説明

多孔質セラミックスの製造方法

【課題】気孔率の大きな多孔質コージェライトハニカム構造体であっても、可燃性造孔剤が燃焼するときに発生するクラックや溶損の問題を防止して、焼成時間の短縮が可能で生産性を向上させることのできる多孔質コージェライトハニカム構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法の製造方法において、平均粒径300μm以下の中空セラミックス微小球を50質量%以下含有するセラミックス原料粉末を使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法に関するものである。なかでも、ディーゼル機関から排出される微粒子を捕集するためのフィルタに使用される多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ディーゼル機関から排出される微粒子を除去するため、セラミックハニカム構造体の隔壁を多孔質構造とし、その隔壁に微粒子を含んだ排気ガスを通過せしめる構造の微粒子捕集用フィルタ(ディーゼルパティキュレートフィルタ)が使用されている。図1に、このフィルタの概略形状を示す。このフィルタの特性に関しては、微粒子の捕集効率、圧力損失(圧損)、微粒子の捕集時間(捕集開始から一定圧損に達するまでの時間)の3つが重要とされている。中でも、捕集効率と圧損は相反する関係にあり、捕集効率を高くしようとすると、圧損が増大し、捕集時間が短くなり、また圧損を低くすると、捕集時間は長くできるが、捕集効率が悪くなる。これらの相反するフィルタの特性を満足するように、セラミックハニカム構造体に対しては、その気孔率、気孔分布を制御し、最適化する技術が従来から検討されており、一般に気孔率は40%以上のものが使用されている。また、セラミック材質には、その低熱膨張特性からコージェライトを主成分とするものを使用するのが一般的であるが、その他に、炭化珪素、窒化珪素等の耐熱性セラミック材料も使用されている。
【0003】従来、上記のような気孔率の大きなセラミックハニカム構造体を製造する際には、セラミックス原料に造孔剤等を加えて、混練し、押出成形後、乾燥、焼成するのが一般的である。造孔剤には可燃性物質が使用され、焼成温度に達する前の昇温過程で燃焼して消失し、造孔剤の形跡が気孔としてセラミックス中に残留する。その一例として、特公昭63−27303号公報では、澱粉粉を使用したコージェライトハニカム構造体の製造法が開示され、澱粉粉の造孔効果が示されている。また特公昭60−31800号公報では、黒鉛粉末すなわちグラファイト粉末を使用した高寸法精度を有する多孔質セラミックスハニカム構造体の製造法が開示され、その中でグラファイト粉末の造孔効果を示している。更には特許第2562186号公報では、造孔剤として、大気雰囲気中650℃、1時間保持の熱処理において、重量減少率が50%以上である易燃焼性のカーボン粉を使用する多孔質セラミックハニカム構造体の製造法が開示され、易燃焼性カーボン粉が短い焼成時間で造孔効果の得られることを開示している。また、特開平9−77573号公報では、セラミック原料に対して100℃以下で発泡する有機発泡材、又は焼成温度よりも低い温度で燃焼する可燃性物質を5〜50重量%加えて使用するハニカム構造体の製造方法が開示され、有機発泡剤及び可燃性物質の造孔効果が示されている。更に特開平5−330943号公報では、グラファイト、水に不溶なセルロースを添加してディーゼル用フィルターとして使用するのに好適な多孔質セラミック製品の製造方法が開示され、グラファイトと水に不溶なセルロースの組合せにより造孔効果を損なわずに、完全な誘電乾燥を行えることが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術の可燃性物質を造孔剤として使用し、焼成温度より低い温度で可燃性物質を燃焼させてセラミック中に細孔を形成して多孔質セラミックスを製造する場合、以下のような問題があった。上記可燃性物質は、ハニカム構造体の外部からの加熱では加熱されにくく、また一旦燃焼すると急激に燃焼、発熱(しかもそれぞれの可燃性物質によって燃焼する温度が異なる)するという性質がある。このため、ハニカム構造体の内部と外壁部との間に大きな温度差が発生し、この温度差によりハニカム構造体の内部及び端面にクラックが発生したり、内部が溶損するという問題があった。