説明

多孔質粒子を表面処理する方法

内部細孔表面が疎水性剤を実質的に含まない状態を維持させたままで外部表面を疎水性剤と接触させることによって、それぞれが、外部表面と内部細孔表面を備える多数の細孔と、を有する多孔質粒子を処理する方法。ある例示的実施形態において、多孔質粒子の外部表面を処理することは、多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することと、続いて、反応して疎水性剤を形成する反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に、多孔質粒子を曝露することと、を含む。いくつかの特定の例示的実施形態において、処理された多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部は、任意にフッ素で置換されているアルキル基又はアリール基の少なくとも一方から選択される疎水性基と、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2009年11月23日出願の米国特許仮出願第61/263,573号、及び2009年11月23日出願の同第61/263,580号の利益を主張し、該出願の開示は参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、多孔質粒子の処理方法に関し、より具体的には、多孔質粒子の外部表面の親水性を選択的に変化させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ある種の多孔質粒子は、化学分野において多種多様の用途を有する。例えば、疎水性酸化物材料は、様々な気相分離プロセス及び液相分離プロセスに広く利用されている。特に広く用いられている例はシリカゲルであり、このシリカゲルは、クロマトグラフィー、生物活性化合物及び医薬製剤の吸着及び精製、並びに多成分系の安定化などの多くの用途で有用であることが知られている。しかしながら、天然シリカの表面特性は、必ずしも所望の用途に適しているとは限らない。表面修飾は、例えば、親水性のシラノール基を疎水性基に変換することによって達成することができ、これにより通常、修飾シリカの水に対する親和性が低下する。一般に、シリカゲルの既知の疎水処理は、外部表面及び内部細孔表面の両方を疎水性にするように設計されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、本開示は、複数の多孔質粒子の処理方法を記載する。本方法は、それぞれが、外部表面と、内部細孔表面を有する複数の細孔とを有する複数の多孔質粒子を提供することと、内部細孔表面が疎水性剤を実質的に含まない状態を維持させたままで外部表面を疎水性剤と接触させることによって多孔質粒子の外部表面を処理することと、を含む。いくつかの代表的な実施形態において、多孔質粒子の外部表面を処理することは、プラズマ蒸着によって、多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部の上に、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層を形成することを含む。特定のそのような実施形態において、本方法は、ケイ素と、炭化水素と、炭素とを含む層の少なくとも一部の上に、プラズマ蒸着によって、フッ素と炭素とを含む層を形成することを更に含む。
【0005】
上記態様及び実施形態の更なる代表的な実施形態において、多孔質粒子の外部表面を処理することは、多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することと、反応して疎水性剤を形成する反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に、多孔質粒子を曝露することと、を含む。いくつかの代表的な実施形態において、多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することは、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露する前に実施される。
【0006】
特定のそのような実施形態において、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気の少なくとも一部は、多孔質粒子の複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露する前に、内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ。更なるそのような実施形態において、本方法は、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露した後、凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を細孔から実質的に除去することを更に含み、任意に、細孔から凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を実質的に除去することは、粒子を加熱する、粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される。
【0007】
上述された態様及び実施形態のいくつかの代表的な実施形態において、本方法は、多孔質粒子を水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気、及び第2の蒸気のうちの少なくとも1つに曝露する前に、反応性有機シランと反応性しない揮発性化合物を含む第3の蒸気に多孔質粒子を曝露することを更に含み、揮発性化合物の少なくとも一部は、多孔質粒子の複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ。いくつかのそのような代表的な実施形態において、揮発性化合物は、窒素分子、二酸化炭素、C〜C炭化水素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。特定のそのような代表的な実施形態において、本方法は、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露した後、細孔から凝結した揮発性化合物を実質的に除去することを更に含み、任意に、細孔から前記凝結した揮発性有機化合物を実質的に除去することは、粒子を加熱する、粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される。
【0008】
水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに多孔質粒子を曝露することによって、多孔質粒子の外部表面を処理することを含む特定の上記実施形態において、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気の少なくとも一部は、多孔質粒子の細孔の外側の蒸気相中の反応性有機シラン化合物の少なくとも一部と反応する。
【0009】
水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに多孔質粒子を曝露することによって、多孔質粒子の外部表面を処理することを含むかかる実施形態のいくつかの特定の例において、反応性有機シラン化合物は、少なくとも2つのシラン官能性反応基を含む。かかる実施形態の更なる例において、反応性有機シラン化合物は、ジクロロジメチルシラン及びジクロロジエチルシランから選択される。かかる実施形態の更なる例において、反応性有機シラン化合物は、25℃で133Pa〜26,600Paの蒸気圧を有する。現時点で好ましい特定の実施形態において、多孔質粒子の外部表面を処理することは、1,330〜26,600Paの総蒸気圧で行われる。
【0010】
上記態様及び実施形態のいずれかのその他の例において、複数の細孔は、少なくとも1nm及び4nm以下のメジアン孔径を示し、更に、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露することは、1,330〜19,950Paの総蒸気圧で生じる。現時点で好ましいいくつかの特定の実施形態において、複数の細孔は、少なくとも4nm及び10ナノメートル以下のメジアン孔径を示し、更に、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露することは、6,650〜26,600Paの総蒸気圧で生じる。
【0011】
前述の態様及び実施形態のいずれかにおいて、多孔質粒子は、多孔質無機粒子、多孔質有機粒子、多孔質金属粒子、多孔質(コ)ポリマー粒子、多孔質炭素粒子、多孔質粘土粒子、多孔質分子篩粒子、多孔質ゼオライト粒子、多孔質乾燥剤粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0012】
前述の態様及び実施形態のいずれかにおいて、処理された多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部は、アルキル基又はアリール基の少なくとも一方を含む疎水性基を含み、更に、アルキル基及びアリール基は、それぞれ任意にフッ素で置換されており、これに加えて、内部細孔表面は少なくとも部分的に親水性である。いくつかのそのような実施形態において、疎水性基は、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む。
【0013】
このように、いくつかの代表的な実施形態において、本開示は、外部表面と内部細孔表面とを含む処理された多孔質粒子の製造方法を記載し、処理された多孔質粒子の外部表面の少なくともかなりの部分は疎水性基を含み、内部細孔表面は実質的に未処理である。ある代表的な実施形態において、疎水性基は、アルキル基又はアリール基の少なくとも一方を含み、アルキル及びアリールは、それぞれ任意にフッ素で置換されている。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子は、処理された乾燥剤粒子である。いくつかのそのような実施形態において、処理された多孔質粒子は、処理されたシリカゲル粒子、処理されたモンモリロナイト粘土粒子、処理された分子篩、又は処理された活性炭粒子である。ある代表的な実施形態において、疎水性基は、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む。いくつかの特定の代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子は、X線光電子分光法によって測定した場合に、最大5原子パーセントのケイ素原子を最大50オングストロームの深さまで有する外部表面を有するシリカゲル粒子である。
【0014】
本開示はまた、外部表面と内部細孔表面とを含む処理された多孔質粒子の製造方法を記載し、処理された多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部は、アルキル基又はアリール基の少なくとも一方を含む疎水性基を含み、アルキル基及びアリール基はフッ素で置換されており、内部細孔表面は、少なくとも部分的に親水性である。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子は、処理された乾燥剤粒子である。いくつかのそのような実施形態において、処理された多孔質粒子は、処理されたシリカゲル粒子、処理されたモンモリロナイト粘土粒子、処理された分子篩、又は処理された活性炭粒子である。いくつかの特定の代表的な実施形態において、疎水性基は、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む。いくつかの代表的な実施形態では、処理された多孔質粒子は、X線光電子分光法によって測定した場合に、最大5原子パーセントのケイ素原子を、最大50オングストロームの深さまで有する外部表面を有するシリカゲル粒子である。
【0015】
いくつかの特定の代表的な実施形態において、複数の粒子は、未処理の乾燥剤粒子(例えば、シリカゲル、モンモリロナイト粘土、分子篩、又は活性炭)を更に含む。ある特定の代表的な実施形態において、複数の粒子は、外部表面及び内部細孔表面が共に疎水性基で処理されている粒子を実質的に含まない。その他の特定の代表的な実施形態において、複数の粒子は、超吸水性ポリマー、親水性不織布、又は木材パルプのうちの少なくとも1つを含む吸収性粒子又は繊維を更に含む。
【0016】
別の態様において、本開示は、上記実施形態のいずれか1つによる処理された多孔質粒子の製造方法を提供し、該方法は、多孔質粒子の内部細孔表面を実質的に未処理の状態にしたままで、多孔質粒子の外部表面を疎水性剤で処理することを含む。いくつかの代表的な実施形態では、多孔質粒子の外部表面のみが疎水性剤で処理される。
【0017】
更なる態様において、本開示は、外部表面上の疎水性基と親水性の内部とを有する処理された多孔質粒子、及びそれらの製造方法を記載する。処理された多孔質粒子は、例えば、吸収性物品の環境内の湿度を制御するための乾燥剤として有用であり得る。吸収性物品(例えば、生理用ナプキン及びおむつ)は、典型的には、流体を吸収かつ保持するために、コア領域内に超吸水性ポリマー(SAP)及び/又は木材パルプを含む。本明細書で開示される処理された粒子は、SAP又は木材パルプの存在下で、吸収性物品のユーザーの皮膚に隣接した環境と同様の環境中の湿度を低下させることが分かっている。
【0018】
着用者の皮膚に隣接した環境の相対湿度を低下させるために、乾燥剤(例えば、シリカゲル)を吸収性物品の構成要素に組み込むことは知られているが、こうした乾燥剤が水性液体に曝露されると、それらの有効性は減少される又は一貫性がなくなり、該乾燥剤は、吸収性物品の着用者に対してヌルヌルした又はねばねばした感触をもたらす傾向がある。水蒸気の浸透を可能にし、かつ水性液体を排除することができる材料(例えば、熱誘起相分離で製造された微孔フィルム又は粒子を充填した薄膜)で作製された小袋に乾燥剤を封入することが知られている。こうした小袋を吸収性物品内に設置するには、特殊な処理技術を必要とする可能性があり、したがって望ましくない可能性がある。本明細書で開示される処理された多孔質粒子は、典型的には、水性液体をはじき、また、未処理の乾燥剤粒子よりも一貫して及び確実に、着用者の皮膚近くの相対湿度を低下させることが、本開示において示されている。この多孔質粒子を、小袋又は他の煩わしい物理的分離技術を用いずに、吸収性物品に加えることができる。
【0019】
本開示の代表的な実施形態の様々な態様及び利点を要約してきた。上記の概要は、本発明の代表的な実施形態の説明された各実施形態又は全ての実現形態を説明することを意図したものではない。以下の図及び詳細な説明は、本明細書に開示された原理を使用する特定の好ましい実施形態を更に具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の様々な実施形態についての以下の詳細説明を添付の図面と共に検討することで、本開示はより完全に理解され得る。
【図1】本開示のいくつかの例示的実施形態による、多孔質粒子を表面処理する代表的な方法、及びその結果得られる処理された多孔質粒子の略図。
【図2】本開示のいくつかの例示的実施形態に従って処理された代表的な処理された多孔質粒子の例示的な水蒸気吸着及び脱着等温線のグラフィック表示。
【図3A】本開示のいくつかの例示的実施形態による、処理された多孔質粒子の代表的製造方法において第1及び第2の蒸気相で多孔質粒子を処理するのに使用される代表的な装置の概略側面図。
【図3B】図3A及び図3Cの装置の代表的な粒子撹拌器部分の概略透視図。
【図3C】本開示のいくつかの実施形態による、処理された多孔質粒子の別の代表的製造方法において第1及び第2の蒸気相で多孔質粒子を処理するのに使用される別の代表的な装置の概略側面図。
【図4A】本開示のいくつかの例示的実施形態による、多孔質粒子を表面処理する代表的な方法、及びその結果得られる処理された多孔質粒子の略図。
【図4B】本開示のいくつかの例示的実施形態による、多孔質粒子を表面処理する代表的な方法、及びその結果得られる処理された多孔質粒子の略図。
【図4C】本開示のいくつかの例示的実施形態による、多孔質粒子を表面処理する代表的な方法、及びその結果得られる処理された多孔質粒子の略図。
【図4D】本開示のいくつかの例示的実施形態による、多孔質粒子を表面処理する代表的な方法、及びその結果得られる処理された多孔質粒子の略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
用語解説
本明細書を通じて、
「a」、「an」、及び「the」等の用語は、1つの実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために具体例を用い得る一般分類を含む。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と同じ意味で使用される。
【0022】
2つ以上の項目のリストの前の語句「少なくとも1つの」は、リストの中の項目のいずれか1つ、及びリストの中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0023】
「親水性」は、表面と接触する水性液体(即ち、水を含む液体)によって湿潤性である表面を表す。湿潤性は、表面上の液体の接触角によって測定されることができる。典型的には、表面上の水の接触角が90°未満の場合に、表面は親水性である。
【0024】
「疎水性基」は、表面と接触する水性液体(即ち、水を含む液体)によって表面が湿潤性にならないようにする官能基を表す。典型的には、表面上の水の接触角が90°を超える場合に、表面は疎水性である。
【0025】
「外部表面の少なくとも一部」及び「外部表面の少なくともかなりの部分」は、粒子の外部表面上の疎水性基の一様分布又は非一様分布を包含することができる。いくつかの代表的な実施形態において、疎水性基は、粒子の外部表面上に一様に分布される。いくつかの代表的な実施形態では、粒子の外部表面全体が疎水性基で覆われている。
【0026】
「乾燥剤」は、周囲の外気から湿気を吸収することができる物質を指す。乾燥剤は、本明細書で使用される場合、多孔質構造中への物理吸収によって水又は水蒸気を吸収することができる。
【0027】
用語「吸収性構成要素」は、吸収性物品の収性コアなどの、吸収性物品の主要な吸収性構成要素として一般に使用される構成要素を指す。吸い上げ又は貯蔵機能を提供する、本明細書に記載の二次トップシートなどの吸収性構成要素も包含する。しかしながら、用語「吸収性構成要素」は、吸収性物品のトップシート又はバックシートとしてのみ通常使用される構成要素を除外する。
【0028】
「使い捨て」は、一般に、その意図される機能を実施する能力が使い果たされる前に、限られた使用期間を有するものを意味するものと理解される。衣類に関し、「使い捨て」衣類は、典型的には、洗濯に耐えるように作製されていない。
【0029】
「水性」とは、水を含むことを意味する。用語「水性液」は、体液を包含する。
【0030】
「アルキル基」及び接頭辞「アルキ(alk-)」は、直鎖基及び分枝鎖基の両方並びに環状基を含む。特に指定しない限り、本明細書におけるアルキル基は、最高20個の炭素原子を有する。環状基は、単環式でも多環式でもよく、いくつかの代表的な実施形態において、3〜10個の環炭素原子を有する。「アルキレン」は、「アルキル」の二価形である。
【0031】
用語「フルオロアルキル」は、2個の炭素原子ごとに、水素又は塩素のいずれか一方の1個以下の原子が存在しているという条件で、フッ素原子の代わりに、水素原子又は塩素原子が存在している基に加えて、全てのC−H結合がC−F結合によって置き換えられている、直鎖、分枝状、及び/又は環状アルキル基を含む。フルオロアルキル基のいくつかの代表的な実施形態において、少なくとも1つの水素又は塩素が存在する場合、フルオロアルキル基は、少なくとも1つのトリフルオロメチル基を含む。用語「ペルフルオロアルキル基」は、全てのC−H結合がC−F結合によって置き換えられている、直鎖、分枝状、及び/又は環状アルキル基を含む。
【0032】
「アリールアルキレン」は、アリール基が結合している「アルキレン」部分を指す。
【0033】
用語「アリール」は、本明細書で使用するとき、炭素環式芳香環、又は例えば、1、2若しくは3個の環を有し、かつ環内に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S又はN)を含有する場合のある環構造を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、並びに、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、及びチアゾリルが挙げられる。
【0034】
「アリーレン」は、上記で定義した「アリール」基の二価形である。
【0035】
「アルキルアリーレン」は、アルキル基が結合している「アリーレン」部分を指す。
【0036】
「プラズマ処理」は、高周波電界又は高周波磁界を用いて、多孔質粒子が存在する雰囲気下で特定のガスのフリーラジカルを生じさせるプロセスを指す。フリーラジカルは、多孔質粒子の表面を修飾する。用語「プラズマ処理」は「プラズマ蒸着」を包含することができ、このプラズマ蒸着は、プラズマから形成された被膜を、表面の少なくとも一部の上に蒸着させ、かつ一般に共有結合を介して表面に付着させる。
【0037】
本開示の様々な代表的な実施形態を、特に図面を参照しながら説明する。本開示の実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は以下に記述する代表的な実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0038】
多孔質粒子
