説明

多層せん断帯の強化のための方法および装置

非空気圧タイヤにおいて用いられるような多層せん断帯の強化のための方法が開示される。より詳細には、せん断帯の厚さを増加させるかまたはせん断帯の厚さを低下させることなくかつせん断帯の性能特性を維持しつつ、せん断帯の性能特性を向上させる(例えば、曲げ剛性を増加させる)繰り返し方法が提供される。この方法に従って構築されたせん断帯も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空気圧タイヤにおいて用いられるような多層せん断帯の強化と、このようなせん断帯を設計する方法とに関する。より詳細には、本発明は、せん断帯の厚さを増加させることなくせん断帯の性能特性を向上させる(例えば、曲げ剛性を増加させる)ための方法またはせん断帯の性能特性を維持しつつせん断帯の厚さを低減する方法と、このような方法に従って構築されたせん断帯とに関する。
【背景技術】
【0002】
非空気圧タイヤ構造の詳細および恩恵について、米国特許第6,769,465号、米国特許第6,994,134号、米国特許第7,013,939号および米国特許第7,201,194号中に記載がある。特定の非空気圧タイヤ構造において、せん断帯の採用が提案されており、その実施形態について、例えば米国7,201,194号に記載がある。本明細書中、同文献を参考のため援用する。このような非空気圧タイヤを用いた場合、タイヤに付加される負荷を支持するためのガス膨張圧力に依存することなくタイヤ性能が得られるという利点が得られる。
【0003】
環状のせん断帯110を有するタイヤ100の一例を図1に示す。タイヤ100はまた、複数の張力伝達要素(ウェブスポーク150と図示)も含む。これらの要素は、せん断帯110から横方向かつ内側方向に横断して延びる。取り付け帯160が、前記ウェブスポークのラジアル方向内側端部に配置される。取り付け帯160は、タイヤ100をハブ10へとアンカー固定する。トレッド部105は、せん断帯110の外周に形成され得、例えば溝部またはリブがトレッド部105上に形成され得る。
【0004】
図2を参照して、図2は、タイヤ100の子午面における断面図を示す(ただし、トレッド部105は無し)。強化せん断帯110は、せん断層120と、せん断層120のラジアル最内範囲に接着された最内強化層130と、せん断層120のラジアル最外範囲に接着された最外強化層140とを含む。これらの強化層130および140の引張剛性はせん断層120のせん断剛性よりも高くなっており、これにより、せん断帯110は垂直負荷を受けた際にせん断変形する。
【0005】
より詳細には、米国特許第7,201,194号に記載のように、米国特許第7,201,194号に記載のような強化層の弾性係数のせん断層のせん断係数に対する比(E’membrane/G)が比較的低い場合、負荷下のせん断帯110の変形は、均質帯の比に近似し、非均一の接地圧を発生させる。あるいは、この比が十分に高い場合、負荷下のせん断帯110の変形は本質的にせん断層のせん断変形に起因するものであり、強化層130および140の長手方向の伸長または圧縮はほとんど発生しない。図1に示すように、回転Xのタイヤ軸上に付加された負荷Lは、ウェブスポーク150中の張力により環状帯110へと伝達される。環状せん断帯110は、アーチと同様に機能し、タイヤ赤道面において円周圧縮剛性および長手方向の曲げ剛性を提供する。前記円周圧縮剛性および長手方向の曲げ剛性は、負荷支持部材として機能できるくらいに十分に高い。負荷下において、せん断帯110は、せん断帯110のせん断変形を含む機構を通じて、地面との接触領域Cにおいて変形する。せん断によって変形できる能力により、適合した地面接触領域Cが得られる。地面接触領域Cは、空気式タイヤと同様に機能し、同様の有利な結果を可能にする。
【0006】
せん断層120は、例えば、せん断係数が約3MPa〜約20MPaである材料の層によって構成され得る。せん断層120に適した材料を挙げると、include天然ゴムおよび合成ゴム、ポリウレタン、発泡ゴムおよびポリウレタン、セグメント化コポリエステル、およびナイロンのブロック共重合体がある。第1の強化層130および第2の強化層140は、エラストマーコーティング中に埋設された本質的に伸張不可能なコード強化部を含む。エラストマー材料によって構成されたタイヤの場合、強化層130および140は、エラストマー材料の硬化により、せん断層120へと接着される。
【0007】