さらには上記可燃性物質の燃焼は、それぞれの物質に対してある固有の温度領域で急激に発生することから、燃焼ガスが発生する際の体積膨張によりハニカム構造体の内部及び端面にクラックが発生したり、或いは発生した燃焼ガスのセラミック系外への排出がスムーズに行われず、ハニカム構造体の内部及び端面にクラックの発生することもあった。例えば、前述の小麦粉の場合250〜350℃、グラファイトの場合750〜850℃で急激に燃焼が発生する。特に、このクラックの現象は、外径140mm以上、長さ150mm以上の寸法の大きなハニカム構造体では顕著に現れ、実質的にこれ以上の大きさで、且つ40%以上の気孔率を有するハニカム構造体を得るのは困難であった。このため従来は、クラックの発生、及び内部の溶損を防ぐため、昇温速度を遅くし、内部の急激な発熱を抑えるようにしていたが、昇温速度を遅くすると焼成時間が長くなり、製造効率を極端に悪くするという問題点があった。
【0005】本発明の目的は、多孔質セラミックハニカム構造体を製造する際に、上述した課題を解消して、焼成時間の短縮が可能で生産性を向上させることのできる多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者は鋭意検討を行った結果、不燃性の中空セラミックス微小球を使用することにより、焼成の昇温過程で発生するクラックや溶損を防止でき、かつ気孔率の大きい多孔質セラミックスが容易に得られることを見出した。すなわち、本発明の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法は、平均粒径300μm以下の中空セラミックス微小球を50質量%以下含有するセラミックス原料粉末を使用することを特徴とするものである。ここで、中空セラミックス微小球の含有量は2質量%以上40質量%以下がより好ましい。また、多孔質セラミックハニカム構造体の気孔率が40%以上であることを特徴とするものである。また、本発明の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法は、中空セラミックスを含有するセラミクス原料粉末がコージェライト化原料であることが良く、中空セラミックス微小球の主成分がSiO、Alであり、且つ中空セラミックス微小球のFeが1.5質量%以下、CaOが1.0質量%以下、TiOが2.5質量%以下であることが好ましい。
【0007】
【作用】次に、本発明における作用効果につき説明する。本発明の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法は、平均粒径300μm以下の中空セラミックス微小球を50質量%以下含有するセラミックス原料粉末を使用することから、従来多孔質セラミックハニカム構造体を製造する際に、造孔剤として可燃性物質を使用した場合に発生していた焼成時の昇温過程でのクラックや溶損等の問題を起こすことがない。すなわち中空セラミックス微小球は、不燃性であることから、昇温過程で燃焼することがなく、燃焼に伴う、クラックや溶損の問題は発生せず、急昇温が可能になるため、焼成時間の短縮が可能になるからである。更には、中空微小球であることから、中空部分が焼成後に気孔としてセラミックス中に残留するため、急昇温時のクラックや溶損の心配無しに気孔率を大きくすることが容易となるのである。ここで、中空セラミックス微小球の平均粒径を300μm以下としているのは、平均粒径が300μmを越えると、特にディーゼルパティキュレートフィルターとして、一般的に使用されている隔壁厚430μmのハニカム構造体を公知の押出成形法により成形する際に、口金スリット内に中空セラミックス微小球が詰まったり、ひっかかったりして、隔壁が形成されない不良が発生し易くなるからである。好ましくは150μm以下である。また、中空セラミックス微小球の添加量を50質量%以下とするのは、50質量%を越えると中空セラミックス微小球同士の接触が起こることから、原料の流動性が悪くなり、ハニカム構造体の成形が困難になるからである。また、中空セラミックス微小球のより好ましい含有量を2質量%以上40質量%以下としているのは、2質量%以上であると、いわゆる造孔効果が大きく現れるからであり、40質量%を越えると、中空セラミックス微小球同士の接触が起こる場合もあり、成形の条件によっては、押出成形の際、隔壁が形成されない不良が発生することもあるからである。