本開示のいくつかの実施形態による、多孔質粒子1の処理及び処理された多孔質粒子5の略図が、図1に示されている。例示の実施形態において、多孔質粒子1は、親水性の外部表面と親水性の内部細孔表面とを有する。図の中で多孔質粒子1を表す円の外部表面上及び内部に示されている複数のヒドロキシル(−OH)基に起因して、親水性の外部表面及び内部細孔表面は、この実施形態では親水性である。本開示による方法を用いて多孔質粒子1を疎水性剤で処理すると、処理された多孔質粒子5が形成される。例示の実施形態において、処理された多孔質粒子5は疎水性外部表面を有し、これは、外部表面上の複数の疎水性基(R)によって表わされている。しかしながら、処理された多孔質粒子5は、内部細孔表面上では親水性を維持しており、これは、この場合も同様に、処理された多孔質粒子5を表す円の内部に示されているヒドロキシル基で表わされている。
【0039】
本開示による処理された多孔質粒子5の実施形態のいずれかにおいて、処理された多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部は、疎水性基Rを含む。代表的なR基としては、最大20、18、15、12、10、又は8個の炭素原子(例えば、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、又は1〜3個の範囲内の炭素原子)を有するアルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられる。R基の更なる例としては、それぞれが1つ以上のフルオロ基で置換されていてもよい、アリール基、アリールアルキレニル(arylalklyenyl)基、又はアルキルアリーレニル基が挙げられる。いくつかの代表的な実施形態において、R基は、メチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、又はフルオロメチル基のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの代表的な実施形態において、疎水性基Rは、アルキル基、アリール基、アリールアルキレニル(例えば、ベンジル)基、アルキルアリーレニル基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、処理された多孔質粒子5は、処理されたシリカゲル粒子である。シロキサン上のアルキル基は、最大20、18、15、12、10、又は8個の炭素原子(例えば、1〜20、1〜15、1〜10、1〜5、又は1〜3の範囲内の炭素原子)を有し、任意に、1つ以上のフルオロ基で置換されていてもよい。
【0040】
典型的には、外部表面積の大部分(例えば、50%超、又は少なくとも51、55、60、65、70、75、80、85、90、若しくは95%)は、疎水性基で覆われている。いくつかの代表的な実施形態において、外部表面のかなりの部分(例えば、少なくとも90、95、96、97、98、又は99%、最大100%)は、疎水性基を含んでいる。粒子の外部表面被覆率の分析技術は、当該技術分野において既知であり(例えば、赤外分光法、ラマン分光法、及び核磁気共鳴分光法)、例えば、L.A.Belyakovaら、Colloids and Surfaces A:Physicochemical and Engineering Aspects,154,285〜294(1999)を参照されたい。
【0041】
粒子の外部表面は、電子分光化学分析(ESCA)によって分析され得る。ESCAを用いて、表面上の様々な要素の原子パーセントを報告することができる。結果は、例えば、表面上の特定の疎水性基、及び疎水性基を表面に適用する方法に応じて異なる。いくつかの代表的な実施形態において、疎水性基を含む外部表面のかなりの部分とは、ESCAで測定した場合に表面上に存在しない多孔質粒子を構成する要素を指す。いくつかの代表的な実施形態(例えば、処理された多孔質粒子5が処理されたシリカゲル粒子である実施形態)では、外部表面は、x線光電子分光法測定した場合、最大50オングストロームの深さまでケイ素原子を含んでいない。
【0042】
粒子の外部表面はまた、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)によっても分析することができる。TOF−SIMSを用いて、表面上の化学組成を、通常は5〜20オングストロームの範囲の深さまで検出することができる。結果は、例えば、表面上の特定の疎水性基、及び疎水性基を表面に適用する方法に応じて異なる。通常は、参照イオンの数に対する対象質量の数の比、又は全スペクトル積分の数に対する対象質量の数の比をとることによって、SIMSによる相対定量が可能である。
【0043】
典型的には、処理された多孔質粒子が水面に浮かぶ場合、本明細書で開示される処理された多孔質粒子5の外部表面のかなりの部分は、疎水性基を含む。液体の表面張力が、ガス/液体境界面で粒子にかかる重力を相殺するだけ十分に高い場合、粒子は表面上に浮くといわれている。本開示による処理された多孔質粒子5が水面上に振り撒かれる場合、処理された多孔質粒子5の湿潤性は、粒子が沈むのにかかる時間と相関し得る。
【0044】
いくつかの代表的な実施形態では、処理された多孔質粒子5は、水面上に永久にとどまる。いくつかの代表的な実施形態では、処理された多孔質粒子5、少なくとも8時間、6時間、4時間、2時間、又は30分間、水面上にとどまる。浮遊粒子法(floating particle method)は、粒子の表面湿潤性を評価するための、当該技術分野において既知の技術である(例えば、M.Lazghabら、Powder Technology,157,83(2005)を参照のこと)。本開示による複数の処理された多孔質粒子5の外部表面の疎水性は、処理された多孔質粒子5を水面に振り撒いて単層を形成することによって評価され得る。
【0045】
典型的には、粒子の少なくとも75%(いくつかの代表的な実施形態では、80、85、90%、又は少なくとも95%)は、水面に浮かぶ。いくつかの代表的な実施形態において、評価は、1グラムの処理された多孔質粒子を、20mLバイアル瓶の中の10ミリリットル(mL)の水の表面に置き、粒子が表面に浮くかどうかを観察することによって行われることができる。処理された粒子と水を含むバイアル瓶を振盪すると、粒子は、典型的には塊状になる。経時的に、この塊は、通常ばらばらになり、水中で再び浮き上がる。未処理の親水性粒子を水中で振盪した場合、そのような塊の形成は、通常は観察されない。その代わり、未処理の親水性粒子は、典型的には水中に沈む。
【0046】
全ての疎水処理が、水面に浮かぶ粒子をもたらすとは限らない。例えば、一部の疎水処理は(例えば、プラズマ処理によって表面ヒドロキシル基がフッ素で置換されている場合)、液体水と接触すると加水分解する場合がある。NFプラズマで処理された粒子は、水面に浮かないで、水中に沈むことが観察されている。本開示は、堅牢で、水面に置かれたときに加水分解しない疎水処理を提供する。
【0047】
本開示による処理された多孔質粒子5の疎水性は、例えば、当該技術分野において既知の技術を用いて、個々の粒子又はバルク粒子上の接触角測定を行うことによっても評価され得る。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子5上の水滴の接触角は、少なくとも120度、110度、100度、又は95度(例えば、90〜100度、95〜110度、100〜115度、110〜130度、又は115〜125度の範囲内)である。
【0048】
本開示による処理された多孔質粒子5の実施形態のいずれかにおいて、処理された多孔質粒子5の内部細孔表面は、少なくとも部分的に親水性である。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子5の内部細孔表面は、親水性官能基を有する場合に親水性であると考えられる。親水性官能基は、典型的には、粒子の性質に応じて、ヒドロキシル基、シラノール基、又は他の金属酸化物基を含む。いくつかの代表的な実施形態において、多孔質粒子1が、ヒドロキシル基又はシラノール基を含む内部細孔表面を有する場合、処理された多孔質粒子5は、処理前に多孔質粒子1に存在したヒドロキシル基又はシラノール基の少なくとも50、60、70、75、80、85、又は90%を有する。
【0049】
多孔質粒子の内部細孔表面を評価するための方法は、当該技術分野において既知である。例えば、吸収法(例えば、メタノール、エタノール、水、ベンゼン、又は窒素を用いる)が一般的に使用される。多孔質粒子の表面積の大部分は、内部細孔表面内にあるので、吸収の大規模な変更は、通常、内部細孔表面の湿潤性が変化されたときに生じる。例えば、一般的な吸収法で測定した場合に、処理された多孔質粒子5が、処理前に多孔質粒子1に存在したヒドロキシル基又はシラノール基の少なくとも90、95、96、97、又は98%を有する場合に、内部細孔表面は「実質的に未処理」であるということができる。多孔質粒子を切断し、上述のESCA又はTOF−SIMSを用いてそれらの化学組成を分析してもよい。
【0050】
したがって、いくつかの代表的な実施形態では、これらの技術を用いると、処理された多孔質粒子の内部には、最小限の疎水性基が観察されるか、疎水性基は全く観察されない。これらの実施形態では、内部細孔表面は「実質的に未処理」であると考えられる。いくつかの代表的な実施形態において、本明細書で開示される処理された多孔質粒子の内部細孔表面は、TOF−SIMSからも明らかなように、任意にフッ素で置換されているアルキル基又はアリール基を最小限有するか全く有さない。TOF−SIMSの場合、典型的には、親水性基の数に対する疎水性基の質量の数の比をとることによって、疎水性官能基と親水性官能基の相対定量が可能である。外部表面からの数の比を、内部表面からの数の比と比較することができる。
【0051】
現時点で好ましい特定の代表的な実施形態において、本明細書で開示される処理された多孔質粒子5は、30℃及び50%の相対湿度で24時間後に、粒子の重量の少なくとも20(いくつかの代表的な実施形態では、少なくとも22、25、28、30、又は32)%の水蒸気を吸収する。一般に、この吸収は、液体水の存在しない湿度チャンバの中で行われ、化学てんびんを使用して粒子の重量を測定する。本明細書で開示される多孔質粒子1又は処理された多孔質粒子5が吸収することができる水蒸気の量は、粒子の種類によって異なる。例えば、シリカゲル粒子は、典型的には、それらの重量の約40%の水を吸収すると報告されている。
【0052】
現時点で好ましい他の代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子は、30℃及び80%相対湿度で、疎水性基を含まない複数の比較粒子の水蒸気の取り込みの少なくとも50、55、60、65、70、75、又は80%である水蒸気の取り込みを有する。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子の内部表面は、それらが30℃及び80%相対湿度で、疎水性基を含まない複数の比較粒子の水蒸気の取り込みの少なくとも60、65、70、75、又は80%である水蒸気の取り込みを有する場合に、「実質的に未処理」であると考えられる。疎水性基を含まない複数の比較粒子は、疎水処理されていないことを以外は、複数の処理された粒子と同じである複数の粒子を指す。例えば、複数の比較粒子は、複数の処理された粒子と同じサイズ及び孔径分布を有し、かつ処理された多孔質粒子が処理される前は、該粒子と同じ化学組成を有する。
【0053】
本開示による複数の粒子を処理する方法の更なる代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子が水面に振り撒かれて単層を形成する場合、粒子の少なくとも75%は水面に浮かび、この処理された多孔質粒子は、30℃及び50%の相対湿度で24時間後に、該粒子の重量の少なくとも20%の水蒸気を吸収する。いくつかのそのような実施形態では、1グラムの処理された多孔質粒子が、20mLバイアル瓶の中の10ミリリットル(mL)の水の上に振り撒かれる。いくつかの特定のそのような実施形態では、上記粒子は、30℃及び80%相対湿度で、疎水性基を含まない複数の比較粒子の水蒸気の取り込みの少なくとも60%である水蒸気の取り込みを有する。いくつかのそのような実施形態において、複数の粒子の少なくとも一部が水性液体に曝露される場合、複数の粒子は、疎水性基を含まない複数の比較粒子よりも、相対湿度を相当低下させる。
【0054】
本開示による処理された多孔質粒子5は、処理されたシリカゲル粒子、処理されたモンモリロナイト粘土粒子、処理された分子篩、及び処理された活性炭を含む。処理された多孔質粒子は、0.075ミリメートル(mm)〜10mm(例えば、0.1mm〜10mm、0.5mm〜5mm、又は0.5mm〜1mm)の範囲内の平均粒子サイズを有し得る。細孔が、水分子へのアクセスが可能となるのに十分なだけ大きければ、メジアン孔径は様々であってよい。いくつかの代表的な実施形態において、内部細孔は、1ナノメートル(nm)〜10nm(例えば、2nm〜3nm、2nm〜7nm、4nm〜7nm、8nm〜10nm、又は4nm〜10nm)の範囲内のメジアン孔径を有する。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子はバイモーダル多孔質構造を有し、その場合、細孔は、記載された範囲のいずれかから選択される2つの異なるメジアン径を有する。
【0055】
処理前の多孔質粒子1は、様々な商業的供給源(例えば、AGM Container Controls,Inc.,Tucson,AZ;International Silica Gel Co.,LTD,Shandong,China;及びSIGMA−ALDRICH,St.Louis,MO)から入手可能である。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子は、湿気を吸収した際の色の変化を示すための色変化インジケータ(例えば、塩化コバルト)を含んでもよい。
【0056】
孔径分布及び内部細孔構造によっては、本開示のプロセスを実施する際に多孔質粒子として有用なシリカゲル乾燥剤は、相対湿度の関数としての水蒸気の吸着/脱着で差を示す可能性がある。図2は、本開示のいくつかの例示的実施形態に従って処理された、代表的な疎水性表面処理された多孔質粒子の例示的な水蒸気吸着及び脱着等温線のグラフィック表示を示す。狭い孔径分布を有する蒸気相で処理した疎水性シリカゲル粒子(例えば、タイプA;平均孔径2〜3nm;International Silica Gel(China)より入手可能)は、図2に示されるような水蒸気吸着(太いプロット線;大きいひし形)等温線及び脱着(細いプロット線;小さいひし形)等温線を示す。広い孔径分布を有する蒸気相で処理した疎水性シリカゲル粒子(例えば、タイプB;平均孔径4〜7nm;International Silica Gel(China)より入手可能)は、図2に示されるような測定された水蒸気吸着(太いプロット線;大きい正方形)等温線及び脱着(細いプロット線;小さい正方形)等温線を示す。2つのタイプのシリカゲル乾燥剤の吸着/脱着等温線は、25℃で測定された。
【0057】
水吸着は、タイプAのシリカゲルが狭い孔径分布を有することを示すが、これは吸着がタイプBのシリカゲルと比べて低い蒸気圧で生じるからである。孔径分布が広くなるにつれて、水は高い相対湿度で吸着する。狭孔に吸着された水は、氷のような固体構造を有する一方で、より幅広の細孔には液相として吸着することも知られている。
【0058】
シリカゲル粒子の疎水処理は既知であるが、一般に、この疎水処理は、外部表面及び内部細孔表面の両方を疎水性にすることを目的としている。外部表面及び内部細孔表面の両方を疎水性に処理する方法で得ることができる、部分的に処理された粒子は、外部表面が十分な量の疎水性基で覆われていない場合、又は疎水性基が水と接触すると加水分解する場合には、水に浮かない可能性がある。更に、そのような部分的に処理された粒子は、外部表面及び内部表面の大部分が疎水性にされている場合には、例えば、それらの重量の少なくとも20%の水を吸収することができない。
【0059】
典型的には、シリカゲル粒子の疎水処理で既知の溶媒及び蒸気法は、内部細孔表面が処理されていない箇所で反応を中止するのが困難である。また、単独処理剤としての高周波四フッ化炭素プラズマは、シリカゲルの内部細孔表面及び外部表面を処理する(例えば、K.Furukawaら、Journal of Materials Science Letters,19,1545〜1547(2000)を参照のこと)。
【0060】
これに対して、本開示に従って処理及び/又は調製された多孔質粒子は、親水性の内部細孔表面を含み、これにより、処理された粒子を、例えば乾燥剤として有用にすることができる。外部表面及び内部細孔表面の両方が疎水性である疎水性シリカゲルは、乾燥剤として有用でない。いくつかの代表的な実施形態において、複数の処理された多孔質粒子は、外部表面及び内部細孔表面が共に疎水性基で処理された粒子を、25%未満(いくつかの代表的な実施形態では、20、15、10、5、4、3、2、又は1%未満)含む。この複数の処理された多孔質粒子は、外部表面及び内部細孔表面が共に疎水性基で処理された粒子を実質的に含まないと見なされることができる。
【0061】
処理された多孔質粒子の製造方法
一態様において、本開示は、複数の多孔質粒子の処理方法を記載する。本方法は、それぞれが、外部表面と、内部細孔表面を有する複数の細孔とを有する複数の多孔質粒子を提供することと、内部細孔表面が疎水性剤を実質的に含まない状態を維持させたままで外部表面を疎水性剤と接触させることによって多孔質粒子の外部表面を処理することと、を含む。いくつかの代表的な実施形態において、多孔質粒子の外部表面を処理することは、プラズマ蒸着によって、多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部の上に、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層を形成することを含む。特定のそのような実施形態において、本方法は、ケイ素と、炭化水素と、炭素とを含む層の少なくとも一部の上に、プラズマ蒸着によって、フッ素と炭素とを含む層を形成することを更に含む。
【0062】
本明細書に記載の実施形態のいずれかに従って多孔質粒子5を処理する方法は、多孔質粒子の内部細孔表面を実質的に未処理の状態にしたままで、多孔質粒子1の外部表面を疎水性剤で処理することを含む。「実質的に未処理」は、上述されたのと同じ意味を有する。いくつかの代表的な実施形態では、多孔質粒子1の外部表面のみが、疎水性剤で処理される。好適な処理プロセスを以下に説明する。
【0063】
処理プロセス1
多孔質材料のプラズマ処理方法は、米国特許第6,878,419号(Davidら)に提供されている。更に、粒子のプラズマ処理方法及び装置は、米国特許第6,015,597号(David)号及び同第6,197,120号(David)に提供されている。いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子の製造方法は、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層を、多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部の上にプラズマ蒸着によって形成することを含む。この層の形成は、アルキルシラン、アルコキシシラン、アルキレンポリシラン、アルキルポリシラン、アルケニルシラン、アリールシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される有機ケイ素化合物を含むガスをイオン化することによって行われ得る。
【0064】
代表的なアルキルシランとしては、テトラメチルシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、ジエチルシラン、ジエチルメチルシラン、プロピルシラン、トリメチルシラン、及びエチルシランが挙げられる。代表的なアルコキシシラン及びシロキサンとしては、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)、及びテトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)が挙げられる。代表的なアルキレンポリシランとしては、ジシラノメタン、ビス(メチルシラノ)メタン、1,2−ジシラノエタン、1,2−ビス(メチルシラノ)エタン、2,2−ジシラノプロパン、ジメチルジシラノエタン、ジメチルジシラノプロパン、テトラメチルジシラノエタン、及びテトラメチルジシラノプロパンが挙げられる。代表的なアルケニルシランとしては、ビニルメチルシラン及びジビニルジメチルシランが挙げられる。代表的なアリールシランとしては、フェニルシラン、フェニルジメチルシラン、及びフェニルトリメチルシランが挙げられる。代表的なアルキルポリシランとしては、1,1,2,2−テトラメチルジシラン、ヘキサメチルジシラン、1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルトリシラン、及び1,1,2,3,3−ペンタメチルトリシランが挙げられる。
【0065】
有機ケイ素化合物は、アミノ基、ヒドロキシル基、及び/又はハロ(例えば、フルオロ、ブロモ、クロロ)基などの置換基を有してもよいが、典型的には置換されていない。いくつかの代表的な実施形態において、有機ケイ素化合物は、sp3、sp2、又はsp C−H結合であり得る、少なくとも1つのC−H結合を有する。典型的には、有機ケイ素は、複数のC−H結合、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも9、及び/又は更に少なくとも12、又はそれ以上のC−H結合を有する。典型的には、有用な有機ケイ素化合物は、プラズマが形成されるプラズマ処理条件下で、十分な蒸気圧を有する。
【0066】
