説明

多孔質材料に粉末を含める装置および方法

本発明の含浸装置は、少なくとも第1の誘電絶縁スクリーン(7)と、互いに対面する第1および第2の電極(4、5)とを備え、この第1および第2の電極は、粉末(3)とそれを含浸するための多孔質材料(2)のための通路(8)によって分離されているとともに、交流電圧発生器(6)に接続されており通路(8)に交流電界を生成することができる。少なくとも第1の電極(4、5)は、少なくとも2つの導電性ストリップ(11)を備え、導電性ストリップ(11)は、それぞれ内側面(14)と長手方向に延びる縁部(13)とを有し、内側面(14)は、第1の誘電絶縁スクリーン(7)によって覆われているとともに、全体として第2の電極(4、5)側を向いており、縁部(13)は、これらストリップを互いに分離する分離スロット(12)に沿って延びており、この分離スロット(12)によって分離されたストリップは互いに電気的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電界を用いた含浸(impregnation)の分野に関する。より正確には、本発明は、繊維ウェブなどの多孔質材料内に粉末を含める(含浸する)方法および装置に関する。
【0002】
繊維ウェブまたは長繊維状ウェブへの粉末の含浸は、ウェブの繊維質または長繊維においてそれに続く粉末の溶融または他の何らかの変換によって生産される母材を有する複合材料の製造における一つのステップとなることがある。したがって、複合材料を生産するために繊維ウェブに含浸することは、本発明の一用途の一例である。
【0003】
本発明の他の多くの用途を想定することが可能である。例えば本発明を、粘土基材の粉末を織物構造に浸透させるためにベントナイト・ジオテキスタイルを製造する際に、使用することができる。本発明の用途の別の例は、乾燥粉末または粉末の混合の形の多孔質ウェブに、抗菌性、火炎抑制、超吸収性または他の活性成分を取り込むことである。本発明の用途の別の例は、繊維ウェブに粉末結合剤を取り込んだ後、ウェブの厚さの少なくとも一部にわたって結合剤により繊維が結合されるように、この結合剤を溶融させその後硬化させることである。
【背景技術】
【0004】
国際公開第99/22920号パンフレットには、特に複合材料を生産するために、繊維ウェブまたは長繊維状ウェブに粉末を含浸するための方法が記載されている。この方法を用いることによって、粉末も繊維質または長繊維のウェブも共に、単一の電圧発生器に接続されている2つの電極間に生成される交流電界にさらされる。各電極は金属板の形をしている。これら電極間の電気アーク放電を防止するために、誘電体板が設けられている。これら電極間の高電界レベルで作動する場合には、もはやその絶縁機能を果たすことができないほどに誘電体板が急速に経年劣化する傾向があり、したがって絶縁破壊が生じ、その結果誘電体板の少なくとも一方により電気アーク放電が生じることがわかっている。
【0005】
欧州特許出願公開第1526214号明細書には、繊維ウェブまたは長繊維状ウェブに粉末を浸透させることを目的とする電界を作り出す異なる方法が提案されている。より正確には、この電界は2列の電極管の間に生成され、これら電極管のそれぞれが、石英または他の何らかの誘電体製の管状絶縁体と、この絶縁体の1つの内側面を覆う導電層とを備える。そのような電極管を使用することにより、寸法の大きいウェブ、特に、2列の電極管の間で移動させることによって連続的に処理される幅広いストリップに含浸すことが可能となる。しかしながら、各電極管が非常に高価で、このことは、欧州特許出願公開第1526214号明細書に提案されている解決法の主な欠点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、交流電界を用いることによって、含浸装置の耐用年数を可能な限り経済的に少なくとも向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、多孔質材料に粉末を含浸するための装置によって実現される。この装置は、少なくとも第1の誘電絶縁スクリーンと、粉末が備わっている多孔質材料のための通路によって分離され、交流電圧発生器に接続された後この通路に交流電界を生成することができる互いに対面する第1および第2の電極とを備える。第1の誘電スクリーンは、前記通路の幅を介する第1および第2の電極を互いに電気的に絶縁する。少なくとも第1の電極は、少なくとも2つの導電性ストリップを備え、これら少なくとも2つの導電性ストリップのそれぞれが、第1の誘電スクリーンによって覆われ、全体として第2の電極に向いている内側面と、分離スロットに沿って延びる長手方向の縁部とを有し、これらストリップはこの分離スロットによって互いに分離されているものの、互いに電気的に接続されている。