【0008】また、本発明の多孔質セラミックスの製造方法において多孔質セラミックハニカム構造体の気孔率を40%以上が好ましい範囲としているのは、特に気孔率が40%を越えるような多孔質セラミックハニカム構造体の場合に、造孔剤として可燃性物質を使用すると、焼成時の昇温過程でのクラックや溶損の問題が起こりやすくなることから、中空セラミックス微小球を使用した効果が絶大となるからである。即ち、中空セラミックス微小球が有する中空部分が焼成後に気孔として残留することから、昇温過程でのクラックや溶損の問題を発生させずに、気孔率40%以上の多孔質セラミックスが得られる。また、本発明の多孔質セラミックスの製造方法において、中空セラミックスを含有するセラミクス原料粉末がコージェライト化原料であることを好ましいとしているのは、元来コージェライトが有する低熱膨張特性に加えて、焼成時の昇温過程でのクラックや溶損の問題を発生させず、気孔率を大きくできることから、熱衝撃に強く、低圧損のハニカムフィルターが得られるからである。そして、好適な中空セラミックス微小球の主成分をSiO、Alとしたのは、コージェライトを主成分とする多孔質セラミックハニカム構造体を製造する際に、コージェライト組成がSiO42〜56質量%、Al30〜45質量%、MgO12〜16質量%であることから、中空セラミックス微小球の主成分がSiO、Alであれば、その他のコージェライト化原料粉末のカオリン、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ等のSiO、Al源原料の添加量の調整により、コージェライト組成を得ることが容易となるからである。また、中空セラミックス微小球のFeが1.5質量%以下、CaOが1.0質量%以下、TiOが2.5質量%以下としたのは、結晶相の主成分をコージェライト相とし、不純物から生成する高膨張のガラス相を少なくするためである。そのほか該微小球は不可避的に混入する成分、NaO、KO、P、PbO等を全体として2質量%以下含んでも良い。
【0009】上記に説明したような中空セラミックス微小球は、例えば以下のようにして得ることが出来る。コージェライト化原料粉末を調合し、これに水を加えてコージェライトスラリーを作製した後、スプレー乾燥機により、水分を蒸発せしめ、球状のコージェライト化顆粒を得る。このとき、スラリーの水分量、粘度、やスプレー乾燥機の運転条件を制御することによって、顆粒内が中空部分を有する閉鎖型の中空体が得られる。この中空体を1300℃以上の温度で焼成することにより、コージェライト組成を有する中空セラミックス微小球が得られる。或いは、火力発電所から発生するフライアッシュの一部は、閉鎖型中空体で、高強度のものが得られることから、これを使用することも可能である。図2に中空セラミックス微小球の420倍の拡大写真を、図3には中空セラミックス微小球の420倍の断面写真を示す。尚、図中の右下の線は10μmを示すことから、図に示す中空セラミックス微小球の直径は概ね85〜90μmとなる。以上の中空セラミックス微小球は概ね球状であることから、コージェライトセラミックス中に形成される気孔も略球状となるため、気孔での応力集中を低減でき、機械的強度にも優れたディーゼルパティキュレートフィルタを得ることも可能となる。
【0010】以上のように、本発明をコージェライトセラミックスを例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、ムライト、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミ、リチウムアルミニウムシリケート、チタン酸アルミニウム、ジルコニア、等の種々の耐熱性セラミック材料に適用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例)SiOが42〜56質量%、Alが30〜45質量%、MgOが12〜16質量%となるように、表1に特性を示す中空セラミックス微小球及びその他のコージェライト化原料粉末を調合し、このコージェライト化原料100質量部に対して、必要に応じて表2に特性を示す可燃性物質の造孔剤を、表3に示す割合で添加し、さらにメチルセルロース4質量部及び水を加えて、混練し、押出成形可能な坏土とした。中空セラミックス微小球Aはコージェライト、中空セラミックス微小球B〜Fは、SiO、Alを主成分とするものである。
【0012】
【表1】


【0013】
【表2】


【0014】
【表3】


【0015】次いで、それぞれのバッチの坏土を公知の押出成形法により隔壁厚430μm、1平方センチ当たりのセル数16個を有する直径267mm、長さ304mmの円筒形ハニカム構造体を成形した。このとき成形が問題なく行えたバッチを(◎)、セル欠陥は発生したがその発生率が5%未満であったバッチを(○)、セル欠陥が連続的に発生しハニカム構造体の成形が困難であったバッチを(×)として成形性を評価した結果を表4に示す。次いでそれぞれのバッチによるハニカム構造体は、乾燥後図4に示す焼成条件で焼成し、材料特性として気孔率、及び40〜800℃間の熱膨張係数の評価、焼成体の特性としてクラックの発生、ハニカム構造体中心部の溶損発生の観察を実施した。気孔率の測定は水銀ポロシメーターを使用して行った。これらの結果を表4に示す。
