説明

多層分析エレメントの製造法

【課題】多層分析エレメントの製造において、ナイフまたは打ち抜き道具を用いると擦り切れるかの性があり、またナイフが接着剤で汚染される可能性がある。さらに、機械的負荷の結果として、切断面の領域での破れのリスクがある。また鋭い端のためにシールを傷つけることがあり、これらの不利を克服する手段を提供する。
【解決手段】多層分析エレメントまたは多層分析エレメントの構成要素の一部が、レーザー照射を用いて、分析エレメントブランクから切り出される。該レーザー照射は、異なる材料層を経由して少なくとも2つの領域間を切断し、また該レーザー照射は、該切断に対して有効でありかつ該領域中に切り込まれる異なった材料層の厚みおよび材料に応じて変化するレーザーパワーを持っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層分析エレメントに関するものであり、またレーザー照射を、切断用に使用する多層分析エレメントの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体サンプル、たとえば、血液あるいは尿などの体液の分析のために、分析されるサンプルが、分析エレメントの検査フィールドに位置しており、また適当であれば、分析前の検査フィールドで、1つ以上の試薬と反応する分析装置が、しばしば使用されている。分析エレメントの光学的評価、特に測光的評価および電気化学的評価は、サンプル中の検体濃度を迅速に定量するための最も普及している方法である。サンプルの分析用の分析エレメントを用いた分析システムは、分析、環境分析の分野および医療診断において、一般的に使用されている。測光的にあるいは電気化学的に評価される分析エレメントは、特に毛細血管からの血糖の診断に大変重要である。
【0003】
さまざまな種類の分析エレメントがある。たとえば、中央に多層検査フィールドを配置したほぼ正四角形のスライドが知られている。ストリップ形状の診断分析エレメントは、テストスリップと呼ばれる。分析エレメントは、たとえばCA2311496、US5846837A、あるいはWO97/02487中の先行技術中に広く記載されている。
【0004】
本発明は、あらゆる所望の形状、特にストリップ形状のテストエレメントおよび分析テープに関する。そのような多層分析エレメントの生産において、多層分析エレメントの個々のあるいはいくつかの相互接続された層が、巻き取りテープとして存在し、またそれらの個々の分析エレメントあるいはいくつかの構成要素の一部は、適当なナイフあるいは穴あけ道具を用いて、切断したり、打ち抜いたりすることによりこのテープから離されるというロール対ロール法が、通常使用されている。しかしながら、ナイフあるいは打ち抜き道具を用いた分離を行うと、繊維(たとえば繊維構造)からなる材料が、擦り切れる可能性があり、接着剤を含む層を用いると、ナイフを汚染する可能性があり、またフィルム塗膜(たとえば、反応性フィルム)を用いると、機械的負荷の結果として、切断端の領域で破れのリスクがある。切断端における塗膜の部分的な分離は、望ましくない粒子および埃を形成し、広範な分離は、(環境上)好ましくない材料を生じることさえある。さらに、生じた切断端は、鋭く、その結果、たとえばそのような切断端を持った分析テープの一部が、シールを経由して、分析装置内の部分上のサンプルを受け取りかつ分析するために、カセットから導かれる場合に、その鋭い端のために、シールを傷つけることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、多層分析エレメント、および先行技術の不利な点を回避する多層分析エレメントの製造方法を入手可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、液体サンプル分析用の少なくとも1つの検査フィールドを持った液体サンプル用多層分析エレメントの製造法であって、少なくとも2つの重ね合わせた材料層からなる分析エレメントブランクが、使用可能であり、また多層分析エレメント(10)または多層分析エレメント(10)の構成要素の一部が、レーザー照射を用いて、分析エレメントブランクから切り出されることを特徴とする方法により達成される。該レーザー照射は、異なる材料層を経由して少なくとも2つの領域間を切断し、また該レーザー照射は、該切断に対して有効でありかつ該領域中に切り込まれる異なる材料層の厚みおよび材料に応じて変化するレーザーパワーを持っている。
【0007】
