は次のような方法で製造した。Zr、Al、Co及びYを含む溶融金属を102K/secを越える速度で冷却してZr−Al−Co合金及びY−Al−Co合金になる非晶質相を形成した。リボン寸法も前述したTi系統合金と同様に製造した。
【0062】
図6のa乃至cは各々Y56Al24Co20合金リボン、Ti56Al24Co20合金リボン及びZr55Al20Co25合金リボンから得られたXRDグラフを示す。図6のa乃至cの左側にはハロピーク(halo peak)が存在する。ハロピークはこれらの合金が急速凝固状態で非晶質相を持つことを意味する。
【0063】
2相非晶質構造
前述のように、Ti及びYは固体状態で互いにあまりよく混ざり合わない特性を有する。従ってTi、Al、Y及びCoを含む溶融金属から非晶質を製造する場合、Ti−Al−Co及びY−Al−Coに分離された2相の非晶質が形成された。
【0064】
また、Zr及びYも固体状態で互いにあまりよく混ざり合わない特性を有する。従ってZr、Al、Y及びCoを含む溶融金属から非晶質を製造する場合、Zr−Al−Co及びY−Al−Coに分離された2相の非晶質が形成された。これを図7及び図8を通して、より詳細に説明する。
【0065】
図7のa、b及びcは各々αが0.5、0.65及び0.8の(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成を有する合金のXRDグラフを示す。本発明の実験例では2相非晶質構造の合金として、αが0.5、0.65及び0.8の(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成の合金を製造した。
【0066】
図7に示したように、(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成の合金は2個の広いピークを有する。回折角(2θ)は約33°及び40°である。XRDグラフはαが0.5、0.65及び0.8の(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成の合金で2個の非晶質相が存在することを示す。Ti系統非晶質相とY系統非晶質相の場合、その原子半径に差があるため、2個の広いピークが現れる。
【0067】
図8のaは(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンのXRDグラフ、bはZr55Al20Co25リボンのXRDグラフ及びcはY56Al24Co20リボンのXRDグラフを示す。(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンのXRDグラフはβが0.5の場合の(Zr55Al20Co25)β(Y56Al24Co20)(1−β)組成の合金に該当する。Y56Al24Co20リボンは35.5°から左側に僅かにシフトされた一つのピークを示し、Zr55Al20Co25リボンは35.5°から右側に僅かにシフトされた一つのピークを示す。
【0068】
従って、Y56Al24Co20非晶質相及びZr55Al20Co25非晶質相が重なった(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンは35.5°で一つのピークを示す。このピークはZr55Al20Co25非晶質相及びY56Al24Co20非晶質相が重なったと考えられる。つまり、Zr系統非晶質相の原子半径とY系統非晶質相の原子半径がよく似ているので、ピークが重なって一つのピークのみ現れたものと考えられる。従って、図8のaに示したように、(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンは非晶質相を有する。
【0069】
図9のa及びbは各々(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金のTEM写真及びSAEDP写真である。この合金は図7のbに示した合金に該当すると共に、(Ti56Al24Co20)α組成が65%、Y56Al24Co20組成が35%であるケースに該当する。
【0070】
図9のaに示したように、Ti56Al24Co20組成の非晶質相とY56Al24Co20組成の非晶質相が存在する。ここで、黒色で示される部分はTi56Al24Co20組成の非晶質相であり、灰色で示される部分はY56Al24Co20組成の非晶質相である。これらは互いに隔離されて隣接する。
【0071】
しかし、Ti56Al24Co20組成が80%を超えたり50%未満の場合、微細構造が変化する。つまり、この合金はTi母材に孤立した球形Yを含む、または、Y母材に孤立した球形Tiを含む、異質的な構造となる。
【0072】
図10のa及びbは各々(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金のTEM写真及びSAEDP写真である。この合金は図8のaに示した合金に該当する。
【0073】
ここで、黒色で示される部分はZr55Al20Co25組成の非晶質相であり、灰色で示される部分はY56Al24Co20組成の非晶質相である。これらは相互隔離されて、接する。図10に示したように、2個の非晶質相が互いに隔離されて、これらの間に連結構造が非常に微細に形成されている。
【0074】
前述した方法で形成した2個の非晶質相に選択腐食を利用して、多数の気孔を形成した。以下、選択腐蝕工程について詳しく説明する。
【0075】
選択腐蝕
本発明の実験例では選択腐蝕方法を利用して、特定元素を非晶質相から除去した。特に、多数の気孔を形成するための選択腐蝕方法は互いに隔離されて隣接する2個の非晶質相を有する合金に好適である。
【0076】
白金に代わる活性電極として(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35組成のリボン試片または(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5組成のバルク試片を用いた。Ag/AgCl基準電極を使って、0.1M HNO3(pH=1)の電解質を含む電気化学セルで定電位実験を実施した。
【0077】
図11に示したように、Y−Al−Co非晶質合金及びTi−Al−Co非晶質合金は特有の電気化学的動きを示す。Ti−Al−Co合金は、ほとんど2.0Vまでの広い不動態特性を示すが、Y−Al−Co合金は不動態特性を殆ど示さない。これはY−Al−Co合金がTi−Al−Co合金が腐食されない電圧下でも腐食されることを意味する。このような電気化学的動きの差は選択腐蝕に好適である。
【0078】
また、図11には2相非晶質合金の(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金と(Ti56Al24Co20)0.80(Y56Al24Co20)0.20合金の電気化学的動きを示す。これらの合金の臨界ポテンシャル(Ec)は1.75V付近のY−Al−Co合金とTi−Al−Co合金の間で発見される。
【0079】
図12はZr系統合金の変電位グラフである。図12にはZr55Al20Co25合金と(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金の変電位グラフを示す。図12でY系統ガラス金属は便宜上図示を省略する。
【0080】
図12に示したように、(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金は約1.6Vの臨界ポテンシャル(Ec)を有するため、選択腐蝕方法を適用することができる。1.7V乃至2.0Vの臨界ポテンシャル(Ec)を選択することによって短時間内に選択腐食を実施した。
【0081】
図13のa乃至図13のcのSEM写真はTi系統合金の選択腐蝕の結果を示す。図13のaのSEM写真は30分間の1.9Vの印加電圧で選択腐食した後の(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35試片の表面を示す。黒色で示す複数の気孔は50nm乃至200nmの比較的に均一な寸法で均一に分散される。