上述したように、せん断帯(例えば、帯110)により、タイヤ100の動作時における長手方向の曲げ剛性が得られる。特定の用途においては、せん断帯110曲げ剛性を増加させつつ、ラジアル方向Rに沿ったせん断帯110の厚さ全体を維持することが望ましい。例えば、設計者は、タイヤ100の性能特性の変更のために、せん断帯110の曲げ剛性を増加させつつ、非空気圧タイヤ100の直径全体およびせん断梁厚さを維持することを望む場合がある。逆に、他の特定の用途において、タイヤ100の曲げ剛性を維持し(およびよって質量を低減し)つつ、せん断帯110の厚さを低減することが望まれる場合がある。
【0008】
よって、このようなせん断帯の設計方法と、このような方法から構築されたせん断帯とがあれば、特に有用である。より詳細には、非空気圧タイヤの全体的寸法を維持しつつ、基準せん断帯の特定の機械的特性(例えば、曲げ剛性)を向上させることを非空気圧タイヤの設計者が可能にする方法があれば、特に有用である。設計者が特定の機械的特性を維持または向上しつつせん断帯のラジアル厚さを低減することを可能にする方法も、有用である。本発明の上記および他の有利な局面は、以下の記載から明らかとなる。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的および利点について、以下の記載において部分的に説明する。あるいは、本発明の目的および利点は以下の記載から明らかであり得、あるいは本発明の実施から理解され得る。
【0010】
本発明の1つの例示的局面において、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法が提供される。前記方法は、前記せん断帯の厚さHREFおよび前記せん断帯の合計強化層数NREFを用いて、垂直剛性および(Geff*A)REFを決定するステップと、前記せん断帯の厚さの目標値H目標を選択するステップと、前記せん断帯内の前記合計強化層数を1だけ増加させるステップと、前記せん断帯の厚さHTARGETを用いかつ前記増加させるステップによって得られた前記せん断帯の強化層数を用いて、(Geff*A)CALCを計算するステップと、前記計算するステップからの(Geff*A)CALCと、前記決定するステップからの(Geff*A)REFとを比較するステップと、(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF未満である場合、(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF以上になりかつ前記合計強化層数がNTOTALになるまで、前記増加させるステップおよび前記計算するステップを繰り返すステップと、前記比較するステップによって得られた前記せん断帯の前記せん断帯の厚さHTARGETおよび前記強化層数NTOTALを用いて、前記垂直剛性を計算するステップとを含む。前記計算するステップからの前記垂直剛性が前記決定するステップからの前記垂直剛性よりも低い場合、前記方法は、最外強化層と最内強化層との間の前記強化層のうち少なくとも1つを前記せん断帯内の新規位置へと移動させるステップであって、前記新規位置は、前記最外強化層または前記最内強化層のいずれかにより近接する、ステップと、前記計算するステップからの前記垂直剛性が前記決定するステップからの前記垂直剛性以上になるまで、前記計算するステップおよび前記参照するステップを繰り返すステップとを含む。
【0011】
本発明の別の例示的実施形態において、ラジアル方向最内強化層およびラジアル方向最外強化層を有するせん断帯を改変するための方法が提供される。前記方法は、少なくとも1つのさらなる強化層を追加することにより、前記せん断帯を用いた非空気圧タイヤの垂直剛性を増加させるかまたは維持するステップであって、前記少なくとも1つのさらなる強化層は、前記ラジアル方向最外強化層と前記ラジアル方向最内強化層との間において前記ラジアル方向最外強化層および前記ラジアル方向最内強化層から間隔を空けて配置される、ステップと、前記せん断帯のμpp値を低減するステップとを含む。
【0012】
本発明のこの例示的方法の変更例について、以下の詳細な説明においてさらに説明する。本発明は、この例示的方法に従って構築されたせん断帯と、このようなせん断帯を用いた非空気圧タイヤとを含む。
【0013】
例えば、1つの例示的実施形態において、本発明は、せん断層を有するせん断帯と、前記せん断層の片側に沿って配置された内側強化層と、前記せん断層の他方側に沿って配置された外側強化層とを含み、これにより、前記内側強化層と前記外側強化層との間に前記せん断層が配置される。少なくとも2つ以上のさらなる強化層が前記外側強化層と前記内側強化層との間において間隔を空けて配置され、これにより、前記せん断帯は合計N個の強化層を有し、N≧4である。
【0014】
本発明の上記および他の特徴ならびに局面および利点は、以下の記載および特許請求の範囲からより深く理解される。本明細書において用いられる添付の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の実施形態を示し、下記記載と共に、本発明の原理を説明する働きを担う。
