説明

多孔質ビーズの製造方法

【課題】エネルギー線の照射を必要とせず、製造効率の向上を図ることができる多孔質ビーズの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリマー溶液貯留部2には、数平均分子量が10000以上であり、凝固価が異なる少なくとも2種のポリマーを、各ポリマーに対して相溶性を有する溶媒に溶解して貯留し、凝固液槽4には、非溶媒が含まれる凝固液を貯留し、ポリマー溶液貯留部2のノズル3からポリマー溶液を凝固液槽4へ滴下して、ポリマー溶液を液滴状態で凝固液中にて凝固させて多孔質ビーズを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液処理や水処理などに使用可能な多孔質ビーズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質ビーズは、その表面および内部に細孔を形成した粒状の多孔質体であり、食品工業、医薬品工業、廃水処理、人工臓器、医療等の分野において、蛋白質、コロイド、バクテリア等の除去や回収、有害ガスの吸着除去、脱色、水中の有害物あるいは血液中の有害物(エンドトキシン、血球等)の回収除去、重金属の捕集、酵素・菌体の固定化用担体等の目的で利用されている。
【0003】
そして、多孔質ビーズの製造方法としては、特開昭50−12176号公報に水中油滴型エマルジョン重合法が提案されている。具体的には、油性の重合成モノマーとベンゼンとの均一混合溶液と分散剤を含む水とを高速・長時間攪拌することにより水中油滴型エマルジョンを生成し、電離性放射線または活性光線等のエネルギー線を照射することにより水中油滴型エマルジョンを重合させて多孔質ビーズを製造する旨が提案されている。さらに、特開平6−248107号公報には、モノマーおよび/またはオリゴマーを相分離剤とともに溶剤に溶解し、この溶液を液滴状に吐出し、エネルギー線を照射することにより溶液を重合させて多孔質ビーズを製造する旨が提案されている。
【特許文献1】特開昭50−12176号公報
【特許文献2】特開平6−248107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各特許文献に記載の多孔質ビーズの製造方法は、いずれも多孔質ビーズの製造原液にエネルギー線を照射することを必須要件としている。このため、簡便な設備で多孔質ビーズを製造することが難しく、多孔質ビーズの製造効率に改善の余地を残している。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー線の照射を必要とせず、製造効率の向上を図ることができる多孔質ビーズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、数平均分子量が10000以上であり、凝固価が異なる少なくとも2種のポリマーを、各ポリマーに対して相溶性を有する溶媒に溶解し、該ポリマー溶液を液滴状態で非溶媒が含まれる凝固液中にて凝固させて製造することを特徴とする多孔質ビーズの製造方法である。
【0007】
なお、本発明における凝固価は、上記した多孔質ビーズの製造方法で使用される溶媒50gにポリマー1gを溶解した溶液を50℃に保ち、この溶液を攪拌しながら多孔質ビーズの製造方法で使用される凝固液を溶液中に少量ずつ添加し、この溶液中にポリマーが析出し始める時点(目視により溶液が白濁した時点)における凝固液の添加量(mL)で定義される。
【0008】
請求項2に記載のものは、前記2種のポリマーのうち、一方のポリマーの凝固価が1〜15mLであり、他方のポリマーの凝固価が3mL以上であり、且つ各ポリマーの凝固価の差が2mL以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【0009】
請求項3に記載のものは、前記ポリマー溶液の全ポリマー含有率を10〜30質量%に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【0010】
請求項4に記載のものは、前記ポリマーに対して相溶性を有する溶媒がN−メチル−2−ピロリドンであり、前記非溶媒が水であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【0011】
請求項5に記載のものは、前記した2種のポリマーは、ポリアリレート樹脂とポリスルホン系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【0012】
請求項6に記載のものは、前記した2種のポリマーは、いずれもポリスルホン系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【0013】
請求項7に記載のものは、前記した2種のポリマーは、ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【0014】