【0008】
交流電界を生成する電極の一方または両方が不連続で、適宜連続するストリップにさらに分割されている場合、その内側面を覆う誘電スクリーンは、高い交流電界値による長期に及ぶ作動の後であっても、この誘電スクリーンによる静電破壊が生じない程度に、はるかに経年劣化しにくくなることがわかっている。また、適宜連続するストリップに分割されている場合、連続するストリップすべてと同じ表面を覆う連続電極の場合よりも電極の温度上昇が少ないことも観測されている。ストリップに分割されている電極上における温度上昇が少なくなることにより、時間が経っても誘電スクリーンの耐性がより高い理由が説明されると考えられている。というのも、これにより、装置が作動している際にスクリーンがさらされる熱応力が軽減されるからである。
【0009】
有利には、この含浸装置は、第1の電極の複数の導電性ストリップが連続して存在する方向に前記通路を通して多孔質材料を搬送するためのユニットを備える。
【0010】
有利には、第1の誘電スクリーンが、第1の電極の導電性ストリップ用の支持体を形成する。
【0011】
有利には、この装置は、前記通路の幅を介する第1および第2の電極を互いに電気的に絶縁する第2の誘電スクリーンを備え、第2の電極が、少なくとも2つの導電性ストリップを備え、これら少なくとも2つの導電性ストリップのそれぞれが、第2の誘電スクリーンによって覆われ、全体として第1の電極に向いている内側面と、分離スロットに沿って延びる長手方向の縁部とを有し、これらのストリップは、この分離スロットによって互いに分離されているものの、互いに電気的に接続されている。
【0012】
本発明の目的は、多孔質材料に粉末を含浸する方法でもある。この方法において、多孔質材料および粉末が共に、互いに対面する第1および第2の電極によって生成される交流電界にさらされ、少なくとも第1の誘電スクリーンは、第1および第2の電極を、第1の電極と前記第2の電極との間で互いに電気的に絶縁する。少なくとも第1の電極が、少なくとも2つの導電性ストリップを備え、これら少なくとも2つの導電性ストリップのそれぞれが、第1の誘電スクリーンによって覆われ、全体として第2の電極に向いている内側面と、分離スロットに沿って延びる長手方向の縁部とを有し、これらのストリップは、この分離スロットによって互いに分離されているものの、互いに電気的に接続されている。
【0013】
有利には、この方法は、上記で規定した装置を用いることによって実施する。
【0014】
本発明は、添付の図面を参照して、一例である以下の記載によってより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】繊維ウェブに粉末を含浸する本発明に係る含浸装置の縦断面図である。
【図2】図1に示す含浸装置の互いに対面する一対の組立部品の概略斜視図である。
【図3】時間に対する温度の2種の最大変化、すなわち、図1に示す装置における電極上における温度の最大変化と、従来技術による含浸装置における電極上における温度の最大変化とを視覚的にプロットしたグラフである。
【図4】図1と類似する本発明の一実施形態の第1の変形例に係る図であり、図2の組立部品と置き換えることができる対面する一対の組立部品を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態の第2の変形例に係る平面図であり、この組立部品は、図2に示す2つの組立部品と置き換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は含浸装置1(impregnation device)を示し、繊維ウェブ2をこの含浸装置1を通って矢印Fで表す方向に搬送し、そして、含浸装置1内で繊維ウェブ2に粉末3が含まれる(含浸される)こととなる。