処理された多孔質粒子の製造方法のいくつかの代表的な実施形態において、該方法は、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層の少なくとも一部を、フッ素化化合物で(例えば、プラズマ処理又は蒸着によって)処理することを更に含む。フッ素化化合物は、典型的には、水素原子の少なくともいくつかがフッ素原子によって置き換えられている炭化水素である。フッ素化化合物は、直鎖、分枝状、又は環状であってもよく、完全飽和又は部分的に不飽和であってもよい。フッ素化化合物は、典型的には、最大5個の炭素原子(例えば、最大4、3、又は2個)を含む。プラズマ蒸着では、フッ素化化合物は、典型的には、少なくとも2個又は3個の炭素原子を含む。いくつかの代表的な実施形態では、フッ素化化合物はペルフルオロ化されている(即ち、全てのC−H結合が、C−F結合によって置き換えられている)。いくつかの代表的な実施形態において、フッ素化化合物は、ペルフルオロプロパン、四フッ化炭素、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペルフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、及びペルフルオロブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
特定の代表的な実施形態では、プラズマ処理は2工程で行われる。例えば、処理された多孔質粒子の製造方法が、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層を、プラズマ蒸着によって多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部の上に形成することと、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層の少なくとも一部を、プラズマ蒸着によってフッ素化化合物で処理することとを含む場合、第1のプラズマ処理は、典型的には、多孔質粒子1を真空下でガス(例えば、上記のような有機ケイ素化合物)で処理することと、プラズマを点火することとを含む。
【0068】
理論に制限されるものではないが、ガスが、例えば、テトラメチルシラン(TMS)である場合、処理された多孔質粒子の外部表面は、メチル基を含む層で被覆され、これにより疎水性外部表面がもたらされると考えられている。第2のプラズマ処理は、用いられる場合、典型的には、処理された多孔質粒子5を真空下で第2のガス(例えば、上記のようなフッ素化化合物)で処理することと、プラズマを点火することとを含む。
【0069】
理論に制限されるものではないが、この第2の工程は、多孔質粒子の表面上の活性水素(例えば、C−H結合)のいくつかをフッ素で置換して、表面上にCF基、CF基、又はCF基を生成すると考えられている。フッ素性化学物質のプラズマ蒸着を用いる場合(例えば、少なくとも2個又は3個の炭素原子を有するフッ素性化学物質による)、フルオロカーボン種を含む層が表面上に形成されると考えられている。2つの処理工程のそれぞれは、例えば、合計でそれぞれ少なくとも5、10、20、30、45、若しくは60分、又はそれ以上行われてもよい。典型的には、プラズマ処理は、最大約1000、750、500、250、100、又は75mTorr(133、100、67、33、13、又は10Pa)の圧力で行われる。
【0070】
プラズマ処理は、一般に、プラズマに曝露される外部表面積の量を最大限にするために、多孔質粒子1を混ぜることが必要となる。プラズマ処理が実験室規模で行われる場合、この混合は手動で行われ得る。例えば、上記の2工程プロセスでは、各工程は、多孔質粒子を撹拌するために何度も(例えば、2、3、又は4回)中断される可能性がある。次に、ガスが再導入され、プラズマが再点火される。大規模な処理では、混合は、例えば、プロセス中に連続して回転することができる混合パドルを用いて行われてもよい。
【0071】
プラズマを用いた本開示による処理された多孔質粒子の製造方法は、典型的には更に、少なくとも1つの接地電極と、高周波源によって駆動される少なくとも1つの電極とを含む容量結合システムを有する反応チャンバを提供することと、反応種を含むプラズマをチャンバ内で生成して、電極の少なくとも1つの周囲にイオンシースを形成することと、複数の多孔質粒子をイオンシース内に置くことと、を含む。いくつかの代表的な実施形態において、該方法は、複数の多孔質粒子を、それらの外部表面がプラズマ内の反応種に曝露されるやり方で撹拌することを更に含む。
【0072】
上述されたプラズマ処理では、プラズマ(例えば、シランプラズマ又はフッ素プラズマ)は、他のガス状成分が外部表面が疎水性になるのを妨げない限り、他のガス状成分(例えば、窒素又はアンモニア)を含んでもよい。したがって、用語「ガス」は、ガスが使用される実施形態において、単一化合物又は2つ以上の化合物の混合物を指す。
【0073】
プラズマ処理は通常、粒子の外部表面のみを処理するので、独特の構造を有する処理された多孔質粒子をもたらすことができる。典型的には、本明細書で開示される処理された多孔質粒子に関し、孔径は、最大数十ナノメートルの範囲内であり、プラズマ内の反応種の平均自由行路(即ち、種が別の種と衝突する前に移動する平均距離)は、20マイクロメートル以上である。また、プラズマ蒸着法は、表面上に疎水性種の層を形成することができる。上記実施形態のいずれかで記載された方法は、外部表面と内部細孔表面とを含む処理されたシリカゲル粒子を提供することができ、外部表面は、X線光電子分光法で測定した場合に、最大5(例えば、4、3、2.5、2、又は1)原子パーセントのケイ素原子を最大50オングストロームの深さまで有する。
【0074】
これらの実施形態のいくつかでは、外部表面はケイ素原子を含まない。いくつかの代表的な実施形態において、プラズマ処理によって調製された処理された多孔質粒子は、X線光電子分光法で測定した場合に、その外部表面の外側50オングストロームに少なくとも10、20、30、又は40原子パーセントのフッ素を有する。いくつかの代表的な実施形態において、プラズマ処理によって調製された処理された多孔質粒子は、X線光電子分光法で測定した場合に、その外部表面の外側50オングストロームに20、15、10、又は5原子パーセント未満の酸素を有する。これら実施形態のいずれかにおいて、内部細孔表面は、典型的には、少なくとも部分的に親水性である。
【0075】
いくつかの代表的な実施形態において、処理された多孔質粒子の上記実施形態のいずれかによる、処理された多孔質粒子5の製造方法は、多孔質粒子1を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することと、続いて、この多孔質粒子を、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に曝露することを含む。この方法は、以下「第2の方法」と呼ばれる。シリカ表面を反応性有機シラン化合物で処理することは、例えば、半導体及び印刷業界で知られている。
【0076】
半導体産業では、シリコンウエハは、ジクロロジメチルシラン蒸気で処理される。プリンタトナーカートリッジでは、内部細孔表面及び外部表面の両方をジクロロジメチルシランで処理されたシリカゲル粒子は、潤滑剤として使用される。ジクロロジメチルシランとシリカ表面との間の反応は、表面水の存在によって強化されることが、無孔シリカ粒子の評価で分かっている。
【0077】
しかしながら、本明細書で開示される方法のいくつかの代表的な実施形態において、気相反応性有機シラン化合物と多孔質粒子1との間の反応は、粒子の内部細孔表面の水分吸収力に影響を与えることなく、多孔質粒子の外部表面上に疎水性基を優先的に組み込むことが、予想外に判明した。
【0078】
処理プロセス2
プロセス2では、多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することは、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露する前に実施される。プロセス2の特定のそのような実施形態では、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気の少なくとも一部は、多孔質粒子の複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露する前に、内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ。更なるこのような実施形態では、本方法は、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露した後、凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を細孔から実質的に除去することを更に含み、任意に、細孔から凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を実質的に除去することは、粒子を加熱する、粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される。
【0079】
本開示による多孔質粒子を処理するための更なる代表的なプロセス(プロセス2)では、多孔質粒子の外部表面を処理することは、多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することと、反応して疎水性剤を形成する反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に、多孔質粒子を曝露することと、を含む。いくつかの代表的な実施形態では、多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することは、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露する前に実施される。
【0080】
プロセス2の特定のそのような実施形態では、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気の少なくとも一部は、多孔質粒子の複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露する前に、内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ。更なるそのような実施形態では、本方法は、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露した後、凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を細孔から実質的に除去することを更に含み、任意に、細孔から凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を実質的に除去することは、粒子を加熱する、粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される。
【0081】
多孔質粒子5を処理するためのプロセス2の第1の工程では、多孔質粒子1は、最初に、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露される。この曝露は、周囲圧力で(例えば、50〜95%の相対湿度の湿度チャンバ内で)又は減圧下で(例えば、図3A又は図3Bに示されている装置300を使用して)、周囲温度又は高温で(例えば、25℃〜40℃又は25℃〜35℃の範囲内)行われることができる。
【0082】
多孔質粒子5を処理するためのプロセス2の第2の工程では、多孔質粒子1は、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に曝露される。この曝露は、典型的には、減圧下で(例えば、0.5Torr〜150Torr(67Pa〜2×10Pa)の範囲内)行われ、周囲温度又は高温で(例えば、25℃〜40℃又は25℃〜35℃の範囲内)行われてもよい。いくつかの代表的な実施形態では、反応性有機シラン化合物を含む蒸気は、粒子と接触するとき、少なくとも400Pa、650Pa、1000Pa、1300Pa、又は少なくとも10000Paの圧力である。予想外に判明したことは、(例えば、水性液体に曝露された際の)乾燥剤としての粒子の性能は、反応性有機シラン化合物を含む蒸気が、少なくとも1000Pa(例えば、約1300Pa)の圧力である場合に改善されることである。
【0083】
理論に制限されるものではないが、少なくとも1000Paの圧力は、処理が外部表面にとどまるように、粒子の細孔の中への反応有機シラン化合物の拡散を最小限にすると考えられている。好都合なことに、反応性有機シラン化合物の蒸気圧が10Torr(1300Pa)を上回る場合に、10Torr(1300Pa)のプロセス圧力を用いることができ、通常、粒子の細孔内部の水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気は、この圧力で排出されない。
【0084】
上述された第1の工程又は第2の工程のいずれかにおいて、該方法は、複数の多孔質粒子の外部表面が水蒸気、メタノール蒸気、エタノール蒸気、又は第2の蒸気に曝露するやり方で、複数の多孔質粒子を撹拌することを更に含んでもよい。
【0085】
多孔質粒子を処理する第2の代表的な方法(プロセス2)を実施する際、第1及び第2の工程は、有利には、例えば、図3Aに示される装置300を使用して行われ得る。図3Aに示されるように、2つの液体保持アセンブリ360(1つは反応性有機シラン化合物用で、1つは水、メタノール、又はエタノール用)を使用して、真空ポンプ350に接続された真空チャンバ340に蒸気を供給することができる。真空チャンバは、典型的には、最大10−6Torr(10−4Pa)のバックグラウンド圧力まで減圧されることができる中空シリンダである。
【0086】
各液体保持アセンブリは、一端が密封された真空適合性のガラス管362、364と、蒸気源のオン/オフを制御するために取り付けられたバルブ366とを含むことができる。水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気への曝露が、例えば、上述された湿度チャンバ内で行われる場合、管362を含む2つの液体保持アセンブリの一方は、使用される必要はない。真空チャンバ340の内部には、蒸気のための吸気ポート330を有する粒子撹拌器320がある。反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気は、例えば、質量流量制御装置又はニードルバルブを使用して、チャンバ340の中に計量して入れられることができる。消費される反応性有機シランの質量は、従来の技術を用いてモニタすることができる。
【0087】
代表的な粒子撹拌器320が図3Bにより詳細に示されている。粒子撹拌器320は、矩形開口部328を備える中空シリンダである。撹拌器320には、その軸と位置合わせされたシャフト326が取り付けられており、シャフトには4つの矩形ブレード322がボルトで固定され、これにより、撹拌器320の中の粒子のための撹拌機構又はパドルホイールが形成される。ブレード322は、それぞれ、ブレード322と撹拌器のシリンダ320とによって形成される4つの四分円のそれぞれに収容される粒子容量間の移動(communication)を促進するための、2つの穴44を含む。この装置300の使用形態は、以下の実施例に記載される。
【0088】
図4A〜図4Dは、本明細書で開示される処理された多孔質粒子を製造するための第2の方法(プロセス2)の異なる実施形態を概略的に示し、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つへの曝露が、異なる長さの時間行われている。粒子420は、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つへの曝露の前に、従来の乾燥技術を用いて乾燥されてもよい。図4A〜図4Dに例示されている実施形態の粒子401は、異なる長さの時間だけ水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露されたことによりもたらされる、異なる量の吸収表面水と、異なる量の表面ヒドロキシル基とを有する。
【0089】
図4Dは、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つへの最も長い曝露時間を示し、図4A最も短い曝露時間を示し、図4B及び図4Cは、中間的な曝露時間を示している。図4A〜図4Dに例示されている実施形態の粒子440は、表面水及び/又は表面シラノールが粒子401に存在する領域内で反応する反応性有機シラン化合物への曝露の結果もたらされる。図4A〜図4Dに例示されている処理された多孔質粒子405は、残留吸収表面水を除去するために乾燥されている。水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気への粒子401の曝露の長さに応じて、処理された多孔質粒子405は、異なるレベルの被覆率を有し得る。
【0090】
不均一な処理は、水蒸気、メタノール蒸気、エタノール蒸気、及び有機シランへの曝露時間が短いために生じ得る一方で、長い曝露時間は、疎水性基のより均一な被覆、並びに粒子及び乾燥剤のより良好で一貫した性能(例えば、液体水に曝露された場合)をもたらすことができる。いくつかの代表的な実施形態では、水蒸気、メタノール蒸気、エタノール蒸気、及び反応性有機シランへの多孔質粒子の曝露は、少なくとも15分、20分、25分、又は30分、最長で約1時間、2時間、又は3時間行われる。反応性有機シラン化合物への曝露時間はまた、表面上の疎水性基の量にも影響を与え得る。
【0091】
処理プロセス3
プロセス2は、多孔質粒子の内部細孔表面と比べて、多孔質粒子の外部表面の選択的処理を実質的に改善するが、ある用途では(例えば、粒子が水性流液をはじくにもかかわらず、例えば、生理用品の受容体の中の水蒸気を吸着するのが望ましい場合)、内部細孔表面の親水性特性を実質的に維持しながら、外部粒子表面全体を疎水性にするのが望ましい場合がある。これを達成するための1つの方法は、蒸気が多孔質粒子に到達する前に、蒸気相中の有機シランを予備反応又は予備重合させることである。蒸気相中の有機シランを予備重合させて、二量体、三量体、及び高級オリゴマーを形成することにより、得られた二量体、三量体、及び高級オリゴマーは、予備重合された有機シランが多孔質粒子の細孔に浸透するのを排除するのに十分な分子サイズに達する。
【0092】
しかしながら、DDMSの二量体、三量体及び高級オリゴマーは、周囲条件で低い蒸気圧を有し、真空チャンバの内側表面上に凝結する傾向があるので、処理時間を有意に長くする、ないしは別の方法で処理条件(例えば、温度、圧力、有機シラン及び水、メタノール、又はエタノール蒸気圧等)を最適化する必要があり得る。
【0093】
したがって、本開示による多孔質粒子を処理するための更なる代表的なプロセス(プロセス3)では、多孔質粒子の外部表面を処理することは、多孔質粒子の内部細孔表面を実質的に未処理の状態のままで、多孔質粒子の外部表面を疎水性剤で処理することを含む。いくつかの代表的な実施形態では、多孔質粒子の外部表面のみが疎水性剤で処理される。
【0094】
多孔質粒子5の外部表面を処理するためのプロセス3のいくつかの代表的な実施形態では、真空チャンバ及び表面処理される粒子の表面に有機シラン蒸気を供給する代替方法が、有利に採用されてもよい。プロセス3を実施するための1つの代表的な装置300の概略が、図3Cに概略的に示されている。図3Cに示されるように、2つの液体保持アセンブリ360(1つは反応性有機シラン化合物用で、1つは水、メタノール又はエタノール用である)を使用して真空チャンバ340に蒸気を供給することができる。真空チャンバ340は、真空チャンバ340を約10−6Torr(10−4Pa)以下のバックグラウンド圧力まで減圧することができる真空ポンプ350に接続されている。真空チャンバ340の内部には、組み合わされた第1及び第2の蒸気流のための単一吸気ポート382を有する粒子撹拌器320(図3Bに概ね示されたようなものであり得る)がある。
【0095】
図3Cに示すように、一方の液体保持アセンブリは、一端が密封された真空適合性のガラス管364と、反応性有機シラン化合物を含む第1の蒸気源をオン/オフするために取り付けられたバルブ366とを含むことができる。第2の蒸気源は、不活性ガス(例えば、窒素)を、供給源376から、流速測定手段(例えば、質量流量制御装置374及び/又はニードルバルブ372)を通して、液体水、メタノール、又はエタノールを収容しているガスバブラー368に浸漬されたガス分散管370の中に通過させ、それによって、水、メタノール、又はエタノール蒸気と平衡する不活性ガスの気泡378を形成することによって形成され得る。
【0096】
水、メタノール、又はエタノール蒸気を含有する不活性ガスは、環状混合ノズル380に移行し、そこで有機シラン化合物と混合してから、粒子撹拌器320の入口管330(図3B参照)とにつながる出口管382を通ってチャンバ340に移行する。取り付けられたバルブ366を使用して、第1及び第2の蒸気源をオンオフすることができる。消費される反応性有機シランの質量を、従来の物質収支法を用いてモニタすることができる。
【0097】
広い孔径分布を有する多孔質粒子にとって現時点で好ましい、又は内部細孔表面を実質的に未処理のままにした状態で多孔質粒子の外部表面の実質的に全てを処理することが望ましい場合の、多孔質粒子を処理する方法において、プロセスパラメータは、プロセス2で使用されるものと同様である。しかしながら、プロセス3は、有機シランと、水、メタノール、又はエタノール蒸気とを予混合した混合物を、真空チャンバに供給することを目的としている。予混合により、有機シランが粒子のコーティングとして蒸着する前にこれを重合させる。
