説明

多層構造樹脂粒子の製造方法

【課題】本発明の課題は、多層構造樹脂粒子を簡便に製造する方法を提供することである。
【解決手段】樹脂の前駆体(m)と共重合可能なカチオン性又はアニオン性の反応性界面活性剤(S1)と、樹脂で構成された中心層(L0)又は樹脂層で表面が構成される多層粒子とを含有する分散液に、樹脂の前駆体(m)と共重合可能であり反応性界面活性剤(S1)と反対のイオン性を有する反応性界面活性剤(S2)と、樹脂の前駆体(m)とを加えた後、反応性界面活性剤(S1)、反応性界面活性剤(S2)及び樹脂の前駆体(m)を共重合させて、中心層(L0)又は多層粒子の表面に樹脂層を形成させ多層粒子分散液を得た後、多層粒子を単離し、上記操作を繰り返して多層構造粒子を得る製造工程を含むことを特徴とする多層構造樹脂粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多層構造樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層構造を有する粒子としては、例えば、水に対する界面張力の差が0.1(mN/m)を超える関係を満たす2種のポリマー層が同心状に交互に4層以上積層した多層高分子微粒子(例えば、特許文献1参照)、架橋メチルメタクリレート層、架橋弾性アルキルアクリレート層及び硬質熱可塑性メチルメタクリレート層からなる多層構造重合体粒子(例えば、特許文献2参照)等が開示されている。
【特許文献1】特開2004-35785号公報
【特許文献2】特開2004-352837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の多層高分子微粒子の製造方法は、特殊なブロック共重合体又はグラフト共重合体を使用しなければならず、工業的に有利な方法とは言い難いという問題がある。
本発明の課題は、多層構造樹脂粒子を簡便に製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の多層構造樹脂粒子の製造方法の特徴は、樹脂の前駆体(m)と共重合可能なカチオン性又はアニオン性の反応性界面活性剤(S1)と、樹脂で構成された中心層(L0)又は樹脂層で表面が構成される多層粒子とを含有する分散液に、
樹脂の前駆体(m)と共重合可能であり反応性界面活性剤(S1)と反対のイオン性を有する反応性界面活性剤(S2)と、樹脂の前駆体(m)とを加えた後、
反応性界面活性剤(S1)、反応性界面活性剤(S2)及び樹脂の前駆体(m)を共重合させて、中心層(L0)又は多層粒子の表面に樹脂層を形成させ多層粒子分散液を得た後、
多層粒子を単離し、上記操作を繰り返して多層構造樹脂粒子を得る製造工程を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の製造方法をもちいれば、多層構造樹脂粒子を簡便に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<多層構造粒子の製造方法>
中心層(L0)が球状樹脂層の場合、中心層(L0)は、一般的な乳化重合法、懸濁重合法、ミニエマルジョン法又は分散重合法等により得られる。
【0007】
中心層(L0)が非球状樹脂層の場合、中心層(L0)は、次の公知の方法{(1)〜(5)の}等で製造される。
(1)乳化重合法及び懸濁重合法等において、連続相に増粘剤{水溶性高分子ポリマー(ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリビニルピロリドン等)}を添加して、攪拌下で重合反応させる方法。
【0008】
(2)熱可塑性樹脂を溶媒に分散し、熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上に加熱して、高シェア下で攪拌・冷却することにより製造する方法。
【0009】
(3)樹脂粒子を溶媒で膨潤させ、高シェア下で溶媒を除去することにより製造する方法。
【0010】
(4)乳化重合法及び懸濁重合法等において、モノマーを架橋剤と共に共重合させて、架橋反応による体積収縮を利用して、製造する方法。
【0011】
(5)樹脂粒子を粉砕して製造する方法。
【0012】
これらのうち、光散乱性及び表面平滑性の観点から、(1)、(2)又は(3)の方法が好ましい。
【0013】
本発明の製造方法で得られる多層構造樹脂粒子は、中心層(L0)をコアとし、コアの中心に対して同心状に2層以上の層(Ln)を積層することにより製造できる。
【0014】
反応性界面活性剤(S1)は、樹脂の前駆体(m)と共重合可能な基を有し、カチオン性又はアニオン性の界面活性剤であれば特に限定されない。
前駆体(m)と共重合する基としては、ビニル基、イソシアナト基、ブロックドイソシアナト基、グリシジル基、アミノ基、水酸基及びカルボキシ基等が挙げられる。
【0015】
アニオン性の反応性界面活性剤としては、スルホコハク酸のアルキル(炭素数12〜13)アリルジエステルのナトリウム塩{たとえば、エレミノールJS−2:三洋化成工業社製(「エレミノール」は同社の登録商標である。)}、ポリオキシアルキレンメタクリレートのスルホン酸エステルナトリウム塩{たとえば、エレミノールRS−30:三洋化成工業社製}、及びアリルオキシメチルポリオキシエチレンヒドロキシアルキルエーテルの硫酸エステルアンモニウム塩{アクアロンKH−10:第一工業製薬社製(「アクアロン」は同社の登録商標である。)}等が好ましく例示できる。