【0082】
図13のbのSEM写真は1.75乃至2.0V範囲の印加電圧下で0.1 M HNO3電解質に24時間沈殿したリボン表面を示す。図13のbに示したように、黒色で示す気孔は微細に分布される。
【0083】
図13のcのSEM写真は24時間0.1 M HNO3電解質に浸漬して分かれたリボンの断面を示す。図13のcのSEM写真に示したように、多数の気孔が生成される。
【0084】
図14は(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2合金のSEM写真を示す。(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2合金に1.9Vの電圧を印加した結果、選択腐蝕は観察されなかった。これは(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2合金が分離限界ができて、Ti56Al24Co20非晶質相が80%である場合、選択腐蝕が観察されなかった。
【0085】
図15はZr系統金属ガラスの(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金の表面を示す写真である。図15に示したように、(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金の表面には気孔がよく形成される。Ti−Y−Al−Co合金とは異なりZr−Y−Al−Co合金は寸法が均一でない気孔を有する。中心には大きい気孔が存在し、その周辺には小さい気孔が存在する。このように気孔寸法が不均一に分布するのはZr系統合金になるバルク試片で互いに隔離されて、隣接した2相の非晶質構造が初期に不均一であったことに起因したと推定される。
【0086】
多孔性金属ガラス分析
EDS分析によって、多孔性金属ガラスの化学組成を分析した。次の表1はEDS分析結果を示す。初期組成とは対照的に、Ti量が増加した反面Y相は著しく減少したことが分かった。一方、Al量とCo量はほとんど一定であった。従って、非晶質相のY元素が試片から除去されることが分かった。それにも拘わらず、一部のY元素は依然として存在する。これは後述する第2相隔離によって、説明できる。
【表1】
【0087】
表面積の測定
多孔性金属ガラスの表面積をN2ガス吸収方法によって測定した。BET(Brunauer−Emmett−Teller)法を利用して、多孔性金属ガラスの表面積を測定した。BET法は沸点でのガスの化学吸収によって、固体の表面積を決定するのに最も良い方法である。BET法によって、表面積を求めるため、必要な数式は次の通りである。
【0088】
(数1)
VSTP=Va/W×[273.15/(273.15+Ta)]×Pa/760mmHg
Vm= VSTP×(1−P/Po)
S.A=Vm/22414×6.023×1023×Am
【0089】
ここで、Vaは大気下の吸収体の体積(ml)、VSTPは標準温度圧力(STP)における吸収体(N2)の体積、Vmは断層体積(ml)、Taは大気温度(℃)、Paは大気圧力(mmHg)、PはN2の絶対圧力(mmHg)、Poは沸点での吸収体(N2)の飽和蒸気圧力(mmHg)、S.Aは表面積(m2/g)、AmはN2分子の断面積(m2/分子)、Wはサンプル重量(g)を示す。
【0090】
本発明の実験例では−196℃の液体窒素温度でN2吸収によってMicromeritics−Autochem2920ユニット製品を使ってBET表面積を測定した。U字形管に多孔性サンプルを挿入した後、加熱炉に入れた。BET表面分析前に予備処理を施した。ヘリウムガスを約150℃のサンプルに流し当てながら、汚染物質や水分を除去するために少なくとも30分間維持した。次にサンプルを常温で自然冷却した。サンプルからガスを除去した後、30%のN2及び70%のH2の混合気体をサンプルに適用すると同時に液体窒素保管容器を利用して、吸収したN2の量を測定した。また、液体窒素保管容器を大気中での水浴に変えて、吸収したN2の量を測定して記録した。前述した数式1は多孔性サンプルの活性表面積を測定するため使用された。
【0091】
(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金になる多孔性サンプルの体積に対する表面の数値は18m2/gであった。この値はナノサイズの多孔性素材に近いものである。
【0092】
以上、本発明を説明したが、次に記載する特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることを本発明が属する技術分野に従事する者なら簡単に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、YのpH−電位グラフである。
【図2】図2は、TiのpH−電位グラフである。
【図3】図3は、ZrのpH−電位グラフである。
【図4】図4は、Ti−Y合金のE1状態図である。
【図5】図5は、Zr−Y合金のE1状態図である。
【図6】図6のa、b及びcは、それぞれY56Al24Co20リボン、Ti56Al24Co20リボン及びZr55Al20Co25リボンのXRD(X−ray diffraction examination、X線回折分析)グラフである。
【図7】図7のa、b及びcは、それぞれαが、0.50、0.65及び0.80の場合、(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)リボンのXRDグラフである。
【図8】図8のa、b及びcは、それぞれ(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボン、Zr55Al20Co25リボン及びY56Al24Co20リボンのXRDグラフである。
【図9】図9のa及びbは、それぞれ(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金のTEM写真及びSAEDP(selected area electron diffraction pattern)写真である。
【図10】図10のa及びbは、それぞれ(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金のTEM写真及びSAEDP写真である。
【図11】図11は、0.1MHNO3溶液でのTi56Al24Co20、Y56Al24Co20、(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35、そして(Ti56Al24Co20)0.80(Y56Al24Co20)0.20非晶質リボンの定電位曲線である。
【図12】図12は、0.1MHNO3溶液でのZr55Al20Co25及び(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5非晶質リボンの定電位曲線である。
【図13】図13は、それぞれリボンの表面ないしは断面のSEM写真であり、aは、30分間の1.9Vのポテンシャルに選択腐食した後のリボン表面を示すSEM写真であり、bは、24時間浸漬して、選択腐食した後のリボン表面を示すSEM写真であり、cは、24時間浸漬して、選択腐食した後のこわれたリボン断面を示すSEM写真である。
【図14】図14は、選択腐蝕後の(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2試片のSEM写真である。