【0098】
既知の流量の窒素を水/メタノールバブラー368に通過させて、環状混合ノズル380において、水蒸気、メタノール蒸気、若しくはエタノール蒸気、又はメタノール蒸気のうちの少なくとも1つの予め定められた量を生成することによって、有機シランモノマーを迅速に重合させて、高分子量のオリゴマーを形成することが可能である。水、メタノール、又はエタノール蒸気の量を環状混合ノズル380において制御することにより、反応生成物が微粒子に蒸着する前に、所望の二量体、三量体、又は高級オリゴマー形成を達成することができる。
【0099】
上述されたプロセスのいずれかの特定の代表的な実施形態では、多孔質粒子の表面の処理方法は、多孔質粒子を水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気、及び第2の蒸気のうちの少なくとも1つに曝露する前に、反応性有機シランと反応性しない揮発性化合物を含む第3の蒸気に多孔質粒子を曝露することを更に含み、揮発性化合物の少なくとも一部は、多孔質粒子の複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ。
【0100】
いくつかのそのような代表的な実施形態では、揮発性化合物は、窒素分子、二酸化炭素、C〜C炭化水素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。特定のそのような代表的な実施形態では、本方法は、特定のそのような代表的な実施形態において、本方法は、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露した後、細孔から凝結した揮発性化合物を実質的に除去することを更に含み、任意に、細孔から前記凝結した揮発性有機化合物を実質的に除去することは、粒子を加熱する、粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される。
【0101】
水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに多孔質粒子を曝露することによって、多孔質粒子の外部表面を処理することを含む特定の前述の実施形態では、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つの少なくとも一部は、多孔質粒子の細孔の外側の蒸気相中の反応性有機シラン化合物の少なくとも一部と反応する。
【0102】
水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに多孔質粒子を曝露することによって、多孔質粒子の外部表面を処理することを含むかかる実施形態のいくつかの特定の例において、反応性有機シラン化合物は、少なくとも2つのシラン官能性反応基を含む。かかる実施形態の更なる例では、反応性有機シラン化合物は、ジクロロジメチルシラン及びジクロロジエチルシランから選択される。かかる実施形態の更なる例では、反応性有機シラン化合物は、25℃で133Pa〜26,600Paの蒸気圧を有する。現時点で好ましい特定の実施形態では、多孔質粒子の外部表面を処理することは、1,330〜26,600Paの総蒸気圧で行われる。
【0103】
前述のプロセスのいずれかの他の例では、複数の細孔は、少なくとも1nmかつ4nm以下のメジアン孔径を示し、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露することは、1,330〜19,950Paの総蒸気圧で生じる。現時点で好ましい他の実施形態では、複数の細孔は、少なくとも4nmかつ10ナノメートル以下のメジアン孔径を示し、反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に多孔質粒子を曝露することは、6,650〜26,600Paの総蒸気圧で生じる。後者の圧力範囲は、広い孔径分布を有する多孔質粒子を処理するためにプロセス2を用いる場合に、現時点で特に好ましい。
【0104】
上記プロセスのいずれかでは、多孔質粒子は、好ましくは、多孔質無機粒子、多孔質有機粒子、多孔質金属粒子、多孔質(コ)ポリマー粒子、多孔質炭素粒子、多孔質粘土粒子、多孔質分子篩粒子、多孔質ゼオライト粒子、多孔質乾燥剤粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0105】
いくつかのそのような実施形態では、処理された多孔質粒子は、処理されたシリカゲル粒子、処理されたモンモリロナイト粘土粒子、処理された分子篩、又は処理された活性炭粒子である。いくつかの特定の代表的な実施形態では、疎水性基は、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む。いくつかの代表的な実施形態では、処理された多孔質粒子は、X線光電子分光法によって測定した場合に、最大5原子パーセントのケイ素原子を、最大50オングストロームの深さまで有する外部表面を有するシリカゲル粒子である。
【0106】
いくつかの代表的な実施形態では、複数の粒子は、未処理の乾燥剤粒子(例えば、シリカゲル、モンモリロナイト粘土、分子篩、又は活性炭)を更に含む。いくつかの特定の代表的な実施形態では、複数の粒子は、外部表面及び内部細孔表面が共に疎水性基で処理された粒子を実質的に含まない。ある代表的な実施形態では、複数の粒子は、超吸水性ポリマー、親水性不織布、又は木材パルプのうちの少なくとも1つを含む吸収性粒子又は繊維を更に含む。
【0107】
前述の態様及び実施形態のいずれかでは、処理された多孔質粒子の外部表面の少なくとも一部は疎水性基を含み、疎水性基はアルキル基又はアリール基の少なくとも一方を含むのが好ましく、更に、アルキル基又はアリール基は、それぞれ任意にフッ素で置換されており、加えて、内部細孔表面は、少なくとも部分的に親水性である。いくつかのそのような実施形態では、疎水性基は、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む。
【0108】
上記プロセスのいずれかのいくつかの代表的な、現時点で好ましい実施形態では、反応性有機シラン化合物は、式RSiY4−xで表わされ、式中、各Yは、独立して、ハロゲン(即ち、−F、−Cl、−Br、又は−I)、アルコキシ(例えば、1〜6、1〜4、又は1〜2個の炭素原子を有する)、アリールオキシ(例えば、フェノキシ)、又はアシルオキシ(例えば、1〜6、1〜4、又は1〜2個の炭素原子を有する)からなる群から選択され得る加水分解性基であり、各Rは、独立して、それぞれ任意に(例えば、シアノ又はハロゲンで)置換されていてもよい、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキレニル、又はアルキルアリーレニルであり、xは、1、2、又は3である。いくつかの代表的な実施形態では、Yは、ハロゲン又はアルコキシである。典型的には、Yはクロロである。いくつかの代表的な実施形態では、各Rは、アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−オクタデシルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はメチルシクロヘキシル)である。
【0109】
いくつかの代表的な実施形態では、各Rは、独立して、メチル、エチル、又はフェニルである。いくつかの代表的な実施形態では、各Rはメチルである。代表的なアルケニル基としては、ビニル、アリル、及び5−ヘキセン−1−イルが挙げられる。代表的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、アンスリル、及びフェナンスリルが挙げられる。代表的なアルキルアリーレニル基としては、o−トリル、m−トリル、p−トリル、キシリル、及びエチルフェニルが挙げられ、代表的なアリールアルキレニル基としては、ベンジル、並びにα−フェニルエチル及びβ−フェニルエチルが挙げられる。代表的なフルオロアルキル基としては、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル、2,2,2,2’,2’,2’−ヘキサフルオロイソプロピル、8−ヘプタフルオロイソプロピルが挙げられる。式RSiY4−xで表わされる多くの反応性有機シラン化合物は、市販されており(例えば、Huls America,Inc.(Cincinnati,OH)及びSigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)より)、式RSiY4−xで表わされる他の有機シラン化合物は、既知の方法に従って調製することができる。いくつかの代表的な実施形態では、反応性有機シラン化合物は、ジクロロジメチルシラン、トリクロロメチルシラン、クロロトリメチルシラン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0110】
理論に束縛されるものではないが、式RSiY4−xで表わされる反応性有機シラン化合物は、最初に、予め吸着した表面水で加水分解を受けて、シラノールを形成すると考えられている。シラノールは、反応性有機シラン化合物の表面SiOH基及び/又は他の分子と縮合反応して、短いポリシロキサン単位を形成することができる。末端−SiOH基を有するポリシロキサンは、縮合反応によって表面シラノール基と反応することもできる。得られたシロキサン及びポリシロキサン上の式RSiY4−xで表わされる有機シラン化合物からのR基は、処理された多孔質粒子の表面を疎水性にする。
【0111】
本開示による及び/又は本開示を実施するために有用な処理された多孔質粒子は、少なくとも部分的に疎水性である外部表面を有する。典型的には、処理された多孔質粒子は、同等の未処理の多孔質粒子よりもはるかに遅い速度で、又ははるかに少ない程度まで、液体水(及びその他の水性液体)を吸収する。このように、外部表面上の疎水性基は、水性液体をはじくのを助ける。実質的に親水性である内部細孔表面は、水蒸気を吸収する。
【0112】
更なる態様において、本開示は、外部表面上の疎水性基と親水性の内部とを有する処理された多孔質粒子、及びそれらの製造方法を記載する。処理された多孔質粒子は、例えば、吸収性物品の環境内の湿度を制御するための乾燥剤として有用であり得る。吸収性物品(例えば、生理用ナプキン及びおむつ)は、典型的には、流体を吸収かつ保持するために、コア領域内に超吸水性ポリマー(SAP)及び/又は木材パルプを含む。本明細書で開示される処理された粒子は、SAP又は木材パルプの存在下で、吸収性物品のユーザーの皮膚に隣接した環境と同様の環境中の湿度を低下させることが分かっている。
【0113】
着用者の皮膚に隣接した環境の相対湿度を低下させるために、乾燥剤(例えば、シリカゲル)を吸収性物品の構成要素に組み込むことは知られているが、こうした乾燥剤が水性液体に曝露されると、それらの有効性は減少される又は一貫性がなくなり、該乾燥剤は、吸収性物品の着用者に対してヌルヌルした又はねばねばした感触をもたらす傾向がある。水蒸気の浸透を可能にし、かつ水性液体を排除することができる材料(例えば、熱誘起相分離で製造された微孔フィルム又は粒子を充填した薄膜)で作製された小袋に乾燥剤を封入することが知られている。こうした小袋を吸収性物品内に設置するには、特殊な処理技術を必要とする可能性があり、したがって望ましくない可能性がある。本明細書で開示される処理された多孔質粒子は、典型的には、水性液体をはじき、また、未処理の乾燥剤粒子よりも一貫して及び確実に、着用者の皮膚近くの相対湿度を低下させることが、本開示において示されている。この多孔質粒子を、小袋又は他の煩わしい物理的分離技術を用いずに、吸収性物品に加えることができる。
【0114】
以下の非限定的な実施例によって、多孔質粒子の表面処理方法の代表的な実施形態を更に例示するが、これら実施例で引用される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0115】
特に記載のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、パーセント、比などは、重量基準である。実施例で報告される全ての接触角は、度で報告される静的接触角である。更に、以下の実施例では、以下の略語及び材料が使用される。
【0116】
試験方法
粒子浮遊試験法(定性的)
脱イオン水(約10mL)を20mL容のガラスバイアル瓶に加え、処理された粒子の単層を形成するのに十分な量の粒子を、スプーンスパチュラを使用して水面上に注意深く振り撒いた。実施例1〜18、例示的実施例1〜8、及び比較例1では、処理された粒子の量は約1グラムであった。処理された粒子を目視検査し、浮遊する処理された粒子の割合の推定を行った。処理された粒子の少なくとも約75%は水面に浮き、処理された粒子は浮遊試験に合格したと見なされた。
【0117】
直径で0.5mm〜1.0mmの粒径を有する未処理のシリカゲル(ISG(China)より入手)にこの試験に供したとき、粒子は、通常はパチパチという音をたててバイアル瓶の底に沈んだ。直径で0.5mm〜1.0mmの粒径を有する未処理のシリカゲル(部品番号:920014;AGM Container Controls,Inc.(Tucson,AZ)より入手)をこの試験に供したとき、粒子は、通常はパチパチという音をたててバイアル瓶の底に沈んだ。
【0118】
水蒸気取り込み試験方法
水蒸気吸収を、処理された粒子、未処理の粒子、木材パルプ粒子(Pulp)、及び超吸水性ポリマー(SAP)粒子に関して測定した。2グラムの試料をバイアル瓶の中に量り入れた後、ガラスジャーの中に置いて、粒子を30℃並びに50%及び/又は90%相対湿度に曝露した。バイアル瓶をジャーから取り出し、蓋をかぶせ、秤量した。以下の表に示されている時間に重量の変化を測定し、記録した。
【0119】
液体水取り込み試験方法
多孔質フリットフィルターを、サイドアームを備える三角フラスコに取り付けた。サイドアームを家庭用電気掃除機に接続した。フリットを水で濡らし、真空を適用してこれを乾燥させた。粒子(2グラム)をフリットの上に置き、10mLの脱イオン水をフリットガラスの壁に沿って注入した。水を粒子と接触させて3分間放置した。3分後に、サイドアームを通して真空を引き、フラスコに流れ出た水を秤量した。次いで、水取り込み値を計算した。この手順を各種類の粒子に対して3回繰り返した。
【0120】
処理された粒子の表面分析
化学分析のための電子分光法(ESCA)を次の手順を用いて粒子上で実施した。試料の表面の三重分析を、Kratos Analytical(Chestnut Ridge,New York)から商品名「AXIS ULTRA」で入手した、単色Al x線源を使用して光電子を励起するX線光電子分光分析装置を使用して実施した。放出された光電子は、試料表面に対して90°のテークオフ角度で検知された。スペクトルを得て、主要ピーク面積を集積化し適切な感度因子を適用することによって、表面組成を決定した。ESCAは定量的であり、調査される材料及び材料内の放出された原子の内殻電子準位の電子運動エネルギーにより、5〜50Åのサンプリング深さを示す。
【0121】
ティーバッグ試験法
この試験方法を用いて、外部粒子表面上に疎水性シェルを有する多孔質粒子の水吸収能を試験する。メッシュサイズ255(57マイクロメートル(μm)の篩目)のナイロン布でティーバッグを作製する、即ち、幅2インチ(5.08cm)及び長さ6インチ(15.24cm)に切断し、折り畳んで、2インチ(5.08cm)×3インチ(7.62cm)のティーバッグを作製する。ティーバッグの辺は熱融着された。ティーバッグの内のり寸法は1.5インチ(3.81cm)×3インチ(7.62cm)であった。以下の工程を用いてティーバッグ試験法を実施した。
【0122】
1.400mLの脱イオン(DI)水を室温(約23.9℃つまり75°F)でカップに入れる。
【0123】
2.2グラムの多孔質粒子をティーバッグの中に装填する。
【0124】
3.ティーバッグを脱イオン水のカップの中に浸漬し、3分間保持する。
【0125】
4.ティーバッグを取り出し、1分間ドレインする。
【0126】
5.次に、多孔質粒子を有するバッグの湿重量を測定する。
【0127】
6.ティーバッグの中に多孔質粒子を装填せずに試験手順(工程1〜5)を繰り返して、ティーバッグの湿重量を得る。
【0128】
7.次に、同伴水を除去するために「ワイプ」する(即ち、粒子が装填されたティーバッグを、2枚の四重に折り畳まれたペーパータオルの間で圧搾する)ことによって、粒子間の水を除去した後の「ワイプ重量(wiped weight)」を測定する。
【0129】
8.以下の式を用いて水吸収能を計算する。
【0130】
水吸収能(g/g)=(粒子を有する濡れたティーバッグのワイプ重量−粒子を有さない濡れたティーバッグのワイプ重量−乾燥粒子の重量)/乾燥粒子の重量
9.各試料について工程1〜8を3回反復して完了させる。
【0131】
アンモニア臭気試験
試料のいくつかに対してアンモニア臭気試験を行った。まず、1グラムの処理された又は未処理の活性炭を、直径2インチ(5.08cm)のプラスチックカップに入れた。次に、粒子が装填されたカップを、8oz(0.2L)の広口ガラスジャーに入れた。5ミリリットルの0.1重量%の水酸化アンモニウム溶液を、溶液が粒子に触れないのを保証するために、広口ガラスジャーの内壁に伝わらせてピペットで加えた。
【0132】
Drager管を使用してアンモニア臭気試験を行って、水酸化アンモニウム溶液によって生成されたアンモニア蒸気を30分間粒子に吸着させた後のアンモニア蒸気の濃度を測定した。乾燥及び湿潤試料の両方を試験した。湿潤試料は、ティーバッグに入れられた1グラムの乾燥多孔質粒子を使用するティーバッグ試験に供された。粒子装填ティーバッグを0.9重量%食塩水の中に3分間浸漬させた。次に、ティーバッグを食塩水から取り出し、1分間ドレインした。同伴水を除去するために「ワイプ」した(即ち、粒子が装填されたティーバッグを、2枚の四重に折り畳まれたペーパータオルの間で圧搾した)後、ワイプされた試料をアンモニア臭気試験の湿潤試料として使用するために収集した。
【0133】
多孔質粒子の処理プロセス1の実施例
比較例1〜2、実施例1〜20、及び例示的実施例1〜4を準備するにあたって、プロセス1による多孔質粒子処理を用いた。
【0134】
(実施例1〜4)
市販の平行板容量結合反応性イオンエッチャー(PlasmaTherm(St.Petersburg,FL)よりモデル2480として市販)を粒子のプラズマ処理に使用した。プラズマ処理は、試料が電極に近接したイオンシースの中にある間に行われた。このリアクタは、接地チャンバ電極と駆動電極とを含んでいた。チャンバの形状は円筒形であり、内径762mm(30インチ)、高さ150mm(6インチ)であった。直径686mm(27インチ)の円形電極は、チャンバの内部に取り付けられ、マッチング回路及び13.56MHzの周波数で作動する3kWのRF電源に固定された。チャンバは、機械ポンプによって支持されたRootsブロアーによってポンプで真空排気された。特に指定のない限り、チャンバ内の基準圧力は、0.67Pa(5mTorr)であった。プロセスガスは、質量流量制御装置又はニードルバルブのいずれかによって、チャンバ内に計量して入れられた。プラズマ処理の全ては、プラズマリアクタの駆動電極の上のガラスペトリ皿の中に試料を入れて行われた。
【0135】
シリカゲルのプラズマ処理を、2つの別個の工程で行った。第1の工程では、粒子をテトラメチルシラン(TMS)プラズマで処理して、メチル基が結合された有機ケイ素層を、粒子の外側表面に蒸着した。第2の工程を用いて、ペルフルオロプロパンプラズマで表面上にCF、CF、及びCF基を生成させた。
【0136】
シリカゲル粒子(AGM Container Controls,Inc.より入手、部品番号:920014)をガラスペトリ皿の中に約0.125〜0.25インチ(3.18〜6.3mm)の深さまで入れ、PlasmaTherm反応装置の駆動電極の上に設置した。チャンバを圧力10mTorr(1.3Pa)まで減圧し、テトラメチルシランを、150標準立方センチメートル/分(sccm)の流量で導入し、1000ワットの電力でプラズマを生成した。作業は室温で行われ、プロセス圧力は50mTorr(6.7Pa)であった。第1の工程の間にプラズマがオンであった期間は10分間であり、その後ガスを停止し、チャンバを通気し、ペトリ皿の中で粒子を手で混合した。
【0137】
チャンバを10mTorr(1.3Pa)未満まで再びポンプダウンした。続いて、テトラメチルシラン蒸気を150sccm(標準cc[mL]/分)の流量で再導入し、プラズマに点火し、1000ワットの電力で更に10分間持続させた。この後、チャンバを再度通気し、乾燥剤粒子を手で混合し、チャンバをポンプダウンし、テトラメチルシラン蒸気を再導入し、プラズマを最後の10分間持続させた。テトラメチルシラン蒸気によるプラズマ処理の全期間は30分間であった。
【0138】
テトラメチルシラン蒸気による第3のプラズマ処理の終了の後、ペルフルオロプロパン(C)ガスを150sccmの流量でチャンバに導入し、プラズマを再点火し、1000ワットで10分間持続させた。プロセス圧力は50mTorr(6.7Pa)であった。この後、ガスを停止し、チャンバを大気に通気した。Cプラズマを更に2回繰り返し、10分間のCプラズマ処理工程間に、ペトリ皿の中の粒子を手で撹拌した。したがって、Cプラズマ処理の合計時間もまた30分間であった。
【0139】
実施例2〜4はそれぞれ、以下の表1に示される総プラズマ処理時間を用いたことを除き、実施例1の方法に従って調製された。実施例2〜4のそれぞれに関し、プラズマは、この場合もやはり同様に3回点火されたが、プラズマの持続期間は、表に示される総処理時間となるように変更された。実施例1〜4のそれぞれは、試験の前に湿気を吸収するのを防止するために、ガラスジャーの中で保管された。実施例1〜4のそれぞれは、上の試験方法の項に記載された浮遊試験法に合格し、浮遊粒子の割合は、以下の表1に示されている。
【0140】
【表1】