本発明による多層分析エレメントの製造のために、該少なくとも2つの重ね合わせた材料層からなる分析エレメントブランクが、好ましくは、該少なくとも2つの重ね合わせた材料層を接続することによって、最初にあらかじめ組み立てられている。これらの材料層は、異なる厚さと異なる平面的広がりをも持っており、その結果、断面では、該ブランクは、異なった領域において、異なった厚さと異なった材料の組み合わせを持つことができる。該材料層は、たとえば、接着剤結合あるいは溶接により、互いに強固に接続されている。たとえば、接着剤からなるまたポリマーテープからなる、重ね合わされ、強固に相関接続された層(互いに接着テープを形成する)上では、中央で縦型のストリップの形状で検出フィルムを適用することが可能になり、該ストリップは、ポリマーテープに粘着しかつ多層分析エレメントあるいはその構成要素の一部を分離した後、液体サンプル分析用の多数の検査フィールドに対して、検出化学物質を提供する。
【0008】
このような場合の検査フィールドは、分析エレメントの限界を定められた領域であり、そこでは、液体サンプルは、電気化学的分析あるいは測光的分析中に配置している。該検査フィールドは、サンプルと反応しかつそれにより、サンプルの分析上で検出可能な作用(たとえば、色変化)を生じる検出化学物質を含むことができる。
【0009】
接着剤により互いに接続された少なくとも2つの材料層、特にいくつかの材料層は、分析エレメントあるいは分析エレメントの構成要素の一部が、切断されるときには、切り抜かれねばならない分析エレメントブランクを形成する。このことは、切断される層厚さおよび/または後続の層の組成は、分析エレメントブランクの異なった領域において異なっている。本発明のレーザーカッターにより、切断面に沿って切断される分析エレメントブランクの層のプロファイルは、異なった領域で異なっているので、異なったレーザーパワーが、特定の切断深さを達成するために、特に異なった領域における全ての材料層を経由する切断を達成するために必要である。該分析エレメントブランクは、該多層分析エレメントあるいはそれらの構成要素の一部を切断する際、切断する意図がない材料層を切断することもできる。たとえば、切り取られた相関接続層は、切り取られない支持層から、引き剥がされ、またそれらをラベルとして使用することができる。
【0010】
本発明によれば、多層分析エレメントあるいは多層分析エレメントの構成要素の一部は、レーザー照射を用いて、分析エレメントブランクから切り取られる。レーザー照射による切断は、多種類の装置の生産のための先行技術、たとえば、公文書の米国特許4776904、米国特許6191382B1および米国特許6388231B1中において、周知である。
【0011】
多層分析エレメントの構成要素の一部は、この場合、分析エレメントブランクから切り取られまたさらに分析エレメントの生産に使用される、たとえば、他のエレメントに接続される、本発明によるエレメントである。本発明の好ましい実施の態様において、構成要素の一部は、そこに置かれた検出フィルムを持った少なくとも1つの接着テープから切り出されたラベルであり、それは、分析テープを生産するために、移送テープに貼られている。
【0012】
市販のレーザー、たとえばNd:YAGレーザーあるいはCO2レーザーが、レーザー照射を用いた切断に使用できる。波長10.6μmのレーザービームを持っているCO2レーザーを使用することが好ましい。CO2レーザーのカッテイングレーザービームのビーム径は、80〜400μmであることが好ましい。Nd:YAGレーザーのカッテイングレーザービームのビーム径は、20〜200μmであることが好ましい。カッテイングレーザービームのビーム径は、20〜400μmであることが好ましい。
【0013】
ジョイント領域における溶融物の迅速な除去により、冷却効果が起こるように、レーザー照射を用いて切断を行うときには、プロセスガスを使用することができ、それは、切断材料にもよるが、切断端の品質を向上させることができる。このとき、流入するプロセスガスは、レーザー光学系(焦点レンズ)を保護することもできるし、環境の熱的負荷を減少させることもできる。典型的なプロセスガスは、空気、窒素、アルゴンあるいはそれらの混合物である。
【0014】
本発明によると、分析エレメントあるいは分析エレメントの構成要素の一部を切断するために使用されるレーザー照射は、この切断用に有効でありかつ異なる領域において切断される材料層の厚みおよび材料に応じて変化するレーザーパワーを持っている。このことは、分析エレメントブランクの各領域における切断深さを制御できるという利点を持っている。このように、本発明は、非接触の(ナイフあるいは超音波などの機械的影響がない)分離方法を提供し、それにより、分析エレメントあるいは分析エレメント構成要素は、たとえば、支持フィルム、接着層、酵素含有検出層および繊維から成りうる多層分析エレメントブランクから、定められた切断深さで切断できる。物質により、一定の焦点位置を維持しながらパワーを調節することにより、切断される材料中へ単位長さ当たりの最適エネルギー(J/m)を導入することができる。