【図15】図15は、選択腐蝕後の(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5試片のSEM写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は多孔性金属ガラス及びその製造方法に関し、より詳しくは連結形状に作られて2個の非晶質相を有するナノサイズの多孔性金属ガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性素材は気孔を複数含む素材である。多孔性素材は既に日常生活のあらゆる分野で使用されている。多孔性素材は衛生製品、織物、フィルター及び絶縁体だけでなく多くの製造工程で使用されている。
【0003】
多孔性素材の基本特性は多孔性微細構造に起因する。多孔性微細構造は熱伝導性、吸湿性、フィルター効率及び防音効率など多孔性素材の巨視的な特性を決定する。微細多孔性素材と言われるゼオライト(zeolite)等気孔寸法を数オングストロームまで調節できる技術が開発された。特に、重合体とセラミック素材において気孔寸法が2μm乃至50μmであるメソポーラス(mesoporous)素材または50μmを超えるマクロポーラス(macroporous)素材が数十年にかけて開発された。
【0004】
一方、気孔寸法をナノ単位で調節した素材が開発されている。この素材の気孔寸法はナノ単位であるため、独特の特性を有する。ナノ技術の発展により体積に比べて表面積比が大きい多孔性構造を有する素材を製造することができる。
【0005】
ナノ技術を利用して、最近10年間の多孔性金属ガラスを開発するための試みが行われている。金属ガラスは粒子消失及び偏析などの非規則的な構造を有する均一素材である。金属ガラスは高い比強度、高い腐蝕抵抗性及び低い熱伝導性などの優れた特性を有する。金属ガラスは従来の金属素材とは異なって多様な寸法の単結晶粒子からなる規則的な結晶構造を有する。この寸法は微細構造を形成するため好適である。
【0006】
多孔性金属ガラスは、気孔が複数形成された金属ガラスである。多孔性金属ガラスは、多孔性素材と金属ガラスの利点を合わせた素材である。例えば、多孔性金属ガラスは体積に比べて表面積が大きくて、強度も大きい。
【0007】
しかし、必要な最小合金ガラス形成能の限界によって従来の方法を用いると多くの困難に直面する。また、気孔寸法を数マイクロメーターまで減らすことができないという問題点があった。特に、ナノメートル範囲の気孔寸法を有する多孔性金属素材がまだ開発されていない。さらに、気孔は金属素材の強度を非常に低下させるため、素材開発に限界がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、2個の非晶質相を有する多孔性金属ガラスを提供することである。
【0009】
他の課題は、前述した多孔性金属ガラスを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による多孔性金属ガラスは50.0at%乃至70.0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Ti+Y+Al+Co+その他の不純物=100.0at%になる。
【0011】
多孔性金属ガラスは相互に隔離されて、隣接した2ケ以上の非晶質相を含み、2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であるのが望ましい。
【0012】
Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であるのが望ましい。
【0013】
多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔は、Y56Al24Co20非晶質相からYを除去して、形成されるのが望ましい。
【0014】
多孔性金属ガラスの気孔寸法は10nm乃至500nmであるのが望ましい。
【0015】
本発明による多孔性金属ガラスは、50.0at%乃至70.0at%のZr、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Zr+Y+Al+Co+ その他の不純物=100.0at%である。
【0016】
多孔性金属ガラスは相互に連結された2ケ以上の非晶質相を含み、2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であるのが望ましい。
【0017】
Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であるのが望ましい。
【0018】
多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔はY56Al24Co20非晶質相からYを除去して形成されたのが望ましい。
【0019】
多孔性金属ガラスの気孔寸法は10nm乃至500nmであるのが望ましい。
【0020】
本発明による前述した多孔性金属ガラスの製造方法は、Ti、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、多孔性金属ガラスを急冷させ非晶質相を形成する段階、及び電気化学的方法によって、多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階を含む。
【0021】
非晶質相を形成する段階では、多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、2ケ以上の非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相及びY56Al24Co20非晶質相を含むのが望ましい。
【0022】
Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であるのが望ましい。
【0023】
多孔性網構造を形成する段階において、選択腐蝕によってY56Al24Co20非晶質相からYを除去するのが望ましい。
【0024】
本発明による前述した多孔性金属ガラスの製造方法は、Zr、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、多孔性金属ガラスを急冷させ非晶質相を形成する段階、及び電気化学的方法によって、多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階を含む。
【0025】
非晶質相を形成する段階は、多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であるのが望ましい。
【0026】
Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であるのが望ましい。
【0027】
多孔性網構造を形成する段階において、電気化学的な方法によってY56Al24Co20非晶質相からYを選択腐食させるのが望ましい。
【発明の効果】
【0028】
本発明による金属ガラスは、その気孔寸法が小さく、体積に比べて表面積が広くて、比強度が大きい。
【0029】
従って、触媒支持用多孔性電極、大分子液体用フィルター、バイオ医学用多孔性バイオ化合金、絶縁体、自動車用サンドイッチ型構造体及び航空宇宙用として好適である。
【0030】
また、同一分野に使用される多孔性素材のセラミックや重合体に代わって使える。
【0031】
多孔性金属ガラスは、液体フィルターから触媒基板まで、バブル構造からバイオ医学用インプラントまで広い範囲にわたって適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図1乃至図5を通して、本発明の実施例を説明する。このような実施例は単に本発明を例示するためであり、本発明がここに限定されるのではない。
【0033】
多孔性金属ガラスの製造方法を簡単に要約すると、次の通りである。まず、急速冷却によって、金属ガラスを製造する。次に、電気化学的方法によって、金属ガラスを選択腐食して、特定元素を除去することによって多数の気孔を形成する。このような方法を用いて、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0034】