【0017】
含浸装置1は、互いに対面する一対の電極を備え、これら電極はそれぞれ、交流電圧源または交流電圧発生器6の2つの端子の一方に接続され、また下部電極4および上部電極5を構成する。これら2つの電極4および5のそれぞれが、誘電体材料製であって絶縁スクリーン7を形成するプレートによって支持されている。スクリーン7は、電極4および5を互いに電気的に絶縁するように電極4および5間に位置する。これら電極4および5間において、繊維ウェブ2用の平らな通路8の境界が定められている。
【0018】
図の例では、供給方向Fに通路8を通して繊維ウェブ2を搬送するためのユニットは、互いに実質的に平行になるように重なって配置されている2つのベルトコンベヤ9を備える。これら2つのコンベヤ9のそれぞれのベルト10が、互いに平行に、また同じ方向Fに通路8を通過する。繊維ウェブ2がこれらのベルト間に捉えられると、ベルトは共に通路8を通して繊維ウェブ2を供給することができる。異なる厚さの繊維ウェブ2を搬送することを可能にするために、コンベヤ9間の垂直距離は、それ自体公知の方法で調整可能である。
【0019】
電極4および5はそれぞれ不連続であり、導電性材料が存在しないスロット状の切れ目または間隙12によって互いに分離されている一連の連続する導電性ストリップ11で構成されている。図2からわかるように、これらストリップ11は、通路8の幅全体にわたって通路8の左側から右側へと並べられ、進行方向Fと平行ではない。これらストリップ11は互いの側面に沿って延びているが、各電極4または5の導電性ストリップ11は様々な形状を有することができる。図1および図2の例では、ストリップ11は直線状で互いに平行である。
【0020】
各導電性ストリップ11は、長手方向に延びる2つの縁部13と、対面する2つの主面とを備える。これら主面は、長手方向縁部13によって結合されており、全体として通路8側を向く内側面14と、外側面15である。スロット12は、それぞれ2つの長手方向縁部13によって境界が定められており、これら2つの長手方向縁部13は、隣接する2つの連続するストリップ11の一方ずつに位置する。すなわち、各導電性ストリップ11は、別の導電性ストリップ11から分離されるためのスロット12に沿って延びる長手方向縁部13を有する。
【0021】
スロット12の幅、すなわち、2つの連続する導電性ストリップ11間の間隔eは、好ましくは20mmを超える。間隔eは、好ましくは200mm未満である。この間隔は、有利には25〜50mmである。
【0022】
各導電性ストリップ11の幅lは、有利には10mm〜1000mm、好ましくは20mm〜100mmである。
【0023】
優れた結果をもたらした設計では、各導電性ストリップ11の幅lは50mm前後であるのに対し、スロット12の幅eは25mm前後であった。
【0024】
導電性ストリップ11は、様々な方法で実現することができる。例えば、各導電性ストリップ11は、メタライゼーション技術を用いることによって電極7の一方に局所的に堆積した金属被覆の形にすることができる。各導電性ストリップ11は、銀導電性ラッカーなどの金属粒子が大量に詰め込まれている樹脂の層で構成することもできる。いずれにせよ、導電性ストリップ11とそれらの支持体との間には空隙がない。そのような空隙が存在しないということは、電極間に電界が発生した場合に、スクリーン7とそのスクリーン7を支持する導電性ストリップ11との間にプラズマが生成しないことを意味する。このことは、経年劣化に耐える能力がある点で有利である。
【0025】
電極4および5は、通路8の高さを介して電極間に交流電界を生成するために設けられる。これを実現するために、2つの電極4および5の一方の導電性ストリップ11を、他方の電極の導電性ストリップ11に対して幾通りかのやり方で配置してもよい。図1の例では、下部電極4の導電性ストリップ11が、上部電極5の導電性ストリップ11にそれぞれ対面している。
【0026】
誘電体スクリーン7は、2つの電極4および5間の電気アーク放電を防止するように、電極4および5を互いに電気的に絶縁する。これを実施するために、それら誘電体スクリーン7が、通路8の両側の電極4および5間に配置される。スクリーン7を作製するために使用する誘電材料は、特にガラスであってよい。
【0027】