【0016】
カチオン性の反応性界面活性剤としては、同一分子内にメタアクリロキシ基とトリアルキルアンモニオ基を有する化合物{メタアクリロキシエチルアミノカルボニルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート塩}、及びメタクリル酸トリメチルアンモニオエチルクロライド塩(文献;第13回高分子ミクロスフェア討論会 2B10 セイコーエプソン)等が好ましく例示できる。
【0017】
反応性界面活性剤(S1)の使用量(重量%)は、樹脂の前駆体(m)の重量に基づいて、1〜100が好ましく、さらに好ましくは1.5〜80である。この範囲であると、層の厚さの標準偏差がさらに良好となる。
【0018】
多層粒子又は中心層(L0)の表面には、電荷(q)を有することが好ましく、さらに好ましくは0.1mV以上のζ(ゼータ)電位、又は−0.1mV以下のζ(ゼータ)電位を有することである。
そして、この電荷(q)と反応性界面活性剤(S1)のイオン性が、反対であることが好ましい。たとえば、電荷(q)がマイナスの場合、反応性界面活性剤はカチオン性であることが好ましい。一方、たとえば、電荷(q)がプラスの場合、反応性界面活性剤はアニオン性であることが好ましい。
【0019】
電荷(q)を有する多層粒子又は中心層(L0)としては、表面にイオン性基を有することが好ましい。イオン性基としては、アニオン基{カルボキシレート基(−CO)、ホスホナート基(−PO(O又は−PO(OH)(O))及びスルホナート基(−SO)基等}、及びカチオン基{アンモニオ基(−NH)、4級アンモニオ基(−NR;Rは炭素数1〜3の炭化水素基)、スルホニオ基(−SH)及びホスホニオ基(−PH)等}が挙げられる。
【0020】
反応性界面活性剤(S1)と、多層粒子又は中心層(L0)とを含有する分散液は、分散溶媒として、水、炭素数4以下のアルコール等が用いられる。
【0021】
中心層(L0)又は多層粒子の分散溶媒への分散は、均一分散させることが好ましい。
分散方法としては特に限定されないが、公知のホモジナイザーを用いる方法、超音波により分散する方法等が好ましい。
分散液中の中心層(L0)又は多層粒子の含有量(体積%)は、分散液の体積に基づいて、0.01〜50が好ましい。
【0022】
反応性界面活性剤(S2)は、樹脂の前駆体(m)と共重合可能な基を有し、反応性界面活性剤(S1)と反対のイオン性を有する界面活性剤であれば特に限定されない。
反応性界面活性剤(S1)がアニオン性であれば、反応性界面活性剤(S2)はカチオン性、一方、反応性界面活性剤(S1)がカチオン性であれば、反応性界面活性剤(S2)はアニオン性である。
【0023】
前駆体(m)と共重合する基としては、ビニル基、イソシアナト基、ブロックドイソシアナト基、グリシジル基、アミノ基、水酸基及びカルボキシ基等が挙げられる。
反応性界面活性剤(S2)としては、反応性界面活性剤(S1)と同じものが含まれる。
【0024】
反応性界面活性剤(S1)及び反応性界面活性剤(S2)の使用重量比{(S1)/(S2)}は、1/2〜2/1が好ましい。
【0025】
樹脂の前駆体(m)としては反応して樹脂となるものであればいかなる前駆体であってもよく、ビニルモノマー、グリシジル基含有化合物等が含まれる。
【0026】
樹脂の前駆体(m)の使用量(体積%)は、樹脂層の膜厚の直接関係するため、多層粒子の体積又は中心層(L0)の体積に基づいて、0.1〜100が好ましい。この範囲であると、層の厚さの標準偏差がさらに良好となる。
【0027】
反応性界面活性剤(S1)、反応性界面活性剤(S2)及び樹脂の前駆体(m)を共重合させる方法としては公知の方法が適用できるが、熱、紫外線照射(UV)又は電子線照射(EB)による方法が好ましく、さらに好ましくは熱による方法である。
熱による場合、反応温度(℃)としては、30〜160が好ましい。
【0028】
本発明の製造方法は、多層粒子又は中心層(L0)の表面に2重ミセル層を形成し、この中に前駆体(m)を閉じ込め、反応性界面活性剤(S1)、反応性界面活性剤(S2)及び前駆体(m)を共重合させることにより、樹脂層を形成させるものである。
【0029】
本発明の製造方法では、反対のイオン性を有する反応性界面活性剤を交互に使用するため、これらの工程の後、多層粒子を単離{遠心分離、減圧濾過、加圧濾過及び凍結乾燥等}してから、次の工程に進む必要がある。
【0030】
<多層構造樹脂粒子>
本発明の製造方法で得られる多層構造樹脂粒子は、中心層(L0)をコアとし、コアの中心に対して同心状に2層以上の層(Ln)を積層した構造を有し、隣合う層の屈折率差(25℃)のすべてが0.01〜1.5であり、中心層(L0)及び層(Ln)が樹脂層(R)であることを特徴とする多層構造粒子である。
【0031】
中心層(L0)は、コアを構成していれば外形状に制限はないが、平均円形度0.96〜1の球状粒子又は平均円形度0.7以上0.96未満の非球状粒子であることが好ましく、さらに好ましくは平均円形度0.97〜1の球状粒子及び平均円形度0.80〜0.95の非球状粒子、特に好ましくは平均円形度0.98〜1の球状粒子及び平均円形度0.85〜0.93の非球状粒子である。