固形相間の非混和性と互いに異なる電気化学的特性を利用して、多孔性金属ガラスを製造する。固体状態において互いに混ざり合わない元素を選択して、金属ガラスを製造する。互いに混ざり合わない元素同士を主元素とする合金は金属ガラス内で相互分離される。互いに混ざり合わない元素同士の電気化学的特性が異なる場合、選択腐蝕(dealloying)によって特定元素のみ除去できる。特定元素を除去することによって金属ガラスに多数の気孔が形成される。このような原理を利用して、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0035】
前述したような条件を満たす元素としてTi及びYがある。また、Zr及びYも前述した条件を満たす。これらの元素を含む合金に金属ガラス形成を助けるAl及びCoを添加することによって多孔性金属ガラスを製造できる。つまり、本発明の一実施例ではTi系統金属及びZr系統金属を使って、多孔性金属ガラスを製造する。
【0036】
まず、Ti−Y−Al−Co合金について説明する。非晶質相を形成した後、選択腐食すれば、これらの合金は50.0at%乃至70.0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含む。そして、Ti、Y、Al、Co及びその他の不純物の合計は100.0at%である。
【0037】
Ti及びYが前述した範囲の組成から外れる場合、Ti系統非晶質とY系統非晶質の分率に差が生じるため、適切な組織を有する非晶質組成が得られない。Yは多孔性金属ガラスを製造するために電気分解方法で製造する。Yは多孔性金属ガラスを製造するために必須不可欠に含まれる。Al及びCoが前述した組成範囲を逸脱すると非晶質形成は困難になる。
【0038】
TiとYは固体状態であまりよく混ざり合わない。非混和性に基づいてTi及びYを選択する。また、Ti及びYは電気化学的特性が異なるため、選択腐蝕によって、金属ガラスからYのみ除去できる。このような方法を利用して、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0039】
一方、Zr−Y−Al−Co合金について説明する。非晶質相を形成した後選択腐食すると、これらの合金は50.0at%乃至70.0at%のZr、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含む。そして、Zr、Y、Al、Co及びその他の不純物の合計は100.0at%である。
【0040】
Zr及びYが前述した範囲の組成から外れる場合、Zr系統非晶質とY系統非晶質の分率に差が生じるため、適切な組織を有する非晶質組成が得られない。Yは多孔性金属ガラスを製造するために電気分解方法で製造する。Yは多孔性金属ガラスを製造するために必須不可欠に含まれる。Al及びCoが前述した組成範囲を逸脱すると非晶質形成が困難になる。
【0041】
Zr及びYは固体状態であまりよく混ざり合わない。非混和性に基づいてZr及びYを選択する。また、Zr及びYは電気化学的特性が異なるため、選択腐蝕によって金属ガラスからYのみ除去できる。このような方法を利用して、多孔性金属ガラスを製造できる。
【0042】
金属ガラスを形成するためにTi系統合金及びZr系合金を固体化温度未満で過冷する。Ti系統合金及びZr系統合金の固体化温度は450℃程度である。液体は溶融状態から急速に冷却及び固化される。一般的な金属とは異なって、金属ガラスは結晶を形成しないで固体になる。このような非晶質固体構造によってセラミックの強度に比べて2倍乃至3倍程度の強度を有する金属ガラスを製造できる。
【0043】
2相非晶質構造を有するTi−Y−Al−Co合金及びZr−Y−Al−Co合金に選択腐蝕技術を適用して、ナノサイズの多孔性Ti系統金属ガラス及び多孔性Zr系統金属ガラスを製造する。これらの合金は最初に電気的な特性、2番目にガラス形成能、3番目にYの非混和性によって、選択する。非混和性ではYがTiまたはZrとあまりよく混ざり合わない特性を利用する。
【0044】
Y−Al−Co相からY元素を除去して、初期微細構造、印加ポテンシャル及び時間に依存する10nm乃至500nm範囲の気孔寸法を有する多孔性網構造を形成する。気孔寸法は主に異常非晶質組織によって、決定される。適正範囲の印加ポテンシャルを印加すると気孔寸法を10nm乃至500nm範囲で調節することができる。非晶質形成時、冷却速度を急速にすると、さらに微細な非晶質を得ることができる。従って、気孔寸法は冷却速度を変化させることによって初期組織を制御して調節できる。
【0045】
一方、印加ポテンシャルが前述した範囲を逸脱すると、気孔寸法を前述のように調節するのが困難になる。印加ポテンシャル、つまり、電位を利用して、多孔性金属ガラスの製造速度を制御することができる。印加ポテンシャルを上げると多孔性金属ガラスの製造時間が速くなり、印加ポテンシャルを下げると多孔性金属ガラスの製造時間が遅くなる。
【0046】
10nm乃至500nm範囲の気孔寸法を有するガラス金属を製造できる。この方法は2相非晶質物質に適用されるが、簡単かつ迅速で、安価の選択腐蝕に基づく。この方法を利用すると気孔寸法を制御できて、優れた特性を有する多様な構造の気孔をガラス金属に形成できる。
【0047】
そして、合金になる一つ以上の元素を除去する。実際に2つ以上の元素を含む合金は異なる電気化学的特性を示す。例えば、いくつかの元素は他の元素に比べて希少である。活性が更に強い元素を除去して、ナノサイズの網を形成することができる。この方法はよく選別された化学溶媒に素材を浸漬したり、電気化学法によって達成できる。
【0048】
電気化学法はより速かに実施できると共に、気孔形成の動きをより広く制御できる。電気化学装置において合金を電極として使って、一定範囲の電圧を印加する場合、相対的に希少でない金属が溶解する。電気化学溶媒を選択する場合、選択的な溶解が起こるので望ましくない。制御を簡単にするためにイオンになるポテンシャルの差によって、一方の元素は電解質で溶解させて、他方の元素はそのまま残っているようにするのが望ましい。もう少し不活性的な成分を持続的に除去する場合、気孔寸法が10nm乃至500nmであり表面積が約20m2/gの多孔性網構造を得ることができる。気孔寸法が10nm未満であれば、多孔性に起因した効果を期待し難く、気孔寸法が500nmを越えると素材の品質が低下する問題点がある。
【0049】
選択腐蝕を起こすためには電気化学的特性差と共に2つの条件を満足しなければならない。その一つは臨界ポテンシャル(Ec)であり、もう一つは分離限界(parting limit)である。選択腐蝕は最小に印加される臨界ポテンシャルにて起こる。臨界ポテンシャルを越えると、選択腐蝕が急速に起こる。しかし、臨界ポテンシャル下では選択腐蝕が非常に遅くなりうる。また、臨界ポテンシャルはより不活性的な元素の濃度と表面に形成された酸化層の特性に左右される。
【0050】
そして、相対的に活性的でない元素の濃度が特定濃度を超えると、選択腐蝕が起こる。臨界ポテンシャル(Ec)が酸化物の酸化還元ポテンシャルと略同一になった場合の希少元素の濃度を特定酸化物の分離限界といい、この場合、選択腐蝕は起きない。非晶質相は大体元素の組成範囲が少なく、等濃度とは程遠いため、多孔性金属ガラスを製造し難い。
【0051】
本発明の一実施例においては、Ti−Y−Al−Co及びZr−Y−Al−Coなど2つの非晶質相からなる金属ガラスを使用する。この合金で、Yは各々Ti及びZrと互いに混ざり合わない。しかし、Ti−Al−Co、Zr−Al−Co及びY−Al−Coは非晶質相を形成することができる。従って、(Ti−Al−Co)α(Y−Al−Co)(1−α)及び(Zr−Al−Co)β(Y−Al−Co)(1−β)合金と類似する組成を有する合金を製造する場合、0.50≦α≦0.80及び0.45≦β≦0.55であれば、互いに隔離されて、隣接する2個の非晶質相を有する金属ガラスを製造できる。ここで、α及びβは原子分率を意味する。これらの合金に選択腐食を適用する場合、Y−Al−Co非晶質相からYを除去することによってTi系統金属ガラス及びZr系統金属ガラスに多孔性網構造を形成できる。図1乃至図5を参照して、本発明の実施例をより詳細に説明する。