特に選択した用途により比較的低い電界レベルの使用が可能となる場合には、2つの電極4および5の一方のみをスクリーン7で覆うことも可能である。しかしながら、各電極4、5には、好ましくは絶縁スクリーン7が備わっている。
【0028】
図1においては、繊維ウェブの上面に前もって振りかけられた粉末3が、繊維ウェブに含浸される。振りかけは一般に、含浸しようとするウェブの表面全体にわたって行われる。しかしながら、ある場合には、例えばステンシルを用いることによって、局所的に振りかけることも可能である。また、粉末3の少なくとも一部は、繊維ウェブ2の上に堆積させる必要はなく、例えば、適宜改造した後の下部コンベヤ9上に堆積させることによって、繊維ウェブ2が電極4および5間を通過する前に繊維ウェブ2の下側に粉末を供給することもできる。
【0029】
粉末3は、ポリマー粒子で構成することができ、このポリマー粒子は、溶融後、冷却することで、ウェブ2の繊維によって強化される複合材料の母材を形成するものであったり、または、カーペットなどの織物カバー(textile covering)の繊維を結合することにより、例えば、その厚さの一部にわたってウェブ2を備え、そのウェブの繊維が結合し密に絡み合うことで結合領域となり、織物カバーの一体性を確保するものであってよい。粉末3は、ウェブ2内で一度溶融するように設計されたポリマー粒子以外の粉状(pulverant)材料でもよい。例えば、粉末3は、ベントナイト粘土または活性成分であってもよい。ウェブ2の繊維は、マットの形であっても、またはニードルパンチングによって、もしくは他の任意のやり方で結び付けてもよい。また、粉末3を含浸させる材料は、多孔質でかつ粉末が含浸可能であれば、繊維状である必要はない。
【0030】
コンベヤ9は、通路8内で電極4および5間に繊維ウェブ2および粉末3を共にもたらし、それら繊維ウェブ2および粉末3を実質的に連続して搬送する。通路8の高さを介して電極4および5によって生成される交流電界により、粉末3が繊維ウェブ2に浸透する。交流電場であるため、電極4および5間に生成される電界は、特にウェブ2および/または粉末3の際立った特徴を考慮して、その最大値が用途に応じて選択される。0.10〜20kV/mmの最大電界値が、多くの用途で適切であることがわかった。また、電極4および5の電源電圧は、様々な波形を有することができる。例えば、発生器6は、正弦波電圧、矩形波電圧または、のこぎり波状電圧を生成することができる。
【0031】
電極4おび5間に生成される電界の周波数は、用途によって選択される。50〜60Hz周波数が、多くの用途において適切であることが分かった。
【0032】
繊維ウェブ2および粉末3が十分な時間にわたり交流電界にさらされた後、満足な含浸が得られる。この時間は、用途および他のプロセスパラメータによるが、実験をすることで容易に決定することができる。一般的に言えば、この時間は1秒よりも長い。
【0033】
赤外線カメラを使用して、ストリップ11の幅lおよびストリップ11間の間隔eがそれぞれ50mmおよび25mmである場合の電極4および5の最高温度を測定した。装置1を起動した後の冷却なしの場合のこの温度の経時的変化を、図3のグラフに曲線Cで示す。この図3のグラフには、比較例として、電極の冷却なしで赤外線カメラによって測定した電極の最高温度の変化を曲線Cとして示す。この比較例の曲線は、上記の国際公開第99/22920号パンフレットに記載されているような従来技術による電極に相当する連続電極を用い、他の全ては本発明と同様とした。具体的には、曲線Cとしてプロットした最高温度の測定のために使用した連続電極は、ストリップ11の長さとほぼ等しい幅の矩形の形状を有する。
【0034】
曲線Cと曲線Cとの比較が示す通り、不連続電極4および5は、他の全てが等しい場合、連続電極よりも昇温がはるかに少ない。同時に、電極4および5と関連している絶縁スクリーン7には、連続電極に関連している同様の絶縁スクリーンよりも経年劣化に耐えるはるかに優れた能力があることがわかった。特に、図1に示す装置を数時間使用した後も、スクリーン7による絶縁破壊は観測されなかった。曲線Cのプロットの測定値を得るために含浸装置を同一の条件下で数時間連続して使用したが、このことは当てはまらなかった。
【0035】