請求項8に記載のものは、前記した2種のポリマーの混合比率を0.1〜10に設定したことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、数平均分子量が10000以上であり、凝固価が異なる少なくとも2種のポリマーを、各ポリマーに対して相溶性を有する溶媒に溶解し、該ポリマー溶液を液滴状態で非溶媒が含まれる凝固液中にて凝固させて多孔質ビーズを製造するので、簡単な作業で多孔質ビーズを製造することができる。したがって、多孔質ビーズの製造効率の向上を図ることができる。また、多孔質ビーズの製造工程において、エネルギー線照射装置などでエネルギー線を照射する必要がなく、この結果、簡便な設備で多孔質ビーズを製造することができる。さらに、ポリマーの有する性能をエネルギー線の照射により損ねる虞がない。したがって、耐熱性や耐薬品性に優れたポリマーを原料として使用した場合には、耐熱性や耐薬品性に優れた多孔質ビーズを簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は、多孔質ビーズを製造するための製造装置の概略図である。
多孔質ビーズ製造装置1(以下、単に製造装置1と称す)は、図1に示すように、ポリマー溶液貯留部2と、該該ポリマー溶液貯留部2に接続されたノズル3と、該ノズル3の下方に配置された凝固液槽4とから概略構成されている。
【0017】
ポリマー溶液貯留部2は、多孔質ビーズの原料となるポリマー溶液を貯留するためのものである。ポリマー溶液は、凝固価が異なる複数(本実施形態では2種)のポリマーを、各ポリマーに対して相溶性を有する溶媒に溶解して調製される。ここでは、ポリエステル系樹脂(A)とポリスルホン系樹脂(B)との混合比率(重量比A/B)を0.1〜10の範囲で設定すると共に、両ポリマーの含有率(A+B)が10〜30質量%に設定されるように有機溶媒(溶剤)に溶解して、ポリマー溶液を調製する。
【0018】
なお、本実施形態におけるポリエステル系樹脂は、次式(1)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である。
【0019】
【化1】

【0020】
また、ポリスルホン系樹脂は、式(2)で表される繰り返し単位及び式(3)で表される繰り返し単位の少なくとも何れかを有するポリスルホン樹脂である。
【0021】
【化2】

【0022】
【化3】

【0023】
また、ポリマー溶液に溶解されるポリマーは、分子量(例えば数平均分子量)が10000以上であり、凝固価が1〜15mLの範囲内に設定されることが好ましい。なお、本発明における凝固価は、本発明の多孔質ビーズの製造方法で使用される溶媒50gにポリマー1gを溶解した溶液を50℃に保ち、この溶液を攪拌しながら本発明の多孔質ビーズの製造方法で使用される後述の凝固液を溶液中に少量ずつ添加し、この溶液中にポリマーが析出し始める時点(目視により溶液が白濁した時点)における凝固液の添加量(mL)で定義される。そして、上記ポリアリレート樹脂の凝固価は3.7mLであり、上記ポリスルホン樹脂の凝固価は4.7mLである。したがって、各ポリマーの凝固価の差は1.0mLに設定される。また、ポリアリレート樹脂の分子量(数平均分子量)は25,000であり、ポリスルホン樹脂の分子量(数平均分子量)は27,000である。
【0024】
さらに、有機溶媒としては、ポリエステル系樹脂とポリスルホン系樹脂に対して相溶性を有する溶媒であれば特に制限はなく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。これらの中で、N−メチル−2−ピロリドンが最も好適に使用することができる。
【0025】
ノズル3は、ポリマー溶液貯留部2内のポリマー溶液を液滴状に吐出するためのものであり、当該ノズル3の基端部(図1中上端部)をポリマー溶液貯留部2に配管5および送液バルブ6を介して接続している。なお、本実施形態では、ノズル3をポリマー溶液貯留部2よりも低い位置に配置し、ノズル3内のポリマー溶液とポリマー溶液貯留部2内のポリマー溶液とのヘッド差に基づいて、ノズル3からポリマー溶液を吐出するように構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズル3をポリマー溶液貯留部2よりも上方に配置するとともに、配管5の途中に送液ポンプを配設し、この送液ポンプの揚力によりノズル3からポリマー溶液を吐出してもよい。
【0026】
凝固液槽4は、ポリマー溶液を凝固させる凝固液を貯留するためのものである。凝固液は、樹脂溶解に使用した有機溶媒を非溶媒である水に混合した混合溶媒の方が、水単独よりも好ましい。これは、混合溶媒を使用した方が均一なフィブリル構造を形成し易いためである。混合する有機溶媒としては、樹脂に対する良溶媒、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を用いることができる。これらの中で、N−メチル−2−ピロリドンが最も好適に使用することができる。
【0027】
このような製造装置1において多孔質ビーズを製造するには、まず、ポリマー溶液貯留部2に調製されたポリマー溶液を貯留するとともに、凝固液槽4に凝固液を貯留する。製造装置1内にポリマー溶液または凝固液を貯留したならば、送液バルブ6を僅かに開いてノズル3からポリマー溶液を液滴状に吐出する。ノズル3から吐出したポリマー溶液が凝固液槽4に滴下されると、このポリマー溶液内のポリマーが凝固液内で凝固する。このとき、凝固価が異なることに起因して各ポリマーの凝固速度が異なる。すなわち、凝固液内で各ポリマーが析出するまでに時間差が生じる。そして、凝固価の小さいポリマーが先に凝集して析出を開始したが、凝固価の大きいポリマーがまだ溶解状態のままであると、凝固価の小さいポリマーは、凝固価の大きいポリマーにより運動を阻まれ、凝集速度が凝固価の小さいポリマーが単独の場合の凝集速度よりも低下する。これにより、ポリマー系全体が不安定になり、不均一な凝集が起こる。この結果、凝固したポリマー内に多数の細孔が形成されて、多孔質ビーズが生成(製造)される。多孔質ビーズが凝固液槽4内に生成されたならば、この多孔質ビーズを凝固液槽4からすくい上げ、精製水にて多孔質ビーズを洗浄し、乾燥させる。