平均円形度は、粒子の断面積のうち「最大の断面積」を、真円に換算したときの円周距離(r1)を算出し、この円周距離(r1)を最大の断面積の「実測円周距離(r2)」で割った値を、少なくとも1000個の粒子について求め、これらの値の算術平均値である。
「最大の断面積」は、試料の分散液を狭い間隙に流して流れ方向に対し垂直方向から光を照射して、得られる影を画像処理することにより得られる。
「実測円周距離(r2)」は、「最大の断面積」を得る際に得た画像処理データを細分割し、円周上の分割点をカウントすることにより得られる。
【0032】
すべての層(Ln)は、コアの中心に対して同心状に積層されている。また、層(Ln)は2層以上であり、広範囲の特定波長の光の選択的な透過又は反射の観点等から、3層以上が好ましく、さらに好ましくは4層以上、特に好ましくは5層以上、最も好ましくは6層以上である。一方、製造の観点等から、30層以下が好ましい。
【0033】
層(Ln)のnは、各層に対応し、1以上の整数であって、中心層(L0)に隣接する層のnは1であり、外側に向かいnは増加する。すなわち、中心層(L0)の表面に層(L1)が積層され、層(L1)の表面に層(L2)が積層され、順に外側に層(L3)、(L4)・・・が積層される。
【0034】
中心層(L0)及び層(Ln)のすべての層において、隣合う層の屈折率差(25℃)のすべては、0.01〜1.5が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5である。この範囲であると、広範囲の特定波長の光の選択的な透過又は反射がさらに良好となる。
【0035】
屈折率(25℃)は、a1の屈折率を持つベースフィルム(厚みv1)に、膜厚v2の層(Ln)を形成し、積層フィルムを得た後、積層フィルムの屈折率(W)を測定し、次式から層(Ln)の屈折率(a2)を求める。
a2=[W−(a1・v1/(v1+v2))]×[(v1+v2)/v2]
【0036】
層(Ln)のそれぞれの厚さ(μm)は、0.01〜3が好ましい。広範囲の特定波長の光の選択的な透過の観点等から、さらに好ましくは0.01〜0.2、特に好ましくは0.02〜0.1である。一方、広範囲の特定波長の光の選択的な反射(拡散)の観点等から、さらに好ましくは0.1〜3、特に好ましくは0.5〜2である。
【0037】
中心層(L0)の厚さ(μm)は、0.05〜3が好ましく、さらに好ましくは0.1〜2.5である。
中心層(L0)の厚さは、中心層(L0)を形成するコアの中心から中心層表面までの平均距離を意味する。
【0038】
中心層(L0)及び層(Ln)の厚さは、多層構造粒子を樹脂で固め、ダイヤモンドカッター等で切断し、多層構造粒子の断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて測定することができる。
【0039】
層(Ln)のうち少なくとも1層の厚さの標準偏差は、光の均一干渉の観点から、30%以下が好ましく、さらに好ましくは25%以下である。
【0040】
本発明の製造方法で得られる多層構造樹脂粒子の体積平均粒子径(μm)は、色純度又は光の散乱性の観点から、0.1〜20が好ましく、さらに好ましくは0.5〜15、特に好ましくは1〜10である。
体積平均粒子径は、測定試料を水に分散させ、光散乱方式の粒度分布測定器{たとえば、堀場製作所社製LA−950}を用いて測定できる。
【0041】
中心層(L0)の体積(体積%)は、光の透過性の観点から、多層構造粒子の体積に基づいて、5〜98が好ましく、さらに好ましくは10〜90である。
中心層(L0)の体積は、多層構造粒子を樹脂で固め、ダイヤモンドカッター等で切断し、多層構造粒子の断面を透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて測定することができる。
【0042】
中心層(L0)及び層(Ln)は、樹脂層(R)である。
樹脂層(R)を構成できる樹脂としては、着色がなく、造膜性のあるものが含まれ、透明性及び屈折率の観点から、ポリウレタン、ポリエステル、ビニル樹脂、フッ素樹脂及びポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくはビニル樹脂、フッ素樹脂及びポリアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0043】
樹脂層(R)には架橋樹脂を含有することが好ましい。
架橋樹脂としては、1分子内にビニル基を2つ以上有するモノマーを共重合した架橋ビニル樹脂、1分子内に3つ以上のイソシアナト基を有するモノマー又はプレポリマーを共重合した架橋ウレタン樹脂、グリシジル基、アミノ基若しくはカルボキシ基を1分子中に3つ以上有するモノマー又はプレポリマーを共重合した架橋エポキシ樹脂、アミノ基、カルボキシ基若しくは無水カルボキシ基{1,3−オキソ−2−オキサプロピレン基}を1分子中に3つ以上有するモノマー又はプレポリマーを共重合した架橋ポリアミド等が挙げられる。
架橋樹脂を含む場合、架橋樹脂の含有量(重量%)は、樹脂層(R)の重量に基づいて、30〜100が好ましく、さらに好ましくは50〜100である。
【0044】