表面疎水性コーティングの組成を決定するためのESCA分析
上述された試験方法に従ってESCAにより実施例1〜4を評価した。プロセス1により得られた多孔質粒子の外部表面上の疎水性表面処理の厚さは、深さ分析により約5nmであることが判明した。結果を以下の表2に示す。
【0141】
【表2】

実施例1〜3、未処理のシリカゲル、SAP(Sumitomo Seika(Osaka,Japan)より商品名「AQUA KEEP SA60S」で入手)、及び生理用ナプキン(Unicharm Corp.より商品名「BODYFIT」で入手)から取り出した木材パルプを、上述の水蒸気取り込み試験法を用いて評価した。結果を以下の表3に示す。
【0142】
【表3】

SAP及びパルプに関して測定された時間は、0、1.03、2.07、3.13、4.17、5.33、6.42、22.6、及び23.63時間であった。
【0143】
(実施例5及び6)
実施例5及び6の両方に関し、シリカゲル粒子(AGM Container Controls,Inc.より入手、部品番号:920014)は、プラズマ処理プロセス中の混合を可能にした以下のプラズマ処理方法を用いて処理された。チャンバはステンレス鋼で構成され、6回転/分(rpm)の速度で連続回転する水平混合パドルを有していた。チャンバは、乾燥機械ポンプ(Edwards、モデルDP40)により支持されたルーツブロアー(Leybold、モデルWSU 150)に、サイクロンセパレータ及び粒子フィルタを介して接続された。8.5インチ(21.6cm)×15インチ(38.1cm)の矩形電極は、シリカゲル粒子床の上方に位置決めされ、40kHzの発生装置(Advanced Energy、モデルPE5000)に接続されてプラズマを生成した。約1立方フィート(5kg)の粒子をチャンバに装填し、200mTorr(26.7Pa)を下回る基準圧力までチャンバをポンプダウンした。
【0144】
粒子の混合がプラズマ処理工程中に連続的に行われたことを除き、プラズマ処理は、実施例1と同様にテトラメチルシランプラズマ及びペルフルオロプロパンプラズマを連続して使用して2段階で実施された。まず、テトラメチルシラン蒸気を、300立方センチメートル/分(sccm)の流量でチャンバに導入し、プラズマに点火し、500ワットの電力で4時間持続させた。この後、テトラメチルシラン蒸気流を停止させ、ペルフルオロプロパン流を300sccmで確立した。プラズマを再度点火し、500ワットの電力でペルフルオロプロパンガスを使用して更に2時間持続させた。テトラメチルシラン及びペルフルオロプロパンの両方に関し、プラズマ処理中の圧力は、500〜1000mTorr(66.7〜133Pa)程度であった。実施例5及び6のそれぞれは上述の浮遊試験法に合格し、浮遊粒子の目視推定量は90%であった。
【0145】
実施例1〜3及び5、未処理のシリカゲル、SAP(Sumitomo Seikaから商品名「AQUA KEEP SA60S」で入手)、及び生理用ナプキン(Unicharm Corp.より商品名「BODYFIT」で入手)から取り出した木材パルプを、上述の液体水取り込み試験法を用いて評価した。結果を以下の表4に示す。
【0146】
【表4】