【0028】
このようにして製造された多孔質ビーズ(ポリマービーズ)は、その表面を覆う状態で緻密層を備え、該緻密層に100nm未満の平均孔径を有する孔(具体的には3〜50nmの孔)を形成する。また、緻密層から多孔質ビーズの中心へ向かうにしたがって次第に次第に孔が大きくなり、多孔質ビーズの中心部には、大きな孔を持つ内部空洞を形成する。
【0029】
このように、本発明においてはポリマー溶液を凝固液へ滴下して多孔質ビーズを製造するので、簡単な作業で多孔質ビーズを製造することができる。したがって、多孔質ビーズの製造効率の向上を図ることができる。また、上記した多孔質ビーズの製造方法においては、エネルギー線照射装置などでエネルギー線を照射してポリマーを重合させる必要がなく、この結果、簡便な設備で多孔質ビーズを製造することができる。さらに、ポリマーの有する性能をエネルギー線の照射により損ねる虞がない。したがって、耐熱性や耐薬品性に優れたポリマーを用いてポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液を凝固液に滴下すれば、耐熱性や耐薬品性に優れた多孔質ビーズを簡単に製造することができる。そして、ノズル3の口径の設定を変えることでポリマー溶液の液滴の大きさを簡単に調整すれば、所望の大きさの多孔質ビーズを容易に製造することができる。
【0030】
なお、上記実施形態では、ポリアリレート樹脂とポリスルホン系樹脂を用いてポリマー溶液を調製したが、本発明はこれに限定されない。例えば、凝固価が異なる2種のポリスルホン系樹脂でもよい。例えば、ポリエーテルスルホン樹脂とポリスルホン樹脂であってもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、ポリマーの凝固価が異なることに起因してポリマーの不均一な凝集を生じさせ、この結果、多孔質ビーズを生成(製造)することができる。このことから、各ポリマーの凝固価は、その差が大きければ大きいほど好ましい。具体的には、各ポリマーの凝固価の差が2mL以上に設定されることが好適である。
【0032】
さらに、凝固価が異なるポリマーとして、一方のポリマーの凝固価が1〜15mLであり、他方のポリマーの凝固価が3mL以上であるものを用いてもよい。例えば、ポリスルホン系樹脂であるポリスルホン樹脂(凝固価4.7mL)と、親水性高分子であるポリビニルピロリドン(凝固価が無限大)を用いてもよい。ポリマー溶液にポリビニルピロリドンを混合して多孔質ビーズを製造すれば、多孔質ビーズに親水性を付与することができる。したがって、親水化によって多孔質ビーズの生体適合性を向上させることができる。
【0033】
そして、上記実施形態では、凝固価が異なる2種のポリマーを用いてポリマー溶液を調製したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、凝固価が異なるポリマーを複数用いてポリマー溶液を調製するのであれば、ポリマー溶液に溶解させるポリマーは3種類以上でもよい。また、ポリマー溶液に少量の非溶媒(水など)を添加してもよい。ポリマー溶液に添加する非溶媒の量を調整し、このポリマー溶液を凝固液に滴下すれば、多孔質ビーズ内に形成される孔径を調整することができて好適である。
【0034】
さらに、上記実施形態では、ポリマー溶液をノズル3から凝固液槽4へ滴下したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ポリマー溶液貯留部2に噴霧ノズルを接続するとともに該噴霧ノズルに極小な口径の噴出口を複数備えて、ポリマー溶液を微粒子状に噴霧可能とし、この噴霧ノズルから噴霧されたポリマー溶液を凝固液の液面に噴き付けてもよい。このようにして噴霧ノズルから吐出されたポリマー溶液を凝固液により凝固させれば、微粒子状の多孔質ビーズを大量に製造することができる。また、ノズル3の先端を凝固液槽4内に貯留した凝固液内に配置し、この状態でポリマー溶液をノズル3から吐出して、ポリマー溶液を液滴状態にして凝固液中で凝固させてもよい。
【0035】
そして、ポリマー溶液に溶解させるポリマーの種類や、凝固液の温度または濃度等を選択調整すれば、多孔質ビーズ(詳しくは緻密層)の微細構造を変化させることができる。これにより、多孔質ビーズ内の細孔のサイズや細孔が形成される密度を調整することができ、所望の比表面積を有する多孔質ビーズを簡単に製造することができる。
【実施例】
【0036】
次に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに説明する。
実施例1においては、ポリエーテルスルホン樹脂(グレード4800P、凝固価8.4mL、数平均分子量21,000)とポリアリレート樹脂(凝固価3.7mL、数平均分子量25,000)とをN−メチル−2−ピロリドンに溶解してポリマー溶液を調製した。なお、ポリエーテルスルホン樹脂とポリアリレート樹脂とN−メチル−2−ピロリドンとの質量混合比は、7.5:7.5:85.0に設定した。また、水にN−メチル−2−ピロリドンを55%混合したものを凝固液とした。