【0015】
繊維(たとえば、ポリマー繊維)からなる材料の場合、レーザー照射を用いる切断により、擦り切れを有利に回避できる。接着剤含有層は、切断装置を汚染することなく、レーザー照射を用いて切断できる。切断するあいだ、望ましくない粒子あるいは埃は、まったく形成されない。
【0016】
レーザー照射を用いた切断は、切断輪郭の形成において、柔軟性を増すという利点をも与える。輪郭切断に対しては、レーザーから放出されるレーザービームは、x−方向およびy−方向に傾けられた2枚の鏡に上手く指向され、そこから、切断される分析エレメント上に焦点を当てられる。該2枚の鏡は、スキャナー(たとえば、電子駆動)により自動的に傾斜され、その結果、焦点を絞られたレーザービームは、分析エレメントブランク上の所望の輪郭に沿って定められた速度で移動する。分析エレメントは、各輪郭が形成されるまで、鏡に相対的に移動するか、あるいは静止状態のままであることもできる。該鏡のスキャナーは、制御装置により制御できる。
【0017】
本発明においては、切断に有効なレーザーパワーを、たとえば、前もってプログラムされた制御システムを用いて変化するか、あるいは切断のあいだにセンサーを用いて定められ、また切断される異なった材料層の厚みと材料に関する値に応じて変化させることができる。
【0018】
本発明において、切断に有効なレーザーパワーを、たとえば、レーザーカッターの前もってプログラムされた制御システムにより、変化させることができる。この目的のために、計画された切断面に沿ったあらゆる領域における全ての厚みおよび分析エレメントブランク中での材料の組み合わせを、知らなければならないし、あるいは該切断を行うために必要なレーザーパワーを、あらかじめ実験的におよび異なる領域での厚みと材料により、求めなければならない。同一輪郭が、テープ状の分析エレメントブランクの常に反復されかつ同一に構築される領域から、常に切り出されなければならないというロール−対−ロール法において、この変数が、推奨される。この方法においては、同一プロファイルを持っている材料層は、レーザー照射を用いて、反復して切り取られる。異なる層厚みおよび異なる領域で切断される層材料に関するプロファイルは、各輪郭に対して反復され、その結果、各領域における定められた切断深さを達成するために必要なレーザーパワー変化は、各個々の輪郭の切断のあいだに、同様に反復される。レーザーを制御するために使用されるソフトウエアは、この場合、前もってプログラムされ、それにしたがって最適化されうる。
【0019】
しかしながら、本発明においては、切断に必要なレーザーパワーにおける変化は、センサーにより測定されかつ切断される厚みおよび切断される分析エレメントの材料に関係するデータに対して、レーザーカッターの反応としても起こり得る。たとえば、センサーは、分析エレメントブランクの表面上で、特定のフィールドを光学的に検出することができ、それに基づいて、評価ユニットは、あらかじめ知らねばならないある厚みおよび/あるいは材料を、これらのフィールドに割り当てる。しかしながら、たとえば、センサーは、切断される領域の厚みを測定することも可能である。この場合、レーザーパワーは、各領域での所望の切断深さを達成するために、切断される層の各領域に対して、センサーを用いて求められる厚みおよび/あるいは材料に応じて、オンラインで制御される。
【0020】
本発明の好ましい実施の態様によると、切断に有効なレーザーパワーが、
レーザーにより提供されるレーザーパワーのレーザーの制御あるいはパワー変化用外部エレメントによる変化、切断用に使用されるレーザー照射のレーザービーム径の変化、レーザー照射の移動速度および互いに相対的な分析エレメントブランクの速度の変化および分析エレメントブランクに相対的なレーザー照射の焦点位置(焦点の高さ)の変化を包含する群から選択される少なくとも1つの方法により、変化される。
【0021】
パワー変化用外部エレメントは、レーザーの外に配置されかつレーザーにより使用可能なレーザーパワー変化により、切断に対して有効なレーザーパワーに影響を与える。パワー変化に対するこのような外部エレメントの例は、たとえば、Q−スイッチを含む。レーザー照射の移動速度および互いに相対的に切断される分析エレメントの移動速度は、切断用レーザービームのスキャン速度および/あるいはレーザー光学系に相対的な分析エレメントブランクの運搬速度から生じる。