(実施例7)
テトラメチルシラン蒸気を360sccmの流量でチャンバに導入し、プラズマを点火し、500ワットの電力で60分持続させたことを除いて、実施例5及び6に記載の通りに実施例7を調製した。ペルフルオロプロパンガスは導入されなかった。実施例7は、上の試験方法の項に記載された浮遊試験法に合格し、粒子の90%が浮遊していた。
【0147】
例示的実施例1及び実施例8〜10
シリカゲル粒子(AGM Container Controls,Inc.より入手、部品番号:920014)を、図3A又は図3Cに示される装置300を使用して処理した。粒子撹拌器320は中空シリンダ(長さ6cm×直径5.5cm、水平)であり、頂部に矩形開口部328(4.5cm×3.5cm)を有していた。撹拌器320は、軸を位置合わせしてシャフト326に取り付けられた。シャフトは矩形断面(1cm×1cm)を有しており、このシャフトには、タンブリングされた粒子のためのパドルホイールを形成する4つの矩形ブレード322がボルトで固定されていた。ブレードはそれぞれ、ブレードと撹拌器のシリンダとによって形成される4つの四分円のそれぞれに収容される粒子容量間の移動を促進するための2つの穴324を含んでいた。ブレードの寸法は、側部及び末端部における撹拌器壁部との間隙距離が4mmとなるように選択された。粒子撹拌器は、シリンダの底部にガス吸気ポート330を有していた。粒子撹拌器320は、機械ポンプ350(Welch Vacuum Technology(Niles,IL)より商品名「WELCH 1374 Mechanical Vacuum Pump」で入手)に接続された真空チャンバ340の中に設置された。
【0148】
2つの液体保持アセンブリ360を使用して、液体源(1つはジクロロジメチルシラン(DDMS)用であり、2つ目は脱イオン(DI)水用である)から真空チャンバへと蒸気を供給した。各液体保持アセンブリは、一端が密封された真空適合性のガラス管362、364(MDC Vacuum Products(Hayward,CA)より入手)と、蒸気源のオン/オフを制御するために取り付けられたバルブ366(Swagelok Company(Solon,OH)より入手)とから作られた。
【0149】
155°F(68℃)の温度に設定された炉の中で、シリカゲル粒子を一晩(即ち、12時間を超えて)乾燥させた。炉で乾燥されたシリカゲル粒子100グラムを粒子撹拌器に入れ、ポンプ350を使用してチャンバを500mTorr(66.7Pa)以下までポンプダウンした。チャンバに装着されたコンベクトロン圧力計で圧力を測定した。チャンババルブを閉じて、チャンバを真空ポンプから切り離した。脱イオン水源に接続されたバルブを開けて、チャンバ内部に水蒸気を入れた。チャンバ圧力が4〜5Torr(533〜667Pa)に達した後、バルブを閉じた。
【0150】
粒子撹拌器シャフトを約2rpmで回転させた。シリカゲル粒子を20分間水蒸気に曝露させた。20分間の水蒸気曝露後、粒子を撹拌しながらチャンバを1Torr(133Pa)以下までポンプダウンさせた。次に、DDMSのバルブを開けた。DDMSは、25℃で135Torr(1.8×10Pa)の蒸気圧を有するので、液体源は外部加熱の必要がなかった。30秒間で、チャンバ圧力は3Torr(400Pa)に達し、DDMSのバルブを閉じた。撹拌器シャフトを一定に回転させることにより、シリカゲル粒子をチャンバの中のDDMS蒸気に様々な時間の間、曝露した。所望の処理時間の後、チャンバを減圧し、水蒸気に2分間再度曝露して、残っているDDMS蒸気を除去した。撹拌プロセスを中止した後、チャンバを再び減圧させ、周囲条件まで通気した。
【0151】
例示的実施例1並びに実施例8、9、及び10では、DDMS蒸気への曝露時間は、それぞれ5、10、15、及び20分間であった。例示的実施例1及び実施例8〜10のそれぞれを、155°F(68℃)の炉の中で一晩乾燥させ、評価の前に湿気を吸収するのを防止するために、ガラスジャーの中で保管した。
【0152】
上述の浮遊試験法を用いて、例示的実施例1及び実施例8〜10を評価した。例示的実施例1では、処理された粒子の40〜50%が浮遊した。実施例8及び9では、処理された粒子の70〜80%が浮遊し、実施例10では、処理された粒子の90%が浮遊した。
【0153】
上述の試験方法に従ってESCAを用いて、例示的実施例1及び実施例8〜10を評価した。結果を以下の表5に示す。
【0154】
【表5】

例示的実施例2及び3、並びに実施例11及び12
以下の変更を加えて、例示的実施例1及び実施例8〜10の一般法を用いて、例示的実施例2及び3、並びに実施例11及び12を調製した。炉で乾燥されたシリカゲル(40グラム)の単層をアルミトレイに入れ、5分間のDDMS蒸気処理の前に、これを以下の表6に示されている様々な時間だけ30℃及び80%相対湿度の湿度チャンバの中に入れた。粒子撹拌及び処理の間、水蒸気は使用しなかった。湿度への曝露時間、及び湿度曝露プロセス前後のシリカゲルの重量を、以下の表6に示す。
【0155】
【表6】

例示的実施例2及び3、並びに実施例11及び12のそれぞれを、155°F(68℃)の炉の中で一晩乾燥させ、評価前に湿気を吸収するのを防止するために、ガラスジャーの中で保管した。上述の浮遊試験法を用いて、例示的実施例2及び3、並びに実施例11及び12を評価した。例示的実施例2では、処理された粒子の30〜40%が浮遊した。例示的実施例3では、処理された粒子の50〜60%が浮遊した。実施例11では、処理された粒子の80%が浮遊し、実施例12では、処理された粒子の90%が浮遊した。
【0156】
上述の水蒸気取り込み試験法を用いて、例示的実施例2及び3、並びに実施例11及び12、及び未処理のシリカゲルを評価したが、評価は、30℃及び80%相対湿度で行うように変更された。結果を以下の表7に示す。
【0157】
【表7】

上述の試験方法を用いて、例示的実施例2及び3、並びに実施例11及び12、未処理のシリカゲル、SAP(Sumitomo Seikaから商品名「AQUA KEEP SA60S」で入手)、及び生理用ナプキン(Unicharm Corp.より商品名「BODYFIT」で入手)から取り出した木材パルプを、水の取り込みに関して評価した。結果を表8に示す。
【0158】
【表8】

例示的実施例4及び実施例13〜15
以下の変更を加えて、例示的実施例1及び実施例8〜10の一般法を用いて、例示的実施例4及び実施例13〜15を調製した。炉で乾燥されたシリカゲル(50グラム)の単層をアルミトレイに入れた後、15分間のDDMS蒸気処理の前に、これを30℃及び80%相対湿度に以下の表9に示されている様々な時間だけ曝露した。粒子撹拌及び処理の間、水蒸気は使用しなかった。湿度への曝露時間、及び湿度曝露プロセス前後のシリカの重量を、以下の表9に示す。
【0159】
【表9】

例示的実施例4及び実施例13〜15のそれぞれを、155°F(68℃)の炉の中で一晩乾燥させ、評価前に湿気を吸収するのを防止するために、ガラスジャーの中で保管した。
【0160】
上述の浮遊試験法を用いて、例示的実施例4及び実施例13〜15を評価した。例示的実施例4では、処理された粒子の30〜40%が浮遊した。実施例13及び15では、処理された粒子の95%が浮遊し、実施例14では、処理された粒子の90%が浮遊した。
【0161】
上述の水蒸気の取り込み試験法を用いて、例示的実施例4及び実施例13〜15並びに未処理のシリカゲルを評価したが、評価は、30℃及び80%相対湿度で行うように変更された。結果を表10に示す。
【0162】
【表10】

上述の液体水取り込み試験法を用いて、例示的実施例4及び実施例13〜15、未処理のシリカゲル、SAP(Sumitomo Seikaから商品名「AQUA KEEP SA60S」で入手)、及び生理用ナプキン(Unicharm Corp.より商品名「BODYFIT」で入手)から取り出した木材パルプを評価した。液体水取り込み試験法の結果を以下の表11に示す。
【0163】
【表11】

(実施例16)
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って実施例16を調製した。入荷したままの状態のシリカゲル粒子を、90°F(32℃)及び90%相対湿度に1時間曝露した。重量は4.9%増加した。加湿粒子(100グラム)を粒子撹拌器の中に装填し、真空チャンバを周囲の760Torr(1.0×10Pa)から10Torr(1.3×PaPa)へとポンプダウンした。チャンバが10Torr(1.3×10Pa)に達した後、粗引きバルブを閉じてチャンバを真空ポンプから切り離した。粒子タンブリングプロセスを開始し、DDMS蒸気バルブを撹拌器に向けて開けた。5分後にDDMSのバルブを閉じた。チャンバを2分間減圧して、粗引きバルブを開くことによりHCl蒸気及びあらゆる未処理のシラン蒸気を除去した。最後に、チャンバを空気で通気し、処理済み試料を取り出した。実施例16は上述の浮遊試験法に合格し、処理された粒子の99%が浮遊した。
【0164】
例示的実施例5
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って例示的実施例5を調製した。入荷したままの状態のシリカゲル約100グラムを、真空チャンバ内の粒子撹拌器の中に装填した。スロー粗引きバルブを開けて、チャンバをポンプダウンした。チャンバ圧力が10Torr(1.3×10Pa)に達した時点で、粗引きバルブを閉じてチャンバを切り離した。撹拌器を作動させ、蒸気処理のためにDDMSのバルブを粒子に対して開けた。5分間の処理後に、チャンバを2分間減圧し、周囲条件まで通気した。処理された粒子を取り出した。上述の浮遊試験法に従って評価したときに、例示的実施例5の処理された粒子はどれも浮遊しなかった。
【0165】
例示的実施例6
チャンバを100Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンし、DDMS処理を100Torr(1.3×10Pa)で5分間行ったこと以外は、例示的実施例5の方法に従って例示的実施例6を調製した。例示的実施例6の処理された粒子の3%が、上述の浮遊試験法に従って評価したときに浮遊した。
【0166】
例示的実施例7
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って例示的実施例7を調製した。入荷したままの状態のシリカゲル100グラムを粒子撹拌器の中に装填し、真空チャンバに入れた。チャンバを120mTorr(16Pa)までポンプダウンした。この時点で、チャンバは真空ポンプ装置から分離させた。液体水源から水蒸気を通した。粒子撹拌器のスイッチを入れて粒子床をタンブリングした。水蒸気を充填することによって、チャンバ圧力を120mTorr(16Pa)から2.50Torr(333Pa)まで上昇させた。水蒸気に曝露することによって、粒子をこの圧力で10分間タンブリングした。10分後に、チャンバ内部に空気を入れて、圧力を10Torr(1.3×10Pa)まで上昇させた。チャンバが10Torr(1.3×10Pa)に達した時点で、通気バルブを閉じ、DDMS蒸気バルブを5分間開けて粒子を処理した。5分後に、チャンバを2分間ポンプダウンし、周囲条件まで通気した。上述の浮遊試験法に従って評価したときに、例示的実施例7の処理された粒子の50%が浮遊した。
【0167】
例示的実施例8
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って例示的実施例8を調製した。入荷したままの状態のシリカゲル100グラムを粒子撹拌器の中に装填し、真空チャンバに入れた。チャンバを500mTorr(67Pa)までポンプダウンした。粒子撹拌を開始し、水蒸気をチャンバに通した。液体水保持アセンブリを外部のヒータージャケットで加熱して、チャンバへの水蒸気供給を増加させた。水が沸騰すると、チャンバ圧力はたちまち11Torr(1.5×10Pa)まで上昇した。この時点で、処理のためにDDMSのバルブをチャンバに対して開けた。5分後に、チャンバを2分間減圧し、空気で通気した。上述の浮遊試験法に従って評価したときに、例示的実施例7の処理された粒子の35%が浮遊した。
【0168】
(実施例17)
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例8の方法に従って実施例17を調製した。チャンバが25Torr(3.3×10Pa)に達するまで、水蒸気をチャンバに入れた。シリカゲル粒子を水蒸気に15分間曝露した後に、チャンバを10Torr(1.3×10Pa)にポンプダウンし、DDMS処理を10Torr(1.3×10Pa)で5分間行った。処理の後、チャンバを2分間ポンプで排出し、空気で通気した。実施例17は上述の浮遊試験法に合格し、処理された粒子の90%が浮遊した。
【0169】
上述の水蒸気取り込み試験法を用いて、例示的実施例5〜8、実施例17、及び未処理のシリカゲルを評価したが、評価は、30℃及び80%相対湿度で行うように変更された。結果を以下の表12に示す。
【0170】
【表12】

以下の変更を加え、上述の試験方法を用いて、例示的実施例5〜8、実施例16及び17、並びに未処理のシリカゲルを、水の取り込みに関して評価した。フラスコに流れ出た水の重量は測定しなかったが、その代わりに、水への曝露前及び曝露後の粒子の重量を測定した。水への曝露前及び曝露後の粒子の重量の差を以下の表13に示す。
【0171】
【表13】