本発明の製造方法で得られる多層構造樹脂粒子は外形状に制限はないが、平均円形度0.96〜1の球状粒子又は平均円形度0.7以上0.96未満の非球状粒子であることが好ましく、さらに好ましくは平均円形度0.97〜1の球状粒子及び平均円形度0.80〜0.95の非球状粒子、特に好ましくは平均円形度0.98〜1の球状粒子及び平均円形度0.85〜0.93の非球状粒子である。本発明の多層構造粒子の外形状は、中心層(L0)の外形状に大きく左右される。
【0045】
層の厚さが0.01〜0.2μmの多層構造では、ある層で反射する光と、その内側の層又は外側の層で反射する光とが干渉するため、層の厚さ及び屈折率に対応した波長光が色づいて見える(構造色を呈する。)。そして、構造色は見る角度によって様々な色彩が見られるが、多層構造粒子が球状粒子である場合、見る角度が一定となり、一つの色彩(単一光)が見られることとなる。また、隣り合う層の屈折率差が大きくなる程、また、層の数が多くなる程、反射効率が大きくなり{入射光に対して反射光の量が多くなり}、強い構造色が得られる。
一方、層の厚さが0.1〜3μmの多層構造では、光の干渉は起こらず、各層において反射が生じる。そして、層の数が多くなる程、効率的な光散乱を生じる。また、球状粒子に比較して、非球状粒子の方が光拡散が効率的に生じる。
【0046】
中心層(L0)及び層(Ln)のうち、少なくとも1層に、着色剤(D)を含有することが好ましい。着色剤(D)としては、発色光の純度及び色再現性の観点から、染料、顔料及び蛍光体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0047】
染料としては、acid alizarin violet N、acid black、acid blue、acid chrome violet K、acid Fuchsin、acid green、acid orange、acid red、acid violet 6B、Direct yellow、Direct Orenge、Direct Violet、Direct Blue、Direct Green、Mordant Yellow、Mordant Orange、Mordant Violet、Mordant Green、Food Yellow 3及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。また、これら以外の染料{アゾ系、キサンテン系又はフタロシアニン系の酸性染料}も使用でき、C.I.Solvent Blue 44,38、C.I.Solvent Orenge 45、Rhodamine B、Rhodamine 110、2,7-Naphthalenedisulfonic acid及びこれらの染料の誘導体も使用できる。
【0048】
顔料としては、赤色着色剤{C.I.ピグメントレッド 254と、C.I.ピグメントレッド 177の混合物等}、緑色着色剤{C.I.ピグメントグリーン36と、C.I.ピグメントイエロー150又はC.I.ピグメントイエロー138との混合物等}及び青色着色剤{C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60及びC.I.ピグメントブルー64等}等が挙げられる。
【0049】
蛍光体としては、無機蛍光体{希土類元素(亜鉛、カドミニウム、マグネシウム、シリコン及びイットリウム等)等の酸化物、硫化物、珪酸塩、バナジン酸塩等}及び有機蛍光体{フルオレセイン、エオシン及び油類(鉱物油)等}等から選択される。付活体は、銀、銅、マンガン、クロム、ユウロピウム、亜鉛、アルミニウム、鉛、リン、砒素及び金等から選択される。溶剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸マグネシウム及び塩化バリウム等から選択される。
【0050】
着色剤(D)を含有する場合、着色剤(D)の含有量(重量%)は、多層構造粒子の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5である。
【0051】
本発明の製造方法で得られる多層構造粒子は、ディスプレー用カラーフィルター、樹脂フィルム、コーティング材料{着色塗料、艶消し塗料、反射板・反射フィルム用塗料等}及び光拡散フィルム等に適用できる。この他に、顔料や染料としても使用できる。
【0052】
本発明の製造方法で得られる多層構造粒子が、球状の場合、ディスプレー用カラーフィルターに適しており、非球状の場合、光拡散フィルムに適している。樹脂フィルムやコーティング材料には、球状粒子及び非球状粒子のいずれの場合も適している。
カラーフィルターは、たとえば、球状の多層構造粒子{5〜20重量%}及びバインダー等を分散した分散液をインクジェットノズルでガラス基板上に吐出し、配置させた後、乾燥することにより製造できる。
【0053】
光拡散フィルム及び樹脂フィルムは、(1)フィルム用樹脂及び多層構造粒子を溶融混練し、押し出し延伸成形する方法、(2)多層構造粒子を樹脂溶液に分散して、これをキャストして製膜する方法、及び(3)多層構造粒子をモノマーに分散した後、重合する方法等により製造できる。
多層構造粒子の含有量(重量%)は、フィルム用樹脂及び多層構造粒子の合計重量に基づいて、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