【0022】
本発明の好ましい実施の態様によると、本発明による多層分析エレメントの製造法は、分析エレメントブランクが、バンド形状で製造されかつ分析エレメントあるいは分析エレメントの構成要素の一部が、レーザー照射を用いて後者から切り出されるロール対ロール法である。
【0023】
本発明による分析エレメントブランク製造方法に使用される少なくとも2つの材料層が、ポリマー層、疎水性層、接着剤層、繊維層、金属塗膜されたポリマー層、金属層、およびレーザー照射により溶融可能な層の群から選択される層からなることが好ましい。
【0024】
ポリマー層は、たとえば、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、繊維強化ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタンあるいはそれらの混合物の群から選択されるポリマー層である。
【0025】
疎水性層は、水性サンプルの広がりを防止する。たとえば、液体サンプルが、検査フィールド中に「トラップされる」ように、検査フィールドを取り囲むことができる。該疎水性層は、たとえば、分析エレメントブランクの他の層の定められた領域を含浸させることにより、製造できる。
【0026】
接着剤層は、本発明による方法においては、個々の材料層を互いに、あるいは少なくとも1つの検査フィールドに接続するために、あるいは他の分析エレメントの構成要素に、分析エレメント構成要素を接続する役割を果たすことができる接着剤の層である。
【0027】
繊維層は、繊維含有層である、たとえば、分析エレメントの検査フィールドをカバーし、またその構造のおかげで、検査フィールド中に液体サンプルを散布する一助となるポリマー繊維である。それは、レーザー照射の結果として、切断端における溶融する層としても、提供できる。
【0028】
電気化学的に評価されるテストストリップにおいて、金属被覆ポリマー層あるいは金属層を、たとえば、電極の設備のために、あるいは電気信号を転送するための構造として提供できる。該金属被覆ポリマー層あるいは金属層は、たとえば、パラジウム、白金、金、チタンおよび銅の群から選択される金属を含んでいる。
【0029】
レーザー照射により溶融できる層は、たとえば、形成される切断端の領域におけるレーザー照射により溶融される熱可塑性ポリマー層である。本発明の好ましい実施の態様によると、多層分析エレメントの切断のあいだ、あるいは多層分析エレメントの構成要素の一部を、少なくとも1つの切断端に沿って、分析エレメントブランクからのレーザー照射を用いて、切断するあいだ、少なくとも1つの材料層が、レーザー照射により溶融され、切断端上に丸み効果を持つ。これは、切断端が、患者の皮膚に沿って、あるいは分析装置中のシールに沿って移動するとしても、丸みのある切断端は、なんら傷あるいは損傷を生じるものではないという利点を持っている。
【0030】
本発明による分析エレメントブランクの少なくとも2つの材料層の各々は、0.05μmから300μmの厚みを持つことが好ましく、特に5μmから80μmの厚みを持つことが好ましい。分析エレメントブランクは、その最も厚い領域において、10μmから180μmの厚みを持つことが好ましく、特に80μmから300μmのあいだの厚みを持つことが好ましい。
【0031】
本発明の好ましい実施の態様によると、少なくとも2つの領域におけるレーザー照射を用いて、多層分析エレメントを切断するあいだ、あるいは多層分析エレメントの構成要素の一部を切断するあいだ、分析エレメントブランクの材料層の幾分かあるいは全ては、切り開かれる。これは、切断に対して有効でありまた切断深さを決定できるレーザーパワーにより、正確に制御できる。
【0032】
本発明の1つの実施の態様において、多層分析エレメントは、液体サンプルの電気化学的分析あるいは測光分析用の検査フィールドを持ったテストストリップであり、またレーザー照射を用いることにより、テストストリップのテープの形状での分析エレメントブランクから切り離される。
【0033】