【0015】
本発明の網羅的かつ実施可能な程度の開示(その最良の態様を含む)は、当業者に向けられたものであり、本明細書中において記載される。本明細書は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】負荷下の非空気圧タイヤの赤道面の模式図である。
【図2】図1の非空気圧タイヤにおいて用いられるような、負荷を受けているせん断帯の子午面の模式図である。前記非空気圧タイヤのトレッド部は、図2中図示していない。
【図3】本発明のせん断帯の例示的実施形態の子午面の模式図である。前記せん断帯は、5個の強化層を有する(すなわち、前記内側強化層と前記外側強化層との間に3個の強化層が付加されている)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、非空気圧タイヤにおいて用いられるような多層せん断帯の強化と、このようなせん断帯の設計方法とに関するより詳細には、本発明は、せん断帯の性能特性の向上(例えば、曲げ剛性の増加)をせん断帯の厚さを増加させることなく得るための方法に関連する。本発明はまた、せん断帯の性能特性を維持しつつせん断帯の厚さ低減を得ることと、このような方法に従って構築されたせん断帯とに関連する。本発明を説明する目的のために、以下、本発明の実施形態および方法について詳述する。本発明の実施形態および方法の1つ以上の例を図面中に図示する。各例は、本発明の説明のために設けたものであり、本発明を制限するものではない。実際、本発明の範囲または意図から逸脱することなく本発明において多様な改変および変更が可能であることが当業者にとって明らかである。例えば、1つの実施形態の一部として図示または記載されている特徴を別の実施形態において用いて、さらなる実施形態を得ることが可能である。よって、本発明は、このような改変および変更を添付の特許請求の範囲およびその均等物に含まれるものとして網羅することが意図される。
【0018】
本記載において、以下の用語は、以下のように定義される。
【0019】
「赤道面」とは、回転タイヤ軸に対して垂直方向に延びる面を意味し、タイヤ構造を二等分する。
【0020】
「子午面」とは、タイヤ回転軸を貫通する面を意味し、タイヤ回転軸を含む。
【0021】
「垂直剛性」とは、タイヤにおけるたわみと負荷との間の数学的関係である。米国特許第7,201,194号に記載のように、せん断帯を含む非空気圧タイヤが負荷L下に配置された場合、前記タイヤは特定量fだけたわみ、地面との接触部が地面に適合して、地面接触領域Cが形成される。前記せん断帯により弾性タイヤが得られるため、垂直たわみfは負荷Lに比例し、これにより、前記弾性タイヤの垂直剛性を導出が可能になる。当業者にとって、タイヤにおけるたわみと負荷との間の数学的関係を提供または定義するための方法が多数存在する。このような例を2つ挙げると、正割垂直剛性および正接垂直剛性がある。正割垂直剛性および正接垂直剛性について以下に説明する。
【0022】
「正割垂直剛性」は、数学的関係の一例であり、上記において垂直剛性について述べたように、非空気圧タイヤ上に付加される負荷Lをタイヤのたわみfによって除算して得られた商L/fとして垂直剛性を規定する。所与のタイヤについて、複数の負荷Lにおけるたわみを測定することにより、プロットを得ることが可能である。
【0023】
「正接垂直剛性」とは、垂直剛性を規定する数学的関係の別の例であり、目標負荷またはたわみにおいてせん断帯を含む所与の非空気圧タイヤにおいて、負荷Lをたわみfの関数としてプロットすることによって得られる曲線に対して正接する直線の傾きとして垂直剛性を規定する。
【0024】
「接地圧」とは、地面または他の支持面と非空気圧タイヤが接触することによって発生する、接触領域Cにおける平均接地圧を意味し、負荷Lを接触領域Cによって除算することによって得られる商として計算することが可能である。
【0025】
「μpp」とは、非空気圧タイヤにおいて用いられるようなせん断帯の負荷下におけるピークツーピークラジアル変位の測定値である。米国特許第7,013,939号(本明細書中、同文献を参考のため援用する)に記載のように、μppは、圧縮力が当該せん断帯の短縮可能能力を越えた場合にせん断帯が示し得る座屈またはラジアル変位の測定値である(これに起因して、このようなせん断帯を含むタイヤが不均等に回転し得る)。本明細書中において用いられるように、ピークツーピークラジアル変位μppは、スポークによってハブへと接続された複数の強化層を含むせん断帯(例えば、図1および図2に示すようなもの)について、以下のように計算することが可能である。
【0026】
(1)
【数1】