不連続電極4および5の使用には、他の利点があることもわかった。これらの利点の1つは、特に粉末3の電気伝導度が増大した場合、より均一に含浸することである。特に、従来技術による連続電極間では粉末の凝縮(concentrations)が起こる。凝縮は、電極に対して垂直な方向で、かつ繊維ウェブの搬送の動きに沿う方向に延在する。このような粉末の凝縮は、本発明の装置1を用いて含浸を行った場合には起きなかった。
【0036】
電極4および5を用いて含浸を行った場合、より効率的な含浸も観測された。この効率向上は、電極4および5が不連続であるために供給方向Fに平行な方向に急激な電界変化があることによって説明される。電極4および5を用いて実現される含浸効率の向上は、各電極4および5が有する縁部の数によっても説明することができる。電極の縁部で生成する電界がより強く、これは「エッジ効果」と称される。電極4および5を使用すると、繊維ウェブ2および粉末3が通路8に沿って搬送されるにつれて何回もエッジ効果を受ける。
【0037】
本発明は、図1〜図3に示す実施形態に限定されるものではない。特に、下部電極の導電性ストリップ11は、上部電極5の導電性ストリップ11にそれぞれ対面する必要はない。この態様は、例えば、図4に当てはまる。図4は、本発明の一実施形態の第1の変形例であり、対面する一対の電極104および105を備える。これら電極104および105は電極4および5と等しいもので、装置1において電極4および5と置き換えることができる。これら電極は、それぞれ一連の導電性ストリップ111で構成される。電極104の導電性ストリップ111および電極105の導電性ストリップ111は、互い違いに配置されるように、供給方向Fと平行して互いにずれた(offset)関係となっている。言うまでもなく、それら導電性ストリップ111は、少しずれている程度でもよい。さらに、一方の電極の1つの導電性ストリップが、他方の電極の導電性ストリップと部分的に向かい合い、且つ他方の電極の2つの連続するストリップを分離するスロットと部分的に向かい合うようにしてもよい。
【0038】
また、一方の電極の1つの導電性ストリップ11または111は、他方の電極の導電性ストリップ11または111と平行ではない方向に向くことができる。
【0039】
反対側に面する電極の導電性ストリップは、異なる形状を有することもできる。特に、それら導電性ストリップは直線状である必要はなく、この態様は、図5に示す導電性ストリップ211に当てはまる。この導電性ストリップ211は、本発明の一実施形態の第2の変形例であり、含浸装置の対面する2つの電極の一方である。この導電性ストリップ211は、導電性ストリップ11および111と同じ機能を果たすが、波状形状を有するスロット212によって分離されている。各導電性ストリップ211は波形形状を有するが、図5に示す形状以外の形状を取ることもでき、例えば、矩形波形状またはのこぎり歯形状を有することができる。
【0040】
さらに、単一の含浸装置1において導電性ストリップ11、111または211が、全て同じ幅lを有している必要はない。例えば、幅の広い導電性ストリップ11、111または211が、幅の狭い導電性ストリップ11、111または211と交互に配置されてもよい。同様に、対面する2つの電極の一方の電極の導電性ストリップ11、111または211が、この一対の電極の他方の電極の導電性ストリップ11、111または211と同じ幅を有している必要はない。より一般的に言えば、対面する2つの電極の導電性ストリップが同じ形状を有している必要はない。
【0041】
さらに、1つの導電性ストリップ11、111または211が一定の幅lを有している必要もない。例えば、導電性ストリップはその端部の一方に向かってより細くなって、全体として台形状であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の誘電絶縁スクリーン(7)と、互いに対面する第1および第2の電極(4、5;104、105)とを備える、多孔質材料(2)内に粉末(3)を含ませる装置であって、前記第1および第2の電極が、前記粉末(3)と前記多孔質材料(2)のための通路(8)によって分離されているとともに、交流電圧発生器(6)に接続されており前記通路(8)に交流電界を生成するものであり、また、前記第1の誘電スクリーン(7)が、