本発明の他の実施の態様において、多層分析エレメントは、テープ方向に互いに離された多重の検査フィールドを持った分析テープであり、その場合、分析エレメントブランクは、検出フィルムおよび接着性テープからなるテストラベルテープの形状で前もって組み立てられ、検査フィールドを各々含む自己接着性テストラベルは、レーザー照射を用いて該テストラベルテープから、それぞれの場合に切り出され、また分析テープの構成要素の一部として使用される。これらの縦切断は、各分析テープの縦縁に沿って、切断端を形成する。該縦切断は、定められた幅の分析テープを、移送テープから切り離す役割を果たす。しかし、いくつかの分析テープを、1つの移送テープの隣接部分から切り出すこともできる。切断用レーザービームあるいはレーザービームの方向の変更を必要とすることなく、移送テープの縦方向で、これらは、切断されるから、定められた、また適当であれば一定の速度でレーザービームに対して相対的に移動される移送テープに指向される静止レーザービームを、使用することが可能となる。この方法に対して、巻き取りが可能でありテストラベルが設けられている移送テープを移送するためのロール対ロール運搬装置を使用することが好ましい。
【0034】
本発明は、さらに、少なくとも2つの(好ましくは、相関接続された)材料層を持った液体サンプル用多層分析エレメントに関するものである。本発明による多層分析エレメントは、異なった材料層を持った少なくとも2つの領域を経由して伸びており、かつ該領域の厚みおよび材料に適合されかつ該切断に対して有効なレーザーパワーを持ったレーザー照射により発生した切断端を持っている。本発明による多層分析エレメントは、本発明による上記した方法により製造されることが好ましい。
【0035】
分析エレメントは、テープ方向に互いに離された多重の検査フィールドを持った分析テープであり、そこでは、検査フィールドは、少なくとも検出フィルムおよび接着性テープからなりかつ移送テープに貼られた自己接着性テストラベル上に配置され、接着性テープを用いて領域を経由してまた検出フィルムおよび接着性テープを持っている領域を経由して伸び、かつ領域における切断材料層の厚みおよび材料に適合しかつ該切断に有効なレーザーパワーを持つレーザー照射を用いた切断により発生された切断端を、該テストラベルが持っている。さらに、縦の縁に沿って、支持テープは、移送テープから分析テープを切り離すあいだに、レーザー照射により発生した縦の切断端を持つことができる。分析テープ中では、分析テープ製造用に貼り付けられたテストラベルが、分析テープの支持テープとしての役割を果たすことができる。しかし、レーザー照射を用いて、あるいは当業者に公知の他の切断法により作ることができる縦切断を持った少なくとも1つの分析テープを、テストラベルを含む移送テープから、切り離すこともできる。
【0036】
以下、図を参照して、本発明を詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、分析テープの形態での本発明による多層分析エレメントの、本発明による製造用分析エレメントブランクを示している。
【0038】
分析エレメントブランク1は、いくつかの材料層、特に少なくとも1つのポリマー層と少なくとも1つの接着層を持った接着テープからなり、その上には、検出フィルム2のような形態を有するさらなる材料層が貼り付けられている。検出フィルム2は、分析エレメントブランク1の他の層3の中央ストリップのみをカバーし、その結果、分析エレメントブランク1は、検出フィルム2の領域において、大きな厚みを持っており、また断面では、検出フィルム2でカバーされていないストリップ形状の領域4におけるより、異なった材料組成を持っている。
【0039】
図2は、図1からの分析エレメントブランク1を示しており、そこから、本発明による分析エレメントの構成要素の一部としてのラベルは、レーザー照射を用いて切断されている。
【0040】
分析テープは、2段階ロール対ロール処理により製造される。第1段階においては、図1および図2にしたがって、テストラベルテープ5が、あらかじめ組み立てられ、そこから、図3による第2段階において、レーザー照射により切り出されかつ検査フィールド6を含むテストラベル7(本発明による多層分析エレメントの構成要素の一部)が、取り除かれまた移送テープ8に貼り付けられる。
【0041】
テストラベル7は、輪郭9に沿って移動するレーザービーム30を用いて切り出される。レーザー(示されていない)から発射されるレーザービーム30は、続いて、2つの鏡34,35に向けられる。第1鏡34は、第1回転方向36に傾斜させることにより、レーザービーム30を、x方向に屈折できる。第2鏡35は、第2回転方向37に傾斜させることにより、レーザービーム30を、y方向に屈折できる。このようにして、あらゆる所望の輪郭、特にテストラベル7の輪郭9を、レーザービーム30により、移動できる。
【0042】