フィルム用樹脂としては、光学用樹脂{たとえば、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリカーボネート及びポリエステル}、及びバインダー樹脂{たとえば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びポリエステル}等が挙げられる。
【0054】
コーティング材料は、公知の塗料やインクに使用される原材料{バインダー及び溶剤等}と、本発明の多層構造粒子とを混合することにより得られる{多層構造粒子が混合による剪断応力によって破壊されないように注意が必要である。}。
【実施例】
【0055】
実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、部は重量部、%は重量%を示すものとする。
【0056】
<製造例1>:カチオン性の反応性界面活性剤の製造
2−(メタアクリロイロキシ)エチルイソシアネート{商品名:カレンズMOI:昭和電工社製;「カレンズ」は同社の登録商標である。}を100部、ジメチルアミノエタノールを57部、ジブチル錫ジラウレート1部を、80℃で8時間反応させた後、この溶液にさらにジメチル硫酸を81部加え、さらに60℃で4時間反応させて、カチオン性の反応性界面活性剤(S−1){メタアクリロキシエチルアミノカルボニルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート塩}を得た。
【0057】
<製造例2>
イオン交換水800部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部を均一混合して水相を得た。一方、スチレン180部、アゾビスブチロニトリル5部、アニオン性の反応性界面活性剤{エレミノールJS−2:三洋化成工業社製}15部を均一混合して油層を得た。ついで、水相に、油層を全量加え、ローター−ステーター型分散機[TKホモミキサー:特殊機化工業社製]を用いて4000rpm、1分間攪拌した後、攪拌装置を有する耐圧容器に移し、85℃、12時間反応させ、球状樹脂粒子(LB−1)を含む分散液を得た。球状樹脂粒子(LB−1)は、分散液を遠心分離し、水洗浄した後、乾燥させることにより得た{体積平均粒径5.3μm、平均円形度0.98}。
【0058】
<製造例3>
イオン交換水900部、球状樹脂粒子(LB−1)50部の混合液に超音波を30分間照射した後、カチオン性の反応性界面活性剤(S−1)3部を加え、4時間攪拌して、分散液を得た。一方、メタクリル酸メチル0.47部、アニオン性の反応性界面活性剤[エレミノールJS−2:三洋化成工業社製]0.03部及びアゾビスブチロニトリル0.01部を均一混合した後、この混合液を分散液に加え、30分間攪拌し、混合分散液を得た。混合分散液を攪拌装置を有する耐圧容器に移し、85℃、12時間反応させ、2層構造球状粒子(LB−2)を含む分散液を得た。2層構造球状粒子(LB−2)は、この分散液を遠心分離し、水洗浄した後、乾燥させることにより得た{体積平均粒径5.3μm、平均円形度0.98}。
【0059】
<製造例4>
メタクリル酸メチルを「0.47部」から「0.55部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、2層構造球状粒子(LB−5){体積平均粒径5.3μm、平均円形度0.98}を得た。
【0060】
<製造例5>
メタクリル酸メチルを「0.47部」から「0.68部」に変更したこと以外、製造例2と同様にして、2層構造球状粒子(LB−8){体積平均粒径5.4μm、平均円形度0.98}を得た。
【0061】
<実施例1>
「球状樹脂粒子(LB−1)」を「2層構造球状粒子(LB−2)」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル」を「スチレン」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、ポリスチレン層−ポリメタクリル酸メチル層−ポリスチレン層を有する3層構造球状粒子(LB−3)を得た{体積平均粒径5.4μm、平均円形度0.98}。
【0062】
<実施例2>
「球状樹脂粒子(LB−1)」を「3層構造球状粒子(LB−3)」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、4層構造球状粒子を得た後、「球状樹脂粒子(LB−1)」を「4層構造球状粒子」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル」を「スチレン」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、5層構造球状粒子を得た。引き続いて、「多層構造球状粒子」を変更したこと、及び「メタクリル酸メチル」と「スチレン」とを交互に変更したこと以外、製造例3と同様の操作を繰り返すことにより、23層構造球状粒子(LB−4)を得た{体積平均粒径10.2μm、平均円形度0.99}。
【0063】
<実施例3>
「球状樹脂粒子(LB−1)」を「2層構造球状粒子(LB−2)」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル0.47部」を「スチレン0.55部」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、3層構造球状粒子(LB−6)を得た{体積平均粒径5.4μm、平均円形度0.98}。