式中、
μppは、ピークツーピークラジアル変位(mm)であり、
vは、せん断帯のポアソン比であり、
membraneは、強化層(N/mm)の弾性係数であり、
mは、強化層の慣性モーメント領域(mm4)であり、
Tは、スポーク張力(N)であり、
0は、せん断帯のノミナル半径(mm)であり、
nは、スポーク数である。
【0027】
membraneは、強化層の弾性の均質化された円周係数であり、N/mm2の単位によって表される。強化層のEmembraneは、ASTM試験方法D3039(「Standard Test Method for Tensile Properties of Polymer Matrix Composite Materials)に基づいて、実験的に決定することが可能である。ゼロ度において(すなわち、赤道面に対して垂直な位置において)コードまたはケーブルによる強化を有する強化層の特定の例について、Emembraneを以下の方程式から計算することが可能である。

(2)
membrane=Ematrix*Vfin+Eケーブル*Vfc

式中、
tは、強化層の厚さ(mm)であり、
matrixは、マトリックスまたは前記強化層の非ケーブル部を構成する材料の係数(N/mm)であり、
finは、マトリックス体積分率であり、
cableは、ケーブル引張係数(N/mm2)であり、
fcは、ケーブル体積分率である。
【0028】
本発明を説明する目的のために、図1および図2の非空気圧タイヤ100を基準として考える。非空気圧タイヤ100は、せん断帯110およびトレッド層105を有する。せん断帯110の厚さHREFは18mmであり、トレッド層105は厚さ3.5mmであり、合計タイヤ厚さは21.5mmであり、合計強化層数NREFは2である。この基準タイヤ100の外径D0は630mmであり、基準タイヤ100のは50本のスポークを有し、前記スポークのノミナル厚さは3.8mmである。また、強化層130および140はそれぞれ、ノミナルEmembraneが2000daN/mm2であり、厚さが1mmである。以下に記載する数値の明確さのため、ニュートン単位の代わりにデカニュートンを用いており、1daNは10Nに等しい点に留意されたい。
【0029】
基準としての非空気圧タイヤ100の性能は、4つの性能特性(すなわち、正接垂直剛性、正割垂直剛性、接地圧、およびμpp)を考慮することにより、評価することが可能である。非空気圧タイヤ10のモデルの有限要素解析を用いて、垂直負荷400daNにおけるこれらの性能特性の値を決定した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
本発明を説明する目的のため、これらの基準値から、せん断帯110の意図される用途において受容可能な性能が得られると仮定する。しかし、この意図される用途において、タイヤ100について、上記に指定した厚さ3.5mmのトレッド部105の代わりにトレッド厚さは6.5mmが望ましいとも仮定する(すなわち、トレッド部105の厚さを3mmだけ増加させることが必要であり、タイヤ100のその他の特徴(例えば、ハブ10、スポーク150、タイヤサイズ、および構造材料)は変更なしでよい。よって、630mmにおいてタイヤ100の外径D0を維持するために、トレッド部105の厚さの所望の増加に対応するよう、目標せん断帯厚さHTARGET値15mmに対してせん断帯110を3mmだけ低減することができる。同様に、タイヤ100のモデルの有限要素解析を用いて、せん断帯110の厚さを3mmだけ低減したタイヤ100の性能特性を決定し、その結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
残念なことに、表2中の結果に示すように、せん断帯の厚さ110の低減に起因して、非空気圧タイヤ100の性能に悪影響が発生し、表1に示す基準タイヤ100についての4つの受容可能な(すなわち、目標)性能特性(すなわち、せん断帯の厚さ110の低減前のタイヤ100の性能特性)は満足できなかった。より詳細には、せん断帯110の厚さ低減に起因して、せん断帯110の剛性の低減と、動作時におけるピークツーピークラジアル変位μppの可能性の増加とという悪影響が発生する。そのため、T表1に示す所望の設計目標を達成するためには、せん断帯110の厚さを低減したい場合、せん断帯110において特定の改変が必要となる。同様に、設計者がせん断帯110垂直剛性を増加させつつせん断帯110の基準厚さHREFを維持することを決定した場合も、改変が必要となる。
【0034】
よって、1つの例示的局面において、本発明は、せん断帯を強化する方法を提供する。しかし、本発明は、既存の強化層130および140の増加または強化層130および140に隣接する強化部の付加によって強化を提供することを提案しない。その代わりに、本明細書中に開示される方法を用いれば、本発明者らは、せん断層120内において既存の強化層130と強化層140との間のラジアル位置において間隔を空けて強化層を付加することにより、所望の垂直剛性特性が達成可能となるだけでなく、せん断帯のラジアル変位における予期しない向上(すなわち、低減)(例えば、μppによって測定されるようなもの)も達成可能であるという予期しない発見をした。
【0035】
加えて、前記付加された強化層が既存の強化層130と強化層140との間に均等に間隔を空けて配置可能であるため可撓性が得られ、あるいは、所望であれば、このようなさらなる層を不均等に間隔を空けて配置することも可能である。本発明を用いれば、特定の性能特性(例えば、当該帯の曲げ剛性)を維持または向上しつつ、HREF(基準せん断帯110の厚さ)を低減することが可能であるため、可撓性が同様に得られる。あるいは、本発明を用いれば、HREFを変更することなく、当該帯の性能特性を向上(例えば、垂直剛性を増加)させることも可能である。よって、表1の基準値を目標値として用いれば、基準せん断帯110の厚さを3mmだけ低減するための本発明の方法の例示的用途が可能となる。
【0036】
本発明者らは、下記の方程式(3)、(4)および(5)に記載の3つの積により、基準せん断帯110について表1に記載されている4つの性能特性を制御することを決定した。これら3つの積は、せん断帯110の3つの構造物断面特性とみなすことができる。これらの方程式に対処する前に、以下の方程式(3)〜(8)は、強化層が相互に均等であるとの仮定に基づいている点に留意されたい。しかし、当業者が本明細書中に開示される教示内容を用いれば理解するように、本明細書中に開示される方法は、不均等な強化層を有するせん断帯にも適用可能である。例えば、本発明を用いて、異なる厚さの強化層も利用可能である。よって、均等な強化層の場合、前記3つの積(すなわち、3つの構造物断面特性)を以下のように表すことができる。
【0037】
(3)Geff*A
【0038】
(4)Emembrane*Im
【0039】
(5)Emembrane*Am

式中、
effは、強化層130および140を含むせん断帯110の有効せん断係数であり、
Aは、せん断帯110の合計断面積(トレッド層は含まない)であり、
membraneは、強化層130および140の円周係数であり、
mは、前記強化層の慣性モーメント領域に対する寄与であり、
mは、前記強化層の合計断面積である。
【0040】
せん断帯110の有効せん断係数であるGeffは、以下のように計算される。
【0041】
(6)
【数2】