【実施例】
【0052】
電気化学的特性
図1乃至図3は各々Y、Ti及びZrのpH−電位グラフである。図1乃至図3に示したように、Y、Ti及びZrは各々特有な電気化学的動きを示す。
【0053】
図1に示したように、YはあらゆるpH値にも水溶液と反応できる大きい親和力を有する。特に、pHが0乃至7の酸性溶液または中性溶液でこの金属は非常に不安定で、イットリウムイオン(Y+++)になる。
【0054】
図2に示したように、Tiは水溶液でTiO、TiO2、及びTi2O3等の酸化物を形成できる。Tiは腐蝕から保護される。従って、Y及びTiが合金元素の場合、酸性溶液のpHを適切に調節してYを選択的に溶解できる。
【0055】
図3に示したように、Zrは水溶液でZrO及びZrO2の酸化物を形成できる。Zrは腐蝕から保護される。従って、Y及びZrが合金元素の場合、酸性溶液のpHを適切に調節してYを選択的に溶解できる。
【0056】
固体非混和性
本発明の実施例では非混和性に基づいて、元素を選択する。元素は陰電気とWigner−Seitz原子セル境界の電子密度により金属間化合物や固溶体を形成する。しかし、大分異なる電気的特性、例えば、セル境界密度の共通値で求めた電子密度を有する金属はその電子密度が連続しないので、互いに混ざらない。
【0057】
図4及び図5に各々示したTi−Y合金及びZr−Y合金の2元合金系状態図はこれを明確に示す。図4に示したように、Ti−Y合金は化合物や固溶体を形成せず、1355℃未満で2相微細構造を形成する。TiはαTi相またはβTi相のみになり、YはαY相だけになる。従って、Ti−Y合金は固体状態で互いに分離された相を形成する。従って、Ti−Y−Al−Co合金から互いに分離された相を得ることができる。これらの相は分離されて、Ti−Al−Co合金及びY−Al−Co合金として現れる。
【0058】
一方、図5に示したように、Zr−Y合金は化合物や固溶体を形成せずに1063℃未満で2相微細構造を形成する。ZrはαZr相のみになり、YはαY相またはβY相のみになる。従って、Zr−Y合金は固体状態で相互分離された相を形成する。従ってZr−Y−Al−Co合金から相互分離された相を得ることができる。これらの相は分離されてZr−Al−Co合金及びY−Al−Co合金として現れる。
【0059】
以下、本発明の実験例を通して、本発明をより詳細に説明する。このような実験例は単に本発明を例示するためであり、本発明がここに限定されるものではない。
【0060】
非晶質構造
まず、Ti−Y−Al−Co合金を次のような方法で製造した。Ti、Al、Co及びYを含む溶融金属を105K/secを越える速度で冷却してTi−Al−Co合金及びY−Al−Co合金になる非晶質相を形成した。例えば、溶融スピニング方法によってTi系統ガラス合金及びY系統ガラス合金を厚さ30mm、幅7mm、長さ数メートルの薄いリボン状に製造した。
【0061】
一方、Zr−Y−Al−Co合金は次のような方法で製造した。Zr、Al、Co及びYを含む溶融金属を102K/secを越える速度で冷却してZr−Al−Co合金及びY−Al−Co合金になる非晶質相を形成した。リボン寸法も前述したTi系統合金と同様に製造した。
【0062】
図6のa乃至cは各々Y56Al24Co20合金リボン、Ti56Al24Co20合金リボン及びZr55Al20Co25合金リボンから得られたXRDグラフを示す。図6のa乃至cの左側にはハロピーク(halo peak)が存在する。ハロピークはこれらの合金が急速凝固状態で非晶質相を持つことを意味する。
【0063】
2相非晶質構造
前述のように、Ti及びYは固体状態で互いにあまりよく混ざり合わない特性を有する。従ってTi、Al、Y及びCoを含む溶融金属から非晶質を製造する場合、Ti−Al−Co及びY−Al−Coに分離された2相の非晶質が形成された。
【0064】
また、Zr及びYも固体状態で互いにあまりよく混ざり合わない特性を有する。従ってZr、Al、Y及びCoを含む溶融金属から非晶質を製造する場合、Zr−Al−Co及びY−Al−Coに分離された2相の非晶質が形成された。これを図7及び図8を通して、より詳細に説明する。
【0065】
図7のa、b及びcは各々αが0.5、0.65及び0.8の(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成を有する合金のXRDグラフを示す。本発明の実験例では2相非晶質構造の合金として、αが0.5、0.65及び0.8の(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成の合金を製造した。
【0066】
図7に示したように、(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成の合金は2個の広いピークを有する。回折角(2θ)は約33°及び40°である。XRDグラフはαが0.5、0.65及び0.8の(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)組成の合金で2個の非晶質相が存在することを示す。Ti系統非晶質相とY系統非晶質相の場合、その原子半径に差があるため、2個の広いピークが現れる。
【0067】
図8のaは(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンのXRDグラフ、bはZr55Al20Co25リボンのXRDグラフ及びcはY56Al24Co20リボンのXRDグラフを示す。(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンのXRDグラフはβが0.5の場合の(Zr55Al20Co25)β(Y56Al24Co20)(1−β)組成の合金に該当する。Y56Al24Co20リボンは35.5°から左側に僅かにシフトされた一つのピークを示し、Zr55Al20Co25リボンは35.5°から右側に僅かにシフトされた一つのピークを示す。
【0068】
従って、Y56Al24Co20非晶質相及びZr55Al20Co25非晶質相が重なった(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンは35.5°で一つのピークを示す。このピークはZr55Al20Co25非晶質相及びY56Al24Co20非晶質相が重なったと考えられる。つまり、Zr系統非晶質相の原子半径とY系統非晶質相の原子半径がよく似ているので、ピークが重なって一つのピークのみ現れたものと考えられる。従って、図8のaに示したように、(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボンは非晶質相を有する。
【0069】
図9のa及びbは各々(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金のTEM写真及びSAEDP写真である。この合金は図7のbに示した合金に該当すると共に、(Ti56Al24Co20)α組成が65%、Y56Al24Co20組成が35%であるケースに該当する。
【0070】
図9のaに示したように、Ti56Al24Co20組成の非晶質相とY56Al24Co20組成の非晶質相が存在する。ここで、黒色で示される部分はTi56Al24Co20組成の非晶質相であり、灰色で示される部分はY56Al24Co20組成の非晶質相である。これらは互いに隔離されて隣接する。
【0071】
しかし、Ti56Al24Co20組成が80%を超えたり50%未満の場合、微細構造が変化する。つまり、この合金はTi母材に孤立した球形Yを含む、または、Y母材に孤立した球形Tiを含む、異質的な構造となる。
【0072】
図10のa及びbは各々(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金のTEM写真及びSAEDP写真である。この合金は図8のaに示した合金に該当する。