【0064】
<実施例4>
「球状樹脂粒子(LB−1)」を「3層構造球状粒子(LB−6)に変更したこと、及びメタクリル酸メチルを「0.47部」から「0.55部」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、4層構造球状粒子を得た後、「球状樹脂粒子(LB−1)」を「4層構造球状粒子」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル0.47部」を「スチレン0.55部」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、5層構造球状粒子を得た。引き続いて、「多層構造球状粒子」を変更したこと、メタクリル酸メチル及びスチレンを上記と同様に変更したこと以外、製造例3と同様にして、交互に繰り返すことにより、23層構造球状粒子(LB−7)を得た{体積平均粒径11.2μm、平均円形度0.99}。
【0065】
<実施例5>
「球状樹脂粒子(LB−1)」を「2層構造球状粒子(LB−8)」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル0.47部」を「スチレン0.68部」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、3層構造球状粒子(LB−9)を得た{体積平均粒径5.6μm、平均円形度0.98}。
【0066】
<実施例6>
「球状樹脂粒子(LB−1)」を「3層構造球状粒子(LB−9)に変更したこと、及びメタクリル酸メチルを「0.47部」から「0.55部」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、4層構造球状粒子を得た後、「球状樹脂粒子(LB−1)」を「4層構造球状粒子」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル0.47部」を「スチレン0.68部」に変更したこと以外、製造例3と同様にして、5層構造球状粒子を得た。引き続いて、「多層構造球状粒子」を変更したこと、メタクリル酸メチル及びスチレンを上記と同様に変更したこと以外、製造例3と同様にして、交互に繰り返すことにより、23層構造球状粒子(LB−10)を得た{体積平均粒径12.2μm、平均円形度0.99}。
【0067】
<比較例1〜6>
以下の顔料<1〜3>又は染料<4〜6>を比較用の粒子1〜6とした。
<1>C.I.ピグメントブルー15
<2>C.I.ピグメントグリーン36の12部と、C.I.ピグメントイエロー150の3部とを均一混合した混合顔料
<3>C.I.ピグメントレッド254の10部と、C.I.ピグメントレッド177の5部とを均一混合した混合顔料
<4>染料{acid blue}
<5>染料{Mordant Green}
<6>染料{acid red}
【0068】
<比較例7>
水300重量部に分散安定剤としてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)和光純薬社製0.1重量部を溶解させた溶液に、ポリスチレン(PS)(数平均分子量26,000)0.25重量部、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(数平均分子量23,000)0.25重量部、ポリスチレン−ポリメタクリル酸メチルブロック共重合体(PS−b−PMMA)(Polymer Source社)0.5重量部及びトルエン10重量部を均一混合してなる溶液をホモジナイザーを用いて撹拌速度1000rpmで2分間攪拌し、懸濁させた。次いで、空気との接触面積を10cmにした状態で大気圧・室温下で24時間かけて分散液中のトルエンを蒸発させた。これにより、24層の多層粒子(LB−11)[体積平均粒径は3.0μm、平均円形度は0.98]を得た。
【0069】
実施例1〜6及び比較例7で得た多層構造粒子について、層の数(n)、体積平均粒子径、平均円形度、各層の屈折率、中心層(L0)の体積を表1にまとめた。
【0070】
【表1】

【0071】
注)1.すべてのポリメタクリル酸メチル層について、平均厚さ、標準偏差は同じであった。
2.すべてのポリスチレン層について、平均厚さ、標準偏差は同じであった。
3.平均層厚さ;全ての層の平均値である。
【0072】
体積平均粒径、平均円形度、平均層厚さ、層の数(n)及び屈折率は以下の方法で測定した。
(1)体積平均粒径及び平均円形度の評価
多層構造球状粒子1部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部及びイオン交換水98部を混合し、超音波を30分間照射して分散液を調製した。この分散液の体積平均粒子径及び平均円形度を、フロー式粒子画像解析装置[シスメックス社製:FPIA−3000]で測定した。
【0073】
(2)平均層厚さ、層の数(n)の測定