実施例18及び比較例1
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って実施例18及び比較例1を調製した。入荷したままの状態の粒子を、DDMS蒸気処理前に湿度(30℃及び80%相対湿度)に曝露した。湿度への曝露の間、粒子の一部分の吸湿を、実施例18に関しては13.0重量%、及び比較例1に関しては5.9重量%に達するまで、10〜20分毎にチェックした。
【0172】
湿度に曝露されたシリカゲル約1000グラムを、真空チャンバ内の粒子撹拌器の中に装填した。この粒子撹拌器は、実施例1〜17及び例示的実施例1〜8で使用した粒子撹拌器のより大きなバージョンであり、長さ12インチ(30.5cm)、直径7インチ(17.8cm)のシリンダを有していた。シリンダは、上部に11.25インチ×6.5インチ(28.6cm×16.5cm)の矩形開口部を有していた。各ブレード322は、11.75インチ×3.5インチ(29.8cm×8.9cm)の矩形であり、穴を有していた。チャンバを10Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンした。次に、撹拌器を4回転/分(rpm)で作動させ、DDMSのバルブを粒子に対して開けて5分間の蒸気処理を行った。
【0173】
5分間の蒸気処理の後、DDMSのバルブを閉じ、チャンバの中で粒子をDDMSと更に5分間反応させた。全ての処理の10分後に、チャンバを2分間減圧し、周囲条件まで通気した。処理された粒子を取り出し、180℃で2時間、後乾燥させて、処理された多孔質粒子の細孔内に吸着した未反応水分を除去した。実施例18及び比較例1は両方とも上述の浮遊試験法に合格し、処理された粒子の95%超が浮遊した。
【0174】
実施例18、比較例1、及び未処理のシリカゲルは、上述の水蒸気の取り込み試験法及び液体水取り込み試験法を用いていた。以下の変更を加えて、液体水取り込み試験法を実施、つまり、フラスコに流れ出た水の重量は測定しなかったが、その代わりに、水への曝露前及び曝露後の粒子の重量を測定した。液体水取り込み試験法を行うと、水への曝露前及び曝露後の粒子の重量の差は、未処理のシリカゲルで0.81グラム、実施例18で0.70グラム、及び比較例1で0.61グラムであった。
【0175】
以下の変更を加えて、水蒸気の取り込み試験法を実施、つまり、評価は、30℃及び80%相対湿度で行われた。水蒸気の取り込みの結果を以下の表14に示す。
【0176】
【表14】

実施例18、実施例1と同様の粒子、及び未処理のシリカゲルを、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)によって、ION−TOF GmbH(Munster,Germany)から商品名「TOF.SIMS.5」で入手した器具を使用して分析した。TMSプラズマでの処理時間を60分間とし、ペルフルオロプロパンプラズマでの処理時間を40分間としたことを除いて、実施例1に記載の方法を用いて実施例1と同様の粒子を調製した。高質量分解能の正負イオン分析を、パルス25keVのBi+一次イオンビームを使用して実施したが、ビーム直径は約3マイクロメートル(μm)、分析面積は500×500μmであった。SIMSは単層感度を有し、分析深さは10〜20オングストローム(Å)の範囲であった。
【0177】
各実施例からの粒子又は未処理のシリカゲルを両面接着テープに載せて、粒子の外部表面を分析した。個々の粒子を光学顕微鏡の下に設置し、清潔なかみそりの刃で分裂させて、粒子の断面を準備した。この手順により粒子のランダム開裂がもたらされ、内部を露出するには十分であった。断面を両面接着テープに載せ、分析のために露出した内部が上に向けられた。
【0178】
未処理のシリカゲル粒子の外部表面は、特徴的なSIMSシリカイオン:Si+、SiOH+、SiO−、SiOH−、SiO−、SiOH−、SiH−、並びにその他の少量のイオン種Si−を示した。微量のNa、Fe、Ba、炭化水素、S、及びClも表面に存在していた。非常に微量のフッ素イオン又はシランイオン又はシロキサンイオンが観察された。
【0179】
実施例1と同様の粒子の外部表面は、CF+、CFH+、CF+、C+、C+、C+、C+、F−、F−、FH−、CF−、CFO−、C−、C−などの多数のフルオロカーボンイオン、及びその他の少量のイオン種C+及びC−を示した。表面上のシリカイオン濃度は極めて低かった。
【0180】
実施例18の外部表面は、未処理のシリカゲル粒子で検出されたものと同じ特徴的なシリカイオンを示したが、これに加えて、シラン処理を示すイオンであるCHSi+、(CHSi+、CHSiO−、CHSiO−、及びポリジメチルシロキサンイオン(117+、133+、147+、207+、221+、281+、325+、149−、223−)が存在していた。塩素濃度は、未処理のシリカゲルの外部表面よりも高く、およそ3倍であった。
【0181】
実施例1及び実施例18と同様の粒子の断面は、未処理のシリカゲルの外部表面で検出されたのと同じ特徴的なシリカイオンを示し、フッ素又はシランはほとんど又は全く存在しなかった。未処理のシリカゲル粒子と比べてわずかに上昇した、内部の唯一のイオンは、実施例5におけるm/z 19のF−である。内部には検出可能なフルオロカーボンイオンは存在しなかった。
【0182】
処理された粒子を半定量的方法で比較するため、目的の種を代表する様々なイオンの数と、シリカバックグラウンドを代表するイオンとの比をとった。実施例1と同様の粒子では、比率CF+/29Si+、F−/SiO−、及びF−/SiO−が選択された。正イオンのイオン計数の結果は、F−シグナルが表面から内部に向かうにつれておよそ1000倍減少することを示唆した。実施例18では、比率CHSi+/SiOH+、[CHSiO−+CHSiO−]/[SiOH−+SiO−+SiOH−]、及びCl−/SiO−が選択された。正イオンのイオン計数の結果は、表面から内部に向かうにつれておよそ200倍減少することを示唆した。SIMSの全ての質量において常にいくらかのバックグラウンドシグナルが存在し、このことがダイナミックレンジを制限する。負イオンのイオン計数についても同様の結果が見られた。
【0183】
(実施例19)
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って実施例19を調製した。シリカゲル粒子は、粒径範囲が0.08mm〜0.6mmである不規則な形状の粒子であった(AGM Container Controls,Inc.より入手、部品番号:920010)。粒子は、2.5%の青いインジケータを有する白色であった。DDMS蒸気処理前に、入荷したままの状態の粒子を湿度(30°F(−1.1℃)及び80%相対湿度)に曝露した。湿度への曝露の間、粒子の一部の吸湿を、5.8重量%に達するまで10〜20分毎にチェックした。湿度に曝露された約940グラムのシリカゲルを、真空チャンバ内、実施例18に記載のより大きな粒子撹拌器の中に装填した。チャンバを10Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンした。次に、撹拌器を6rpmで作動させ、蒸気処理のためにDDMSのバルブを粒子に対して開けた。
【0184】
最初の10分間、チャンバ圧力は11Torr(1.5×10Pa)に達し、20.8グラムのDDMSが消費された。次に、DDMSのバルブを閉じ、チャンバを2分間減圧し、周囲条件まで通気した。粒子の試料を取り出し、浮遊試験法用いて評価すると、粒子の20%が浮遊していた。チャンバを再度10Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンした。次に、撹拌器を6rpmで作動させ、蒸気処理のためにDDMSのバルブを粒子に対して10分間開けた。チャンバ圧力は12.5Torr(1.7×10Pa)に達し、19.3グラムのDDMSが消費された。次に、DDMSのバルブを閉じ、チャンバを2分間減圧し、周囲条件まで通気した。
【0185】
粒子の試料を取り出し、浮遊試験法用いて評価すると、粒子の50%が浮遊していた。チャンバを再度10.5Torr(1.4×10Pa)までポンプダウンした。次に、撹拌器を6rpmで作動させ、蒸気処理のためにDDMSのバルブを粒子に対して10分間開けた。チャンバ圧力は15.6Torr(2.0×10Pa)に達し、17.2グラムのDDMSが消費された。次に、DDMSのバルブを閉じ、チャンバを2分間減圧し、周囲条件まで通気した。粒子の試料を取り出し、浮遊試験法用いて評価すると、粒子の95%が浮遊していた。合計30分間の曝露時間の後、及び消費されたDDMSが57.3グラムになったとき、処理を停止した。処理された粒子を取り出し、ふるいにかけ、150℃で8時間、後乾燥させて、粒子内の未反応水分吸着を除去した。
【0186】
(実施例20)
以下の変更を加えたことを除き、例示的実施例1及び実施例8〜10の方法に従って実施例20を調製した。シリカゲル粒子は、0.2mm〜1.0mmの粒径範囲を有する、白色で不規則な形状の粒子であった(International Silica Gel Co.LTD(Shandong,China)より入手)。DDMS蒸気処理前に、入荷したままの状態の粒子を湿度(30°F(−1.1℃)及び80%相対湿度)に曝露した。湿度への曝露の間、粒子の一部分の吸湿を、6.0重量%に達するまで10〜20分毎にチェックした。湿度に曝露されたシリカゲル約1060グラムを、真空チャンバ内の、実施例18に記載の粒子撹拌器の中に装填した。チャンバを10Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンした。次に、撹拌器を12rpmで作動させ、0.7に設定された質量流量制御装置をDDMSのバルブとして使用した。
【0187】
蒸気処理のためにDDMSのバルブを粒子に対して32分間開けた。チャンバ圧力は12.5Torr(1.7×10Pa)に達し、32.6グラムのDDMSが消費された。次に、DDMSのバルブを閉じ、チャンバを2分間減圧し、周囲条件まで通気した。処理された粒子を取り出し、150℃で8時間、後乾燥させて、粒子内の未反応水分吸着を除去した。実施例20は上述の浮遊試験法に合格し、処理された粒子の100%が表面上に浮遊した。
【0188】
比較例2
1リットル/分のNFガスを1〜1.5Torr(130〜200Pa)の圧力で使用して、約2Kgのシリカゲル(AGM Container Controls,Inc.(Tucson,AZ)より入手、部品番号:920014)を処理した。遠隔プラズマ源(MKS Instruments(Wilmington,MA)より入手、モデルAstex−Astron eX)を使用してプラズマを生成した。チャンバ内の基準圧力は、ガスの導入前には0.1Torr(13Pa)未満であった。シリカゲル粒子を30分間処理した。比較例2を上述の浮遊試験法に供したが、水の入ったバイアル瓶の中に振り撒く粒子の量を少なくするという変更を加えた。全ての粒子は水中に沈み、パチパチという音と共に反応した。
【0189】
多孔質粒子処理プロセス2の実施例
以下の実施例21を行うにあたり、多孔質粒子の処理プロセス2を用いた。プロセス2を実施するために使用した装置は、概ね図3Aに示されているものである。粒子撹拌器は、概ね図3Bに示されているものであり、上部に矩形開口部(4.5cm×3.5cm)を有する中空シリンダ(長さ6cm×直径5.5cm×水平長さ)で構成された。撹拌器は、軸を位置合わせしてシャフトに取り付けられた。シャフトは矩形断面(1cm×1cm)を有し、このシャフトには、タンブリングされる支持粒子(support particles)のための撹拌機構又はパドルホイールを形成する4つの矩形ブレードがボルトで固定された。
【0190】
ブレードは、任意に、ブレードと撹拌器のシリンダとによって形成される4つの四分円のそれぞれに収容される粒子容量間の移動を促進するための2つの穴を含んでもよい。ブレードの寸法は、側部及び末端部における撹拌器壁部との間隙距離が4mmとなるように選択された。粒子撹拌器は、シリンダの底部にガス吸気ポートを有していた。粒子撹拌器は、機械ポンプに接続された真空チャンバの中に設置された。
【0191】
市販の電解研磨されたステンレス鋼ガスバブラーを使用して、液体源から真空チャンバまで蒸気を供給した。ガスバブラーは、半導体産業における薄膜の金属有機化学蒸着で日常的に使用されるものと同様の、背の高い円筒形の密封容器であった。バブラーの上部は、注入口と、蒸気空間ポートと、ディップチューブポートとを有していた。
【0192】
ジクロロジメチルシラン(DDMS、Gelest,Inc.(Morrisville,PA)より入手)をガスバブラーの注入口を介して充填し、注入口を金属製のシールプラグで封止した。ディップポートに接続されたバルブも同様に、金属製のシールプラグで封止した。蒸気空間バルブのみを使用して、DDMS蒸気を真空粒子コーティング装置に供給し、反応を行った。蒸気源のオン/オフを制御するために、追加のバルブを取り付けた。
【0193】
シリカゲルに疎水性シェルを形成するための典型的な方法は、既知量の乾燥剤粒子を粒子撹拌器の中に装填することと、回転真空ポンプを使用してチャンバを10〜200Torr(1.3×10〜2.6×10Pa)までポンプダウンすることと、を含む。次に、チャンババルブを閉じて、チャンバを真空ポンプから切り離した。次に、DDMSのバルブを開けて粒子を処理した。DDMS容器の初期重量を記録した。DDMSは、25℃で135Torr(1.755×10Pa)の高蒸気圧を有するので、液体源は外部加熱の必要がなかった。
【0194】
撹拌器シャフトを一定に回転させることにより、粒子をチャンバの中のDDMS蒸気に様々な時間の間、曝露した後、DDMSのバルブを閉じた。DDMS容器の最終重量を記録した。初期重量と最終重量との差は、粒子の処理で消費されたDDMSの量として認められる。撹拌プロセスを中止した後、チャンバを再び減圧させ、周囲条件まで通気した。処理された粒子を150℃で炉乾燥させた。
【0195】
実施例21〜22及び比較実施例3〜4
プロセス2を用いて処理された、DDMS処理された広細孔(タイプB)シリカゲルの比較
2つのタイプBシリカゲル粒子を異なる供給元から入手し、プロセス2を用いて処理した。一方のタイプB1シリカゲル(CAS番号:7631−86−9;Toyota Kako Co.,Ltd.)は、1〜3mmの大きな粒径を有していた(ビーズ形状)。タイプB2シリカゲル(International Silica Gel Co.,Ltd.(China))は、0.5〜1.5mmの小さな粒径を有していた(ビーズ形状)。まず、入荷したままの状態のタイプBシリカゲル粒子を、粒子を湿潤炉に曝露することによって5〜10重量%まで予加湿した。次に、粒子を粒子撹拌器の中に装填し、真空チャンバの中に入れた。真空粒子コーターの説明は上述されている。次いで、真空チャンバを所望の圧力までポンプダウンした。DDMS液をステンレス鋼のバブラーに注入した。
【0196】
バブラーは、3つのポートである浸漬管と、注入口と、蒸気空間とを有していた。バブラーを充填した後、浸漬管及び注入口へのバルブを閉じた。蒸気を供給するために、蒸気空間バルブのみを真空チャンバに接続した。バブラーを周囲温度(即ち、22〜24℃)に維持した。プロセス条件は表15にまとめられている。浮遊試験、液体水の取り込み試験、及びティーバッグ試験の結果を、表16にまとめる。
【0197】
【表15】

【0198】
【表16】

再現は1回のみ。
【0199】
30℃及び90%相対湿度で測定された水蒸気の取り込み試験法の結果を表17に示す(g/gで示される水分曝露後の重量増加として示されている)。
【0200】
【表17】