【0016】
【表4】


【0017】試験No.1は比較例で、触媒担体に使用されるコージェライトセラミックスであるため気孔率は35.6%である。試験No.2〜7は、本発明の実施例で、試験No.1に対してコージェライト組成の中空セラミックス微小球Aを5〜48質量%添加していることから、焼成体の組成はコージェライト組成SiO:42〜56質量%、Al:30〜45質量%、MgO:12〜16質量%となる。また、いずれも成形性は良好の(◎)〜(○)で、中空セラミックス微小球の添加量を増やすことにより、気孔率が大きくなっている。このため試験No.2〜7の焼成体では、40%以上の高気孔率、5〜7×10-7/℃の低熱膨張係数が得られるにも係わらず、可燃性物質の造孔剤を添加していないことから、焼成条件a〜cのいずれの条件でも焼成によるクラックや溶損もなく、品質の安定したものが得られている。一方、試験No.8は、本発明の比較例で、試験No.1対してコージェライト組成の中空セラミックス微小球Aを55質量%添加していることから、成形性評価は(×)であり、ハニカム構造体の成形が困難であった。このため焼成が行えず、材料特性、焼成体特性の評価は実施できなかった。
【0018】試験No.9〜13は、本発明の実施例で、SiO、Alを主成分とする中空セラミックス微小球Bを使用したものである。その他のコージェライト化原料の添加量を調整し、コージェライト組成のSiO:42〜56質量%、Al:30〜45質量%、MgO:12〜16質量%が得られるように調整した。また試験No.2〜8と同様に、いずれも成形性は良好の(◎)で、中空セラミックス微小球の添加量を増やすことにより、気孔率が大きくなっている。このため試験No.9〜13の焼成体では、40%以上の高気孔率、4〜9×10-7/℃の低熱膨張係数が得られるにも係わらず、可燃性物質の造孔剤を添加していないことから、焼成条件a〜cのいずれの条件でも焼成によるクラックや溶損もなく、品質の安定したものが得られている。試験No.14〜16は、本発明の実施例で、試験No.9〜13と同様SiO、Alを主成分とする中空セラミックス微小球C及びDを使用したもので、いずれも成形性は良好の(◎)で、中空セラミックスで平均粒径が異なる微小球の添加量を増やすことにより、気孔率が大きくなっている。このため試験No.14〜16の焼成体では、40%以上の高気孔率、5〜7×10-7/℃の低熱膨張係数が得られるにも係わらず、可燃性物質の造孔剤を添加していないことから、焼成条件a〜cのいずれの条件でも焼成によるクラックもなく、品質の安定したものが得られている。
【0019】試験No.17は、本発明の比較例で、主成分はSiO、Alの中空セラミックス微小球を使用しているが、平均粒径が321μmの粒径の大きい中空セラミック微小球Eを使用していることから、押出成形時に金型スリットに微小球が詰まってしまい、セル欠陥のないハニカム構造体を得ることが困難で、評価は実施できなかった。一方、試験No.18では、試験No.9〜16と同様SiO、Alを主成分とする中空セラミックス微小球Fを使用しており、成形性は良好の(◎)であった。中空セラミック微小球Fは、微小球A〜Eに比べてCaO量が高く1.3質量%含有していることから、得られたコージェライト焼成体のCaO濃度も高くなったため、熱膨張係数が11.3×10-7/℃とやや高めとはなっているが、可燃性物質の造孔剤を添加していないことから、焼成条件a〜cのいずれの条件でも焼成によるクラックや溶損もなく、品質の安定したものが得られている。試験No.19〜23は比較例で、可燃性物質の造孔剤を使用した例である。これらは、いずれも成形性は良好であった。試験No.19、20の小麦粉を造孔剤として使用した場合、試験No.20では、小麦粉を10質量%加えたことから、焼成条件a、b、cのいずれの条件でも焼成体にクラックが発生した。一方、試験No.19では小麦粉の添加量が5質量%になっていることから、焼成条件aではクラック発生しているものの、焼成条件b、cではクラックは発生しなくなっているが、気孔率が38.2%でディーゼルパティキュレートフィルタとして使用するには、気孔率が不足している。