分析エレメントブランク1からテストラベル7を切断するにあたり、レーザー照射は、ストリップ形状の領域4(検出フィルムのない)および検出フィルム2を持っている領域を経由して、切断する。これらの領域4および2は、異なった厚みを持っており、またそれらの切断される層は、異なった材料の組み合わせを持っている。本発明によると、テストラベルの輪郭9に沿って移動するレーザービーム30の有効レーザーパワーは、異なった領域において切断される層の厚みおよび/あるいは材料に応じて、一定のレーザービーム径、一定のレーザースキャン速度および分析エレメントブランク1の一定速度を維持しながら、使用されるレーザーにより提供されるレーザーパワーを変化させることにより、変化されることが好ましい。定められた切断深さを達成するために、レーザーパワーは、各領域において選択される。図2に示された実施の態様において、輪郭9に沿った層のすべてがレーザー照射を用いて切り取られないことが好ましく、またその代わりに、最下支持層38が実質的に影響されないように、各領域において、レーザーパワーが印加されることが好ましい。そこで、テストラベル7は、この最下支持層38から除去され、また図3に示すように、移送テープに貼り付けられる。
【0043】
図3は、本発明による方法により製造された分析テープの形状であり、本発明による多層分析エレメントを示している。
【0044】
分析テープ11のような形態を有する多層分析エレメント10は、支持テープ8とテープ方向に互いに離れて置かれており、かつ多層テストラベル7上に置かれている多重の検査フィールド6からなっている。支持テープ8は、レーザー照射により切断された切断端を持っている。この場合、分析テープの支持テープ8が、レーザー照射により移送テープ(示されていない)から切り出される手段により、これらの切断端は、縦切断により得られる。しかし、もし、移送テープが、所望の幅を既に持っているときには、この目的用のサイズに切られることなく、それは、分析テープ11の支持テープ8としての役割を果たすことができる。
【0045】
図4は、本発明による方法により製造された分析テープの形状であり、本発明による多層分析エレメントの透視図を示している。
【0046】
分析テープ11は、支持テープ8およびテストラベル7からなっている。テストラベル7は、本発明により、レーザー照射を用いてサイズに切られたいくつかの材料層14からなっている。これらの材料層14は、2つの接着層および接着テープ15を形成するポリマー層と、テスト化学物質を含む検出フィルム16と、中央において検出フィルム16をカバーしかつサイドにおいて接着テープ15をカバーするポリマー繊維層17と、ポリマー繊維層17上に横のストリップとして配置される疎水性層18とを含む。これとは異なる層順序を選択することもできる。たとえば、該疎水性層18を、ポリマー繊維層17の下および接着テープ15の上に配置することもできる。図4による本発明の実施の態様において、液体サンプルの分析を行うことができる検査フィールド6は、テストラベル7上で中央に置かれている。
【0047】
図4による分析エレメント10は、テストラベル7の範囲を定めかつ異なった材料からなる材料層14を持ち、また異なった厚みを持った3つの領域(20,21,22)を経由して伸びる切断端19を、テープ方向12とは直角に持っている。第1領域20においては、本発明によるレーザー照射は、材料層(疎水性層18、ポリマー繊維層17および接着テープ15)を経由して切断された。第2領域21では、レーザー照射によって材料層(ポリマー層17、検出フィルム16、および接着テープ15)が切断された。第3領域22中でレーザー照射により切断される材料層14は、第1領域20のものに対応している。本発明によると、該切断に対して有効でありかつ該3つの領域(20,21,22)中で材料層の厚みおよび材料に適合されるレーザーパワーを持っているレーザー照射を用いて、切断端19は、発生された。テストラベル7の全ての切断端19,23および支持テープ8の縦切断端24を発生させるためのレーザー照射による切断を用いて、定められた材料層14および支持テープは、切断端19,23,24で溶融され、それにより、丸められ(示されていない)、その結果、分析テープ11を受け取るカセットのシールエレメントは、分析テープ11が、カセットのシールエレメントに沿って移送されるので、鋭い端により損傷を受けることはない。
【0048】
図5は、テストストリップが、レーザー照射を用いてテープから切られる本発明による方法の第1実施の態様の概略表示である。
【0049】