【0073】
ここで、黒色で示される部分はZr55Al20Co25組成の非晶質相であり、灰色で示される部分はY56Al24Co20組成の非晶質相である。これらは相互隔離されて、接する。図10に示したように、2個の非晶質相が互いに隔離されて、これらの間に連結構造が非常に微細に形成されている。
【0074】
前述した方法で形成した2個の非晶質相に選択腐食を利用して、多数の気孔を形成した。以下、選択腐蝕工程について詳しく説明する。
【0075】
選択腐蝕
本発明の実験例では選択腐蝕方法を利用して、特定元素を非晶質相から除去した。特に、多数の気孔を形成するための選択腐蝕方法は互いに隔離されて隣接する2個の非晶質相を有する合金に好適である。
【0076】
白金に代わる活性電極として(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35組成のリボン試片または(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5組成のバルク試片を用いた。Ag/AgCl基準電極を使って、0.1M HNO3(pH=1)の電解質を含む電気化学セルで定電位実験を実施した。
【0077】
図11に示したように、Y−Al−Co非晶質合金及びTi−Al−Co非晶質合金は特有の電気化学的動きを示す。Ti−Al−Co合金は、ほとんど2.0Vまでの広い不動態特性を示すが、Y−Al−Co合金は不動態特性を殆ど示さない。これはY−Al−Co合金がTi−Al−Co合金が腐食されない電圧下でも腐食されることを意味する。このような電気化学的動きの差は選択腐蝕に好適である。
【0078】
また、図11には2相非晶質合金の(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金と(Ti56Al24Co20)0.80(Y56Al24Co20)0.20合金の電気化学的動きを示す。これらの合金の臨界ポテンシャル(Ec)は1.75V付近のY−Al−Co合金とTi−Al−Co合金の間で発見される。
【0079】
図12はZr系統合金の変電位グラフである。図12にはZr55Al20Co25合金と(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金の変電位グラフを示す。図12でY系統ガラス金属は便宜上図示を省略する。
【0080】
図12に示したように、(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金は約1.6Vの臨界ポテンシャル(Ec)を有するため、選択腐蝕方法を適用することができる。1.7V乃至2.0Vの臨界ポテンシャル(Ec)を選択することによって短時間内に選択腐食を実施した。
【0081】
図13のa乃至図13のcのSEM写真はTi系統合金の選択腐蝕の結果を示す。図13のaのSEM写真は30分間の1.9Vの印加電圧で選択腐食した後の(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35試片の表面を示す。黒色で示す複数の気孔は50nm乃至200nmの比較的に均一な寸法で均一に分散される。
【0082】
図13のbのSEM写真は1.75乃至2.0V範囲の印加電圧下で0.1 M HNO3電解質に24時間沈殿したリボン表面を示す。図13のbに示したように、黒色で示す気孔は微細に分布される。
【0083】
図13のcのSEM写真は24時間0.1 M HNO3電解質に浸漬して分かれたリボンの断面を示す。図13のcのSEM写真に示したように、多数の気孔が生成される。
【0084】
図14は(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2合金のSEM写真を示す。(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2合金に1.9Vの電圧を印加した結果、選択腐蝕は観察されなかった。これは(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2合金が分離限界ができて、Ti56Al24Co20非晶質相が80%である場合、選択腐蝕が観察されなかった。
【0085】
図15はZr系統金属ガラスの(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金の表面を示す写真である。図15に示したように、(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金の表面には気孔がよく形成される。Ti−Y−Al−Co合金とは異なりZr−Y−Al−Co合金は寸法が均一でない気孔を有する。中心には大きい気孔が存在し、その周辺には小さい気孔が存在する。このように気孔寸法が不均一に分布するのはZr系統合金になるバルク試片で互いに隔離されて、隣接した2相の非晶質構造が初期に不均一であったことに起因したと推定される。
【0086】
多孔性金属ガラス分析
EDS分析によって、多孔性金属ガラスの化学組成を分析した。次の表1はEDS分析結果を示す。初期組成とは対照的に、Ti量が増加した反面Y相は著しく減少したことが分かった。一方、Al量とCo量はほとんど一定であった。従って、非晶質相のY元素が試片から除去されることが分かった。それにも拘わらず、一部のY元素は依然として存在する。これは後述する第2相隔離によって、説明できる。
【表1】
【0087】
表面積の測定
多孔性金属ガラスの表面積をN2ガス吸収方法によって測定した。BET(Brunauer−Emmett−Teller)法を利用して、多孔性金属ガラスの表面積を測定した。BET法は沸点でのガスの化学吸収によって、固体の表面積を決定するのに最も良い方法である。BET法によって、表面積を求めるため、必要な数式は次の通りである。
【0088】
(数1)
VSTP=Va/W×[273.15/(273.15+Ta)]×Pa/760mmHg
Vm= VSTP×(1−P/Po)
S.A=Vm/22414×6.023×1023×Am
【0089】
ここで、Vaは大気下の吸収体の体積(ml)、VSTPは標準温度圧力(STP)における吸収体(N2)の体積、Vmは断層体積(ml)、Taは大気温度(℃)、Paは大気圧力(mmHg)、PはN2の絶対圧力(mmHg)、Poは沸点での吸収体(N2)の飽和蒸気圧力(mmHg)、S.Aは表面積(m2/g)、AmはN2分子の断面積(m2/分子)、Wはサンプル重量(g)を示す。
【0090】
本発明の実験例では−196℃の液体窒素温度でN2吸収によってMicromeritics−Autochem2920ユニット製品を使ってBET表面積を測定した。U字形管に多孔性サンプルを挿入した後、加熱炉に入れた。BET表面分析前に予備処理を施した。ヘリウムガスを約150℃のサンプルに流し当てながら、汚染物質や水分を除去するために少なくとも30分間維持した。次にサンプルを常温で自然冷却した。サンプルからガスを除去した後、30%のN2及び70%のH2の混合気体をサンプルに適用すると同時に液体窒素保管容器を利用して、吸収したN2の量を測定した。また、液体窒素保管容器を大気中での水浴に変えて、吸収したN2の量を測定して記録した。前述した数式1は多孔性サンプルの活性表面積を測定するため使用された。
【0091】
(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金になる多孔性サンプルの体積に対する表面の数値は18m2/gであった。この値はナノサイズの多孔性素材に近いものである。
【0092】
以上、本発明を説明したが、次に記載する特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正及び変形が可能であることを本発明が属する技術分野に従事する者なら簡単に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、YのpH−電位グラフである。