式中、
mは、強化層のせん断係数であり、
slは、前記せん断層に用いられるエラストマーのせん断係数であり、
Hは、強化層を含む前記せん断帯の合計厚さであり、
Nは、合計強化層数であり、
tは、前記強化層の厚さである。
【0042】
慣性モーメント領域Imは、せん断帯110において用いられている強化層が偶数であるかまたは奇数であるかに応じて、以下の2つの方程式のうちの1つによって計算される。強化層偶数である場合、慣性モーメント領域Imは、INevenとして表され、以下の方程式により、INevenが得られる。
【0043】
(7)
【数3】

式中、
wは、強化層の幅であり、
tは、ラジアル方向Rに沿った強化層の厚さであり、
Nは、1つの強化層の中心から次の強化層の中心へのラジアル方向Rに沿った距離であり、
oは、個々の強化層約の軸方向中心線周囲における慣性モーメント領域であり、
Beven
【数4】

【数5】

【数6】

及び
【数7】

として計算され、
kは、スペーシングバイアスパラメータであり、前記強化層間のスペーシングが比較的均等である場合、1の値が用いられ、前記外側強化層のスペーシングが最小である場合、0の値が用いられる。
【0044】
図3に示すように強化層数が奇数である場合、慣性モーメント領域ImはINoddとして表され、以下の方程式によりINoddが計算される。
【0045】
(8)
【数8】

ここで、
【数9】

及び
【数10】

【0046】
上記の計算のように、3つの構造物断面特性であるGeff*A、Emembrance*ImおよびEmembrance*Amを用いて、表1に示す基準タイヤ100の目標性能特性を満足する(かまたは向上させ)つつ、せん断帯110を必要に応じて再構築することができる。上記の例において、表1の性能特性を満足するかまたは向上させつつ、基準せん断帯110の合計厚さHを3mmだけ低減することが望まれる。しかし、本発明の方法を用いれば、せん断帯110の他の変更も達成することが可能である。例えば、せん断帯110の厚さ(HREF)の元々の値から50パーセントも低減することを目的としてもよい。実際、所望の厚させん断帯110の任意の値を目標とする(HTARGET)とすることが可能である(ただし、このような値が強化層の厚さよりも(t)少なくとも4倍高い場合)。あるいは、本発明の方法により、正割垂直剛性および正接垂直剛性の値を増加させるかまたはμppを低減させつつ、せん断帯厚さHREFの元々の値を一定に保持することも可能である。それにも関わらず、本発明の例示的方法の一部として、せん断帯110の新規構造についてHTARGETの値を指定する。ここで、HTARGETは、HREF以下である。
【0047】
その後、基準せん断帯110と比較して少なくとも1つのさらなる強化層を有するせん断帯について、厚さHTARGETについて選択された目標値を用いて、構造物断面特性Geff*Aを計算する。例えば、2つの強化層130および140を有する(すなわち、NREF値が2に等しい)基準せん断帯110が図示されている。よって、3つの強化層および厚さHTARGETを有するがその他の点においてはせん断帯110と同様に構成されたせん断帯について、新規Geff*Aを計算する((Geff*A)CALC)。(本明細書中用いられるNは、1よりも大きな任意の正の整数である点に留意されたい)。例えば、改変が望まれる基準せん断帯は3つの強化層を持ち得、NREF値は3に等しい)。
【0048】
次に、3つの強化層(N=3)を用いて決定された新規(Geff*A)CALCと、基準せん断帯110の(Geff*A)REFとを比較する。新規に計算された(Geff*A)CALCが基準せん断帯110の(Geff*A)REFよりも小さい場合、強化層数を再度1つだけ増やし(N=4)、(Geff*A)CALCの値を再度計算する。(Geff*A)CALCの新規値が強化層130および140が2つしかない(すなわち、NREF=2の)基準せん断帯110の元々の値(Geff*A)REF以上になるまで、このプロセスを繰り返す。本明細書中用いられるNTOTALは、(Geff*A)CALCが(Geff*A)REFの元々の値以上になったときの合計強化層数を表す。
【0049】
新規値(Geff*A)CALCが(Geff*A)REFの基準値を越えるまで強化層数Nを増加させるプロセスは、以下の上限に到達するまで繰り返すことができる。