多層構造球状粒子をエポキシ樹脂{エピコート828、ジャパンエポキシレジン株式会社、「エピコート」は、リソリューション リサーチ ネーデルランド ベスローテン フエンノートシャップの登録商標である。}に均一分散し、加熱硬化した後、硬化体をマイクロカッターで切断し、その断面を透過電子顕微鏡(TEM)で観察し、一層につき10点の厚みを測定し、この平均値を算出した。
層の数(n)は断面を観察することにより確認した。
【0074】
(3)各層の屈折率の測定
樹脂層の場合、樹脂溶液をアプリケーターで、塗布して測定試料を調製した。一方、金属酸化物層の場合、ゾル−ゲル法で、測定試料を調製した。
屈折率は、この薄膜をアッベ屈折計[株式会社アタゴ社製:NAR−4T]を用いて、25℃で測定した。
【0075】
実施例1〜6、及び比較例7で得た多層構造球状粒子について、発色性及び透過光の波長を以下の方法で評価し、この結果を表2に示した。また、製造例2〜5で得た球状粒子について、同様に評価したところ、すべて、発色せず、ピークトップがなかった。
【0076】
<発色性>
ポリビニルアルコール[PVA205:クラレ社製]13部、ポリビニルピロリドン[PVP−K30:五協産業社製]6部、メタノール173部、水211.4部、評価試料{多層構造球状樹脂粒子又は比較用の粒子}15部{染料は5部とした}を混合し、超音波を1時間照射して、分散液を調製した。この分散液を、50mm×50mmのガラス基板上に、液膜厚さが20μmになるようアプリケーターで塗布し、80℃で4時間乾燥させて、処理基板を得た。
処理基板の背面から、白色LEDからの光を照射し、処理基板を透過してくる光を目視により確認した。
【0077】
<透過光の波長>
紫外可視分光光度計[島津製作所社製:UV−2400PC]用いて、処理基板を透過する波長を測定し、そのうち、ピークトップを有する波長を透過光の波長とした。
実施例2(CF−2)、4(CF−4)、6(CF−6)で得た多層球状粒子及び比較例1〜6(RF−1〜RF−6)の粒子を用いて調製した処理基板について、処理基板を透過する波長と透過率とのグラフを図1〜3に示した。
【0078】
【表2】

【0079】
<耐光性>
実施例2(CF−2)、4(CF−4)、6(CF−6)で得た多層球状粒子及び比較例1〜6(RF−1〜RF−6)の粒子を用いて調製した処理基板に、紫外線ランプから紫外線を1000時間照射した後、上記と同様に透過光を測定し、処理基板を透過する波長と透過率とのグラフを図4〜6に示した。
【0080】
図1と図2を比較すると、本発明の多層構造粒子を用いた場合(図1)、透過する波長範囲が狭く、色純度が高いことが分かる。
図1と図3を比較すると、本発明の多層構造粒子を用いた場合(図1)、透過する波長範囲が少し狭く、色純度が高いことがわかる。
【0081】
図4と図5を比較すると、耐光性に差は認められなかった。
図4と図6を比較すると、本発明の多層構造粒子を用いた場合(図4)、耐光性に優れていることがわかる。
以上の通り、本発明の多層構造球状粒子は、従来の着色材(顔料、染料)に比較して、色純度及び耐光性に著しく優れている。
【0082】
<製造例6>
イオン交換水800部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部を均一混合して水相を得た。一方、スチレン100部、ジビニルベンゼン80部、アゾビスブチロニトリル5部及びアニオン性の反応性界面活性剤[エレミノールJS−2:三洋化成工業社製]15部を均一混合して油層を得た。ついで、水相に、油層を全量加え、ローター−ステーター型分散機[TKホモミキサー:特殊機化工業社製]を用いて4000rpm、1分間攪拌した後、攪拌装置を有する耐圧容器に移し、85℃、12時間反応させ、非球状樹脂粒子(LB−12)を含む分散液を得た。非球状樹脂粒子(LB−12)は、この分散液を遠心分離し、水洗浄した後、乾燥させることにより得た{体積平均粒径5.3μm、平均円形度0.92}。
【0083】
<製造例7>
イオン交換水900部及び非球状樹脂粒子(LB−12)50部を混合し、超音波を30分間照射した後、カチオン性の反応性界面活性剤(S−1)3部を加え、4時間攪拌して分散液を得た。一方、メタクリル酸メチル3部、ジビニルベンゼン1.7部、アニオン性の反応性界面活性剤[エレミノールJS−2:三洋化成工業社製]0.03部及びアゾビスブチロニトリル0.2部を均一混合し、これを上記分散液に加え、30分間攪拌して混合分散液を得た。この混合分散液を、攪拌装置を有する耐圧容器に移し、85℃、12時間反応させ、2層構造非球状粒子(LB−13)を含む分散液を得た。2層構造非球状粒子(LB−13)は、この分散液を遠心分離し、水洗浄した後、乾燥させることにより得た{体積平均粒径6.3μm、平均円形度0.92}。
【0084】
<実施例7>
「非球状樹脂粒子(LB−12)」を「2層構造非球状粒子(LB−13)」に変更したこと、及び「メタクリル酸メチル」を「スチレン」に変更したこと以外、製造例7と同様にして、架橋ポリスチレン層−架橋ポリメタクリル酸メチル層−架橋ポリスチレン層を有する3層構造非球状粒子(LB−14)を得た{体積平均粒径7.4μm、平均円形度0.92}。
【0085】
<実施例8>
「非球状樹脂粒子(LB−12)」を「3層構造非球状粒子(LB−14)」に変更したこと以外、製造例7と同様にして、ポリスチレン層−ポリメタクリル酸メチル層−ポリスチレン層−メタクリル酸メチル層を有する4層構造非球状粒子(LB−15)を得た{体積平均粒径8.4μm、平均円形度0.93}。