【図2】図2は、TiのpH−電位グラフである。
【図3】図3は、ZrのpH−電位グラフである。
【図4】図4は、Ti−Y合金のE1状態図である。
【図5】図5は、Zr−Y合金のE1状態図である。
【図6】図6のa、b及びcは、それぞれY56Al24Co20リボン、Ti56Al24Co20リボン及びZr55Al20Co25リボンのXRD(X−ray diffraction examination、X線回折分析)グラフである。
【図7】図7のa、b及びcは、それぞれαが、0.50、0.65及び0.80の場合、(Ti56Al24Co20)α(Y56Al24Co20)(1−α)リボンのXRDグラフである。
【図8】図8のa、b及びcは、それぞれ(Zr55Al20Co25)50(Y56Al24Co20)50リボン、Zr55Al20Co25リボン及びY56Al24Co20リボンのXRDグラフである。
【図9】図9のa及びbは、それぞれ(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35合金のTEM写真及びSAEDP(selected area electron diffraction pattern)写真である。
【図10】図10のa及びbは、それぞれ(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5合金のTEM写真及びSAEDP写真である。
【図11】図11は、0.1MHNO3溶液でのTi56Al24Co20、Y56Al24Co20、(Ti56Al24Co20)0.65(Y56Al24Co20)0.35、そして(Ti56Al24Co20)0.80(Y56Al24Co20)0.20非晶質リボンの定電位曲線である。
【図12】図12は、0.1MHNO3溶液でのZr55Al20Co25及び(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5非晶質リボンの定電位曲線である。
【図13】図13は、それぞれリボンの表面ないしは断面のSEM写真であり、aは、30分間の1.9Vのポテンシャルに選択腐食した後のリボン表面を示すSEM写真であり、bは、24時間浸漬して、選択腐食した後のリボン表面を示すSEM写真であり、cは、24時間浸漬して、選択腐食した後のこわれたリボン断面を示すSEM写真である。
【図14】図14は、選択腐蝕後の(Ti56Al24Co20)0.8(Y56Al24Co20)0.2試片のSEM写真である。
【図15】図15は、選択腐蝕後の(Zr55Al20Co25)0.5(Y56Al24Co20)0.5試片のSEM写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
50. 0at%乃至70. 0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Ti+Y+Al+Co+その他の不純物=100.0at%であることを特徴とする多孔性金属ガラス。
【請求項2】
前記多孔性金属ガラスは互いに隔離されて隣接した2ケ以上の非晶質相を含み、前記2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項3】
前記Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であることを特徴とする請求項2に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項4】
前記多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔は、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを除去して形成されたことを特徴とする請求項2に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項5】
前記多孔性金属ガラスの気孔寸法が、10nm乃至500nmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項6】
50.0at%乃至70.0at%のZr、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Zr+Y+Al+Co+その他の不純物=100.0at%であることを特徴とする多孔性金属ガラス。
【請求項7】
前記多孔性金属ガラスは互いに連結された2ケ以上の非晶質相を含み、前記2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であることを特徴とする請求項6に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項8】
前記Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であることを特徴とする請求項7に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項9】
前記多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔は、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを除去して形成されたことを特徴とする請求項7に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項10】
前記多孔性金属ガラスの気孔寸法が、10nm乃至500nmであることを特徴とする請求項6に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項11】
請求項1に記載の多孔性金属ガラスの製造方法であって、
Ti、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、
前記多孔性金属ガラスを急冷させて非晶質相を形成する段階、及び
電気化学的方法によって、前記多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階
を含むことを特徴とする多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項12】
前記非晶質相を形成する段階は、前記多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、前記2ケ以上の非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相及びY56Al24Co20非晶質相を含むことを特徴とする請求項11に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項13】
前記Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であることを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項14】
前記多孔性網構造を形成する段階において、前記選択腐蝕によって、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを除去することを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項15】
請求項6に記載の多孔性金属ガラスの製造方法であって、
Zr、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、
前記多孔性金属ガラスを急冷させて非晶質相を形成する段階、及び
電気化学的方法によって、前記多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階