(9)(HTARGET−Nt)(N−1)≦t/2
【0050】
この上限により、(均等なスペーシングを仮定した場合の)隣接する強化層間の単一の強化層の厚さの少なくとも半分の距離があることが保証される。均等に間隔付けされた強化層について、増加によって奇数となった強化層に起因してGeff*AおよびEmembrane*Amが比例的に増加するが、Emembraneには大幅に限定された影響しか与えない点に留意されたい。なぜならば、少なくとも1つの強化層が、前記せん断層の中間または「ニュートラルファイバー」に配置されるからである。新規値(Geff*A)CALCが基準値(Geff*A)REFよりも高くなる前に方程式(9)の上限に到達した場合、厚さHTARGETを増加させ、前記プロセスを繰り返すことが必要である(すなわち、新規値(Geff*A)CALCが基準値(Geff*A)REF以上になるまで、合計数がNREF+1である強化層から再度開始することが必要である)。
【0051】
新規値(Geff*A)CALCが基準値(Geff*A)REF以上になることを可能にするさらなる強化層が追加されると、前記新規数の強化層における値Emembrane*AmおよびEmembrane*Imも計算可能となる。新規値Emembrane*Amは、基準値Emembrane*Amを常に越えている。なぜならば、この構造物断面特性は強化層数によって直接影響を受けるからであり、また、前記プロセスのこの時点において少なくとも1つの強化層が元々のせん断帯110に追加されているからである。しかし、Emembrane*Imの計算値は、Emembrane*Imの基準値を満たさなくてもよいかあるいは越えなくてもよい。
【0052】
TARGETおよびNTOTAL((Geff*A)CALCが基準値(Geff*A)REFを超えたときの強化層数)を用いて、例えば有限要素解析およびNTOTAL個の強化層を有するせん断帯を用いたタイヤモデルを用いて、前記4つの性能特性(すなわち、正接垂直剛性、正割垂直剛性、接地圧、およびμpp)を決定する。その後、正接垂直剛性、正割垂直剛性、接地圧、およびμppの新規値と、元々の基準値(例えば、表1中の値)とを比較する。前記新規値が前記元々の基準値を満たすかまたは越える場合、設計目標に達したため、前記プロセスを停止することができる。
【0053】
しかし、正接垂直剛性または正割垂直剛性の新規値が正接垂直剛性および正割垂直剛性の基準値よりも低い場合、Emembrane*Imを増加させる必要がある。あるいは、正接垂直剛性、正割垂直剛性および接地圧の新規値が受容可能な場合でも、μppの新規値が受容不可能であるかまたはさらなる低減が望ましい場合があり得、よって、Emembrane*Imを増加させる必要がある。Emembrane*Imを増加させるために、方程式(7)および(8)と共に上記に示したスペーシングバイアスパラメータkの値を徐々に低減する必要がある。バイアスパラメータkの増加と共に、前記せん断帯に付加された、ニュートラルファイバー上に配置されていないた強化層が最外層130および最内強化層140に向かって押し出され、その結果、厚さHTARGET、(Geff*A)CALCまたは(Emembrane*AmCALCの値に影響を与えることなく、Emembrane*Imが増加する。
【0054】
よって、選択されたパラメータkの各新規値について、パラメータkの新規値を用いたせん断帯構造を有する別のタイヤモデルを構築し、例えば有限要素解析を用いて、4つの性能特性(すなわち、正接垂直剛性、正割垂直剛性、接地圧およびμpp)を計算する。ここでも、これらの新規値を前記基準値と比較する。前記垂直剛性(正接、正割、または両方)が前記基準せん断帯の垂直剛性値未満である場合、前記新規値が垂直剛性の基準値以上になるまで、前記パラメータkを低減するプロセスを継続する。前記新規の垂直剛性値が受容可能な場合であっても、μppの値が受容不可能である場合(すなわち、前記基準せん断帯110のμppの値よりも高すぎる場合)、前記パラメータkを低減するプロセスを繰り返すことも可能である。
【0055】
正接垂直剛性、正割垂直剛性、およびμppの新規値が受容可能値または目標値に到達する前にパラメータkがゼロになった場合、HTARGET値を増加させ、基準せん断帯110よりも1つ以上多い強化層(すなわち、NREF+1)から前記プロセスを再開させる必要がある。より詳細には、NREF=2であるせん断帯110について、HTARGET値を増加させ、N=3個の強化層から再開して、(Geff*A)CALCの新規値を計算する。その後、この(Geff*A)CALCと(Geff*A)REFとを比較し、(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF以上ではない場合、上述したように強化層数Nを再度増加させることにより、前記プロセスを繰り返す。
【0056】
上記した方法を、2つの強化層130および140のみを有する基準せん断帯110に適用した。その結果を表3に示す。
【0057】
【表3】

注記:単位はmmおよびdaN
【0058】
第1行目のデータは、せん断層厚さHRBFが18mmであり、幅Wが230mmであり、2個の(N=2)強化層を有する基準せん断帯110を示す。次に続く3つの行は、3目標厚さHTARGETが15mmであり、特定の性能特性(例えば、垂直剛性およびμpp)を維持するかまたは向上させつつ、せん断帯の厚さ110を低減することを目標とする。性能特性を完全に整合させることは恐らく不可能であるが、表3に示すように、4つの強化層(N=4)が用いられた場合、基準せん断帯110について(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF値を上回る。ここでも、タイヤ100の構造はその他の点では同じである(すなわち、同じ材料(例えば、エラストマー)がせん断層120において用いられ、同一数のウェブスポーク150が用いられ、同一ハブが用いられている)と上記した方法において仮定している点に留意されたい。
【0059】
4つの強化層の値(NTOTAL=4)を用いて、タイヤ100を再度モデル化し、有限要素解析を用いて、表1において用いられている4つの性能特性(正接垂直剛性、正割垂直剛性、接地圧、およびμpp)を再度計算した。結果を表4に示す。
【0060】
【表4】