【0037】
さらに、製造装置1のノズル3を内径0.19mm、外径0.36mmの円筒形に設定し、凝固液槽4の凝固液面から略20cm上方へ離れるように配置した。
【0038】
このようなポリマー溶液、凝固液および製造装置1を準備し、ポリマー溶液をポリマー溶液貯留部2に貯留するとともに、凝固液を凝固液槽4に貯留した。そして、室温下において、この貯留状態で送液バルブ6を開状態に変換してポリマー溶液貯留部2内のポリマー溶液をノズル3から凝固液内へ滴下した。この結果、図2(a)に示すように、外径が約2mmの球状を呈する多孔質ビーズが得られた。また、多孔質ビーズの表面には、図2(b)に示すように、多数の細孔が確認された。そして、本実施例において得られた多孔質ビーズの比表面積を測定した結果、その値は4.92m/gであった。
【0039】
また、実施例2においては、凝固価の異なるポリエーテルスルホン樹脂(グレード4800P、凝固価8.4mL,数平均分子量21,000)とポリスルホン樹脂(凝固価4.7mL,数平均分子量27,000)とをN−メチル−2−ピロリドンに溶解してポリマー溶液を調製し、実施例1と同様の手順でポリマー溶液を凝固液内に滴下した。さらに、実施例3においては、凝固価の異なるポリスルホン樹脂(凝固価4.7mL)とポリビニルピロリドン(凝固価無限大,数平均分子量14,000あるいは350,000)とをN−メチル−2−ピロリドンに溶解してポリマー溶液を調製し、実施例1と同様の手順でポリマー溶液を凝固液内に滴下した。これらの結果、いずれの実施例においても、凝固したビーズ内に孔が形成され、多孔質ビーズが製造可能であることが確認された。
【0040】
そして、比較例においては、凝固価が同じ値であるポリエーテルスルホン樹脂(グレード4800P、凝固価8.4mL,数平均分子量21,000)とポリメチルメタクリシート樹脂(凝固価8.4mL,数平均分子量200,000)とをN−メチル−2−ピロリドンに溶解してポリマー溶液を調製し、実施例1と同様の手順でポリマー溶液を凝固液内に滴下した。この結果、2種のポリマーの凝固価が等しい比較例においては、凝固したビーズ内に孔が形成されず、多孔質ビーズを製造できないことが確認された。各実施例および比較例における凝固価の差および製造結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】多孔質ビーズ製造装置の概略図である。
【図2】実施例における多孔質ビーズの電子顕微鏡写真であり、(a)は全体写真、(b)は表面の拡大写真である。
【符号の説明】
【0043】
1 多孔質ビーズ製造装置
2 ポリマー溶液貯留部
3 ノズル
4 凝固液槽
5 配管
6 送液バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数平均分子量が10000以上であり、凝固価が異なる少なくとも2種のポリマーを、各ポリマーに対して相溶性を有する溶媒に溶解し、該ポリマー溶液を液滴状態で非溶媒が含まれる凝固液中にて凝固させて製造することを特徴とする多孔質ビーズの製造方法。
【請求項2】
前記2種のポリマーのうち、一方のポリマーの凝固価が1〜15mLであり、他方のポリマーの凝固価が3mL以上であり、且つ各ポリマーの凝固価の差が2mL以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質ビーズの製造方法。
【請求項3】
前記ポリマー溶液の全ポリマー含有率を10〜30質量%に設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多孔質ビーズの製造方法。
【請求項4】
前記ポリマーに対して相溶性を有する溶媒がN−メチル−2−ピロリドンであり、前記非溶媒が水であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法。
【請求項5】
前記した2種のポリマーは、ポリアリレート樹脂とポリスルホン系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法。
【請求項6】
前記した2種のポリマーは、いずれもポリスルホン系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法。
【請求項7】
前記した2種のポリマーは、ポリスルホン系樹脂とポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法。
【請求項8】
前記した2種のポリマーの混合比率を0.1〜10に設定したことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の多孔質ビーズの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−191512(P2007−191512A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8781(P2006−8781)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】