結果は、100Torr(1.3×10Pa)で処理された粒子に関して、水蒸気吸収は、10Torr(1.3×10Pa)で処理された処理済み粒子よりも高いことを示している。2時間以内に吸収が増加するのが、個人衛生物品には好ましい。水取り込み値は、10Torr(1.3×10Pa)処理と比べ、100Torr(1.3×10Pa)で処理された粒子の方が有意に高かった。これらのデータは、広い細孔径分布を有する多孔質粒子では、100Torr(1.3×10Pa)のプロセス圧力が望ましいが、10Torr(1.3×10Pa)は、狭い細孔径分布を有する多孔質粒子にとって十分であることを示している。
【0201】
表面疎水性コーティングの厚さを判定するためのESCA分析
ESCAは、プロセス2を用いて100Torr(1.3×10Pa)で処理された広い細孔径分布のタイプBシリカゲルに対して実施された(実施例22)。深さ分析の結果は、外部粒子表面上に厚さ45nmの疎水性コーティングを示し、細孔の内部表面は実質的に処理されておらず、親水性のままであった。
【0202】
例示的実施例9
プロセス圧力>200Torr(2.6×10Pa)
200Torr(2.6×10Pa)を超える高い圧力による粒子の処理を試みた。しかしながら、DDMS蒸気の供給速度は著しく低下された。DDMSバブラーを加熱して液体の蒸気圧を増加させるために、外部加熱源が必要であり得る。このROIでは、バブラーは周囲温度に保たれ、200Torr(2.6×10Pa)以上では、短時間で所望の処理がもたらされなかった。
【0203】
実施例23〜25及び比較例5
様々な水分レベルで予加湿され、かつプロセス2を用いて100Torr(1.3×10Pa)で処理されたタイプBシリカゲル多孔質粒子の比較
小粒径のタイプBシリカゲル(0.5〜1.5mmのビーズ形状、International Silica Gel Co.,Ltd.(China))を、実施例21で上述されたプロセス2によって、表18に示されるプロセス条件を用いて処理した。それぞれ46%、1.4%、及び7%の予加湿レベルに多孔質粒子を予曝露した後、実施例23、24及び25を100Torr(1.3×10Pa)のプロセス圧力で処理した。比較例5は、予加湿レベルが2%であるタイプBシリカゲルの未処理の対照試料に相当する。
【0204】
【表18】

30℃及び90%相対湿度で測定された水蒸気の取り込み試験法の結果を表19に示す(g/gで示される水分曝露後の重量増加として示されている)。
【0205】
【表19】

結果は、10%を超えるレベルの予加湿が粒子の疎水性に与える影響がわずかであることを示している。しかしながら、予含水量が2%未満の粒子では、水蒸気貯蔵能力の損失が大きく、細孔内部の親水性部位の消滅を示している。
【0206】
多孔質粒子の処理プロセス3の実施例
実施例26〜27及び比較例6
プロセス2及びプロセス3によりDDMSで処理された入荷したままの状態のシリカゲル(w/<2%含水量)の比較(DDMSのその場オリゴマー(in situ oligomer))
小粒径のタイプBシリカゲル(0.5〜1.5mmのビーズ形状、International Silica Gel Co.,Ltd.(China))を、プロセス2及びプロセス3によって、図3A及び図3Cに概して記載されている装置を使用して、表20に示されるプロセス条件を用いて処理した。環状混合ノズル380で導入された水蒸気の量を用いて、反応生成物が外部粒子表面に蒸着する前に、所望の二量体、三量体又は高級オリゴマーの形成を達成した。
【0207】
環状混合ノズル380は、外(水蒸気を運ぶ)管によって同軸に囲まれた内(DDMS蒸気を運ぶ)管を含んでいた。外管は、0.5インチ(1.27cm)の外径(O.D.)を有し、内管は、0.25インチ(0.636cm)の外径を有していた。環状混合ノズル380を、0.25インチ(0.636cm)のポリエチレン管を介して粒子撹拌器の底部入口330に接続した。外管を、真空チャンバの外側にある水蒸気の供給源に接続した。プロセス条件は表20にまとめられている。
【0208】
【表20】

多孔質粒子を1.4%の予加湿レベルに予曝露した後、プロセス2を用いて実施例26を調製した。多孔質粒子を1.4%の予加湿レベルに予曝露した後、100Torr(1.3×10Pa)のプロセス圧力で、プロセス3を用いて実施例27を調製し、ガスバブラー368を通る窒素流量は2リットル/分であった。比較例6は、予加湿レベルが1.4%であるタイプBシリカゲルの未処理の対照試料に相当する。浮遊試験法、液体水の取り込み試験法、及びティーバッグ試験法の結果は、表21にまとめられている。
【0209】
【表21】

30℃及び90%相対湿度で測定された水蒸気の取り込み試験法の結果を表22に示す(g/gで示される水分曝露後の重量増加として示されている)。
【0210】
【表22】

これらの結果は、含水量が2%未満の入荷したままの状態のシリカゲルに関し、プロセス2を用いた100Torr(13.3kPa)でのDDMS蒸気処理は、プロセス3を用いた100Torr(13.3kPa)でのDDMS蒸気処理に比べて、比較的低品質の疎水性コーティングをもたらすことを示している。DDMSの消費重量%もまた、プロセス2と比べてプロセス3を用いて処理された同じ材料の方が有意に低かった。プロセス3を用いて処理された粒子に関し、処理後の湿気の取り込みは、比較例6の未処理の粒子のものと非常に近い。したがって、粒子に到達する前の水蒸気の制御流とDDMSとのその場反応は、内部細孔表面が疎水性コーティングを実質的に含まない状態のままで疎水性コーティングで粒子の外部表面をコーティングする能力に関して、有意で有益な効果を有する。
【0211】
実施例28〜30及び比較例7
プロセス3を用いた様々な水蒸気流量での多孔質粒子処理にその場での水蒸気の供給が与える影響の比較
小粒径を有するタイプBシリカゲル(0.5〜1.5mmのビーズ形状、International Silica Gel Co.,Ltd.(China))を、プロセス2及びプロセス3によって、図3A及び図3Cに概して記載されている装置を使用して、表20に示されるプロセス条件を用いて処理した。性能もまたプロセス1を用いた処理と比較する。プロセス条件は表23にまとめられている。
【0212】
【表23】

浮遊試験法、液体水の取り込み試験法、及びティーバッグ試験法の結果は、表24にまとめられている。
【0213】
【表24】

30℃及び90%相対湿度で測定された水蒸気の取り込み試験法の結果を表25に示す(g/gで示される水分曝露後の重量増加として示されている)。
【0214】
【表25】

水蒸気の取り込み及びティーバッグ試験法の結果は、7%に予加湿された広細孔多孔質粒子乾燥剤に関して、その場での水蒸気の供給法が水の取り込み量の低減に有意で有益な効果を有し、従って、処理中にその場での水分供給速度を制限することによって、処理された多孔質粒子による水分取り込みの量の制御が容易になることを示している。しかしながら、湿気の取り込みは、その場での供給に対して限界利益しか示さないように思われる。
【0215】
個人衛生物品で用いる乾燥剤としての多孔質粒子の用途では、水の取り込み及び湿気の取り込みの複合利益が望ましい場合が多い。DDMSの高級オリゴマー(例えば、二量体、三量体、及び高級オリゴマー)を形成するためにその場で水蒸気を供給するプロセス3は、水の取り込み及び湿気の取り込みの全体的効果の有意な改善を示す。
【0216】
上述のアンモニア臭評価手順を用いて、実施例28及び実施例28〜30の出発原料として使用される未処理のシリカゲルを評価した。湿潤試料の評価手順を用いた。結果を表26に示す。
【0217】
【表26】

(実施例31)
小粒径のタイプBシリカゲル(0.5〜1.5mmのビーズ形状、International Silica Gel Co.,Ltd.(China))を、プロセス2及びプロセス3を連続して用いて、図3A及び図3Cに一般的に記載されている装置を使用して、表26に示されるプロセス条件を用いて処理した。
【0218】
50.00gの量の入荷したままの状態のタイプBシリカゲルを、200ccの撹拌器の中に装填し、チャンバを100Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンした。プロセス2の表面処理を用いて粒子をDDMSに曝露する前に、エタノール蒸気を多孔質粒子の細孔内に予め吸着させた。プロセス2の圧力は100Torr(1.3×10Pa)であった。撹拌器の底部の蒸気ポートを介してエタノール蒸気をチャンバに入れた。10分後に、試料を撹拌器から取り出し、吸収したエタノール含有量を水分計で測定した。エタノール含有量は8.19%であった。55.19gの量のエタノールを予め吸収したシリカゲルを200ccの撹拌器の中に装填し、チャンバを再度100Torr(1.3×10Pa)までポンプダウンした。上述のプロセス3を用いてDDMS処理を行った。処理後に消費されたDDMSの重量は5.6gであった。処理済み試料を取り外し、150℃で10分間乾燥した。プロセス条件は表27にまとめられている。
【0219】
【表27】

浮遊試験法、液体水の取り込み試験法、及びティーバッグ試験法の結果は、表28にまとめられている。
【0220】
【表28】

30℃及び90%相対湿度で測定された水蒸気の取り込み試験法の結果を表29に示す(g/gで示される水分曝露後の重量増加として示されている)。
【0221】
【表29】

プロセス2を用いて処理された活性炭
実施例32〜33及び比較実施例8〜9
実施例32及び33に関し、2つの異なる活性炭試料を使用した。粒子の実施例32では、活性炭は12×20メッシュ(1.70mm〜0.85mm)の大きな粒径分布を有し、実施例33では、活性炭は30×70メッシュ(0.60mm〜0.212mm)の小さな粒径分布を有していた。これら炭素粒子は共に、Kuraray Chemical Co.LTD(Japan)から入手した。実施例28及び29の手順に従って実施例32及び33を調製し、処理パラメータは以下の表30に示されている。
【0222】
【表30】

ティーバッグ水取り込み評価は1回だけ再現されたことを除いて、上述の液体水取り込み評価及びティーバッグ水取り込み評価を用いて、実施例32及び33、並びに実施例32及び33の出発原料として使用された未処理の活性炭を評価した。その結果を以下の表31にまとめる。
【0223】
【表31】

水蒸気の取り込みが35℃及び85%相対湿度で測定されたことを除いて、上述の水蒸気の取り込み手順を用いて、実施例32及び33、並びに実施例32及び33の出発原料として使用された未処理の活性炭を評価した。重量増加(g/g)を以下の表32に示す。
【0224】
【表32】

上述のアンモニア臭評価手順を用いて、実施例33及び実施例33の出発原料として使用された未処理の活性炭を評価した。乾燥及び湿潤試料の両方を評価する手順を用いた。結果を以下の表33に示す。
【0225】
【表33】

本明細書全体を通し、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「実施形態」を指す参照は、「実施形態」という用語の前に「例示的(代表的)」という用語が含まれているかどうかに関わらず、その実施形態の、特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の代表的な実施形態の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえに、本明細書全体を通して様々な箇所にある「1つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」、又は「ある実施形態では」といった句の出現は、必ずしも本開示の代表的な実施形態の同一の実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の好適な方法で1つ以上の実施形態に組み合わされてもよい。
【0226】
本明細書で特定の代表的実施形態を詳細に説明したが、当然のことながら、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び均等物を容易に想起することができるであろう。したがって、本開示は本明細書で以上に述べた例示の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。特に、本明細書で用いるとき、端点による数値範囲が記載される場合、その範囲内に包含される全ての数を含むことを意図する(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。加えて、本文書中、使用されている全ての数字は、用語「約」によって修飾されていると見なされる。更に、本明細書で参照される全ての刊行物、公開された特許出願、及び発行済み特許は、本発明の裏付けを提供するために必要な場合に、また各刊行物又は特許が具体的にまた個々に参照により組み入れられことを示されるのと同様に、参照によりそれらの全体が組み込まれる。様々な代表的実施形態が上述された。これらの及び他の実施形態は、以下の「特許請求の範囲」内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多孔質粒子の処理方法において、
それぞれが、外部表面と、内部細孔表面を有する複数の細孔とを有する複数の多孔質粒子を提供することと、
前記内部細孔表面が疎水性剤を実質的に含まない状態を維持させたままで前記外部表面を疎水性剤と接触させることによって前記多孔質粒子の前記外部表面を処理することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記多孔質粒子の前記外部表面を処理することが、プラズマ蒸着によって、前記多孔質粒子の前記外部表面の少なくとも一部の上に、ケイ素と、水素と、炭素とを含む層を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ケイ素と、炭化水素と、炭素とを含む前記層の少なくとも一部の上に、プラズマ蒸着によって、フッ素と炭素とを含む層を形成することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔質粒子の前記外部表面を処理することが、
前記多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することと、
反応して前記疎水性剤を形成する反応性有機シラン化合物を含む第2の蒸気に、前記多孔質粒子を曝露することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記多孔質粒子を、水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気のうちの少なくとも1つに曝露することが、前記反応性有機シラン化合物を含む前記第2の蒸気に、前記多孔質粒子を曝露する前に実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気の少なくとも一部が、前記多孔質粒子の前記複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、前記反応性有機シラン化合物を含む前記第2の蒸気に前記多孔質粒子を曝露する前に、前記内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応性有機シラン化合物を含む前記第2の蒸気に前記多孔質粒子を曝露した後、前記凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を前記細孔から実質的に除去することを更に含み、任意に、前記細孔から前記凝結した水蒸気、メタノール蒸気、又はエタノール蒸気を実質的に除去することが、前記粒子を加熱する、前記粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔質粒子を前記水蒸気及び前記第2の蒸気に曝露する前に、前記反応性有機シランと反応性しない揮発性化合物を含む第3の蒸気に前記多孔質粒子を曝露することを更に含み、前記揮発性化合物の少なくとも一部が、前記多孔質粒子の前記複数の細孔の少なくとも一部内に凝結し、それによって、前記内部細孔表面を少なくとも部分的に塞ぐ、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記揮発性化合物が、窒素分子、二酸化炭素、C〜C炭化水素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反応性有機シラン化合物を含む前記第2の蒸気に前記多孔質粒子を曝露した後、前記細孔から前記凝結した揮発性化合物を実質的に除去することを更に含み、任意に、前記細孔から前記凝結した揮発性有機化合物を実質的に除去することが、前記粒子を加熱する、前記粒子を真空に曝露する、又はこれらの組み合わせによって達成される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記水蒸気の少なくとも一部が、前記多孔質粒子の前記細孔の外側の蒸気相中の前記反応性有機シラン化合物の少なくとも一部と反応する、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記反応性有機シラン化合物が、少なくとも2つのシラン官能性反応基を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応性有機シラン化合物が、ジクロロジメチルシラン及びジクロロジエチルシランから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応性有機シラン化合物が、25℃で133Pa〜26,600Paの蒸気圧を有する、請求項4〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記多孔質粒子の前記外部表面を処理することが、1,330〜26,600Paの総蒸気圧で行われる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の細孔が、少なくとも1nmかつ4nm以下のメジアン孔径を示し、更に、前記反応性有機シラン化合物を含む前記第2の蒸気に前記多孔質粒子を曝露することが、1,330〜19,950Paの総蒸気圧で生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の細孔が、少なくとも4nmかつ10ナノメートル以下のメジアン孔径を示し、更に、前記反応性有機シラン化合物を含む前記第2の蒸気に前記多孔質粒子を曝露することが、6,650〜26,600Paの総蒸気圧で生じる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記多孔質粒子が、多孔質無機粒子、多孔質有機粒子、多孔質金属粒子、多孔質(コ)ポリマー粒子、多孔質炭素粒子、多孔質粘土粒子、多孔質分子篩粒子、多孔質ゼオライト粒子、多孔質乾燥剤粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記処理された多孔質粒子の前記外部表面の少なくとも一部が、アルキル基又はアリール基のうちの少なくとも一方を含む疎水性基を含み、更に、前記アルキル基又はアリール基が、それぞれ任意にフッ素で置換されており、これに加えて、前記内部細孔表面が、少なくとも部分的に親水性である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記疎水性基が、アルキル基、アリール基、又はこれらの組み合わせを有するシロキサンを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【公表番号】特表2013−511389(P2013−511389A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540150(P2012−540150)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057799
【国際公開番号】WO2011/063392
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】