【0061】
表4および表1を比較すると分かるように、せん断帯の垂直剛性特性を維持しつつ、せん断帯の厚さ110を3mmだけ低減することが可能である。しかし、表4から分かるように、せん断帯110の厚さHの低減倍の数の強化層により、μppが実際に低減しているという予期しない結果も得られている。より詳細には、せん断帯110の目標とする改変により、トレッド部105が3mmだけ増加しただけでなく、せん断帯110のラジアル変位も低減し、これによってタイヤ100の動作がより円滑になった。
【0062】
せん断層120を構成する材料は、本明細書中に記載の所望の特定の機械的特性が得られる任意の材料でよい点に留意されたい。エラストマー材料が利用可能であるが、本発明はこのような材料に限定されない。例えば、せん断層120用として利用可能な材料を挙げると、上述したもの(天然ゴムおよび合成ゴム、ポリウレタン、発泡ゴムおよびポリウレタン、セグメント化コポリエステル、およびナイロンのブロック共重合体)ならびに非エラストマー材料(例えば、繊維強化複合材料またはメタ材料)がある。よって、本発明のせん断帯110は、必ずしも特定の材料の詳細に限定されない。
【0063】
本発明について、特定の例示的実施形態およびその方法について詳述してきたが、上記が理解されれば、このような実施形態の変更、改変および均等物を容易に得ることが可能であることが当業者にとって明らかである。よって、本開示の範囲は、限定的なものではなく例示的なものであり、本開示は本明細書中に開示される教示内容を用いれば当業者に容易に明らかになるような本開示のこのような改変、変更および/または追加を除外しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法であって、
前記せん断帯の厚さHREFおよび合計強化層数NREFを用いて、垂直剛性(Geff*A)REFを決定するステップと、
目標値HTARGETを前記せん断帯の厚さとして選択するステップと、
前記せん断帯内の前記合計強化層数を1だけ増加させるステップと、
前記せん断帯の厚さHTARGETを用いて(Geff*A)CALCを計算し、前記増加させるステップによって得られた前記強化層数を前記せん断帯について用いるステップと、
前記計算するステップから(Geff*A)CALCのと、前記決定するステップからの(Geff*A)REFとを比較し、(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF未満である場合、(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF以上になりかつ前記合計強化層数がNTOTALになるまで、前記増加させるステップおよび前記計算するステップを繰り返すステップと、
前記比較するステップによって得られた前記せん断帯について、前記せん断帯の厚さHTARGETおよび前記強化層数NTOTALを用いて前記垂直剛性を計算するステップと、
前記計算するステップからの前記垂直剛性と、前記決定するステップからの前記垂直剛性とを参照して、前記計算するステップからの前記垂直剛性が前記決定するステップからの前記垂直剛性未満である場合、
最外強化層と最内強化層との間の前記強化層のうち少なくとも1つを前記せん断帯内の新規位置へと移動させるステップであって、前記新規位置は、前記最外強化層または前記最内強化層により近接する、ステップと、
前記計算するステップからの前記垂直剛性が前記決定するステップからの前記垂直剛性以上である場合、前記計算するステップおよび前記参照するステップを繰り返すステップと、
を行う、
ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記せん断帯内の任意の隣接する強化層間の距離が単一の強化層の厚さの半分未満である場合、前記せん断帯の前記目標厚さHTARGETを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項3】
前記増加させるステップ、前記計算するステップ、前記比較するステップおよび前記参照するステップを前記せん断帯内の合計強化層数NREFから繰り返すステップをさらに含む、請求項2に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項4】
前記比較するステップにおいて(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF以上にならない場合、前記せん断帯の前記目標厚さHTARGETを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項5】
前記増加させるステップ、前記計算するステップ、前記比較するステップ、前記計算するステップおよび前記参照するステップを前記せん断帯内の合計強化層数NREFから繰り返すステップをさらに含む、請求項4に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項6】
前記せん断帯の目標厚さHTARGETを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項7】
前記せん断帯の厚さHREFおよび前記せん断帯の合計強化層数NREFを用いて、μppREFの値を計算するステップと、
前記比較するステップから得られた前記せん断帯の厚さHTARGETおよび前記せん断帯の合計強化層数NTOTALを用いて、μppTARGETの値を計算するステップと、
μppTARGETの値と、μppREFの値とを比較し、μppTARGETがμppREF以下ではない場合、最外強化層と最内強化層との間の前記強化層のうち少なくとも1つを前記せん断帯内の新規位置へと移動させるステップであって、前記新規位置は、前記最外強化層または前記最内強化層のいずれかにより近接する、ステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項8】
前記計算するステップおよび前記参照するステップの結果を用いて、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有する前記せん断帯の設計を変更するステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項9】
前記選択するステップにおいて最初に用いられるHTARGETは、HREFの約半分である、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項10】
前記選択するステップにおいて用いられるような厚さHTARGETと、前記比較するステップから得られる合計強化層数NTOTALとを有するせん断帯を製造するステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項11】
前記合計強化層数NTOTALは4である、請求項10に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項12】