を含むことを特徴とする多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項16】
前記非晶質相を形成する段階は、前記多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、前記2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であることを特徴とする請求項15に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項17】
前記Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であることを特徴とする請求項16に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項18】
前記多孔性網構造を形成する段階において、電気化学的方法によって、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを選択腐食することを特徴とする請求項16に記載の多孔性ガラスの製造方法。
【請求項1】
50. 0at%乃至70. 0at%のTi、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Ti+Y+Al+Co+その他の不純物=100.0at%であることを特徴とする多孔性金属ガラス。
【請求項2】
前記多孔性金属ガラスは互いに隔離されて隣接した2ケ以上の非晶質相を含み、前記2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項3】
前記Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であることを特徴とする請求項2に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項4】
前記多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔は、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを除去して形成されたことを特徴とする請求項2に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項5】
前記多孔性金属ガラスの気孔寸法が、10nm乃至500nmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項6】
50.0at%乃至70.0at%のZr、0.5at%乃至10.0at%のY、10.0at%乃至30.0at%のAl、10.0at%乃至30.0at%のCo及びその他の不純物を含み、Zr+Y+Al+Co+その他の不純物=100.0at%であることを特徴とする多孔性金属ガラス。
【請求項7】
前記多孔性金属ガラスは互いに連結された2ケ以上の非晶質相を含み、前記2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であることを特徴とする請求項6に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項8】
前記Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であることを特徴とする請求項7に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項9】
前記多孔性金属ガラスに形成された多数の気孔は、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを除去して形成されたことを特徴とする請求項7に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項10】
前記多孔性金属ガラスの気孔寸法が、10nm乃至500nmであることを特徴とする請求項6に記載の多孔性金属ガラス。
【請求項11】
請求項1に記載の多孔性金属ガラスの製造方法であって、
Ti、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、
前記多孔性金属ガラスを急冷させて非晶質相を形成する段階、及び
電気化学的方法によって、前記多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階
を含むことを特徴とする多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項12】
前記非晶質相を形成する段階は、前記多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、前記2ケ以上の非晶質相はTi56Al24Co20非晶質相及びY56Al24Co20非晶質相を含むことを特徴とする請求項11に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項13】
前記Ti56Al24Co20非晶質相は50.0at%乃至80.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は20.0at%乃至50.0at%であることを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項14】
前記多孔性網構造を形成する段階において、前記選択腐蝕によって、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを除去することを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項15】
請求項6に記載の多孔性金属ガラスの製造方法であって、
Zr、Y、Al、Co及びその他の不純物を含む多孔性金属ガラスを溶融する段階、
前記多孔性金属ガラスを急冷させて非晶質相を形成する段階、及び
電気化学的方法によって、前記多孔性金属ガラスを選択腐食して、多孔性網構造を形成する段階
を含むことを特徴とする多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項16】
前記非晶質相を形成する段階は、前記多孔性金属ガラスに2ケ以上の非晶質相を形成し、前記2ケ以上の非晶質相のうちの第1非晶質相はZr55Al20Co25非晶質相であり、第2非晶質相はY56Al24Co20非晶質相であることを特徴とする請求項15に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項17】
前記Zr55Al20Co25非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であり、前記Y56Al24Co20非晶質相は45.0at%乃至55.0at%であることを特徴とする請求項16に記載の多孔性金属ガラスの製造方法。
【請求項18】
前記多孔性網構造を形成する段階において、電気化学的方法によって、前記Y56Al24Co20非晶質相から前記Yを選択腐食することを特徴とする請求項16に記載の多孔性ガラスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−308790(P2007−308790A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318986(P2006−318986)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(591074116)韓国科学技術研究院 (17)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(591074116)韓国科学技術研究院 (17)
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