多重のテストストリップ26からなるテープ25は、分析エレメントブランク1として存在している。テープ25は、ロール27からリールを解かれ、切断用レーザー29に向けて移送方向28中を動く。テープ25中で互いに結び付けられるテストストリップ26は、各々が、液体サンプルの電気化学的あるいは測光的分析用の検査フィールド(示されていない)を持っている多層分析エレメント10である。レーザー29からのレーザービーム30は、テストストリップ26のテープ25に向けられる。それぞれの場合におけるレーザービーム30は、テストストリップ26をテープ25から分離するために、切断ライン31に沿って移動する。レーザービーム30は、切断に有効であり、また切断される異なった材料層の厚みと材料に応じて、切断ライン31に沿って変化するパワーを持っており、そのためテストストリップ26を切断するために充分であるが、高すぎないレーザーパワーを使用可能とする。
【0050】
図6は、テストストリップが、レーザー照射を用いてテープから切られる本発明による方法の第2実施の態様の概略表示である。
【0051】
多重のテストストリップ26からなるテープ25は、分析エレメントブランク1として存在する。テープ25中で互いに結び付けられるテストストリップ26は、各々が、液体サンプルの電気化学的あるいは測光的分析用の検査フィールド(示されていない)を持っている多層分析エレメント10である。レーザー29からのレーザービーム(示されていない)は、光学部品32により、多重の平行レーザービーム33に分割される。
【0052】
レーザービーム33は、テストストリップ26のテープ25に向けられる。レーザービーム33は、テストストリップ26をテープ25から分離し、それによってそれらを単離するために、平行な切断ライン31に沿って、同時に移動する。レーザービーム33は、切断に有効でありまた切断される異なった材料層の厚みと材料に応じて、切断ライン31に沿って変化するパワーを持っており、そのためテストストリップ26を切断するために充分であるが、高すぎないレーザーパワーを使用可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による多層分析エレメント製造用分析エレメントブランクの概略平面図である。
【図2】図1からの分析エレメントブランクを示しており、そこから、本発明による分析エレメントの構成要素の一部として、ラベルが、レーザー照射を用いて切り出される。
【図3】本発明による方法により製造される分析テープ形状である本発明による多層分析エレメントの概略平面図である。
【図4】本発明による方法により製造される分析テープ形状である本発明による多層分析エレメントの概略側面透視図である。
【図5】テストストリップがテープから切り出される本発明による方法の第1実施の態様の概略表示である。
【図6】テストストリップがテープから切り出される本発明による方法の第2実施の態様の概略表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプル分析用の少なくとも1つの検査フィールド(6)を持った液体サンプル用多層分析エレメント(10)の製造法であって、少なくとも2つの重ね合わせた材料層(14)からなる分析エレメントブランク(1)が、使用可能であり、また多層分析エレメント(10)または多層分析エレメント(10)の構成要素の一部が、レーザー照射を用いて、分析エレメントブランク(1)から切り出され、該レーザー照射は、異なる材料層を経由して少なくとも2つの領域(20,21,22)間を切断し、また該レーザー照射は、該切断に対して有効でありかつ該領域(20,21,22)中に切り込まれる異なった材料層(14)の厚みおよび材料に応じて変化するレーザーパワーを持っていることを特徴とする製造法。
【請求項2】
前記少なくとも2つの重ね合わせた材料層(14)が、分析エレメントブランクを得るために互いに接続されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記切断に有効なレーザーパワーが、
レーザーにより提供されるレーザーパワーのレーザーの制御あるいはパワー変化用外部エレメントによる変化、
切断用に使用されるレーザー照射のレーザービーム径の変化、
レーザー照射の移動速度および互いに相対的な分析エレメントブランク(1)の速度の変化および
分析エレメントブランクに相対的なレーザー照射の焦点位置の変化を包含する群から選択される少なくとも1つの方法により、変化されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記切断に有効なレーザーパワーが、前もってプログラムされた制御システムを用いて変化することを特徴とするか、あるいは切断に使用されるレーザーパワーが、切断のあいだにセンサーを用いて定められ、また切断される異なった材料層の厚みと材料に応じて変化することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの重ね合わせた材料層(14)が、ポリマー層(17)、疎水性層(18)、接着剤層、繊維層(17)、金属塗膜されたポリマー層、金属層およびレーザー照射により溶融可能な層(17)の群から選択される層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