前記通路(8)の幅を介する前記第1および第2の電極(4、5;104、105)を互いに電気的に絶縁している装置において、少なくとも第1の電極(4、5;104、105)が、少なくとも2つの導電性ストリップ(11;111;211)を備え、前記少なくとも2つの導電性ストリップが、それぞれ内側面(14)と長手方向に延びる縁部(13)とを有し、前記内側面(14)が、前記第1の誘電スクリーン(7)によって覆われているとともに、全体として前記第2の電極(4、5;104、105)側を向いており、前記縁部(13)が、前記少なくとも2つのストリップを互いに分離する分離スロット(12;212)に沿って延びており、この分離スロット(12)によって分離されたストリップは互いに電気的に接続されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記通路(8)内を、前記第1の電極(4、5;104、105)の少なくとも2つの導電性ストリップ(11;111;211)が連続して存在する供給方向(F)に、多孔質材料(2)を搬送するための駆動ユニット(9)を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の誘電スクリーン(7)が、前記第1の電極(4、5;104、105)の導電性ストリップ(11;111;211)用の支持体を形成することを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記通路(8)の幅を介する第1および第2の電極(4、5;104、105)を互いに電気的に絶縁する第2の誘電スクリーン(7)を備え、前記第2の電極が、少なくとも2つの導電性ストリップ(11;111;211)を備え、前記少なくとも2つの導電性ストリップが、それぞれ内側面(14)と長手方向に延びる縁部(13)とを有し、前記内側面(14)が、前記第2の誘電スクリーン(7)によって覆われているとともに、全体として前記第1の電極(4、5;104、105)側を向いており、前記縁部(13)が、前記少なくとも2つのストリップを互いに分離する分離スロット(12;212)に沿って延びており、この分離スロット(12)によって分離されたストリップは互いに電気的に接続されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
多孔質材料(2)と粉末(3)を、互いに対面する第1および第2の電極(4、5;104、105)によって生成する交流電界に曝して、多孔質材料(2)内に粉末(3)を含める方法であって、前記第1および第2の電極(4、5;104、105)が、前記第1の電極と前記第2の電極との間で、少なくとも第1の誘電スクリーン(7)により互いに電気的に絶縁されている方法において、少なくとも第1の電極(4、5;104、105)が、少なくとも2つの導電性ストリップ(11;111;211)を備え、前記少なくとも2つの導電性ストリップが、それぞれ内側面(14)と長手方向に延びる縁部(13)とを有し、前記内側面(14)が、前記第1の誘電スクリーン(7)によって覆われているとともに、全体として前記第2の電極(4、5;104、105)側を向いており、前記縁部(13)が、前記少なくとも2つのストリップを互いに分離する分離スロット(12;212)に沿って延びており、この分離スロット(12)によって分離されたストリップは互いに電気的に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置を用いて実施されることを特徴とする請求項5に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526659(P2011−526659A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515549(P2011−515549)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051174
【国際公開番号】WO2010/001043
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(511003040)フィブロリン・フランス (1)
【Fターム(参考)】