【0086】
実施例7〜8で得た多層構造粒子について、層の数(n)、体積平均粒子径、平均円形度、各層の屈折率、中心層(L0)の体積を表3にまとめた。なお、層の数(n)、体積平均粒径、平均円形度及び各層の屈折率は上記と同様にして得た。
【0087】
【表3】

【0088】
注)1.すべてのポリメタクリル酸メチル層について、平均厚さ、標準偏差は同じであった。
2.すべてのポリスチレン層について、平均厚さ、標準偏差は同じであった。
3.平均層厚さ;全ての層の平均値である。
【0089】
実施例7及び8、製造例6で得た多層構造非球状粒子について、全光線透過率及びヘイズを以下の方法で評価し、この結果を表4に示した。
【0090】
<全光線透過率及びヘイズ>
メタクリル酸メチル189部、光重合開始剤[IRGNOX1010:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製]1部、評価試料{多層構造非球状粒子又は非球状粒子}10部を混合し、超音波を5分間照射して、分散液を得た。この分散液を50mm×50mmのガラス基板上に、液膜厚さが200μmになるようアプリケーターで塗布し、紫外線ランプから紫外線を10秒間照射することにより樹脂フィルム(A)を形成した。
【0091】
メタクリル酸メチルを「189部」から「169部」に変更したこと、及び評価試料を「10部」から「30部」に変更したこと以外、上記と同様にして、樹脂フィルム(B)を形成した。
【0092】
ヘイズメーターNDH2000(日本電色社製)を使用し、樹脂フィルム(A)又は(B){ガラス基板を含む}の全光線透過率及びヘイズを測定した。
なお、ヘイズが高いほど、光の拡散性が高く、全光線透過率が高いほど、光の損失が小さいことを示す。
【0093】
【表4】

【0094】
実施例7〜8で得た多層構造非球状粒子を用いた樹脂フィルムは、本来、相反関係にあるヘイズと全光線透過率との両方に優れていた。一方、製造例6で得た非球状粒子は、ヘイズ及び全光線透過率の両方に劣った。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の多層構造粒子は、ディスプレー用カラーフィルターに用いる着色剤やディスプレー用の光拡散フィルム、光拡散板、導光板又はアンチグレアフィルムとして、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例2(CF−2)、4(CF−4)、6(CF−6)で得た多層構造球状粒子を用いた処理基板について、透過波長と透過率との関係を表すグラフである。
【図2】比較用の粒子1(RF−1)、2(RF−2)、3(RF−3)を用いた処理基板について、透過波長と透過率との関係を表すグラフである。
【図3】比較用の粒子4(RF−4)、5(RF−5)、6(RF−6)を用いた処理基板について、透過波長と透過率との関係を表すグラフである。
【図4】実施例2(CF−2)、4(CF−4)、6(CF−6)で得た多層構造球状粒子を用いた処理基板に紫外線を1000時間照射した後の処理基板について、透過波長と透過率との関係を表すグラフである。
【図5】比較用の粒子1(RF−1)、2(RF−2)、3(RF−3)を用いた処理基板に紫外線を1000時間照射した後の処理基板について、透過波長と透過率との関係を表すグラフである。
【図6】比較用の粒子4(RF−4)、5(RF−5)、6(RF−6)を用いた処理基板に紫外線を1000時間照射した後の処理基板について、透過波長と透過率との関係を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の前駆体(m)と共重合可能なカチオン性又はアニオン性の反応性界面活性剤(S1)と、樹脂で構成された中心層(L0)又は樹脂層で表面が構成される多層粒子とを含有する分散液に、樹脂の前駆体(m)と共重合可能であり反応性界面活性剤(S1)と反対のイオン性を有する反応性界面活性剤(S2)と、樹脂の前駆体(m)とを加えた後、
反応性界面活性剤(S1)、反応性界面活性剤(S2)及び樹脂の前駆体(m)を共重合させて、中心層(L0)又は多層粒子の表面に樹脂層を形成させ多層粒子分散液を得た後、多層粒子を単離し、上記操作を繰り返して多層構造粒子を得る製造工程を含むことを特徴とする多層構造樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
中心層(L0)の表面に電荷(q)を有し、電荷(q)が反応性界面活性剤(S1)のイオン性と反対の電荷である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
中心層(L0)及び形成された樹脂層の隣合う層間の屈折率差(25℃)のすべてが0.01〜0.5である請求項1又は2に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−255317(P2008−255317A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222087(P2007−222087)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】