前記比較するステップにおいて(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF以上にならなかった場合、前記強化層の厚さtを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項13】
前記増加させるステップ、前記計算するステップ、前記比較するステップおよび前記参照するステップを前記せん断帯内の合計強化層数NREFから繰り返すステップをさらに含む、請求項12に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項14】
前記比較するステップにおいて(Geff*A)CALCが(Geff*A)REF以上にならなかった場合、前記強化層の前記円周せん断係数Gmを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項15】
前記増加させるステップ、前記計算するステップ、前記比較するステップおよび前記参照するステップを前記せん断帯内の合計強化層数NREFから繰り返すステップをさらに含む、請求項14に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項16】
前記比較するステップからの垂直剛性が前記決定するステップからの前記垂直剛性以上にならなかった場合、前記強化層の円周係数Emembraneを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項17】
前記増加させるステップ、前記計算するステップ、前記比較するステップおよび前記参照するステップを前記せん断帯内の合計強化層数NREFから繰り返すステップをさらに含む、請求項16に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項18】
前記比較するステップからのμppが、前記せん断帯の厚さHREFおよび前記せん断帯の合計強化層数NREFを用いたμppの値以上にならなかった場合、前記強化層の円周係数Emembraneを増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項19】
前記増加させるステップ、前記計算するステップ、前記比較するステップおよび前記参照するステップを前記せん断帯内の合計強化層数NREFから繰り返すステップをさらに含む、請求項18に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項20】
前記決定するステップの前記垂直剛性は、前記正割垂直剛性である、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項21】
前記移動させるステップは、前記せん断帯を用いた非空気圧タイヤのパラメータkの値を増加させるステップをさらに含む、請求項1に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項22】
前記パラメータkの値がほぼゼロまで低下した場合、前記せん断帯の目標厚さHTARGETを増加させるステップをさらに含む、請求項21に記載の、厚さHREFおよび合計強化層数NREFを有するせん断帯を改変する方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法を用いて設計されたせん断帯。
【請求項24】
請求項1に記載の方法を用いて設計されたせん断帯を用いた非空気圧タイヤ。
【請求項25】
ラジアル方向最内強化層およびラジアル方向最外強化層を有するせん断帯を改変する方法であって、
少なくとも1つのさらなる強化層を追加することにより、前記せん断帯を用いた非空気圧タイヤの垂直剛性を増加させるかまたは維持するステップであって、前記少なくとも1つのさらなる強化層は、前記ラジアル方向最外強化層と前記ラジアル方向最内強化層との間に間隔を空けて配置される、ステップと、
前記せん断帯のμppの値を低減するステップと、
方法。
【請求項26】
記厚さを前記せん断帯のラジアル方向に沿って低減するステップをさらに含む、請求項25に記載の、ラジアル方向最内強化層およびラジアル方向最外強化層を有するせん断帯を改変する方法。
【請求項27】
前記低減するステップは、前記ラジアル方向最内強化層と前記ラジアル方向最外強化層との間に配置された少なくとも1つの強化層のラジアル位置を改変するステップをさらに含む、請求項25に記載の、ラジアル方向最内強化層およびラジアル方向最外強化層を有するせん断帯を改変する方法。
【請求項28】
前記増加させるステップおよび前記低減するステップ時において、前記せん断帯の一定厚さを維持するステップをさらに含む、請求項25に記載の、ラジアル方向最内強化層およびラジアル方向最外強化層を有するせん断帯を改変する方法。
【請求項29】
前記増加させるステップおよび前記低減するステップ時から得られた情報に基づいてせん断帯を製造するステップをさらに含む、請求項25に記載の、ラジアル方向最内強化層およびラジアル方向最外強化層を有するせん断帯を改変する方法。
【請求項30】
せん断帯であって、
せん断層と、
前記せん断層の片側に沿って配置された内側強化層と、
前記せん断層の他方側に沿って配置された外側強化層であって、前記せん断層は、前記内側強化層と前記外側強化層との間に配置される、外側強化層と、
少なくとも2つ以上のさらなる強化層であって、前記少なくとも2つ以上のさらなる強化層は、前記外側強化層と前記内側強化層との間において相互に間隔を空けてかつ前記外側強化層および前記内側強化層から間隔を空け得て配置され、これにより、前記せん断帯は合計強化層数Nを有し、N>4となる、外側強化層と、
を含む、せん断帯。
【請求項31】
前記少なくとも2つ以上のさらなる強化層は、前記せん断帯のピークツーピークラジアル変位値を低下させる位置において、前記内側強化層と前記外側強化層との間に配置される、請求項30に記載のせん断帯。
【請求項32】
前記少なくとも2つのさらなる強化層は、前記内側強化層と前記外側強化層との間において均等に間隔を空けて配置される、請求項31に記載のせん断帯。
【請求項33】
前記さらなる強化層ならびに前記内側強化層および前記外側強化層は全て、均一な厚さである、請求項32に記載のせん断帯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−507296(P2013−507296A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534149(P2012−534149)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/060746
【国際公開番号】WO2011/046553
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【出願人】(512068547)コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン (169)