また試験No.21のグラファイトを使用した場合、焼成条件a、b、cのいずれの条件でも焼成体にクラックが発生すると共に、溶損不良が発生した。試験No.22、23の有機発泡剤を造孔剤として使用した場合、試験No.23では、有機発泡剤を5質量%加えたことから、焼成条件a、b、cのいずれの条件でも焼成体にクラックが発生した。一方、試験No.22では有機発泡剤の添加量が2.5質量%になっていることから、焼成条件aではクラック発生しているものの、焼成条件b、cではクラックは発生しなくなっているが、気孔率が39.6%でディーゼルパティキュレートフィルタとして使用するには、気孔率が不足している。試験No.24、25は本発明の実施例で、中空セラミックス微小球と、可燃性物質の造孔剤を組合せ使用した例である。試験No.24では、SiO、Alを主成分とする中空セラミックス微小球B、その他のコージェライト化原料及び小麦粉5質量%を使用している。小麦粉を単独で使用した試験No.19に比べて、中空セラミックス微小球を使用していることから、49.3%の高気孔率が得られ、ディーゼルパティキュレートフィルタとして使用しうる特性が得られるようになった。また試験No.25では、SiO、Alを主成分とする中空セラミックス微小球B、その他のコージェライト化原料及び有機発泡剤2.5質量%を使用している。有機発泡剤を単独で使用した試験No.22に比べて、中空セラミックス微小球を使用していることから、51.2%の高気孔率が得られ、ディーゼルパティキュレートフィルタとして使用しうる特性が得られるようになった。以上試験No.24、25で示したように、焼成過程でのクラック発生に影響を与えない範囲での可燃性物質造孔剤と中空セラミックス微小球の併用も可能である。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、気孔率の大きい多孔質コージェライトハニカム構造体を得る際に、原料粉末に中空セラミックス微小球を使用していることから、昇温過程での可燃性物質造孔剤によるクラックや溶損発生もなく、ディーゼルパティキュレートフィルタとして好適な多孔質セラミックハニカム構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)はそれぞれハニカム構造体を使用したフィルターの一例を示す正面図及び側面図である。
【図2】本発明に係わる中空セラミックス微小球の顕微鏡写真である。
【図3】本発明に係わる中空セラミックス微小球の断面顕微鏡写真である。
【図4】は実施例で使用した焼成条件を示す図である。
【符号の説明】
1 セラミックハニカム構造体、 2 隔壁、 3 貫通孔、4 セラミックハニカムフィルタ、5 封じ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均粒径300μm以下の中空セラミックス微小球を50質量%以下含有するセラミックス原料粉末を使用することを特徴とする多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項2】 セラミックス原料粉末中の中空セラミックス微小球の含有量が2質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項3】 多孔質セラミックハニカム構造体の気孔率が40%以上であることを特徴とする請求項1乃至2記載の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項4】 中空セラミックス微小球を含有するセラミックス原料粉末がコージェライト化原料であることを特徴とする請求項1乃至3記載の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法。
【請求項5】 中空セラミックス微小球の主成分がSiO、Alであり、且つ中空セラミックス微小球のFeが1.5質量%以下、CaOが1.0質量%以下、TiOが2.5質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4記載の多孔質セラミックハニカム構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2002−326881(P2002−326881A)
【公開日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−131835(P2001−131835)
【出願日】平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】