多層分析エレメント(10)の切断のあいだ、あるいは多層分析エレメント(10)の構成要素の一部を、切断端(19,23)に沿って、分析エレメントブランク(1)からのレーザー照射を用いて、切断するあいだ、少なくとも1つの材料層が、切断端(19,23)上に丸み効果を持つようにレーザー照射により溶融されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも2つの領域(20,21,22)におけるレーザー照射を用いて、多層分析エレメント(10)、あるいは多層分析エレメント(10)の構成要素の一部を切断するあいだ、分析エレメントブランク(1)の材料層(14)の幾分かあるいは全てを、切り開くことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
多層分析エレメント(10)が、液体サンプルの電気化学的分析あるいは測光分析用の検査フィールドを持ったテストストリップであり、またレーザー照射を用いることにより、テストストリップのテープの形状で存在する分析エレメントブランク(1)から切り離されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
多層分析エレメント(10)が、テープ方向(12)に互いに離された多重の検査フィールド(6)を持った分析テープ(11)であり、その場合、分析エレメントブランク(1)は、検出フィルム(2,16)および接着性テープ(15)からなるテストラベルテープ(5)の形状で前もって組み立てられ、検査フィールド(6)を各々含む自己接着性テストラベル(7)は、レーザー照射を用いて該テストラベルテープ(5)から、それぞれの場合に切り出され、また分析テープ(11)の構成要素の一部として使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記テストラベル(7)が、移送テープ上に移送され、かつ分析テープ(11)が、レーザー照射を用いて形成された垂直切断により、テストラベル(7)が設けられた移送テープから切り出されることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
液体サンプル分析用の少なくとも1つの検査フィールド(6)を含む少なくとも2つの材料層(14)を持った液体サンプル用多層分析エレメント(10)であって、該分析エレメント(10)は、異なった材料層(14)を持った少なくとも2つの領域(20,21,22)を経由して伸びており、かつ該領域(20,21,22)の厚みおよび材料に適合されかつ該切断に対して有効なレーザーパワーを持ったレーザー照射により発生した切断端(19)を持っていることを特徴とするエレメント。
【請求項12】
多層分析エレメント(10)が、テープ方向に互いに離された多重の検査フィールド(6)を持った分析テープ(11)であり、そこでは、検査フィールド(6)は、少なくとも検出フィルム(2,16)および接着性テープ(15)からなり、かつ移送テープ(8)に貼られた自己接着性テストラベル(7)上に配置され、接着性テープ(15)を用いて領域(20,22)を経由して、また検出フィルム(16)および接着性テープ(15)を持っている領域(21)を経由して伸び、かつ領域(20,21,22)における切断材料層(14)の厚みおよび材料に適合しかつ該切断に有効なレーザーパワーを持つレーザー照射を用いた切断により発生された切断端(19,23)を、該テストラベル(7)が持っていることを特徴とする請求項11記載の多層分析エレメント。
【請求項13】
縦の縁に沿って、支持テープ(8)が、レーザー照射により発生した縦の切断端(24)を持っていることを特徴とする請求項12記載の多層分析エレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−248461(P2007−248461A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−52008(P2007−52008)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】